(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】核酸のアレイを撮像するための顕微鏡の対物レンズ、及びDNAシークエンシングのためのシステム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20231114BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20231114BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20231114BHJP
G02B 21/02 20060101ALI20231114BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20231114BHJP
C12Q 1/6874 20180101ALN20231114BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
G02B21/36
G02B21/02
G02B13/18
C12Q1/6874 Z
(21)【出願番号】P 2022504097
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(86)【国際出願番号】 US2020033359
(87)【国際公開番号】W WO2021015838
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-17
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】311002665
【氏名又は名称】パシフィック・バイオサイエンシズ・オブ・カリフォルニア・インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンベリー,ドナルド ブィ.
(72)【発明者】
【氏名】ベールマン,デール
【審査官】山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-514218(JP,A)
【文献】特開2010-284101(JP,A)
【文献】特表2008-538813(JP,A)
【文献】特表2017-513063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0231813(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0075894(US,A1)
【文献】米国特許第05598205(US,A)
【文献】特開2013-114261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
C12M
G02B
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸シークエンシングのための方法であって、
フローセルに材料を通すことであって、前記材料が、核酸シークエンシングのための試薬を含む、前記通すことと、
前記フローセルを光で照らすことと、
カメラセンサを使用して、前記フローセルからの光を、対物レンズを通して撮像することであって、前記対物レンズが、
単純面を有する複数のレンズと、
開口絞りであって、前記開口絞りが物理的な開口絞りである、前記開口絞りと、
前記開口絞りから25ミリメートル以内に配置された非球面レンズと
を備える、前記撮像することと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記フローセルは、0.3ミリメートル以上2.0ミリメートル以下の厚さを有する窓を備え、前記カメラセンサによって撮像された光は、前記対物レンズを通過する前に前記窓を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
複数のレンズの1つは、前記フローセルに近接する第1のレンズ
であり、前記第1のレンズは、10ミリメートル以下3ミリメートル以上の距離だけ前記フローセルから離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のレンズは光学縦列を形成し、前記光学縦列は
、前記複数のレンズの第1のレンズから
前記複数のレンズの最終レンズまで延在し、前記複数のレンズは4つのダブレットレンズを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光学縦列にはトリプレットレンズが無い、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記対物レンズは、0.6~0.8の間の開口数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記対物レンズは少なくとも4mm
2の視野を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対物レンズは少なくとも4mm
2の視野を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記フローセルは、1.5
マイクロメートル以下の被写界深度で撮像される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
核酸のアレイが前記フローセルの表面に付着される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記カメラセンサを使用して、前記対物レンズを通して撮像された前記フローセルからの光に基づいて、前記核酸のアレイを検出することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記核酸のアレイを検出することは、前記核酸のアレイの
核酸部位を解像することを含み、前記
核酸部位のそれぞれが、500μm
2より小さい平均面積を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
核酸シークエンシングのための前記試薬は、前記カメラセンサを使用して、前記対物レンズを通して撮像された前記フローセルからの光に基づいて検出される標識を有するヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記標識は発光団を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フローセルを光で照らすことは、前記対物レンズを通して前記フローセルに光を伝送させることにより、前記フローセルを照らすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
DNAシークエンシング用のシステムであって、
核酸のアレイの付着のために構成された固体支持体と、
対物レンズであって、
単純面を有する複数のレンズと、
開口絞りであって、前記開口絞りが物理的な開口絞りである、前記開口絞りと、
前記開口絞りから25ミリメートル以内に配置された非球面レンズと
を備える、前記対物レンズと、
前記対物レンズを使用して前記核酸のアレイを撮像するように構成されたカメラと
を備える、前記システム。
【請求項17】
前記複数のレンズは光学縦列を形成し、前記光学縦列は
、前記複数のレンズの第1のレンズから
前記複数のレンズの最終レンズまで延在し、前記複数のレンズは4つのダブレットレンズを備え、前記光学縦列にはトリプレットレンズが無い、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記対物レンズは、0.6~0.8の間の開口数を有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムは、前記対物レンズを通して光を伝送させることにより、前記核酸のアレイを照らすように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
DNAシークエンシング用のシステムであって、
核酸のアレイの付着のために構成された固体支持体と、
対物レンズであって、
単純面を有する複数のレンズと、
開口絞りであって、前記開口絞りが物理的な開口絞りである、前記開口絞りと、
前記開口絞りから25ミリメートル以内に配置され、前記開口絞りから離されている、非球面レンズと
を備える、前記対物レンズと、
前記対物レンズを使用して前記核酸のアレイを撮像するように構成されたカメラと
を備える、前記システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月9日に出願された米国特許出願第16/844,922号、及び2019年7月24日に出願された米国特許出願第16/521,464号に対する優先権を主張するものであり、上記特許出願の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に光学システムに関し、特に、核酸のアレイを撮像するための顕微鏡の対物レンズ、及びDNAシークエンシングのためのシステムに関する。核酸配列情報の決定は、生物学的研究及び医学的研究において重要である。配列情報を決定するプロセスは、一般に「シークエンシング」と呼ばれている。配列情報は、疾患及び表現型との遺伝子の関連性を特定し、潜在的な創薬ターゲットを同定し、疾患の発症及び進行のメカニズムを解明するのに役立つ。配列情報は個別化医療の重要な部分を占めており、特定の対象者の疾患の診断、治療、または予防を最適化するために使用できる。
【0003】
核酸配列情報の広範な適用性及び有用性を考えると、シークエンシングのためのシステム及び方法を改善して、例えば、配列情報を取得するためのコストを削減することが望まれる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、分析物の顕微鏡的検出のためのシステム及び方法を提供する。特定の構成では、核酸がシークエンシングシステムで検出される。一態様によれば、システムは、フローセル、対物レンズ、及びカメラを含む。フローセルからの光は、対物レンズを通してカメラで撮像される。いくつかある利点のなかで特に、本明細書に記載の対物レンズは、長い作動距離、平坦な像面湾曲、高い開口数、及び/または広い視野を提供することができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、DNAシークエンシング用のシステムは、1つ以上の分析物または試薬の付着のために構成された固体支持体、1.5ミクロン以下の被写界深度を有する対物レンズ、対物レンズを使用して、固体支持体上の分析物または試薬からのルミネセンスを撮像するように構成されたカメラ、対物レンズとカメラとの間のチューブレンズであって、チューブレンズは、対物レンズからの光をカメラのセンサに集束させるように構成されている、チューブレンズ、励起源、及び/または対物レンズとレンズチューブとの間のダイクロイックミラーであって、ダイクロイックミラーは、励起源からの光を固体支持体に向かって対物レンズに反射するように構成されており、励起源からの光は、アレイ内の分析物または試薬の材料に蛍光を出させるように構成されており、及び/またはダイクロイックミラーは、非球面レンズに対して40度未満の角度にある、ダイクロイックミラーを備える。本対物レンズは、第1のレンズ及び第2のレンズを有する第1のダブレットレンズであって、第1のダブレットレンズの第1のレンズが凹面及び凸面を有し、第1のダブレットレンズの第2のレンズが凹面及び凸面を有する、第1のダブレットレンズ、第1のレンズ及び第2のレンズを有する第2のダブレットレンズであって、第2のダブレットレンズの第1のレンズが凹面及び凸面を有し、第2のダブレットレンズの第2のレンズが凹面及び凸面を有する、第2のダブレットレンズ、第1のレンズ及び第2のレンズを有する第3のダブレットレンズであって、第3のダブレットレンズの第1のレンズが2つの凸面を有し、第3のダブレットレンズの第2のレンズが2つの凹面を有し、第2のダブレットレンズが第1のダブレットレンズと第3のダブレットレンズとの間にある、第3のダブレットレンズ、第1のレンズ及び第2のレンズを有する第4のダブレットレンズであって、第4のダブレットレンズの第1のレンズが2つの凹面を有し、第4のダブレットレンズの第2のレンズが2つの凸面を有し、第3のダブレットレンズが第2のダブレットレンズと第4のダブレットレンズとの間にあり、第1のダブレットレンズが対物レンズの光学縦列の第1のレンズであり、第4のダブレットレンズが対物レンズの光学縦列の最終レンズであり、第1のダブレットレンズが、第4のダブレットレンズよりも固体支持体に近いように構成され、及び/または第1のダブレットレンズから第4のダブレットレンズを通過した後に光線が無限遠補正されない、第4のダブレットレンズ、第2のダブレットレンズと第3のダブレットレンズとの間の第1のシングレットレンズであって、第1のシングレットレンズが2つの凸面を有する、第1のシングレットレンズ、第2のダブレットレンズと第3のダブレットレンズとの間の第2のシングレットレンズであって、第2のシングレットレンズが2つの凸面を有する、第2のシングレットレンズ、第3のダブレットレンズと第4のダブレットレンズとの間の非球面レンズであって、非球面レンズの直径が40ミリメートル以上60ミリメートル以下である、非球面レンズ、及び/または第3のダブレットレンズと第4のダブレットレンズとの間の開口絞りであって、開口絞りが、開口部を形成する1つ以上の壁を有する物理的な開口絞りであり、開口絞りが、非球面レンズの25ミリメートル以内にあり、及び/または開口絞りが、第1のダブレットレンズから測定された光学縦列内の70%~90%の間の距離に位置する、開口絞りと、を備え得る。いくつかの実施形態では、対物レンズは、対物レンズの屈折力に影響を与える22未満のレンズ面、4つのダブレットレンズからの16面、2つのシングレットレンズからの4面、及び非球面レンズからの2面を有しており、対物レンズの光学要素は、4つのダブレットレンズ、2つのシングレットレンズ、非球面レンズ、及び開口絞りで構成されており、及び/または固体支持体はフローセルの一部であり、フローセルはカバースリップを備え、カバースリップは1ミリメートルの厚さである。
【0006】
いくつかの実施形態では、核酸のアレイを撮像するための顕微鏡の対物レンズ用の装置は、単純面を有する複数のレンズであって、複数のレンズが光学縦列を形成し、光学縦列が第1のレンズから最終レンズまで延在し、複数のレンズは4つのダブレットレンズを備え、トリプレットレンズを備えない、複数のレンズ、開口絞りであって、開口絞りは物理的な開口絞りであり、開口絞りは第1のレンズと最終レンズとの間に配置され、開口絞り、及び/または第1のレンズと最終レンズとの間の非球面レンズであって、非球面レンズは、開口絞りから25ミリメートル以内に配置される、非球面レンズを備える。いくつかの実施形態では、第1のレンズは最終レンズよりも試料に近くなるように構成されており、開口絞りは、第1のレンズから測定して、光学縦列内の70%~90%の間の距離に位置し、光線は、光学縦列の最終レンズを通過した後に無限遠補正されず、非球面レンズの直径は40ミリメートル以上60ミリメートル以下であり、装置の被写界深度は1.5ミクロン以下であり、装置は、0.6~0.8の間の開口数を有し、及び/または装置は、少なくとも1mm2の視野を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、DNAシークエンシング用のシステムは、核酸のアレイの付着のために構成された固体支持体、対物レンズであって、単純面を有する複数のレンズと、開口絞りであって、開口絞りは物理的な開口絞りである、開口絞りと、開口絞りから25ミリメートル以内に配置された非球面レンズとを備える、対物レンズ、及び/または対物レンズを使用して、アレイを撮像するように構成されたカメラを備える。いくつかの実施形態では、固体支持体はフローセルの一部であり、フローセルは、0.3ミリメートル以上2.0ミリメートル以下の厚さを有するカバースリップを有しており、対物レンズの第1のレンズは、固体支持体からある距離だけ離れており、その距離は、10ミリメートル以下3ミリメートル以上であり、複数のレンズが光学縦列を形成し、光学縦列は第1のレンズから最終レンズまで延在しており、複数のレンズは、4つのダブレットレンズを備え、トリプレットレンズを備えておらず、システムの被写界深度は1.5ミクロン以下であり、システムの開口数は0.6~0.8であり、システムには少なくとも4mm2の視野があり、及び/またはシステムはさらに、対物レンズとカメラとの間にミラーを備え、ミラーは非球面レンズに対して40度未満の角度にある。
【0008】
いくつかの実施形態では、核酸シークエンシングのための方法は、フローセルに材料を通すことであって、材料が、核酸シークエンシングのための試薬を含む、通すことと、フローセルを光で照らすことと、カメラセンサを使用して、フローセルからの光を対物レンズを通して撮像することであって、対物レンズが、単純面を有する複数のレンズ、開口絞りであって、開口絞りが物理的な開口絞りである、開口絞り、及び/または開口絞りから25ミリメートル以内に配置された非球面レンズを備える、撮像することとを含む。
【0009】
本開示を、添付の図と関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態による、DNAシークエンシング用フローセルを撮像するための光学システムの図表示を示す。
【
図2】本発明の実施形態による、被較正焦点感知光学縦列、ルミネセンス励起光学縦列、及びルミネセンス検出光学縦列を有するエピルミネセンス検出システムの図表示を示す。
【
図4】DNAシークエンシングのためのプロセスの実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面において、同様の構成要素及び/または特徴は同じ参照ラベルを有することができる。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、参照ラベルの後にダッシュを付け、類似の構成要素を区別する第2のラベルを付けることによって区別することができる。本明細書で第1の参照ラベルのみが使用されている場合、その説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを持つ類似の構成要素のいずれにも適用できる。
【0012】
以下に続く説明は、好ましい例示的な実施形態(複数可)を提供するものであり、本開示の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図するものではない。むしろ、好ましい例示的な実施形態(複数可)の以下に続く説明は、様々な例示的な実施形態を実施するための有効な説明を当業者に提供することになる。添付の特許請求の範囲に記述されている趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に様々な変更を加えることができることが理解される。
【0013】
本開示は、とりわけ、一般に光学システムに関する実施形態を記述し、より詳細には、限定されないが、顕微鏡用の対物レンズに関する実施形態を記述する。
【0014】
最初に
図1を参照すると、本発明の実施形態による、DNAシークエンシング用のフローセルなどのサンプル容器を撮像するための光学システム100の実施形態の図表示が示されている。光学システム100は、対物鏡106、フローセル107、及びセンサ110を含む。フローセル107からの光は、対物鏡106を通過した後、センサ110によって撮像される。
【0015】
対物鏡106は、複数のレンズ115、非球面レンズ120、及び開口絞り125を備える。複数のレンズ115は単純面を有する。単純面とは、球または円柱の一部分として定義できる面のことであり、平面は、無限大の半径を有する球の一部分である特別な場合である。複数のレンズ115は、第1のレンズ115-1、第2のレンズ115-2、第3のレンズ115-3、及び第4のレンズ115-4を備える。複数のレンズ115は、対物鏡106の光学縦列を形成し、この光学縦列は、第1のレンズ115-1から最終レンズ(例えば、第4のレンズ115-4)まで延在している。第1のレンズ115-1、第2のレンズ115-2、第3のレンズ115-3、及び第4のレンズ115-4はダブレットレンズであり、各ダブレットレンズは2枚の単レンズを(例えば、エポキシによって)一体に接合したものである。第1のレンズ115-1は、最終レンズよりもフローセル107(例えば、撮像のための試料を含む)に近い。
【0016】
図1の例示的な構成における複数のレンズは、(第2のレンズ115-2と第3のレンズ115-3との間に)第5のレンズ115-5及び第6のレンズ115-6を含む。第5のレンズ115-5及び第6のレンズ115-6は、単レンズである。いくつかの実施形態では、第5のレンズ115-5は第1のシングレットレンズと呼ばれ、第6のレンズ115-6は第2のシングレットレンズと呼ばれる。
図1に例示された複数のレンズ115は、トリプレットレンズを含まない。トリプレットレンズは、3枚の単レンズ(例えば、エポキシで互いに接着されている)を有する。第5のレンズ及び第6のレンズは球面を有する。非球面レンズが代わりに使われてもよいが、コストが高くなる可能性がある。
【0017】
開口絞り125は、物理的な開口絞りである。開口絞り125は、開口絞り125の開口部を形成する1つの壁(例えば、円形の開口の場合は1つの壁)または複数の壁を有する。開口絞り125は、第1のレンズ115-1と最終レンズとの間に配置される。非球面レンズ120は、開口絞り125から距離dだけ離れて配置され、開口絞り125よりも第1のレンズ115-1に近い。いくつかの実施形態では、距離dは、30、25、20、15、10、5、3、2、1.5、または1ミリメートル以下(例えば、1、2、3、または11ミリメートル)である。
【0018】
開口絞り125は、対物鏡106の光学縦列内の70%~90%の間の距離に位置している。ただし、ゼロはフローセル107に最も近い第1のレンズ115-1の表面であり、100%は対物鏡106の光学縦列の最終レンズの最終表面である。非球面レンズ120は、40ミリメートル以上60ミリメートル以下(例えば、40、42、45、47、50、52、55、57、または60ミリメートル)の直径を有する。いくつかの実施形態では、非球面レンズ120の大きな直径が、長い作動距離、平坦な像面湾曲、高い開口数、及び/または広い視野を有する対物鏡106を提供することに寄与する。非球面レンズ120は重要的な役割を果たすが、対物鏡106のレンズの全体的な組み合わせがこれらの特性に寄与している。
【0019】
本開示のシステムまたは方法中に含まれる対物鏡(例えば、対物鏡106)は、0.1以上0.9以下の開口数(NA)を有し得る。例えば、NAは0.5~0.9の間、0.6~0.9の間、0.7~0.9の間、0.5~0.8の間、または0.6~0.8の間であってもよい。対物鏡または他のトランスミッタは、100ミクロン未満、50ミクロン未満、10ミクロン未満、5ミクロン未満、1ミクロン未満、または0.5ミクロン未満だけ分離した表面上の特徴(例えば核酸部位)を分解する検出システムで動作するように構成することが可能である。対物鏡または他のトランスミッタを含む検出システムは、約1mm2、500μm2、100μm2、25μm2、10μm2、5μm2、1μm2、500nm2、または100nm2より小さい平均面積を有する特徴を分解するように構成することが可能である。
【0020】
本明細書に記載の光学システムは、0.1mm2、0.5mm2、1mm2、2mm2、4mm2、8mm2、12mm2、16mm2、18mm2以上の視野を有することが可能である。代替的にまたは追加的に、視野は、18mm2、16mm2、12mm2、8mm2、4mm2、2mm2、1mm2、0.5mm2、0.1mm2以下になるように構成することが可能である。視野を大きくすることで、フローセル107の走査を高速化することが可能になり得る。
【0021】
光学システム100などの本開示の光学システムは、2.0、1.75、1.5、1.25、1.0、または0.8ミクロン以下の被写界深度を有することができる。代替的にまたは追加的に、被写界深度は、0.3、0.4、0.7、1.0、1.5または2.0ミクロン以上にすることができる。
【0022】
回転対称多項式非球面は、球面(または円錐面によって表される非球面)からのずれの多項式展開によって記述することができる。偶数次非球面モデルとは、動径座標の偶数乗のみを用いて非球面性を記述するものである。偶数次非球面モデルでは、基準曲率半径及び円錐定数を用いる。非球面のサグは次式で与えられる。
【数1】
上式で、c=1/R、Rは基準曲率半径、kは円錐定数である。
【0023】
いくつかの実施形態では、
α2=0+/-1,3,5%
α4=2.13e-06+/-1,3,5%,例えば、2.126e-06,2.148e-06
α6=1.0e-09+/-1,3,5%,例えば、0.9967e-09,1.021e-09
α8=1.17e-12+/-1,3,5%,例えば、1.146e-12,1.196e-12
α10=1.1e-16+/-1,5,10,20%,例えば、0.9054e-16,1.287e-16
R=128mm+/-1,3,5%
k=0+/-1,3,5%
【0024】
上記の非球面方程式は10次になる。方程式はより高次の項を使うことができる。上記に例示されたモデル及び方程式の代わりに、またはそれらと組み合わせて、光学に関する技術分野で公知の様々なモデルまたは方程式を用いることができることが理解されよう。
【0025】
表Iは、対物鏡106の寸法の例を提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【0026】
表IIは、対物鏡106の値の例を提供する。
【表2-1】
【表2-2】
【0027】
光学システム100は、集束ダイクロイックミラー128、励起ダイクロイックミラー129、及びチューブレンズ130をさらに備える。集束ダイクロイックミラー128は、自動焦点システムのために、対物鏡106の光軸に沿って光を結合するように構成されている。励起ダイクロイックミラー129は、対物鏡106の光軸に沿って光を結合して、励起源(図示せず)から供給される励起光をフローセル107に照射するように構成されている。フローセル107内のサンプルが励起光を吸収し、蛍光による光を発する。蛍光から生じた光は、対物鏡106を通り、センサ110に向かって進む。
【0028】
いくつかの実施形態では、フローセル107から対物鏡106を通って進む光線が、対物鏡106を通過した後に無限遠補正されない。一般に、光は、対物鏡を出た光線が点光源に関してコリメートされるように、対物鏡によってコリメートされる。しかし、光線が対物鏡の個々の構成要素を通過するとき、
図1の光線追跡によって例示されるように、光線は局所的に収束し、発散し、またはコリメートされることになる。したがって、
図1に示されるように、対物鏡106をセンサ110に向かう方向に出る光線は、光がチューブレンズ130に伝播する際にコリメートされず、収束する。いくつかの実施形態では、光は対物鏡106を出た後に発散している。チューブレンズ130は、対物鏡106からの光をセンサ110に集束させる。集束ダイクロイックミラー128及び励起ダイクロイックミラー129は、対物鏡106とチューブレンズ130との間に配置されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、光学システム100は、核酸シークエンシングに用いられる。フローセル107は、表面に核酸のアレイを含むことができる。シークエンシングに使用される流体試薬は、フローセルに流し入れ、フローセルから外へ流出させることができる。対物鏡106は、試薬によって修飾された核酸が検出され得る表面を観察するように構成することができる。対物鏡106は、単純面を有する複数のレンズ115、開口絞り125、開口絞り125の25ミリメートル以内に配置された非球面レンズ120、及び/または対物鏡106を使用してフローセル内の内容物を撮像するように構成されたカメラ(例えば、センサ110)を備える。いくつかの実施形態では、対物鏡106は対物レンズと称される。光学システム100は、1つ以上のビームスプリッタ(例えば、集束ダイクロイックミラー128、励起ダイクロイックミラー129)を含むことができる。ビームスプリッタ(例えば、集束ダイクロイックミラー128)は、非球面レンズ120に対して45度の角度(例えば、+/-2、3、または5度)を有し得る(例えば、対物鏡106に向かって延在する集束ダイクロイックミラー128の光軸が、非球面レンズ120の光軸に対して45度の角度である)。さらに、別のビームスプリッタ(例えば、励起ダイクロイックミラー129)は、非球面レンズ120に対して40度未満の角度を有し得る。例えば、励起ダイクロイックミラー129の光軸135は、対物鏡106に向かって延在して、非球面レンズ120の光軸に対して角度θをなす。角度θは、45、40、35、30、または25度以下、及び/または5、10、15、または20度以上である。角度θが45度未満であるのは、対物鏡106とチューブレンズ130との間の距離が制約されるので、対物鏡106とチューブレンズ130との間に、集束ダイクロイックミラー128及び励起ダイクロイックミラー129を共に45度の角度で取り付けることが困難になるためである。いくつかの実施形態では、1つ以上のビームスプリッタをミラー(例えば、部分ミラー)と称することがある。ビームスプリッタの代わりに、ホットミラーまたはコールドミラーを使用してもよい。例えば、励起ダイクロイックミラー129は、コールドミラー(励起光などの波長の短い光を反射し、フローセル107からのサンプルの蛍光による光など、長い波長の光を通過させる)であってもよい。励起光は対物鏡106を通過するので、対物鏡106のレンズは低蛍光性材料で作られている(例えば、そのため、励起光によりレンズが蛍光を発して、カメラでノイズが発生することにはならない)。低蛍光性材料は、励起光からの吸収が少なく、及び/または励起光による発光が少ない(例えば、励起光波長(複数可)での吸収が15、10、5、または2パーセント未満)。特定の構成では、対物鏡106は、スペクトルの紫外(UV)、可視(VIS)または赤外(IR)の1つ以上の部分における放射線を透過させることができる。例えば、対物鏡に使用される材料は、それらのスペクトルの範囲の1つ以上において実質的に非蛍光性であり得る。
【0030】
フローセルは、カバースリップを有する。フローセルのカバースリップは、0.3、0.5、0.7、0.9、または1.0ミリメートル以上、及び/または2.0、1.5、または1.2ミリメートル以下(例えば、1ミリメートル)の厚さを有し得る。対物鏡106は、フローセルのカバースリップを通してサンプルを撮像するように構成されており、通常のカバースリップ(例えば、厚さ0.17ミリメートルのカバースリップ)を通して撮像するために用いられる対物鏡とは異なる。言い換えれば、薄いカバースリップ(例えば、厚さ0.17ミリメートルのカバースリップ)を通して撮像するために用いられる対物鏡が、
図3に示されるカバースリップを有するフローセルを撮像するために必ずしも使用できるとは限らない。対物鏡の第1のレンズ115-1は、フローセルからある距離を離されており、このフローセルからの距離は、10、7、6、または5.5ミリメートル以下、及び/または1、2、3、または5ミリメートル以上(例えば、3.79、4.25、5.02、5.15、5.22、5.27、5.33、または6.64ミリメートル)である。
【0031】
いくつかの実施形態では、対物鏡106は、第1のレンズ及び第2のレンズを有する第1のダブレットレンズ(例えば、第1のレンズ115-1)であって、第1のダブレットレンズの第1のレンズが凹面及び凸面を有し、第1のダブレットレンズの第2のレンズが凹面及び凸面を有する、第1のダブレットレンズと、第1のレンズ及び第2のレンズを有する第2のダブレットレンズ(例えば、第2のレンズ115-2)であって、第2のダブレットレンズの第1のレンズが凹面及び凸面を有し、第2のダブレットレンズの第2のレンズが凹面及び凸面を有する、第2のダブレットレンズと、第1のレンズ及び第2のレンズを有する第3のダブレットレンズ(例えば、第3のレンズ115-3)であって、第3のダブレットレンズの第1のレンズが2つの凸面を有し、第3のダブレットレンズの第2のレンズが2つの凹面を有する、第3のダブレットレンズと、第1のレンズ及び第2のレンズを有する第4のダブレットレンズ(例えば、第4のレンズ115-4)であって、第4のダブレットレンズの第1のレンズが2つの凹面を有し、第4のダブレットレンズの第2のレンズが2つの凸面を有する第4のダブレットレンズと、第3のダブレットレンズと第4のダブレットレンズとの間の非球面レンズ(例えば、非球面レンズ120)と、第3のダブレットレンズと第4のダブレットレンズとの間の開口絞り(例えば、開口絞り125)であって、開口絞りが非球面レンズの25ミリメートル以内にある、開口絞りとを備える。各ダブレットレンズの第1のレンズは、各ダブレットレンズの第2のレンズよりもフローセル107に近い。トリプレットは製造がより容易であるが、トリプレットにすると対物鏡106の光学縦列が長くなる可能性がある。光学縦列を短くすることの利点は、検出システムが比較的小さな面積を占めることであり、例えば、一般的な実験台への配置に適した設置面積を提供することである。
【0032】
図2は、焦点感知光学縦列と一体化された分析光学縦列を含む光学システム200の実施形態を示す。分析光学縦列及び焦点感知光学縦列は共に対物鏡206を含み、したがって両方の光学縦列はステージ207上の試料を見るように構成される。例えば、ステージ207上に置かれたフローセル、核酸アレイまたは他の容器は、対物鏡206を介して、分析光学縦列及び焦点感知光学縦列の両方によって観察することができる。対物鏡206は、
図1に示された対物鏡106の光学要素を含むことができる。集束ダイクロイックミラー228は、対物鏡206と焦点感知光学縦列の他の構成要素との間で放射線を反射するように構成される。集束ダイクロイックミラー228はまた、対物鏡206と分析光学縦列の他の構成要素との間で放射線を伝送するように構成される。したがって、集束ダイクロイックミラー228は、分析光学縦列と焦点感知光学縦列との交差点または統合点となる機能を提供する。本明細書に記載の機能を果たし、または本明細書に記載の利点を提供する、特定のレイアウトに適合するように、他の光学要素が、この交差及び統合機能を所望に応じて実行できることを理解されたい。
【0033】
図2に示す焦点感知光学縦列は、放射線源201によって生成された放射線がコリメータ203によってコリメートされ、トーリックビームスプリッタ204に伝送されて、そこで放射線の少なくとも一部が較正ビームスプリッタ205に反射されるように構成される。放射線の一部は、較正ビームスプリッタ205によって反射されるので、トーリックビームスプリッタ204を通過し、次に結像レンズ208を通って検出器209に達する。この第1の経路の帰結が、光学縦列の較正状態を示す検出器上の像となる。焦点感知光学縦列における第1の経路は、較正感知経路の例である。
【0034】
上記のように、トーリックビームスプリッタ204によって較正ビームスプリッタ205に反射された放射線の一部は、トーリックビームスプリッタ204に反射されて戻ることになる。トーリックビームスプリッタ204によって反射された放射線の別の部分は、第2の経路を進み、それによって放射線は、較正ビームスプリッタ205を通ってビームスプリッタ228に至り、このビームスプリッタ228が放射線を対物鏡206に反射し、次いでステージ207上に配置された試料に達するようになる。したがって、第2の経路は、放射線源201から、コリメータ203を通って、トーリックビームスプリッタ204によって反射され、較正ビームスプリッタ205を通り、対物鏡206を通って、ステージ207上の試料に至る経路を含むものとみなすことができる。第2の経路からの放射線は、試料によって反射され得、反射された放射線は、第3の経路に沿って、対物鏡206を通り、較正ビームスプリッタ205を通り、トーリックビームスプリッタ204を通り、結像レンズ208を通って検出器209まで伝送され得る。この第3の経路の帰結が、光学縦列の集束状態を示す検出器上の像となる。第2の経路と第3の経路との組み合わせは、焦点感知経路として機能する。この焦点感知光学縦列は、非点収差の焦点感知、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第62/859,886号に記載された方法及びシステムに使用することができる。
【0035】
図2に示す例示的なレイアウトを続けると、分析光学縦列はエピルミネセンス用に構成されており、試料を励起する励起放射線と励起状態の試料によって生成される発光信号とが共通の対物鏡206を通って伝送する。焦点感知光学縦列はまた、対物鏡206を介して試料との間に伝送するので、システムに対して検出される焦点誤差は、試料からのルミネセンス信号を検出する精度と、試料の特定の焦点面を励起する精度との両方に関係し得る。励起経路を含まない光学システム、または落射照明を利用しない蛍光透過配置によって試料を励起する光学システムを使用する場合、蛍光評価システムは、焦点を評価される経路に応じて、対物鏡を発光光路または励起光路の一方の光路と共有するように構成することができる。
【0036】
図2の励起システムは、2つの異なる波長で試料を励起するように構成されている。第1の発光ダイオード(LED)220は、第1の波長で励起放射線を発生させ、第2のLED221は、第2の波長で励起放射線を発生させる。第1のLED220及び第2のLED221からの励起放射線は、それぞれコンデンサレンズ222及びコンデンサレンズ223により、2つの励起経路を収束させる励起コンバイナ224に伝送される。そして励起経路は、デュアルバンドパスフィルタ225及び励起レンズ226を経て反射板227に至り、この反射板は励起放射線を励起ダイクロイックミラー229に反射させる。励起放射線は、励起ダイクロイックミラー229によって反射され、次いで集束ダイクロイックミラー228を通って、対物鏡206とステージ207上の試料とに達する。
【0037】
図2の例示的なシステムは、2つの励起源を含む。同様のシステムを、1つの励起源のみ、または2つを超える励起源と共に使用するように修正できることが理解されよう。例えば、最大4つの励起源を含むことで、核酸中に存在し得る4種類のヌクレオチドを、それぞれが異なる励起波長に対する異なる反応に基づいて区別される4つの異なる発光団のうちの1つで標識されていることに基づいて区別する用途において有益となり得る。また一方、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,161,003号に記載されているように、4種類未満の発光団を用いて4種類のヌクレオチドタイプを区別することができる。
【0038】
分析光学縦列はまた、ステージ207上の試料からのルミネセンス信号を発光カメラ231に導く光学構成要素を含む。試料からの発光放射線は、対物鏡206によって集められ、集束ダイクロイックミラー228を通り、次に励起ダイクロイックミラー229を通り、そして発光デュアルバンドパス232及び撮像チューブ230を通って発光カメラ231に伝送され得る。この例示的な構成では、2つの波長で励起された発光団からの発光を1台のカメラで検出することができる。本システムは、発光検出経路に分割光学系を導入することにより、2台以上のカメラを含むように容易に修正することができる。例えば、核酸の検出に使用されるシステムでは、核酸を検出するときに4種類のヌクレオチドタイプの標識を区別するために、最大4つの異なるカメラを含むことができる。
【0039】
本明細書では、非点収差の放射線の検出に関して、被較正焦点感知のいくつかの態様を例示している。放射線の他の特性が、光学システムの焦点及び較正を評価するための基礎を提供し得ることを理解されたい。例えば、焦点感知システムは、光学縦列の変化が、焦点システムの焦点位置及び較正と相関させることができる光の偏光における観察可能な変化として現れるように、偏光を伝送する光学縦列で構成することができる。より具体的には、
図2の光路を以下のように修正してもよい。トーリックビームスプリッタ204は、1つの偏光の放射線を反射し、第2の偏光の放射線を透過させる偏光ビームスプリッタと置き換えることができる。放射線源は、偏光していない放射線源(例えばLED)、または2つの偏光を持つように配向されたレーザであってもよい。光路の修正を続けると、光学縦列に偏光回転子を追加して、透過偏光状態から反射偏光状態に偏光変換することができる。光路の感知アームに第2の偏光回転子を追加して、偏光ビームスプリッタを通って検出器に伝送される放射線の偏光を変換することができる。これらの構成などの構成は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第62/859,886号に記載されている。
【0040】
特定の構成では、本明細書に記載のシステムまたは方法は、核酸シークエンシングシステムで使用される光学サブシステムまたは構成要素を採用することができる。いくつかのそのような検出システムは、例えば、蛍光信号の検出などの光学的検出のために構成される。本明細書で容器を検出するために用いることができる検出システム及びその構成要素の例は、例えば、米国特許出願公開第2010/0111768A1号または米国特許第7,329,860号、第8,951,781号もしくは第9,193,996号に記載されている。これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。その他の検出システムとしては、Illumina(商標),Inc.(例えば、HiSeq(商標)、MiSeq(商標)、NextSeq(商標)、またはNovaSeq(商標)システム)、Life Technologies(商標)(例えば、ABI PRISM(商標)、またはSOLiD(商標)システム)、Pacific Biosciences(例えば、Sequel(商標)またはRS II(商標)システムなどのSMRT(商標)テクノロジを用いたシステム)、またはQiagen(例えば、Genereader(商標)システム)が提供するような核酸シークエンシング用に商品化されているものが挙げられる。その他の有用な検出器については、米国特許第5,888,737号、第6,175,002号、第5,695,934号、第6,140,489号、もしくは第5,863,722号、または米国特許公開第2007/007991A1号、第2009/0247414A1号、もしくは第2010/0111768号、またはWO2007/123744に記載されており、これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の光学構成要素を採用するように修正することができる特に有用な核酸シークエンシングシステムが、米国特許出願公開第2019/0055598A1号及び米国特許出願第62/807,934号に提供されており、そのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
したがって、本開示は、(a)試料を保持するように構成されたステージと、(b)放射線源、較正光学系、対物鏡、及び検出器を含む光学縦列であって、放射線源からの放射線が較正光学系に導かれ、次に放射線の第1の部分が検出器に導かれ、それによって検出器上に第1の像を形成する第1の経路を形成する光学縦列であって、放射線の第2の部分は、較正光学系から、その後、対物鏡を通って試料に至る、第2の経路を進み、光学縦列が、試料から反射された放射線が対物鏡を通り、次に検出器に伝送され、それによって検出器上に第2の像を形成する第3の経路を形成し、第1の像を形成する放射線は非点収差である、光学縦列と、(c)励起放射線源からの放射線を、対物鏡を通して試料に向けるためと、試料からのルミネセンス発光放射線を、対物鏡を通してルミネセンス検出器に向けるためとのルミネセンス光学縦列とを含む、核酸シークエンシングシステムを提供する。
【0042】
特定の構成では、核酸シークエンシングシステムは、(a)試料を保持するように構成されたステージと、(b)放射線源、コリメータ、一次ビームスプリッタ、較正ビームスプリッタ、対物鏡及び検出器を備える光学縦列であって、光学縦列が、放射線源からの放射線がコリメータによってコリメートされ、次に一次ビームスプリッタに伝送され、次に較正ビームスプリッタに伝送される第1の経路を形成し、次に放射線の第1の部分が、較正ビームスプリッタから一次ビームスプリッタ、そして検出器へと第1の経路を進み続け、それによって検出器に第1の像を形成し、放射線の第2の部分は、較正ビームスプリッタから、その後、対物鏡を通って試料に至る、第2の経路を進み、光学縦列が、試料からの放射線が対物鏡を通り、次に較正ビームスプリッタを通り、次に一次ビームスプリッタを通り、そして検出器に伝送され、それによって検出器上に第2の像を形成する第3の経路を形成し、一次ビームスプリッタが、コリメータから較正ビームスプリッタに放射線を伝送するためのトーリック面を有するか、または、光学縦列が、放射線源と較正ビームスプリッタとの間に非点収差レンズを含む、光学縦列と、(c)励起放射線源からの放射線を、対物鏡を通して試料に向けるためと、試料からのルミネセンス発光放射線を、対物鏡を通してルミネセンス検出器に向けるためとのルミネセンス光学縦列とを含むことができる。
【0043】
シークエンシングシステムまたは他の検出システムは、焦点感知光学縦列及び分析光学縦列の両方に使用される放射線源を有するように構成され得る。したがって、放射線源は、焦点感知のために用いられる反射と、焦点を合わせられている試料の解析的分析のためのルミネセンス発光との両方を生成するために用いられ得る。あるいは、別々の放射線源を使用してもよく、1つは(例えば、焦点を決定するために評価される反射を生成するために)焦点感知光学縦列用であり、もう1つは(例えば、試料の分析に使用されるルミネセンス発光を生じさせる発光団を励起するために)分析光学縦列用である。
【0044】
シークエンシングシステムまたは他の検出システムは、試料の焦点感知と試料の分析的評価との両方に使用される検出器を有するように構成され得る。したがって、検出器は、焦点感知のために用いられる反射と、焦点を合わせられている試料の解析的分析のためのルミネセンス発光との両方を検出するために用いられ得る。あるいは、別々の検出器を使用してもよく、1つは(例えば、焦点を決定するために評価される反射を観察するために)焦点感知光学縦列用であり、もう1つは(例えば、試料の関心のある特性を示す発光団からの発光を観察するために)分析光学縦列用である。
【0045】
本明細書では、フローセルを試料として、または検出すべき試料を提示する容器として使用するいくつかのシステム及び方法を例示している。本明細書に記載されたシステムまたは方法には、様々な容器のいずれかを使用することができる。フローセルは、特に核酸シークエンシングの用途または試薬の繰り返し配送を利用する用途において有用であり得る。フローセルは、1つ以上の標的分析物または試薬を付着させた固体支持体を含むことができる。特に有用な固体支持体(フローセルまたは他の容器で使用されるかどうかにかかわらず)は、部位のアレイを有するものである。アレイには、多重検出を容易にするという利点がある。例えば、異なる試薬または分析物(例えば、細胞、核酸、タンパク質、候補小分子治療剤など)は、各異なる分析物をアレイの特定の部位に結合させることによってアレイに付着させることが可能である。有用であり得る例示的なアレイ基板には、限定されないが、Illumina,Inc.(San Diego,CA)から入手可能なBeadChip(商標)アレイ、または米国特許第6,266,459号、第6,355,431号、第6,770,441号、第6,859,570号、もしくは第7,622,294号、またはPCT公開第WO00/63437号に記載されているようなアレイが挙げられ、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、使用可能な市販のアレイ基板の例としては、例えば、AffymetrixのGeneChip(商標)アレイが挙げられる。いくつかの実施形態によれば、スポテッドアレイ基板を使用することもできる。例示的なスポテッドアレイとしては、Amersham Biosciencesから入手可能なCodeLink(商標)アレイがある。Agilent Technologiesが提供するSurePrint(商標)テクノロジなどのインクジェットプリンティング方式を使用して製造される別のアレイも有効である。
【0046】
その他の有用なアレイ基板としては、核酸シークエンシング用途で使用される基板が挙げられる。例えば、ゲノム断片の付着アンプリコン(しばしばクラスタと呼ばれる)を作成するために使用されるアレイは、特に有用であり得る。本明細書に記載されたシークエンシングまたは他の用途に使用するために修正可能であるかまたは当技術分野で既知の基板の例には、Bentley et al.,Nature 456:53-59(2008)、PCT公開第WO91/06678号、第WO04/018497号もしくは第WO07/123744号、米国特許第7,057,026号、第7,211,414号、第7,315,019号、第7,329,492号もしくは第7,405,281号、または米国特許出願公開第2008/0108082A1号に記載されているものが含まれ、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
アレイは、100μm、50μm、10μm、5μm、1μm、または0.5μm未満の間隔で配置された部位を有することができる。特定の実施形態では、アレイの部位はそれぞれ、約100nm2、250nm2、500nm2、1μm2、2.5μm2、5μm2、10μm2、100μm2、または500μm2よりも大きい面積を有することが可能である。代替的にまたは追加的に、アレイの部位はそれぞれ、約1mm2、500μm2、100μm2、25μm2、10μm2、5μm2、1μm2、500nm2、または100nm2よりも小さい面積を有することが可能である。
【0048】
実際、部位は、上記に例示したものから選択された上限と下限との間の範囲にあるサイズを有することが可能である。アレイは、例えば、少なくとも約10部位/cm2、100部位/cm2、500部位/cm2、1,000部位/cm2、5,000部位/cm2、10,000部位/cm2、50,000部位/cm2、100,000部位/cm2、1,000,000部位/cm2、5,000,000部位/cm2以上を含む様々な密度のいずれかの部位を有することができる。本明細書に記載されたシステムまたは方法の実施形態は、上記の密度または部位離隔距離で、部位を区別するのに十分な解像度で、アレイを撮像するために使用することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、フローセル内の分析物の光学的検出を利用する。そのために、フローセルは、それぞれが少なくとも1つの透明な窓を有する1つ以上のチャネルを含むことができる。特定の実施形態では、窓は、X線、紫外線(UV)、可視光線(VIS)、赤外線(IR)、マイクロ波及び/または電波放射線を含むがこれらに限定されない特定のスペクトル範囲の放射線に対して透明であり得る。場合によっては、窓(複数可)の内面に分析物が付着する。代替的にまたは追加的に、1つ以上の窓は、分析物が付着している内部基板を見ることができる。本明細書に記載の方法またはシステムにおいて有用であり得る例示的フローセル及びフローセルの物理的特徴は、例えば、米国特許出願公開第2010/0111768A1号、WO05/065814または米国特許出願公開第2012/0270305A1号に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
本開示の検出構成要素と組み合わせて使用するために、本明細書の教示に従って修正することができる例示的な反応容器(例えば、フローセル)及び流体構成要素は、共同所有された米国特許出願公開第2018/0280975A1号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。特に核酸シークエンシング反応などの周期的反応に有用な他の流体構成要素は、米国特許出願公開第2009/0026082A1号、第2009/0127589A1号、第2010/0111768A1号、第2010/0137143A1号、もしくは第2010/0282617A1号、または米国特許第7,329,860号、第8,951,781号もしくは第9,193,996号に記載されており、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
本明細書に記載された例から明らかなように、容器は開放型(例えば、マルチウェルプレートのウェル、チップの表面、またはシートの表面)であってもよく、または容器が密閉型(例えば、フローセルのレーン)であってもよい。マルチウェルプレートのウェルを任意選択で覆って密閉容器を作ることができ、同様にシート、ベルト、テープまたはリボンは、層間に内腔が生じるように複数の層を有することができることが理解されよう。あるいは、容器は、流体を含むトラフ、ウェル、またはその他の凹状構造など、1つ以上の開放型構造を有してもよい。容器は、ポストまたはリッジなどの凸状構造または突出構造を有することもでき、任意選択で個々の突出部をそれぞれ、検出または操作しようとしている1つ以上の分析物に取り付けることが可能である。
【0052】
本開示の検出システムまたは他の装置は、検出される予定の容器に試薬を配送するための流体システムを含むことができる。そのために、1つ以上のリザーバが、容器の入口バルブに流体的に接続され得る。本システムは、リザーバから容器に試薬を駆動するための圧力供給装置をさらに含むことができる。本システムは、使用済み試薬を除去するために容器に流体的に接続された廃棄物リザーバを含むことができる。容器がフローセルである実施形態を例にとると、試薬はポンプを介してフローセルに入口から供給され、その後、フローセルの出口から廃棄物リザーバに流れることができる。リザーバは、核酸シークエンシング、核酸の遺伝子型決定、核酸発現解析、タンパク質シークエンシング、タンパク質結合解析(例えばELISA)、小分子受容体結合、タンパク質リン酸化解析、核酸合成またはタンパク質合成を含むがこれらに限定されない様々な分析手順のいずれかのための試薬を含むことが可能である。代替的にまたは追加的に、リザーバは、調製プロセス用の試薬を含むことがある。例示的な調製プロセスとしては、核酸合成、ペプチド合成、オリゴヌクレオチドの遺伝子へのアセンブリ、フォトリソグラフィ、(例えば、レーザエッチングを介した)ナノ加工またはマイクロ加工、レーザアブレーションなどを含むが、これらに限定されない。
【0053】
流体システムは、試薬をリザーバから検出が行われる容器に導くための少なくとも1つのマニホルド及び/または少なくとも1つのバルブを含み得る。マニホルドは、シークエンシングプロトコル中に配送される異なる試薬が比較的多数あるため、シークエンシング機器において特に役立つ。例示的なプロトコル及び有用な試薬は、以下にさらに詳細に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる参考文献に記載されている。リザーバからの流体の流れは、ソレノイドバルブ(例えばTakasagoElectric,Japan製のもの)、ボールバルブ、ダイヤフラムバルブ、またはロータリーバルブなどのバルブを介して選択することができる。
【0054】
本開示は、提供される焦点感知(及び所望により調整)の速度及び精度により、かつ本明細書に記載の対物鏡構成によって提供される高倍率及び検出の広視野の組み合わせにより、サイクル反応を実行するために特に有用なシステム及び方法を提供する。各サイクルには、反応のための試薬をフローセルまたは他の容器に配送することが含まれ、そこで任意選択で反応または反応の生成物を観察することができる。各サイクルは、本明細書に記載されたシステムまたは方法を用いた容器の検出をさらに含むことができる。本明細書では、核酸シークエンシング反応の文脈で本方法を例示している。しかしながら、当業者は、核酸合成反応、ペプチドシークエンシング反応、ペプチド合成反応、コンビナトリアル小分子合成反応などの他のサイクル反応のために、本方法、及び本システムを修正する方法を本明細書の教示から理解するであろう。しかし、本方法は周期的である必要はなく、代わりに、例えば単一の反応または現象を観察するために、非反復的な構成で本方法を実施することが可能である。
【0055】
特に有用なシークエンシング反応は、共同所有された米国特許出願公開第2017/0022553A1号、第2018/0044727A1号、第2018/0187245A1号、または第2018/0208983A1号に記載されているSequencing By Binding(商標)(SBB(商標))反応であり、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。一般に、鋳型核酸分子の配列を決定する方法は、特定の条件下での(ポリメラーゼ、プライムド核酸、及び同族ヌクレオチドの間で)三重複合体の形成に基づくことが可能である。本方法は、検査段階と、その後に続く、ヌクレオチド取り込み段階とを含むことができる。
【0056】
検査段階は、フローセル(または他の容器)内で実施することができ、フローセルは、フローセルに試薬を配送して第1の反応混合物を形成することによってプライマでプライミングされた少なくとも1つの鋳型核酸分子を含む。反応混合物は、プライミングされた鋳型核酸、ポリメラーゼ及び少なくとも1種のヌクレオチドを含み得る。プライマ(複数可)にヌクレオチドが共有結合していない条件下で、ポリメラーゼ及びヌクレオチドとプライミングされた鋳型核酸分子(複数可)との相互作用を観察することが可能であり、各鋳型核酸中の次の塩基を、ポリメラーゼ及びヌクレオチドと、プライミングされた鋳型核酸分子(複数可)との相互作用を観察することで同定することができる。プライミングされた鋳型、ポリメラーゼ、及びヌクレオチドの相互作用は、様々な方式で検出することができる。例えば、ヌクレオチドが、検出可能な標識を含んでもよい。各ヌクレオチドは、他のヌクレオチドに対して区別可能な標識を持つことができる。あるいは、異なるヌクレオチドタイプの一部または全部が同じ標識を持つことができ、フローセルに異なるヌクレオチドタイプを別々に供給することに基づいて、ヌクレオチドタイプを区別することができる。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼが標識され得る。異なるヌクレオチドタイプと結合するポリメラーゼには、結合するヌクレオチドのタイプを区別する固有の標識を付けることができる。あるいは、ポリメラーゼが同様のラベルを持ち、フローセルに異なるヌクレオチドタイプを別々に配送することに基づいて、異なるヌクレオチドタイプを識別することができる。検出は、本明細書に記載のシステムまたは方法を用いて実施することができる。
【0057】
検査段階では、三重複合体の安定化により、正しいヌクレオチドと正しくないヌクレオチドとの識別を容易にすることができる。様々な条件及び試薬が有効であり得る。例えば、プライマは、ヌクレオチドの共有結合を阻止する可逆的なブロッキング部分を含むことができ、及び/または二価の金属イオンなど、伸長に必要な補因子が存在しないことがあり、及び/またはポリメラーゼによるプライマ伸長を阻害する阻害性二価カチオンを存在させることができ、及び/または検査段階に存在するポリメラーゼは、プライマの伸長を阻害する化学修飾及び/または変異を有し得、及び/またはヌクレオチドは、ネイティブな三リン酸部分を除去または変更する5’修飾など、取り込みを阻害する化学修飾を有することができる。検査段階では、本明細書に記載の検出システム及び方法を含むことができる。
【0058】
次に、各鋳型核酸分子上のプライマにヌクレオチドを付加できる条件をフローセル内に作り出すことで、伸長段階を実施することができる。いくつかの実施形態では、これは、検査段階で使用された試薬を除去し、伸長を促進する試薬に置き換えることを含む。例えば、検査試薬を、伸長可能なポリメラーゼ及びヌクレオチド(複数可)に置き換えることができる。あるいは、1つ以上の試薬を検査段階の反応に加えて、伸長条件を作り出してもよい。例えば、触媒的二価カチオンを、カチオンが不足していた検査混合物に添加してもよく、及び/またはポリメラーゼ阻害剤を除去または無効化してもよく、及び/または伸長能を有するヌクレオチドを添加してもよく、及び/またはデブロッキング試薬を添加してプライマ(複数可)の伸長能を高めてもよく、及び/または伸長能を有するポリメラーゼを添加してもよい。
【0059】
様々な核酸シークエンシング反応のいずれもが、本開示のシステムまたは方法を用いて実施され得ることが理解されよう。その他の例示的なシークエンシング方法は、以下に示すとおりである。
【0060】
一塩基合成法(Sequencing-by-synthesis(SBS))技法を使用することができる。SBSは一般に、プライマがハイブリダイズする鋳型鎖に対するヌクレオチドの反復的な付加を介した新生プライマの酵素的伸長を含むものである。簡単に説明すると、SBSは、容器内の部位に付着した標的核酸を、1つ以上の標識ヌクレオチド、DNAポリメラーゼなどと接触させることによって開始することができる。標的核酸を鋳型として用いてプライマが伸長されるこれらの部位は、検出可能な標識ヌクレオチドを取り込むようになる。検出には、本明細書に記載の検出システムまたは方法を使用することができる。任意選択で、標識ヌクレオチドは、ヌクレオチドがプライマに付加されると、さらなるプライマ伸長を終了させる可逆的終了特性をさらに含むことが可能である。例えば、可逆的な終止部分を持つヌクレオチド類似体をプライマに添加し、デブロッキング剤を投与してその部分を除去するまで、その後の伸長が起こらないようにすることができる。したがって、可逆的終止を使用する実施形態では、(検出が起こる前または後に)デブロッキング試薬を容器に供給することができる。種々の配送ステップの間に洗浄を行ってもよい。このサイクルをn回繰り返すことで、プライマがnヌクレオチド分伸長し、それによって長さnの配列を検出することができる。本開示の方法によって製造される検出システムと共に使用するために容易に適合させることができる例示的なSBS手順、試薬及び検出構成要素が、例えば、Bentley et al.,Nature 456:53-59(2008)、WO04/018497、WO91/06678、WO07/123744、米国特許第7,057,026号、第7,329,492号、第7,211,414号、第7,315,019号または第7,405,281号、及び米国特許出願公開第2008/0108082A1号に記載されており、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。また、Illumina,Inc.(San Diego,CA)から市販されているSBS方法も有用である。
【0061】
パイロシークエンシングなど、他のシークエンシング手順を使用してもよい。パイロシークエンシングは、鋳型核酸鎖にハイブリダイズした新生プライマにヌクレオチドが取り込まれる際に放出される無機ピロリン酸(PPi)を検出するものである(Ronaghi,et al.,Analytical Biochemistry 242(1),84-9(1996)、Ronaghi,Genome Res.11(1),3-11(2001)、Ronaghi et al.Science 281(5375),363(1998)、米国特許第6,210,891号、第6,258,568号及び第6,274,320号、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる)。パイロシークエンシングでは、放出されたPPiはATPスルフリラーゼによってアデノシン三リン酸(ATP)に変換され、その結果生じるATPを、ルシフェラーゼ産生光子を介して検出することができる。したがって、本明細書に記載のシステム及び方法を用いて、容器を焦点に合わせ、及び/または容器を検出するように構成されたルミネセンス検出システムを介して、シークエンシング反応を監視することができる。
【0062】
シークエンシングバイライゲーション(Sequencing-by-ligation)の反応もまた有用であり、例えば、Shendure et al.Science 309:1728-1732(2005)、米国特許第5,599,675号、または米国特許第5,750,341号に記載されているものを含むことができ、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態は、例えば、Bains et al.,Journal of Theoretical Biology 135(3),303-7(1988)、Drmanac et al.,Nature Biotechnology 16,54-58(1998)、Fodor et al.,Science 251(4995),767-773(1995)、またはWO1989/10977に記載されているシークエンシングバイハイブリダイゼーション手順を含むことが可能であり、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。シークエンシングバイライゲーション及びシークエンシングバイハイブリダイゼーションの両方では、核酸鋳型にハイブリダイズしたプライマが、オリゴヌクレオチドのライゲーションによる伸長の反復サイクルに供される。典型的には、オリゴヌクレオチドは蛍光標識され、例えば、集束及び/または検出のために本明細書に記載されたシステムまたは方法を用いて、オリゴヌクレオチドを検出して、鋳型の配列を決定することが可能である。
【0063】
上記シークエンシング方法のステップは、周期的に行うことができる。例えば、SBB(商標)法の検査及び伸長ステップは、各サイクルにおいて、単一の次の正しいヌクレオチドが検査され(すなわち、次の正しいヌクレオチドは、ハイブリダイズしたプライマの3’末端にハイブリダイズした鋳型中の塩基のすぐ5’に位置する鋳型核酸中のヌクレオチドに正しく結合するヌクレオチドである)、続いて単一の次の正しいヌクレオチドがプライマに加えられるように、繰り返すことが可能である。本明細書に記載のシークエンシング方法の任意のサイクル数は、例えば、少なくとも1、2、5、10、20、25、30、40、50、75、100、150またはそれ以上のサイクルを含めて実施され得る。代替的にまたは追加的に、150、100、75、50、40、30、25、20、10、5、2または1サイクルを超えないサイクルが実施される。
【0064】
配列決定すべき核酸鋳型(複数可)を、公知の様々な方法のいずれかを用いて、容器に添加することができる。いくつかの実施形態では、単一の核酸分子が配列決定されることになる。核酸分子を容器に配送することができ、任意選択で容器内の表面に付着させてもよい。いくつかの実施形態では、分子は、単一分子シークエンシングに供される。あるいは、核酸のコピーを複数作成し、得られたアンサンブルを配列決定することが可能である。例えば、核酸は、以下にさらに詳しく述べる技術を用いて、表面(例えば、フローセルの内壁上)で増幅され得る。
【0065】
多重実施形態では、様々な異なる核酸分子(すなわち、様々な異なる配列を有する集団)が配列決定される。分子は、任意選択で容器内の表面に付着させてもよい。核酸は表面の重複しない部位に付着させることができ、1つの核酸分子を他のものから空間的に区別することができる単一の核酸分子を並行して配列決定することができる。あるいは、核酸を表面上で増幅して、複数の表面結合アンサンブルを作製することができる。本開示の方法及びシステムを用いて、アンサンブルを並行して配列決定し、アンサンブルを空間的に識別可能な方法で検出することができる。
【0066】
本明細書に記載される方法は、容器内での様々な増幅技術のいずれかを使用することができる。使用可能な例示的技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、多重置換増幅(MDA)、ブリッジ増幅、またはランダムプライム増幅(RPA)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、増幅に使用される1つ以上のプライマを容器内の表面に付着させることができる。このような実施形態では、表面に付着したプライマが鋳型核酸に沿って伸長することにより、鋳型のコピーが表面に付着することになる。各部位が特定の核酸鋳型の複数のコピーに付着される固体支持体上の1つ以上の部位をもたらす方法は、「クラスタリング」方法と称され得る。
【0067】
PCRの実施形態では、増幅に使用されるプライマの一方または両方を表面に付着させることができる。2種類の結合プライマを利用する形式は、二本鎖アンプリコンが、コピーされた鋳型配列を挟む二つのプライマの間にブリッジ様構造を形成することから、しばしばブリッジ増幅と呼ばれる。ブリッジ増幅に用いることができる例示的な試薬及び条件は、例えば、米国特許第5,641,658号または第7,115,400号、米国特許公開第2002/0055100A1号、第2004/0096853A1号、第2004/0002090A1号、第2007/0128624A1号、または第2008/0009420A1号に記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。PCR増幅は、表面に付着した増幅プライマの1つと溶液中の第2のプライマとを用いて行うこともできる。1つの固相付加型プライマと溶液相プライマとの組み合わせを使用する例示的な形式は、プライマウォーキングとして知られており、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,476,080号に記載されているように実施することが可能である。別の例は、例えば、Dressman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:8817-8822(2003)、WO05/010145、または米国特許公開第2005/0130173A1号もしくは第2005/0064460A1号に記載されているように実施することができるエマルジョンPCRであり、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
RCA技法を、本明細書に記載の方法に使用することができる。RCA反応に使用できる例示的な試薬、及びRCAがアンプリコンを産生する原理が、例えば、Lizardi et al.,Nat.Genet.19:225-232(1998)または米国特許出願公開第2007/0099208A1号に記載されており、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。RCAに使用されるプライマは、溶液中にあってもよく、またはフローセル中の表面に付着していてもよい。
【0069】
MDA技法を、本開示の方法に用いることもできる。MDAのためのいくつかの試薬及び有用な条件は、例えば、Dean et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA 99:5261-66(2002)、Lage et al.,Genome Research 13:294-307(2003)、Walker et al.,Molecular Methods for Virus Detection,Academic Press,Inc.,1995、Walker et al.,Nucl.Acids Res.20:1691-96(1992)、または米国特許第5,455,166号、第5,130,238号、または第6,214,587号に記載されており、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。MDAのために使用されるプライマは、溶液中にあってもよく、または容器中の表面に付着していてもよい。
【0070】
特定の実施形態では、上記の例示された増幅技法の組み合わせを使用することができる。例えば、RCA及びMDAを組み合わせて使用することができ、RCAは(例えば溶液相プライマを用いて)溶液中で鎖状体のアンプリコンを生成するために使用される。その後、このアンプリコンは、容器内の表面に付着させたプライマを用いてMDAの鋳型として使用することができる。この例では、RCAとMDAとを組み合わせたステップの後に産生されたアンプリコンが容器内に付着されることになる。アンプリコンには、一般に、標的ヌクレオチド配列の鎖状体反復が含まれる。
【0071】
本明細書の方法または組成物に用いられる核酸鋳型は、ゲノムDNA、合成DNA、増幅DNA、相補的DNA(cDNA)などのDNAであり得る。mRNA、リボソームRNA、tRNAなど、RNAを使用することもできる。核酸類似体を、本明細書中で鋳型として使用することもできる。したがって、本明細書で使用される核酸の混合物は、生物学的起源、合成源、または増幅産物に由来し得る。本明細書で使用するプライマは、DNA、RNAまたはその類似体であり得る。
【0072】
核酸が由来し得る例示的な生物としては、例えば、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、有蹄類、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ネコ、イヌ、霊長類、ヒトまたは非ヒト霊長類などの哺乳動物、シロイヌナズナ、トウモロコシ、ソルガム、オート麦、小麦、米、カノーラ、または大豆などの植物、Chlamydomonas reinhardtiiなどの藻類、Caenorhabditis elegansなどの線虫、Drosophila melanogaster、蚊、ショウジョウバエ、ミツバチ、クモなどの昆虫、ゼブラフィッシュなどの魚、爬虫類、カエルまたはXenopus laevisなどの両生類、dictyostelium discoideum、pneumocystis carinii、Takifugu rubripes、酵母、Saccharomyces cerevisiaeまたはSchizosaccharomyces pombeなどの真菌、あるいはplasmodium falciparum由来のものが含まれる。核酸は、細菌、Escherichia coli、staphylococci、またはmycoplasma pneumoniaeなどの原核生物、古細菌、C型肝炎ウイルス、またはヒト免疫不全ウイルスなどのウイルス、あるいはウイロイドに由来することも可能である。核酸は、上記の生物の均質な培養物または集団から、あるいは代替的に、例えば、群集または生態系におけるいくつかの異なる生物の集合体から得ることができる。核酸は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(2001)またはAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1998)に記載されたものを含む当技術分野で公知の方法を用いて単離することができ、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。細胞、組織、生体液、タンパク質及び他のサンプルは、これらの生物から得られ、本明細書に記載のシステムまたは方法を用いて検出することができる。
【0073】
鋳型核酸は、ゲノム単離、ゲノム断片化、遺伝子クローニング及び/または増幅などの調製法から得ることができる。鋳型は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、多重置換増幅(MDA)などの増幅技法から得ることができる。アレイ上の分析のための鋳型を生成するために核酸を単離し、増幅し、断片化する例示的な方法が、米国特許第6,355,431号または第9,045,796号に記載されており、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。増幅は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(2001)またはAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,Baltimore,Md.(1998)に記載された方法を用いて行うことも可能であり、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
本開示のシステム及び方法は、核酸シークエンシング反応への使用の文脈で例示されている。本システム及び本方法は、他の分析用途にも使用することができる。一般に、走査型顕微鏡で実施される分析用途は、本開示のシステム及び方法に適用できる。例えば、本方法または本システムは、酵素活性、受容体へのリガンドの結合、相補的核酸同士の結合、核酸における突然変異(一塩基多型(SNP)など)の存在、RNA種の発現レベルを分析するために使用されるマイクロアレイをスキャンするように構成することができる。蛍光体などの光学的標識を介して検出されるマイクロアレイは、特に適用可能である。細胞または組織などのより大きな生体試料は、本明細書中の方法またはシステムを用いて検出することができる。他の用途には、製造された製品の品質などの特性が顕微鏡走査によって評価される用途が含まれる。例示的な製品には、コンピュータチップ、センサ、電子部品、及び微細加工またはナノ加工されたその他のデバイスが含まれるが、これらに限定されない。分子診断の分野で公知の試験は、結合アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA))、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応アッセイ、及びこれらに類するものなど、本明細書に記載のシステムまたは方法で使用するために改変することができる。光学的検出技法を用いるリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法及び定量ポリメラーゼ連鎖反応法は、本明細書に記載の焦点感知システム及び方法を採用することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、
図1の対物鏡106は
図2の対物鏡206と同じであり、対物鏡106に関連して提供される説明は適宜対物鏡206に適用可能であり、対物鏡206に関連して提供される説明は適宜対物鏡106に適用可能であり、フローセル107はステージ207上に配置することができ、フローセル107に関連して提供された説明は適宜ステージ207に適用可能であり、ステージ207に関連して提供された説明は適宜フローセル107に適用可能であり、集束ダイクロイックミラー128は、集束ダイクロイックミラー228と同じであり、集束ダイクロイックミラー128に関連して提供される説明は、適宜、集束ダイクロイックミラー228に適用可能であり、集束ダイクロイックミラー228に関連して提供される説明は、適宜、集束ダイクロイックミラー128に適用可能であり、励起ダイクロイックミラー129は励起ダイクロイックミラー229と同じであり、励起ダイクロイックミラー129に関連して提供される説明は適宜励起ダイクロイックミラー229に適用可能であり、励起ダイクロイックミラー229に関連して提供される説明は適宜励起ダイクロイックミラー129に適用可能であり、チューブレンズ130は撮像チューブ230と同じであり、チューブレンズ130に関連して提供された説明は適宜、撮像チューブ230に適用可能であり、撮像チューブ230に関連して提供された説明は適宜、チューブレンズ130に適用可能であり、及び/またはセンサ110は、発光カメラ231の一部である。
【0076】
図3A及び
図3Bは、フローセル300の実施形態を示す。
図3Aは、フローセル300の上面図である。
図3Bは、フローセル300の断面図である。
図3Aでは、流体は入口ポート304からフローセルレーン308を通って流れ、出口ポート312を通って出る。
図3Aでは、複数の入口ポート、フローセルレーン、及び出口ポートがある。
【0077】
図3Bでは、フローセル300のx/z平面における断面が示されている。流体は、入口ポート304に流入し、フローセルレーン308に流入する。流体は、基板316及びカバースリップ320により、z方向に閉じ込められる。カバースリップ320は、フローセル300からカバースリップ320を通って放射された光が(例えば、光学システム100によって)結像されるので、ポートサイドと呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、フローセル300は、ステージ207に取り付けられる。
【0078】
基板316は、固体支持体と呼ばれることもある(例えば、基板316は剛性である)。基板316の表面(例えば、基板316の上面)に、1つ以上の分析物または試薬を付着させた部位324のアレイが示されている。したがって、部位324のアレイは、フローセル300の内部にある。いくつかの実施形態では、基板316はガラス製である。部位324のアレイは、基板316に取り付けられた状態で撮像される。
【0079】
図4は、DNAシークエンシングのためのプロセス400の実施形態のフローチャートを示す。プロセス400は、フローセル(例えば、フローセル300)に材料を通過させるステップ404で開始する。材料は、DNAシークエンシングのための試料を含む。フローセルを光で照らす(ステップ408)。例えば、LEDからの励起光は、対物鏡206に結合され、対物鏡206によってフローセル107に導かれる。ステップ412では、フローセルからの光を撮像する。例えば、発光カメラ231は、対物鏡206を通してフローセル107を撮像する。対物鏡206は、単純面を有する複数のレンズ(例えば、レンズ115)と、開口絞り(例えば、開口絞り125)と、非球面レンズ(例えば、非球面レンズ120)とを備える。非球面レンズは、開口絞りから25ミリメートル以内に配置される。いくつかの実施形態では、非球面レンズは、開口絞りに隣接している(例えば、非球面レンズ120と開口絞り125との間には他の光学要素はない)。
【0080】
本明細書で使用される用語は、特に指定されない限り、関連技術分野において通常の意味を有するものと理解される。本明細書において、「備えている(comprising)」という用語は、引用された要素だけでなく、任意の追加的な要素をさらに包含する、非制限的なものであることが意図されている。項目の集合に関して使用されるとき、「それぞれ(each)」という用語は、集合内の個々の項目を識別することを意図しているが、必ずしも集合内の全ての項目を指しているわけではない。明示的な開示または文脈から明らかにそうでないと判断される場合には、例外が生じることがある。
【0081】
本明細書で使用される用語「アレイ」は、1つの部位の分子を他の部位の分子と区別できるように、1つ以上の固体支持体に結合された分子の集合体を指す。アレイは、固体支持体上の異なる指定可能部位にそれぞれ位置する異なる分子を含むことができる。あるいは、アレイは、それぞれが異なる分子を担持する部位として機能する別々の固体支持体を含むことができ、異なる分子は、固体支持体が取り付けられている表面上の固体支持体の位置によって、または流体ストリームなどの液体中の固体支持体の位置によって識別されることが可能である。アレイの分子は、例えば、ヌクレオチド、核酸プライマ、核酸鋳型、またはポリメラーゼ、リガーゼ、エキソヌクレアーゼもしくはそれらの組み合わせなどの核酸酵素であり得る。
【0082】
本明細書において、アレイに関連して使用されるとき、「部位」という用語は、特定の分子が存在するアレイ内の位置を意味する。1つの部位が1つの分子しか含まないこともあれば、同じ種の複数の分子の集団(すなわち、分子のアンサンブル)を含むこともある。あるいは、部位は、異なる種を含む分子の集団(例えば、異なる鋳型配列を有する三重複合体の集団)を含むことができる。アレイの部位は通常、離散的である。個別の部位は、連続していることもあれば、互いの間に間隙があることもある。本明細書で有用なアレイは、例えば、100ミクロン、50ミクロン、10ミクロン、5ミクロン、1ミクロン、または0.5ミクロン未満だけ分離された部位を有することができる。代替的にまたは追加的に、アレイは、0.5ミクロン、1ミクロン、5ミクロン、10ミクロン、50ミクロンまたは100ミクロンより大きく分離された部位を有することが可能である。各部位は、1平方ミリメートル、500平方ミクロン、100平方ミクロン、25平方ミクロン、1平方ミクロン未満またはそれより小さい面積を有することができる。アレイの部位は、本明細書ではアレイの「特徴」とも呼ばれることがある。
【0083】
様々な刊行物、特許、及び/または特許出願を参照していることがある。これらの文書の開示全体は、参照により本出願に組み込まれる。
【0084】
実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として示されるプロセスとして説明される場合があることに留意されたい。フローチャートでは、動作を逐次処理として記述することがあるが、多くの動作は並列または同時進行で行うことができる。また、動作の順番を入れ替えることも可能である。プロセスは、その動作が完了した時点で終了するが、図に含まれない追加のステップが存在する可能性がある。プロセスは、方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応することができる。
【0085】
いくつかの実施形態が記載されている。それでもなお、様々な修正をなし得ることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。