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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】検出装置、光学ドライブ及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/09 20060101AFI20231114BHJP
   G11B 7/005 20060101ALI20231114BHJP
   G11B 7/127 20120101ALI20231114BHJP
   G11B 7/135 20120101ALI20231114BHJP
【FI】
G11B7/09 B
G11B7/005 C
G11B7/127
G11B7/135
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022525233
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2020124902
(87)【国際公開番号】W WO2021083288
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】201911048113.8
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ジア
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ジュイン
(72)【発明者】
【氏名】リン,プオン
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-135419(JP,A)
【文献】特開2013-069386(JP,A)
【文献】特開平07-106219(JP,A)
【文献】国際公開第2007/114372(WO,A1)
【文献】特開昭49-024445(JP,A)
【文献】特開昭50-110306(JP,A)
【文献】特開昭49-015443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/09
G11B 7/005
G11B 7/127
G11B 7/135
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置であって、当該検出装置は、対物レンズ、ビームスプリッタ、反射器、検出器及びサーボコントローラを含み、前記反射器と前記検出器とは、前記対物レンズの光軸の両側で互いに反対に配置され、前記反射器の法線は前記光軸に対して垂直であり、前記ビームスプリッタは、前記反射器と前記検出器との間に配置され且つ前記光軸上に位置し、
前記ビームスプリッタは入射パルスレーザーを受信し、前記入射パルスレーザーを第1のビームと第2のビームとに分割するように構成され、前記入射パルスレーザーの伝搬方向は前記対物レンズの光軸と平行であり、前記第1のビームの透過方向は前記光軸に対して垂直であり、前記第2のビームの透過方向は前記光軸と平行であり、
前記反射器は前記第1のビームを受信し、前記第1のビームに基づく反射を介して第3のビームを得るように構成され、
前記対物レンズは、前記第2のビームを受信し、前記第2のビームを光ディスク上に集束させ、前記第2のビームに基づいて前記光ディスクによって反射された第4のビームを透過するように構成され、
前記ビームスプリッタは、前記第3のビームと、前記対物レンズによって透過された前記第4のビームとを受信し、前記第3のビームを透過し、前記対物レンズによって透過された前記第4のビームを反射するようさらに構成され、
前記検出器は、前記ビームスプリッタによって透過された前記第3のビームと、前記ビームスプリッタによって反射された前記第4のビームとから干渉ビームを得て、前記干渉ビームの干渉信号を特定するように構成され、
前記サーボコントローラは前記検出器に接続され、前記干渉信号に基づいて、前記光ディスクのi番目の記録層が前記対物レンズの焦点に位置するかどうかを判定するように構成され、n≧i≧1であり、nは前記光ディスク内の記録層の数である、検出装置。
【請求項2】
前記検出装置は並進ステージをさらに含み、前記並進ステージは前記サーボコントローラに接続され、前記並進ステージは前記光ディスクを支えるように構成され、
前記i番目の記録層が前記対物レンズの焦点から逸れていると判定された場合、前記サーボコントローラは、前記干渉信号に基づいて前記並進ステージに制御信号を送信するように構成され、前記制御信号は、前記並進ステージの移動方向及び移動距離を示すために用いられ、
前記並進ステージは、前記制御信号によって示される移動方向及び移動距離に基づいて、前記光ディスクを前記対物レンズの焦点に動かすように構成されている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記検出装置はピンホールバッフルプレートをさらに含み、前記ピンホールバッフルプレートは前記ビームスプリッタと前記検出器との間に配置され、前記ピンホールバッフルプレート内のピンホールの法線は前記光軸に対して垂直であり、
前記ピンホールバッフルプレート内のピンホールは、予め設定された強度のビームを前記干渉ビームから選択するために用いられる、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記入射パルスレーザーは極短パルスレーザーを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
光学ドライブであって、当該光学ドライブは、光源エミッタと、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検出装置とを含み、
前記光源エミッタは、前記入射パルスレーザーを前記検出装置に放射するように構成されている、光学ドライブ。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検出装置に適用される検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光学記憶技術の分野に関し、特に、検出装置、光学ドライブ及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学記憶媒体は、防湿、防塵、電磁波シールド要件等を満たす。データ記憶時間が長く、メンテナンスコストが低く、データマイグレーションコストが低いという特徴により、光学記憶媒体はコールドデータを記憶するための主なキャリアである。光ディスクは光学記憶媒体の一種である。光ディスクにデータを書き込むプロセスにおいて、光ヘッド内の対物レンズの焦点が光ディスクの記録層に置かれると、データの読み出し又は書き込みを実施できる。読み出し又は書き込みプロセスでは、通常、光ディスクは高速で回転する。しかしながら、高速回転により光ディスクが上下に振動する。その結果、光ディスクの記録層が対物レンズの焦点からずれ、データの読み出し又は書き込みが影響を受ける。
【0003】
既存の光学ドライブの場合、光ディスクの記録層が対物レンズの焦点に位置するかどうかを検出し、検出結果に基づいて光ディスクの動かすかどうかをさらに判定するために非点収差法が用いられている。図1に示すように、入射レーザービームは、対物レンズを通して光ディスク上に集束され、次いで、光ディスクによって対物レンズに戻され、光ヘッド内のビームスプリッタを通して検出器に到達する。検出器は、受信ビームスポットの形状に基づいて、光ディスクの記録層が対物レンズの焦点にあるかどうかを判定する。しかしながら、この方法では、検出器によって受け取られるビームスポットの形状及び対称性に高い要求がある。検出器によって受け取られるビームスポットの対称性が比較的低い場合、検出器は、光ディスクの記録層が対物レンズの焦点にあるかどうかを正確に判定することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、光ディスクの記録層が対物レンズの焦点にあるかどうかを正確に判定できないという課題を解決するために、検出装置、光学ドライブ及び検出方法を提供する。
【0005】
上記の目的を達成するために、本出願では以下の技術的解決策が使用される。
【0006】
第1の態様によれば、検出装置が提供される。当該検出装置は、対物レンズ、ビームスプリッタ、反射器、検出器及びサーボコントローラを含む。前記反射器と前記検出器とは、前記対物レンズの光軸の両側で互いに反対に配置され、前記反射器の法線は前記光軸に対して垂直である。前記ビームスプリッタは、前記反射器と前記検出器との間に配置され且つ前記光軸上に位置する。前記サーボコントローラは前記検出器に接続されている。
【0007】
具体的には、前記ビームスプリッタは、伝搬方向が前記対物レンズの光軸と平行な入射パルスレーザーを受信し、前記入射パルスレーザーを第1のビームと第2のビームとに分割するように構成され、前記第1のビームの透過方向は前記光軸に対して垂直であり、前記第2のビームの透過方向は前記光軸と平行である。前記反射器は前記第1のビームを受信し、前記第1のビームに基づく反射を介して第3のビームを得るように構成されている。前記対物レンズは、前記第2のビームを受信し、前記第2のビームを光ディスク上に集束させ、前記第2のビームに基づいて前記光ディスクによって反射された第4のビームを透過するように構成されている。前記ビームスプリッタは、前記第3のビームと、前記対物レンズによって透過された前記第4のビームとを受信し、前記第3のビームを透過し、前記対物レンズによって透過された前記第4のビームを反射するようさらに構成されている。前記検出器は、前記ビームスプリッタによって透過された前記第3のビームと、前記ビームスプリッタによって反射された前記第4のビームとからの干渉ビームを得て、前記干渉ビームの干渉信号を特定し、干渉信号を前記サーボコントローラに送信するように構成されている。前記サーボコントローラは、前記干渉信号に基づいて、前記光ディスクのi番目の記録層が前記対物レンズの焦点に位置するかどうかを判定するように構成されている(n≧i≧1であり、nは前記光ディスク内の記録層の数である)。
【0008】
入射パルスレーザーは、ビームスプリッタによって第1のビームと第2のビームに分割される。反射器によって反射された後、第1のビームはビームスプリッタを通過し、検出器に到達する。第2のビームが光ディスクによって反射された後、第2のビームは対物レンズを通過し、次いでビームスプリッタによって検出器に反射される。検出器に到達する2つのビーム間の光路差は、ビームスプリッタと反射器との間の距離(例えば、距離L1)及びビームスプリッタと光ディスクとの間の距離(例えば、距離L2)によって特定される。2つのビームは空間内で干渉する。検出器は、2つのビームから干渉ビームを得て、該干渉ビームの干渉信号を特定できる。検出器によって送信された干渉信号を受信した後、サーボコントローラは、干渉信号に基づいて、i番目の記録層が対物レンズの焦点に位置しているかどうかを正確に判定し、ビームスポットの形状及び対称性に依存しない。つまり、本願のサーボコントローラは、パルスレーザーの干渉特性を用いることにより、i番目の記録層が対物レンズの焦点に位置するかどうかを正確に判定する。
【0009】
任意で、本願の可能な実施では、本願で提供される検出装置は、前記光ディスクを支えるように構成された並進ステージをさらに含み、前記並進ステージは前記サーボコントローラに接続されている。それに対応して、前記i番目の記録層が前記対物レンズの焦点から逸れていると判定された場合、前記サーボコントローラは、前記干渉信号に基づいて前記並進ステージに制御信号を送信するようにさらに構成され、前記制御信号は、前記並進ステージの移動方向及び移動距離を示すために用いられる。前記並進ステージは、前記制御信号によって示される移動方向及び移動距離に基づいて、前記光ディスクを前記対物レンズの焦点に動かすように構成されている。
【0010】
サーボコントローラは干渉信号に基づいて制御信号を生成するため、並進ステージは、制御信号に基づいて光ディスクを動かす。干渉信号は、光遅延τ(τ=2(L2-L1)/c、ここでcは光速度を表す)に関連し、τの精度は、波長(特に、ミクロン)レベルにある。したがって、本願においてサーボコントローラによって送信される制御信号の精度も波長(具体的にはミクロン)レベルにあり、それに対応して、並進ステージの移動の精度も波長(具体的にはミクロン)レベルにある。従来技術と比べて、本願の検出装置はより高い制御精度を有する。
【0011】
任意で、本願の別の可能な実施では、本願の検出装置は、前記検出装置はピンホールバッフルプレートをさらに含み、前記ピンホールバッフルプレートは前記ビームスプリッタと前記検出器との間に配置され、前記ピンホールバッフルプレート内のピンホールの法線は前記光軸に対して垂直である。前記ピンホールバッフルプレート内のピンホールは、干渉ビームの干渉信号の信号対雑音比を改善するために、あらかじめ設定された強度のビームを前記干渉ビームから選択するために用いられる。
【0012】
任意で、本願の別の可能な実施では、本願における入射パルスレーザーは極短パルスレーザーを含む。
【0013】
第2の態様によれば、光学ドライブが提供される。光学ドライブは、光源エミッタと、第1の態様又は第1の態様の任意の可能な実施に係る検出装置を含む。光源エミッタは、入射パルスレーザーを検出装置に放射するように構成されている。
【0014】
第3の態様によれば、検出方法が提供される。検出方法は、第1の態様及び第1の態様の任意の可能な実施に係る検出装置に適用される。
【0015】
本願において、前述の検出装置の名称は、装置又は機能モジュールに対する限定を何らなすものではない。実際の実施において、これらの装置又は機能モジュールは他の名称で現れ得るが、各装置又は機能モジュールの機能が本願のものと同様であるならば、本願の特許請求の範囲及びその同等の技術の範囲に含まれる。
【0016】
第2の態様及び第3の態様並びに本願のこれら2つの態様の実施についての詳細な説明については、第1の態様及び第1の態様の実施の詳細な説明を参照されたい。加えて、第2の態様及び第3の態様並びにこれら2つの態様の実施の有益な効果については、第1の態様及び第1の態様の実施における有益な効果分析を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0017】
本願のこれらの又は他の態様は、以下の説明においてより明確且つ容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、既存の光学ドライブ内の光学ヘッドの概略構造図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る検出装置の第1の概略構造図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る検出装置におけるビーム透過の概略フローチャートである。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る干渉信号の光場強度の分布の概略図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る検出装置の第2の概略構造図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る検出装置の第3の概略構造図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る光学ドライブの処理のための概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述したように、光ディスクは光学記憶媒体の一種である。光ディスクは、具体的には非消去可能な光ディスク、例えば、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disc read only memory、CD-ROM)又はデジタル多用途ディスク読み出し専用メモリ(DVD-ROM)を含み得るか又は消去可能な光ディスク、例えば、書き換え可能コンパクトディスク(compact disc rewritable、CD-RW)又はDVDランダムアクセスメモリ(digital versatile disc random access memory、DVD-RAM)を含むことができる。
【0020】
一般に、光ディスクは、基板、記録層、反射層、保護層、印刷層等を含む。記録層は、主にデータを記憶するように構成されている。光学ドライブの入射レーザーが、光学ドライブの対物レンズを介して記録層に集束されると、データの読み出し又は書き込みが完了する。単一の光ディスクの記憶容量を増やすために、既存の光ディスクは、概して、複数の記録層を含む。基板、反射層、保護層及び印刷層の機能については、従来技術の説明を参照されたい。詳細についてはここでは再度説明しない。
【0021】
データの読み出し又は書き込みプロセスでは、通常、光ディスクは高速で回転する。しかしながら、高速回転によって光ディスクが上下に振動する。その結果、光ディスクの記録層は対物レンズの焦点から逸れ、データの読み出し又は書き込みに影響を及ぼす。光ディスクの記録層が対物レンズの焦点から逸れる課題を解決するために、現在、光ディスクの記録層が対物レンズの焦点に位置するかどうかを検出し、検出結果に基づいて光ディスクを動かすかどうかをさらに判定するために非点収差法が用いられ得る。しかしながら、非点収差法による検出結果の精度は比較的低い。
【0022】
したがって、本発明の一実施形態は検出装置を提供する。検出装置は、パルスレーザーの干渉特性に基づいて干渉ビームを取得し、干渉ビームの干渉信号に基づいて、光ディスクのi番目の記録層が対物レンズの焦点に位置するかどうかを判定する(n≧i≧1、nは光ディスクの記録層の数)。従来技術と比較して、本方法はビームスポットの形状及び対称性に依存しないため、検出結果の精度を効果的に改善する。本発明のこの実施形態における全ての検出結果は、光ディスクのi番目の記録層が対物レンズの焦点に位置するかどうかを検出した結果である。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係る検出装置の概略図である。図2に示すように、検出装置は、対物レンズ20、ビームスプリッタ21、反射器22、検出器23及びサーボコントローラ24を含む。
【0024】
反射器22及び検出器23は、対物レンズ20の光軸の両側に互いに反対に配置され、反射器22の法線(すなわち、反射器22の鏡面に垂直な直線)は、対物レンズ20の光軸に対して垂直である。ビームスプリッタ21は、反射器22と検出器23との間に配置され、対物レンズ20の光軸上に位置する。サーボコントローラ24は検出器23に接続されている。本発明のこの実施形態では、ビームスプリッタ21と反射器22との間の距離はL1で表され、ビームスプリッタ21と光ディスクのi番目の記録層との間の距離はL2で表される。L1は固定値であり、L2は光ディスクが上下に振動するとは変化する。
【0025】
図2を参照して、図3に示すように、入射パルスレーザーの伝搬方向は対物レンズ20の光軸と平行である。検出装置に入射した後、入射パルスレーザーは先ずビームスプリッタ21に到達する。入射パルスレーザーを受信した後、ビームスプリッタ21は、入射パルスレーザーを第1のビームと第の2ビームとに分割し、第1のビームの透過方向は対物レンズ20の光軸に対して垂直であり、第2のビームの透過方向は対物レンズ20の光軸と平行である。
【0026】
反射器22に到達した後、第1のビームは反射器22によって反射される。反射器22は、第1のビームに基づく反射を介して第3のビームを得る。第3のビームは、ビームスプリッタ21の透過を介して検出器23に到達する。
【0027】
第2のビームは、対物レンズ20を介して光ディスク上に集束される。光ディスクは反射層を有するため、光ディスクに到達した後に、第2のビームは光ディスクによってさらに反射される。光ディスクは第2のビームに基づく反射を介して第4のビームを得る。第4のビームは、対物レンズ20の透過を介してビームスプリッタ21に到達する。次に、ビームスプリッタ21は第4のビームを反射する。ビームスプリッタ21によって反射された第4のビームは検出器に送られる。
【0028】
実際の用途では、光ディスクが上下に振動しないか又は光ディスクが静止したままのシナリオでは、第2のビームは、光ディスクのi番目の記録層に集束されてもよく、n≧i≧1であり、nは光ディスク内の記録層の数である。
【0029】
図3を参照して、ビームスプリッタ21によって透過された第3のビームの透過方向は、ビームスプリッタ21によって反射された第4のビームのものと同じであることが分かる。このように、ビームスプリッタ21によって透過された第3のビームと、ビームスプリッタ21によって反射された第4のビームとは空間内で出会う。ビームスプリッタ21によって透過された第3のビーム及びビームスプリッタ21によって反射された第4のビームの両方は入射パルスレーザーに由来するため、ビームスプリッタ21によって透過された第3のビーム及びビームスプリッタ21によって反射された第4のビームの周波数は同じであり、振動方向は一貫している。したがって、ビームスプリッタ21によって透過された第3のビーム及びビームスプリッタ21によって反射される第4のビームは空間内で出会った場合に互いに重なり、干渉ビームが生成される。
【0030】
これに対応して、検出器23は干渉ビームを得る。本発明のこの実施形態における検出器23は任意の光検出器であってよく、光信号を電気信号に変換する機能を有する。したがって、干渉ビームを得た後、検出器23は干渉ビームの干渉信号を特定し得る。
【0031】
例えば、入射パルスレーザーの電気信号は、
(外1)
で表され、a(t)は電気信号のエンベロープを示し、
(外2)
はキャリアを示し、ωは入射パルスレーザーの中心周波数を示す。入射パルスレーザーについて、検出器23によって特定された干渉信号(実際の用途では、一般に、検出器23の応答速度は入射パルスレーザーの電界周波数よりもはるかに小さい。したがって、検出器23は入射パルスレーザーの電界強度の積分値を求める)は下式(1)を満たす。
【0032】
【数1】
ここで、Iは検出器によって得られる干渉信号の光場強度を示し、τは光遅延を示し、τ=2(L2-L1)/cであり、cは光速度を示し、Pout(t)は干渉信号のパワーを示し、c.c.は
(外3)
の共役を示す。
【0033】
図4は、干渉信号の光場強度Iの分布を示す。図4から、干渉信号の光場強度Iは、τの変化に伴って変化することが分かる。τ=0の場合、干渉信号の光場強度Iは電流最大値である。すなわち、L1=L2の場合、干渉信号は最大値を有する。干渉信号が最大値の場合、それは、光ディスクのi番目の記録層が対物レンズの焦点に位置することを示す。
【0034】
図4において、干渉信号の光場強度Iのエンベロープは、a(t)の自己相関関数であり、干渉信号の光場強度Iのキャリア振動数は、入射パルスレーザーの中心周波数ωである。
【0035】
また、干渉信号を特定した後、検出器23は干渉信号をサーボコントローラ24にさらに送信する。
【0036】
検出器23によって送信された干渉信号を受信した後、サーボコントローラ24は、干渉信号とτ(例えば、前述の式(1))との関係に基づいて、i番目の記録層が対物レンズの焦点に位置しているかどうかを判定する。
【0037】
検出装置は、パルスレーザーの干渉特性を用いることにより干渉ビームを得て、その干渉ビームの干渉信号に基づいて、光ディスクのi番目の記録層が対物レンズの焦点にあるかどうかを判定できる。従来技術と比較して、本方法はビームスポットの形状及び対称性に依存しないため、検出結果の精度が効果的に改善される。本発明のこの実施形態における全ての検出結果は、光ディスクのi番目の記録層が対物レンズの焦点に位置するかどうかを検出した結果である。
【0038】
本発明のこの実施形態における入射パルスレーザーは短パルスレーザーを含み得るか又は極短パルスレーザーを含み得る。これは、本発明のこの実施形態では限定されない。実際の用途では、入射パルスレーザーが極短パルスレーザーの場合、検出装置の検出結果は最良になる。
【0039】
加えて、図2を参照して、図5に示すように、前述の構成要素に加えて、本発明のこの実施形態で提供される検出装置は、光ディスクを支持するための並進ステージ25をさらに含み、並進ステージ25はサーボコントローラ24に接続されている。例えば、並進ステージ25は圧電セラミック並進ステージである。なお、光ディスクは検出装置に属さない。したがって、光ディスクは図5では破線で表される。
【0040】
光ディスクのi番目の記録層が対物レンズ20の焦点から逸れている判定されると、サーボコントローラ24は、干渉信号に基づいて並進ステージ25に制御信号を送信するように構成され、この制御信号は、並進ステージ25の移動方向及び移動距離を示すために用いられる。これに対応して、並進ステージ25は、制御信号によって示される移動方向及び移動距離に基づいて、光ディスクを対物レンズ20の焦点に動かす。このように、本発明のこの実施形態で提供される検出装置は、光ディスクのi番目の記録層が対物レンズ20の焦点から逸れている場合に、データを有効に読み出し又は書き込みできないという課題を解決できる。
【0041】
具体的には、サーボコントローラ24は、干渉信号に対してデジタル/アナログ動作を行ってエラー信号を取得し、次いでエラー信号を増幅して制御信号を得る。
【0042】
任意で、光ディスクのi番目の記録層が対物レンズ20の焦点に位置すると判定された場合、サーボコントローラ24は並進ステージ25にも制御信号を送信し得る。制御信号によって示される移動方向及び移動距離はヌル値であるか又は並進ステージ25を変更しないように維持するために用いられる情報である。
【0043】
τ=2(L2-L1)/cであるため、τの精度は波長(具体的にはミクロン)レベルである。干渉信号はτに関し、サーボコントローラ24は干渉信号に基づいて制御信号を特定する。したがって、制御信号の精度も波長(具体的にはミクロン)レベルである。したがって、並進ステージの移動精度も波長(具体的にはミクロン)レベルである。したがって、本発明のこの実施形態で提供される検出装置の制御精度は比較的高い。
【0044】
また、任意で、図5を参照して(又は図2を参照して)、図6に示すように、本発明のこの実施形態で提供される検出装置はピンホールバッフルプレート26をさらに含み、ピンホールバッフルプレート26はビームスプリッタ21と検出器23との間に配置され、ピンホールバッフルプレート26内のピンホールの法線(すなわち、ピンホールの平面に対して垂直な直線)は光軸に対して垂直である。ピンホールバッフルプレート26のピンホール(pinhole)は、所定の強度のビームを干渉ビームから選択するために用いられる。このように、検出器23によって得られる干渉ビームのノイズは比較的低く、検出器23により干渉信号を特定する速度及び精度は効果的に改善されている。
【0045】
本発明のこの実施形態で提供される検出装置は、具体的には、高密度光学記憶装置の読み出し/書き込み光学ヘッドであり得るか又は高密度光学記憶装置の読み出し/書き込み光学ヘッド内のいくつかのモジュールであり得るか又は光学記憶シナリオで用いられる別の読み出/書き込み装置であり得る。これは、本発明のこの実施形態で限定されない。
【0046】
本発明の別の実施形態は、さらに光学ドライブを提供する。光学ドライブは、図2図5又は図6に示す検出装置を含むため、光学ドライブは、光ディスクが対物レンズ20の焦点に位置するかどうかを正確に検出でき、光ディスクのi番目の記録層が対物レンズ20の焦点から逸れた場合にデータを効果的に読み出し又は書き込みできないという課題も解決できる。
【0047】
なお、本発明のこの実施形態で提供される光学ドライブは別のコンポーネント、例えばデータの読み出し又は書き込みを完了するように構成された関連コンポーネントをさらに含み得る。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0048】
以下では、(n個の記録層を含む)光ディスクのデータを読み出し又は書き込みするプロセスにおける光学ドライブの処理手順を説明するために、光学ドライブを一例として用いる。
【0049】
図7に示すように、n個の記録層を有する光ディスクのデータを読み出し又は書き込みするプロセスにおいて、光学ドライブは以下の動作を行う。
【0050】
S700.光学ドライブが初期化動作を完了する。
【0051】
具体的には、光学ドライブ内の入射光源がオンにされ、入射パルスレーザーが放射される。前述の説明を参照して、入射パルスレーザーが放射された後、光学ドライブは干渉ビーム及び干渉信号を得ることができることが分かる。光ディスクが非回転状態であると仮定すると、光学ドライブ内の並進ステージは近点から遠点に移動する。並進ステージを移動させるプロセスにおいて、干渉信号の強度は変化し、光学ドライブは複数の最大値を検出できる。光学ドライブは、検出された最大値に基づいて各記録層の静的位置を特定し得る。記録層の位置は、ビームスプリッタと記録層との間の距離を用いることによって表され得る。
【0052】
本発明のこの実施形態では、Piは、i番目の記録層の静止位置を表すために用いられる。
【0053】
上述の説明から、L1=L2の場合、干渉信号の強度は最大値であることが分かる。これに基づいて、光学ドライブは、得られた干渉信号の強度に基づいて、各記録層の静的位置を特定し得る。
【0054】
初期化が完了した後、光学ドライブは、光ディスクからデータの読み出し又はデータの書き込みを開始し、入射光源は、ON状態(すなわち、入射パルスレーザーが常に存在する)で維持される。通常、光ディスクのデータの読み出し又は書き込みは、記録層の順序に基づいて順次行われる。光学ドライブの処理手順は各記録層で同じある。以下では、i番目の記録層を説明のための一例として用いる。
【0055】
S701.i番目の記録層のデータを読み出すか又は書き込む場合、並進ステージはi番目の記録層をPi位置に動かす。
【0056】
S702.データを読み出し又は書き込みするプロセスでは、光ディスクは回転状態にある。入射パルスレーザーが常に存在するため、光学ドライブは干渉信号をリアルタイムで検出でき、検出された干渉信号に基づいて制御信号を特定し、制御信号に基づいて並進ステージを動かすことができるため、i番目の記録層は対物レンズの焦点に位置し、それによりデータの効果的な読み出し又は書き込みが実施される。
【0057】
S702は、具体的には光学ドライブ内の並進ステージ及びサーボコントローラによって完了され得る。このステップの詳細については、上記の並進ステージ25及びサーボコントローラ24の説明を参照されたい。詳細については、ここでは再度説明しない。
【0058】
S703.i番目の記録層のデータの読み出し又は書き込みが完了した後、光学ドライブは(i+1)番目の記録層も存在するかどうかを検出する。
【0059】
(i+1)番目の記録層が存在する場合には、光学ドライブは、S701及びS702における上記の方法を用いることにより、(i+1)番目の記録層からデータを読み出すか又はデータを書き込む。
【0060】
(i+1)番目の記録層が存在しない場合、光学ドライブの処理手順が終了する。
【0061】
光学ドライブは干渉信号をリアルタイムで検出し、検出した干渉信号に基づいて制御信号を決定し、制御信号に基づいて並進ステージを動かすため、i番目の記録層が対物レンズの焦点に位置することが分かる。したがって、本発明のこの実施形態の光学ドライブは、データの読み出し又は書き込みを効果的に、正確且つ迅速に完了させることができる。
【0062】
実施についての前述の説明は、便宜的且つ簡潔な説明のために、前述の機能モジュールへの分割は説明のための一例として用いられていることを当業者が明確に理解することを可能にする。実際の用途では、上述の機能の全て又は一部を実施するために、要件に基づいた実施のために上記の機能を異なるモジュールに割り当てることができる。つまり、装置の内部構造が異なる機能モジュールに分割される。
【0063】
本願に提供されるいくつかの実施形態では、開示の装置及び方法は他の方法で実施され得ることを理解すべきである。例えば、説明した装置の実施形態は一例にすぎない。例えば、モジュール又はユニットへの分割は論理的な機能の分割にすぎず、実際の実施では他の分割であり得る。例えば、複数のユニット又はコンポーネントは組み合わされ得るか又は別の装置に一体化され又は一部の特徴は無視され得るか又は行われなくてもよい。加えて、表示又は説明された相互連結又は直接連結又は通信接続は、一部のインターフェースを介して実施され得る。装置又はユニット間の間接的な連結又は通信接続は、電子的、機械的又は他の形態で実施され得る。
【0064】
別個の部分として説明したユニットは物理的に分離されていてもなくてもよく、ユニットとして表示される部分は1つ以上の物理的ユニットであり得るか、1箇所に位置し得るか又は異なる場所に分散し得る。ユニットの一部又は全ては、実施形態の解決策の目的を実現するために、実際の要件に基づいて選択され得る。
【0065】
加えて、本願の実施形態における機能ユニットは1つの処理ユニットに統合され得るか又は各ユニットは物理的に単独で存在し得るか又は2つ以上のユニットが1つのユニットに統合される。統合されたユニットはハードウェアの形態で実施され得るか又はソフトウェア機能ユニットの形態で実施され得る。
【0066】
統合されたユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実施され、独立した製品として販売又は用いられる場合、統合されたユニットは読み出し可能記憶媒体に記憶され得る。そのような理解に基づいて、本願の実施形態における技術的解決策は、本質的に又は先行技術に寄与する部分又は技術的解決策の全て若しくは一部がソフトウェア製品の形態で実施され得る。ソフトウェア製品は記憶媒体に記憶され、装置(シングルチップマイクロコンピュータ、チップ等であり得る)又はプロセッサ(processor)に、本願の実施形態で説明した方法のステップの全て又は一部を行うように指示するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、磁気ディスク又は光ディスク等のプログラムコードを記憶可能な任意の媒体を含む。
【0067】
前述の説明は、本願の具体的な実施にすぎず、本願の保護範囲を制限することを意図するものではない。本願で開示された技術的範囲内の変更又は置き換えは本願の保護範囲内にあるものとする。したがって、本願の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7