(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】光学的測定システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/41 20060101AFI20231114BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20231114BHJP
G01B 11/26 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
G01N21/41 Z
G01B11/06 H
G01B11/26 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022167259
(22)【出願日】2022-10-19
【審査請求日】2022-10-19
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502250743
【氏名又は名称】國立成功大學
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL CHENG KUNG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】劉 建聖
(72)【発明者】
【氏名】施 ▲ウェン▼▲ユ▼
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-517287(JP,A)
【文献】国際公開第2011/007047(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0099823(US,A1)
【文献】中国実用新案第202676139(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの光透過層を備える測定すべき対象物の光学パラメータを測定するように適合化された光学的測定システムにおいて、
前記測定すべき対象物に向けて少なくとも2本の測定光ビームを放出するように構成される光源モジュールであって、前記少なくとも2本の測定光ビームは、それぞれ異なる角度で前記測定すべき対象物に入射する、該光源モジュールと、
前記少なくとも2本の測定光ビームが前記測定すべき対象物によって反射された後には、少なくとも2本の第1の光ビームによって、また、前記少なくとも2本の測定光ビームが前記測定すべき対象物の中間で屈折及び反射された後には、少なくとも2本の第2の光ビームによって、撮像モジュールの感知面上に形成される複数の光点を受け取るように構成される、該撮像モジュールと、及び
前記光点の位置を取得するために、前記撮像モジュールに電気的に接続されるコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記光点の位置に応じた前記測定すべき対象物の光学パラメータを算出
し、
前記測定すべき対象物は、基準層上に配置されるとともに、前記基準層と前記光源モジュールとの間に配置され、前記少なくとも2つの光透過層は、少なくとも1つの固体層と、少なくとも1つの液体層と、を含み、いずれかの液体層が、前記少なくとも1つの固体層及び前記基準層のうちの2つに隣接して積層され、
前記光学パラメータには、各前記光透過層の屈折率、各前記光透過層の厚さ、及び、積層方向に垂直な前記基準層の表面に対する各前記固体層の2つの境界面の傾斜角度が含まれ、前記積層方向は、前記基準層から前記測定すべき対象物への方向であり、前記厚さは、各前記光透過層の2つの境界面の積層方向に沿った最短距離である、光学的測定システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の光学的測定システムにおいて、以下の条件式
n*(m+1)≧p
を満たし、ここで、nは前記少なくとも2本の測定光ビームの本数、mは前記少なくとも2つの光透過層の数、pは前記光学パラメータの個数である、光学的測定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の光学的測定システムにおいて、
前記光源モジュールは、
光ビームを放出するように構成される光源と、
光ビームの光路上に配置され、また、前記光ビームを少なくとも2本の測定光ビームに分割するように構成される少なくとも1つのビームスプリッタと、
前記少なくとも2本の測定光ビームの光路上にそれぞれ配置され、前記少なくとも2本の第1の光ビーム、及び前記少なくとも2本の第2の光ビームを前記撮像モジュールの感知面上に合焦するように構成される少なくとも2つのレンズと、
を有する、光学的測定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の光学的測定システムにおいて、前記撮像モジュールは複数のサブ撮像モジュールを有する、光学的測定システム。
【請求項5】
請求項1に記載の光学的測定システムにおいて、さらに、光学パラメータに応じた測定すべき対象物を撮像するように構成されるオートフォーカス撮像モジュールを備える、光学的測定システム。
【請求項6】
請求項1に記載の光学的測定システムにおいて、前記光源モジュールは、前記少なくとも2本の測定光ビームをそれぞれ放出する少なくとも2つの光源を有し、
前記光学的測定システムは、
前記少なくとも2本の測定光ビームの光路上にそれぞれ配置され、また、前記少なくとも2本の第1の光ビーム、及び前記少なくとも2本の第2の光ビームを前記撮像モジュールの感知面上に合焦するように構成される少なくとも2つのレンズと、
前記少なくとも2本の測定光ビームの光路上で、前記少なくとも2つのレンズと、前記測定すべき対象物と、の間にそれぞれ配置される少なくとも2つのリフレクタと、を備え、
前記少なくとも2つのリフレクタの反射面の角度が異なり、その結果、前記少なくとも2本の測定光ビームは、それぞれ異なる角度で前記測定すべき対象物に入射する、光学的測定システム。
【請求項7】
請求項1に記載の光学的測定システムにおいて、さらに、
前記少なくとも2本の測定光ビームの光路上に配置され、前記少なくとも2本の第1の光ビーム、及び前記少なくとも2本の第2の光ビームを前記撮像モジュールの感知面上に合焦するように構成されるレンズと、
前記少なくとも2本の測定光ビームの光路上で、前記レンズと前記測定すべき対象物の間に配置されるリフレクタと、並びに
前記レンズ及び前記リフレクタを担持するように構成された回転及び移動キャリアであって、前記少なくとも2本の測定光ビームが前記光源モジュールから出た後に、前記少なくとも2本の測定光ビームの放出方向に沿って移動するように適合化され、またリフレクタを回転させるように適合化され、その結果、レンズ及びリフレクタは、異なる時間で少なくとも2つの第1の変位点に位置し、また、前記リフレクタの反射面が、異なる第1の変位点で異なる角度を有し、その結果、前記少なくとも2本の測定光ビームは、それぞれ異なる時間で前記測定すべき対象物に入射する、該回転及び移動キャリアと、を備える、光学的測定システム。
【請求項8】
請求項
7に記載の光学的測定システムにおいて、さらに、
前記撮像モジュールを担持するように構成される移動キャリアであって、前記放出方向に対して直交する方向に移動するように適合化され、それにより、前記撮像モジュールは、異なる時間で少なくとも2つの第2の変位点に位置し、その結果、前記撮像モジュールは、異なる時間に少なくとも2本の第1の光ビームを受け取り、異なる時間に少なくとも2本の第2の光ビームを受け取る、該移動キャリアを備える、光学的測定システム。
【請求項9】
請求項1に記載の光学的測定システムにおいて、さらに、
前記少なくとも2本の測定光ビームの光路上に配置され、前記少なくとも2本の第1の光ビーム及び前記少なくとも2本の第2の光ビームを前記撮像モジュールの前記感知面上に合焦するように構成されるレンズと、
前記少なくとも2本の測定光ビームの光路上で、前記レンズと前記測定すべき対象物との間に配置されるリフレクタと、並びに
前記光源モジュール、前記レンズ及び前記リフレクタを担持するように構成された回転及び移動キャリアであって、前記光源モジュールから出る前記少なくとも2本の測定光ビームの放出方向に直交する方向に沿って移動するように適合化され、また前記リフレクタを回転させるように適合化され、その結果、前記光源モジュール、前記レンズ、及び前記リフレクタが、異なる時間で少なくとも2つの第1の変位点に位置し、また、前記リフレクタの反射面が、異なる第1の変位点で異なる角度を有し、その結果、前記少なくとも2本の測定光ビームが、それぞれ異なる時間に前記測定すべき対象物に入射するように構成される、該回転及び移動キャリアと、を備える、光学的測定システム。
【請求項10】
請求項
9に記載の光学的測定システムにおいて、さらに、
移動キャリアであって、前記撮像モジュールを担持するように構成され、前記放出方向に対して直交する方向に移動するように適合化され、それにより前記撮像モジュールは、異なる時間で少なくとも2つの第2の変位点に位置し、その結果、前記撮像モジュールは、異なる時間に少なくとも2本の第1の光ビームを受け取り、異なる時間に少なくとも2本の第2の光ビームを受け取る、該移動キャリアを備える、光学的測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学的システムに関し、特に、光学的測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、精密小型化が産業開発の主流となっている。生産ラインの自動化や製品の小型化に対応して、高精度試験装置及び高効率測定手法の開発が徐々に注目されてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
測定手法は2つのカテゴリ、すなわち、接触式と非接触式に分けることができる。接触測定は、主に測定用プローブを採用する。より高精度であることの利点は達成されるが、寸法以外の製品特性は測定できず、またその測定速度は遅くなる。加えて、測定プロセスはワークピースとの接触を必要とする。これにより、ワークピースの表面が損傷し、したがって、様々な製品を制限する可能性がある。
【0004】
非接触測定は非破壊測定、すなわち、測定速度を向上させるために光学的方法を使用して対象物を測定することである。代表的な偏光解析法、干渉法及び共焦点法は、厚さ及び屈折率の高効率測定を達成できるが、それらのほとんどは薄板測定又は単層特性の個々の測定にのみ適合化され、また、複数の層の厚さ及び屈折率を同時に測定することができる数少ない方法では、材料層が互いに平行でないという問題は考慮されない。しかし、生物学的検出の適用の際には、液体試料がガラススライドの間に混入されることで、上側及び下側ガラススライドを非平行にしてしまい、あるいは、ガラス製造の品質検査の際には、材料の非平行な層を考慮する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、測定すべき対象物の中間における非平行な材料層を測定できる光学的測定システムを提供する。
【0006】
本発明の実施形態は、測定すべき対象物の光学パラメータを測定するように適合化される光学的測定システムを提供する。測定すべき対象物は、少なくとも2つの光透過層を含む。光学的測定システムは、光源モジュール、撮像モジュール及びコントローラを備える。光源モジュールは、少なくとも2本の測定光ビームを測定すべき対象物に向けて放出するように構成され、測定光ビームは、それぞれ異なる角度で測定すべき対象物に入射する。撮像モジュールは、測定光ビームが測定すべき対象物によって反射された後には、少なくとも2本の第1の光ビームによって撮像モジュールの感知面上に形成される、及び、測定光ビームが測定すべき対象物の中間で屈折及び反射された後には、少なくとも2本の第2の光ビームによって撮像モジュールの感知面上に形成される、複数の光点を受け取るように構成される。コントローラは、光点の位置を取得するために、撮像モジュールに電気的に接続される。コントローラは、光点の位置に応じた測定すべき対象物の光学パラメータを算出する。
【発明の効果】
【0007】
以上を踏まえると、本発明の一実施形態において、光学的測定システムは、光源モジュールを使用して、異なる角度を有する少なくとも2本の測定光ビームを測定すべき対象物に向けて放出し、次いで、コントローラは、測定光ビームによって形成される光点の位置に応じた測定すべき対象物の光学パラメータを算出する。したがって、測定すべき対象物における光透過層が互いに平行でなくても、本発明の一実施形態の光学的測定システムは、測定すべき対象物の光学パラメータを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による光学的測定システムの拡大概略図であり、この光学的測定システムでは、測定光ビームが測定すべき対象物によって反射され、また測定光ビームは、測定すべき対象物の中間で屈折及び反射される。
【
図2B】本発明の一実施形態による光学的測定システムの拡大概略図であり、この光学的測定システムでは、測定光ビームが測定すべき別の対象物によって反射され、また測定光ビームは、測定すべき対象物の中間で屈折及び反射される。
【
図3】基準層に対する
図1の測定すべき対象物の拡大概略図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
【
図6】本発明の第4の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
【
図7】本発明の第5の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
図2Aは、本発明の一実施形態による光学的測定システムの拡大概略図であり、この光学的測定システムでは、測定光ビームが測定すべき対象物によって反射され、また測定光ビームは、測定すべき対象物の中間で屈折及び反射される。
図1及び
図2Aを参照して説明すると、本発明の実施形態は、測定すべき対象物Sの光学パラメータを測定するように適合化された光学的測定システム10を提供する。特に、測定すべき対象物Sは基準層S3上に配置され、また測定すべき対象物Sは基準層S3と光源モジュール100との間に位置付けられる。測定すべき対象物Sは少なくとも2つの光透過層を含む。光透過層は、少なくとも1つの固体層S1-1及びS1-2と、並びに少なくとも1つの液体層S2-1と、を含む。
図2Aを例にとると、基準層S3は、例えばキャリアであり、固体層S1-1及びS1-2はそれぞれ、例えばカバーガラス及びスライドガラスであり、また液体層S2-1は、固体層S1-1と固体層S1-2との間に配置される。
図2Aは、単に1つの液体層S2-1を示す。液体層S2-1の数が1つよりも多い場合、いずれか1つの液体層S2-1は、固体層S1-1及びS1-2、並びに基準層S3のうちの2つに隣接して積層される。すなわち、任意な2つの液体層S2-1は互いに隣接しない。
【0010】
図2Bは、本発明の一実施形態による光学的測定システムの拡大概略図であり、この光学的測定システムでは、測定光ビームが測定すべき別の対象物によって反射され、また測定光ビームは、測定すべき対象物の中間で屈折及び反射される。
図2Bを参照されたい。
図2Bと
図2Aの違いは、
図2Bの測定すべき対象物S’が2つの光透過層のみを有し、また固体層S1-1と基準層S3の間に液体層S2-1が配置されている点である。
【0011】
再び
図1及び
図2Aを参照されたい。本実施形態において、光学的測定システム10は、光源モジュール100、撮像モジュール200、及びコントローラ300を備える。特に、光源モジュール100における光源110としては、発光ダイオード(LED)光源、レーザーダイオード(LD)光源若しくはこれらの組み合わせ、又は他の適切な光源を挙げることができ、また本発明はこれらに限定されるものではない。撮像モジュール200は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光センサ又は電荷結合素子(CCD)光センサであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0012】
一実施形態において、コントローラ300としては、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブルコントローラ、プログラマブル論理デバイス(PLD)、若しくは他の同様のデバイス、又はこれらのデバイスの組合せが挙げられ、また本発明はそれらに限定されない。さらに、一実施形態において、コントローラ300の各機能は、複数のプログラムコードとして実装されてもよい。これらのプログラムコードは、1つのメモリに格納され、コントローラ300によって実行される。代案として、一実施形態において、コントローラ300の各機能は、1つ又は複数の回路として実装されてもよい。本発明は、コントローラ300の各機能がソフトウェア形態又はハードウェア形態のどちらで実装されているかを限定しない。
【0013】
具体的には、本実施形態の光源モジュール100は、少なくとも2本の測定光ビームMB1及びMB2を測定すべき対象物Sに向けて放出するように構成され、測定光MB1及びMB2は、それぞれ異なる角度θで測定すべき対象物Sに入射する。撮像モジュール200は、測定光ビームMB1及びMB2が測定すべき対象物Sによって反射された後に、少なくとも2本の第1の光ビームFB1及びFB2によって撮像モジュール200の感知面200Sに形成される複数の光点を受け取り、また、測定光ビームMB1及びMB2が測定すべき対象物Sの中間で屈折及び反射された後に、少なくとも2本の第2の光ビームSB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3によって撮像モジュール200の感知面200Sに形成される複数の光点を受け取るように構成される。コントローラ300は、光点の位置を取得するために、撮像モジュール200に電気的に接続される。コントローラ300は、光点の位置に応じた測定すべき対象物Sの光学パラメータを算出する。
【0014】
図3は、基準層に対する
図1の測定すべき対象物の拡大概略図である。特に、
図3のz軸方向は、
図2Aの積層方向D1とほぼ同じである。但し、
図3のx軸及びy軸は基準層S3の境界面上にあり、ここでは繰り返さない。
【0015】
図2A及び
図3を参照して説明すると、本実施形態において、光学パラメータには、各光透過層の屈折率、各光透過層の厚さt1、t2及びt3、並びに、積層方向D1に垂直な基準層S3の表面に対する各固体層S1-1及びS1-2の2つの境界面の傾斜角度α及びβが含まれる。ここで、積層方向D1は、基準層S3から測定すべき対象物Sへの方向であり、厚さt1、t2及びt3は、各光透過層の2つの境界面の間における、積層方向D1に沿った最短距離であり、傾斜角度αは、x軸又はy軸の周りの回転角度であり、傾斜角度βは、z軸の周りの回転角度である。
【0016】
本実施形態において、光学的測定システムは、n*(m+1)≧pを満たし、ここで、nは測定光ビームMB1及びMB2の本数、mは光透過層の数、pは光学パラメータの個数である。
【0017】
図2Aを例にとると、測定光ビームMB1が測定すべき対象物Sに入射すると、光透過層の各表面で部分反射及び部分透過現象が発生し、部分透過光は、スネルの法則を満たして、積層方向D2とは反対側の次の面に進む。特に、第1の光ビームFB1は、測定すべき対象物Sにおいて光源モジュール100に最も近い光透過層(
図2Aの固体層S1-1)で発生し、部分透過光は、第2の光ビームSB1-1、SB1-2、及びSB1-3を順次に発生する。屈折されその後反射された光は、撮像モジュール200に伝送されるプロセス中でもなおも、部分的に透過されるとともに、光透過層の表面で部分的に反射されるが、部分的に反射された光(すなわち、少なくとも2つの反射)の光強度は相対的に弱い。そのため、第1の光ビームFB1と、第2の光ビームSB1-1、SB1-2、及びSB1-3とによって感知面200S上に形成される光点のみを考慮すればよい。簡単に言えば、
図2Aの測定すべき対象物Sが3つの光透過層のみを含む場合、測定光ビームMB1は、感知面200S上に4個の光点を形成する。同様に、測定すべき対象Sがm個の光透過層を含む場合、測定光ビームMB1は、感知面200S上にm+1個の光点を形成する。従って、2本の測定光ビームMB1とMB2は、感知面200S上に2(m+1)個の光点を形成する。
【0018】
さらに、各光ビームFB1、FB2、SB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3によって感知面200S上に形成される光点の位置は、これらの光ビームFB1、FB2、SB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3の光の軌跡に関連する。光の軌跡は、測定すべき対象物Sの光学パラメータ(光透過層の屈折率、厚さt1、t2及びt3、並びに、固体層S1-1及びS1-2の傾斜角度α及びβ)に関連する。したがって、測定すべき対象物Sの光学パラメータは、(4×4)同次座標変換及びスキュー光線追跡法を使用して算出することができる。
【0019】
本実施形態において、光源モジュール100は、光源110、少なくとも1つのビームスプリッタ120、並びに、少なくとも2つのレンズ400-1及び400-2を備える。
光源110は、光ビームLBを放出するように構成される。ビームスプリッタ120は、光ビームLBの光路上に配置され、光ビームLBを少なくとも2本の測定光ビームMB1及びMB2に分割する。レンズ400-1及び400-2はそれぞれ、測定光ビームMB1及びMB2の光路上に配置されるとともに、第1の光ビームFB1及びFB2と、第2の光ビームSB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3と、を撮像モジュール200の感知面200S上に合焦するように構成される。
【0020】
本実施形態において、光学的測定システムはさらに、リフレクタ500、600及び700を備える。リフレクタ500、600及び700はいずれも、測定光ビームMB1及びMB2の光路上で、ビームスプリッタ120と測定すべき対象物Sとの間に配置される。特に、リフレクタ500は、測定光ビームMB1の光路上で、ビームスプリッタ120と測定すべき対象物Sとの間に配置される。リフレクタ600及び700は、測定光ビームMB2の光路上で、ビームスプリッタ120と測定すべき対象物Sとの間に配置される。
【0021】
本実施形態において、撮像モジュール200は、複数のサブ撮像モジュール210及び220を含むことができる。すなわち、感知領域が大きい撮像モジュールを取り換えるために、感知領域がより小さいサブ撮像モジュール210及び220を使用してもよく、そうすることで、コストがより低くなる可能性がある。
【0022】
以上を踏まえると、本発明の一実施形態において、光学的測定システム10は、光源モジュール100を使用して、少なくとも2本の測定光ビームMB1及びMB2を測定すべき対象物Sに向けて放出し、測定光MB1及びMB2は、それぞれ異なる角度θで測定すべき対象物Sに入射する。測定光ビームMB1及びMB2は、測定すべき対象物Sによって反射及び屈折され、反射光FB1、FB2、SB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3は、撮像モジュール200の感知面200S上に複数の光点を形成する。コントローラ300は、光点の位置に応じた測定すべき対象物Sの光学パラメータを算出する。したがって、測定すべき対象物Sの光透過層が互いに平行でなくても、本発明の一実施形態の光学的測定システム10は、測定すべき対象物Sの光学パラメータを測定することができる。
【0023】
さらに、本発明の一実施形態において、光学的測定システム10には、測定光ビームMB1及びMB2の光路上にレンズ400-1及び400-2が設けられているので、第1の光ビームFB1及びFB2と、第2の光ビームSB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3は、撮像モジュール200の感知面200S上に合焦することができる。そのため、感知面200S上の光ビームFB1、FB2、SB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3によって形成される光点が、光点の位置を区別できないほど大きくなりすぎるという問題が回避される。これにより、測定の信頼性が向上する。
【0024】
図4は、本発明の第2の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
図4を参照して説明すると、本実施形態の光学的測定システム10Aは
図1の光学的測定システム10と同様であり、その主な相違点は以下の通りである。本実施形態において、光学的測定システム10Aはさらに、オートフォーカス撮像モジュール20を備える。オートフォーカス撮像モジュール20は、光学パラメータに従って測定すべき対象物Sを撮像するように構成される。特に、オートフォーカス撮像モジュール20は、可動子22、対物レンズ24及び画像センサ26を備えてもよい。可動子22は、基準層S3及び測定すべき対象物Sを担持するように構成されるとともに、測定すべき対象物Sと対物レンズ24の距離を変化させるように適合化される。対物レンズ24は、測定すべき対象物Sと画像センサ26との間に配置される。画像センサ26は測定すべき対象物Sを撮像する。光学的測定システム10Aの他の利点は
図1の光学的測定システム10の利点と同様であり、ここでは繰り返さない。
【0025】
図5は、本発明の第3の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
図5を参照して説明すると、本実施形態の光学的測定システム10Bは
図1の光学的測定システム10と同様であり、その主な相違点は以下の通りである。本実施形態において、光源モジュール110Bは、少なくとも2本の測定光ビームMB1及びMB2を放出するようにそれぞれ構成される、少なくとも2つの光源110を備える。光学的測定システム10Bはさらに、少なくとも2つのレンズ400-1及び400-2と、少なくとも2つのリフレクタ500及び600とを備える。レンズ400-1及び400-2はそれぞれ、測定光ビームMB1及びMB2の光路上に配置され、第1の光ビームFB1及びFB2と、第2の光ビームSB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3を撮像モジュール200の感知面200S上に合焦するように構成される。リフレクタ500及び600はそれぞれ、測定光ビームMB1及びMB2の光路上で、レンズ400-1及び400-2と測定すべき対象物Sとの間に配置される。リフレクタ500及び600の反射面の角度が異なるため、測定光ビームMB1及びMB2は、それぞれ異なる角度θで測定すべき対象物Sに入射する。光学的測定システム10Bの他の利点は
図1の光学的測定システム10の利点と同様であり、ここでは繰り返さない。
【0026】
図6は、本発明の第4の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
図6を参照して説明すると、本実施形態の光学的測定システム10Cは
図1の光学的測定システム10と同様であり、その主な相違点は以下の通りである。本実施形態において、光学的測定システム10Cはさらに、レンズ400-1、リフレクタ500、並びに回転及び移動キャリア800を備える。レンズ400-1は、測定光ビームMB1及びMB2の光路上に配置され、第1の光ビームFB1及びFB2と、第2の光ビームSB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3を撮像モジュール200の感知面200S上に合焦するように構成される。リフレクタ500は、測定光MB1及びMB2の光路上で、レンズ400-1と測定すべき対象物Sとの間に配置される。回転及び移動キャリア800は、レンズ400-1及びリフレクタ500を担持するように構成され、測定光ビームMB1及びMB2が光源モジュール100から出た後に、測定光ビームMB1及びMB2の放出方向D2に沿って移動するように適合化され、またリフレクタ500を回転させるように適合化され、その結果、レンズ400-1及びリフレクタ500は、異なる時間で少なくとも2つの第1の変位点P1-1及びP1-2に位置する。また、リフレクタ500の反射面は、異なる第1の変位点P1-1及びP1-2で異なる角度を有し、その結果、測定光ビームMB1及びMB2は、それぞれ異なる時間で測定すべき対象物Sに入射する。
【0027】
本実施形態において、光学的測定システム10Cはさらに、移動キャリア900を備える。移動キャリア900は、撮像モジュール200を担持するように構成されるとともに、放出方向D2に直交する方向に沿って移動するように適合化され、その結果、撮像モジュール200は、異なる時間で少なくとも2つの第2の変位点P2-1及びP2-2に位置する。その結果、撮像モジュール200は、それぞれ異なる時間に第1の光ビームFB1及びFB2を受け取るとともに、それぞれ異なる時間に第2の光ビームSB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2及びSB2-3を受け取る。光学的測定システム10Cの他の利点は
図1の光学的測定システム10の利点と同様であり、ここでは繰り返さない。
【0028】
図7は、本発明の第5の実施形態による光学的測定システムの概略図である。
図7を参照して説明すると、本実施形態の光学的測定システム10Dは
図6の光学的測定システム10Cと類似し、その主な相違点は以下の通りである。本実施形態において、回転及び移動キャリア800は、光源モジュール100、レンズ400-1及びリフレクタ500を担持するように構成され、測定光ビームMB1及びMB2が光源モジュール100から出た後、測定光ビームMB1及びMB2の放出方向D2に直交する方向に沿って移動するように適合化され、またリフレクタ500を回転させるように適合化され、その結果、光源モジュール100、レンズ400-1及びリフレクタ500は、異なる時間に少なくとも2つの第1の変位点P1-1及びP1-2に位置する。また、リフレクタ500の反射面は、異なる第1の変位点P1-1及びP1-2で異なる角度を有し、その結果、測定光ビームMB1及びMB2は、それぞれ異なる時間で測定すべき対象物Sに入射する。光学的測定システム10Dの他の利点は
図6の光学的測定システム10Cの利点と同様であり、ここでは繰り返さない。
【0029】
以上を踏まえると、本発明の一実施形態において、光学的測定システムは、光源モジュールを使用して、少なくとも2本の測定光ビームを測定すべき対象物に向けて放出し、また測定光ビームは、それぞれ異なる角度で測定すべき対象物に入射する。コントローラは、光点の位置に応じた測定すべき対象物の光学パラメータを算出する。したがって、測定すべき対象物の光透過層が互いに平行でなくても、本発明の一実施形態の光学的測定システムは、測定すべき対象物の光学パラメータを測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の光学的測定システムは、任意の形態の光学的システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10、10A、10B、10C、10D:光学的測定システム
20:オートフォーカス撮像モジュール
22:可動子
24:対物レンズ
26:画像センサ
100、110B:光源モジュール
110:光源
120:ビームスプリッタ
200:撮像モジュール
200S:感知面
210、220:サブ撮像モジュール
300:コントローラ
400-1、400-2:レンズ
500、600、700:リフレクタ
800:回転及び移動キャリア
900:移動キャリア
α,β:傾斜角度
θ:角度
D1、D2:積層方向
FB1、FB2:第1の光ビーム
LB:光ビーム
MB1、MB2:測定光ビーム
P1-1、P1-2:第1の変位点
P2-1、P2-2:第2の変位点
S:測定すべき対象物
S1-1、S1-2:固体層
S2-1:液体層
S3:基準層
S’:測定すべき対象物
SB1-1、SB1-2、SB1-3、SB2-1、SB2-2、SB2-3:第2の光ビーム
t1、t2、t3:厚さ
【要約】 (修正有)
【課題】測定すべき対象物の中間における非平行な材料層を測定できる光学的測定システムを提供する。
【解決手段】光学的測定システム10は、光源モジュール100、撮像モジュール200及びコントローラ300を備える。光源モジュールは、少なくとも2本の測定光ビームMB1,MB2を対象物Sに向けて放出する。測定光ビームは、それぞれ異なる角度で対象物に入射する。撮像モジュールは、測定光ビームが対象物によって反射された後には、少なくとも2本の第1の光ビームFB1,FB2によって撮像モジュールの感知面上に形成される光点、測定光ビームが対象物の中間で屈折及び反射された後には、少なくとも2本の第2の光ビームSB1-1~3,SB2-1~3によって撮像モジュールの感知面上に形成される光点を受け取る。コントローラは、光点の位置に応じた対象物の光学パラメータを算出する。
【選択図】
図1