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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】排気ガス再循環装置およびエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/30 20160101AFI20231115BHJP
   F02M 26/05 20160101ALI20231115BHJP
   F02M 26/41 20160101ALI20231115BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F02M26/30
F02M26/05
F02M26/41 311
F02M35/10 311E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020135353
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030991
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐
(72)【発明者】
【氏名】高見 雅保
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智大
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-190416(JP,A)
【文献】特開2005-194943(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0133631(US,A1)
【文献】特開2011-231754(JP,A)
【文献】特開2012-127266(JP,A)
【文献】特開2017-040224(JP,A)
【文献】特開2013-133795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/00
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気系を流れる排気の一部を排気還流ガスとして前記エンジンの吸気系に還流する排気ガス再循環装置であって、
前記排気還流ガスを前記吸気系に還流する排気還流経路と、
前記排気還流経路に設けられ前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスを冷却する冷却手段と、
前記排気還流経路に設けられ前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスの流量を調整する流量調整手段と、
前記エンジンのシリンダヘッドおよび前記冷却手段に固定され前記冷却手段を支持するとともに前記シリンダヘッドから排出された前記排気還流ガスを前記冷却手段へ導く内部流路を有するクーラーベースと、
を備え、
前記クーラーベースは、
前記排気還流ガスを前記内部流路に導入する第1開口部と、
前記第1開口部から取り入れられ前記内部流路を流れた前記排気還流ガスを前記冷却手段へ向かって排出する第2開口部と、
を有し、
前記内部流路は、
第1内部流路と、
前記第1内部流路よりも前記排気還流ガスの流れの下流側に設けられた第2内部流路と、
を有し、
前記第1内部流路は、
前記内部流路を流れる前記排気還流ガスの流れに対して直交する流路断面において相対的に前記第1開口部に近い位置に配置され略三角形を呈する第1領域と、
前記流路断面において相対的に前記第1開口部から遠い位置に配置され略四角形を呈する第2領域と、
を有し、
前記第2内部流路は、
前記流路断面において相対的に前記第1開口部に近い位置に配置され略四角形を呈する第1領域と、
前記流路断面において相対的に前記第1開口部から遠い位置に配置され略四角形を呈する第2領域と、
を有することを特徴とする排気ガス再循環装置。
【請求項2】
前記内部流路を流れる前記排気還流ガスの流れに対して直交する前記内部流路の断面積のうち最も狭い断面積は、前記冷却手段および前記流量調整手段の位置にかかわらず一定に保たれることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス再循環装置。
【請求項3】
前記内部流路は、前記第1開口部から第1水平方向に導入された前記排気還流ガスの流れ方向を鉛直方向に変換し、前記流れ方向を前記鉛直方向に変換された前記排気還流ガスの流れ方向を前記第1水平方向とは異なる第2水平方向にさらに変換し、前記第2開口部から前記排気還流ガスを排出させることを特徴とする請求項1または2に記載の排気ガス再循環装置。
【請求項4】
前記冷却手段と前記流量調整手段との間における前記排気還流経路に設けられ前記冷却手段および前記流量調整手段から受ける構造上の制約を抑えるスペーサと、
前記スペーサに接続され前記スペーサから前記排気還流ガスの圧力を取り出す排気圧取得経路と、
前記排気圧取得経路に接続され、前記排気圧取得経路を通して取り出された前記排気還流ガスの圧力と前記吸気系にある吸気の圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の排気ガス再循環装置。
【請求項5】
前記スペーサは、前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスの流れに対して交差する方向に貫通して形成された孔を有し、
前記差圧検出手段は、前記スペーサの前記孔を通して取り出された前記排気還流ガスの圧力と前記吸気系にある前記吸気の圧力との差圧を検出することを特徴とする請求項に記載の排気ガス再循環装置。
【請求項6】
前記排気圧取得経路のうちの少なくとも前記スペーサに接続された部分は、金属製であることを特徴とする請求項またはに記載の排気ガス再循環装置。
【請求項7】
前記排気圧取得経路のうちの少なくとも前記差圧検出手段に接続された部分は、可撓性を有する樹脂製であることを特徴とする請求項に記載の排気ガス再循環装置。
【請求項8】
排気系を流れる排気の一部を排気還流ガスとして吸気系に還流する排気ガス再循環装置を備えたエンジンであって、
前記排気ガス再循環装置は、
前記排気還流ガスを前記吸気系に還流する排気還流経路と、
前記排気還流経路に設けられ前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスを冷却する冷却手段と、
前記排気還流経路に設けられ前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスの流量を調整する流量調整手段と、
エンジンのシリンダヘッドおよび前記冷却手段に固定され前記冷却手段を支持するとともに前記シリンダヘッドから排出された前記排気還流ガスを前記冷却手段へ導く内部流路を有するクーラーベースと、
を備え、
前記クーラーベースは、
前記排気還流ガスを前記内部流路に導入する第1開口部と、
前記第1開口部から取り入れられ前記内部流路を流れた前記排気還流ガスを前記冷却手段へ向かって排出する第2開口部と、
を有し、
前記内部流路は、
第1内部流路と、
前記第1内部流路よりも前記排気還流ガスの流れの下流側に設けられた第2内部流路と、
を有し、
前記第1内部流路は、
前記内部流路を流れる前記排気還流ガスの流れに対して直交する流路断面において相対的に前記第1開口部に近い位置に配置され略三角形を呈する第1領域と、
前記流路断面において相対的に前記第1開口部から遠い位置に配置され略四角形を呈する第2領域と、
を有し、
前記第2内部流路は、
前記流路断面において相対的に前記第1開口部に近い位置に配置され略四角形を呈する第1領域と、
前記流路断面において相対的に前記第1開口部から遠い位置に配置され略四角形を呈する第2領域と、
を有することを特徴とするエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス再循環装置および排気ガス再循環装置を備えたエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エンジンの排気系を流れる排気の一部を排気還流ガスとしてエンジンの吸気系に還流する排気ガス再循環装置が知られている。排気ガス再循環装置は、新規な吸気に排気還流ガスを混合させることで、排気ガス再循環装置が設けられていない場合と比較してシリンダ内の燃焼温度を低下させることができ、窒素酸化物(NOx)の発生を抑えることができる。
【0003】
特許文献1には、排気ガス再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)装置を備えたエンジンが開示されている。特許文献1に記載されたEGR装置は、エンジンの再循環排気ガス(EGRガス)と新気(エアクリーナからの外部空気)とを混合させて吸気マニホールドに供給するコレクタ(EGR本体ケース)と、排気マニホールドにEGRクーラを介して接続する再循環排気ガス管と、再循環排気ガス管にコレクタを連通させるEGRバルブと、を備えている。また、特許文献1に記載されたEGR装置は、差圧センサと、吸気圧取出経路と、吸気圧導入通路と、排気圧取出配管と、排気圧導入通路と、を備えている。差圧センサは、吸気マニホールドから吸気圧取出経路および吸気圧導入通路を経た吸気ガスの圧力と、排気マニホールドから排気圧取出配管および排気圧導入通路を経た排気ガスの圧力と、の差圧を検出する。そして、差圧センサにて検出された差圧に基づいてEGRバルブの開度が調節されることによって、吸気圧及び排気圧の変動に起因したEGRガス供給量(EGRガス還流量)の変動が抑制される。
【0004】
ここで、特許文献1に記載されたようなEGRクーラを支持するとともに排気還流ガスの流路を形成するクーラーベースは、EGRバルブ、EGRクーラ、および排気ガス再循環装置の周辺部品などから構造上の制約を受けることがある。すなわち、EGRバルブ、EGRクーラ、および排気ガス再循環装置の周辺部品の互いの配置関係あるいは互いのクリアランス確保などを考慮すると、EGRバルブおよびEGRクーラの位置を変更する必要性が生じたり、あるいは任意部品を追加する必要性が生じることに伴ってEGRバルブおよびEGRクーラの位置を変更する必要性が生じたりすることがある。そうすると、EGRクーラを支持するクーラーベースの位置を変更する必要性が生ずることがある。しかし、クーラーベースの位置を変更すると、エンジンが大型化するおそれがある。
【0005】
そこで、クーラーベースを小型化あるいは薄型化することが一策として挙げられる。しかし、前述したように、クーラーベースは排気還流ガスの流路を形成するため、クーラーベースを小型化あるいは薄型化すると、クーラーベースに形成された流路を流れる排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずるおそれがある。クーラーベースに形成された流路を流れる排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずると、排気ガス再循環の基本的性能が変化するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-231754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、他の部品から構造上の制約を受けることを抑えつつ、排気ガス再循環の基本的性能が変化することを抑えることができる排気ガス再循環装置およびエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、エンジンの排気系を流れる排気の一部を排気還流ガスとして前記エンジンの吸気系に還流する排気ガス再循環装置であって、前記排気還流ガスを前記吸気系に還流する排気還流経路と、前記排気還流経路に設けられ前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスを冷却する冷却手段と、前記排気還流経路に設けられ前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスの流量を調整する流量調整手段と、前記エンジンのシリンダヘッドおよび前記冷却手段に固定され前記冷却手段を支持するとともに前記シリンダヘッドから排出された前記排気還流ガスを前記冷却手段へ導く内部流路を有するクーラーベースと、を備え、前記内部流路は、前記クーラーベースが前記冷却手段および前記流量調整手段から受ける構造上の制約を抑えつつ前記排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずることを抑えることを特徴とする本発明に係る排気ガス再循環装置により解決される。
【0009】
本発明に係る排気ガス再循環装置によれば、クーラーベースは、排気還流ガスを冷却する冷却手段を支持するとともに、シリンダヘッドから排出された排気還流ガスを冷却手段へ導く内部流路を有する。クーラーベースの内部流路は、クーラーベースが冷却手段および流量調整手段から受ける構造上の制約を抑えつつ、排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずることを抑える。これにより、冷却手段および流量調整手段の位置を変更する必要性が生じたり、任意部品を追加する必要性が生じることに伴って冷却手段および流量調整手段の位置を変更する必要性が生じたりする場合であっても、クーラーベースの内部流路は、クーラーベースが冷却手段および流量調整手段から受ける構造上の制約を抑えることができる。また、クーラーベースの内部流路を流れる排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずることをクーラーベースの内部流路が抑えるため、排気ガス再循環の基本的性能が変化することを抑えることができる。
【0010】
本発明に係る排気ガス再循環装置において、好ましくは、前記内部流路を流れる前記排気還流ガスの流れに対して直交する前記内部流路の断面積のうち最も狭い断面積は、前記冷却手段および前記流量調整手段の位置にかかわらず一定に保たれることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る排気ガス再循環装置によれば、クーラーベースの内部流路の断面積のうち最も狭い断面積が冷却手段および流量調整手段の位置にかかわらず一定に保たれる。そのため、例えば冷却手段および流量調整手段の位置の変更に伴い、クーラーベースの薄型化あるいは小型化が図られ、クーラーベースの構造が変更された場合であっても、クーラーベースの内部流路を流れる排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずることを抑えることができる。これにより、排気ガス再循環の基本的性能が変化することをより確実に抑えることができる。
【0012】
本発明に係る排気ガス再循環装置において、好ましくは、前記クーラーベースは、前記排気還流ガスを前記内部流路に導入する第1開口部と、前記第1開口部から取り入れられ前記内部流路を流れた前記排気還流ガスを前記冷却手段へ向かって排出する第2開口部と、を有し、前記内部流路は、第1内部流路と、前記第1内部流路よりも前記排気還流ガスの流れの下流側に設けられた第2内部流路と、を有し、前記第1内部流路は、前記内部流路を流れる前記排気還流ガスの流れに対して直交する流路断面において相対的に前記第1開口部に近い位置に配置され略三角形を呈する第1領域と、前記流路断面において相対的に前記第1開口部から遠い位置に配置され略四角形を呈する第2領域と、を有し、前記第2内部流路は、前記流路断面において相対的に前記第1開口部に近い位置に配置され略四角形を呈する第1領域と、前記流路断面において相対的に前記第1開口部から遠い位置に配置され略四角形を呈する第2領域と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る排気ガス再循環装置によれば、クーラーベースの内部流路のうちの第1内部流路は、内部流路を流れる排気還流ガスの流れに対して直交する流路断面において相対的に第1開口部に近い位置に配置され略三角形を呈する第1領域と、内部流路を流れる排気還流ガスの流れに対して直交する流路断面において相対的に第1開口部から遠い位置に配置され略四角形を呈する第2領域と、を有する。これにより、第1開口部からクーラーベースの内部に進入した排気還流ガスは、第1内部流路の第1領域において流速を高めつつ、第1内部流路の第2領域において比較的大流量で円滑に第2開口部へ向かって流れることができる。また、クーラーベースの内部流路のうちの第2内部流路は、内部流路を流れる排気還流ガスの流れに対して直交する流路断面において相対的に第1開口部に近い位置に配置され略四角形を呈する第1領域と、内部流路を流れる排気還流ガスの流れに対して直交する流路断面において相対的に第1開口部から遠い位置に配置され略四角形を呈する第2領域と、を有する。これにより、流速を高めつつ比較的大流量で円滑に第1内部流路を通過した排気還流ガスは、第2内部流路の第1領域および第2領域において比較的大流量で円滑に第2開口部に向かって流れることができる。
【0014】
本発明に係る排気ガス再循環装置において、好ましくは、前記内部流路は、前記第1開口部から第1水平方向に導入された前記排気還流ガスの流れ方向を鉛直方向に変換し、前記流れ方向を前記鉛直方向に変換された前記排気還流ガスの流れ方向を前記第1水平方向とは異なる第2水平方向にさらに変換し、前記第2開口部から前記排気還流ガスを排出させることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る排気ガス再循環装置によれば、クーラーベースの第1開口部から第1水平方向に導入された排気還流ガスは、クーラーベースの内部流路により流れ方向を鉛直方向に変換される。その後、排気還流ガスは、クーラーベースの内部流路により流れ方向を第1水平方向とは異なる第2水平方向にさらに変換される。これにより、クーラーベースは、エンジンの大型化を抑制するために薄型化を図りつつ、排気還流ガスの流速を高めるとともに排気還流ガスを比較的大流量で円滑に冷却手段へ導き、排気ガス再循環の基本的性能が変化することを抑えることができる。
【0016】
本発明に係る排気ガス再循環装置は、好ましくは、前記冷却手段と前記流量調整手段との間における前記排気還流経路に設けられ前記冷却手段および前記流量調整手段から受ける構造上の制約を抑えるスペーサと、前記スペーサに接続され前記スペーサから前記排気還流ガスの圧力を取り出す排気圧取得経路と、前記排気圧取得経路に接続され、前記排気圧取得経路を通して取り出された前記排気還流ガスの圧力と前記吸気系にある吸気の圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る排気ガス再循環装置によれば、スペーサが、排気還流ガスを冷却する冷却手段と、排気還流ガスの流量を調整する流量調整手段と、の間における排気還流経路に設けられており、冷却手段および流量調整手段から受ける構造上の制約を抑える。また、排気圧取得経路が、スペーサに接続されており、スペーサから排気還流ガスの圧力を取り出す。そして、差圧検出手段が、排気圧取得経路に接続されており、排気圧取得経路を通して取り出された排気還流ガスの圧力と、吸気系にある吸気の圧力と、の差圧を検出する。そのため、排気圧取得経路は、スペーサに接続されることにより、冷却手段および流量調整手段ならびに排気ガス再循環装置の周辺部品から構造上の制約をほとんど受けることがない。このように、本発明に係る排気ガス再循環装置は、冷却手段および流量調整手段ならびに排気ガス再循環装置の周辺部品から構造上の制約を受けることを抑え、排気圧取得経路を容易に設置することができる。また、冷却手段および流量調整手段ならびに排気ガス再循環装置の周辺部品の構造を変更しなくとも、スペーサの構造を変更することにより、種々の形状の排気圧取得経路をスペーサに容易に接続することができる。つまり、冷却手段および流量調整手段ならびに排気ガス再循環装置の周辺部品の構造を変更しなくとも、スペーサの構造を変更することにより、種々の形状の排気圧取得経路に柔軟に対応することができる。
【0018】
本発明に係る排気ガス再循環装置において、好ましくは、前記スペーサは、前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスの流れに対して交差する方向に貫通して形成された孔を有し、前記差圧検出手段は、前記スペーサの前記孔を通して取り出された前記排気還流ガスの圧力と前記吸気系にある前記吸気の圧力との差圧を検出することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る排気ガス再循環装置によれば、スペーサの孔は、排気還流経路を流れる排気還流ガスの流れに対して交差する方向に貫通して形成されている。そのため、スペーサの孔が排気還流ガスに含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)により閉塞することを抑えることができる。これにより、差圧検出手段は、排気還流ガスの圧力(静圧)をより確実に取得し、排気還流ガスの圧力(静圧)と、吸気系にある吸気の圧力と、の差圧をより高い精度で検出することができる。
【0020】
本発明に係る排気ガス再循環装置において、好ましくは、前記排気圧取得経路のうちの少なくとも前記スペーサに接続された部分は、金属製であることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る排気ガス再循環装置によれば、排気圧取得経路のうちの少なくともスペーサに接続された部分が、排気還流経路を流れる排気還流ガスの熱により劣化したり硬化したりすることを抑えることができる。これにより、排気圧取得経路のうちのスペーサに接続された部分と、スペーサと、の間に隙間が生ずることを抑え、排気圧取得経路の外部の空気が排気圧取得経路の内部に進入することを抑えることができる。これにより、差圧検出手段は、排気還流ガスの圧力と吸気の圧力との差圧をより高い精度で検出することができる。また、排気圧取得経路のうちのスペーサに接続された部分が金属製であるため、排気圧取得経路をねじ構造を用いてスペーサに締結することができる。これにより、排気圧取得経路がスペーサから外れることを抑え、スペーサに対する排気圧取得経路の位置決めを容易に行うことができる。
【0022】
本発明に係る排気ガス再循環装置において、好ましくは、前記排気圧取得経路のうちの少なくとも前記差圧検出手段に接続された部分は、可撓性を有する樹脂製であることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る排気ガス再循環装置によれば、排気圧取得経路のうちの少なくとも差圧検出手段に接続された部分は、可撓性を有する樹脂製である。そのため、排気圧取得経路のうちの少なくともスペーサに接続された部分が金属製であっても、排気圧取得経路のうちの少なくとも差圧検出手段に接続された部分は、差圧検出手段の位置に柔軟に対応して、差圧検出手段に対して容易に接続可能とされている。
【0024】
前記課題は、排気系を流れる排気の一部を排気還流ガスとして吸気系に還流する排気ガス再循環装置を備えたエンジンであって、前記排気ガス再循環装置は、前記排気還流ガスを前記吸気系に還流する排気還流経路と、前記排気還流経路に設けられ前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスを冷却する冷却手段と、前記排気還流経路に設けられ前記排気還流経路を流れる前記排気還流ガスの流量を調整する流量調整手段と、エンジンのシリンダヘッドおよび前記冷却手段に固定され前記冷却手段を支持するクーラーベースと、を備え、前記クーラーベースは、前記冷却手段および前記流量調整手段から受ける構造上の制約を抑えつつ前記排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずることを抑える内部流路を有することを特徴とする本発明に係るエンジンにより解決される。
【0025】
本発明に係るエンジンによれば、排気ガス再循環装置のクーラーベースは、排気還流ガスを冷却する冷却手段を支持するとともに、シリンダヘッドから排出された排気還流ガスを冷却手段へ導く内部流路を有する。クーラーベースの内部流路は、クーラーベースが冷却手段および流量調整手段から受ける構造上の制約を抑えつつ、排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずることを抑える。これにより、冷却手段および流量調整手段の位置を変更する必要性が生じたり、任意部品を追加する必要性が生じることに伴って冷却手段および流量調整手段の位置を変更する必要性が生じたりする場合であっても、クーラーベースの内部流路は、クーラーベースが冷却手段および流量調整手段から受ける構造上の制約を抑えることができる。また、クーラーベースの内部流路を流れる排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずることをクーラーベースの内部流路が抑えるため、排気ガス再循環の基本的性能が変化することを抑えることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、他の部品から構造上の制約を受けることを抑えつつ、排気ガス再循環の基本的性能が変化することを抑えることができる排気ガス再循環装置およびエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る排気ガス再循環装置を備えるエンジンを示す模式図である。
図2】本実施形態に係る排気ガス再循環装置の具体的な構造例を示す斜視図である。
図3】本実施形態のスペーサの構造例を示す断面図である。
図4】本実施形態のEGRクーラーベースの構造例を示す斜視図である。
図5図4に表した切断面B-Bにおける断面図である。
図6図4に表した切断面C-Cにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る排気ガス再循環装置を備えるエンジンを示す模式図である。
まず、本実施形態に係る排気ガス再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)装置300を備えるエンジン1の概要を説明する。図1に示すエンジン1は、内燃機関であって、例えば産業用ディーゼルエンジンである。エンジン1は、例えばターボチャージャ付きの過給式の高出力な4気筒エンジン等の立型の直列の多気筒エンジンである。エンジン1は、例えば建設機械、農業機械、芝刈り機のような車両等に搭載される。
【0030】
図1に示すエンジン1は、排気ガス再循環装置300を備える。また、エンジン1は、シリンダヘッド2と、吸気マニホールド(インテークマニホールド)3と、排気マニホールド(エキゾーストマニホールド)4と、ターボチャージャ5と、インテークスロットルバルブ(吸気調整部)6と、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット、制御部)100と、を備える。「マニホールド」は、「マニホルド」とも呼ばれる。
【0031】
排気ガス再循環装置300は、EGR経路23と、EGRバルブ7と、EGR冷却器8と、スペーサ400と、排気圧取得経路500と、EGR差圧センサ203と、EGRクーラーベース550(図2参照)と、を備え、エンジン1の排気系を流れる排気ガスEGの一部を排気還流ガスECGとしてエンジン1の吸気系に還流する。本実施形態のEGR経路23は、本発明の「排気還流経路」の一例である。本実施形態のEGRバルブ7は、本発明の「流量調整手段」の一例である。本実施形態のEGR冷却器8は、本発明の「冷却手段」の一例である。本実施形態のEGR差圧センサ203は、本発明の「差圧検出手段」の一例である。本実施形態のEGRクーラーベース550は、本発明の「クーラーベース」の一例である。排気ガス再循環装置300の詳細については、後述する。
【0032】
シリンダヘッド2は、例えば、第1気筒11と、第2気筒12と、第3気筒13と、第4気筒14と、を有する立型の直列の多気筒エンジンのシリンダヘッドである。本願明細書では、複数の気筒が並んだ方向すなわちクランク軸が延びた方向に沿ってみたとき、インテークスロットルバルブ6を通過した吸気ARと、EGRバルブ7を通過した排気還流ガスECGと、が互いに混合される部位(混合部)24から遠い位置に設けられた気筒から近い位置に設けられた気筒に向かって順に、第1気筒、第2気筒、第3気筒、第4気筒と称することにする。
【0033】
図1に示すように、吸気マニホールド3は、吸気が流入する始端部351を一端に有する本管35と、本管35から分岐する第1枝管31、第2枝管32、第3枝管33および第4枝管34と、を有する。本管35の長手方向は、第1気筒11、第2気筒12、第3気筒13および第4気筒14が並んだ方向すなわちクランク軸が延びた方向に沿っている。吸気マニホールド3の第1枝管31と第2枝管32と第3枝管33と第4枝管34とは、第1気筒11と第2気筒12と第3気筒13と第4気筒14とに対して、それぞれ接続されている。第1気筒11と第2気筒12と第3気筒13と第4気筒14との各燃焼室には、燃料噴射弁15が設けられている。燃料噴射弁15は、コモンレール16に接続されている。図示しない燃料タンクの燃料は、燃料ポンプの動作により、コモンレール16に送られる。コモンレール16は、ECU100の制御により、燃料ポンプから送られてくる燃料を蓄圧する。コモンレール16において蓄圧された燃料は、各燃料噴射弁15から各燃焼室内に噴射される。
【0034】
図1に示すように、ターボチャージャ5は、タービン5Tとブロア5Bとを有し、吸気マニホールド3へ送る吸気を過給する。すなわち、ブロア5Bの部分は、吸気配管20と吸気通路21とに接続されている。吸気通路21は、インテークスロットルバルブ6を介して、吸気マニホールド3のインレットフランジ22に接続されている。タービン5Tの部分は、排気通路4Bに接続されている。排気マニホールド4の排気通路4Bを通して導かれた排気ガスEGがターボチャージャ5のタービン5Tに供給されると、タービン5Tとブロア5Bとは、高速回転する。ブロア5Bが高速回転することで、ターボチャージャ5のブロア5Bに供給され圧縮された吸気ARは、吸気通路21を通じて吸気マニホールド3へ過給される。
【0035】
タービン5Tから排出された排気ガスEGは、DPF(Diesel particulate filter:ディーゼル微粒子捕集フィルタ)19等を介してエンジン1の外部へ排出される。
【0036】
ECU100は、インテークスロットルバルブ6と、EGRバルブ7と、コモンレール16等の動作を制御する。インテークスロットルバルブ6は、アクセルペダルの踏み込み量に基づいて、ECU100の指令により、吸気マニホールド3のインレットフランジ22に供給する吸気ARの供給量を制御する。
【0037】
前述したように、排気ガス再循環装置300は、EGR経路23と、EGRバルブ7と、EGR冷却器8と、スペーサ400と、排気圧取得経路500と、EGR差圧センサ203と、を備える。
【0038】
EGR経路23は、排気マニホールド4とインレットフランジ22とに接続され、排気還流ガスECGを吸気系に還流する。具体的には、図1に示すように、EGR経路23の始端部23Mは、排気マニホールド4に接続されている。あるいは、EGR経路23の始端部23Mは、排気マニホールド4とタービン5Tとの間における排気通路4Bに接続されていてもよい。EGR経路23の末端部23Nは、インテークスロットルバルブ6と吸気マニホールド3の始端部351との間におけるインレットフランジ22に接続されている。そして、EGR経路23は、排気系の一部を構成する排気マニホールド4を流れる排気ガスEGの一部を排気還流ガスECGとして吸気系の一部を構成する吸気マニホールド3のインレットフランジ22に還流する。
【0039】
EGRバルブ7は、EGR経路23に設けられている。EGRバルブ7は、ECU100の指令により開度を調整し、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの流量を調整して、排気マニホールド4から吸気マニホールド3のインレットフランジ22に供給する排気還流ガスECGの供給量を調整する。例えば、ECU100は、EGR差圧センサ203により検出された差圧PPに基づいてEGRバルブ7の開度を調整する。これにより、吸気圧および排気圧の変動に起因する排気還流ガスECGの供給量の変動が抑制される。そのため、エンジン1から排出される窒素酸化物(NOx)の量の低減効果がより高まる。
【0040】
EGR冷却器8は、EGR経路23に設けられ、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGを冷却する。
【0041】
スペーサ400は、EGR冷却器8と、EGRバルブ7と、の間におけるEGR経路23に設けられ、EGRバルブ7、EGR冷却器8、および排気ガス再循環装置300の周辺部品などから受ける構造上の制約を抑える。スペーサ400は、例えばステンレスや鉄等の耐熱性を有する金属で作られている。スペーサ400の詳細については、後述する。
【0042】
排気圧取得経路500は、EGR経路23に設けられたスペーサ400と、EGR差圧センサ203と、に接続されている。排気圧取得経路500は、流体を通す配管などであり、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの圧力Peをスペーサ400から取り出してEGR差圧センサ203に伝える。
【0043】
排気圧取得経路500は、スペーサ400に接続されている第1部分501と、第1部分501に接続されるとともにEGR差圧センサ203に接続されている第2部分502と、を有する。排気圧取得経路500のうちの少なくともスペーサ400に接続された第1部分501は、例えばステンレスや鉄等の耐熱性を有する金属で作られている。排気圧取得経路500の残りの第2部分502は、可撓性を有する熱に強いエンジニアリングプラスチックやゴムなどの樹脂により作られている。
【0044】
EGR差圧センサ203は、排気圧取得経路500と、吸気圧取得経路230と、に接続されている。吸気圧取得経路230は、流体を通す配管などであり、吸気マニホールド3と、圧力センサ201およびEGR差圧センサ203と、に接続されている。図1に表したように、吸気圧取得経路230は、吸気マニホールド3から圧力センサ201およびEGR差圧センサ203に向かって、圧力センサ201に接続された部分と、EGR差圧センサ203に接続された部分と、に分岐している。吸気圧取得経路230は、吸気マニホールド3を流れる混合吸気CYLの圧力Piを吸気マニホールド3から取り出して、圧力センサ201およびEGR差圧センサ203に伝える。混合吸気CYLは、インテークスロットルバルブ6を通過した吸気ARと、EGRバルブ7を通過した排気還流ガスECGと、が互いに混合されたガスである。
【0045】
EGR差圧センサ203は、吸気マニホールド3内に設置された第1測圧部213における混合吸気CYLの圧力Piと、EGR経路23内に設置された第2測圧部223における排気還流ガスECGの圧力Peと、の差圧PPを検出して、ECU100に伝達する。本実施形態では、第1測圧部213は、第1気筒11に接続された第1枝管31と第2気筒12に接続された第2枝管32とに亘る領域W、例えば、第1気筒11に接続された第1枝管31と第2気筒12に接続された第2枝管32との間の位置PSに設置されている。但し、第1測圧部213は、領域Wおよび位置PSに設置されることに限定されるわけではない。第2測圧部223は、金属製のスペーサ400内に設置されている。
【0046】
EGR差圧センサ203は、吸気圧取得経路230を通して取り出され伝わった第1測圧部213における混合吸気CYLの圧力Piと、排気圧取得経路500を通して取り出され伝わった第2測圧部223における排気還流ガスECGの圧力Peと、の差圧PPを検出する。
【0047】
また、本実施形態に係るエンジン1は、圧力センサ201と、温度センサ202と、を備える。本実施形態の圧力センサ201は、本発明の「圧力検出手段」の一例である。本実施形態の温度センサ202は、本発明の「温度検出手段」の一例である。
【0048】
圧力センサ201は、吸気マニホールド3内に設置された第1測圧部213における混合吸気CYLの圧力Piを検出して、ECU100に伝達する。具体的には、圧力センサ201は、吸気圧取得経路230を通して取り出され伝わった第1測圧部213における混合吸気CYLの圧力Piを検出する。このように、EGR差圧センサ203は、圧力センサ201により圧力Piを検出される混合吸気CYLと同じ位置にある混合吸気CYLの圧力Piに基づいて差圧PPを検出する。言い換えれば、圧力センサ201およびEGR差圧センサ203は、吸気マニホールド3内において互いに時間的に同期した第1測圧部213における混合吸気CYLの圧力Piを検出する。
【0049】
温度センサ202は、吸気マニホールド3内に設置され、吸気マニホールド3内の混合吸気CYLの温度Tiを検出して、ECU100に伝達する。
【0050】
本実施形態に係るエンジン1のECU100は、次に説明するようにして、吸気配管20における吸気量mfairの測定結果が吸気配管20の形状に依存することを抑え、吸気配管20における吸気量mfairを安定的に測定することができる。なお、吸気量は、吸気配管を流れる空気(吸気)の流量であり、吸気流量やMAFなどとも呼ばれる。
【0051】
ECU100は、まず、圧力センサ201の検出する吸気マニホールド3内の混合吸気CYLの圧力Piと、温度センサ202の検出する吸気マニホールド3内の混合吸気CYLの温度Tiと、に基づいて、図1に示す第1気筒11から第4気筒14までのシリンダ内へ供給される混合吸気CYLの流量(吸気量mfcyl)を算出する。具体的には、ECU100は、気体の状態方程式を用いて、混合吸気CYLの圧力Piと混合吸気CYLの温度Tiとに基づいて混合吸気CYLの吸気量mfcylを算出する。
【0052】
次に、ECU100は、混合吸気CYLの吸気量mfcylと、排気還流ガスECGの排気還流空気量mfegrと、に基づいて、図1に示す吸気配管20を流れる吸気ARの吸気量mfairを算出する。具体的には、ECU100は、前述の算出された吸気量mfcylと、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの排気還流空気量mfegrと、の差を演算することにより、図1に示す吸気配管20を流れる吸気ARの吸気量mfairを算出する。
【0053】
排気還流空気量mfegrは、EGRバルブ7の開度と、差圧PP(混合吸気CYLの圧力Piと排気還流ガスECGの圧力Peとの差圧)と、の関数として排気還流空気量テーブル(マップ)の形式でECU100のROM等に予め記憶されている。ECU100は、演算を行うときに、EGRバルブ7の開度と、EGR差圧センサ203により検出された差圧PPと、に応じて、ECU100のROM等に予め記憶された排気還流空気量テーブル(マップ)を読み込む。
【0054】
このように、ECU100は、図1に示す圧力センサ201の検出する吸気マニホールド3内の混合吸気CYLの圧力Piと、温度センサ202の検出する吸気マニホールド3内の混合吸気CYLの温度Tiと、EGR差圧センサ203により検出される差圧PP(混合吸気CYLの圧力Piと排気還流ガスECGの圧力Peとの差圧)と、に基づいて、図1に示す吸気配管20における新規な吸気ARの吸気量mfairを演算することができる。
【0055】
これにより、本実施形態に係るエンジン1のECU100は、吸気量mfairの測定結果が吸気配管20の形状に依存することを抑え、吸気量mfairを安定的に測定することができる。
なお、前述した吸気量mfairの測定方法は、一例である。本実施形態に係るエンジン1の吸気量mfairの測定方法は、これだけに限定されるわけではない。
【0056】
次に、本実施形態に係る排気ガス再循環装置300の具体的な構造例を、図面を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る排気ガス再循環装置の具体的な構造例を示す斜視図である。
図3は、本実施形態のスペーサの構造例を示す断面図である。
なお、図3は、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの流れ方向に対して垂直な切断面A-A(図2参照)における断面図である。
【0057】
図2に表したように、スペーサ400は、EGR冷却器8とEGRバルブ7との間に取り付けられている。スペーサ400は、EGR経路23において図2の矢印で示す排気還流ガスECGの流れ方向の途中に配置されている。より具体的には、スペーサ400は、EGR冷却器8の末端部8Mと、EGRバルブ7の始端部7Nと、の間に配置されている。スペーサ400は、エンジン1の大型化を防ぐために、図2の矢印で示す排気還流ガスECGの流れ方向に関して、できる限り薄い肉厚(例えば10mm程度の肉厚)になるように形成されている。
【0058】
ところで、EGR差圧センサ203が、スペーサ400と排気圧取得経路500とを用いて、EGR冷却器8とEGRバルブ7との間から取り出された排気還流ガスECGの圧力Peに基づいて差圧PPを検出する理由のひとつは、EGR冷却器8の劣化を検知できるようにするためである。例えば、EGR冷却器8が少しでも粒子状物質により閉塞すると、EGR冷却器8と、EGR冷却器8よりも下流側に設けられたEGRバルブ7と、の間にある排気還流ガスECGの圧力Peに基づいた差圧PPが変化する。このため、排気圧取得経路500が、EGR冷却器8の下流側である末端部8Mと、EGRバルブ7の上流側である始端部7Nと、の間に設けられたスペーサ400に接続されている。そして、EGR差圧センサ203は、スペーサ400内の第2測圧部223にある排気還流ガスECGの圧力Peに基づいて差圧PPを検出する。
【0059】
図3に表したように、排気圧取得経路500の第1部分501は、スペーサ400に接続される部分にオネジ部分503を有する。オネジ部分503がスペーサ400のメネジ部分404にねじ構造で締結されることにより、排気圧取得経路500の第1部分501は、スペーサ400に接続される。また、図2に表したように、排気圧取得経路500の第1部分501は、取付金具520を介してスペーサ400に支持されている。取付金具520は、ボルト521がスペーサ400のメネジ部分403に締結されることにより、スペーサ400に固定され排気圧取得経路500の第1部分501を支持する。取付金具520は、排気圧取得経路500の第1部分501の位置がずれることを抑えるとともに、排気圧取得経路500がエンジンの振動等によりスペーサ400およびEGR差圧センサ203から外れることを抑える。
【0060】
図3に表したように、オネジ部分503の座面が接触するスペーサ400の取付面405と、取付金具520が載置されるスペーサ400の載置面406と、は、互いにスペーサ400の同じ側面(図3では左側面)に設けられている。これにより、作業者等は、排気圧取得経路500をスペーサ400に取り付ける作業と、取付金具520をスペーサ400に取り付ける作業と、をエンジン1の外部の互いに同じ側から接近し行うことができる。より好ましくは、スペーサ400の取付面405と、スペーサ400の載置面406と、は、互いに同一平面上に存在する。これにより、スペーサ400の取付面405と、スペーサ400の載置面406と、を互いに同じ工程で機械加工を行うことができるとともに、スペーサ400の構造の簡易化を図ることができる。
【0061】
図3に表したように、スペーサ400は、排気還流ガスECGを通す円形状のガス通し孔401と、ガス通し孔401を挟んでガス通し孔401の両側の位置に設けられた2つの取付用の孔402、402と、スペーサ400内の第2測圧部223にある排気還流ガスECGの圧力Peを取り出すガス圧力取得孔410と、を有する。本実施形態のガス圧力取得孔410は、本発明の「孔」の一例である。
【0062】
ガス通し孔401は、排気還流ガスECGを図3の紙面垂直方向に通す。また、例えば、図2に示すEGR冷却器8の末端部8Mに設けられた図示しない位置決めスタッドが孔402、402を通ることにより、スペーサ400は、スタッドを用いて末端部8M側に位置決めされている。
【0063】
ガス圧力取得孔410は、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの流れに対して交差する方向、例えば、垂直方向TDにスペーサ400を貫通して形成されている。図3に表したスペーサ400の構造例では、ガス圧力取得孔410は、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの流れに対して垂直方向TDに形成され、メネジ部分404を介してスペーサ400を貫通している。本願明細書において、「ガス圧力取得孔410がスペーサ400を貫通する」とは、ガス圧力取得孔410がメネジ部分404などの他の孔を介してガス通し孔401とスペーサ400の外部とを連通させている状態を含むものとする。スペーサ400内の第2測圧部223にある排気還流ガスECGの圧力Peは、ガス圧力取得孔410を通して取り出され、排気圧取得経路500を通してEGR差圧センサ203に伝わる。言い換えれば、排気圧取得経路500は、ガス圧力取得孔410を通して取り出された排気還流ガスECGの圧力PeをEGR差圧センサ203に伝える。そして、EGR差圧センサ203は、スペーサ400のガス圧力取得孔410を通して取り出され排気圧取得経路500により伝えられた第2測圧部223における排気還流ガスECGの圧力Peと、吸気圧取得経路230を通して取り出され伝わった第1測圧部213における混合吸気CYLの圧力Piと、の差圧PPを検出する。
【0064】
なお、ガス圧力取得孔410の軸心の方向は、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの流れに対して垂直方向TDに限定されるわけではない。ガス圧力取得孔410の軸心の方向は、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの流れに対して交差する方向であればよく、例えば、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの流れに逆らう方向の成分を有していてもよい。
【0065】
図4は、本実施形態のEGRクーラーベースの構造例を示す斜視図である。
図5は、図4に表した切断面B-Bにおける断面図である。
図6は、図4に表した切断面C-Cにおける断面図である。
【0066】
EGRクーラーベース550は、シリンダヘッド2およびEGR冷却器8の始端部8Nに固定されており、EGR冷却器8とEGRバルブ7とスペーサ400とを支持している。また、EGRクーラーベース550は、シリンダヘッド2から排出された排気還流ガスECGをEGR冷却器8へ導く内部流路を有する。図2の矢印で示す排気還流ガスECGは、EGRクーラーベース550、EGR冷却器8およびスペーサ400をこの順序に通り、EGRバルブ7へ送られる。具体的には、排気還流ガスECGは、シリンダヘッド2から排出された後、図4に表した矢印A11のようにEGRクーラーベース550の第1開口部551から略水平方向にEGRクーラーベース550の内部に入る。言い換えれば、EGRクーラーベース550の第1開口部551は、排気還流ガスECGを略水平方向にEGRクーラーベース550の内部流路に導入する。矢印A11で示された略水平方向は、本発明の「第1水平方向」の一例である。その後、排気還流ガスECGは、EGRクーラーベース550の内部流路において、図4に表した矢印A12のように略鉛直方向に流れの方向を変換される。その後、排気還流ガスECGは、図4に表した矢印A13のように、略鉛直方向から略水平方向に流れの方向をさらに変換され、EGRクーラーベース550の第2開口部552から略水平方向にEGRクーラーベース550の外部に排出され、EGR冷却器8へ送られる。言い換えれば、EGRクーラーベース550の第2開口部552は、排気還流ガスECGを略水平方向にEGR冷却器8へ向かって排出する。矢印A13で示された略水平方向は、本発明の「第2水平方向」の一例である。例えば、図4に表した矢印A11の方向(第1水平方向)は、水平面内において図4に表した矢印A13の方向(第2水平方向)に対して略直交している。
【0067】
EGRクーラーベース550については、スペーサ400がEGRバルブ7とEGR冷却器8との間に設けられていても、エンジン1の大型化を抑制するために、EGRクーラーベース550の薄型化が図られている。このとき、EGRクーラーベース550の薄型化の前後においてEGRクーラーベース550の内部流路の断面積が変化することを抑え、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの流量、圧力および温度が変化することが抑えられている。言い換えれば、EGRクーラーベース550は、EGRバルブ7、EGR冷却器8、および排気ガス再循環装置300の周辺部品などから受ける構造上の制約を抑えつつ排気還流ガスECGの流体力学的な影響が生ずることを抑える内部流路を有する。例えば、図5に表したように、EGRクーラーベース550の内部流路の断面積のうち最も狭い第1内部流路553の断面積が、EGRクーラーベース550の薄型化の前後において同一に保たれている。本願明細書において「内部流路の断面積」とは、EGRクーラーベース550の内部流路を流れる排気還流ガスECGの流れに対して直交する流路断面の面積をいうものとする。これにより、EGRクーラーベース550の薄型化の前後において、第2測圧部223における排気還流ガスECGの圧力Peが変化することを抑えるとともに、EGR差圧センサ203により検出される差圧PPが変化することを抑えることができる。また、EGRクーラーベース550の薄型化の前後において、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環)の基本的性能が変化することを抑えることができる。
【0068】
図5に表したように、EGRクーラーベース550の第1内部流路553は、EGRクーラーベース550の内部流路を流れる排気還流ガスECGの流れに対して直交する流路断面において、第1領域553aと、第2領域553bと、を有する。本実施形態の第1内部流路553は、本発明の「内部流路」に含まれる。第1領域553aは、第1内部流路553のうち相対的に第1開口部551に近い位置に配置された領域である。第1領域553aは、第1内部流路553を流れる排気還流ガスECGの流れに対して直交する流路断面において略三角形を呈する。第2領域553bは、第1内部流路553のうち相対的に第1開口部551から遠い位置に配置された領域である。第2領域553bは、第1内部流路553を流れる排気還流ガスECGの流れに対して直交する流路断面において略四角形を呈する。このような第1内部流路553の形状により、第1開口部551からEGRクーラーベース550の内部に進入した排気還流ガスECGは、第1内部流路553の第1領域553aにおいて流速を高めつつ、第1内部流路553の第2領域553bにおいて比較的大流量で円滑に第2開口部552へ向かって流れることができる。
【0069】
図6に表したように、EGRクーラーベース550の第2内部流路554は、第1内部流路553よりも排気還流ガスECGの流れの下流側に設けられ、排気還流ガスECGの流れの上流側において図5に表した第1内部流路553に接続されている。つまり、第1開口部551からEGRクーラーベース550の内部に進入した排気還流ガスECGは、図5に表した第1内部流路553を流れた後に図6に表した第2内部流路554を流れる。第2内部流路554は、EGRクーラーベース550の内部流路を流れる排気還流ガスECGの流れに対して直交する流路断面において、第1領域554aと、第2領域554bと、を有する。本実施形態の第2内部流路554は、本発明の「内部流路」に含まれる。第1領域554aは、第2内部流路554のうち相対的に第1開口部551に近い位置に配置された領域である。第2領域554bは、第2内部流路554のうち相対的に第1開口部551から遠い位置に配置された領域である。第1領域554aおよび第2領域554bのそれぞれは、第2内部流路554を流れる排気還流ガスECGの流れに対して直交する流路断面において略四角形を呈する。このような第2内部流路554の形状により、流速を高めつつ比較的大流量で円滑に第1内部流路553を通過した排気還流ガスECGは、第2内部流路554の第1領域554aおよび第2領域554bにおいて比較的大流量で円滑に第2開口部552に向かって流れることができる。そして、排気還流ガスECGは、流れの方向を第1開口部551における進入方向(矢印A11参照)から第2開口部552における排出方向(矢印A13参照)へより円滑に変換された状態でEGR冷却器8へ導かれる。
【0070】
このように、EGRクーラーベース550は、EGRクーラーベース550の内部に進入した排気還流ガスECGの流速を高めつつ、排気還流ガスECGを比較的大流量で円滑にEGR冷却器8へ導くことができる。このとき、図2および図4図6に表したように、EGRクーラーベース550は、第1開口部551から略水平方向(図4に表した矢印A11参照)にEGRクーラーベース550の内部に進入した排気還流ガスECGの流れの方向を略鉛直方向(図4に表した矢印A12参照)に変換し、さらに、略水平方向(図4に表した矢印A13参照)に変換して、第2開口部552から排気還流ガスECGを排出する。前述したように、例えば、図4に表した矢印A11の方向は、水平面内において図4に表した矢印A13に対して略直交している。これにより、EGRクーラーベース550は、エンジン1の大型化を抑制するために薄型化を図りつつ、排気還流ガスECGの流速を高めるとともに排気還流ガスECGを比較的大流量で円滑にEGR冷却器8へ導き、EGR(排気ガス再循環)の基本的性能が変化することを抑えることができる。
【0071】
ここで、EGRクーラーベースは、EGRバルブ7、EGR冷却器8、および排気ガス再循環装置300の周辺部品などから構造上の制約を受けることがある。すなわち、EGRバルブ7、EGR冷却器8、および排気ガス再循環装置300の周辺部品の互いの配置関係あるいは互いのクリアランス確保などを考慮すると、EGRバルブ7およびEGR冷却器8の位置を変更する必要性が生じたり、あるいは任意部品(本実施形態では例えばスペーサ400)を追加する必要性が生じることに伴ってEGRバルブ7およびEGR冷却器8の位置を変更する必要性が生じたりすることがある。そうすると、クーラーベースの位置を変更する必要性が生ずることがある。しかし、クーラーベースの位置を変更すると、エンジンが大型化するおそれがある。
【0072】
そこで、クーラーベースを小型化あるいは薄型化することが一策として挙げられる。しかし、クーラーベースは排気還流ガスが流れる流路を内部に有するため、クーラーベースを小型化あるいは薄型化すると、クーラーベースの内部流路を流れる排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずるおそれがある。クーラーベースの内部流路を流れる排気還流ガスの流体力学的な影響が生ずると、排気ガス再循環の基本的性能が変化するおそれがある。
【0073】
これに対して、本実施形態に係る排気ガス再循環装置300およびエンジン1によれば、EGRクーラーベース550の内部流路は、EGRクーラーベース550がEGR冷却器8およびEGRバルブ7から受ける構造上の制約を抑えつつ、排気還流ガスECGの流体力学的な影響が生ずることを抑える。これにより、EGR冷却器8およびEGRバルブ7の位置を変更する必要性が生じたり、任意部品(本実施形態では例えばスペーサ400)を追加する必要性が生じることに伴ってEGR冷却器8およびEGRバルブ7の位置を変更する必要性が生じたりする場合であっても、EGRクーラーベース550の内部流路は、EGRクーラーベース550がEGR冷却器8およびEGRバルブ7から受ける構造上の制約を抑えることができる。また、EGRクーラーベース550の内部流路を流れる排気還流ガスECGの流体力学的な影響が生ずることをEGRクーラーベース550の内部流路が抑えるため、排気ガス再循環の基本的性能が変化することを抑えることができる。
【0074】
また、EGRクーラーベース550の内部流路の断面積のうち最も狭い第1内部流路553の断面積がEGR冷却器8およびEGRバルブ7の位置にかかわらず一定に保たれる。そのため、例えばEGR冷却器8およびEGRバルブ7の位置の変更に伴い、EGRクーラーベース550の薄型化あるいは小型化が図られ、EGRクーラーベース550の構造が変更された場合であっても、EGRクーラーベース550の内部流路を流れる排気還流ガスECGの流体力学的な影響が生ずることを抑えることができる。これにより、排気ガス再循環の基本的性能が変化することをより確実に抑えることができる。
【0075】
また、本実施形態に係る排気ガス再循環装置300およびエンジン1によれば、スペーサ400が、排気還流ガスECGを冷却するEGR冷却器8と、排気還流ガスECGの流量を調整するEGRバルブ7と、の間におけるEGR経路23に設けられており、EGRバルブ7およびEGR冷却器8ならびに排気ガス再循環装置300の周辺部品から受ける構造上の制約を抑える。また、排気圧取得経路500が、スペーサ400に接続されており、スペーサ400から排気還流ガスECGの圧力Peを取り出す。そして、EGR差圧センサ203が、排気圧取得経路500に接続されており、排気圧取得経路500を通して取り出された排気還流ガスECGの圧力Peと、吸気系にある混合吸気CYLの圧力Piと、の差圧PPを検出する。そのため、排気圧取得経路500は、スペーサ400に接続されることにより、EGR冷却器8およびEGRバルブ7ならびに排気ガス再循環装置300の周辺部品から構造上の制約をほとんど受けることがない。このように、本実施形態に係る排気ガス再循環装置300およびエンジン1は、EGR冷却器8およびEGRバルブ7ならびに排気ガス再循環装置300の周辺部品から構造上の制約を受けることを抑え、排気圧取得経路500を容易に設置することができる。また、EGR冷却器8およびEGRバルブ7ならびに排気ガス再循環装置300の周辺部品の構造を変更しなくとも、スペーサ400の構造を変更することにより、種々の形状の排気圧取得経路500をスペーサ400に容易に接続することができる。つまり、EGR冷却器8およびEGRバルブ7ならびに排気ガス再循環装置300の周辺部品の構造を変更しなくとも、スペーサ400の構造を変更することにより、種々の形状の排気圧取得経路500に柔軟に対応することができる。
【0076】
また、スペーサ400のガス圧力取得孔410が、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの流れに対して交差する方向に貫通して形成されている。そのため、スペーサ400のガス圧力取得孔410が排気還流ガスECGに含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)により閉塞することを抑えることができる。これにより、EGR差圧センサ203は、排気還流ガスECGの圧力(静圧)Peをより確実に取得し、排気還流ガスECGの圧力(静圧)Peと、吸気系にある混合吸気CYLの圧力Piと、の差圧PPをより高い精度で検出することができる。
【0077】
また、排気圧取得経路500のうちの少なくともスペーサ400に接続された第1部分501は、金属製である。そのため、排気圧取得経路500のうちの少なくともスペーサ400に接続された第1部分501が、EGR経路23を流れる排気還流ガスECGの熱により劣化したり硬化したりすることを抑えることができる。これにより、排気圧取得経路500のうちのスペーサ400に接続された第1部分501と、スペーサ400と、の間に隙間が生ずることを抑え、排気圧取得経路500の外部の空気が排気圧取得経路500の内部に進入することを抑えることができる。これにより、EGR差圧センサ203は、排気還流ガスECGの圧力Peと混合吸気CYLの圧力Piとの差圧PPをより高い精度で検出することができる。また、排気圧取得経路500のうちのスペーサ400に接続された第1部分501が金属製であるため、排気圧取得経路500をねじ構造を用いてスペーサ400に締結することができる。これにより、排気圧取得経路500がスペーサ400から外れることを抑え、スペーサ400に対する排気圧取得経路500の位置決めを容易に行うことができる。
【0078】
さらに、排気圧取得経路500のうちの少なくともEGR差圧センサ203に接続された第2部分502は、可撓性を有する樹脂製である。そのため、排気圧取得経路500のうちの少なくともスペーサ400に接続された第1部分501が金属製であっても、排気圧取得経路500のうちの少なくともEGR差圧センサ203に接続された第2部分502は、EGR差圧センサ203の位置に柔軟に対応して、EGR差圧センサ203に対して容易に接続可能とされている。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0080】
1:エンジン、 2:シリンダヘッド、 3:吸気マニホールド、 4:排気マニホールド、 4B:排気通路、 5:ターボチャージャ、 5B:ブロア、 5T:タービン、 6:インテークスロットルバルブ、 7:EGRバルブ、 7N:始端部、 8:EGR冷却器、 8M:末端部、 8N:始端部、 11:第1気筒、 12:第2気筒、 13:第3気筒、 14:第4気筒、 15:燃料噴射弁、 16:コモンレール、 20:吸気配管、 21:吸気通路、 22:インレットフランジ、 23:EGR経路、 23M:始端部、 23N:末端部、 31:第1枝管、 32:第2枝管、 33:第3枝管、 34:第4枝管、 35:本管、 100:ECU、 201:圧力センサ、 202:温度センサ、 203:EGR差圧センサ、 213:第1測圧部、 223:第2測圧部、 230:吸気圧取得経路、 300:排気ガス再循環装置、 351:始端部、 400:スペーサ、 401:ガス通し孔、 402:孔、 403、404:メネジ部分、 405:取付面、 406:載置面、 410:ガス圧力取得孔、 500:排気圧取得経路、 501:第1部分、 502:第2部分、 503:オネジ部分、 520:取付金具、 521:ボルト、 550:EGRクーラーベース、 551:第1開口部、 552:第2開口部、 553:第1内部流路、 553a:第1領域、 553b:第2領域、 554:第2内部流路、 554a:第1領域、 554b:第2領域、 AR:吸気、 CYL:混合吸気、 ECG:排気還流ガス、 EG:排気ガス、 PP:差圧、 Pe、Pi:圧力、 TD:垂直方向、 Ti:温度、 W:領域、 mfair、mfcyl:吸気量、 mfegr:排気還流空気量
図1
図2
図3
図4
図5
図6