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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】胆管用ステントおよびその製作方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/04 20130101AFI20231114BHJP
【FI】
A61F2/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022537361
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 KR2021004125
(87)【国際公開番号】W WO2021210821
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0046815
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517155679
【氏名又は名称】ザ アサン ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】THE ASAN FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】88,Olympic-ro 43-gil Songpa-gu Seoul 05505,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】517301162
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ウルサン ファウンデーション フォー インダストリー コーオペレイション
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF ULSAN FOUNDATION FOR INDUSTRY COOPERATION
(73)【特許権者】
【識別番号】522240678
【氏名又は名称】スタンダード サイテック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】STANDARD SCI-TECH INC.
【住所又は居所原語表記】1F,46,Wangsan-ro,Dongdaemun-gu,Seoul 02583,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】521311805
【氏名又は名称】セウン メディカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEWOON MEDICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】60,Dorim-gil,Ipjang-myeon Seobuk-gu Cheonan-si Chungcheongnam-do 31061,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ソン、テ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジェ ヒ
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0211157(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0022151(US,A1)
【文献】国際公開第2013/115141(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状ジグの円周方向(X)と長さ方向(Y)にそれぞれ配置された複数のピンに形状記憶合金の金属糸をジグザグに編んで製作されたメッシュ構造の円筒状胴体;
前記メッシュ構造の金属糸セル(cell)にコーティングされた皮膜部;および、
前記円筒状胴体の出口端に形成されたセル(cell)の皮膜部にそれぞれホールが形成され、いずれか一つのホール(h)を貫通して円周方向の前記金属糸セルにジグザグに編んで固定された糸(Lasso)が前記出口端を一回以上横切って網構造をなす逆流防止パターン膜;を含む
ことを特徴とする胆管用ステント。
【請求項2】
円柱状ジグの円周方向(X)と長さ方向(Y)にそれぞれ配置された複数のピンに形状記憶合金の金属糸をジグザグに編んで製作されたメッシュ構造の円筒状胴体;および、
前記ジグの下端に円周方向(X)に配置されたピン(P)と他のピン(P)の間を前記金属糸で編んで前記円筒状胴体の出口端を一回以上横切って網構造をなす逆流防止パターン膜;を含む
ことを特徴とする胆管用ステント。
【請求項3】
前記逆流防止パターン膜は、
前記出口端を横切って交差する十字状の逆流防止パターン膜、一字状の逆流防止パターン膜、ジグザグ状の逆流防止パターン膜、多角形状の逆流防止パターン膜および星状の逆流防止パターン膜のうちいずれか一つで形成される
請求項1または2に記載の胆管用ステント。
【請求項4】
前記逆流防止パターン膜は、
一つのラインの金属糸が始点ピン(P)から少なくとも一つのピン(P)を経由して終点ピン(P)まで連続的に編まれた後、ねじり結びで仕上げ処理される
請求項2に記載の胆管用ステント。
【請求項5】
前記十字状の逆流防止パターン膜は、
一つのラインの金属糸が始点である第1ピン(P1)から前記出口端の中心を横切る第1ラインが第2ピンに編まれ、前記円周方向に沿って90度延長移動されて第3ピンに編まれた後、前記第3ピンから前記出口端を横切る第2ラインが前記第1ラインと垂直に交差して終点である第4ピンに編まれた後、少なくとも1回以上のねじりで結ばれる
請求項3に記載の胆管用ステント。
【請求項6】
前記逆流防止パターン膜は、
前記金属糸を前記ジグの下端に円周方向(X)に配置されたピン(P)と前記ジグの下面の中央に配置された一つの垂直ピン(Py)を順次編んで放射状逆流防止パターン膜で形成される
請求項2に記載の胆管用ステント。
【請求項7】
前記放射状逆流防止パターン膜は、
前記垂直ピン(Py)を通じて編まれる複数のラインの金属糸が折れた状態で互いに交差して固定される
請求項6に記載の胆管用ステント。
【請求項8】
前記逆流防止パターン膜は、
前記ジグの下面が円錐状の傾斜した外周面を形成し、その中央の頂点に固定された垂直ピン(Py)とジグの下端に円周方向(X)に配置されたピン(P)の間に前記金属糸を順次編んで放射状をなすものの、前記円錐状の傾斜した外周面によって中央が突出した円錐状逆流防止パターン膜として形成される
請求項1に記載の胆管用ステント。
【請求項9】
前記円錐状逆流防止パターン膜は、
前記放射状をなしている金属糸ラインに前記垂直ピン(Py)による折れ部が形成されて三角構造をなし、前記折れ部が互いに干渉された状態で交差して放射された傾斜構造を作る
請求項8に記載の胆管用ステント。
【請求項10】
前記逆流防止パターン膜は、
前記ジグの下面の中央を中心に円形の垂直ピンアレイが形成されて前記下端に円周方向(X)に配置されたピン(P)とそれぞれ対応する前記垂直ピン(Py)アレイを順次編んで放射状逆流防止パターン膜として形成される
請求項1に記載の胆管用ステント。
【請求項11】
前記逆流防止パターン膜は、
前記ジグの下端に上広下狭で傾斜した円錐台外周面と円錐台下面が形成され、前記円錐台下面を中心に円形の垂直ピン(Py)アレイが形成されるものの、前記金属糸で前記円周方向に配置されたピン(P)とそれぞれ対応する前記垂直ピン(Py)アレイを順次編んで円錐台状逆流防止パターン膜として形成される
請求項1に記載の胆管用ステント。
【請求項12】
前記円錐台状逆流防止パターン膜は、
各金属糸ラインに前記垂直ピン(Py)による折れ部が形成され、前記折れ部は互いに干渉することなく各ラインが放射された傾斜構造をなす
請求項11に記載の胆管用ステント。
【請求項13】
ジグを利用して胆管用ステントを製作する方法において、
a)円柱状ジグの円周方向(X)と長さ方向(Y)にそれぞれ配置された複数のピンに形状記憶合金素材の金属糸をジグザグに編んでメッシュ構造の円筒状胴体を形成する段階;および
b)前記円筒状胴体の通路の出口端を糸(Lasso)または金属糸のパターン部材で一回以上横切って網構造の逆流防止パターン膜を形成する段階;を含む
ことを特徴とする胆管用ステント製作方法。
【請求項14】
前記b)段階は、
円錐状の傾斜した外周面と中央の頂点に固定された垂直ピン(Py)が形成された前記ジグの下面と前記ジグの下端に円周方向(X)に配置されたピン(P)の間を前記金属糸を通じて順次編んで放射状パターンを形成するものの、前記円錐状の傾斜した外周面によって中央が突出した円錐状逆流防止パターン膜を形成する段階を含む
請求項13に記載の胆管用ステント製作方法。
【請求項15】
前記b)段階は、
前記金属糸が始点である第1ピンから中央の前記垂直ピン(Py)に編まれて折れ部を形成し、第2ピンに編まれた後に円周方向の第3ピンに延長移動する段階;
前記第3ピンから中央の前記垂直ピン(Py)に編まれて折れ部を形成し、第4ピンに編まれた後に円周方向の第5ピンに延長移動する段階;および、
前記第5ピンから中央の前記垂直ピン(Py)に編まれて折れ部を形成し、終点である第6ピンに編まれた後、少なくとも少なくとも1回以上のねじりで結ばれる段階;を含む
請求項14に記載の胆管用ステント製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は胆管用ステントおよびその製作方法に関し、より詳細には十二指腸の飲食物の逆流防止のための胆管用ステントおよびその製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、胆管は肝で生成されて胆嚢に貯蔵されてから濃縮された胆汁が十二指腸に流れるようにする通路の役割をし、胆管狭窄は膵炎/膵臓がん、胆管炎/がん、胆管がんなどの腫瘍によって胆管が狭窄されて通路が狭くなったり詰まる疾患を意味する。
このような胆管狭窄は手術で治療できるが、最近では内視鏡を利用した胆管ステント挿入術が使われており、特に末期癌患者の悪性胆管狭窄発病で手術が不可能な場合、ステント挿入術が広く履行されている。
【0003】
しかし、従来の胆管用ステントは十二指腸を通る飲食物がいつも胆管の内部に逆流して胆汁の流れを邪魔し、これによって胆管炎やステントの機能障害(Malfunction)による副作用を誘発する問題点が指摘されている。
このような問題点を解決するために従来に逆流防止手段を備えた胆管用ステントが提案されているが、各種短所によりその効果を立証し難いのが現実である。
【0004】
例えば、特許文献1:韓国登録特許第0170220号には樹脂材である三尖弁/三尖弁状バルブからなる逆流防止手段を備えたステントを開示している。
【0005】
しかし、前記特許文献1:韓国登録特許第0170220号に開示されたバルブはステントの膨張力が弱いか十分な拡張状態を維持できないと、開放部が十分に開放できずに閉まった状態となるためかえって胆汁の供給を邪魔し、これによって停滞した胆汁の固形化を誘発する短所がある。また、前記逆流防止手段は樹脂材で形成されるため、既存のチューブ型ステントのように胆汁による膜損傷が発生することによって耐久性が落ちる短所がある。
【0006】
したがって、従来の逆流防止問題を解決し耐久性を確保して、胆管内ステントの開通効果を拡張できる改善方案が要求される。
【0007】
この背景技術部分に記載された事項は発明の背景に対する理解を増進するために作成されたものであり、この技術が属する分野で通常の知識を有する者にすでに知られている従来技術ではない事項を含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第0170220号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施例は、胆管に挿入されるステントの十二指腸側出口に糸(Lasso)や金属糸のパターン部材を活用した逆流防止パターン膜を形成して十二指腸の飲食物が胆管に逆流することを防止する胆管用ステントおよびその製作方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によると、逆流防止手段が備えられた胆管用ステントは、円柱状ジグの円周方向Xと長さ方向Yにそれぞれ配置された複数のピンに形状記憶合金の金属糸をジグザグに編んで製作されたメッシュ構造の円筒状胴体;前記メッシュ構造の金属糸セル(cell)にコーティングされた皮膜部;および前記円筒状胴体の出口端に形成されたセル(cell)の皮膜部にそれぞれホールが形成され、いずれか一つのホールhを貫通して円周方向の前記金属糸セルにジグザグに編んで固定された糸(Lasso)が前記出口端を一回以上横切って網構造をなす逆流防止パターン膜を含む。
【0011】
また、本発明の他の一側面に係る逆流防止手段が備えられた胆管用ステントは、円柱状ジグの円周方向Xと長さ方向Yにそれぞれ配置された複数のピンに形状記憶合金の金属糸をジグザグに編んで製作されたメッシュ構造の円筒状胴体;および前記ジグの下端に円周方向Xに配置されたピンPと他のピンPの間を前記金属糸で編んで前記円筒状胴体の出口端を一回以上横切って網構造をなす逆流防止パターン膜を含む。
【0012】
前記逆流防止パターン膜は、前記出口端を横切って交差する十字状の逆流防止パターン膜、一字状の逆流防止パターン膜、ジグザグ状の逆流防止パターン膜、多角形状の逆流防止パターン膜および星状の逆流防止パターン膜のうちいずれか一つで形成され得る。
【0013】
また、前記逆流防止パターン膜は、一つのラインの金属糸が始点ピンPから少なくとも一つのピンPを経由して終点ピンPまで連続的に編まれた後、ねじり結びで仕上げ処理され得る。
【0014】
また、前記十字状の逆流防止パターンは、前記一つのラインの金属糸が始点である第1ピンP1から前記出口端の中心を横切る第1ラインが第2ピンに編まれ、前記円周方向に沿って90度延長移動されて第3ピンに編まれた後、前記第3ピンから前記出口端を横切る第2ラインが前記第1ラインと垂直に交差して終点である第4ピンに編まれた後、少なくとも1回以上のねじりで結ばれ得る。
【0015】
また、前記逆流防止パターン膜は、前記金属糸を前記ジグの下端に円周方向Xに配置されたピンPと前記ジグの下面の中央に配置された一つの垂直ピンPyを順次編んで放射状逆流防止パターン膜として形成され得る。
【0016】
また、前記放射状逆流防止パターン膜は、前記垂直ピンPyを通じて編まれる複数のラインの金属糸が折れた状態で互いに交差して固定され得る。
【0017】
また、前記逆流防止パターン膜は、前記ジグの下面が円錐状の傾斜した外周面を形成し、その中央の頂点に固定された垂直ピンPyと前記下端に円周方向Xに配置されたピンPの間に前記金属糸を順次編んで放射状をなすものの、前記円錐状の傾斜した外周面によって中央が突出した円錐状逆流防止パターン膜として形成され得る。
【0018】
また、前記円錐状逆流防止パターン膜は、前記放射状をなしている金属糸ラインに前記垂直ピンPyによる折れ部が形成されて三角構造をなし、前記折れ部が互いに干渉された状態で交差して放射された傾斜構造をなすことができる。
【0019】
また、前記逆流防止パターン膜は、前記ジグの下面の中央を中心に円形の垂直ピンアレイが形成されて前記下端に円周方向Xに配置されたピンPとそれぞれ対応する前記垂直ピンPyアレイを順次編んで放射状逆流防止パターン膜として形成され得る。
【0020】
また、前記逆流防止パターン膜は、前記ジグの下端に上広下狭で傾斜した円錐台外周面と円錐台下面が形成され、前記円錐台下面を中心に円形の垂直ピンPyアレイが形成されるものの、前記金属糸で前記円周方向に配置されたピンPとそれぞれ対応する前記垂直ピンPyアレイを順次編んで円錐台状逆流防止パターン膜として形成され得る。
【0021】
また、前記円錐台状逆流防止パターン膜は、各金属糸ラインに前記垂直ピンPyによる折れ部が形成され、前記折れ部は互いに干渉することなく各ラインが放射された傾斜構造をなすことができる。
【0022】
一方、本発明の一側面に係るジグを利用して胆管用ステントを製作する方法は、a)円柱状ジグの円周方向Xと長さ方向Yにそれぞれ配置された複数のピンに形状記憶合金素材の金属糸をジグザグに編んでメッシュ構造の円筒状胴体を形成する段階;およびb)前記円筒状胴体の通路の出口端を糸(Lasso)または金属糸のパターン部材で一回以上横切って網構造の逆流防止パターン膜を形成する段階を含む。
【0023】
また、前記b)段階は、円錐状の傾斜した外周面と中央の頂点に固定された垂直ピンPyが形成された前記ジグの下面と前記下端に円周方向Xに配置されたピンPの間を前記金属糸を通じて順次編んで放射状パターンを形成するものの、前記円錐状の傾斜した外周面によって中央が突出した円錐状逆流防止パターン膜を形成する段階を含むことができる。
【0024】
また、前記b)段階は、前記金属糸が始点である第1ピンから中央の前記垂直ピンPyに編まれて折れ部を形成し、第2ピンに編まれた後に円周方向の第3ピンに延長移動する段階;前記第3ピンから中央の前記垂直ピンPyに編まれて折れ部を形成し、第4ピンに編まれた後に円周方向の第5ピンに延長移動する段階;および前記第5ピンから中央の前記垂直ピンPyに編まれて折れ部を形成し、終点である第6ピンに編まれた後、少なくとも1回以上のねじりで結ばれる段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施例によると、胆管用ステントの円筒状胴体の十二指腸側出口端に糸や金属糸のパターン部材を利用した多様な逆流防止パターン膜を形成することによって、飲食物がステント内部(胆管)に逆流することを防止できる効果がある。
【0026】
また、胆管用ステントの出口端に一つのラインで多様かつ稠密なパターンの逆流防止パターン膜を容易に製作することができ、ナイロン素材の糸または金属糸を利用して逆流防止パターン膜を構成することによって耐久性を確保できる効果がある。
【0027】
また、自己膨張力を有する金属糸を利用して中央に折れ部が形成された放射状逆流防止パターン膜を形成することによってカテーテルに搭載時に縮径が容易な効果があり、ひいては病変部の圧力でステントの円筒状胴体に何らかの変形が発生しても、それにかかわらず逆流防止性能を維持できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施例に係る胆管用ステントが施術された状態を示した概念図である。
図2】本発明の第1実施例に係るジグを利用した胆管用ステントの製作状態を示す。
図3】本発明の第1実施例に係るステント胴体の編み構造を図示した展開図である。
図4】本発明の第1実施例に係る糸を利用した十字状逆流防止パターン膜の製作の例示を示す。
図5】本発明の第1実施例に係る糸を利用した多様な逆流防止パターン膜の具現の例示を示す。
図6】本発明の第2実施例に係るジグを利用した胆管用ステントの製作状態を示す。
図7】本発明の第2実施例に係る金属糸を利用した多様な逆流防止パターン膜の具現の例示を示す。
図8】本発明の第3実施例に係る垂直ピンが形成されたジグを利用した胆管用ステントの製作状態を示す。
図9】本発明の第3実施例に係る多様な形態の稠密な放射状逆流防止パターン膜を示す。
図10】本発明の第4実施例に係る円錐状ジグを利用した胆管用ステントの製作状態を示す。
図11】本発明の第4実施例に係る円錐状逆流防止パターン膜を示した斜視図である。
図12】本発明の第4実施例に係るステントを胆管の病変部に施術する例示を示す。
図13】本発明の第4実施例に係る円錐台状逆流防止パターン膜を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、添付した図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は多様な異なる形態で具現され得、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明にかかわらない部分は省略したし、明細書全体を通じて類似する部分に対しては類似する図面符号を付した。
【0030】
明細書全体で、或る部分が何らかの構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載された「…部」、「…機」、「モジュール」等の用語は少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味する。
【0031】
明細書全体で、第1または第2等の用語は多様な構成要素を説明するのに使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ、例えば本発明の概念による権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素は第1構成要素にも命名され得る。
【0032】
以下、本発明の実施例に係る胆管用ステントおよびその製作方法について図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施例に係る胆管用ステントが施術された状態を示した概念図である。
【0034】
図1を参照すると、本発明の実施例に係る胆管用ステント10が十二指腸に連結された胆管に挿入された状態を示している。
【0035】
胆管用ステント10は金属糸を利用して製作された円筒状のメッシュ構造であり、自己弾性力を有して外力を加えると収縮し、前記外力を除去すると膨張する。
【0036】
胆管用ステント10は胆管狭窄が発生した内腔の病変部にステント施術を通じて挿入されて自己膨張力で内腔を拡張させ、拡張された内腔が再び狭くならないように維持することによって前記胆汁が十二指腸に円滑に流れるようにする役割をする。
【0037】
前記の説明では、従来のステント構造で十二指腸を通過する飲食物が拡張された胆管の内部に逆流し得、飲食物がステントの内部に逆流すると胆汁の流れを邪魔して多様な問題点を誘発する可能性があることを指摘したことがある。
【0038】
したがって、本発明の実施例は十二指腸の飲食物が胆管に逆流することを防止するために、胆管に挿入される十二指腸側出口端に糸(Lasso)や金属糸(Wire)のようなパターン部材を編んで逆流防止パターン膜が形成された胆管用ステントとその製作方法を提供することを目的とする。
【0039】
以下、本発明の胆管用ステントとその製作方法を説明するにおいて、前記パターン部材の種類によって多様なパターンの逆流防止パターン膜が構成されたステントとこれを製作する方法を以下の多様な実施例に合わせて詳しく説明することにする。
【0040】
まず、本発明の第1実施例を通じて、糸を利用した逆流防止パターン膜が構成されたステントとその製作方法を説明することにする。
【0041】
[第1実施例]
図2は、本発明の第1実施例に係るジグを利用した胆管用ステントの製作状態を示す。
【0042】
図2を参照すると、本発明の第1実施例に係る胆管用ステント(10;以下、便宜上ステントと命名する)は、円柱状ジグ20の円周方向Xと長さ方向Yに配置された複数のピンPに金属糸11をジグザグに編んで製作される。
【0043】
ステント10は円筒状胴体12の直径が8mm~10mm、長さが5~7cmの規格で製作され得、これに限定されず、患者の病変部の大きさに応じてジグ20の長さを延長して注文製作が可能である。
【0044】
金属糸11は胆管の内腔のように、一定の温度になる時に一定の膨張力が作用され得るようにニチノール(Nitinol)等の形状記憶合金で形成され得、その他の公知となっているステント製作ワイヤを活用することができる。
【0045】
金属糸11は複数のピンPが所定の幅で配置された前記円周方向Xに編まれてジグザグパターンを形成し、前記円周方向Xに形成されたジグザグパターンが互いに干渉された状態で交差して長さ方向Yの所定間隔Wで配列されたメッシュ(Mesh)構造の円筒状胴体12を有するステント10として製作される。このようなステント10の円筒形メッシュ構造は、四辺の長さが同一である菱形パターンがステント10の円周方向Xとおよび長さ方向Yに配列された形状で表れる。
【0046】
例えば、図3は、本発明の第1実施例に係るステント胴体の編み構造を図示した展開図である。
【0047】
本発明の実施例に係る金属糸11は、自ら収縮および膨張が可能で、柔軟性を有し、単位長さでそれぞれ形成される第1金属糸11aおよび第2金属糸11bを含む。
【0048】
図3を参照すると、第1金属糸11aと第2金属糸11bのジグザグパターンが互いに干渉された状態で編まれた菱形パターンでそれぞれ2回転された状態を示している。
【0049】
ここで、点線で表現された碁盤状の垂直交差点はジグ20にピンPが挿入されるホールHの位置であり、前記交差点の丸い点は前記ホールHにピンPが設置された状態を意味する。このように、ジグ20にピンPが配置された状態で第1金属糸11aと第2金属糸11bを編んでメッシュ構造の円筒状胴体12が製作される。
【0050】
また、第1金属糸11aと第2金属糸11bは、ピンPによって折れた状態でねじりなしに交差のみするように構成されて柔軟性を確保し、追ってカテーテル(Catheter)にローディングする際に容易に縮小構造を確保できる。
【0051】
このような、円筒状胴体12の通路は胆管内に胆汁が流れる方向に沿った方向性を有し、肝や胆嚢側に形成された通路の上端を入口端INと定義し、十二指腸側に形成された通路の下端を出口端OUTと定義する。
【0052】
この時、本発明の第1実施例に係るステント10は、前記円筒状胴体12で胆管に挿入される十二指腸側の出口端OUTにナイロン材質の糸(Lasso)15を利用した網構造の逆流防止パターン膜13を形成することによって、十二指腸の飲食物が胆管に逆流することを防止することを特徴とする。
【0053】
このような本発明の第1実施例に係るステント10の全体製作過程を説明すると、ジグ20を通じて金属糸11を編んだ後に熱処理して弾性の円筒状胴体12を形成する段階、ジグ20から分離された円筒状胴体12を皮膜用ジグ(図示されず)に差し込んでシリコンコーティング液塗布した後、乾燥してシリコン皮膜部14を形成する段階後に、円筒状胴体12の出口端に糸15を編んで網構造の逆流防止パターン膜13を製作する段階からなる。
【0054】
例えば、図4は本発明の第1実施例に係る糸を利用した十字状逆流防止パターン膜の製作の例示を示す。
【0055】
図4を参照すると、本発明の第1実施例に係るステント10は、円筒状胴体は中央部の直径(例;8mm)に比べて出口端の直径(例;10mm)が大きく製作され得、その円筒状胴体12に皮膜部14が形成された状態を示している。ここで、円筒状胴体12の出口端の底面を拡大して詳察すると、金属糸11からなるセル(cell)が中央を中心にひまわりの花びらのように円形に配列された形状を有することになる。
【0056】
この時、円筒状胴体12の出口端に形成されたセル(cell)のシリコン皮膜部14にそれぞれホールhが形成される。
【0057】
逆流防止パターン膜13は、始点でいずれか一つのホールhを貫通して円周方向に形成された金属糸11セルにジグザグに編まれて固定された糸15が、前記出口端を一回以上横切って他のホールhに貫通される過程が繰り返された網構造で形成され得る。
【0058】
例えば、図4の十字状逆流防止パターン膜13の製作過程を詳察すると、糸15は始点(Start)から第1ホールh1を貫通後に出口端を横切って第2ホールh2を貫通し(S1)、円周方向に形成された金属糸11セルの第3ホールh3を貫通して互いに干渉されるように編まれ(S2)、第4ホールh4を貫通後に出口端を横切って第5ホールh5を貫通し(S3)、引き続き円周方向に形成された第6ホールh6を貫通した後に終点(End)で結ばれる(S4)。
【0059】
このように、糸15は一度の作業で始点(Start)からセル(cell)に形成された皮膜部14のホールhを順次貫通して金属糸11のセルに縫われるように編まれながら出口端に十字状逆流防止パターン膜13を形成した後、始点(Start)と同一の終点(End)に結ばれ得る。
【0060】
一方、本発明の第1実施例に係る逆流防止パターン膜13は前述した十字状逆流防止パターン膜13に限定されず、多様な形態の逆流防止パターンが適用され得る。
【0061】
例えば、図5は本発明の第1実施例に係る糸を利用した多様な逆流防止パターン膜の具現の例示を示す。
【0062】
図5を参照すると、以下、本発明の実施例に係る逆流防止パターン膜13は多様な実施例の逆流防止パターン#nが適用され得るところ、「13#n」のように逆流防止パターン膜13の符号とこれに適用された逆流防止パターン符号#nを表記して区分するようにする。
【0063】
すなわち、逆流防止パターン膜13は前述した十字状逆流防止パターン膜13#1だけでなく、ホールhと他のホールhの間を糸15で編んで前記出口端を横切る一字状の逆流防止パターン膜13#2、ジグザグ状の逆流防止パターン膜13#3、V字状の逆流防止パターン膜13#3’、多角形状の逆流防止パターン膜13#4および星状の逆流防止パターン膜13#5等の多様なパターンで形成され得る。
【0064】
このように、本発明の実施例に係るステント10は、糸15を活用して円筒状胴体12の出口端OUTに編まれる方式によって多様な逆流防止パターン膜13を有するように製作され得る。このようなステント10は、施術時に胆管内の病変部位に展開された状態で糸15がその逆流防止パターンの網構造を形成することによって、十二指腸の飲食物が胆管内部に逆流することを防止できる効果がある。
【0065】
また、逆流防止パターン膜13は出口端の周りに形成された皮膜部14を針を利用して貫通しながら糸15を縫って編む方式で製作され得る。
【0066】
このような逆流防止パターン膜13は糸で製作されるため、ステント10の縮径に困難なくカテーテルに容易に搭載され得、施術時に胆管の病変部位に円筒状胴体12の展開と同時に、特にパターンを有するように繰り広げられて十二指腸の飲食物が胆管内部に逆流することを防止できる効果がある。
【0067】
一方、本発明の実施例に係るステント10の逆流防止パターン膜13のパターン部材は糸15だけでなく金属糸11を活用して製作され得、後述される追加の実施例を通じて金属糸11を利用した逆流防止パターン膜13の製作方法を具体的に説明することにする。
【0068】
[第2実施例]
図6は、本発明の第2実施例に係るジグを利用した胆管用ステントの製作状態を示す。
【0069】
以下、本発明の第2実施例に係るジグ20とそれにより製作されるステント10の構造は前述した第1実施例と類似しているため、重複する説明は省略し異なる点を中心に説明することにする。
【0070】
図6を参照すると、本発明の第2実施例に係るステント10は円筒状胴体12で胆管に挿入される十二指腸側の出口端OUTに金属糸11を利用した逆流防止パターン膜13を形成することによって、十二指腸の飲食物が胆管に逆流することを防止することを特徴とする。
【0071】
このような本発明の第2実施例に係るステント10の全体製作過程を説明すると、ジグ20を通じて金属糸11を編んで円筒状胴体12を形成した状態で出口端OUTに金属糸11を利用した逆流防止パターン膜13を形成した後、熱処理して弾性の円筒状胴体12と逆流防止パターン膜13を同時に製作する点で異なる。その後、ジグ20から分離されたステント10の円筒状胴体12にシリコン皮膜用ジグ(図示されず)を差し込んでコーティング液を塗布した後、乾燥することによって製作が完了し得る。
【0072】
逆流防止パターン膜13は、ジグ20の一側終端(すなわち、下端)に円周方向Xに配置されたピンPと他のピンPの間を金属糸11で編んで前記出口端OUTを横切って交差する十字状逆流防止パターン膜13#1を形成することができる。ここで、ジグ20の下端に円周方向Xに配置されたピンP1~P12はその一側断面の出口端とほぼ同一線上に位置する。
【0073】
具体的には、金属糸11は第1ピンP1の始点(Start)から前記出口端を横切る第1ライン13aが第7ピンP7に編まれ、引き続き円周方向Xの第10ピンP10に90度延長移動され、第10ピンP10から前記出口端OUTを横切る第2ライン13bが前記第1ライン13aと垂直に交差して第4ピンP4の終点(End)に編まれた後、少なくとも1回以上のねじりで結ばれて十字状逆流防止パターン膜13#1が形成される。前記過程で金属糸11は各ピンPに編まれる時、出口端をなす金属糸11に1回以上ねじられて互いに干渉された状態で固定され得る。
【0074】
このように、金属糸11は一つのラインで前記第1ピンP1の始点から第4ピンP4の終点(End)まで連続的に編まれた後に他のラインにねじり結びで仕上げ処理されることによって、容易に逆流防止パターン膜13が製作され得る。さらに、ジグ20を通じて、まず入口端INから出口端OUTまで円筒状胴体12が製作された後、引き続き前記金属糸11で切れることなく前記出口端OUTに逆流防止パターン膜13を形成できるため、その製作工程を減らし得る利点がある。
【0075】
このように、前記ジグ20に逆流防止パターン膜13まで金属糸11を編む作業が完了すると、ジグ20からステント10を分離した後、洗浄および滅菌作業を経て完成された製品として出荷され得る。この時、ステント10は前記円筒状胴体12にコーティング材を塗布して皮膜部14を生成する工程をさらに遂行した後、被覆型金属ステント製品として出荷され得る。前記皮膜部14は一定の温度でステント10を加熱した状態でポリウレタンなどのようなコーティング液を円筒状胴体12に塗布してコーティングされ得る。
【0076】
一方、本発明の第2実施例に係る金属糸11を利用した逆流防止パターン膜13は前述した十字状逆流防止パターン膜13#1に限定されず、多様な形態の逆流防止パターンが適用され得る。
【0077】
例えば、図7は本発明の第2実施例に係る金属糸を利用した多様な逆流防止パターン膜の具現の例示を示す。
【0078】
図7を参照すると、本発明の第2実施例に係る逆流防止パターン膜13は前記十字状逆流防止パターン膜13#1に限定されず、ピンPとピンPの間を金属糸11で編んで前記出口端を横切るジグザグ状の逆流防止パターン膜13#3、多角形状の逆流防止パターン膜13#4および星状の逆流防止パターン膜13#5等で形成され得る。
【0079】
図7(A)を参照すると、金属糸11は第11ピンP11の始点(Start)から出口端を横切って第3ピンP3に編まれ、引き続き順次出口端を横切って第9ピンP9、第5ピンP5および第11ピンP11の終点(End)に編まれた後に結ばれる方式でジグザグ状の逆流防止パターン膜13#3が形成され得る。前記始点(Start)と終点(End)は同一である。
【0080】
図7(B)を参照すると、金属糸11は第1ピンP1の始点(Start)から出口端を横切って第9ピンP9に編まれ、引き続き順次出口端を横切って第5ピンP5および第1ピンP1の終点(End)に編まれた後に結ばれる方式で三角形状の逆流防止パターン膜が形成され得る。ここで、前記多角形状の逆流防止パターン膜13#4は三角形状だけでなく四角などの多様な多角形状で構成され得、その始点(Start)と終点(End)は同一である。
【0081】
図7(C)を参照すると、金属糸11は第1ピンP1の始点(Start)から出口端を横切って順次第8ピンP8、第3ピンP3、第11ピンP11、第6ピンP6および第1ピンP1の終点(End)まで編まれた後に結ばれる方式で星状の逆流防止パターン膜13#5が形成され得る。
【0082】
この他にも、本発明の実施例に係るステント10は、ジグ20を活用して円筒状胴体12の出口端OUTに金属糸11を編む方式によって多様な逆流防止パターン膜13を有するように製作され得る。そして、ステント10は施術時に胆管内の病変部位に展開された状態で前記逆流防止パターン膜13を通じて十二指腸の飲食物が胆管内部に逆流することを防止できる効果がある。
【0083】
一方、ステント10は金属糸11がピンPとピンP間を連結して出口端OUTを横切るラインの回数が増えるほど、さらに稠密な密度の逆流防止パターン膜13を有するように製作され得、これを次の第3実施例を通じて説明する。
【0084】
[第3実施例]
図8は、本発明の第3実施例に係る垂直ピンが形成されたジグを利用した胆管用ステントの製作状態を示す。
【0085】
以下、本発明の第3実施例に係るジグ20とそれにより製作されるステント10の構造は前述した第2実施例と類似しているため、重複する説明は省略し異なる点を中心に説明することにする。
【0086】
図8を参照すると、本発明の第3実施例に係るジグ20は、ステント10の出口端OUTに対応する下面21に形成された少なくとも一つの垂直ピンPyを含む。
【0087】
ステント10は金属糸11をジグ20の下端に円周方向Xに配置されたピンPと前記垂直ピンPyの間を順次編んで円筒状胴体12の出口端に放射状逆流防止パターン膜13#6を形成することを特徴とする。
【0088】
具体的な例として、金属糸11は時計周り方向に沿って第12ピンP12の始点(Start)から中央の前記垂直ピンPyに編まれた後に第2ピンP2に編まれ、円周方向Xの第4ピンP4に延長移動され(S1、S2、S3)、引き続き前記第4ピンP4から中央の前記垂直ピンPyに編まれた後に第6ピンP6に編まれ、円周方向Xの第8ピンP8に延長移動され(S4、S5、S6)、引き続き第8ピンP8から中央の前記垂直ピンPyに編まれた後に終点(End)の第10ピンP10に編まれて放射状逆流防止パターン膜13#6が形成される。ここで、前記延長移動のためのS3およびS5段階は製作方式の変更により省略され得、それぞれ一対のピンと垂直ピンPyを連結する三角ラインを独立的にも形成することができる。この時、垂直ピンPyを通じて編まれる3つの往復ラインの金属糸11は折れた状態で互いに交差して固定され得る。
【0089】
一方、逆流防止パターン膜13は出口端OUTを横切るラインの回数が増えるほど、さらに稠密な密度で製作され得るところ、前述した放射状逆流防止パターン膜13#6に限定されず、多様な実施例で変形された形態の稠密な放射状逆流防止パターンを製作することができる。
【0090】
例えば、図9は本発明の第3実施例に係る多様な形態の稠密な放射状逆流防止パターン膜を示す。
【0091】
まず、図9(A)を参照すると、ステント10はジグ20の垂直ピンPyに編まれた回数を増やして前記放射状逆流防止パターン膜13#6に比べてさらに稠密な第1放射状逆流防止パターン膜13#7を示している。
【0092】
この時、前記第1放射状逆流防止パターン膜13#7は金属糸11をジグ20の下端に円周方向Xに配置されたピンPと前記垂直ピンPyの間をより稠密に順次編んで、前記垂直ピンPyを通じて編まれる6つの往復ラインを形成する。前記6つの往復ラインは互いに編まれている状態で固定され得る。
【0093】
次に、図9(B)を参照すると、稠密な前記第1放射状逆流防止パターン膜13#7の変形された形態であり、ジグ20の下面21の中央を中心に円形の垂直ピンPyアレイを形成し、これを通じて金属糸11で編んで稠密形成された第2放射状逆流防止パターン膜13#8を示している。
【0094】
すなわち、金属糸11はジグ20の下端に円周方向Xに配置された6個のピンPとこれにそれぞれ対応する前記垂直ピンPyアレイを順次編んで円筒状胴体12の出口端に第2稠密な放射状逆流防止パターン膜13#8を形成することができる。
【0095】
このように、本発明の第3実施例によると、ジグ20の下面21に形成された少なくとも一つの垂直ピンPyを活用して、ステント10の出口端に第1~2実施例に比べてさらに稠密でありかつ均一な間隔の放射状パターン膜を形成できる効果がある。
【0096】
一方、臨床的に重要な物理的要素を考慮した胆管ステントの最適条件は、優れた柔軟性(flexibility)、優秀な膨張力(radial expansile force)、胆管の屈曲にステントが曲がった状態で形を維持し、復原力(axial force)が少ない調和性(conformability)、病変部に定位置のための短縮(degree of shortening)の最小化、腫瘍内の成長を減らすために金属糸間の空間(cell)の大きさの縮小、耐久性およびステント伝達システムであるカテーテルの搭載容易性が満たされなければならない。
【0097】
この中でも、カテーテルの搭載容易性は施術のためにステント10を縮径された状態でカテーテルに搭載されることを意味するものであり、ステント10の物理的縮径が難しい構造は搭載容易性が悪いためカテーテルの直径が大きくなる短所があり、これはカテーテルの胆管挿入が難しいため医師の施術に不利な問題として作用する。
【0098】
ここで、本発明の第3実施例に係る胆管用ステント10は金属糸11が出口端を横切って多様な形状の放射状逆流防止パターン膜13が形成される特性があり、このような特性は縮径に不利となり得るためカテーテルの搭載容易性を考慮するのが好ましい。
【0099】
したがって、本発明の第4実施例を通じてカテーテルの搭載容易性が改善された構造の胆管用ステント10を引き続き説明する。
【0100】
[第4実施例]
図10は、本発明の第4実施例に係る円錐状ジグを利用した胆管用ステントの製作状態を示す。
【0101】
図11は、本発明の第4実施例に係る円錐状逆流防止パターン膜を示した斜視図である。
【0102】
以下、本発明の第4実施例に係るジグ20とそれにより製作されるステント10の構造は前述した第3実施例と類似しているため、重複する説明は省略し、カテーテルの搭載容易性が改善された構造を中心に説明することにする。
【0103】
図10および図11を参照すると、本発明の第4実施例に係るジグ20は、ステント10の出口端OUTに円錐状の傾斜した外周面22を形成し、その中央の頂点に固定された垂直ピンPyを含む。
【0104】
そして、ステント10は金属糸11を利用してジグ20の下端に円周方向Xに配置されたピンPと垂直ピンPyの間を順次編んで放射状をなすものの、前記円錐状の傾斜した外周面22により突出した円錐状逆流防止パターン膜13#9を形成することを特徴とする。前記円錐状逆流防止パターン膜13#9を構成する具体的な方法は前述した図8の放射状逆流防止パターン膜13#6製作過程を参照することができる。さらに、前記円錐状逆流防止パターン膜13#9は図9(A)のように金属糸11を編む回数を増やして密度が向上したさらに稠密な構造で製作され得る。
【0105】
この時、前記円錐状逆流防止パターン膜13#9をなしている金属糸11ラインは垂直ピンPyにより折れ部11cが形成されて三角構造をなし、前記折れ部11cが互いに干渉された状態で交差して放射された傾斜構造をなす。
【0106】
一方、図12は、本発明の第4実施例に係るステントを胆管の病変部に施術する例示を示す。
【0107】
図12(A)を参照すると、本発明の実施例に係るステント10が縮径された状態でカテーテルに搭載されて胆管内の病変部を通って移動した状態を示している。
【0108】
この時、前記円錐状逆流防止パターン膜13#9は、ステント施術のためにカテーテルの内径に搭載時に外部圧力によって円筒状胴体12が縮径されるとともに、特別な物理的抵抗なしに前記折れ部11cが折り畳まれるように構成されてカテーテルの搭載性を容易にする効果がある。
【0109】
また、図12(B)を参照すると、カテーテルが後退しながら露出したステント10が膨張して前記胆管内病変部を拡張させた状態を示している。
【0110】
この時、前記円錐状逆流防止パターン膜13#9は胆管の十二指腸側通路に拡張されて飲食物が胆管の内部に逆流することを防止し、胆管内に流れる胆汁を十二指腸に排出する役割をする。
【0111】
一方、図13は本発明の第4実施例に係る円錐台状逆流防止パターン膜を示した斜視図である。
【0112】
図13を参照すると、本発明の第4実施例に係るジグ20はステント10の出口端OUTに円錐台構造の上広下狭で傾斜した円錐台外周面23aと円錐台下面23bを形成し、前記円錐台下面23bの中央を中心に形成された円形の垂直ピンPyアレイを含む。
【0113】
この時、ステント10は金属糸11をジグ20の下端に円周方向Xに配置されたピンPとそれぞれ対応する前記円錐台下面23bに円形に配置された垂直ピンPyアレイを順次編んで円筒状胴体12の出口端に円錐台状逆流防止パターン膜13#10を形成することができる。
【0114】
この時、前記円錐台状逆流防止パターン膜13#10をなしている金属糸11ラインはそれぞれ垂直ピンPyにより折れ部11cが形成され、前記折れ部11cは互いに干渉なしに放射された傾斜構造をなすことができる。
【0115】
このように、本発明の実施例によると、胆管用ステントの円筒状胴体の十二指腸側出口端に糸や金属糸のパターン部材を利用した多様な逆流防止パターン膜を形成することによって、飲食物がステント内部(胆管)に逆流することを防止できる効果がある。
【0116】
また、胆管用ステントの出口端に一つのラインで多様かつ稠密なパターンの逆流防止パターン膜を容易に製作することができ、ナイロン素材の糸または金属糸を利用して逆流防止パターン膜を構成することによって耐久性を確保できる効果がある。
【0117】
また、自己膨張力を有する金属糸を利用して中央に折れ部が形成された放射状逆流防止パターン膜を形成することによってカテーテルに搭載時に縮径が容易な効果があり、ひいては病変部の圧力でステントの円筒状胴体に何らかの変形が発生しても、それにかかわらず逆流防止性能を維持できる効果がある。
【0118】
本発明の実施例は以上で説明した装置および/または方法を通じてのみ具現されるものではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するためのプログラム、そのプログラムが記録された記録媒体等を通して具現されてもよく、このような具現は前述した実施例の記載から本発明が属する技術分野の専門家であれば容易に具現できるものである。
【0119】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13