(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231114BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H05K13/02 B
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2022569641
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2020047283
(87)【国際公開番号】W WO2022130594
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 和也
(72)【発明者】
【氏名】畔▲柳▼ 光孝
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 力
(72)【発明者】
【氏名】青木 真吾
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/165972(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/094070(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/186861(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/174712(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/139793(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品実装機にセット可能なフィーダがセット台に着脱されることに合わせて接続と非接続とが切り替わるコネクタの接続状況を判断する管理システムであって、
前記コネクタは、前記セット台側に設けられた第一電力ラインと前記フィーダに設けられた第二電力ラインとを接続させる電力端子を有し、
前記管理システムは、
前記第一電力ラインの第一電圧を検出する第一電圧検出部と、
前記第二電力ラインの第二電圧を検出する第二電圧検出部と、
前記第一電圧及び前記第二電圧に基づいて前記電力端子での電圧降下又はコネクタ接触抵抗を測定する電力端子測定部と、
前記電力端子での電圧降下又はコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する電力端子許否判別部と、
を備える、管理システム。
【請求項2】
前記第一電圧検出部、前記第二電圧検出部、前記電力端子測定部、及び前記電力端子許否判別部はそれぞれ、前記セット台側に設けられ、
前記第二電圧検出部は、前記フィーダに設けられた前記第二電圧を測定する第二電圧測定部から送られる通信コマンドに基づいて前記第二電圧を検出する、請求項1に記載された管理システム。
【請求項3】
前記コネクタは、前記セット台側に設けられた第一信号ラインと前記フィーダに設けられた第二信号ラインとを接続させる信号端子を有し、
前記管理システムは、
前記第一信号ラインから前記信号端子を介して前記第二信号ラインへ電流供給することにより前記信号端子でのコネクタ接触抵抗を測定する信号端子測定部と、
前記信号端子でのコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する信号端子許否判別部と、
を備える、請求項1又は2に記載された管理システム。
【請求項4】
電子部品実装機にセット可能なフィーダがセット台に着脱されることに合わせて接続と非接続とが切り替わるコネクタの接続状況を判断する管理システムであって、
前記コネクタは、前記セット台側に設けられた第一信号ラインと前記フィーダに設けられた第二信号ラインとを接続させる信号端子を有し、
前記管理システムは、
前記第一信号ラインから前記信号端子を介して前記第二信号ラインへ電流供給することにより前記信号端子でのコネクタ接触抵抗を測定する信号端子測定部と、
前記信号端子でのコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する信号端子許否判別部と、
を備える、管理システム。
【請求項5】
前記信号端子は、それぞれ複数の前記第一信号ライン及び前記第二信号ラインに対応して前記コネクタに複数設けられ、
前記信号端子測定部は、複数の前記信号端子のうち少なくとも一つの前記信号端子でのコネクタ接触抵抗を測定する、請求項3又は4に記載された管理システム。
【請求項6】
前記信号端子測定部及び前記信号端子許否判別部はそれぞれ、前記セット台側に設けられている、請求項3乃至5の何れか一項に記載された管理システム。
【請求項7】
前記コネクタは、前記セット台側に設けられた第一共通ラインと前記フィーダに設けられた第二共通ラインとを接続させる共通端子を有し、
前記管理システムは、前記フィーダに設けられ、前記第二信号ラインと前記第二共通ラインとの間に介在して接続するスイッチ部を有し、
前記スイッチ部は、前記第二信号ラインと前記第二共通ラインとを、前記フィーダの通常運転モード時は遮断させ、前記信号端子測定部による前記信号端子でのコネクタ接触抵抗の測定モード時は導通させ、
前記信号端子測定部は、前記測定モード時に前記第一信号ラインから前記信号端子を介して前記第二信号ラインへ電流が供給された際の前記第一信号ラインと前記第一共通ラインとの間に生じる抵抗に基づいて、該信号端子でのコネクタ接触抵抗を測定する、請求項6に記載された管理システム。
【請求項8】
前記スイッチ部は、前記フィーダがセットされた前記セット台側から供給される通信コマンドに従って遮断と導通とを切り替える、請求項7に記載された管理システム。
【請求項9】
前記信号端子は、それぞれ複数の前記第一信号ライン及び前記第二信号ラインに対応して前記コネクタに複数設けられ、
前記スイッチ部は、各前記信号端子に対応して複数設けられ、
複数の前記スイッチ部は、一つずつ時分割で前記第二信号ラインを前記第二共通ラインに導通させる、請求項7又は8に記載された管理システム。
【請求項10】
前記管理システムは、判別結果が許容範囲内に無い場合に、前記フィーダのメンテナンスを作業者に促すメンテナンス通知、前記フィーダのエラーを作業者に知らせるエラー通知、前記セット台にセットされる前記フィーダを同種の代替フィーダに自動的に交換する交換処理、又は前記セット台に対して前記フィーダを自動的に挿抜させる挿抜処理を行う処置制御部を備える、請求項1乃至9の何れか一項に記載された管理システム。
【請求項11】
前記セット台は、前記電子部品実装機、又は、前記フィーダを検査する検査ユニットに設けられている、請求項1乃至10の何れか一項に記載された管理システム。
【請求項12】
前記接続状況は、前記フィーダが前記セット台にセットされたとき又は前記フィーダが前記セット台側から電源投入されたときに判断される、請求項1乃至11の何れか一項に記載された管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品実装機にセット可能なフィーダが知られている(例えば、特許文献1参照)。フィーダは、基板に装着する部品を搬送する機器である。フィーダは、対基板作業機以外にも、そのフィーダの性能などを検査する検査ユニットにセット可能である。フィーダ、及び、そのフィーダがセット可能な対基板作業機や検査ユニットのセット台はそれぞれ、フィーダの着脱に合わせて接続と非接続とが切り替わるコネクタ部を有している。コネクタ部同士が接続されると、フィーダが対基板作業機側又は検査ユニット側から電力供給されることにより作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如くフィーダはセット台に着脱可能にセットされるものであるので、セット台へのフィーダの着脱が頻繁に行われると、フィーダとセット台との間のコネクタ(特にフィーダのコネクタ部)が摩耗して、コネクタでの接触抵抗が高くなる可能性がある。コネクタでの接触抵抗が高くなると、セット台側からフィーダへ供給される電流が所定の電流に達せず、フィーダに搭載されたモータが動作不良を起こし、フィーダとセット台側との間で通信不良が発生する可能性がある。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のシステムでは、フィーダとセット台との間のコネクタでの接触抵抗は測定されていない。このため、コネクタ接触抵抗が高くなっている場合に、作業者に、その高抵抗状態が把握されず、フィーダでの動作不良やフィーダとセット台側との通信不良が事前に認知されず、その動作不良や通信不良が作業者の知らぬ間に発生するおそれがある。
【0006】
本明細書は、フィーダとセット台との間のコネクタでの接触抵抗が高くなっていることを判定可能にしてフィーダの作動を安定的に確保することが可能な管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、電子部品実装機にセット可能なフィーダがセット台に着脱されることに合わせて接続と非接続とが切り替わるコネクタの接続状況を判断する管理システムであって、前記コネクタは、前記セット台側に設けられた第一電力ラインと前記フィーダに設けられた第二電力ラインとを接続させる電力端子を有し、前記管理システムは、前記第一電力ラインの第一電圧を検出する第一電圧検出部と、前記第二電力ラインの第二電圧を検出する第二電圧検出部と、前記第一電圧及び前記第二電圧に基づいて前記電力端子での電圧降下又はコネクタ接触抵抗を測定する電力端子測定部と、前記電力端子での電圧降下又はコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する電力端子許否判別部と、を備える、管理システムを開示する。
【0008】
本開示によれば、コネクタの電力端子での電圧降下又はコネクタ接触抵抗を測定して、その電圧降下又はコネクタ接触抵抗が許容範囲を超えていることを判定可能とすることができる。電圧降下が大きいときは、コネクタ接触抵抗も比例的に高くなる。フィーダがセット台にセットされた際のコネクタの電圧降下又は接触抵抗が許容範囲を超えていることが判れば、そのフィーダに対応した処置を講ずることで、フィーダの作動を安定的に確保することができる。
【0009】
また、本明細書は、電子部品実装機にセット可能なフィーダがセット台に着脱されることに合わせて接続と非接続とが切り替わるコネクタの接続状況を判断する管理システムであって、前記コネクタは、前記セット台側に設けられた第一信号ラインと前記フィーダに設けられた第二信号ラインとを接続させる信号端子を有し、前記管理システムは、前記第一信号ラインから前記信号端子を介して前記第二信号ラインへ電流供給することにより前記信号端子でのコネクタ接触抵抗を測定する信号端子測定部と、前記信号端子でのコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する信号端子許否判別部と、を備える、管理システムを開示する。
【0010】
本開示によれば、コネクタの信号端子でのコネクタ接触抵抗を測定して、そのコネクタ接触抵抗が許容範囲を超えていることを判定可能とすることができる。フィーダがセット台にセットされた際のコネクタの接触抵抗が許容範囲を超えていることが判れば、そのフィーダに対応した処置を講ずることで、フィーダの作動を安定的に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る管理システムが適用される基板生産システムの構成を表した平面図である。
【
図2】
図1に示す基板生産システムが備える対基板作業機(具体的には、電子部品実装機)の構成を表した斜視図である。
【
図3】
図1に示す基板生産システムにおける対基板作業機の搬送装置と電子部品実装機との間におけるフィーダの交換作業を説明するための図である。
【
図4】管理システムにおいてフィーダと電子部品実装機のセット台との間のコネクタの電力端子における接続状況を判断するためのブロック構成図である。
【
図5】管理システムにおいてフィーダと電子部品実装機のセット台との間のコネクタの信号端子における接続状況を判断するためのブロック構成図である。
【
図6】管理システムにおいてコネクタの電力端子における接続状況を判断するうえで実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【
図7】管理システムにおいてコネクタの信号端子における接続状況を判断するうえで実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【
図8】通常運転モードでのコネクタの信号端子を介した信号の流れを説明するための図である。
【
図9】接触抵抗測定モードでのコネクタの信号端子を介した信号の流れを説明するための図である。
【
図10】接触抵抗測定モードでの複数の信号端子それぞれの接続状況を判断する手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.基板生産システムの構成
本実施形態の基板生産システム1は、電子部品が装着された基板2を生産するシステムである。基板生産システム1は、管理システム70により管理される。
【0013】
基板生産システム1は、
図1に示す如く、フィーダ10と、電子部品実装機20と、保管装置30と、交換システム40と、搬送装置50と、ライン管理装置60と、を備えている。フィーダ10、電子部品実装機20、保管装置30、交換システム40、及び搬送装置50は、基板2を生産する基板生産ラインを形成している。尚、基板生産システム1は、基板2に対して作業を行う対基板作業機として、電子部品実装機20に限らず、ハンダ印刷機やハンダ検査機,リフロー炉,外観検査機などを含んでいてよい。
【0014】
フィーダ10は、基板2に装着される電子部品を所定移載位置に供給する機器である。フィーダ10は、
図2に示す如く、長手方向に所定間隔で設けられた収容孔に電子部品を収容するキャリアテープを巻回するリール11を回転可能に保持することが可能である。フィーダ10は、キャリアテープを送り移動させることにより、収容孔に収容された電子部品を所定移載位置に供給する。
【0015】
フィーダ10は、例えばカセット式のフィーダである。フィーダ10は、フィーダ本体12と、駆動装置13と、を有している。フィーダ本体12は、扁平な箱形状に形成されている。フィーダ本体12は、リール11を着脱可能に保持する。駆動装置13は、キャリアテープに設けられた送り孔に係合するスプロケット13aと、そのスプロケット13aを回転させるモータ(図示せず)と、を有している。駆動装置13は、モータによりスプロケット13aを回転させることにより、キャリアテープを送り移動させる。
【0016】
電子部品実装機20は、基板2に電子部品を装着する部品装着機である。電子部品実装機20は、基板2に複数の電子部品を装着する。尚、電子部品実装機20は、基板生産システム1において一つだけ設けられてもよいが、
図1に示す如く、複数設けられてもよい。電子部品実装機20が複数設けられる場合は、複数の電子部品実装機20は、基板生産ライン(すなわち、基板2の搬送方向X)に沿って順に設置される。電子部品実装機20による対基板作業には、基板2の搬入作業及び搬出作業、並びに、電子部品の供給作業、採取作業、及び装着作業などが含まれる。
【0017】
尚、電子部品実装機20とは、基板2に電子部品を装着する部品装着機と、基板2にリードを挿入する部品挿入機と、を含む概念である。
【0018】
電子部品実装機20は、基板搬送装置21と、部品供給装置22と、部品移載装置23と、を備えている。
【0019】
基板搬送装置21は、基板2を搬送方向Xに沿って搬送する装置である。基板搬送装置21は、例えば、基板2を載置するベルトコンベア、及び、基板2を機内の所定位置に位置決めする位置決め装置などを有している。基板搬送装置21は、機内に搬入された基板2を所定位置まで搬送すると共に、所定位置に位置決めした基板2への電子部品の装着処理が終了した後にその基板2を機外へ搬出する。
【0020】
部品供給装置22は、上記のフィーダ10を用いて、基板2に装着される電子部品を供給する装置である。部品供給装置22は、フィーダ10が着脱可能にセットされるスロット22a,22bを有している。スロット22a,22bは、セット台であるパレット部材22cに形成されている。スロット22aは、電子部品実装機20の上部に搬送方向Xに沿って複数並んで配置されている。また、スロット22bは、電子部品実装機20の下部に搬送方向Xに沿って複数並んで配置されている。部品供給装置22は、複数のスロット22aそれぞれにセットされた各フィーダ10において電子部品を所定位置まで供給する。スロット22aは、基板2の生産で使用されるフィーダ10を保持する。また、スロット22bは、基板2の生産で使用予定であるフィーダ10を保持する。
【0021】
部品移載装置23は、所定位置に位置決めされている基板2に、所定移載位置に供給された電子部品を移載する装置である。部品移載装置23は、直動機構により水平方向に移動可能な移動台23aと、移動台23aにクランプ部材により着脱可能に固定される装着ヘッド23bと、を有している。
【0022】
装着ヘッド23bには、電子部品を保持可能な保持部材が保持される。この保持部材は、例えば、電子部品を負圧エアにより吸着する吸着ノズルや電子部品を把持するチャック部材などである。装着ヘッド23bや保持部材は、対象とする電子部品の種類やサイズ,形状等に応じて適宜変更可能である。装着ヘッド23bは、移動台23aと一体で水平方向に移動可能であると共に、保持部材を鉛直方向Zに昇降させることが可能であり、更にその保持部材を鉛直方向Zの軸回りに回転させることが可能である。装着ヘッド23bは、保持部材を用いて、部品移載位置に供給された電子部品を保持し、その後、その電子部品を所定位置に位置決めされている基板2まで位置移動させ、そして、その部品保持を解除して電子部品を基板2に装着する。
【0023】
保管装置30は、例えばフィーダ10を保管する装置である。保管装置30は、フィーダ10が着脱可能にセットされるスロット31を有している。尚、保管装置30は、保管対象として、フィーダ10に限らず、電子部品実装機20などの対基板作業機で用いられる例えば装着ヘッド23bやその保持部材などの機器を含んでいてよい。
【0024】
交換システム40及び搬送装置50は、フィーダ10の供給作業、交換作業、及び回収作業を行う装置である。交換システム40は、走行路を形成する二つのレール41,42を有している。レール41,42はそれぞれ、基板2の搬送方向Xに沿って延びている。レール41は、スロット22aとスロット22bとの間の高さ位置に設けられている。レール42は、スロット22bよりも下方の高さ位置に設けられている。
【0025】
搬送装置50は、レール41,42による搬送路を走行する装置である。搬送装置50は、レール41,42に設けられた送電部及び受電部を介して電力供給を受けて走行する。搬送装置50は、電子部品実装機20との間でフィーダ10の交換作業を行う。また、搬送装置50は、保管装置30との間でフィーダ10の交換作業を行う。尚、搬送装置50は、搬送対象として、フィーダ10に限らず、電子部品実装機20などの対基板作業機で用いられる例えば装着ヘッド23bやその保持部材などの機器を含んでいてよい。また、搬送装置50は、基板2の生産で不要になった機器を保管装置30に回収することができる。
【0026】
ライン管理装置60は、基板生産システム1の基板生産ラインの動作状況を監視し、フィーダ10、電子部品実装機20、保管装置30、交換システム40、及び搬送装置50を統括制御する装置である。ライン管理装置60は、CPUやROM,RAMなどが設けられたコンピュータを主体に構成されている。
【0027】
ライン管理装置60は、ネットワークを介して各機器10,20,30,40,50との間でデータの授受を行うことが可能である。ライン管理装置60は、各機器10,20,30,40,50を制御するための各種データを記憶している。ライン管理装置60は、例えば、電子部品実装機20に電子部品の装着処理を実行させる生産プログラムなどの各種データを送出する。
【0028】
2.管理システムの構成
管理システム70は、基板生産システム1の管理を行うシステムである。管理システム70は、上記のライン管理装置60を含んで構成されている。フィーダ10は、電子部品実装機20の部品供給装置22のスロット22a,22bに着脱可能にセットされる。
図3に示す如く、スロット22a,22bが形成されたパレット部材22cとフィーダ10との間には、コネクタ90が設けられている。管理システム70は、フィーダ10がパレット部材22cに着脱されることに合わせて接続と非接続とが切り替わるコネクタ90の接続状況を判断することが可能である。
【0029】
コネクタ90は、パレット部材22c及びフィーダ10それぞれに対応して電力端子及び信号端子を有している。コネクタ90は、パレット部材22cへのフィーダ10の着脱に合わせて端子同士の接続と非接続とが切り替わる部材である。
【0030】
コネクタ90の電力端子は、
図4に示す如く、パレット部材22c側(すなわち、電子部品実装機20)に設けられた第一電力ライン25とフィーダ10に設けられた第二電力ライン15とを接続させる端子である。第一電力ライン25は、負極ライン25-と、正極ライン25+と、からなる。第二電力ライン15は、負極ライン15-と、正極ライン15+と、からなる。
【0031】
コネクタ90の信号端子は、
図5に示す如く、パレット部材22c側に設けられた第一信号ライン26とフィーダ10に設けられた第二信号ライン16とを接続させる信号端子と、パレット部材22c側に設けられた第一共通ライン27とフィーダ10に設けられた第二共通ライン17とを接続させる共通端子と、を含む。第一信号ライン26及び第二信号ライン16はそれぞれ複数本設けられており、それに合わせて信号端子は同じ複数個設けられている。以下、第一信号ライン26、第二信号ライン16、及び信号端子は、“4”ずつ設けられているものとする。第一共通ライン27及び第二共通ライン17は、一本ずつ設けられている。
【0032】
フィーダ10は、突起部10aを有している。パレット部材22cは、凹み部22dを有している。突起部10aと凹み部22dとは、互いに嵌合可能な形状に形成されている。フィーダ10がパレット部材22cにセットされると、フィーダ10の突起部10aがパレット部材22cの凹み部22dに嵌合することで、コネクタ90のフィーダ10側とパレット部材22c側の端子同士が互いに接続される。一方、フィーダ10がパレット部材22cから取り外されると、突起部10aと凹み部22dとの嵌合が解除されることで、コネクタ90の上記端子同士が非接続となる。フィーダ10は、コネクタ90の端子同士が接続されている状態で、電子部品実装機20側から電力供給されると共に、電子部品実装機20側ひいてはライン管理装置60との間で通信可能となる。
【0033】
管理システム70は、第一電圧検出部71と、第二電圧測定部72と、第二電圧検出部73と、電圧降下測定部74と、電流測定部75と、接触抵抗測定部76と、電力端子許否判別部77と、処置制御部78と、を有している。第一電圧検出部71、第二電圧検出部73、電圧降下測定部74、電流測定部75、接触抵抗測定部76、電力端子許否判別部77、及び処置制御部78は、パレット部材22c側(具体的には、ライン管理装置60)に設けられている。一方、第二電圧測定部72は、フィーダ10に設けられている。
【0034】
第一電圧検出部71は、第一電力ライン25の負極ライン25-に接続されていると共に、第一電力ライン25の正極ライン25+に接続されている。第一電圧検出部71は、負極ライン25-と正極ライン25+との間の電圧(以下、第一電圧V1と称す。)を検出する部位である。
【0035】
第二電圧測定部72は、第二電力ライン15の負極ライン15-に接続されていると共に、第二電力ライン15の正極ライン15+に接続されている。第二電圧測定部72は、負極ライン15-と正極ライン15+との間の電圧(以下、第二電圧V2と称す。)を測定する部位である。第二電圧測定部72により測定された第二電圧V2は、フィーダ10からパレット部材22c側へ通信コマンドにより送られる。尚、フィーダ10とパレット部材22c側との通信コマンドの送受信は、パレット部材22c側の第一信号ライン26とフィーダ10側の第二信号ライン16とを用いて行われるものであってよい。
【0036】
ライン管理装置60は、第二電圧測定部72から送られる第二電圧V2の測定値を示す通信コマンドを受信することが可能である。第二電圧検出部73は、第二電圧測定部72からの第二電圧V2に基づいて、第二電力ライン15の負極ライン15-と正極ライン15+との間の第二電圧V2を検出する。
【0037】
電圧降下測定部74は、第一電圧検出部71により検出された第一電力ライン25側の第一電圧V1と第二電圧検出部73により検出された第二電力ライン15側の第二電圧V2とに基づいて、その電圧差(V2-V1)である電圧降下を測定する部位である。
【0038】
電流測定部75は、第一電力ライン25(具体的には、正極ライン25+)に流れる電流を測定する部位である。電流測定部75は、例えば、所定抵抗値を有する抵抗の両端に生じる電圧差に基づいて、電流を測定する。
【0039】
接触抵抗測定部76は、コネクタ90の電力端子での抵抗(すなわち、コネクタ接触抵抗)を測定する部位である。接触抵抗測定部76は、電圧降下測定部74により測定された第一電力ライン25側から第二電力ライン15側への電圧降下と、電流測定部75により測定された電流とに基づいて、コネクタ接触抵抗を測定する。
【0040】
電力端子許否判別部77は、接触抵抗測定部76により測定されたコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する部位である。このコネクタ接触抵抗の許容範囲は、コネクタ接触抵抗として処置制御部78による処置の必要の無い範囲のことであって、許容下限値から許容上限値までの範囲に設定されている。許容下限値は、例えば“0”である。また、許容上限値は、予め実験結果などに基づいて定められている。尚、この許容範囲は、一つに限らず、複数の処置内容に合わせて段階的に定められていてもよい。
【0041】
処置制御部78は、電力端子許否判別部77により判別された結果に基づいて、所定の処置を実行する部位である。具体的には、処置制御部78は、コネクタ接触抵抗が許容範囲内にあると判別された場合は、何ら処置を実行しない。この場合、ライン管理装置60は、パレット部材22cにセットされたフィーダ10に対して、通常どおり例えば部品装着処理などを実行させるためのデータの送出を行う。
【0042】
一方、処置制御部78は、コネクタ接触抵抗が許容範囲内に無いと判別された場合は、所定の処置を実行する。この所定の処置は、コネクタ90での接触抵抗が高いことに起因して、パレット部材22c側からフィーダ10へ十分な電流を流すことができなくなり、フィーダ10内のモータが動作不良を起こし或いはフィーダ10とパレット部材22c側との間の通信不良が発生する可能性があることに対応するためのものである。
【0043】
具体的には、上記した所定の処置は、例えば、ライン管理装置60やそのライン管理装置60に接続されているホストコンピュータなどに設けられた表示装置(図示せず)や音声出力装置(図示せず)などを用いて、フィーダ10のエラーを作業者に知らせるエラー通知を行うこと、若しくは、フィーダ10のメンテナンスを作業者に促すメンテナンス通知を行うことである。又は、所定の処置は、例えば、交換システム40及び搬送装置50を用いて、作業者の作業によることなく、パレット部材22cにセットされるフィーダ10を保管装置30などに保管されている同種の代替フィーダ10に自動的に交換する交換処理を行うこと、若しくは、パレット部材22cにセットされているコネクタ接触抵抗が高いと判別されているフィーダ10を再度、そのパレット部材22cに対して挿抜させる挿抜処理を行うことである。
【0044】
フィーダ10は、駆動装置13を駆動制御する制御装置19を有している。制御装置19は、パレット部材22c側(ひいては、ライン管理装置60)との間で通信を行うことで、駆動装置13を駆動制御する。制御装置19は、スリーステートバッファ19aと、マイコン19bと、を有している。
【0045】
スリーステートバッファ19aの入力端子には、第二信号ライン16が接続されている。スリーステートバッファ19aの出力端子には、マイコン19b側が接続されている。スリーステートバッファ19aの制御端子には、マイコン19bが接続されている。スリーステートバッファ19aは、第二信号ライン16からの入力及びマイコン19bからの制御信号に応じて、“1”(Hレベル)の状態、“0”(Lレベル)の状態、及びハイインピーダンスの状態の3種類の出力状態を実現する。マイコン19bは、パレット部材22c側から送られる通信コマンドを受信すると共に、その受信した通信コマンドに従ってスリーステートバッファ19a及び後述のアナログスイッチを制御することが可能である。
【0046】
管理システム70は、また、スイッチ部81と、接触抵抗測定部82と、信号端子許否判別部83と、処置制御部84と、を有している。スイッチ部81は、フィーダ10に設けられている。接触抵抗測定部82、信号端子許否判別部83、及び処置制御部84は、パレット部材22c側(具体的には、ライン管理装置60)に設けられている。
【0047】
スイッチ部81は、フィーダ10の第二信号ライン16と第二共通ライン17との間に介在し、両ライン16,17に接続するアナログスイッチである。スイッチ部81は、第二信号ライン16と第二共通ライン17とを導通させ或いは遮断させる。スイッチ部81は、パレット部材22c側からの通信コマンドに従ったマイコン19bからの指令でその導通と遮断とを切り替える。
【0048】
接触抵抗測定部82は、コネクタ90の信号端子での抵抗(すなわち、コネクタ接触抵抗)を測定する部位である。接触抵抗測定部82は、フィーダ10の第二信号ライン16と第二共通ライン17とがスイッチ部81を介して導通される接触抵抗測定モードで、第一信号ライン26と第一共通ライン27との間の抵抗に基づいてコネクタ接触抵抗を測定する。
【0049】
信号端子許否判別部83は、接触抵抗測定部82により測定されたコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する部位である。このコネクタ接触抵抗の許容範囲は、コネクタ接触抵抗として処置制御部84による処置の必要の無い範囲のことであって、許容下限値から許容上限値までの範囲に設定されている。許容下限値は、例えば“0”である。また、許容上限値は、予め実験結果などに基づいて定められている。尚、この許容範囲は、一つに限らず、複数の処置内容に合わせて段階的に定められていてもよい。
【0050】
処置制御部84は、信号端子許否判別部83により判別された結果に基づいて、所定の処置を実行する部位である。具体的には、処置制御部84は、コネクタ接触抵抗が許容範囲内にあると判別された場合は、何ら処置を実行しない。この場合、ライン管理装置60は、パレット部材22cにセットされたフィーダ10に対して、通常どおり例えば部品装着処理などを実行させるためのデータの送出を行う。
【0051】
一方、処置制御部84は、コネクタ接触抵抗が許容範囲内に無いと判別された場合は、所定の処置を実行する。この所定の処置は、コネクタ90での接触抵抗が高いことに起因して、パレット部材22c側からフィーダ10へ十分なレベルの信号を供給することができなくなり、フィーダ10内のモータが動作不良を起こし或いはフィーダ10とパレット部材22c側との間の通信不良が発生する可能性があることに対応するためのものである。この所定の処置は、処置制御部78による処置と同様に、例えば、エラー通知、メンテナンス通知、交換処理、及び挿抜処理などを行うことである。
【0052】
3.管理システムの動作制御
管理システム70は、コネクタ90(具体的には、電力端子)の接続状況を判断する。ライン管理装置60は、コネクタ90の接続状況を判断するタイミングか否かを判別する(
図6に示すステップS100)。この判断タイミングは、例えば、フィーダ10がパレット部材22cに挿入されてセットされた直後や、パレット部材22cにセットされたフィーダ10の電源が投入された直後などである。
【0053】
この判断タイミングが肯定判定されたときは、まず、ライン管理装置60からフィーダ10へ駆動装置13のモータなどを強制的に駆動させる高負荷指令がなされる。かかる高負荷指令がなされると、フィーダ10が高負荷状態になる(ステップS110)。フィーダ10が高負荷状態になると、パレット部材22c側の第一電力ライン25からフィーダ10側の第二電力ライン15へ電力が供給される。
【0054】
パレット部材22c側からフィーダ10側へ電力供給がなされている状態で、ライン管理装置60は、第一電圧検出部71にて第一電力ライン25の正極ライン25+と負極ライン25-との間の第一電圧V1を検出する(ステップS120)。また、その状態で、フィーダ10は、第二電圧測定部72にて第二電力ライン15の正極ライン15+と負極ライン15-との間の第二電圧V2を測定する。第二電圧測定部72により測定された第二電圧V2は、フィーダ10から信号ライン16,26を介してパレット部材22c側へ通信コマンドにより送られる。ライン管理装置60は、フィーダ10からの通信コマンドに従って第二電圧検出部73にて上記の第二電圧V2を検出する(ステップS121)。
【0055】
次に、ライン管理装置60は、電圧降下測定部74にて第一電圧検出部71による第一電圧V1と第二電圧検出部73による第二電圧V2との電圧差(V2-V1)である電圧降下を測定する(ステップS122)と共に、電流測定部75にて第一電力ライン25に流れる電流を測定する(ステップS123)。そして、ライン管理装置60は、接触抵抗測定部76にて電圧降下測定部74による電圧降下と電流測定部75による電流とに基づいてコネクタ接触抵抗を測定する(ステップS124)。
【0056】
ライン管理装置60は、電力端子許否判別部77にて接触抵抗測定部76によるコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する(ステップS130)。コネクタ接触抵抗が許容範囲内にあると判別された場合は、ライン管理装置60は、コネクタ90が正常状態にあると判定し(ステップS140)、処置制御部78による処置を実行しない。
【0057】
一方、コネクタ接触抵抗が許容範囲内に無いと判別された場合は、ライン管理装置60は、コネクタ90が異常状態にあると判定し(ステップS141)、処置制御部78により所定の処置を実行させる(ステップS150)。具体的には、上記したエラー通知やメンテナンス通知,交換処理,挿抜処理を実行させる。かかる所定の処置が実行されると、作業者に表示装置や音声出力装置によりフィーダ10のエラーが知らされ若しくはメンテナンスが促され、又は、フィーダ10が自動交換され若しくはパレット部材22cに対して自動的に挿抜される。
【0058】
このように、コネクタ90の電力端子のコネクタ接触抵抗を測定して、そのコネクタ接触抵抗が許容範囲を超えて高くなっていることを判定可能とすることができる。そして、そのコネクタ接触抵抗が高い場合に、上記したエラー通知やメンテナンス通知,交換処理などによって、コネクタ90の高接触抵抗に起因したトラブルが発生する前に、作業者にその旨を知らせ若しくはメンテナンスを促し又はフィーダ10を自動交換し若しくはパレット部材22cに挿抜させることができるので、パレット部材22cにセットされるフィーダ10の作動を常に安定的に確保することが可能となる。
【0059】
また、管理システム70は、コネクタ90(具体的には、信号端子)の接続状況を判断する。ライン管理装置60は、コネクタ90の接続状況を判断するタイミングが否かを判別する(
図7に示すステップS200)。この信号端子の判断タイミングは、電力端子の接続状況の判断タイミングと同じであってよく、例えば、その信号端子の判断処理は、電力端子の判断処理と並行して又は時分割で行われるものとしてよい。
【0060】
上記の判断タイミングが否定判定されたときは、第二信号ライン16と第二共通ライン17とを導通させる必要はなく、スイッチ部81をオフ状態に維持する通常運転モードが実現される(ステップS210)。この通常運転モードでは、
図8に示す如く、パレット部材22c側からコネクタ90の信号端子を介してフィーダ10へデータ送出が行われると、そのデータがスリーステートバッファ19aを介してマイコン19b側へ送られる。フィーダ10は、このデータに基づいて電子部品の供給などの処理を行う。
【0061】
上記の判断タイミングが肯定判定されたときは、まず、ライン管理装置60からフィーダ10へスイッチ部81をオンさせる通信コマンドが送られる(ステップS220)。かかる通信コマンドがフィーダ10に受信されると、マイコン19bは、スリーステートバッファ19aを出力が入力に関係なくゼロとなるようにオフさせると共に、スイッチ部81を第二信号ライン16と第二共通ライン17とが導通するようにオンさせる。この場合は、コネクタ接触抵抗を測定する接触抵抗測定モードが実現される(ステップS230)。
【0062】
この接触抵抗測定モードにおいて、スイッチ部81がオンされると、
図9に示す如く、フィーダ10におけるそのスイッチ部81に対応する第二信号ライン16と第二共通ライン17とが導通する。この場合は、ライン管理装置60の第一信号ライン26→コネクタ90の信号端子→フィーダ10の第二信号ライン16→スイッチ部81→フィーダ10の第二共通ライン17→コネクタ90の共通端子→ライン管理装置60の第一共通ライン27を経由するループが形成される。
【0063】
かかるループが形成された状態で、ライン管理装置60は、接触抵抗測定部82にて当該第一信号ライン26と第一共通ライン27との間の抵抗を測定し(ステップS240)、その測定抵抗に基づいてコネクタ接触抵抗を測定する(ステップS241)。
【0064】
尚、スイッチ部81のオンすなわち上記ループの形成は、
図10に示す如く、コネクタ90の信号端子ごとに時分割で行われる。すなわち、複数のスイッチ部81は、一つずつ時間を空けて第二信号ライン16を第二共通ライン17に導通させる。そして、第一信号ライン26と第一共通ライン27との間の抵抗の測定ひいてはコネクタ接触抵抗の測定は、コネクタ90の信号端子別で行われる。
【0065】
ライン管理装置60は、信号端子許否判別部83にて接触抵抗測定部82によるコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する(ステップS250)。すべてのループにおけるコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあると判別された場合は、ライン管理装置60は、コネクタ90が正常状態にあると判定し(ステップS260)、処置制御部84による処置を実行しない。
【0066】
一方、少なくとも一つのループにおけるコネクタ接触抵抗が許容範囲内に無いと判別された場合は、ライン管理装置60は、コネクタ90が異常状態にあると判定し(ステップS261)、処置制御部84により所定の処置を実行させる(ステップS270)。具体的には、上記したエラー通知やメンテナンス通知,交換処理,挿抜処理を実行させる。かかる所定の処置が実行されると、作業者に表示装置や音声出力装置によりフィーダ10のエラーが知らされ若しくはメンテナンスが促され、又は、フィーダ10が自動交換され若しくはパレット部材22cに対して自動的に挿抜される。
【0067】
尚、接触抵抗測定モードが実行された後は、スイッチ部81が第二信号ライン16と第二共通ライン17とが遮断するようにオフされると共に、スリーステートバッファ19aが入力に応じて出力するようにオンされ、モードが接触抵抗測定モードから通常運転モードへ切り替わる。この切替が行われると、フィーダ10は、ライン管理装置60からのデータに基づいて通常どおり電子部品の供給などの処理を行う。
【0068】
このように、コネクタ90の信号端子のコネクタ接触抵抗を測定して、そのコネクタ接触抵抗が許容範囲を超えて高くなっていることを判定可能とすることができる。そして、そのコネクタ接触抵抗が高い場合に、上記したエラー通知やメンテナンス通知,交換処理などによって、コネクタ90の高接触抵抗に起因したトラブルが発生する前に、作業者にその旨を知らせ若しくはメンテナンスを促し又はフィーダ10を自動交換し若しくはパレット部材22cに挿抜させることができるので、パレット部材22cにセットされるフィーダ10の作動を常に安定的に確保することが可能となる。
【0069】
このため、基板生産システム1の生産能力を向上させることができ、基板2の生産性を確保することができる。
【0070】
尚、上記の実施形態においては、ライン管理システム60が特許請求の範囲に記載した「管理システム」に、パレット部材22cが特許請求の範囲に記載した「セット台」に、接触抵抗測定部76が特許請求の範囲に記載した「電力端子測定部」に、接触抵抗測定部82が特許請求の範囲に記載した「信号端子測定部」に、それぞれ相当している。
【0071】
4.変形形態
ところで、上記の実施形態においては、コネクタ90の電力端子の接続状況を判断するのに、電圧降下測定部74にてパレット部材22c側の第一電力ライン25の第一電圧V1とフィーダ10側の第二電力ライン15の第二電圧V2との電位差である電圧降下を測定すると共に、電流測定部75にて第一電力ライン25に流れる電流を測定して、接触抵抗測定部76にてそれらの電圧降下及び電流に基づいてコネクタ接触抵抗を測定し、電力端子許否判別部77にてそのコネクタ接触抵抗が許容範囲内にあるか否かを判別する。
【0072】
しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、コネクタ90の電力端子の接続状況を判断するのに、電圧降下測定部74にて測定された電圧降下が許容範囲内にあるか否かを判別することとしてもよい。この電圧降下の許容範囲は、電圧降下として処置制御部78による処置の必要の無い範囲のことであって、許容最小値から許容最大値までの範囲に設定されている。許容最小値は、例えば“0”である。また、許容最大値は、予め実験結果などに基づいて定められている。尚、この許容範囲は、一つに限らず、複数の処置内容に合わせて段階的に定められていてもよい。この変形形態においては、電圧降下測定部74が特許請求の範囲に記載した「電力端子測定部」に相当する。
【0073】
また、上記の実施形態においては、パレット部材22c側の第一信号ライン26及びフィーダ10側の第二信号ライン16がそれぞれ複数本設けられ、コネクタ90の信号端子が同じ複数個設けられていることを前提にして、コネクタ90の信号端子の接続状況を判断するのに、すべての信号端子それぞれでのコネクタ接触抵抗を時分割で順に測定することとしている。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、すべての信号端子のうち一つの信号端子でのコネクタ接触抵抗を測定すること、又は、すべての信号端子のうち一つでもコネクタ接触抵抗が許容範囲内に無いことが判別された場合に、以後の信号端子でのコネクタ接触抵抗の測定を中止したうえで、所定の処置を実行することとしてもよい。この変形形態においては、接触抵抗測定モードに要する時間を短縮させることが可能となる。
【0074】
また、上記の実施形態においては、コネクタ90の電力端子の接続状況及びコネクタ90の信号端子の接続状況の双方を判断することとしている。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、コネクタ90の電力端子の接続状況のみを判断すること、又は、コネクタ90の信号端子の接続状況のみを判断することとしてもよい。
【0075】
また、上記の実施形態においては、フィーダ10がセットされる対象が、電子部品実装機20に設けられたセット台であるパレット部材22cである。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、フィーダ10がセットされる対象が、そのフィーダを検査する検査ユニットに設けられたセット台であってもよい。
【0076】
尚、本開示は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1:基板生産システム、2:基板、10:フィーダ、15:第二電力ライン、16:第二信号ライン、17:第二共通ライン、20:電子部品実装機、22c:パレット部材、25:第一電力ライン、26:第一信号ライン、27:第一共通ライン、60:ライン管理装置、70:管理システム、71:第一電圧検出部、72:第二電圧測定部、73:第二電圧検出部、74:電圧降下測定部、75:電流測定部、76:接触抵抗測定部、77:電力端子許否判別部、78:処置制御部、81:スイッチ部、82:接触抵抗測定部、83:信号端子許否判別部、84:処置制御部、90:コネクタ。