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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ステントデリバリーシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/95 20130101AFI20231114BHJP
【FI】
A61F2/95
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022515182
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(86)【国際出願番号】 JP2020016971
(87)【国際公開番号】W WO2021210183
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 真吾
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/213139(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0125133(US,A1)
【文献】特開2005-131413(JP,A)
【文献】特開平2-277464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0105653(US,A1)
【文献】実開平5-29543(JP,U)
【文献】特開2014-97103(JP,A)
【文献】特開平9-173465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡のチャンネルに挿通可能であり、ガイドワイヤが挿通可能なガイドカテーテルと、
管状に形成され、前記ガイドカテーテルが挿通可能なステントと、
管状に形成され、ガイドワイヤが挿通可能であり、前記ガイドカテーテルが挿通可能であり、前記ステントよりも基端側に配置されるプッシャーカテーテルと、
前記プッシャーカテーテルの基端に設けられ、前記プッシャーカテーテルの前記基端から延出する前記ガイドカテーテルが挿通され前記ガイドカテーテルを挟持可能であるコレットチャックと、を備え、
前記コレットチャックは、前記ガイドカテーテルの外周に沿って配置されるコレットと、前記コレットと相対的に進退可能に設けられ前記ガイドカテーテルが挿通されるチャックナットと、を有し、
前記チャックナットは、前記コレットチャックの中心軸に対向する内周面が、前記コレットと当接しながら前記コレットに接近するにつれて前記コレットを締め付けて前記コレットを前記ガイドカテーテルの中心軸に近づける第1の領域と、前記第1の領域よりも前記コレットの反対側にあり前記コレットと当接しながら前記コレットに接近するにつれて前記コレットを前記ガイドカテーテルの前記中心軸に近づける量が前記第1の領域より小さい第2の領域と、を有する、
ステントデリバリーシステム。
【請求項2】
前記第1の領域は、基端側に向かって縮径し、
前記第2の領域は、前記基端側に向かって縮径する度合いが前記第1の領域より緩やかである、
請求項1に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項3】
前記コレットは、前記チャックナットと接触していない状態において、
前記ガイドカテーテルに対向する内側面が前記コレットチャックの前記中心軸に沿い、
前記内側面と反対側の外側面が、前記チャックナットに近いほど前記コレットチャックの前記中心軸から離間する外周テーパ面を有し、
前記チャックナットは、
略管状に形成され、
前記内周面が、前記第1の領域を有する内周テーパ面と、前記内周テーパ面と連続して前記基端側に形成され円筒状の直管部の内側に形成され前記第2の領域を有する直管部内周面と、を有し、
前記コレットチャックは、前記コレットと前記チャックナットとが接近するにつれて前記コレットの前記外側面と前記チャックナットの前記内周テーパ面の前記第1の領域とが当接し、前記コレットの前記外周テーパ面と前記チャックナットの前記直管部内周面の前記第2の領域とが当接する、
請求項2に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項4】
前記コレットは、前記外側面が、前記外周テーパ面と連続して前記チャックナット側に形成され前記チャックナットに近いほど前記コレットチャックの前記中心軸側に傾斜するチャックガイド面を有し、
前記コレットの前記チャックガイド面と前記チャックナットの前記内周テーパ面の前記第1の領域とが当接する、
請求項3に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項5】
前記コレットチャックは、前記コレットと前記チャックナットとにねじが形成され、前記コレットと前記チャックナットとが相対的に回転することにより前記コレットと前記チャックナットとが相対的に進退する、
請求項1又は請求項4に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項6】
前記コレットは、前記プッシャーカテーテルに対して相対位置不変に設けられる、
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項7】
前記チャックナットは、外周面から突出するレバーを有する、
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項8】
前記チャックナットは、前記内周面の前記第2の領域が前記ガイドカテーテルの前記中心軸と平行である、
請求項2に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項9】
前記ガイドカテーテルは、
前記ステントが設置されるカテーテルルーメンと、
前記カテーテルルーメンに接続される操作ワイヤと、を有し、
前記コレットチャックは、前記操作ワイヤを挟持する、
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項10】
ステントと、
前記ステントよりも基端側に配置されるプッシャーカテーテルと、
前記プッシャーカテーテルよりも基端側に配置されるコレットチャックと、を備え、
記コレットチャックは、前記ステント及び前記プッシャーカテーテルに挿通可能なガイドカテーテルの外周に沿って配置されるコレットと、前記コレットと相対的に進退可能に設けられ前記ガイドカテーテルが挿通可能なチャックナットと、を有し
前記チャックナットは、前記ガイドカテーテルの中心軸に対向する内周面が、前記コレットと当接しながら前記コレットに接近するにつれて前記コレットを締め付けて前記コレットを前記中心軸に近づける第1の領域と、前記第1の領域よりも前記コレットの反対側にあり前記コレットと当接しながら前記コレットに接近するにつれて前記コレットを前記中心軸に近づける量が前記第1の領域より小さい第2の領域と、を有する、
ステントデリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステントデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステントデリバリーシステムが用いられている。ステントデリバリーシステムは、内視鏡チャンネルを通して胆管内の狭窄部等の所望の位置にステントを到達させ留置する。
【0003】
ステントデリバリーシステムは、ガイドカテーテルを挟持するチャック機構を操作部に備える。チャック機構は、ガイドカテーテルを挟持することにより、ステントの先端からガイドカテーテルが放出される寸法を決定する。ステントの長さは施術によって異なるため、ステントの長さに合わせてステントの先端からガイドカテーテルが放出される寸法が調節される。
【0004】
ところで、ガイドカテーテル又はガイドワイヤ等の管状又はワイヤ状の構造を挟持する機構が、様々に提案されている。特許文献1に記載の医療用ガイドワイヤは、螺合する前部外筒と後部外筒との内部に収容されたチャック部によりワイヤ本体が挟持固定される。前部外筒に対して後部外筒をねじ込み進ませることにより、チャック部材のテーパー外面に後部外筒の先端部内壁面が当接しつつ移動する。この時の後部外筒の押圧によりこのスリット形成部が軸芯中空部に向って押され収縮し、ワイヤ本体を周りから締め付けワイヤ本体が挾持固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特許第2923298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の医療用ガイドワイヤは、前部外筒に後部外筒をねじ込むほどスリット形成部が軸芯中空部に向って押され収縮する構造である。スリット形成部がワイヤ本体を締め付ける力は、前部外筒に対して後部外筒をねじ込み過ぎると過剰に大きくなり、ねじ込みが足りないと不足する。そのため、特許文献1に記載の医療用ガイドワイヤは、ワイヤ本体を適切な締め付け力で安定して挟持することが難しかった。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、ガイドカテーテルを適切な締め付け力で安定して挟持しやすいステントデリバリーシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に係るステントデリバリーシステムは、内視鏡のチャンネルに挿通可能であり、ガイドワイヤが挿通可能なガイドカテーテルと、管状に形成され、前記ガイドカテーテルが挿通可能なステントと、管状に形成され、ガイドワイヤが挿通可能であり、前記ガイドカテーテルが挿通可能であり、前記ステントよりも基端側に配置されるプッシャーカテーテルと、前記プッシャーカテーテルの基端に設けられ、前記プッシャーカテーテルの前記基端から延出する前記ガイドカテーテルが挿通され前記ガイドカテーテルを挟持可能であるコレットチャックと、を備え、前記コレットチャックは、前記ガイドカテーテルの外周に沿って配置されるコレットと、前記コレットと相対的に進退可能に設けられ前記ガイドカテーテルが挿通されるチャックナットと、を有し、前記チャックナットは、前記コレットチャックの中心軸に対向する内周面が、前記コレットと当接しながら前記コレットに接近するにつれて前記コレットを締め付けて前記コレットを前記ガイドカテーテルの中心軸に近づける第1の領域と、前記第1の領域よりも前記コレットの反対側にあり前記コレットと当接しながら前記コレットに接近するにつれて前記コレットを前記ガイドカテーテルの前記中心軸に近づける量が前記第1の領域より小さい第2の領域と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記ステントデリバリーシステムによれば、ガイドカテーテルを適切な締め付け力で挟持しやすいステントデリバリーシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るステントデリバリーシステムの側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るステントデリバリーシステムの操作部の拡大断面図でありガイドカテーテルを解放した状態の図である。
図3】本発明の一実施形態に係るステントデリバリーシステムの操作部の拡大図でありガイドカテーテルを解放した状態の図である。
図4】本発明の一実施形態に係るステントデリバリーシステムの操作部の拡大図でありガイドカテーテルを固定した状態の図である。
図5】本発明の一実施形態に係るステントデリバリーシステムのコレットチャックの拡大断面図であり第1の領域の図である。
図6】本発明の一実施形態に係るステントデリバリーシステムのコレットチャックの拡大断面図であり第2の領域の図である。
図7】本発明の一実施形態に係るコレットチャックの変形例を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るコレットチャックの別の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一実施形態について、図1から図8を参照して説明する。以下では、ステントデリバリーシステムにおいて、狭窄部に挿入される側を先端側とし、使用者側を基端側として説明する。
【0012】
本実施形態に係るステントデリバリーシステム100は、内視鏡チャンネルを通して例えば胆管内の狭窄部等の所望の位置にステント20を到達させ留置するシステムである。
【0013】
図1は、本実施形態に係るステントデリバリーシステム100の側面図である。図1に示すように、ステントデリバリーシステム100は、ガイドワイヤGと、ガイドカテーテル10と、ステント20と、プッシャーカテーテル30と、操作部40と、を備える。
【0014】
ガイドワイヤGは、ガイドカテーテル10と、ステント20と、プッシャーカテーテル30と、を狭窄部までガイドする。ガイドワイヤGは、内視鏡のチャンネルを通じて胆管内に導入される。ガイドワイヤGの先端は、狭窄部を越える位置まで挿入される。
【0015】
ガイドカテーテル10は、ステント20の狭窄部への進入を補助する。ガイドカテーテル10は、カテーテルルーメン11と、操作ワイヤ12と、を有する。カテーテルルーメン11は、樹脂等で形成される管状の部材である。カテーテルルーメン11には、ガイドワイヤGが挿通される。ガイドカテーテル10は、ガイドワイヤGにより狭窄部までガイドされる。
【0016】
カテーテルルーメン11の外周には、ステント20が設置される。ステント20が設置された状態において、カテーテルルーメン11の先端11tがステント20から露出する。ガイドカテーテル10は、カテーテルルーメン11の先端11tがステント20より先に狭窄部に挿入される。カテーテルルーメン11は、狭窄部を拡げて、ステント20の狭窄部への進入を補助する。
【0017】
操作ワイヤ12は、カテーテルルーメン11を押し引きして先端側及び基端側に移動させる。操作ワイヤ12は、カテーテルルーメン11の基端11pに接続される。
【0018】
ステント20は、樹脂等で形成される管状の部材である。ステント20は、ガイドカテーテル10のカテーテルルーメン11の外周に設置される。ステント20は、カテーテルルーメン11に接合され固定される。
【0019】
プッシャーカテーテル30は、ステント20を狭窄部に留置する。プッシャーカテーテル30は、樹脂等で形成される管状の部材である。プッシャーカテーテル30には、ガイドワイヤG及びガイドカテーテル10が挿通される。プッシャーカテーテル30は、ステント20よりもガイドカテーテル10の基端側に配置される。
【0020】
プッシャーカテーテル30の内径は、ガイドカテーテル10のカテーテルルーメン11の外径よりも大きい。プッシャーカテーテル30の内径及び外径は、ステント20の内径及び外径と略同等である。ガイドカテーテル10が基端側に引っ張られることにより、ガイドカテーテル10に固定されたステント20が基端側に引っ張られる。基端側に引っ張られたステント20は、プッシャーカテーテル30に当接する。ステント20とプッシャーカテーテル30とが当接した状態において、ガイドカテーテル10が基端側に一定の大きさ以上の力で引っ張られると、ステント20とガイドカテーテル10とに、互いを引き離す力が生じる。ステント20とガイドカテーテル10とに、互いを引き離す力が生じることで、ステント20とガイドカテーテル10とが分離され、ガイドカテーテル10とステント20との固定が解除される。
【0021】
ガイドカテーテル10とステント20との固定が解除された状態においてガイドカテーテル10を基端側に引っ張ると、ガイドカテーテル10は基端側に移動する。ステント20は、プッシャーカテーテル30に押えられるため、基端側に移動しない。ステント20は、ガイドカテーテル10から離脱して、その場に留置される。
【0022】
プッシャーカテーテル30の外周面には、先端30tと基端30pとの間の位置に、ガイドワイヤポート30aが形成される。ガイドワイヤポート30aからはガイドワイヤGが放出される。
【0023】
操作部40は、プッシャーカテーテル30の基端30pから延出するガイドカテーテル10を挟持する。操作部40は、ガイドカテーテル10を挟持し、ガイドカテーテル10がプッシャーカテーテル30の先端30tから放出される長さLを調節する。
【0024】
図2は、操作部40の拡大図である。操作部40は、プッシャーカテーテル30をガイドワイヤGに沿って押し引きする。操作部40は、プッシャーカテーテル30に対するガイドカテーテル10の位置を調節する。図2に示すように、操作部40は、筐体40aと、レバー41と、コレットチャック50と、を有する。コレットチャック50は、コレット部51と、チャックナット52と、を有する。
【0025】
図2に示すように、筐体40aは、プッシャーカテーテル30の基端30pに設けられる。筐体40aは、略筒状に形成される。筐体40aは、中空部がプッシャーカテーテル30の中空部と連通する。筐体40aは、先端側中空部40bと、内部空間40cと、切り欠き部40dと、基端側中空部40eと、を有する。先端側中空部40bと、内部空間40cと、基端側中空部40eと、は連通する。
【0026】
先端側中空部40bは、筐体40aの中心軸Oに沿って形成される。先端側中空部40bは、プッシャーカテーテル30の中空部と連通する。先端側中空部40bには、プッシャーカテーテル30の基端30pから延出するガイドカテーテル10の操作ワイヤ12が挿通される。
【0027】
内部空間40cは、筐体40aの中心軸Oに沿って形成される。内部空間40cは、先端側中空部40bより基端側に形成され、先端側中空部40bに連通する。内部空間40cは、先端側中空部40bよりも筐体40aの外周面40fの近くまで形成される。内部空間40cには、操作ワイヤ12が挿通される。
【0028】
切り欠き部40dは、内部空間40cの基端側の外周面40fに形成され、内部空間40cと筐体40aの外側の空間とを連通させる。切り欠き部40dは、筐体40aの中心軸O周りの略90度の範囲にわたって形成される。
【0029】
基端側中空部40eは、筐体40aの中心軸Oに沿って形成される。基端側中空部40eは、筐体40aの内部空間40cより基端側に形成され、内部空間40cに連通する。基端側中空部40eは、筐体40aの外側の空間と連通する。基端側中空部40eには、操作ワイヤ12が挿通される。
【0030】
レバー41は、操作部40によるガイドカテーテル10の固定状態と、解放状態とを切替る。レバー41は、コレットチャック50のチャックナット52と一体的に形成され、コレットチャック50を回転させて操作ワイヤ12を挟持及び解放して、固定状態と解放状態とを切替る。
【0031】
レバー41は、筐体40aの内部空間40cに配置される。レバー41は、筐体40aの外周面40fに形成される切り欠き部40dから突出する。レバー41は、筐体40aの中心軸O回りに回動可能に筐体40aに取り付けられる。レバー41は、中心軸O回りに、切り欠き部40dに沿って略90度回動可能である。
【0032】
図3は、操作部40がガイドカテーテル10を解放した状態(解放状態)の図である。図3は、図2に示す状態と同一の状態である。図4は、操作部40がガイドカテーテル10を固定した状態(固定状態)の図である。図3及び図4に示すように、レバー41が筐体40aの中心軸O回りに回転することにより、ガイドカテーテル10の解放状態と固定状態とが切替えられる。解放状態において、レバー41が基端側から先端側に向かって右回りに略90度回転すると、固定状態となる。固定状態において、レバー41が基端側から先端側に向かって左回りに略90度回転すると、解放状態となる。
【0033】
コレットチャック50は、コレット部51が筐体40aに対して固定され、操作ワイヤ12をコレット部51で挟持して筐体40aに対して固定する。コレットチャック50のチャックナット52は、レバー41により操作される。図2に示すように、コレットチャック50は、筐体40aの内部空間40cに配置される。コレットチャック50は、レバー41より先端側に配置される。コレットチャック50のコレット部51と、チャックナット52と、は相対的に進退可能に形成される。コレット部51は、雄螺子部(ねじ)51aと、コレット51bと、を有する。
【0034】
雄螺子部51aは、略円筒状に形成される。雄螺子部51aは、中心軸COが筐体40aの中心軸Oと重なるように配置される。雄螺子部51aは、筐体40aに対して相対位置不変となるように固定される。雄螺子部51aは、中空部51cと、雄螺子51dと、を有する。中空部51cは、中心軸COに沿って形成される。雄螺子部51aは、中空部51cが筐体40aの先端側中空部40bと連通するように配置される。中空部51cには、ガイドカテーテル10の操作ワイヤ12が挿通される。雄螺子51dは、雄螺子部51aの外周面に中心軸COに沿って形成される。
【0035】
コレット51bは、雄螺子部51aの基端側の端部51eから基端側に突出する突起状に形成される。本実施形態では、コレット51bは4つ設けられる。4つのコレット51bは、ガイドカテーテル10の操作ワイヤ12の外周に沿って中心軸COに対して対称的に配置される。
【0036】
コレット51bは、内側面51fと、外側面51gと、を有する。内側面51fは、ガイドカテーテル10の操作ワイヤ12に対向する。内側面51fは、中心軸COに沿う。
【0037】
外側面51gは、コレット51bにおいて内側面51fと反対側に形成される。外側面51gは、外周テーパ面51hと、チャックガイド面51iと、を有する。外周テーパ面51hは、先端側に形成され、基端側ほど中心軸COから離間する。チャックガイド面51iは、外周テーパ面51hよりも基端側に形成され、基端側ほど中心軸CO側に傾斜する。
【0038】
チャックナット52は、略管状に形成される。チャックナット52は、中心軸NOが筐体40aの中心軸Oと重なるように配置される。チャックナット52は、中心軸O回りに回動可能に支持される。チャックナット52は、中空部にガイドカテーテル10の操作ワイヤ12が挿通される。チャックナット52は、レバー41と一体に形成される。レバー41は、チャックナット52の外周面の基端側から突出する。
【0039】
チャックナット52は、雌螺子部(ねじ)52aと、テーパ部52bと、直管部52cと、を有する。雌螺子部52aは、チャックナット52の先端側に形成される。雌螺子部52aは、内周面に雌螺子52eが形成される。雌螺子52eは、コレット部51の雄螺子51dと螺合される。
【0040】
テーパ部52bは雌螺子部52aよりも基端側に形成される。テーパ部52bは、基端側の内周面に、内周テーパ面(内周面)52tを有する。内周テーパ面52tは、基端側ほど中心軸NO側に近づくように縮径する。図5に示すように、内周テーパ面52tは、第1の領域R1が設けられる。第1の領域R1は、チャックナット52の内周面に設けられる領域であり、基端側ほど中心軸NO側に近づくように縮径する領域である。
【0041】
図2に示すように、直管部52cは、テーパ部52bよりも基端側に形成される。直管部52cは、円筒状に形成される。直管部52cの直管部内周面(内周面)52dは、径が略一定である。直管部内周面52dは、内周テーパ面52tと連続する。
【0042】
直管部52cには、図5及び図6に示すように、境界位置P2と、第2の領域R3と、が設けられる。境界位置P2は、チャックナット52の内周面に設けられる位置であり、第1の領域R1と第2の領域R3との境界の位置である。境界位置P2は、直管部52cの直管部内周面52dの先端側の端部52fに設けられる。
【0043】
第2の領域R3は、チャックナット52の内周面に設けられる領域であり、基端側ほど中心軸NO側に近づく縮径度合いが第1の領域R1より緩やかな領域であり、本実施形態では縮径しない。第2の領域R3は、境界位置P2を含む。第2の領域R3は、直管部52cの直管部内周面52dに設けられる。
【0044】
次に、図1に示すガイドカテーテル10がプッシャーカテーテル30の先端30tから放出される長さLを調節する動作について説明する。
【0045】
まず、使用者は、図2及び図3に示す解放状態において、操作ワイヤ12を押し引きすることにより、長さLを適切な長さとする。解放状態においては、図2に示すように、コレット部51とチャックナット52とが接触していない(未接触状態)。
【0046】
使用者は、操作部40のレバー41を、解放状態から図4に示す固定状態に向けて、筐体40aの中心軸O回りに回転させる。図5は、レバー41を解放状態から中心軸O回りに回転させたときの、コレットチャック50を示す図である。
【0047】
図5に示す通り、レバー41を中心軸O回りに回転させると、コレット部51の雄螺子51dに対してチャックナット52の雄螺子51dが回転し、コレット部51に対してチャックナット52が接近する。
【0048】
コレット部51に対してチャックナット52が接近すると、コレット部51のコレット51bと、チャックナット52の内周面が当接する。まず、コレット51bのチャックガイド面51iと、チャックナット52の内周テーパ面52tとが当接する。コレット51bが、チャックナット52の第1の領域R1内に当接する(第1当接状態)。
【0049】
レバー41を固定状態に近づけると、コレットチャック50は、コレット部51に対してチャックナット52が接近するとコレット51bの先端51pが筐体40aの中心軸O側に撓む。第1当接状態でコレット部51に対してチャックナット52が接近すると、コレット51bの内側面51fの先端51pが筐体40aの中心軸O側に撓み近づく。第1当接状態において、コレット部51に対してチャックナット52が接近すると、内周テーパ面52tに対してチャックガイド面51iがすべり、コレット51bの先端51pが筐体40aの中心軸O側に撓む。
【0050】
コレット部51に対してチャックナット52を接近させると、やがてコレット51bの内側面51fの先端51p側が、ガイドカテーテル10の操作ワイヤ12に当接し、操作ワイヤ12を挟持する。
【0051】
さらにコレット部51に対してチャックナット52を接近させると、コレット51bの外側面51gが、チャックナット52の直管部52cの直管部内周面52dの先端側の端部52fに当接する。コレット51bは、チャックナット52の境界位置P2に当接する。
【0052】
境界位置P2にコレット51bが当接すると、ガイドカテーテル10の中心軸10oと所定の距離離間する直管部内周面52dからコレット51bが締め付けられ、コレット51bの内側面51fの先端51pと中心軸10oとの距離が所定の距離となる。境界位置P2においては、コレット51bの外周テーパ面51hが、筐体40aの中心軸Oに略平行となる。境界位置P2においては、コレット51bの外周テーパ面51hが、直管部内周面52dより中心軸O側に配置される。境界位置P2においては、コレット51bは、所定の大きさの力でガイドカテーテル10の操作ワイヤ12を挟持する。
【0053】
さらにコレット部51に対してチャックナット52を接近させると、コレット51bは、チャックナット52の第2の領域R3に当接する(第2当接状態)。
【0054】
本実施形態のステントデリバリーシステム100では、直管部内周面52dは径が略一定であり、縮径しない。そのため、第2当接状態においては、コレット部51に対してチャックナット52が接近した場合に、コレット51bの内側面51fの先端51pがガイドカテーテル10の中心軸10o側に撓まず距離を維持する。
【0055】
図6は、第2の領域におけるコレットチャック50の動作を示す図である。図6に示すように、第2の領域においては、コレット51bの外周テーパ面51hが筐体40aの中心軸Oに略平行となる。第2の領域R3においては、コレット51bは、所定の大きさの力でガイドカテーテル10の操作ワイヤ12を挟持する。
【0056】
第2の領域R3において、コレット部51に対してチャックナット52を接近させると、やがてレバー41が固定状態における位置に配置される。
【0057】
本実施形態に係るステントデリバリーシステム100によれば、チャックナット52に、第1の領域R1と、第2の領域R3と、が設けられる。第2の領域R3に当接したコレット部51に対してチャックナット52を接近させてもコレット51bの内側面51fの先端51pがガイドカテーテル10の中心軸10oとの距離を維持したまま操作ワイヤ12を挟持する。第2の領域R3においては、コレット51bが、操作ワイヤ12を所定の大きさの力で挟持する。そのため、ステントデリバリーシステム100は、固定状態におけるコレット51bとチャックナット52との相対位置に製造上のばらつき等によるずれが生じても、ガイドカテーテル10を適切な締め付け力で挟持しやすい。
【0058】
第2の領域R3において、コレット51bの外周テーパ面51hが筐体40aの中心軸Oに沿うようにコレット51bの形状が維持される。外周テーパ面51hが直管部52cの直管部内周面52dに当接することにより、コレット51bの形状が維持される。これにより、コレット51bの内側面51fとガイドカテーテル10の中心軸10oとの距離が所定の距離に維持される。コレット51bの内側面51fの先端51pが、ガイドカテーテル10の操作ワイヤ12を所定の大きさの力で挟持する。そのため、複雑な形状を形成することなく、第2の領域R3においてコレット51bがガイドカテーテル10を適切な締め付け力で挟持する。
【0059】
コレット51bはチャックガイド面51iを有する。これにより、第1の領域R1において、コレット部51に対してチャックナット52を接近させたときに、チャックナット52の内周テーパ面52tに対してチャックガイド面51iがすべり、コレット51bの先端51pが筐体40aの中心軸O側に撓みやすい。そのため、コレットチャック50は、ガイドカテーテル10の操作ワイヤ12を挟持しやすい。
【0060】
コレットチャック50は、コレット部51とチャックナット52とにねじが形成され螺合されることにより、コレット51bとチャックナット52とが相対的に進退可能である。そのため、コレット51bがチャックナット52に当接しながら、チャックナット52に対して接近するときに、使用者が軽い力でコレット51bを接近させやすい。
【0061】
コレット部51がプッシャーカテーテル30から延在する筐体40aに対して相対位置不変に固定されるため、コレット部51がプッシャーカテーテル30に対して相対位置不変に固定される。そのため、第2の領域R3においてコレット51bが操作ワイヤ12を挟持しながらコレット51bとチャックナット52とが相対的に接近するときに、コレット51bがガイドカテーテル10をプッシャーカテーテル30に対して移動させない。
【0062】
筐体40aは、レバー41を有する。そのため、使用者がコレット部51とチャックナット52とを相対的に進退させやすい。
【0063】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない領域の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0064】
例えば、第2の領域R3を構成する直管部内周面の径は一定でなくてもよい。直管部内周面の径は第1の領域R1を構成するチャックナットの内周テーパ面52tの縮径度合いより緩やかに縮径してもよい。直管部内周面の径の縮径度合いが内周テーパ面52tの縮径度合いより緩やかであれば、コレット部51に対してチャックナット52が接近した場合に、内側面51fの先端51pが中心軸10o側に撓み近づく量は、第1当接状態よりも第2当接状態の方が小さい。これにより、第2当接状態においてコレット部51に対してチャックナット52が接近した場合に、コレット51bがガイドカテーテル10を締め付ける力の増大が抑制される。そのため、固定状態におけるコレット51bとチャックナットとの相対位置に製造上のばらつき等によるずれが生じても、ガイドカテーテル10を適切な締め付け力で挟持しやすい。
【0065】
図7に示すように、コレットチャックは、内周テーパ面52tを有さなくてもよい。チャックガイド面51iが内周テーパ面52tとの当接を経ずに直管部52cの端部52fの角に当接するように構成してもよい。管部52cの端部52fの角とコレット51bとが当接した状態においてコレット部51とチャックナットとを相対的に接近させたときにコレット51bの先端51pが筐体40aの中心軸O側に撓むようにしてもよい。第1の領域R1は、接近するコレット51bが当接し、コレット部51とチャックナットとを相対的に接近させたときに先端51pを中心軸O側に撓ませる領域に定義を拡大されてもよい。
【0066】
図8に示すように、コレットチャックは、直管部52cを有さなくてもよい。コレット部61の内側面61f及び外側面61gに適切な曲率を形成し、コレット61bをチャックナット62の内周テーパ面52tに当接させながらチャックナット62に対して接近させてもよい。これにより、第1の領域R1より基端側でコレット51bとチャックナット62とが当接した状態においてコレット部51とチャックナットとを相対的に接近させたときに、先端51pが中心軸O側に撓む量を第1の領域R1より小さくしてもよい。これにより、コレットチャックがガイドカテーテル10を適切な締め付け力で挟持してもよい。第2の領域R3は、コレット51bが当接し、コレット部51とチャックナットとを相対的に接近させたときに先端51pが中心軸O側に撓む量が第1の領域R1より小さい領域に定義を拡大されてもよい。
【0067】
コレットの数は4つに限らない。コレットは一体であってもよい。2つ以上あってもよい。
【0068】
レバーは、基端側から先端側に向かって左回りに回転すると解放状態となり、右回りに回転すると固定状態となるように構成されてもよい。レバーは、回動可能範囲が90度でなくてもよい。
【0069】
ガイドカテーテルは、操作ワイヤ12を有さなくてもよい。その場合は、カテーテルルーメンのみがガイドカテーテルを構成し、操作部40はカテーテルルーメンを挟持する。ガイドカテーテルの外周面には、ガイドワイヤポートが形成され、ガイドワイヤポートからガイドワイヤGが放出される。
【符号の説明】
【0070】
10 ガイドカテーテル
10o 中心軸
20 ステント
30 プッシャーカテーテル
40 操作部
40a 筐体
41レバー
50 コレットチャック
51 コレット部
51a 雄螺子部(ねじ)
51b コレット
51f 内側面
51g 外側面
51h 外周テーパ面
51i チャックガイド面
52 チャックナット
52a 雌螺子部(ねじ)
52b テーパ部
52c 直管部
52d 直管部内周面(内周面)
52t 内周テーパ面(内周面)
61b コレット
61f 内側面
61g 外側面
62 チャックナット
100 ステントデリバリーシステム
G ガイドワイヤ
O 中心軸
P2 境界位置
R1 第1の領域
R3 第2の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8