(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】収容容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
B65D1/02 111
(21)【出願番号】P 2019119989
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2019011851
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 大輔
(72)【発明者】
【氏名】池田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-101486(JP,A)
【文献】特開2010-222057(JP,A)
【文献】特開2004-059077(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168922(WO,A1)
【文献】特開平05-213373(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0027314(KR,A)
【文献】特開2017-105497(JP,A)
【文献】特開2004-231270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形容器と外套を一体成形する一体成形工程を備える、収容容器の製造方法であって、
前記一体成形工程では、前記ブロー成形容器の外周面を金型内に配置した状態で前記金型のキャビティ内の前記ブロー成形容器の外側の空間に樹脂を充填して前記外套を形成することによって容器本体を形成し、
前記外套は、前記ブロー成形容器の外周面及び底面を被覆するように形成され、
前記ブロー成形容器は、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するように構成され、
前記外殻と前記内袋の間に外気を導入する外気導入部が前記外殻の喰切部に設けられ、
前記外套は、前記収容容器の外側の空間と前記外気導入部を連通する通気部を備え、
前記一体成形工程では、前記通気部となる部位にピンを配置した状態で前記樹脂の充填を行い、前記金型から前記容器本体を取り出す際に前記外套から前記ピンを抜くことによって前記通気部を形成する、方法。
【請求項2】
ブロー成形容器と外套を一体成形する一体成形工程を備える、収容容器の製造方法であって、
前記一体成形工程では、前記ブロー成形容器の外周面を金型内に配置した状態で前記金型のキャビティ内の前記ブロー成形容器の外側の空間に樹脂を充填して前記外套を形成し、
前記外套は、前記ブロー成形容器の外周面及び底面を被覆するように形成され、
前記ブロー成形容器は、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するように構成され、
前記一体成形工程では、前記ブロー成形容器は、前記ブロー成形容器の喰切部を覆う保護カバーを装着した状態で前記金型内に配置され
、
前記外殻と前記内袋の間に外気を導入する外気導入部が前記外殻の喰切部に設けられ、
前記外套は、前記収容容器の外側の空間と前記外気導入部を連通する通気部を備え、
前記保護カバーと前記ブロー成形容器の間には隙間が設けられており、
穿孔工具を用いて穿孔することによって前記外套に前記通気部を形成する、方法。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の方法であって、
前記一体成形工程の際に前記ブロー成形容器内を加圧する、方法。
【請求項4】
請求項1~
請求項3の何れか1つに記載の方法であって、
前記一体成形工程では、前記ブロー成形容器内に挿入された支持棒で、前記ブロー成形容器の底面の内面を押圧した状態で前記樹脂の充填が行われる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容可能な収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物の減少に伴って内袋が収縮することによって容器の内部に空気が入り込むことを抑制する積層剥離容器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の積層剥離容器は、ブロー成形で形成した容器の外周面をシュリンクフィルムで覆って構成されているが、より高級感を醸し出す外観が求められる場合がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、外観に優れた収容容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ブロー成形容器の外周面を被覆するように外套が一体成形されている容器本体を備え、前記外套は、射出成形体である、収容容器が提供される。
【0007】
ブロー成形は、多層構造の容器を製造しやすいという利点があるものの、ブロー成形で形成した容器(ブロー成形容器)の外観は、射出成形で形成した容器(射出成形容器)に比べて外観が劣る場合がある。本発明の収容容器は、ブロー成形容器の外周面に、射出成形体からなる外套が一体成形されているので、多層構造が形成しやすく、かつ外観に優れている。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記外套は、前記ブロー成形容器の外周面及び底面を被覆するように一体成形されている、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記ブロー成形容器は、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するように構成される、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記外套は、前記収容容器の外側の空間と前記外気導入部を連通する通気部を備える、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記外気導入部は、前記外殻の喰切部に設けられる、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記ブロー成形容器の外殻は、前記ブロー成形容器が前記外套で被覆されていない部位に外気導入部を備える、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記外気導入部は、前記ブロー成形容器の口部に装着されるポンプの筒部で被覆される部位に設けられる、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記ブロー成形容器の喰切部を覆う保護カバーを備える、収容容器である。
好ましくは、前記記載の収容容器であって、前記ブロー成形容器の喰切部に、前記ブロー成形容器の底面から突出する突出部が設けられている、収容容器である。
好ましくは、ブロー成形容器と外套を一体成形する一体成形工程を備える、収容容器の製造方法であって、前記一体成形工程では、前記ブロー成形容器の外周面を金型内に配置した状態で前記金型のキャビティ内の前記ブロー成形容器の外側の空間に樹脂を充填して前記外套を形成する、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記一体成形工程の際に前記ブロー成形容器内を加圧する、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記一体成形工程では、前記ブロー成形容器は、前記ブロー成形容器の喰切部を覆う保護カバーを装着した状態で前記金型内に配置される、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記一体成形工程では、前記ブロー成形容器内に挿入された支持棒で、前記ブロー成形容器の底面の内面を押圧した状態で前記樹脂の充填が行われる、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記ブロー成形容器の喰切部に、前記ブロー成形容器の底面から突出する突出部が設けられている、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1A~
図1Bは、第1実施形態の収容容器1を別々の方向から見た斜視図である。
【
図6】一体成形工程を説明するための断面図である。
【
図9】第2実施形態において、容器4に保護カバー15を装着した状態を示す、
図5の底面4b近傍に相当する拡大図である。
【
図10】
図3の底面4b近傍に相当する拡大図であり、
図10Aは、
図9の状態の容器4及び保護カバー15を覆う外套5を形成した状態を示し、
図10Bは、
図10Aの状態から外套5に通気部5cを形成した後の状態を示す。
【
図11】第3実施形態において、容器4の喰切部7dに突出部7eが設けられている構成を示す、
図5の底面4b近傍に相当する拡大図である。
【
図12】第3実施形態において、容器4の口部9に外気導入部4cが設けられた状態を示す、
図4Aの口部9の近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
図1に示すように、本発明の第1実施形態の収容容器1は、容器本体2と、ポンプ3を備える。
図3に示すように、容器本体2は、ブロー成形容器4と、これと一体化された外套5を備える。以下、各構成について説明する。
【0012】
<ブロー成形容器4>
図4~
図5に示すブロー成形容器4は、パリソンのブロー成形によって形成することができる。ブロー成形は、ダイレクトブロー成形であってもよく、インジェクションブロー成形であってもよい。ダイレクトブロー成形では、押出機から押し出された溶融状態のパリソンを一対の分割金型で挟んでパリソン内部にエアーを吹き込むことによって容器を製造する。パリソンは、筒状であっても、シート状であってもよい。インジェクションブロー成形では、プリフォームと呼ばれる試験管状の有底パリソンを射出成形によって形成し、このパリソンを用いてブロー成形を行うことによって容器を製造する。
【0013】
容器4は、単層構成であってもよいが、多層構成であることが好ましい。多層構成の射出成形容器は製造が容易ではないので、容器4が多層構成である場合に本発明を適用する意義が特に大きい。多層構成の容器4を形成する場合、パリソンも多層構成とする。多層構成のパリソン(多層パリソン)は、共押出成形によって形成可能である。
【0014】
本実施形態では、
図5に示すように、容器4は、外殻12と内袋14とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋14が収縮する、いわゆる積層剥離容器である。内容物の減少に伴って内袋14が外殻12から離れることによって、内袋14が外殻12から離れて収縮する。このような容器では、内袋14内に外気が侵入しにくいので、内容物の劣化が抑制される。
【0015】
外殻12は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外殻12は、複数層構成であってもよい。内袋14は、複数の層から構成することが好ましい。例えば、外殻12と接触する層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなるEVOH層を用い、内容物に接触する層に、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなる内面層を用いることができる。そして、上記EVOH層と内面層との間には、接着層を用いることが好ましい。
【0016】
容器4は、有底筒状であり、内容物を収容する収容部7と、収容部7から内容物を吐出する口部9を備える。収容部7は、胴部7aと、底部7bと、フランジ部7cを備える。フランジ部7cは、胴部7aの上端に設けられている。フランジ部7cは、胴部7aから径方向外側に突出するように設けられている。口部9には係合部(雄ねじ部)9dが設けられており、ポンプ3を装着可能になっている。
【0017】
ところで、ダイレクトブロー成形によって容器4を形成する場合、容器4には、一対の分割金型でパリソンを押し潰して形成した喰切部7dが存在している。喰切部7dは容器4の底部7bに設けられており、喰切部7dにパリソンの対向する面同士が溶着されることよって容器4の底が閉じられている。喰切部7dは、外殻12と内袋14のそれぞれの底部を閉塞させているが、外殻12では喰切部7dの強度が特に弱いので、外殻12に衝撃を加えることによって外殻12において喰切部7dを開いて外気導入部4cを形成することができる。外気導入部4cを通じて外殻12と内袋14の間に外気を導入することができる。外気導入部4cは、外殻12を穿孔することによって形成してもよい。外気導入部4cは、収容部7に設けてもよく、口部9に設けてもよい。
【0018】
<外套5>
図2~
図3に示すように、外套5は、容器4の外周面4a(好ましくは外周面4a及び底面4b)を被覆するように一体成形されており、射出成形体である。外套5は、筒部5aと、底部5bを備える。筒部5a及び底部5bがそれぞれ、外周面4a及び底面4bを被覆する。
【0019】
容器4の外気導入部4cが外套5で被覆されてしまうと、外気導入部4cを通じて外気が導入されなくなる。このため、外套5には、収容容器1の外側の空間と外気導入部4cを連通する通気部5cを備える。通気部5cは貫通孔であってもよく、溝であってもよい。通気部5cは、射出成形の際に形成してもよく、射出成形後の後加工によって形成してもよい。
【0020】
外套5は、収容部7を少なくとも被覆し、口部9は被覆してもしていなくてもよい。外套5が口部9を被覆しない場合、口部9に外気導入部4cを設けると、通気部5cが不要になる。
【0021】
容器本体2は、容器4と外套5を一体成形する一体成形工程を備える方法によって製造可能である。
図6~
図7に示すように、一体成形工程では、開口部11aを有する固定部11に口部9を固定し、容器4の外周面4a(好ましくは外周面4a及び底面4b)を射出成形用の金型8内に配置した状態で、支持棒13を容器4内に挿入して、支持棒13を底面4bの内面に押し付ける。これによって、射出成形の際に容器4の収容部7が変位することが抑制される。
【0022】
この状態で、金型8のキャビティ8a内の容器4の外側の空間に樹脂を充填して外套5を形成する。この際に、樹脂圧によって容器4が変形しないように、容器4の内部を加圧することが好ましい。加圧は、水やエアーを吹き込むことによって行うことができる。樹脂は、ゲート8bからキャビティ8a内に充填される。ゲート8bは、容器4の底面4b(好ましくは喰切部7d)に対向する位置に配置することが好ましい。この場合、容器4の周囲の全体に樹脂が均一に充填されやすいからである。
【0023】
射出成形用の樹脂は、容器4の外殻12を構成する樹脂の融点より低い温度で、射出成形に必要な流動性を有するものが好ましい。容器4は、一体成形工程の前に、内袋14を予備剥離しておくことが好ましい。容器4に外套5を一体成形する前の方が予備剥離が容易であるからである。
【0024】
射出成形の際に通気部5cを形成する場合には、例えば、通気部5cに相当する部位にピンを配置しておき、金型8から容器本体2を取り出す際に、外套5からピンを抜く方法が採用可能である。
【0025】
<ポンプ3>
ポンプ3は、内容物を容器4から排出させるように構成されている。容器4が積層剥離容器である場合には、ポンプ3は、容器4内へ外気を導入させないように構成されていることが好ましい。
【0026】
図8に示すように、ポンプ3は、本体部3aと、ピストン部3bと、ノズル3cと、チューブ3dを備える。本体部3aは、筒部3a1と、シリンダ部3a2と、上壁部3a3を備える。筒部3a1の内面には、係合部(雄ねじ部)9dに係合される係合部(雌ねじ部)(不図示)が設けられている。シリンダ部3a2は、口部9内に挿入される。シリンダ部3a2の外径は、口部9の内径とほぼ一致している。シリンダ部3a2は、筒状であり、ピストン部3bがシリンダ部3a2内で摺動可能になっている。シリンダ部3a2の内部空間は、ノズル3c及びチューブ3dに連通されている。シリンダ部3a2の内部空間には、弾性部材と弁で構成されるポンプ機構が内蔵されている。ピストン部3bを摺動させてポンプ機構を作動させることによって、チューブ3dを通じて吸い上げた内容物をノズル3cから排出することが可能になっている。
【0027】
2.第2実施形態
図9~
図10を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、保護カバー15を用いる点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0028】
図7に示すようにゲート8bが容器4の喰切部7dに対向する位置に配置している場合、ゲート8bから注入される高温の樹脂が、喰切部7dにおいて内袋14に接触して内袋14が熱によって損傷されやすい。そこで、本実施形態では、
図9に示すように、熱による内袋14の損傷を抑制すべく、喰切部7dを覆うように保護カバー15を設けている。
図9では、保護カバー15は、底面4bの全体を覆っているが、保護カバー15は、喰切部7dを含む、底面4bの一部のみを覆ってもよい。
【0029】
保護カバー15は、喰切部7dにおいて内袋14を保護可能であれば、その厚さや材料は特に限定されず、例えば、外殻12と同様の樹脂で構成される。この場合、保護カバー15が目立ちにくく、外観に優れている。一方、耐熱性を重視して、外殻12よりも耐熱性に優れた材料で形成してもよい。
【0030】
保護カバー15は、嵌合、溶着、接着などの方法によって、容器4に装着することができる。
図9では、保護カバー15の端部と外殻12の間に段差があるが、保護カバー15の端部と外殻12の間に段差がないように保護カバー15を装着してもよい。この場合、保護カバー15が目立ちにくい。保護カバー15と容器4の間には隙間15gが設けられている。
【0031】
容器4に保護カバー15を装着した状態のものを、
図6に示す金型8内に配置して、第1実施形態と同様に一体成形工程を行うことによって、
図10Aに示すように、容器4を覆う外套5を形成することができる。次に、
図10Bに示すように、ドリルなどの穿孔工具を用いて穿孔することによって外套5に通気部5cを形成することができる。本実施形態では、保護カバー15と容器4の間に隙間15gが設けられているので、外套5に通気部5cを形成する際に、穿孔工具の先端が隙間15gに到達した時点で穿孔を停止させることができ、穿孔工具で内袋14を損傷させることが抑制される。
【0032】
なお、隙間15gは不要な場合には省略可能であり、保護カバー15は底面4bに密着させることができる。例えば、
図12に示すように、容器4が外套5で覆われていない部位(例:口部9)に外気導入部4cを設ける場合、通気部5cは不要であり、隙間15gも不要である。
【0033】
3.第3実施形態
図11~
図12を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、容器4の喰切部7dに突出部7eが設けられている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0034】
第1実施形態で述べたように、一体成形工程では、支持棒13を底面4bの内面に押し付けているが、この場合、支持棒13による押圧力によって、喰切部7dにおいて内袋14が開いてしまう虞がある。そこで、本実施形態では、内袋14の開きを抑制すべく、
図11に示すように、容器4の喰切部7dに突出部7eを設けている。
【0035】
突出部7eは、喰切部7dを底面4bから突出させることによって形成している。これによって、喰切部7dでの内袋14の溶着面積が増大して、内袋14のシール強度が高められるので、内袋14が開くことが抑制される。突出部7eでは、
図11に示すように、外殻12がシールされていることが好ましい。
【0036】
このような形状の容器4を
図6に示す金型8内に配置して、第1実施形態と同様に一体成形工程を行うことによって、容器4を覆う外套5を形成することができる。突出部7eは、ゲート8bから注入される樹脂の熱による内袋14の損傷も抑制することができる。
【0037】
外殻12がシールされている場合、喰切部7dに外気導入部4cが設けられないので、外殻12に貫通孔を設けて外気導入部4cを構成することが好ましい。この場合、外気導入部4cは、容器4が外套5で覆われていない部位に設けることが好ましい。この場合、外套5に通気部5cを設けることが不要になるからである。
【0038】
外気導入部4cは、
図12に示すように、口部9に設けることが好ましく、
図8に示すポンプ3の筒部3a1で覆われる位置に設けることが特に好ましい。この場合、ポンプ3を装着した状態では、外気導入部4cが視認されないので、美観に優れている。外気導入部4cは、ピストン部3bと筒部3a1の間の隙間や、筒部3a1の下端と容器4の間の隙間等の通気路を通じて、外部に通気可能になっている。
【0039】
また、外気導入部4cは、口部9に設けた平坦部9aに設けることが好ましい。この場合、ドリルなどの穿孔工具を用いて外気導入部4cを形成しやすいからである。平坦部9aは、係合部9dより収容部7に近い位置に設けてもよく、係合部9dを分断するように設けてもよい。後者の場合、平坦部9aを設けるために口部9を長くする必要がないという利点がある。
【符号の説明】
【0040】
1 :収容容器
2 :容器本体
3 :ポンプ
3a :本体部
3a1 :筒部
3a2 :シリンダ部
3a3 :上壁部
3b :ピストン部
3c :ノズル
3d :チューブ
4 :ブロー成形容器
4a :外周面
4b :底面
4c :外気導入部
5 :外套
5a :筒部
5b :底部
5c :通気部
7 :収容部
7a :胴部
7b :底部
7c :フランジ部
7d :喰切部
7e :突出部
8 :金型
8a :キャビティ
8b :ゲート
9 :口部
9d :係合部
11 :固定部
11a :開口部
12 :外殻
13 :支持棒
14 :内袋
15 :保護カバー
15g :隙間