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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】温水装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20231115BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20231115BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F28D9/02
F28F3/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019175006
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021050882
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】西川 碧
(72)【発明者】
【氏名】今藤 正樹
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0335740(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0263270(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00 - 9/45
F28D 1/00 - 13/00
F28F 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼手段と、燃焼ガスとの熱交換により湯水を加熱する熱交換手段と、熱交換後の燃焼ガスを排気するための排気部を備えた温水装置において、
前記熱交換手段は、上面が開放された箱状の熱交ケース内に、鉛直に立てられた複数のプレートが間隙を有するように積層されたプレート積層体を備え、前記プレート積層体の複数の間隙を燃焼ガスと湯水が交互に流れることによって湯水が加熱されるように構成され、
前記熱交ケースは、前記上面を前記排気部側の開口とこれよりも開口面積が大きい燃焼ガスの導入側の開口とに仕切る仕切部と、傾斜した底部を有し、
前記燃焼手段から鉛直方向下方に流動する燃焼ガスが、前記熱交ケースの前記導入側の開口を介して前記プレート積層体の前記燃焼手段側に設けられた導入部に鉛直に又は略鉛直に導入されると共に、前記プレート積層体内で流動方向が反転されて前記熱交ケースの前記排気部側の開口を介して前記排気部に排出され
前記燃焼ガス中の水蒸気が凝縮したドレンが、前記熱交ケースの前記底部を流下し集められて前記熱交ケースの外に排出されることを特徴とする温水装置。
【請求項2】
前記プレート積層体は、前記導入部に導入された燃焼ガスの水平方向の流動を規制するために、前記導入部からその反対側に向かって前記プレート積層体の鉛直方向中段部まで延びるように形成された規制部を有することを特徴とする請求項1に記載の温水装置。
【請求項3】
前記プレート積層体は、前記導入部から導入された燃焼ガスを前記排気部に排出する排出部が、前記プレート積層体の前記導入部と同一面に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の温水装置。
【請求項4】
前記プレート積層体の前記導入部の面積は、前記排出部の面積よりも大きく形成されたことを特徴とする請求項3に記載の温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート式熱交換器を備えた温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上水を加熱して温水を供給するために、プレート式熱交換器を備えた温水装置が広く利用されている。プレート式熱交換器は、複数のプレートが一定の間隙を有するように積層されて形成され、それら複数の間隙を例えば燃焼ガスと湯水が交互に流れることによって、燃焼ガスと湯水との間で熱交換させて湯水を加熱する。
【0003】
このようなプレート式熱交換器は、例えば特許文献1の逆燃焼式燃焼装置の燃焼ガスの潜熱を回収する2次熱交換器として使用される。燃焼ガスは、プレート式熱交換器に上方から導入されて下方に排出される。そして、プレート式熱交換器の下部に配設されたドレンパンを兼ねる排気集合筒によって、燃焼ガスの流動方向が反転され、排気ダクトを介して上方の排気部から排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-109485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、鉛直方向下向きに流動する燃焼ガスがプレート式熱交換器を通過してから反転されて、ドレンと燃焼ガスを分離させて夫々排出することになる。しかし、排気集合筒がプレート式熱交換器の下部に配設され、排気ダクトがプレート式熱交換器の側方(後方)に配設されるので、排気の通路が長くなり、この逆燃焼式熱源機を備えた温水装置のサイズが大きくなっていた。
【0006】
本発明の目的は、プレート式熱交換器を有する小型化された温水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の温水装置は、燃料を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼手段と、燃焼ガスとの熱交換により湯水を加熱する熱交換手段と、熱交換後の燃焼ガスを排気するための排気部を備えた温水装置において、前記熱交換手段は、上面が開放された箱状の熱交ケース内に、鉛直に立てられた複数のプレートが間隙を有するように積層されたプレート積層体を備え、前記熱交ケースは、前記上面を前記排気部側の開口とこれよりも開口面積が大きい燃焼ガスの導入側の開口とに仕切る仕切部と、傾斜した底部を有し、前記プレート積層体の複数の間隙を燃焼ガスと湯水が交互に流れることによって湯水が加熱されるように構成され、前記燃焼手段から鉛直方向下方に流動する燃焼ガスが、前記熱交ケースの前記導入側の開口を介して前記プレート積層体の前記燃焼手段側に設けられた導入部に鉛直に又は略鉛直に導入されると共に、前記プレート積層体内で流動方向が反転されて前記熱交ケースの前記排気部側の開口を介して前記排気部に排出され、前記燃焼ガス中の水蒸気が凝縮したドレンが、前記熱交ケースの前記底部を流下し集められて前記熱交ケースの外に排出されることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、底部が傾斜し且つ上面が開放された箱状の熱交ケースに収容されたプレート積層体内で燃焼ガスの流動方向が反転されて排気部に排出される。それ故、プレート積層体内で燃焼ガスとドレンを分離することができ、熱交換後の燃焼ガスを排気部から排出し、ドレンを熱交ケースの傾斜した底部を流下させて集めて排出することができる。また、燃焼ガスとドレンを分離するために、燃焼ガスの流動方向を反転させる部材を熱交換手段の外側に配設する必要がないので、温水装置を小型化することができる。その上、熱交ケースの上面が、仕切部によって、排気部側の開口とこれよりも開口面積が大きい燃焼ガスの導入側の開口とに仕切られて、排気部側が狭くなっている。それ故、降温と水蒸気の凝縮による燃焼ガスの体積収縮によって燃焼ガスの導入側と排気部側との間に生じる圧力差を小さくして、燃焼ガスの流動を安定させることができる。
【0009】
請求項2の発明の温水装置は、請求項1の発明において、前記プレート積層体は、前記導入部に導入された燃焼ガスの水平方向の流動を規制するために、前記導入部からその反対側に向かって前記プレート積層体の鉛直方向中段部まで延びるように形成された規制部を有することを特徴としている。
上記構成によれば、プレート積層体内の燃焼ガスの流動距離を長くして、湯水との熱交換が十分に行われるようにすることができる。
【0010】
請求項3の発明の温水装置は、請求項1又は2の発明において、前記プレート積層体は、前記導入部から導入された燃焼ガスを前記排気部に排出する排出部が、前記プレート積層体の前記導入部と同一面に形成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、熱交換手段から排気部まで燃焼ガスを導く排気ダクトを短く形成してプレート積層体の側方を通らないように配設することができるので、温水装置を小型化することができる。
【0011】
請求項4の発明の温水装置は、請求項3の発明において、前記プレート積層体の前記導入部の面積は、前記排出部の面積よりも大きく形成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、燃焼ガスの降温と水蒸気の凝縮による体積収縮によって導入部と排出部との間に生じる圧力差を小さくして燃焼ガスの流動を安定させると共に、排出部から排気部まで燃焼ガスを導く排気ダクトを小型化して、温水装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の温水装置によれば、プレート式熱交換器を有する温水装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る前面カバーを外した温水装置の正面図である。
図2】実施例に係る2次熱交換器と排気筒の要部分解斜視図である。
図3図2の2次熱交換器のIII-III線断面図である。
図4】実施例に係るプレート積層体の要部分解斜視図である。
図5図4のプレート積層体の第1プレートを湯水導入口側から見た側面図である。
図6図4のプレート積層体の第2プレートを湯水導出口側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例
【0015】
最初に温水装置1の全体構成について説明する。
図1に示すように、温水装置1は、その外装ケース2内に、燃料を下方に向けて燃焼させるバーナと燃焼空間を有する燃焼部3(燃焼手段)、燃焼部3に燃焼用空気を供給する送風ファン4、燃焼部3の下方に配設された熱交換部10(熱交換手段)、熱交換部10から上方の排気部6まで燃焼ガスを導く排気ダクト7を備えている。また、熱交換部10と給湯用熱交換器8との間で湯水(熱媒)を循環させるポンプ9等を備えている。外装ケース2は、金属製の薄板で前面開放状に形成された箱であり、前面を覆う図示外の前面パネルを着脱可能である。
【0016】
送風ファン4は、外装ケース2の上面部の給気部5から外装ケース2内に供給される空気を燃焼部3に供給する。燃焼部3は、送風ファン4から供給される空気を利用して、燃料供給部3aから供給される燃料(例えば天然ガス、石油等)を下方に向けて燃焼させ、燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは送風ファン4から供給される空気と共に下方に流動され、熱交換部10に供給される。
【0017】
熱交換部10は、ポンプ9から供給される湯水を、燃焼部3から供給される燃焼ガスとの熱交換によって加熱する。加熱された湯水は、給湯用熱交換器8に供給される。給湯用熱交換器8は、給水部30から供給される上水を、熱交換部10から供給される湯水との熱交換によって加熱する。給湯用熱交換器8で加熱された温水は、混合手段31によって上水と混合されて温度調整され、給湯部32から図示外の給湯栓等に供給される。尚、熱交換部10で加熱された湯水は、暖房にも利用される。
【0018】
熱交換部10は、燃焼ガスの顕熱を回収して湯水を加熱する例えばフィンアンドチューブ式の1次熱交換器11と、燃焼ガスの潜熱を回収して湯水を加熱するプレート式の2次熱交換器12を有する。燃焼部3から供給される燃焼ガスは、1次熱交換器11で湯水を加熱して温度が低下する。この温度が低下した燃焼ガスは、2次熱交換器12で湯水を加熱し、燃焼ガスに含まれる水蒸気が凝縮する温度に降温する。湯水は、2次熱交換器12である程度加熱された後、1次熱交換器11で更に高温に加熱され、給湯用熱交換器8に供給される。
【0019】
熱交換部10の2次熱交換器12には、排気ダクト7が装着されている。排気ダクト7は、2次熱交換器12から排出される燃焼ガスを外装ケース2の上部の排気部6に導く。そして燃焼ガスは、排気部6から温水装置1の外部に排気される。
【0020】
次に、2次熱交換器12について説明する。
図2に示すように、2次熱交換器12は、例えばステンレス製の複数(例えば50枚)のプレートを積層して形成されたプレート積層体13と、プレート積層体13を収容する2次熱交ケース14を有する。プレート積層体13は、鉛直に立てられた複数のプレートが水平方向に積層されて形成され、2次熱交ケース14に収容されている。複数のプレートは、隣り合うプレートとの間に夫々間隙を有するように積層されており、プレート積層体13の複数の間隙を燃焼ガスと湯水が交互に流れることによって湯水が加熱される。
【0021】
プレート積層体13に湯水を供給するために、湯水導入口15が2次熱交ケース14の一側面部下部に突出状に設けられている。また、加熱された湯水を1次熱交換器11に供給するために、湯水導入口15と反対側の2次熱交ケース14の側面部上部に、湯水導出口16が突出状に設けられている。そして、ポンプ9と湯水導入口15が配管部材17で連結され、湯水導出口16と1次熱交換器11の湯水導入口が配管部材18で連結されている(図1参照)。
【0022】
図2図3に示すように、2次熱交ケース14は上面開放状に形成された箱である。この2次熱交ケース14の上端部には、1次熱交換器11及び排気ダクト7と連結するためのフランジ部14aと、1次熱交換器11と排気ダクト7の間を仕切る仕切部14bを有する。仕切部14bによって仕切られた1次熱交換器11側の開口が、プレート積層体13の燃焼ガスを導入する導入部13aに連通し、排気ダクト7側の開口がプレート積層体13の排出部13bに連通する。尚、図示を省略するが、1次熱交換器11及び排気ダクト7と2次熱交ケース14の連結部には、燃焼ガスの漏洩を防ぐガスケットが配設される。
【0023】
導入部13aの面積が排出部13bの面積より大きく形成され、これに対応するように導入部13aに連通する開口の開口面積が、排出部13bに連通する開口の開口面積よりも大きく形成されている。これにより、降温と水蒸気の凝縮による体積収縮によって導入部13aと排出部13bとの間に生じる圧力差を小さくして燃焼ガスの流動を安定させると共に、排気ダクト7の水平断面を小さくして排気ダクト7を小型化することができる。
【0024】
また、プレート積層体13の導入部13aと排出部13bとが、並べられて同じ面(上面)に形成されている。それ故、排気ダクト7を短く形成してプレート積層体13の側方を通らないように配設することができる。
【0025】
2次熱交ケース14は、フランジ部14aを水平にしたときに、排出部13b側が低くなるように底部14cを緩やかに傾斜させている。燃焼ガス中の水蒸気が凝縮したドレンは、傾斜した底部14cを流下して溝部14dに集められ、この溝部14dから2次熱交ケース14の外部に排水され、中和処理等が施されて排水される。ドレンの流下を妨げないように、2次熱交ケース14の底部14cに当接するプレート積層体13は、鉛直に立てられた全プレートが傾斜方向に平行になるように2次熱交ケース14に収容される。
【0026】
プレート積層体13の複数の間隙に臨む2つの側面部及びそれら側面部から上面部、下面部に曲面状に夫々連なる角部には、燃焼ガスをプレート積層体13の外側に逃がさないように、カバー部材13c,13dが配設されている。矢印A1は燃焼ガスの流動例を示している。燃焼ガスは、上方の1次熱交換器11側からプレート積層体13の導入部13aに鉛直に又は略鉛直に導入される。導入された燃焼ガスは、プレートとカバー部材13c,13dと2次熱交ケース14の底部14cによって流動可能な範囲が規制されているので、プレート積層体13内で流動方向が反転され、排出部13bから排出される。
【0027】
導入部13aに連通する開口の周縁部は、プレート積層体13上端との間の隙間を塞ぐために、プレート積層体13の上端に当接するように下方に折り曲げられている。隙間閉塞用の部材を配設してもよい。これにより、プレート積層体13と2次熱交ケース14の間を流動して熱交換に寄与しない燃焼ガスを減らす。
【0028】
プレート積層体13は、導入部13aと排出部13bに対応させた規制部13eを有する。この規制部13eは、導入部13a側(上面側)からその反対側に向かってプレート積層体13の鉛直方向中段部まで延びるように形成されている。そして導入部13aに導入された燃焼ガスが、規制部13eによって排出部13b側へ水平方向に流動しないように規制される。それ故、燃焼ガスは、水平方向の流動が規制されていないプレート積層体13の下側部分を水平方向に流動するために、鉛直方向に流動するので、流動距離が長くなり、熱交換の機会が増加している。
【0029】
次に、プレート積層体13について説明する。
図4図6に示すように、プレート積層体13は、第1プレート21と第2プレート22の2種類のプレートが交互に積層されて形成されている。第1プレート21は、湯水導入口15側に膨出させた複数の凸条部21aを有し、第2プレート22は、湯水導入口15と反対側(湯水導出口16側)に膨出させた複数の凸条部22aを有する。第2プレート22の凸条部22aは、第1プレート21を反転させた(裏返した)ように形成されている。
【0030】
湯水導入口15側から第1プレート21、第2プレート22の順に積層したときに、第1プレート21と第2プレート22との間隙は、湯水が流動する湯水用間隙23になる。複数の湯水用間隙23には、湯水導入口15から導入された湯水が流通する通路部15aから、湯水が夫々供給される。第1、第2プレート21,22の外縁部は湯水を外部に逃がさないように密着状に重ねられる。通路部15aから供給されて湯水用間隙23を流動した湯水は、通路部16aを通って湯水導出口16から排出される。尚、プレート積層体13の最も外側の第1プレート21は、通路部16aが例えばキャップ16bによって閉塞されている。また、反対側のプレート積層体13の最も外側の第2プレート22も同様に、通路部15aが閉塞されている。
【0031】
一方、湯水導入口15側から第2プレート22、第1プレート21の順に積層したときに、第2プレート22と第1プレート21との間隙は、燃焼ガスが流動するガス用間隙24になる。複数のガス用間隙24では、第1、第2プレート21,22の複数の凸条部21a,22aを夫々当接させると共に、第1、第2プレート21,22の外縁部を夫々離隔させて、燃焼ガスの出入りが可能になっている。これらガス用間隙24では、通路部15a,16aが湯水を外部に逃がさないように密着状に重ねられ、ガス用間隙24に湯水は流れ込まない。
【0032】
規制部13eは、第1、第2プレート21,22の所定の部位を凸条部21a,22aと共に膨出させた規制凸条部21b,22bによって形成されている。そして、複数のガス用間隙24において、第1、第2プレート21,22の規制凸条部21b,22bを夫々当接させている。これら規制凸条部21b,22bによって、プレート積層体13の導入部13aから鉛直方向中段部まで、燃焼ガスの排出部13b側への水平方向の流動が規制されている。図6の着色部は、第2プレート22における第1プレート21の凸条部21a及び規制凸条部21bと当接する部位を示している。これら当接する部位は、プレート積層体13の形成時にロウ付けされる。
【0033】
このようなプレート積層体13では、湯水用間隙23は、ガス用間隙24に第1、第2プレート21,22を介して隣接しているので、湯水が両側から加熱される。また、凸条部21a,22aによって、プレート表面積が拡大され、且つ燃焼ガス及び湯水は夫々微小な渦流が形成されて攪拌されながら流動する。それ故、燃焼ガスと湯水の間で熱交換が効率的に行われる。
【0034】
上記実施例の温水装置1の作用、効果について説明する。
温水装置1は、燃料を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼部3と、燃焼ガスとの熱交換により湯水を加熱する熱交換部10と、熱交換後の燃焼ガスを排気するための排気部6を備えている。熱交換部10は、底部14cが傾斜し且つ上面が開放された箱状の2次熱交ケース14内に、鉛直に立てられた複数のプレートが間隙を有するように積層されたプレート積層体13を備え、プレート積層体13の複数の間隙を燃焼ガスと湯水が交互に流れることによって湯水が加熱されるように構成されている。燃焼部3から鉛直方向下方に流動する燃焼ガスは、2次熱交ケース14の燃焼ガスの導入側の開口を介してプレート積層体13の燃焼部3側に設けられた導入部13aに鉛直に又は略鉛直に導入されると共に、プレート積層体13内で流動方向が反転されて2次熱交ケース14の排気部6側の開口を介して排気部6に排出される。
【0035】
従って、プレート積層体13内での流動方向の反転により燃焼ガスとドレンを分離して熱交換後の燃焼ガスを排気部6から排出し、ドレンを2次熱交ケース14の傾斜した底部14cを流下させて集めて排出することができる。また、燃焼ガスとドレンを分離するために、熱交換後の燃焼ガスの流動方向を反転させる部材を熱交換部10の外側に配設する必要がなく、温水装置1を小型化することができる。その上、2次熱交ケース14の上面は、仕切部14bによって、排気部6側の開口とこれよりも開口面積が大きい燃焼ガスの導入側の開口とに仕切られている。これにより、排気部6側が狭くなっているので、降温と水蒸気の凝縮による燃焼ガスの体積収縮によって燃焼ガスの導入側と排気部6側との間に生じる圧力差を小さくして、燃焼ガスの流動を安定させることができる。
【0036】
プレート積層体13は、導入部13aに導入された燃焼ガスの水平方向の流動を規制するために、導入部13aからその反対側に向かってプレート積層体13の鉛直方向中段部まで延びるように形成された規制部13eを有する。従って、プレート積層体13内の燃焼ガスの流動距離を長くして、湯水との熱交換が十分行われるようにすることができる。
【0037】
プレート積層体13は、導入部13aから導入された燃焼ガスを排気部6に排出する排出部13bが、プレート積層体13の導入部13aと並べて同一面(上面)に形成されている。従って、熱交換部10から排気部6まで燃焼ガスを導く排気ダクト7を短く形成してプレート積層体13の側方を通らないように配設することができるので、温水装置1を小型化することができる。
【0038】
プレート積層体13の導入部13aの面積は、排出部13bの面積よりも大きく形成されている。従って、排出部13bから排気部6まで燃焼ガスを導く排気ダクト7の水平断面を小さくして排気ダクト7を小型化し、温水装置1を小型化することができる。
【0039】
上記実施例を部分的に変更した例を説明する。
[1]温水装置は、熱交換部10を全てプレート式熱交換器で構成してもよい。例えば、1次熱交換器と2次熱交換器を共通する部材で構成することによって、温水装置の小型化を図ると共に製造コストを低減することができる。
【0040】
[2]温水装置は、下から順に上方燃焼式の燃焼部、熱交換部、排気部を有する構成にしてもよい。この場合も、1次熱交換器内を流動した燃焼ガスが、2次熱交換器であるプレート式熱交換器の上方から導入され、プレート積層体内で流動方向が反転されて上方の排気部から排気されるように構成する。燃焼ガスをプレート式熱交換器の上方から導入するためのダクトが必要になるが、排気集合筒や排気ダクトを省略して小型化することができる。
【0041】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0042】
1 :温水装置
2 :外装ケース
3 :燃焼部(燃焼手段)
3a :燃料供給部
4 :送風ファン
5 :給気部
6 :排気部
7 :排気ダクト
10 :熱交換部(熱交換手段)
11 :1次熱交換器
12 :2次熱交換器
13 :プレート積層体
13a :導入部
13b :排出部
13e :規制部
14 :2次熱交ケース
14a :フランジ部
14b :仕切部
14c :底部
14d :溝部
15 :湯水導入口
15a :通路部
16 :湯水導出口
16a :通路部
21 :第1プレート
21a :凸条部
21b :規制凸条部
22 :第2プレート
22a :凸条部
22b :規制凸条部
23 :湯水用間隙
24 :ガス用間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6