IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浙江東方基因生物制品股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7384975免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器
<>
  • 特許-免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器 図1
  • 特許-免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器 図2
  • 特許-免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器 図3
  • 特許-免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器 図4
  • 特許-免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器 図5
  • 特許-免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器 図6
  • 特許-免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器 図7
  • 特許-免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器 図8
  • 特許-免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20231114BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20231114BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/483 C
G01N33/48 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022130825
(22)【出願日】2022-08-19
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】202210854796.1
(32)【優先日】2022-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521107987
【氏名又は名称】浙江東方基因生物制品股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Orient Gene Biotech Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】方 剣秋
(72)【発明者】
【氏名】▲せん▼ 輝
(72)【発明者】
【氏名】劉 博
(72)【発明者】
【氏名】王 思凱
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-165674(JP,A)
【文献】特表2021-522469(JP,A)
【文献】特開2010-127787(JP,A)
【文献】特開2020-126077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法であって、
取得した免疫試薬カードの検出画像における検出文字及び識別コードを識別するステップと、
検出文字に基づいて対応するターゲット領域を形成し、ターゲット領域において、中央サブ領域を確定し、中央サブ領域のヒストグラム情報を計算するステップと、
中央サブ領域のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある場合、ターゲット領域において非均一領域を検出し、非均一領域を行ごとに走査し、輝度均一化係数に基づいて、走査線における各画素点の画素値に対して輝度均一化処理を行うステップと、
輝度均一化処理後のターゲット領域の検出線の縁を識別し、ヒストグラム情報を計算し、階調統計閾値及び得られたヒストグラム情報に基づいて、略線形関係により、ターゲット領域の色度を確定するステップと、
検出文字の対応するターゲット領域の色度に基づいて、免疫試薬カードの自動識別の免疫結果を形成するステップと、
識別した免疫結果と該免疫試薬カードの識別コードに対応するシリアル番号をバインディングし、シリアル番号に基づいたユーザーのクエリ要求を受信する場合、該シリアル番号と共にバインディングした識別済みの免疫結果をユーザーに返すステップとを含むことを特徴とする、免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項2】
ターゲット領域において中央サブ領域を確定し、中央サブ領域のヒストグラム情報を計算するステップは、
ターゲット領域を中央サブ領域、及び中央サブ領域の両側に位置する複数の側面サブ領域に分けるステップであって、前記中央サブ領域の範囲は、履歴免疫試薬カードの非均一領域の検出境界に基づいて適応的に調整され、前記中央サブ領域の範囲は、全ての側面サブ領域の面積の和より大きいステップと、
中央サブ領域の検出線の縁を識別し、中央サブ領域のヒストグラムを取得するステップと、
ヒストグラムを統計し、ヒストグラム情報を取得するステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項3】
前記免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法は更に、
ユーザーがフィードバックした核酸検出結果に基づいて、核酸検出結果と識別した免疫結果が一致しない免疫試薬カードを取得して第1サンプルセットを形成するステップと、ターゲット領域の色度が階調統計閾値に近く、核酸検出結果と識別した免疫結果が一致する免疫試薬カードを取得して第2サンプルセットを形成するステップと、
免疫試薬カードの識別コードと非均一領域の検出過程において形成した均一化標識に基づいて、第1サンプルセットと第2サンプルセットをそれぞれ均一サンプルセットと非均一サンプルセットに分けるステップと、
第1サンプルセットの均一サンプルセットと第2サンプルセットの均一サンプルセットに基づいて階調統計閾値を最適化するステップと、
最適化した後の階調統計閾値、第1サンプルセットの非均一サンプルセット、第2サンプルセットの非均一サンプルセット及び輝度均一化処理後のターゲット領域の階調分散度に基づいて、輝度均一化係数を最適化するステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項4】
コンボリューショナルニューラルネットワークを用い、ターゲット領域内に非均一領域を検出し、輝度均一化を行い、また、第1サンプルセットと第2サンプルセットの非均一サンプルをコンボリューショナルニューラルネットワークの訓練サンプルセット内に拡張することを特徴とする、請求項3に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項5】
検出文字及び識別コードを識別した後、検出文字及び識別コードにおいてそれぞれ複数の特徴位置の座標を確定し、複数の特徴位置の座標に基づいて、アファイン変換を用い、免疫試薬カードが位置する画像領域を同じスケール内に変換し、また、各検出文字を基準として用い、所定の画素ウィンドウを伸ばし、該検出文字に対応するターゲット領域を形成することを特徴とする、請求項1に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項6】
現在の免疫試薬カードのアイデンティティを示す識別コードを識別した後、識別コードに対応するシリアル番号に基づいて、現在の免疫試薬カードを繰り返してアップロードするかどうかを判断し、それを繰り返してアップロードする場合、該免疫試薬カードの前回の識別結果が異常であるかどうかを判断し、そうである場合、該免疫試薬カードを再識別し、再識別結果と識別コードを対応するシリアル番号にバインディングすることを特徴とする、請求項1に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項7】
前記免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法は更に、
ユーザーが撮影してアップロードした免疫試薬カードの検出画像を受信し、検出画像と免疫試薬カードのシリアル番号をバインディングした後、データベースのサーバに記憶するステップと、
複数の検出画像情報をキューの形でイントラネットラウンドロビン方式で複数の識別ノードに送信するステップであって、前記検出画像情報は、該免疫試薬カードの検出画像に対応する免疫試薬カードのシリアル番号を含むステップと、
受信した免疫試薬カードのシリアル番号に基づいて、識別ノードがデータベースのサーバをクエリし、該免疫試薬カードのシリアル番号に対応する検出画像を取得し、画像を識別して免疫試薬カードの識別結果を取得し、識別結果と現在の免疫試薬カードのシリアル番号をバインディングするステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項8】
複数の識別ノードが並べられ、各識別ノードの下位で複数の並べられた計算ノードが動的に拡張され、識別ノードは、ラウンドロビン方式で検出画像情報をその下位の複数の計算ノードに割り当てることを特徴とする、請求項7に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項9】
前記検出文字は、文字T又は文字Cを含む、請求項1に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項10】
前記文字Tに対応するターゲット領域は、検出領域であり、前記文字Cに対応するターゲット領域は、検出結果の制御領域である、請求項9に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項11】
前記文字Tに対応するターゲット領域は、線状である、請求項9に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項12】
前記識別した免疫結果は、文字Tに対応するターゲット領域によって取得されるものである、請求項9に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法。
【請求項13】
取得した免疫試薬カードの検出画像における検出文字及び識別コードを識別する取得識別モジュールと、
検出文字に基づいて対応するターゲット領域を形成し、ターゲット領域において、中央サブ領域を確定し、中央サブ領域のヒストグラム情報を計算する領域確定モジュールと、
中央サブ領域のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある場合、ターゲット領域において非均一領域を検出し、非均一領域を行ごとに走査し、輝度均一化係数に基づいて、走査線における各画素点の画素値に対して輝度均一化処理を行う均一化モジュールと、
輝度均一化処理後のターゲット領域の検出線の縁を識別し、ヒストグラム情報を計算する計算モジュールと、
階調統計閾値及び得られたヒストグラム情報に基づいて、略線形関係により、ターゲット領域の色度を確定し、また、検出文字に対応するターゲット領域の色度に基づいて、免疫試薬カードの自動識別の免疫結果を形成する結果識別モジュールと、
識別した免疫結果と該免疫試薬カードの識別コードに対応するシリアル番号をバインディングし、シリアル番号に基づいたユーザーのクエリ要求を受信する場合、該シリアル番号と共にバインディングした識別済みの免疫結果をユーザーに返す返送モジュールと、を含むことを特徴とする、免疫試薬カードの検出結果の自動識別装置。
【請求項14】
前記検出文字は文字Tであり、文字Tに対応するターゲット領域は検出領域であることを特徴とする、請求項13に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別装置。
【請求項15】
前記検出領域は、線状である、請求項14に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別装置。
【請求項16】
電子機器であって、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のプログラムを記憶するための記憶装置と、を含み、
前記1つ以上のプログラムが前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、請求項1~12のいずれか一項に記載の免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法を実行させることを特徴とする、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出分野に関し、特に免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナ感染症が持続的に世界的に流行し、人々の正常の生活と社会的及び経済的発展に深刻な影響を与えている。新型コロナ感染症の流行を阻止するために、大衆の病原体検出結果を観測する必要がある。集中免疫(抗原)検出の難しさが大きく、多くの人的・物的資源を動員する必要があるだけでなく、影響範囲も広く、集中検出は相互感染のリスクも伴っている。
【0003】
集中免疫検出の問題を解決するために、現在、個人検出用の免疫試薬カードを開発する。ユーザーは、自分で免疫試薬カードを使用して試験し、例えば、自宅での試験を行い、試験後、作業者は、免疫試薬カードを回収し、検出結果を確認する。この検出方法は、人が一か所に集まるという問題を解決するが、免疫試薬カードの回収と確認は、依然として重い作業量であり、人的・物的資源の消耗は大きくなっている。
【0004】
また、免疫試薬カードの検出結果は、現在、作業者の眼で観察するという方法で確認されるものであり、患者のウイルス含有量が低い場合、検出結果は非常に低い呈色度で弱い陽性を示す。人間の眼は、弱い陽性と陰性を区別しにくいため、誤り判断が発生しやすい。なお、感染症患者の自宅での自己検出が徐々に普及しているが、眼で検出結果を読み取る場合、検出者は専門家ではなく、検出領域に弱い線が現れた場合、オペレータはそれが真陽性か偽陽性かを区別することが困難であり、その結果、不確実性をもたらす。
【0005】
従って、オペレータの利便性を高め、読み取りの精度を確保するために、結果読み取り用の現在の方法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来技術の不足を補うために、免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器を提供する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法を提供し、それは、
取得した免疫試薬カードの検出画像における検出文字及び識別コードを識別するステップと、
検出文字に基づいて対応するターゲット領域を形成し、ターゲット領域において、中央サブ領域を確定し、中央サブ領域のヒストグラム情報を計算するステップと、
中央サブ領域のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある場合、ターゲット領域において非均一領域を検出し、非均一領域を行ごとに走査し、輝度均一化係数に基づいて、走査線における各画素点の画素値に対して輝度均一化処理を行うステップと、
輝度均一化処理後のターゲット領域の検出線の縁を識別し、ヒストグラム情報を計算するステップと、
階調統計閾値及び得られたヒストグラム情報に基づいて、略線形関係により、ターゲット領域の色度を確定し、また、検出文字に対応するターゲット領域の色度に基づいて、免疫試薬カードの自動識別の免疫結果を形成するステップと、
識別した免疫結果と該免疫試薬カードの識別コードに対応するシリアル番号をバインディングし、シリアル番号に基づいたユーザーのクエリ要求を受信する場合、該シリアル番号と共にバインディングした識別済みの免疫結果をユーザーに返すステップとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記ターゲット領域は、文字Tに対応する検出領域と文字Cに対応する検出結果の制御領域とを含み、検出領域は、サンプル中の分析対対象物質の量に応じて、異なる色度の線を示すことができる。文字Cに対応する検出結果の制御領域について、検出領域に色が示されるかどうかに関わらず、制御領域にも色が示される。制御領域に色が示されない場合、識別結果が無効であることを示す。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記識別した免疫結果は、サンプル中の分析対象物質の免疫試験結果である。いくつかの実施形態では、前記識別した免疫結果は、抗原の検出結果である。
【0010】
本発明の一実施例によれば、ターゲット領域において中央サブ領域を確定し、中央サブ領域のヒストグラム情報を計算するステップは、
ターゲット領域を中央サブ領域、及び中央サブ領域の両側に位置する複数の側面サブ領域に分けるステップであって、中央サブ領域の範囲は、履歴免疫試薬カードの非均一領域の検出境界に基づいて適応的に調整され、中央サブ領域の範囲は、全ての側面サブ領域の面積の和より大きいステップと、
中央サブ領域の検出線の縁を識別し、中央サブ領域のヒストグラムを取得するステップと、
ヒストグラムを統計し、ヒストグラム情報を取得するステップと、を含む。
【0011】
本発明の一実施例によれば、免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法は更に、
ユーザーがフィードバックした核酸検出結果に基づいて、核酸検出結果と識別した免疫結果が一致しない免疫試薬カードを取得して第1サンプルセットを形成するステップと、ターゲット領域の色度が階調統計閾値に近く、核酸検出結果と識別した免疫結果が一致する免疫試薬カードを取得して第2サンプルセットを形成するステップと、
免疫試薬カードの識別コードと非均一領域の検出過程において形成した均一化標識に基づいて、第1サンプルセットと第2サンプルセットを非均一サンプルセットと均一サンプルセットに分けるステップと、
第1サンプルセットの均一サンプルセットと第2サンプルセットの均一サンプルセットに基づいて階調統計閾値を最適化するステップと、
最適化した後の階調統計閾値、第1サンプルセットの非均一サンプルセット、第2サンプルセットの非均一サンプルセット及び輝度均一化処理後のターゲット領域の階調分散度に基づいて、輝度均一化係数を最適化するステップと、を含む。
【0012】
それは、抗原の検出結果が陽性の場合、通常、試験対象が核酸試験を行う必要があり、それによって抗原の検出が正確であるかどうかを更に確認する。ウイルスに感染した場合、抗原検出は最初のスクリーニングに過ぎない。検出結果が陽性の場合、一般的にウイルス核酸の確認検出が必要である。核酸検出は、確認検出であり、その検出の感度は、抗原検出の感度よりも高くなっている。従って、本発明の自動識別方法によって抗原検出結果が陽性であることを判断する場合、更なる核酸検出が必要であり、この場合、核酸検出結果は抗原検出結果と一致しない可能性がある。そのため、システムによって本発明の抗原検出結果の識別システム、特に閾値の値を最適化する。
【0013】
本明細書の核酸検出結果は、試験対象がシステムに主動に入力するものであってもよく、公的データベースから試験対象の核酸検出結果を抽出するものであってもよい。一般的に、本発明の抗原検出結果は、公的防疫システムなどのデータベースに自動的にアップロードされるものである。該オペレータが核酸検出を行うと、その核酸検出結果も公的防疫システムに入力される。従って、公的防疫システムから核酸検出結果を抽出することができ、更に、抗原検出の自動識別装置によって識別した免疫結果を校正又は最適化することを実現する。好ましくは、一般的に、24時間以内の核酸検出結果を選択し、抗原検出識別の階調統計閾値を最適化し、それによってデータの適時性を確保する。
【0014】
本発明の一実施例によれば、コンボリューショナルニューラルネットワークを用い、ターゲット領域内に非均一領域を検出し、輝度均一化を行い、また、第1サンプルセットと第2サンプルセットの非均一サンプルをコンボリューショナルニューラルネットワークの訓練サンプルセット内に拡張する。
【0015】
本発明の一実施例によれば、検出文字及び識別コードを識別した後、検出文字及び識別コードにおいてそれぞれ複数の特徴位置の座標を確定し、複数の特徴位置の座標に基づいて、アファイン変換を用い、免疫試薬カードが位置する画像領域を同じスケール内に変換し、また、各検出文字を基準として用い、所定の画素ウィンドウを伸ばし、該検出文字に対応するターゲット領域を形成する。
【0016】
本発明の一実施例によれば、現在の免疫試薬カードのアイデンティティを示す識別コードを識別した後、識別コードに対応するシリアル番号に基づいて、現在の免疫試薬カードを繰り返してアップロードするかどうかを判断し、それを繰り返してアップロードする場合、該免疫試薬カードの前回の識別結果が異常であるかどうかを判断し、そうである場合、該免疫試薬カードを再識別し、再識別結果と識別コードを対応するシリアル番号にバインディングする。
【0017】
本発明の一実施例によれば、免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法は更に、
ユーザーが撮影してアップロードした免疫試薬カードの検出画像を受信し、検出画像と免疫試薬カードのシリアル番号をバインディングした後、データベースのサーバに記憶するステップと、
複数の検出画像情報をキューの形でイントラネットラウンドロビン方式で複数の識別ノードに送信するステップであって、検出画像情報は、該免疫試薬カードの検出画像に対応する免疫試薬カードのシリアル番号を含むステップと、
受信した免疫試薬カードのシリアル番号に基づいて、識別ノードがデータベースのサーバをクエリし、該免疫試薬カードのシリアル番号に対応する検出画像を取得し、画像を識別して免疫試薬カードの識別結果を取得し、識別結果と現在の免疫試薬カードのシリアル番号をバインディングするステップと、を含む。
【0018】
本発明の一実施例によれば、複数の識別ノードが並べられ、各識別ノードの下位で複数の並べられた計算ノードが動的に拡張され、識別ノードは、ラウンドロビン方式で検出画像情報をその下位の複数の計算ノードに割り当てる。
【0019】
本発明の一実施例によれば、検出文字は、文字T又は文字Cを含む。
【0020】
本発明の一実施例によれば、文字Tに対応するターゲット領域は、検出領域であり、文字Cに対応するターゲット領域は、検出結果の制御領域である。
【0021】
本発明の一実施例によれば、文字Tに対応するターゲット領域は、線状である。
【0022】
本発明の一実施例によれば、識別した免疫結果は、文字Tに対応するターゲット領域によって取得されるものである。
【0023】
別の態様では、本発明は、免疫試薬カードの検出結果の自動識別装置を更に提供し、それは、取得識別モジュールと、領域確定モジュールと、均一化モジュールと、計算モジュールと、結果識別モジュールと、返送バックモジュールとを含む。取得識別モジュールは、取得した免疫試薬カードの検出画像における検出文字及び識別コードを識別する。領域確定モジュールは、検出文字に基づいて対応するターゲット領域を形成し、ターゲット領域において、中央サブ領域を確定し、中央サブ領域のヒストグラム情報を計算する。中央サブ領域のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある場合、均一化モジュールは、ターゲット領域において非均一領域を検出し、非均一領域を行ごとに走査し、輝度均一化係数に基づいて、走査線における各画素点の画素値に対して輝度均一化処理を行う。計算モジュールは、輝度均一化処理後のターゲット領域の検出線の縁を識別し、ヒストグラム情報を計算する。結果識別モジュールは、階調統計閾値及び得られたヒストグラム情報に基づいて、略線形関係により、ターゲット領域の色度を確定し、また、各検出文字に対応するターゲット領域の色度に基づいて、免疫試薬カードの自動識別の免疫結果を形成する。返送モジュールは、識別した免疫結果と該免疫試薬カードの識別コードに対応するシリアル番号をバインディングし、シリアル番号に基づいたユーザーのクエリ要求を受信する場合、該シリアル番号と共にバインディングした識別済みの免疫結果をユーザーに返す。
【0024】
本発明の一実施例によれば、検出文字は文字Tであり、文字Tに対応するターゲット領域は検出領域である。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記検出領域は、線状である。
【0026】
別の態様では、本発明は、電子機器を更に提供し、それは、1つ以上のプロセッサ及び記憶装置を含む。該記憶装置は、1つ以上のプログラムを記憶するために使用され、1つ以上のプログラムが1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、上記免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法を実行させる。
【0027】
要するに、本発明によって提供される免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器において、中央サブ領域のヒストグラム情報に基づいて、陰性及び強い陽性を迅速、正確に判断することを実現でき、更に識別速度を大幅に向上させる。中央サブ領域のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある場合(弱い陽性又は陰性の免疫試薬カード)、ターゲット領域に対して輝度均一化処理を行い、ユーザーが写真を撮ることによる輝度の非均一化はヒストグラム情報への干渉を補償し、識別精度を大幅に向上させ、識別精度と識別速度の点で、大規模な抗原検出の両指標要件を十分に満たすことができる。
【0028】
また、非均一領域の検出境界の中央サブ領域の最適化及び核酸検出結果の拡張する複数のタイプのサンプルセットが階調統計閾値と輝度均一化係数への最適化に基づいて、識別精度及び識別速度を更に向上させることができる。
【0029】
本発明の上記内容及び他の目的、特徴及び利点をより明確にするために、以下、好ましい実施例及び図面を参照しながら、それらをより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法の識別フロー図である。
図2図1におけるステップS30の具体的なフロー図を示す。
図3図1におけるステップS80の具体的なフロー図を示す。
図4】免疫試薬カードが位置する画像領域におおてターゲット領域と中央領域を確定する構造概略図を示す。
図5図4における部分Bの拡大図を示す。
図6】本発明の一実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の識別機器が識別した免疫試薬カードの検出画像を割り当てるネットワーク構成図を示す。
図7】本発明の一実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の自動識別装置の構造概略図を示す。
図8】本発明の一実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の識別機器の構造概略図を示す。
図9図4における免疫試薬カード内の検出試薬の構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<検出>
「検出」は、ある物質又は材料の有無について化学検査をし、又はある物質又は材料の有無を試験することを指し、例えば、化学物質、有機化合物、無機化合物、新陳代謝産物、薬物又は薬物代謝物、有機組織又は有機組織の代謝物、抗原、蛋白質又はポリマを含むが、それらに限定されない。また、「検出」は、物質又は材料の量を試験すること指す。更に、「化学検査」は、免疫検出、化学検出、酵素検出などを指す。本明細書で使用される免疫試薬カードは、免疫法で試験するものであり、いわゆる免疫法は、抗体が抗原に結合する方法に基づいたものである。本明細書で使用される免疫試験法は、一般的に、サンプル中の抗原又は小化学分子を検出するものであり、核酸検出法は、一般的に、核酸コピー数を検出するものである。
【0032】
例えば、ウイルスを検出する場合、免疫法で抗原を検出することができ、核酸法でウイルスコピー数を検出することができる。一般的に、核酸検出の感度は、抗原検出の感度よりも高くなっている。
【0033】
<サンプル>
本発明の検出装置が検出できるサンプル又は収集器が収集できるサンプル又は試料は、生物学的液体(例えば、症例の液体又は臨床サンプル)を含む。それは、任意の液体サンプル又は流体サンプルであり得、排泄物、生物学的組織、食品サンプルなど、固体又は半固体のサンプルから採取できる。任意の適切な方法で固体又は半固体のサンプルを液体サンプルに変換することができ、それは、例えば、混合、スタンプ粉砕、浸軟、培養、溶解、又は適切な溶液(例えば、リン酸塩溶液又は他の緩衝液)に酵素分解作用で固体サンプルを消化することである。「生物学的サンプル」は、動物、植物及び食品サンプルを含み、例えば、ヒト又は動物の尿、唾液、血液及びその成分、脊髄液、膣分泌物、精子、糞便、汗、分泌物、組織、臓器、腫瘍、組織及び臓器培養物、細胞培養物及び媒体を含む。好ましい生物学的サンプルは尿であり、好ましくは、生物学的サンプルは、唾液、痰、鼻分泌物などである。「食品サンプル」は、食品加工用の物質、完成品、チーズ、酒、牛乳及び飲み水を含む。「植物サンプル」は、任意の植物、植物組織、植物細胞培養物及び媒体を含む。「環境サンプル」は、環境から採取されもの(例えば、湖又は他の水体からの液体サンプル、汚水サンプル、土壌サンプル、地下水、海水及び廃液サンプル)である。「環境サンプル」は、汚水又は他の廃水を含み得る。
【0034】
本発明の適切な免疫検出素子又は免疫試験素子を利用し、任意の分析対象物を検出することができる。好ましくは、本発明を利用して唾液、尿中の薬物小分子を検出する。好ましくは、唾液、喉又は鼻の流体におけるウイルス、細菌などの小分子物質、例えば、抗原又は抗原フラグメントを検出できる。更に、収集器を利用し、液体又は液体サンプルが吸収素子によって吸収され得る限り、最初は固体であろうと液体であろうと、上記の任意形態のサンプルを収集ことができ、吸収素子は、一般的に収集器に位置する。本明細書で使用される吸収素子は一般的に吸水性材料で製造され、最初は乾燥し、吸収素子の材料の毛管又は他の特性により、液体サンプル又は流体サンプルを吸収でき、それによって流体サンプルを吸収素子に保持する。吸収材料は、液体を吸収できる任意の材料、例えば、スポンジ、濾過紙、ポリエステル繊維、ゲル、不織布、綿、ポリエステル薄膜、糸、植毛などであり得る。植毛綿棒を用いる場合、US8,114,027,US 8,317,728,US 8,979,784,US 9,011,358,US 9,173,779,US 10,327,741,AU 2004226798,JP 4579902,ZL 200610099310.9に記載の植毛綿棒を用いて流体サンプルを本発明の一部として収集することができる。いくつかの実施形態では、該吸収素子は乾燥する場合で硬質であり、それは例えば、スポンジであり、湿潤の場合で柔軟になり、柔軟になった後に圧縮され、それによって液体を放出し、当然ながら、疎らなスポンジの場合、例えば、スポンジ綿棒の場合、液体サンプルを吸収でき、これらの液体サンプルの吸収量は非常に少なく、それは、例えば5~100μlであり、例えば、2022年1月19日に出願された米国仮特許出願第63/300,811号に記載のスポンジ綿棒は、収集器の1つの具体的な実施例として本発明に使用され得る。
【0035】
当然ながら、吸収性材料は吸水性を有する材料で製造されなくてもよく、非吸水性材料で製造されてもよいが、吸収素子は孔、ねじ山、穴を有し、これらの構造でサンプルを収集することができ、これらのサンプルは一般的に固体又は半固体サンプルであり、これらのサンプルは、ねじ山の間、穴又は孔に充填され、サンプルを収集する。当然ながら、選択可能では、吸収素子は、いくつかの非吸水性繊維、毛髪で構成され、これらの材料で固体、半固体又は液体サンプルを掻取する場合、これらのサンプルを吸収素子に保持することができる。
【0036】
<下流及び上流>
下流及び上流は液体の流れ方向に応じて分けられ、一般的に、液体又は流体は上流から下流領域まで流れる。下流領域に位置して上流領域からの液体を受け、液体も上流領域に沿って下流領域まで流れることができる。ここで、一般的に、液体の流れ方向に応じて分けられ、例えば、毛管力を利用して液体の流れを促進するいくつかの材料に、液体は重力を克服して重力の反対方向へ流れることができ、この場合、液体の流れ方向に応じて上流及び下流を分ける。例えば、図9に示すように、本発明に記載の試験素子は、上流から下流まで、サンプルを注入するサンプル注入領域21と、マーカー領域22と、検出領域23と、制御領域24と、吸収領域とを有し、サンプル注入領域21は、マーカー領域22の上流に位置し、検出領域23は、マーカー領域22の下流に位置し、制御領域24は、検出領域23の下流に位置し、吸収領域は、制御領域24の下流に位置する。一般的に、流体は、試験素子の流れ方向に沿って、上流から下流まで流れるものである。本発明の具体的な実施形態では、免疫試薬カードが垂直になった場合、流体サンプルがサンプル注入領域と接触する場合、毛管作用力によって液体がサンプルの重力を克服して下から上へ流れ、即ち、上流から下流へ流れ、このように、液体サンプルはマーカー領域22を流れ、次に検出領域23に流れ、続いて制御領域24に達し、最後に吸水領域に流れる。
【0037】
<気体連通又は液体連通>
気体連通又は液体連通は、液体又は気体が1つの場所から他の1つの場所へ流れることができ、流れ過程においてガイド作用を果たす物理的構造を経ることを指す。いわゆる「物理的構造を経る」は、これらの物理的構造の表面、又はこれらの構造の内部空間を経て他の1つの場所に受動又は主動にガイドされることを指し、ここで、受動は、一般的に、毛管作用での流れ、気圧作用などの外力による流れである。本明細書で使用される「流れ」は、液体又は気体が自身の作用(重力又は圧力)であてもよく、受動の流れであってもよく、気圧作用の流体は、順方向の流れであってもよく、逆方向の流れであってもよく、気圧作用で流体が1つの位置から他の1つの位置へ流れるように促すことであってもよい。本明細書で使用される「連通」は、液体及び気体の存在を意味することではなく、場合によっては2つの物体間の接続関係又は状態を示すだけであり、液体が存在する場合、1つの物体から他の1つの物体へ流れることができる。本明細書では、2つの物体の接続状態を指し、逆に、2つの物体の間には気体連通又は液体連通状態がなく、液体が1つの物体中又はその上にある場合、液体は他の1つの物体中又はその上に流れることができず、この状態は非連通、非液体又は気体連通状態である。
【0038】
<試験素子>
本発明では、例えば、図4に示された免疫試薬カードは、一般的に、外部のハウジングと、ハウジングに埋め込まれた試験素子とを含む。ハウジングは、液体サンプルを滴下するためのサンプル注入孔11と、試験結果を読み取るための検出ウィンドウとを含み、試験素子に対して、試験結果を読み取るための検出ウィンドウは、試験素子の検出領域23及び制御領域24に対応し、液体を滴下するためのサンプル注入孔11は、試験素子のサンプル注入領域21に対応する。いわゆる「免疫試験素子」は、サンプル又は試料には興味のある分析対象物質が含まれるかどうかを検出するための素子を指し、この検出は、免疫学、化学、電気学、光学、分子、抗原、物理学などの任意の技術的原理を基とすることができる。試験素子は、ラテラルフローの検出用試験紙を選択でき、それは数種の分析対象物質を検出できる。もちろん、他の適切な試験素子も本発明で使用することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される試験素子又は試験素子を有する免疫試薬カードは、免疫原に基づいてサンプル中の分析対象物質を検出するものである。
【0040】
各種の試験素子を組み合わせて本発明で使用することができる。1つの形態は、試験紙又はラテラルフロー用試験紙である。サンプル中の分析対象物(例えば、違法薬物又は病状を示す代謝物)を分析するための検出用試験紙は、免疫測定又は化学分析などの各種の形態であり得る。検出用試験紙は、非競合モード又は競合モードで分析できる。一般的に、検出用試験紙は、サンプル注入領域を備えた吸水性材料、試薬領域及び試験領域を含む。流体又は液体サンプルをサンプル注入領域に注入し、毛管作用で試薬領域に流れ込む。試薬領域において、分析対象物質がある場合、サンプルは試薬に結合する。次に、サンプルは、試験領域に流れ込む。分析対象物に特異的に結合する分子などの他の試薬は、検出領域に固定化される。これらの試薬は、サンプル中の分析対象物(存在する場合)と反応して該領域の分析対象物に結合するか、試薬領域の試薬の1つに結合する。検出シグナルを表示するためのマーカーは、試薬領域又は別のマーカー領域に存在する。
【0041】
典型的な非競合分析モードでは、サンプルには分析対象物が含まれる場合、シグナルを生成し、分析対象物が含まれない場合、シグナルを生成しない。競合モードでは、サンプルには分析対象物が含まれない場合、シグナルを生成し、分析物が含まれる場合、シグナルを生成しない。
【0042】
試験素子は、検出用試験紙であってもよく、吸水性又は非吸水性材料を選択することができる。検出用試験紙は、液体サンプルを輸送するための数種の材料を含み得る。そのうち1種の検出用試験紙の材料は、別の種類の材料に被覆することができ、例えば、濾過紙はニトロセルロースフィルター膜に被覆することができる。検出用試験紙の1つの領域は、1種以上の材料を選択することができ、他の1つの領域は、他の異なる1種以上の材料を選択することができる。検出用試験紙をつまむ強度を向上させるために、検出用試験紙をある支持物又は硬い表面に粘着させることができる。
【0043】
シグナル生成システムによって分析対象物を検出し、例えば、本分析対象物と特異反応が発生する1種以上の酵素、前述するように特異的結合物質を検出用試験紙に固定化する方法を利用し、1種以上のシグナル生成システムの合わせ物を検出用試験紙の分析対象物の検出領域に固定化する。シグナルを生成する物質は、サンプル注入領域、試薬領域、若しくは検出領域、又は検出用試験紙全体にあることができ、該物質は、検出用試験紙の1種以上の材料に十分に流れ込むことができる。シグナル物質を含有する溶液を試験紙の表面に添加し、又は試験紙の1種以上の材料をシグナル物質を含有する溶液に浸す。シグナル物質を含有する溶液が添加された試験紙を乾燥させる。本明細書で使用されるシグナル物質は、一般的に、検出線又は構造制御領域によって示され、色の濃淡及び色度の強弱を有する。
【0044】
検出用試験紙の各領域は、サンプル注入領域21、試薬領域、検出領域23、制御領域24、サンプル不純化の検査領域、液体サンプル吸収領域という順序に応じて並べられる。制御領域24は、検出領域23の後に位置する。全ての領域は、1種の材料のみを使用する1つの試験紙に配置されてもよい。異なる領域は異なる材料を使用してもよい。各領域は液体サンプルに直接接触することができ、又は異なる領域は液体サンプルの流れ方向に応じて並べられ、各領域の末端と他の1つの領域の前端を接続し且つ重ねる。使用した材料は、濾過紙、ガラス繊維、ニトロセルロースフィルター膜など、吸水性に優れた材料であってもよい。検出用試験紙は他の形態を使用することができる。
【0045】
一般的に、通常の試薬ストリップは、ニトロセルロースフィルター膜の試薬ストリップであり、即ち、検出領域はニトロセルロースフィルター膜(NC)を含み、ニトロセルロースフィルター膜に特異的結合分子を固定化することによって検出結果を示し、また、セルロースアセテート膜又はナイロン膜などであってもよい。例えば、以下の特許出願は試薬ストリップ又は試薬ストリップを備えた装置を説明する。US 4857453、US 5073484、US 5119831、US 5185127、US 5275785、US 5416000、US 5504013、US 5602040、US 5622871、US 5654162、US 5656503、US 5686315、US 5766961、US 5770460、US 5916815、US 5976895、US 6248598、US 6140136、US 6187269、US 6187598、US 6228660、US 6235241、US 6306642、US 6352862、US 6372515、US 6379620及びUS 6403383。以上の特許出願によって開示された試験ストリップ及び試験ストリップを備えた同様の装置は、サンプル中の分析対象物質の検出などの分析対象物質の検出を行うために、いずれも本発明の試験素子に適用できる。
【0046】
本発明が使用した検出用試薬ストリップは、通常のラテラルフロー用試薬ストリップ(Lateral flow test strip)であってもよく、これらの検出用試薬ストリップの具体的な構造及び検出原理は、従来技術の当業者によく知られている。通常の検出用試験紙(図9)は、サンプル採取領域又はサンプル注入領域21、マーカー領域22、検出領域23、制御領域24及び吸水領域を含み、サンプル注入領域21は、サンプル受取パッドを含み、マーカー領域はマーカーパッドを含み、吸水領域は吸水パッドを含み、ここで、検出領域は、免疫試薬又は酵素化学試薬など、分析対象物質が含まれるかどうかを検出するための必要な化学物質を含む。一般的に、通常の検出用試薬ストリップは、ニトロセルロースフィルター膜の試薬ストリップであり、即ち、検出領域23はニトロセルロースフィルター膜を含み、ニトロセルロースフィルター膜に特異的結合分子を固定化することによって検出結果を示し、また、セルロースアセテート膜又はナイロン膜などであってもよく、もちろん、検出領域の下流は、検出結果の制御領域24を更に含む。通常、制御領域24及び検出領域23は、検出線又は制御線などの横線の形態である。このような検出用試薬ストリップは、従来の試薬ストリップであり、当然ながら、毛管作用を利用して検出する別の種類の試薬ストリップであってもよい。また、一般的な検出用試薬ストリップには、固定化された抗体や他の試薬などの乾燥した化学試薬成分を有し、液体があれば、液体は毛管作用で試薬ストリップに沿って流れ、その流れで、乾燥した試薬成分が液体に溶解し、従って、該領域における乾燥した試薬の反応を次の領域で処理し、必要な検出を行う。液体の流れは主に毛管作用で行われる。ここでは、それらはいずれも、本発明の検出装置に適用でき、又は液体サンプルと接触するための検出キャビティに配置され、又は検出キャビティに入った液体サンプル中の分析対象物質の有無又はその量を検出するために使用される。
【0047】
上記の試験ストリップ又はラテラルフロー用試験ストリップ自体を使用して液体サンプルに接触させ、液体サンプルには分析物が含まれるかどうかを試験することを除いて、本発明の試験素子自体は、サンプル中の分析対象物質を検出するための検出装置として使用することができるので、ここでの検出装置自体は、試験素子と同等である。例えば、流体サンプルと処理液を混合した後、試験素子で直接検出する。以下の具体的な説明では、受取装置が流体サンプルを処理する場合、試験素子は検出に独立して使用できる。
【0048】
<分析対象物質>
本発明による分析対象物質の例は、いくつかの低分子物質を含み、これらの低分子は、違法薬物(例えば、薬物乱用)を含む。「薬物乱用(DOA)」は、非医療目的での薬物の使用を指す(通常、神経を麻痺させるように作用する)。これらの薬物の乱用は、身体的及び精神的な損傷、強迫的な使用、依存症、及び/又は死につながる可能性がある。薬物乱用の例は、コカイン、アンフェタミンAMP(例えば、黒美人、白いアンフェタミン錠剤、右旋性アンフェタミン、デキストロアンフェタミン錠剤、Beans)、メタンフェタミンMET(crank、ヒロポン、crystal、speed)、バルビツール酸塩BAR(例えば、Valium、Roche Pharmaceuticals、Nutley、New Jersey)、鎮静薬(睡眠薬として利用される)、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、抑制剤(downers、goofballs、barbs、blue devils、yellow jackets、メタカロン)、三環系抗うつ薬(TCA、即ち、イミプラミン、アミトリプチリン、ドクサピン)、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミンMDMA、フェンサイクリジン(PCP)、テトラヒドロカンナビノール(THC、pot、dope、hash、weedなど)、アヘン剤(即ち、モルヒネMOP、又はアヘン、コカインCOC、ヘロイン、オキシコドン)、抗不安薬及び鎮静催眠薬を含み、抗不安薬は、主に不安、緊張、恐怖を軽減し、感情を安定させ、催眠及び鎮静効果を果たす薬物で、ベンゾジアゼピンBZO(benzodiazepines)、非定型BZ系薬、融合ジアゼピンNB23C系薬、ベンゾジアゼピン系薬、BZ受容体のリガンド系薬、開環BZ系薬、ジフェニルメタン誘導体、ピペラジンカルボキシレート系薬、ピペリジンカルボキシレート系薬、キナゾリノン系薬、チアジン及びチアゾール誘導体、他のヘテロ環系薬、イミダゾール系の鎮静・鎮痛剤(例えば、オキシコドンOXY、メタドンMTD)、プロピレングリコール誘導体(ウレタン系薬)、脂肪族化合物、アントラセン誘導体を含む。本発明の検出装置は、三環系抗うつ薬(イミプラミン又は類似物)及びアセトアミノフェンなど、医療用途に属するが服用しやすい薬物の過剰摂取の検出にも使用できる。これらの薬物は、人体に吸収された後、代謝されて低分子物質になり、これらの低分子物質は、血液、尿、唾液、汗などの体液に含まれ、又は体液の一部に上記低分子物質が含まれる。
【0049】
例えば、本発明で検出された分析対象物は、クレアチニン、ビリルビン、亜硝酸塩、蛋白質(非特異的)、ホルモン(例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、プロゲステロン、卵胞成熟ホルモンなど)、血液、白血球、糖、重金属又は毒素、細菌物質(例えば、特異的細菌に対する蛋白質及び糖質など、大腸菌0157:H7、ブドウ状球菌、サルモネラ菌、クロストリジウム属、カンピロバクター属、L.monocytogenes、ビブリオ属、又はセレウス菌)、及び尿サンプル中のpHや比重などの生理学的特性に関連する物質を含むが、それらに限定されない。他の任意の臨床的尿化学分析は、いずれもラテラルフロー検出手段と本発明の装置との組み合わせによって検出することができる。いくつかの実施形態では、受け入れ装置に収容された処理液は分析対象物質を含まない。
【0050】
以下の実施形態は、例として本発明を実施する方法を説明するためにのみ使用され、これらの説明は本発明を更に限定するものではなく、本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって限定される。
【0051】
免疫試薬カードに基づいた免疫検出は、人が一か所に集まるという問題を解決するが、弱い陽性が免疫試薬カードでの色度は低く、大規模な検出は、免疫試薬カードの数が非常に大きく、肉眼識別方法を使用する場合、弱い陽性の誤り判断が発生しやすく、作業量が非常に重く、識別速度が低く、免疫試薬カードが大規模な抗原での適用を大幅に制限する。それに鑑み、本実施例は、自動識別の精度が高く、速度が高い免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器を提供する。
【0052】
簡単に言えば、写真撮影の方式で検出ウィンドウ内の検出領域と制御領域の結果の写真を撮り、次に内部計算を使用して試験結果を自動的に識別する。本明細書で使用される写真撮影は、現在、携帯電話又はタブレットの写真撮影機能を利用して写真を撮るものであり、試験結果は主に、免疫法で試験することによって得られた結果である。
【0053】
図1に示すように、本実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法は、取得した免疫試薬カードの検出画像における検出文字及び識別コードを識別するステップS10と、検出文字に基づいて対応するターゲット領域を形成し、ターゲット領域において、中央サブ領域を確定し、中央サブ領域のヒストグラム情報を計算するステップS30と、中央サブ領域のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある場合、ターゲット領域において非均一領域を検出し、非均一領域を行ごとに走査し、輝度均一化係数に基づいて、走査線における各画素点の画素値に対して輝度均一化処理を行うステップS40と、輝度均一化処理後のターゲット領域の検出線の縁を識別し、ヒストグラム情報を計算するステップS50と、階調統計閾値及び得られたヒストグラム情報に基づいて、略線形関係により、ターゲット領域の色度を確定し、また、各検出文字に対応するターゲット領域の色度に基づいて、免疫試薬カードの自動識別の免疫結果を形成するステップS60と、免疫試薬カードの識別の免疫結果と該免疫試薬カードの識別コードに対応するシリアル番号をバインディングし、シリアル番号に基づいたユーザーのクエリ要求を受信する場合、該シリアル番号と共にバインディングした識別済みの免疫結果をユーザーに返すステップS70とを含む。
【0054】
以下、図1図9に示すように、本実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法を詳細に説明する。
【0055】
免疫試薬カードの製造方法は以下のとおりである。
本実施例によって製造された免疫法で新型コロナウイルスを検出する免疫試薬カードは、図4及び図9に示され、それは、検出用試験紙(図9)と、検出用試験紙を含有するハウジング(図4)とを含む。液体の流れ方向に沿って、上流から下流まで、検出用試験紙にサンプル注入領域21、マーカー領域22、検出領域23、制御領域24及び吸水領域が順次分布する。ハウジング1におけるサンプル注入孔11は、サンプル注入領域21に位置する。検出領域23及び制御領域24は、ハウジング1におけるウィンドウ12から露出する。吸水領域は、一般的な吸水濾過紙を吸水パッドとして使用することで製造される。サンプル注入領域21はサンプル注入パッドを用い、サンプル注入パッドの材料はガラス繊維であり、このように、サンプル注入孔11からのサンプルはガラス繊維に流れ、次にサンプルと混合してマーカーパッドに流れ込み、マーカー領域22をマーカーパッドとして製造し、マーカー粒子(例えば、金色粒子、ラテックス粒子若しくは染料、又は他の色付けのマーカー物質)にカップリングされた抗原又は抗体を含み、次に、スプレー装置により、マーカー混合物をポリエステル膜にスプレーし、マーカーパッドとして製造し、マーカーパッドにおけるマーカー物質は液体の流れにつれて流れ、検出領域23及び制御領域24はニトロセルロース膜を用い、緩衝溶液PBSで検出線の抗体又は抗原を溶解し、次にドット膜装置を利用してニトロセルロース膜に線を引き、異なる抗体間の距離を3~8mmにさせ、次にニトロセルロース膜をオーブンに入れて乾燥させ、使用に備え、膜に処理された抗体、抗原又は他の結合物質は一般的に移動しない。
【0056】
吸水領域、サンプル注入領域、マーカー領域、検出領域及び制御領域の製造をそれぞれ完了させた後、組み立て、サンプル注入パッドの一端をマーカーパッドの一端に重ね、マーカーパッドの他端をニトロセルロース膜に重ね、吸水濾過紙を制御線の一端のニトロセルロース膜に重ね、このように、検出用試験紙を形成し、次に免疫試薬カードのハウジング内に組み立てる(図4)。ここで、免疫試薬カードのハウジングにおけるサンプル注入孔11は、サンプル注入パッドに対応し、ニトロセルロース膜は、ハウジングにおける検出ウィンドウ12に対応する。免疫試薬カードには、検出文字T又はCを有し、文字Tに対応する領域は、検出領域であり、検出領域の色度を読み取ることによって陽性結果又は陰性結果を判断する。検出領域に色付けの線が現れる場合、一般的には陽性であり、色がない場合、陰性である。この場合、文字Cに対応する制御領域には、ずっと色があり、文字Cに対応する制御領域には色がない場合、検出結果が無効であることを示す。
【0057】
本実施例によって提供される免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法におけるステップS10の免疫試薬カードの検出画像は、ユーザーが自分で検出して写真を撮った後、インテリジェント端末内のアプリケーションによってアップロードするものである。前記インテリジェント端末は、携帯電話又はタブレットであってもよく、アプリケーションは、ウィーチャットアプレット、アリペイアプレット又は浙里弁などのサードパーティアプリケーションであってもよい。
【0058】
ユーザーがアップロードした免疫試薬カードの検出画像を取得した後、ステップS10を実行する。該ステップは、免疫試薬カードの検出画像に対して二値化処理を行い、検出画像内の免疫試薬カードの位置を確定するステップを含む。OCR文字によって免疫試薬カードにおける検出文字及び識別コードを識別する。本実施例では、検出文字は、文字T及び/又は文字Cを含み、好ましくは、文字Tである。識別コードは、該免疫試薬カードのアイデンティティを示し、各標識は、1つの免疫試薬カードのシリアル番号に対応し、前記識別コードは、二次元コードである。しかし、本発明は、これに限定するものではない。他の実施例では、前記二次元コードは、バーコードであてもよい。
【0059】
検出文字T及び/又はCを識別した後、ステップS30を実行し、各検出文字に対応するターゲット領域を確定し、該ターゲット領域内に毎画素の統計方法でヒストグラム情報を計算する。毎画素の統計方法でターゲット領域内の各画素点の階調値を精確に統計し、識別精度を向上させることができ、ターゲット領域を確定すれば、計算範囲を大幅に低減させ、検出線を迅速に正確に識別することを実現する。
【0060】
該ステップは、ステップS301を含み、検出文字及び識別コードにおいて複数の特徴位置の座標を確定し、複数の特徴位置の座標に基づいて、アファイン変換を用い、免疫試薬カードが位置する画像領域を同じスケール内に変換するステップを含む。異なるユーザーの撮影角度が異なり、撮った画像のサイズも異なり、ターゲット領域の確定を実現するために、本実施例は、アファイン変換を用い、免疫試薬カードが位置する画像領域を同じスケールに変換する。図4及び図5に示すように、複数の特徴位置は、検出文字Cの下縁の中点(例えば、図5における文字Cの下縁の円点の位置)、検出文字Tの下縁の中点及び二次元コードにおける任意の2つの四角いブロックの4つの隅点である。6つの特徴位置の座標に基づいて、アファイン変換方程式を求め、それによってスケール変換を行う。
【数1】
【0061】
ここで、sはスケール変換ファクタであり、(x’,y’)は免疫試薬カードが位置する画像領域内の(x,y)点の変換位置である。
【0062】
ステップS302では、スケール変換を行った後、検出文字を基準として、所定の画素ウィンドウを伸ばして該検出文字に対応するターゲット領域を形成し、即ち、文字T及びCはそれぞれターゲット領域Aに対応する。前記所定の画素ウィンドウは、長方形のウィンドウであり、長方形のウィンドウの2つの長辺は、対応する文字の2つの境界点の位置する接線であり、長方形のウィンドウの上短辺は、対応する検出文字の上縁点であり、下短辺は、検出ウィンドウ12内の検出用試験紙2の下縁に伸びる。しかし、本発明は、これに限定するものではない。検出用試験紙における検出領域を含む他の所定の画素ウィンドウの形状はいずれも本発明の保護範囲に属する。
【0063】
検出用試験紙2は、免疫試薬カードのハウジング1における検出ウィンドウ12内に埋め込まれるため、ユーザーの撮影角度、光源、免疫試薬カードの検出ウィンドウの縁の投影の影響を受けて、検出用試験紙2に陰影又はハイライト領域が現れやすくなり、その結果、ターゲット領域、特に免疫試薬カードの検出のウィンドウの縁12に近い領域内の輝度が均一ではないことをもたらし、また、ハイライト又は陰影領域は、検出線の縁の識別に深刻な影響を与える。従って、本実施例は、輝度が均一ではない領域に対して毎画素の輝度均一化処理を行うことによって縁の識別効果を向上させる。しかし、大規模な抗原検出にとって、毎画素の輝度均一化処理は、識別速度を低下させ、コンピュータ機器の性能に対する要件も非常に高い。
【0064】
大量の免疫試薬カードの検出画像を分析することにより、中程度の陽性及び強い陽性の検出線全体は、比較的強い色度を有し、大量の陰性にとって、その検出領域の中部色度は0に近いことを分かる。それに鑑み、本実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法により、ステップS30では、ターゲット領域A内に中央サブ領域A1を確定し、中央サブ領域A1内のヒストグラム情報に基づいて、陰性、中程度の陽性及び強い陽性を迅速に識別する。具合的には、ステップS20は、
ターゲット領域Aを中央サブ領域A1と中央サブ領域の両側に位置する2つの側面サブ領域A21、A22に分けるステップS303であって、中央サブ領域A1の範囲は、履歴免疫試薬カードの非均一領域の検出境界(ステップS401)に基づいて適応的に調整され、前記中央サブ領域A1の範囲は、全ての側面サブ領域の面積の和より大きいステップS303と、
中央サブ領域A1の検出線の縁を識別し、中央サブ領域のヒストグラムを取得し、中央サブ領域A1のヒストグラム情報を計算するステップS304と、
中央サブ領域A1のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にあるかどうかを判断するステップS305であって、そうである場合、ステップS40を実行し、そうではない場合、ステップ306を実行し、中央サブ領域A1のヒストグラム情報に基づいて、陰性、中程度の陽性及び強い陽性の免疫識別結果を出力し、その後、ステップS70を実行し、中央サブ領域A1のヒストグラム情報が最小階調統計閾値より小さい場合、現在の免疫試薬カードの検出画像が陰性であることを判定し、中央サブ領域A1のヒストグラム情報が最大階調統計閾値より大きい場合、現在の免疫試薬カードの検出画像が陽性であることを判定するステップS305と、を含む。
【0065】
大量のサンプル試験により、中央サブ領域A1に基づいた陰性、中程度の陽性及び強い陽性の識別精度は、90%以上に達する。識別速度の面では、中央サブ領域A1内には、照度ムラの影響が小さく、中程度の陽性及び強い陽性の検出線の境界の階調勾配が大きく変化し、そのため、検出線の縁の識別速度は非常に高く、識別速度を大幅に向上させ、陰性、中程度の陽性及び強い陽性画像を迅速に識別することを実現する。
【0066】
免疫試薬カードの検出画像に基づいて免疫結果を識別する過程において、弱い陽性の検出線の呈色度は低く、照度ムラは、識別精度に深刻な影響を与える。従って、中央サブ領域A1のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある免疫試薬カードの検出画像に対して、ステップS40を実行し、ターゲット領域において非均一領域を検出し、非均一領域を行ごとに走査し、輝度均一化係数に基づいて、走査線における各画素点の画素値に対して輝度均一化処理を行う。
【0067】
ステップS401では、ターゲット領域A内に非均一領域を検出する。画素点(x,y)を中心としてのスライドウィンドウA(x,y)内の各画素点の階調値分散を計算し、階調値分散に基づいて該スライドウィンドウが位置する領域は非均一領域であるかどうかを判断する。ここで、階調値分散が大きければ大きいほど、該スライドウィンドウ内の階調値の変化が強くなる。ステップS402では、非均一領域を行ごとに走査し、以下の公式に基づいて、走査線における各画素点に対して輝度均一化処理を行う。
【数2】
【0068】
ここで、I(x,y)は非均一領域内の(x,y)箇所の画素階調値を表し、μは(x,y)を中心としてのスライドウィンドウ内の全ての画素の階調平均値を表し、σはウィンドウ内の全ての画素の分散を表し、
【数3】
はσの分散であり、αはσが0にあることを防止する場合の値であり、一般的に、その値が0.1であり、I* (x,y)は輝度均一化処理後の(x,y)箇所の画素階調値であり、βは輝度均一化係数であり、その値の範囲は0~255であり、以下の限定条件を満たす。
【数4】
【0069】
非均一領域に対して輝度均一化処理を行った後、ステップS50を実行し、輝度均一化処理後のターゲット領域の検出線の縁を識別し、ヒストグラム情報を計算する。階調統計閾値及び得られたヒストグラム情報に基づいて、略線形関係により、ターゲット領域の色度を確定する。具体的には、得られたヒストグラム情報が階調統計閾値Kより小さい場合、該ターゲット領域内に検出線が形成されないと見なされ、得られたヒストグラム情報が階調統計閾値Kの以上である場合、該ターゲット領域内に検出線が形成されたと見なされる。
【0070】
各検出文字の対応するターゲット領域の色度に基づいて、自動的に識別する免疫結果を形成する(ステップS60)。陰性に対して、文字Cに対応するターゲット領域のみに検出があり、文字Tに対応するターゲット領域内に検出線が形成されず、陽性に対して、文字C及び文字Tに対応する領域内にも検出線が形成される。そのため、ステップS50に基づいて、文字C及び文字Tに対応するターゲット領域の色度に対して、陰性又は陽性の免疫試薬カードの識別の免疫結果を出力する。
【0071】
最後に、ステップS70を実行する。免疫試薬カードの識別の免疫結果と該免疫試薬カードの識別コードに対応するシリアル番号をバインディングし、ユーザーがウィーチャットアプレット、アリペイアプレットなどのサードパーティアプリケーションによって免疫試薬カードのシリアル番号に基づいたクエリ要求を送信する場合、該シリアル番号に対応する免疫結果をユーザーに返す。
【0072】
1000個の免疫試薬カードの検出画像サンプルをランダムに選択して試験サンプルセットを形成し、該試験サンプルセットを、本実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法を実行する装置内に出力して識別し、識別速度を統計し、各サンプルの核酸検出結果を参照しながら、精度検証を行い、具体的なデータは以下の表に示される。
【表1】
【0073】
ここで、深層学習に基づいた104個の弱い陽性サンプルと輝度均一化補償に基づいた104個弱い陽性サンプルは同じサンプルである。
【0074】
該データ表から分かるように、中央領域に基づいた陰性サンプル、中程度の陽性及び強い陽性サンプルは、識別精度が高く、識別速度が非常に高い。輝度均一化補償に基づいた弱い陽性サンプルと陰性サンプルの識別率も80%以上に達し、特に弱い陽性サンプルの識別精度は、深層学習に基づいた弱い陽性サンプルの識別精度よりはるか高い。深層学習に基づいた識別方法は、初期研究開発段階で形成された識別方法であり、しかし、弱い陽性と陰性の特徴パラメータが近いため、深層学習が適合した後、多くの弱い陽性と陰性サンプルの得点が非常に近く、その結果、得点閾値によって区別することができない。従って、その識別効果は理想的ではなく、上記表において、輝度均一化補償に基づいた弱い陽性サンプルの識別対照群として使用される。
【0075】
中央領域A1に基づいた陰性、中程度の陽性及び強い陽性の識別は、中央領域A1の範囲に依存し、実施例では、中央領域A1は、ステップS401における非均一領域の検出境界に基づいて徐々に最適化し、識別精度を更に向上させる。また、弱い陽性の識別精度を更に向上させるために、本実施例では、免疫試薬カードの検出結果(抗原検出結果)の識別方法は更にステップS80を含み、核酸検出結果に基づいて階調統計閾値Kと輝度均一化係数βを最適化する。該ステップは、
ユーザーがフィードバックした核酸検出結果に基づいて、核酸検出結果と識別した免疫結果(抗原結果)が一致しない免疫試薬カードを取得して第1サンプルセットを形成するステップと、ターゲット領域の色度が階調統計閾値に近く、核酸検出結果と識別した免疫結果が一致する免疫試薬カードを第2サンプルセットとして取得するステップS801と、
免疫試薬カードの識別コードと非均一領域の検出過程において形成した均一化標識に基づいて、第1サンプルセットと第2サンプルセットを均一サンプルセットと非均一サンプルセットに分けるステップS802であって、ステップS40を用いてターゲット検出領域の輝度均一化処理を行うサンプルに対して、システムは均一化標識を生成し、識別して計算する場合、マーカー位置を均一化標識として使用し、例えば、マーカー位置が1である場合、該サンプルに対して均一化処理を行ったことを示し、マーカー位置が0である場合、該サンプルに対して均一化処理を行わないことを示すステップS802と、
第1サンプルセットの均一サンプルセットと第2サンプルセットの均一サンプルセットに基づいて階調統計閾値Kを最適化するステップS803であって、上記データ表から分かるように、大量の陰性サンプルに比べて、第1サンプルセット内のサンプルの数が少なく、それに対応し、第1サンプルセット内の均一サンプルの量も少なく、最適化したサンプルの量を向上させるために、本実施例は、色度が階調統計閾値Kに近く、核酸検出結果と識別した抗原結果が一致する免疫試薬カードの検出画像を第2サンプルセットとして確定し、最適化する場合、第1サンプルセットの均一サンプルセットを優先的に使用して階調統計閾値Kを最適化し、その後、第2サンプルセットの均一サンプルを使用して再度最適化し、最適化を検証するステップS803と、
最適化した後の階調統計閾値、第1サンプルセットの非均一サンプルセット、第2サンプルセットの非均一サンプルセット及び輝度均一化処理後のターゲット領域の階調分散度に基づいて、輝度均一化係数βを最適化するステップS804であって、同様に、該ステップでは、第1サンプルセットの非均一サンプルセットを優先的に使用して輝度均一化係数βを最適化し、その後、第2サンプルセットの非均一サンプルセットを使用して再度最適化し、最適化を検証するステップS804と、を含む。
【0076】
本実施例では、ステップS401は、スライドウィンドウA(x,y)内の階調値分散に基づいて、ターゲット領域内の非均一領域を検出するものである。しかし、本発明は、これに限定するものではない。深層学習に基づいた弱い陽性及び陰性の識別精度は理想的ではないが、ステップS40では、均一領域と非均一領域の特徴パラメータは明らかであるため、他の実施例では、コンボリューショナルニューラルネットワークを用い、非均一領域を検出し、輝度均一化を行うことができる。同時に、更に第1サンプルセットと第2サンプルセットの非均一サンプルセットをコンボリューショナルニューラルネットワークの訓練サンプルセット内に拡張することができる。
【0077】
免疫試薬カードにおける識別コードは、免疫試薬カードの画像領域のスケール変換及び識別した免疫結果のバインディングを実現するだけでなく、本実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法は、ステップS10とステップS30との間にあるステップS20を更に含み、識別コードに基づいてアップロードした免疫試薬カードに対して改竄防止用の検証を行う。具体的には、現在の免疫試薬カードのアイデンティティを示す識別コードを識別した後、識別コードに対応するシリアル番号に基づいて、現在の免疫試薬カードを繰り返してアップロードするかどうかを判断し、それを繰り返してアップロードする場合、該免疫試薬カードの前回の識別結果が異常であるかどうかを判断し、そうである場合、該免疫試薬カードを再識別し、再識別結果と識別コードを対応するシリアル番号にバインディングする。識別結果が異常であることは、前回の識別過程において取得した免疫試薬カードの検出画像内の制御領域が空き、検出領域が遮蔽され、又は制御領域が遮蔽されるという特別な状況を指す。識別コード及び前回の識別結果の改竄防止用の検証に基づいて、陰性結果を得るために、免疫試薬カードの検出画像を改竄する行為を効果的に防止し、識別の信頼性を確保することができる。
【0078】
本実施例によって提供された疫試薬カードの検出結果の自動識別方法において、中央サブ領域A1に基づいた陰性、中程度の陽性及び強い陽性を迅速に判断することは、識別速度を大幅に向上させる。しかし、ユーザーは、ウェブネットワーク経由で、免疫試薬カードの検出画像をアップロードし、自動的に識別した免疫結果を取得するため、識別過程において、免疫試薬カードの検出画像の伝送及び識別した免疫結果の返送はいずれも全過程の識別速度に影響を与える。また、大規模な抗原検出を行う場合、免疫試薬カードの検出画像の量は非常に多い。図1に示すように、免疫試薬カードの画像の呼び出し速度及び識別した免疫結果の返送速度を向上させるために、本実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法は、免疫試薬カードの検出画像を取得する場合、
ユーザーが撮影してアップロードした免疫試薬カードの検出画像を受信し、検出画像と免疫試薬カードのシリアル番号をバインディングした後、データベースのサーバに記憶するステップと、複数の検出画像情報をキューの形でイントラネットラウンドロビン方式で複数の識別ノードに送信するステップであって、検出画像情報は、該免疫試薬カードの検出画像に対応する免疫試薬カードのシリアル番号を含むステップと、受信した免疫試薬カードのシリアル番号に基づいて、識別ノードがデータベースのサーバをクエリし、該免疫試薬カードのシリアル番号に対応する免疫試薬カードの検出画像を取得し、画像を識別して免疫試薬カードの識別の免疫結果を取得し、識別した免疫結果と現在の免疫試薬カードのシリアル番号をバインディングするステップとを含む。即ち、検出タスクを割り当てる過程において、常に免疫試薬カードのシリアル番号を含有する検出画像情報を伝送し、メッセージの内容がHTTPのメッセージの大きさより小さいため、検出タスクの割り当て速度が非常に高い。なお、処理プログラムはコンパイル型言語(C言語に類似)で作成され、プログラムの実行速度も非常に高い。
【0079】
本実施例では、複数の識別ノードが並べられ、各識別ノードの下位で複数の並べられた計算ノードが動的に拡張され、識別ノードは、ラウンドロビン方式で検出画像情報をその下位の複数の計算ノードに割り当てる。複数の識別ノードが並べられた、複数の計算ノードが並べられたネットワークトポロジ構造は、識別ノード及び計算ノードの動的拡張に大きな利便さを与え、その結果、大規模な抗原検出ニーズを満たす。本実施例では、識別ノードは、計算サーバであり、各計算サーバの下位に複数の並列計算ノード(即ちコンピュータ機器)が分布する。
【0080】
具体的には、メッセージサーバは、短リンクhttp要求によってユーザー側に接続され、ユーザーがアップロードした免疫試薬カードの検出画像を迅速に受信し、データベースのサーバ内に記憶し、「要求を受信した」を返信する。その後、メッセージサーバは、ディールの方法により、検出画像情報を複数の計算サーバ(即ち、識別ノード)に順番に非同期で割り当てる。各計算サーバは、ディールの方法により、検出画像情報をその下位の計算ノードに送信する。計算ノードは、検出画像情報内のシリアル番号に基づいて、単一ノードtcp長リンクにより、同じネットワーク内に位置するデータベースのサーバから対応する免疫試薬カードの検出画像を取得する。免疫試薬カードの検出画像を識別し、識別結果を送信キューに集める。送信キューは、送信スレッドにより、メッセージサーバに1つずつに送信し、クライアントにクエリ結果を提供する。
【0081】
上記免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法に対応し、本実施例は、各計算ノードに位置する免疫試薬カードの検出結果の自動識別装置を更に提供し、それは、取得識別モジュール10と、検証モジュール20と、領域確定モジュール30と、均一化モジュール40と、計算モジュール50と、結果識別モジュール60と、返送モジュール70と、最適化モジュール80とを含む。取得識別モジュール10は、取得した免疫試薬カードの検出画像における検出文字及び識別コードを識別する。検証モジュール20は、識別コードに基づいてアップロードした免疫試薬カードの画像に対して改竄防止用の検証を行う。領域確定モジュール30は、検出文字に基づいて対応するターゲット領域を形成し、ターゲット領域において、中央サブ領域を確定し、中央サブ領域のヒストグラム情報を計算する。中央サブ領域のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある場合、均一化モジュール40は、ターゲット領域において非均一領域を検出し、非均一領域を行ごとに走査し、輝度均一化係数に基づいて、走査線における各画素点の画素値に対して輝度均一化処理を行う。計算モジュール50は、輝度均一化処理後のターゲット領域の検出線の縁を識別し、ヒストグラム情報を計算する。結果識別モジュール60は、階調統計閾値及び得られたヒストグラム情報に基づいて、略線形関係により、ターゲット領域の色度を確定し、また、各検出文字に対応するターゲット領域の色度に基づいて、免疫試薬カードの自動識別の免疫結果を形成する。返送モジュール70は、免疫試薬カードの識別の免疫結果と該免疫試薬カードの識別コードに対応するシリアル番号をバインディングし、シリアル番号に基づいたユーザーのクエリ要求を受信する場合、該シリアル番号と共にバインディングした識別済みの免疫結果をユーザーに返す。最適化モジュール80は、識別した免疫結果及び核酸検出結果に基づいて階調統計閾値T及び輝度均一化係数βを最適化し、非均一領域の検出に基づいて中央領域A1を最適化する。
【0082】
免疫試薬カードの検出結果の識別装置の各機能は、対応する方法のステップS10~ステップS80において詳細に説明されるため、ここでは省略する。
【0083】
図8は、本実施例における計算ノードの構造概略図を示し、該計算ノードは、電子機器である。説明すべきものとして、図8に示された電子機器は、一例に過ぎず、本開示の実施例の機能及び使用範囲を限定するものではない。該電子機器100は、1つ以上のプロセッサ101と、記憶装置102とを含む。記憶装置102は、1つのプログラムを記憶するために使用される。1つ以上のプログラムが1つ以上のプロセッサ101によって実行されると、1つ以上のプロセッサ101に、本実施例によって提供された免疫試薬カードの検出結果の識別を実現させる。
【0084】
要するに、本発明によって提供された免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器において、中央サブ領域のヒストグラム情報の判断に基づいて、陰性及び強い陽性を迅速に実現でき、更に識別速度を大幅に向上させる。中央サブ領域のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある場合、ターゲット領域に対して輝度均一化処理を行い、ユーザーが写真を撮ることによる輝度の非均一化はヒストグラム情報への干渉を補償し、識別精度を大幅に向上させ、識別精度と識別速度の点で、大規模な抗原検出の両指標要件を十分に満たすことができる。
【0085】
また、ターゲット領域の非均一領域の検出境界の中央サブ領域の最適化及び識別した免疫結果と核酸検出結果の拡張する複数のタイプのサンプルセットが階調統計閾値と輝度均一化係数への最適化に基づいて、識別精度及び識別速度を更に向上させることができる。
【0086】
以上のように、本発明を好ましい実施形態によって開示してきたが、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いくつかの変更及び修正を行うことができ、従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【要約】      (修正有)
【課題】免疫試薬カードの検出結果の自動識別方法、装置及び機器を提供する。
【解決手段】方法は取得した免疫試薬カードの検出画像における検出文字及び識別コードを識別するステップと、検出文字に基づいて対応するターゲット領域を形成し、ターゲット領域において、中央サブ領域を確定し、中央サブ領域のヒストグラム情報を計算するステップと、中央サブ領域のヒストグラム情報が最小階調統計閾値と最大階調統計閾値との間にある場合、ターゲット領域において非均一領域を検出し、非均一領域に対して輝度均一化処理を行うステップと、輝度均一化処理後のターゲット領域のヒストグラム情報を計算し、階調統計閾値に基づいてターゲット領域の色度を確定し、各検出文字の対応するターゲット領域の色度に基づいて免疫試薬カードの自動識別の免疫結果を形成するステップと、免疫結果と該免疫試薬カードに対応するシリアル番号を、ユーザーに返すステップとを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9