(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】初期MCS値確定方法、電子デバイス及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 72/12 20230101AFI20231114BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20231114BHJP
【FI】
H04W72/12
H04W28/18 110
(21)【出願番号】P 2022534319
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 CN2020120668
(87)【国際公開番号】W WO2021109716
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】201911244259.X
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シー シャンチー
【審査官】本橋 史帆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/137316(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/020958(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/130920(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103427885(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0100265(US,A1)
【文献】Huawei, HiSilicon,Remaining details of CQI and MCS design[online],3GPP TSG RAN WG1 #91 R1-1721433,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_91/Docs/R1-1721433.zip>
【文献】Qualcomm Incorporated,Performance of Blind SLIC Receivers for NAICS Phase-2 Evaluations[online],3GPP TSG-RAN WG4♯68bis R4-135578,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_68Bis/Docs/R4-135578.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調符号化方式MCS値に影響する、端末のN個の測定パラメータの現在の所在区間を確定するステップであって、各前記測定パラメータの区間は前記測定パラメータの可能な値範囲に対して区間分割を予め行って得たものであり、前記Nは0よりも大きい自然数であるステップと、
前記N個の測定パラメータの現在の所在区間、及び統計して得た前記N個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率に基づいて、前記端末の初期アウターループMCS値をリアルタイムで計算するステップと、
前記初期アウターループMCS値と前記端末のインナーループMCS値に基づいて、前記端末の初期MCS値を確定するステップと、を含む
初期変調符号化方式MCS値の確定方法。
【請求項2】
前記N個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率は、
予め設定された長さのスライディングタイムウィンドウにおいて、すべての端末の毎回のスケジューリング時に、各前記測定パラメータの所在区間と対応するアウターループMCS値をそれぞれ統計し、前記測定パラメータが任意の区間に属する時、アウターループMCS値が任意値である確率を得るという方式で統計して得る
請求項1に記載の初期MCS値の確定方法。
【請求項3】
前記N個の測定パラメータの現在の所在区間、及び予め統計して得た前記N個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率に基づいて、前記端末の初期アウターループMCS値をリアルタイムで計算する前記ステップは、
統計した前記N個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率に基づいて、前記端末の前記N個の測定パラメータの現在の所在区間に対応する異なるアウターループMCS値の分布確率を確定するステップと、
前記N個の測定パラメータの現在の所在区間に対応するアウターループMCS値分布確率の和を最大化することができる目標アウターループMCS値を取得するステップと、
前記目標アウターループMCS値を前記端末の初期アウターループMCS値とするステップと、を含む
請求項1に記載の初期MCS値の確定方法。
【請求項4】
前記N個の測定パラメータは1つの重み係数にそれぞれ対応し、
前記N個の測定パラメータの現在の所在区間に対応するアウターループMCS値分布確率の和を最大化することができる目標アウターループMCS値を取得する前記ステップは、
重み付けした前記N個の測定パラメータの現在の所在区間に対応するアウターループMCS値分布確率の和を最大化することができる目標アウターループMCS値を取得するステップを含む
請求項3に記載の初期MCS値の確定方法。
【請求項5】
前記重み係数は、パラメータインターフェイスによりリアルタイムで調整される
請求項4に記載の初期MCS値の確定方法。
【請求項6】
前記測定パラメータに対応する重み係数がいずれも1/Nであるか、または、前記測定パラメータに対応する重み係数が前記測定パラメータの現在の所在区間のサンプルの数と前記N個の測定パラメータの現在の所在区間のサンプルの総量に基づいて確定される
請求項4に記載の初期MCS値の確定方法。
【請求項7】
前記N個の測定パラメータは、チャネル品質指標、シーク参照信号
の信号対干渉ノイズ比またはビームフォーミングゲインのうちの1つまたは任意の組み合わせを含む
請求項1~6のいずれか1項に記載の初期MCS値の確定方法。
【請求項8】
前記初期アウターループMCS値と前記端末のインナーループMCS値に基づいて、前記端末の初期MCS値を確定する前記ステップは、
前記初期アウターループMCS値と前記端末のインナーループMCS値を合算し、前記端末の初期MCS値を得るステップを含み、
前記インナーループMCS値は前記端末のリアルタイムチャネル品質に基づいて確定される
請求項1~6のいずれか1項に記載の初期MCS値の確定方法。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されるメモリと、を含み、
前記メモリに、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な指令が記憶されており、前記指令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~8のいずれか1項に記載の初期MCS値の確定方法を実行させることができる
電子デバイス。
【請求項10】
コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行される時に、請求項1~8のいずれか1項に記載の初期MCS値の確定方法を実現する
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号を201911244259.Xとし、出願日を2019年12月6日とする中国特許出願を基に提出するものであり、当該中国特許出願の優先権を主張し、当該中国特許出願のすべての内容を参照により本願に援用する。
【0002】
本願実施例は通信技術分野に関わり、特に初期MCS値確定方法、電子デバイス及び記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
LTE(Long Term Evolution、ロングタームエボリューション)とNR(New Radio、新無線通信)システムにおいて、AMC(Adaptive Modulation and Coding、適応変調符号化)はMCS(Modulation and Coding Scheme、変調符号化方式)を確定するためのものである。AMCの過程はチャネル条件の変化に応じて、適切なMCSを動的に選択する過程である。一般的な状況において、UEの初期MCS=インナーループMCS+初期アウターループMCSである。なお、インナーループMCSはUEリアルタイムチャネル品質によって決定し、初期アウターループMCSは経験に基づいて示され、常に固定値である。リアルタイムスケジューリング過程において、UEによりスケジューリングされたMCS=インナーループMCS+アウターループMCSである。ここで、インナーループMCSは依然としてUEのリアルタイムチャネル品質によって決定し、アウターループMCSは初期アウターループMCSを基に、UEの数回のデータ伝送BLER(Block Error Ratio、ブロックエラー率)に応じて段階的に調整する。
【0004】
以上の関連技術には、実際のシステムにおいて、UE初期MCSとその最終的な収束後のスケジューリングMCSにかなりの違いがあることがよくあり、MCS値が最終的に確定された後のBLERに影響し、ユーザ体験が劣ることになるという問題が少なくとも存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施の形態の目的は、初期MCS値確定方法、電子デバイス及び記憶媒体を提供することである。
【0006】
上記技術課題を解決するために、本願の実施の形態は、変調符号化方式MCS値に影響する、端末のN個の測定パラメータの現在の所在区間を確定するステップであって、各測定パラメータの区間は測定パラメータの可能な値範囲に対して区間分割を予め行って得たものであり、Nは0よりも大きい自然数であるステップと、N個の測定パラメータの現在の所在区間、及び統計して得たN個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率に基づいて、端末の初期アウターループMCS値をリアルタイムで計算するステップと、初期アウターループMCS値と端末のインナーループMCS値に基づいて、端末の初期MCS値を確定するステップと、を含む初期MCS確定方法を提供する。
【0007】
本願の実施の形態は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されるメモリと、を含み、メモリに、少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な指令が記憶されており、指令が少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、少なくとも1つのプロセッサに上記の初期MCS値の確定方法を実行させることができる電子デバイスをさらに提供する。
【0008】
本願の実施の形態は、コンピュータプログラムが記憶されており、コンピュータプログラムがプロセッサにより実行される時、上記の初期MCS値の確定方法を実現するコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
1つまたは複数の実施例はそれに対応する図面における図により例示的な説明を行い、これら例示的な説明は実施例に対する限定を構成せず、図面において同一の基準数字符号を有する素子は類似の素子を表す。特に説明しない場合、図面における図は比率の制限を構成しない。
【0010】
【
図1】
図1は本願第1の実施の形態における初期MCS確定方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は本願第1の実施の形態においてN個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率を取得するフローチャートである。
【
図3】
図3は本願第2の実施の形態における初期MCS確定方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は本願第3の実施の形態における電子デバイスの構造概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の実施例の目的、技術案、メリットをより明瞭にするために、以下では図面を組み合わせて、本願の各実施の形態について詳細に説明する。なお、本願の各実施の形態では、読者が本願をより好ましく理解できるように多くの技術の詳細を示しているものと当業者は理解できる。しかし、これらの技術の詳細と、以下の各実施の形態に基づく様々な変化と修正がなくても、本願が請求している技術案を実現することもできる。以下の各実施例の区分は記載に便宜を図るためのものであり、本願の具体的な実現方式に対して如何なる限定も構成するものではなく、各実施例が矛盾しないことを前提として、互いに組み合わせ、互いに引用することができる。
【0012】
本願実施の形態の目的は、初期MCS値確定方法、電子デバイス及び記憶媒体を提供し、適応変調符号化AMC過程において、より適切な初期MCS値を確定することで、UEによりスケジューリングされたMCSの収束速度を上げ、システムのスペクトル効率を高めるという目的を実現するということである。
【0013】
本願の第1の実施の形態は初期MCSの確定方法に関するものである。本実施の形態では、変調符号化方式MCS値に影響する、端末のN個の測定パラメータの現在の所在区間を確定し、ここで、各測定パラメータの区間は測定パラメータの可能な値範囲に対して区間分割を予め行って得たものであり、Nは0よりも大きい自然数であって、N個の測定パラメータの現在の所在区間、及び予め統計して得たN個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率に基づいて、端末の初期アウターループMCS値をリアルタイムで計算し、初期アウターループMCS値と端末のインナーループMCS値に基づいて、端末の初期MCS値を確定する。
【0014】
以下では、本実施の形態の初期MCS値の確定方法の実現の詳細について具体的に説明する。以下の内容は提供する実現の詳細の理解に便宜を図るためのものに過ぎず、本技術案を実施するにあたって必ず必要なものではない。
【0015】
本実施の形態における初期MCS値の確定方法は
図1に示すように、以下のステップを含む。
【0016】
ステップ101:変調符号化方式MCS値に影響する、端末のN個の測定パラメータの現在の所在区間を確定し、ここで、各測定パラメータの区間は測定パラメータの可能な値範囲に対して区間分割を予め行って得たものであり、Nは0よりも大きい自然数である。
【0017】
具体的に言えば、本実施の形態において、変調符号化方式MCS値に影響する測定パラメータはチャネル品質指標CQI(Channel Quality Indication)、シーク参照信号SRS(Sounding Reference Signal)、信号対干渉ノイズ比SINR(Signal to Interference-plus-Noise Ratio)またはビームフォーミングゲインBF(Beam Forming)を含むが、これらに限らない。各MCS値測定パラメータの値範囲を複数の区間に予め分け、区間の区分方法はその値範囲をシステムの精度要求に従って均一に分けることを含むが、これに限らない。基地局がUEのMCS値の確定過程を開始した時、そのうちの少なくとも1つ、または任意のパラメータの組み合わせを選択して変調符号化方式MCS値に影響する測定パラメータとし、その後、選択したパラメータの現在の値がどの区間にあるか確定する。i∈{0,…,I-1}でMCS値の関連測定パラメータのインデックスを表し、ここで、IはMCS値測定パラメータの数を表す。また、ki∈{0,…,Ki-1}でMCS値の測定パラメータiの値区間インデックスを表し、ここで、KiはMCS値測定パラメータiの値区間の数を表す。
【0018】
一例において、CQIを唯一のMCS値測定パラメータとし、仮にCQIの値範囲を(0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15)が4つの区間に均一に分けられたものとすると、k0∈{0,…,3}、K0=10であって、即ち、具体的な区分方法は、CQI∈{0,1,2,3}の時、インデックス値k0=0、CQI∈{4,5,6,7}の時、インデックス値k0=1、CQI∈{8,9,10,11}の時、インデックス値k0=2、CQI∈{12,13,14,15,}の時、インデックス値k0=3というものである。
【0019】
別の一例において、選択したMCS測定パラメータはCQI及びSRS-SINRを含む。この時、i∈{0,1}はMCS値測定パラメータインデックスを表し、I=2である。k0∈{0,…,3}であり、この時K0=4である。具体的な区間の区分方法はk0=0、即ち、CQI∈{0,1,2,3}の場合、k0=1、即ち、CQI∈{4,5,6,7}の場合、k0=2、CQI∈{8,9,10,11}の場合、k0=3、即ち、CQI∈{12,13,14,15}の場合というものである。k1∈{0,…,3}であり、であり、この時K1=4である。具体的な区間の区分方法は、k1=0、即ち、SRS-SINR≦10dBの場合、k1=1、即ち、10dB<SRS-SINR≦15dBの場合、k1=2、即ち、15dB<SRS-SINR≦20dBの場合、k1=3、即ち、SRS-SINR>20dBの場合というものである。
【0020】
ステップ102:統計したN個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率に基づいて、端末のN個の測定パラメータの現在の所在区間に対応する異なるアウターループMCS値の分布確率を確定する。
【0021】
具体的に言えば、基地局は、ある時間帯のすべてのユーザUEがスケジューリングするMCS値の履歴データを予め記録し、データを統計し、各測定パラメータの値範囲での各区間の分布確率を算出する。
【0022】
本実施の形態における、N個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率を取得する方法は
図2に示すように、以下のステップを含む。
【0023】
ステップ201:N個の測定パラメータを確定し、スライディングタイムウィンドウを設置する。
【0024】
具体的に言えば、基地局が現在行われているUEによりMCSをスケジューリングする過程において使用を必要とする測定パラメータを選択し、スライディングタイムウィンドウの時間長さを設定する。スライディングタイムウィンドウの長さは一般的に経験に応じて設置され、基地局の具体的な作動状況に応じて適切な値Tを選択し、例えば、UEの数が比較的大きい基地局は小さめのT値を設置することができ、UEの数が比較的小さい基地局は大きめのT値を設置することができる。時間の長さの設定が長すぎるとサンプルデータが多くなりすぎてしまい、基地局の異なる時間帯での作動負荷が異なるため、現在時刻からやや離れたサンプルデータは好適な参考価値を具備せず、最終的に確定される初期MCS値に影響する。時間の長さの設定が短すぎるとサンプルデータが少なくなりすぎてしまい、統計により得た分布確率の信頼性は比較的低く、このことも最終的に確定される初期MCS値に影響する。
【0025】
ステップ202:すべてのUEの毎回のスケジューリングにおける各MCS値測定パラメータの所在区間と当該UEのスケジューリング時刻でのアウターループMCS値を統計する。
【0026】
具体的に言えば、スライディングタイムウィンドウの時間長さはTであり、現在時刻tについて言えば、スライディングタイムウィンドウはt-T時刻からt-1時刻までの時間帯を表し、システムがこの時間内に記録した、すべてのUEが行うMCSスケジューリング時のデータを読み取り、すべてのUEの毎回のスケジューリング時に、その各MCS値測定パラメータの所在区間と当該UEの当時のアウターループMCS値をそれぞれ統計する。最終的に、現在のスライディングウィンドウで、任意のMCS値測定パラメータが任意の区間に属する時、アウターループMCSが任意値と等しい確率を計算して得る。
【0027】
ステップ203:スライディングタイムウィンドウ内で、任意のMCS値測定パラメータが任意の区間に属する時、アウターループMCSが任意値と等しい確率を算出する。
【0028】
具体的に言えば、本実施の形態では、tでMCS確定過程を行う現在時刻を表し、mでアウターループMCS値を表し、
【0029】
【0030】
でt-T時刻からt-1時刻までを表すとし、つまり、スライディングタイムウィンドウで、すべてのUEがスケジューリングするMCS値の測定パラメータiは区間kiの回数に属し、
【0031】
【0032】
はスライディングタイムウィンドウ内のすべてのUEがスケジューリングするMCS値の測定パラメータiが区間kiに属し、且つアウターループMCSはmの回数と等しいということを表す。スライディングタイムウィンドウt-Tからt-1までの
【0033】
【0034】
と
【0035】
【0036】
を統計し、
【0037】
【0038】
でt-Tからt-1までの時刻を表し、スケジューリングされたUE MCS値の測定パラメータiが区間kiに属する場合、アウターループMCSはmの統計確率と等しく、即ち、
【0039】
【0040】
である。計算してスライディングタイムウィンドウ、即ち、t-Tからt-1までの時間帯内の
【0041】
【0042】
を得る。ここで、すべての時刻t、すべての測定サブパラメータi及びすべての測定パラメータのすべての値kiに対して、
【0043】
【0044】
を成立させ、即ち、
【0045】
【0046】
である。
【0047】
CQIを唯一のMCS値測定パラメータとすることを例とすると、CQIの測定パラメータインデックス値は0である。スライディングタイムウィンドウ時間長さT=200000ms、現在時刻がtであれば、t-Tからt-1までの時間帯内のすべてのUEがスケジューリングするMCS値の測定パラメータiが区間kiに属する回数
【0048】
【0049】
及びすべてのスケジューリングされたUE MCS値測定パラメータiが区間kiに属し、且つアウターループMCSがmと等しい回数
【0050】
【0051】
を統計する。仮の統計結果は以下の通りである。
【0052】
【0053】
【0054】
計算によりスライディングタイムウィンドウ内の
【0055】
【0056】
という結果を得る。
【0057】
測定パラメータにCQI及びSRS-SINRを含むことを例とすると、CQIの測定パラメータインデックス値は0であり、SRS-SINRのインデックス値は1である。T=200000msとし、スライディングタイムウィンドウt-Tからt-1までの時間帯内の
【0058】
【0059】
と
【0060】
【0061】
を統計する。仮に
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
とし、計算してスライディングタイムウィンドウ内の
【0067】
【0068】
【0069】
という結果を得る。
【0070】
ステップ103:N個の測定パラメータの現在の所在区間に対応するアウターループMCS値分布確率の和を最大化できる目標アウターループMCS値を取得する。
【0071】
具体的に言えば、基地局は、まず現在行われているMCS値確定過程の各測定パラメータの値を得、その後、現在の端末のN個の測定パラメータの現在の所在区間に対応する異なるアウターループMCS値の分布確率を確定する。各MCS値に対応する分布確率を合算し、N個の測定パラメータの現在の所在区間に対応するアウターループMCS値分布確率の和を最大化できる目標アウターループMCS値を取得する。UEの各MCS値関連測定パラメータの所在区間に対応する異なるアウターループMCS値の統計確率を得る。当該UEすべてのMCS値の関連測定パラメータの所在区間の重み確率の和を最大化できるアウターループMCS値を計算して得、この値を当該UEの初期アウターループMCSとする。重み付けに用いる重み値は、1をMCS値の関連測定パラメータの数で割った値とするというように簡単に設けることができ、当該UEによって任意に指定された、MCS値の関連測定パラメータの所在区間サンプルの数を当該UEのすべてのMCS値の関連測定パラメータの所在区間サンプル総量で割った値を使用してもよい。最終的に、リアルタイムで計算されるインナーループMCS値を組み合わせて、UEの初期MCSを得る。
【0072】
システムのスライディングタイムウィンドウでの履歴スケジューリングサンプルに対する学習により、N個の測定パラメータの現在の所在区間に対応するアウターループMCS値分布確率の和を最大化できる目標アウターループMCS値を取り、より適切な初期MCSを選択できるため、UEがMCSをスケジューリングする収束速度を上げ、システムのスペクトル効率を向上させるという目的に達する。
【0073】
Nが1と等しい場合、直接、当該唯一の測定パラメータの分布確率行列で確率値が最大である元素に対応する目標アウターループMCS値を初期アウターループMCS値とする。Nが1よりも大きい場合、N個の
【0074】
【0075】
行列を合算し、合算後の行列
【0076】
【0077】
を得、その後、合算後の行列において最大値である元素に対応する目標アウターループMCS値を初期アウターループMCS値とする。uでUEインデックスを表し、
【0078】
【0079】
で現在時刻UE uMCS値測定パラメータiの所在区間を表す。時刻tにおいて、UE u初期アウターループ
【0080】
【0081】
をリアルタイムで計算し、
【0082】
【0083】
は時刻tがuとマークしたUEのMCS値測定パラメータiにより付けられた重みを表す。このほか、
【0084】
【0085】
である。
【0086】
【0087】
の値はパラメータインターフェイスにより手動で調整することができ、一定の規則で自動的に計算することもできる。例えば、
【0088】
【0089】
、または
【0090】
【0091】
としてよい。
【0092】
CQIを唯一のMCS値測定パラメータとすることを例とすると、仮に0とマークされたUEの時刻tでのCQI=10、即ち、
【0093】
【0094】
である。その後、
【0095】
【0096】
とする。
【0097】
【0098】
であり、即ち、UE 0の初期アウターループMCSは-3であって、計算によりUE 0のインナーループMCSは15であるということが得られるため、UE 0の初期MCSは12である。仮にUE 1の時刻tでのCQI=14とすると、
【0099】
【0100】
である。
【0101】
【0102】
であり、即ち、UE 1の初期アウターループMCSは-1であって、計算によりUE 1のインナーループMCSは24であるということが得られるため、UE 1の初期MCSは23である。
【0103】
測定パラメータにCQIとSRS_SINRを含むことを例とすると、仮に0とマークされたUEの時刻tでのCQI=10、即ち、
【0104】
【0105】
であり、SRS_SINR=16dB、即ち、
【0106】
【0107】
である。
【0108】
【0109】
とすると、
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
であり、即ち、0とマークされたUEの初期アウターループMCSは-2であって、計算により0とマークされたUEのインナーループMCSは15であるということが得られるため、0とマークされたUEの初期MCSは13である。仮に1とマークされたUEの時刻tでのCQI=14とすると、
【0114】
【0115】
であり、SRS-SINR=19dB、即ち、
【0116】
【0117】
である。この時、
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
であり、
【0122】
【0123】
【0124】
であって、即ち、UE 1の初期アウターループMCSを-2とすると、計算により1とマークされたUEのインナーループMCSは24であるということが得られるため、1とマークされたUEの初期MCS値は22である。
【0125】
ステップ104:初期アウターループMCS値と端末のインナーループMCS値に基づいて、端末の初期MCS値を確定する。
【0126】
具体的に言えば、ユーザUEの初期MCS値はインナーループMCS値と初期アウターループMCS値の和である。即ち、uとマークされたUEの初期MCS=インナーループMCS+初期アウターループMCSである。ここで、インナーループMCS値はUEのリアルタイムチャネル品質により決定し、初期アウターループMCSは経験に基づいて示され、常に固定値である。リアルタイムスケジューリングの過程において、UEによりスケジューリングされたMCS値はインナーループMCS値とアウターループMCS値との和である。ここで、インナーループMCSは依然としてUEのリアルタイムチャネル品質によって決定し、アウターループMCSは初期アウターループMCSを基に、UEの数回のデータ伝送BLER(Block Error Ratio ブロックエラー率)に応じて段階的に調整する。本実施の形態は、初期アウターループMCSを得る方法のみを提供し、初期アウターループMCSのアウターループMCSへの収束過程を速めることができる。従来技術との比較において、本実施例はN個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループ値の分布確率を予め統計し、分布確率及び現在のN個の測定パラメータの現在の所在区間に基づいてより適切な初期MCSアウターループ値をリアルタイムで計算することで、初期MCS値を、エラー率BLERが比較的低いUEスケジューリングMCS値に速やかに収束させることができる。
【0127】
本願の第2の実施の形態は初期MCS値確定方法に関するものである。本実施の形態は第1の実施の形態とほぼ同一であり、相違点は、本実施の形態において、N個の測定パラメータの現在の所在区間に対応するアウターループMCS値分布確率の和を最大化できる目標アウターループMCS値を取得する前に、各測定パラメータの重み係数を取得するというものである。
【0128】
本実施の形態における初期MCS値の確定方法は
図3に示すように、以下のステップを含む。
【0129】
ステップ301:変調符号化方式MCS値に影響する、端末のN個の測定パラメータの現在の所在区間を確定する。
【0130】
ステップ302:統計したN個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率に基づいて、端末のN個の測定パラメータの現在の所在区間に対応する異なるアウターループMCS値の分布確率を確定する。
【0131】
ステップ301とステップ302は本願第1の実施の形態におけるステップ101とステップ102と類似しており、実施の詳細は既に本願第1の実施の形態において既に具体的に説明したため、ここでは改めて説明しない。
【0132】
ステップ303:各測定パラメータの重み係数を取得する。
【0133】
ステップ304:N個の測定パラメータの現在の所在区間のアウターループ値分布確率が重み付けされた後の和を最大化できる目標アウターループMCS値を取得する。
【0134】
具体的に言えば、各測定パラメータの重み係数は1/Nであると黙認し、本実施の形態における測定パラメータに対応する重み係数は
【0135】
【0136】
であり、前記測定パラメータの現在の所在区間のサンプルの数と前記N個の測定パラメータの現在の所在区間のサンプル総量から、
【0137】
【0138】
と確定できる。言い換えれば、重み係数は、当該UEが任意に指定したMCS値の測定パラメータの所在区間サンプルの数を、当該UEすべてのMCS値の関連測定パラメータの所在区間サンプルの数で割った数を、当該UEすべてのMCS値の測定パラメータの所在区間サンプル総量で割ったものと等しく、このような重み係数により、計算して得た初期アウターループMCS値がスケジューリングサンプルとより合致するようにでき、ある測定パラメータサンプルの数が少な過ぎることが招く統計誤差を避けることができるため、収束速度が比較的遅い初期アウターループMCS値が得られる。
【0139】
一例において、目標アウターループMCS値は以下の式により確定する。
【0140】
【0141】
このほか、重み係数はパラメータインターフェイスによりリアルタイムで調整される。
【0142】
ステップ305:初期アウターループMCS値と端末のインナーループMCS値に基づいて、端末の初期MCS値を確定する。
【0143】
なお、本実施の形態における上記各例は、いずれも理解しやすいようになされた例示的な説明であり、本願の技術案に対する限定を構成しない。
【0144】
上記各種方法のステップの区分は明瞭に説明するためになされたものに過ぎず、実現の時には、1つのステップとして組み合わせるか、またはあるステップを分けて複数のステップに分解してもよく、同一の論理関係が含まれていれば、いずれも本特許の請求範囲に含む。アルゴリズムまたはプロセスにおいてさほど重要ではない修正を追加し、またはさほど重要でない設計を引用しているが、そのアルゴリズムとプロセスの核心設計を変更しない限り、いずれも当該特許の請求範囲に含むべきである。
【0145】
本願第3の実施の形態は電子デバイスに関するものであり、
図4に示すように、
少なくとも1つのプロセッサ401と、少なくとも1つのプロセッサ401と通信可能に接続されるメモリ402とを含み、メモリ402には、少なくとも1つのプロセッサ401により実行可能な指令が記憶されており、指令が少なくとも1つのプロセッサ402により実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサ401に、本願第1の実施の形態及び第2の実施の形態における初期MCS確定方法を実行させる。
【0146】
ここで、メモリとプロセッサはバスを用いるという方式により接続され、バスは、任意の数の相互接続されたバスとブリッジを含んでもよく、バスは1つまたは複数のプロセッサとメモリの各回路を接続する。バスは周辺機器、電圧調整器及び電力管理回路等の各種他の回路を接続することができ、これは本分野において公知の事項であるため、本文ではこれについてさらなる説明はしない。バスインターフェイスは、バスとトランシーバとの間にインターフェイスを提供する。トランシーバは、1つの素子であってもよく、複数の素子、例えば、複数の受信機及び送信機であってもよく、伝送媒体において各種他のデバイスと通信するための手段を提供する。プロセッサによって処理されたデータは、アンテナを介して無線媒体において伝送され、さらに、アンテナはデータを受信し、プロセッサに送信することもできる。
【0147】
プロセッサはバスの管理と通常の処理を担い、タイマー、周辺機器インターフェイス、電圧調整、電力管理、及びその他の制御機能を含む各種機能を提供することもできる。メモリはプロセッサが操作を実行する時に使用するデータを記憶することに用いてよい。
【0148】
本願の第4の実施の形態は、コンピュータプログラムが記憶されており、コンピュータプログラムがプロセッサにより実行される時に、上記方法の実施例を実現するコンピュータ可読記憶媒体に関するものである。
【0149】
即ち、上記実施例の方法におけるすべてまたは一部のステップはプログラムにより関連ハードウェアに指示することで完了でき、当該プログラムは記憶媒体に記憶され、デバイス(シングルチップマイクロコンピュータ、チップ等であってもよい)またはプロセッサ(processor)に本願の各実施例に記載の方法のすべてまたは一部のステップを実行させる若干の指令を含むと当業者は理解できる。前記の記憶媒体には、Uディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(AM、Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスク等の、プログラムコードを記憶できる様々な媒体が含まれる。
【0150】
本願の実施の形態は関連技術との比較において、測定パラメータの可能な値範囲に対して区間区分を予め行って各測定パラメータの区間を得、N個の測定パラメータの各区間内の異なるアウターループMCS値の分布確率を統計するものである。まず、N個の変調符号化方式MCS値の測定パラメータの現在の所在区間を確定し、分布確率に基づいて端末の初期アウターループMCS値を算出し、その後、端末インナーループMCS値と算出された初期アウターループから初期MCS値を得、適応変調符号化AMC過程において、より適切な初期MCS値を確定することで、UEによりスケジューリングされたMCS値の収束速度を上げ、システムのスペクトル効率を向上させるという目的を実現する。
【0151】
上記各実施の形態は本願の具体的な実施例を実現するものであり、実際の応用において本願の精神や範囲を逸脱しない範囲で形式と詳細において様々な変更を行うことができると当業者は理解できる。