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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】導電性布用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/77 20110101AFI20231115BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20231115BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20231115BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
H01R12/77
H01R13/64
A41D13/00 102
H01R13/629
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019184352
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2021061157
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】鷲埜 清
(72)【発明者】
【氏名】辻本 将輝
(72)【発明者】
【氏名】石動 尚子
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0270727(US,A1)
【文献】特開2019-102312(JP,A)
【文献】特開2018-045793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77
H01R 13/46
H01R 13/629
H01R 13/64
A41D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布に取り付けられ、デバイスが装着されるコネクタであって、
所定形状を有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに設けられ、前記布の導電性布片に電気的に導通するよう取り付けられ、前記デバイスが装着されたとき前記デバイスの電極に電気的接続される少なくとも一つのコンタクトと、
前記コネクタハウジングに設けられ、前記デバイスが装着されたとき、平面視で前記デバイスの外形形状の第1方向で対抗する第1の一対の外縁から外側にそれぞれ位置し、前記デバイスが取り外されるときに押えられる一対の押え片と、を有し、
前記デバイスが装着されたとき、平面視で前記デバイスの外形形状の前記第1方向と交差する第2方向で対抗する第2の一対の外縁から外側には、前記コネクタハウジングが位置せず、前記デバイスの前記第2の一対の外縁の側面が露出される導電性布用コネクタ。
【請求項2】
前記一対の押え片は、前記デバイスが装着されるとき前記デバイスの装着状態をロックするロック機構を有し、
前記一対の押え片は、前記デバイスが取り外されるとき押えられて前記ロック機構によるロック状態が解除される、請求項1に記載の導電性布用コネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングの前記所定形状は矩形であり、
前記コネクタハウジングに複数個のコンタクトが設けられ、
前記一対の押え片は、前記矩形の対抗する一対の辺にそれぞれ設けられる、請求項に記載の導電性布用コネクタ。
【請求項4】
前記コネクタハウジングは、平面視で、第1の軸の方向の中心から前記第1の軸の一方向にずれた位置に設けられた、前記第1の軸と交差する第2の軸の方向に突出する誤装着防止凸部を有する、請求項に記載の導電性布用コネクタ。
【請求項5】
前記コネクタハウジングの前記所定形状が平面視で帯状の矩形形状を有し、
前記デバイスに設けられた装着用凹部を前記帯状の矩形形状に嵌合することで前記デバイスが前記コネクタに装着され、
前記一対の押え片が、前記帯状の矩形形状の前記第1方向で対抗する第1の一対のハウジング部であり、
前記帯状の矩形形状の前記第2方向で対抗する第2の一対のハウジング部が、平面視で前記デバイスの前記第2の一対の外縁から外側には位置せず、前記デバイスの下に位置する、請求項1に記載の導電性布用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエアラブルデバイスを装着して電気的に接続する導電性布用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ウエアラブルデバイスは、各種センサや通信装置を内蔵し、ユーザの身体に装着した状態で動作させる。ユーザは、導電性布片が縫い付けられた布製のウエアに取り付けられたコネクタに、ウエアラブルデバイスを装着する。ウエアラブルデバイスは、ユーザの体に発生した微小電流等を導電性布片からコネクタを介して入力し、心拍数等の所望の身体の状態を計測する。計測されたデータは、ウエアラブルデバイスに内蔵された通信装置を介してスマートフォン等に無線通信される。
【0003】
これにより、ユーザの運動時または通常時の体の状態を見える化することができる。または、高齢者の体の状態を遠隔から監視することができる。
【0004】
ウエアラブルデバイスを装着するコネクタは、例えば、以下の先行技術に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-135723号公報
【文献】特開2018-63772号公報
【文献】特開2018-136990号公報
【文献】特開2019-87515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の先行技術では、オス、メスの金属性スナップボタンにより、衣服の導電性布片とデバイスとの間の機械的装着及び電気的接続を実現している。しかし、接続状態のスナップボタンをはずす(離間する)場合、導電性布片が縫い付けられた衣服を引っ張ることになり、導電性布片や衣服が破損しやすくなる。
【0007】
また、上記の特許文献4では、コネクタとデバイスの接続部の防水のために、コネクタのデバイス収納用開口部内にデバイスを装着してコネクタのコンタクトとデバイスの電極とを電気的に接続しており、デバイスをコネクタから取り外すことは想定していない。
【0008】
そこで、本実施の形態の第1の側面の目的は、導電性布片に取り付けられたコネクタからデバイスを取り外すときに導電性布片や布が引っ張られて破損するのを抑制できる導電性布用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施の形態の第1の側面は、布に取り付けられ、デバイスが装着されるコネクタであって、所定形状を有するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに設けられ、前記布の導電性布片に電気的に導通するよう取り付けられ、前記デバイスが装着されたとき前記デバイスの電極に電気的接続される少なくとも一つのコンタクトと、前記コネクタハウジングに設けられ、前記デバイスが装着されたとき、平面視で前記デバイスの外形形状の外縁から外側に位置し、前記デバイスが取り外されるときに押えられる押え片と、を有する導電性布用コネクタである。
【発明の効果】
【0010】
第1の側面によれば、コネクタからデバイスを取り外すときに、コネクタが取り付けられた導電性布片や布が引っ張られず、破損するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態におけるコネクタとコネクタが取り付けられる布とコネクタに装着されるデバイスの一例を示す斜視図である。
図2】デバイス30がコネクタ20に装着された状態を示す斜視図である。
図3】デバイス30がコネクタ20に装着された状態の平面及び断面を示す図である。
図4図3の断面図のコネクタとデバイスの左側の装着用凹部近傍の断面を示す図である。
図5】第2の実施の形態におけるコネクタとコネクタが取り付けられる布とコネクタに装着されるデバイスの一例を示す斜視図である。
図6】デバイスがコネクタに装着されていない状態の平面と断面を示す図である。
図7】第2の実施の形態におけるコネクタにデバイスが装着された状態を示す斜視図である。
図8】第2の実施の形態におけるコネクタにデバイスが装着された状態を示す平面図と断面図を示す図である。
図9】第3の実施の形態におけるコネクタの平面図とデバイスの底面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態におけるコネクタとコネクタが取り付けられる布とコネクタに装着されるデバイスの一例を示す斜視図である。図1において3次元方向を定義するために、図中x,y,z軸が示される。図1以降の図においても同様である。
【0013】
図1において、布10は、x軸,y軸の平面に置かれた状態である。布10は、例えば、衣服の生地として使用される。布10には、導電性布片11が貼り付けまたは縫い付け等により取り付けられる。図1には、コネクタ20が布10に取り付けられた状態が示される。そして、コネクタ20にはデバイス30が布10とは反対側から装着される。
【0014】
コネクタ20は、所定形状を有する絶縁性のコネクタハウジング21を有する。図1に示したコネクタハウジング21は、一例であり限定されないが、その所定形状は、4つの角が丸い四角い枠の帯状形状である。コネクタハウジング21は、x軸方向に延びる一対のx軸方向のハウジング部21xと、y軸方向に延びる一対のy軸方向のハウジング部21yとを有する。一対のx軸方向のハウジング部21xは、y軸方向で互いに対抗する位置に配置され、一方、一対のy軸方向のハウジング部21yは、x軸方向で互いに対抗する位置に配置される。
【0015】
一対のy軸方向のハウジング部21yは、それぞれ2箇所のコンタクト装着部22を有する。y軸方向のハウジング部21yの帯状形状の断面は後述するとおり角が丸い四角形である。一方、コンタクト装着部22の断面はコンタクト装着部22以外の部分の断面より小さい四角形であり、コンタクト装着部22では、帯状形状の上面と両側面が凹部となっている。そして、4箇所のコンタクト装着部22の凹部には、それぞれ導電性のコンタクト23が設けられる。
【0016】
一方、コネクタ20に装着されるデバイス30は、一例であるが、平面視で略正方形または長方形である立方体の外形形状を有するデバイスハウジング31を有する。図1には、デバイス30の矢印A方向からみた矢視図も示される。デバイス30の2つの斜視図に示されるとおり、デバイスハウジング31の矢印A方向から見えるコネクタ装着面には、コネクタ20のy軸方向のハウジング部21yに嵌合する一対の溝状の装着用凹部32が設けられる。また、デバイスハウジング31の4つの側面には、一対のx軸方向摘み用凹部34xと、一対のy軸方向摘み用凹部34yが設けられる。
【0017】
デバイス30には、内部に、心拍数等を測定し外部に測定結果を送信する集積回路(図示せず)と、その集積回路を搭載する回路基板(図示せず)と、回路基板の電極にそれぞれ接続される外部電極33が設けられる。
【0018】
図2は、デバイス30がコネクタ20に装着された状態を示す斜視図である。図3は、デバイス30がコネクタ20に装着された状態の平面及び断面を示す図である。そして、図4は、図3の断面図のコネクタとデバイスの左側の装着用凹部近傍の断面を示す図である。
【0019】
図2に示されるとおり、図1に示されるデバイス30の一対の装着用凹部32を、コネクタ20のy軸方向のハウジング部21yに嵌合することで、デバイス30がコネクタ20に装着される。そして、デバイス30がコネクタ20に装着された状態では、第一に、図3図4の断面図に示されるとおり、デバイスの外部電極33とコネクタのコンタクト23とが電気的に導通状態になる。第二に、図2図3の平面図に示されるとおり、コネクタ20の一対のx軸方向のハウジング部21xが、平面視でデバイス30の外形形状の外縁から外側に位置する。その結果、平面視で、デバイス30のデバイスハウジング31の外形形状のx軸方向に沿った外縁から外側に、コネクタ20の一対のx軸方向のハウジング部21xが露出される。更に、デバイスのデバイスハウジング31の一対のy軸方向摘み用凹部34yが露出された状態となる。
【0020】
図3には、平面図のB-B’方向の断面図が示され、図4には、図3の断面図のコネクタとデバイスの左側の装着用凹部近傍の拡大された断面が示される。図3図4の断面図には、デバイス30の内部空間35と、集積回路が搭載される回路基板40と、回路基板40に接続されるデバイス側のメス側電極33が示される。メス側電極33は、前述の外部電極33と同じである。
【0021】
図4の拡大断面図に示されるとおり、デバイス側のメス側電極33は、この例では、x軸方向に対抗して配置された一対の電極構造であり、一対の溝状の装着用凹部32それぞれの2箇所に設けられたメス側電極収納部36内に設けられる。メス側電極収納部36は、溝状の装着用凹部32よりx軸方向とz軸方向に深くえぐられた広い空間を有し、その空間内にメス側電極33が配置される。
【0022】
さらに、コネクタのy軸方向のハウジング部21yには、デバイス側のメス側電極33が配置される位置に、オス側コンタクト23が設けられる。オス側コンタクト23は、y軸方向のハウジング部21yの上面と両側面に沿って折り曲げられてy軸方向のハウジング部21yに装着され、更に、その両端部が布10及び導電性布片11に沿って折り曲げられている。
【0023】
また、オス側コンタクト23の先端部23_1が、例えば、布10と導電性布片11を貫通し、布10の裏側に折り曲げられ、オス側コンタクト23が、布10及び導電性布片11を表面側と裏面側から挟み込んで、導電性布片11と電気的に導通される。但し、オス側コンタクト23と導電性布片11との電気的接続は、このような表面側と裏面側から布及び導電性布片を挟み込む以外の方法で、例えば、先端部23_1を導電性布片に縫い付ける方法でもよい。
【0024】
そして、布10の表面側に導電性布片11が取り付けられているが、布10の裏面側に導電性布片11が取り付けられていても良い。布10が衣服の生地になると、布10の裏面側に体が接するので、導電性布片11が布の裏面側に取り付けられていると、身体からの微小電流を検出するのに好都合である。
【0025】
なお、図4の例では、布10の裏面側に布と導電性布片とを保護する保護部材12が配置され、布10と導電性布片11と共にオス側コンタクト23の先端部23_1で挟み込まれる。保護部材12は、例えば、金属製であり、少なくとも布や導電性布片よりも耐久性のある材料である。
【0026】
コネクタ20にデバイス30を装着すると、コネクタ20のオス側コンタクト23がデバイス30の一対のメス側電極33の間に嵌合し、メス側電極33とオス側コンタクト23との間の接圧により、デバイス30がコネクタ20にホールド(保持)される。この接圧を適切な値に設計することで、デバイス30をコネクタ20に装着するときの押さえ力と、デバイス30をコネクタ20から取り外すときの引き抜き力を、適切な値にすることができる。
【0027】
図2の斜視図及び図3の平面図に示されるとおり、デバイスがコネクタに装着された状態では、y軸方向に対抗して配置される一対のx軸方向のハウジング部21xが、平面視でデバイスハウジング31の外形形状の外縁からy軸方向の位置に露出され、デバイスハウジング31のy軸方向の側面が露出される。そのため、デバイス30をコネクタ20から取り外すとき、一対のx軸方向のハウジング部21xをz軸のマイナス方向に押さえながら、デバイスハウジング31のy軸方向摘み用凹部34yをx軸方向に挟むように摘んでz軸のプラス方向に引き抜くことができる。つまり、平面視でデバイスハウジングの外形形状の外縁から外に位置する一対のx軸方向のハウジング部21xは、デバイスを取り外すときの押え片としての機能を有する。
【0028】
コネクタ20が布10及び導電性布片11に取り付けられているので、コネクタ20の一対のx軸方向のハウジング部21xからなる押え片をz軸のマイナス方向に押さえながら、デバイス30をz軸のプラス方向に引き抜くことで、布10や導電性布片11が引っ張られて破れて破損することが防止される。
【0029】
本実施の形態では、コネクタ20のコネクタハウジング21が矩形状の枠の帯状構造であるので、コネクタ20にデバイス30を装着した状態で、y軸方向に対抗して配置される一対のx軸方向のハウジング部21xが、平面視でデバイスハウジング31の外形形状のx軸方向に沿った外縁の外側に位置することが望ましい。しかし、一対のx軸方向のハウジング部21xの一方のみがデバイスハウジングの外縁の外側に位置されるようにしてもよい。
【0030】
また、コネクタ20にデバイス30が装着された状態では、平面視で、デバイスハウジング31の外形形状のy軸方向に沿った外縁の外側には、コネクタの一対のy軸方向のハウジング部21yが位置していないのが望ましい。その場合、デバイス30を取り外すとき、デバイスハウジング31の一対のy軸方向に沿った側面が露出され、一対のy軸方向摘み用凹部34yが摘み易くなる。しかし、一対のy軸方向のハウジング部21yがデバイスハウジングの外縁の外側に位置していても、デバイスハウジング31のy軸方向摘み用凹部34yを摘むことができる場合は、デバイス30の取り外しを困難にするものではない。
【0031】
結局のところ、望ましくは、コネクタ20にデバイス30が装着された状態で、平面視で、デバイスハウジング31の外形形状の外縁の互いに直交する4方向のうち、少なくとも1方向の外側に、コネクタのコネクタハウジングがデバイスハウジングの外縁の外側に位置していればよい。コネクタからデバイスを取り外すとき、互いに直行する4方向の一箇所でデバイスハウジングの外縁の外側に位置するコネクタハウジングの押え片を押えることで、布や導電性布片が引っ張られて破損することが防止できる。
【0032】
コネクタハウジング21は、一般的な樹脂材料で形成されてよく、さらには天然ゴムや熱硬化性エラストマや熱可塑性エラストマなど、硬さがデュロメータタイプAの20以上でデュロメータタイプDの60以下であってもよい。
【0033】
このように、コネクタハウジング21を天然ゴム等の柔軟性のある材質で形成することで、コネクタハウジングが取り付けられた衣服を着た場合、身体を様々な態様で動かして衣服の布が様々な形態で変形しても、柔軟性のあるコネクタハウジングがある程度その変形に追従するので、衣服の布や導電性布片にかかるテンションを抑制でき、衣服の装着感が向上する。また、同様に衣服を着たり脱いだりしても、衣服の布や導電性布片にかかるテンションを抑制でき、着たり脱いだりするのが容易になる。
【0034】
さらに、コネクタハウジングが衣服の表面に取り付けられると、衣服の布と導電性布片により身体がコネクタハウジングから保護され、そしてコネクタハウジングが柔軟性を有するので、衣服の装着感が向上する。
【0035】
[第2の実施の形態]
図5は、第2の実施の形態におけるコネクタとコネクタが取り付けられる布とコネクタに装着されるデバイスの一例を示す斜視図である。図6は、図5と同様に、デバイスがコネクタに装着されていない状態の平面と断面を示す図である。図5には、矢印Cから見た矢視図も示されている。図6には、平面図のD-D‘方向の断面図が示される。
【0036】
第2の実施の形態において第1の実施の形態と異なるところは、コネクタ20が、第1の実施の形態の一対のx軸方向のハウジング部21xに代えて、一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xを有することである。一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xは、図6の断面図から明らかなとおり、断面図で、y軸とz軸とが作る平面内での斜め外側上方に開いた形状を有し、それぞれの内側には、コネクタ側ロック凸部25と切り欠き部26をそれぞれ有する。一方、デバイス30は、デバイスハウジング31のx軸方向に沿った一対の側面にデバイス側ロック凹部37を有することが、第1の実施の形態と異なる。
【0037】
上記以外の構成は、第1の実施の形態と同等である。
【0038】
図7は、第2の実施の形態におけるコネクタにデバイスが装着された状態を示す斜視図である。また、図8は、第2の実施の形態におけるコネクタにデバイスが装着された状態を示す平面図と断面図を示す図である。図8には、平面図のE-E‘方向の断面図が示される。
【0039】
コネクタ20にデバイス30を装着すると、第1に、コネクタ20のオス側コンタクトにデバイス30のメス側電極が嵌合され電気的に接続され、第2に、コネクタ20の一対のコネクタ側ロック凸部25がデバイスハウジング31の1対のデバイス側ロック凹部37にそれぞれ嵌合されてデバイス30がコネクタ20に機械的にホールドされる。更に、平面視で、第3にコネクタ20の一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xが、デバイス30の外形形状のx軸方向の外縁から外側に位置する。
【0040】
デバイス30をコネクタ20に装着するときは、デバイス30のデバイスハウジング31の一対のy軸方向に沿った側面の摘み用凹部34yを両側から摘み、コネクタ20の切り欠き部26を押し下げることで一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xを広げながら、デバイス30をコネクタ20に押し付ける。その結果、一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xのコネクタ側ロック凸部25が、デバイスハウジング31のデバイス側ロック凹部37に嵌合する。このロック機構を設けたことで、デバイス30のメス側電極33とコネクタ20のオス側コンタクト23の接圧を、単独でデバイスを保持するのに必要な値よりも低くすることができる。それにより、デバイスの電極を、片側ばね接点、コンプレッション型接点、ポゴピンなど、選択する自由度を増すことができる。
【0041】
一方、デバイス30をコネクタ20から取り外すときは、デバイス30のデバイスハウジング31の一対のy軸方向に沿った側面の摘み用凹部34yを両側から摘み、コネクタ20の切り欠き部26を押し下げることで一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xである押え片を押し広げながら、デバイス30を引き抜く。このとき、コネクタ20の押え片押し広げるので、デバイス30の引き抜きにより布10や導電性布片11が引っ張られて破れて破損することが防止される。
【0042】
コネクタ20のオス側コンタクト23の接圧が低くできるので、デバイスの引き抜き時のコネクタの一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xである押え片の押さえ力を下げることができ、取り外しが容易になる。
【0043】
コネクタ20に一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xを設けたので、コネクタハウジング21の材料を、前述したとおり柔軟性のあるものにすれば、一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xが変形しやすくなり、デバイスの装着時と取り外し時に一対のx軸方向のハウジング部兼ロック部24xを開き易くなる。
【0044】
[第3の実施の形態]
図9は、第3の実施の形態におけるコネクタの平面図とデバイスの底面図を示す図である。図9には、(A)(B)の2種類の構成が示される。第1及び第2の実施の形態では、コネクタハウジング21は、平面視で、y軸方向で上下対称に4つのコンタクト23が2つずつ配置される。そのため、デバイス30が、コネクタ20のy軸方向で上下逆に誤って装着されることがある。
【0045】
第3の実施の形態におけるコネクタは、上記の誤装着を防止するために、コネクタハウジング21は、平面視で、上下方向または左右方向のいずれかにおいて中心から非対称の形状を有する。即ち、y軸方向のハウジング部21yのy軸方向の中心からy軸のプラス側またはマイナス側にずれた位置に、誤装着防止凸部27または28が設けられる。図9の(A)の例では、誤装着防止凸部27が、一対のy軸方向のハウジング部21yの中心からy軸プラス側の位置に外側方向に突出して設けられる。一方、図9の(B)の例では、誤装着防止凸部27が、一対のy軸方向のハウジング部21yの中心からy軸マイナス側の位置に内側方向に突出して設けられる。上記のコネクタハウジング21は、平面視で、上下方向において中心から非対称の形状を有する。
【0046】
コネクタの誤装着防止凸部27,28に対応して、デバイス30のデバイスハウジング31の溝状の装着用凹部32に、誤装着防止凹部38,39が設けられる。図9の(A)の例では、誤装着防止凹部38が、一対の溝状の装着用凹部32の中心からy軸プラス側の位置に外側方向に突出して設けられる。一方、図9の(B)の例では、誤装着防止凹部39が、一対の溝状の装着用凹部32の中心からy軸マイナス側の位置に内側方向に突出して設けられる。
【0047】
上記の誤装着防止凸部27,28をコネクタハウジング21に、誤装着防止凹部38,39をデバイスハウジング31の装着用凹部32に、それぞれ設けることで、デバイス30を誤った方向に誤装着することが防止できる。具体的には、図9(A)のコネクタ20に図9(B)のデバイス30を装着することが防止でき、図9(B)のコネクタ20に図9(A)のデバイス30を装着することが防止できる。
【0048】
上記の誤装着防止凸部や凹部以外に、コネクタ20のコネクタハウジングの形状を台形の枠体にすることででも、デバイスのコネクタへの誤装着を防止することができる。この場合も、コネクタハウジング21は、平面視で、上下方向または左右方向のいずれかにおいて中心から非対称の形状を有する。
【0049】
[第1乃至第3の実施の形態の変形例]
第1乃至第3の実施の形態では、コネクタ20は矩形の枠体であり、4方向の枠体を構成する一対のy軸方向のハウジング部21yと一対のx軸方向のハウジング部21xを有する。しかし、このような矩形の枠体に限定されず、4辺の枠体をなすハウジング部21y、21xの内側底部に、ハウジング部21y,21xから連続する底面板が設けられても良い。この場合、底面板よりz軸プラス方向にハウジング部21y,21xの帯状形状が形成されるので、第1乃至第3の実施の形態と同様に、デバイス30をコネクタ20に装着することができ、デバイスを取り外す場合に、コネクタの押え片を押さえてデバイスをコネクタから引き抜くことができる。
【0050】
コネクタ20の形状は、矩形以外の三角形や、台形、平行四辺形などの4つの角が直角以外の四角形でもよく、また円形でもよい。その場合、コネクタにデバイスが装着された状態で、コネクタ20の平面視で互いに直行する4方向のうち少なくとも1つの方向において、デバイスの外縁の外側にコネクタの押え片が位置し露出すればよい。そして、デバイスの上記1つの方向以外の3つの方向の側面を両側から保持する(摘む)ことができれば、押え片をz軸のマイナス方向に押えながらデバイスを取り外すことができる。
【0051】
第1乃至第3の実施の形態では、コネクタ20は、複数のコンタクト23を有する。しかし、これに限定されず、コネクタ20は1つのコンタクト23を有する構成でも良い。この場合、身体の心拍数を測定するために身体の微小な電流を測定するために、1つのコンタクトを有するコネクタを複数個衣服に装着し、複数のコネクタに単一のデバイスを装着すれば、複数のコンタクトを介してデバイスと衣服の布の導電性布片とで微小電流が循環する回路を形成可能である。
【0052】
以上のとおり、本実施の形態によれば、コネクタに装着されたデバイスを取り外すときに、平面視でデバイスの外形形状の外縁から外側にコンタクトの押え片が露出されるので、コンタクトの押え片を押えながらデバイスを引き抜くことで、布や導電性布片が引っ張られて破れて破損することが防止される。
【符号の説明】
【0053】
10:布 11:導電性布片 12:保護部材
20:コネクタ 21:コネクタハウジング
21x:x軸方向のハウジング部、押え片 21y:y軸方向のハウジング部
22:コンタクト装着部 23:コンタクト、オス側コンタクト
24x:x軸方向のハウジング部兼ロック部 25:(コネクタ側)ロック凸部
26:切り欠き部 27、28:誤装着防止凸部
30:デバイス、ウエアラブルデバイス 31:デバイスハウジング
32:(溝状の)装着用凹部 33:メス側電極、外部電極
34x:x軸方向摘み用凹部 34y:y軸方向摘み用凹部
35:内部空間 36:メス側電極収納部 37:(デバイス側)ロック凹部
38、39:誤装着防止凹部 40:回路基板
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