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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】半導体メモリ装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 5/04 20060101AFI20231115BHJP
   G06F 12/00 20060101ALI20231115BHJP
   G06F 12/06 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G11C5/04 210
G06F12/00 597U
G06F12/06 515H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019192100
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021068489
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】真国 一起
(72)【発明者】
【氏名】東 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 識介
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 優
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-057194(JP,A)
【文献】特表2017-529604(JP,A)
【文献】特開2007-293982(JP,A)
【文献】特表2013-533571(JP,A)
【文献】特開2012-174126(JP,A)
【文献】特開2011-180831(JP,A)
【文献】特開2013-137713(JP,A)
【文献】特開2007-241896(JP,A)
【文献】特開2012-203807(JP,A)
【文献】特開2001-177046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 5/04
G11C 16/04
G06F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶容量が共通のシリコンダイを少なくとも一つ備えた、NANDフラッシュメモリデバイスを複数具備し、
前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスまで配線され、前記シリコンダイごとに設定されるチャネルを介して前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスのそれぞれを制御するコントローラを含み、前記NANDフラッシュメモリデバイスの少なくとも一つは、他のNANDフラッシュメモリデバイスとは異なる数のシリコンダイを備えてなる半導体メモリ装置。
【請求項2】
請求項に記載の半導体メモリ装置であって、
前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスが備えるシリコンダイの総数は、2の累乗で表される値である半導体メモリ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体メモリ装置であって、
前記NANDフラッシュメモリデバイスごとに設定されるチャネルの数は、各NANDフラッシュメモリデバイスが備えるシリコンダイの数に比例するよう設定される半導体メモリ装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の半導体メモリ装置であって、
前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスのそれぞれと、前記コントローラとは一つの基板の片面上に配されており、
前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスのうち、備えているシリコンダイの数が最大となるNANDフラッシュメモリデバイスが、他のNANDフラッシュメモリデバイスに比べ、前記コントローラから離隔した位置に配される半導体メモリ装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の半導体メモリ装置であって、
前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスのそれぞれと、前記コントローラとは一つの基板の片面上に配されており、
前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスのうち、前記コントローラに最も近くに配されたNANDフラッシュメモリデバイスと前記コントローラとの間に間隙が形成され、当該間隙に、前記コントローラから比較的近接して配されたNANDフラッシュメモリデバイスまでの配線を引き回した延長配線部が形成され、当該延長配線部により、前記コントローラから各NANDフラッシュメモリデバイスまでの配線の長さを実質的に等長としてなる半導体メモリ装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体メモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年ではコンピュータ装置の記憶デバイスとして、NANDフラッシュメモリを用いた、半導体メモリ装置が広く利用されている。また、コンピュータ装置の小型化の要請に応えるため、こうした半導体メモリ装置もできるだけ所定の規格に従った、小型の基板に実装することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-116516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、小型化と同時に、DRAM等の追加による高機能化、さらには記憶容量の大規模化も求められているため、記憶容量を低減させることなく基板上の実装面積を小さくする技術が必要となっているのが現状である。
【0005】
特許文献1には、NANDフラッシュメモリを用いた記憶装置の小型化等の要望に応えるため、NANDフラッシュメモリセルの上層にReRAMメモリセルアレイを配置する例が開示されている。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、記憶容量を低減させずに実装面積を小さくした半導体メモリ装置を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来例の問題点を解決するための本発明の一態様は、半導体メモリ装置であって、記憶容量が共通のシリコンダイを少なくとも一つ備えた、NANDフラッシュメモリデバイスを複数具備し、前記シリコンダイごとに設定されるチャネルを介して前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスのそれぞれを制御するコントローラを含むこととしたものである。
【0008】
またここで、前記NANDフラッシュメモリデバイスの少なくとも一つは、他のNANDフラッシュメモリデバイスとは異なる数のシリコンダイを備えてもよい。
【0009】
このようにすると、記憶容量が比較的大きいNANDフラッシュメモリデバイスと記憶容量が比較的小さいNANDフラッシュメモリデバイスとを含むので、比較的小さいNANDフラッシュメモリデバイスのみを複数配列する場合に比べ、容量を低減させずに実装面積を小さくできる。
【0010】
また複数のNANDフラッシュメモリデバイスが備えるシリコンダイの総数は、2の累乗で表される値であることとしてもよい。
【0011】
さらに、NANDフラッシュメモリデバイスごとに設定されるチャネルの数は、各NANDフラッシュメモリデバイスが備えるシリコンダイの数に比例するよう設定されるものとしてもよい。
【0012】
また別の態様では、複数のNANDフラッシュメモリデバイスのそれぞれと、前記コントローラとは一つの基板の片面上に配されており、前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスのうち、備えているシリコンダイの数が最大となるNANDフラッシュメモリデバイスが、他のNANDフラッシュメモリデバイスに比べ、前記コントローラから離隔した位置に配されるようにしてもよい。
【0013】
このようにすると、等長配線のためにコントローラに比較的近接しているNANDフラッシュメモリデバイスまでの配線に延長配線部を形成する際に、延長配線部を形成するべき配線の数を低減できる。
【0014】
さらに、また別の態様では、前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスのそれぞれと、前記コントローラとは一つの基板の片面上に配されており、前記複数のNANDフラッシュメモリデバイスのうち、前記コントローラに最も近くに配されたNANDフラッシュメモリデバイスと前記コントローラとの間に間隙が形成され、当該間隙に、前記コントローラから比較的近接して配されたNANDフラッシュメモリデバイスまでの配線を引き回した延長配線部が形成され、当該延長配線部により、前記コントローラから各NANDフラッシュメモリデバイスまでの配線の長さを実質的に等長としてもよい。
【0015】
このように間隙(チップの配されない領域)を形成することで、当該領域における配線経路の自由度が高くなり、延長配線部の形成が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、容量を低減させずに実装面積を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る半導体メモリ装置の概要を表すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る半導体メモリ装置における各チップの配置例を表す説明図である。
図3】本発明の実施の形態に係る半導体メモリ装置におけるコントローラチップの例を表す構成ブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る半導体メモリ装置における配線例を表す説明図である。
図5】本発明の実施の形態に係る半導体メモリ装置で用いるNANDフラッシュメモリデバイスのパッケージの例を表す説明図である。
図6】本発明の実施の形態に係る半導体メモリ装置におけるもう一つの配線例を表す説明図である。
図7】本発明の実施の形態に係る半導体メモリ装置におけるまた別の配線例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態の一例に係る半導体メモリ装置1は、図1にその概略の外観を示すように、基板10の片面上に、複数のNANDフラッシュメモリデバイス11と、コントローラチップ12と、RAMチップ13とを配したものである。
【0019】
またこの基板10は、一般に多層基板であり、コンピュータ装置と接続するための配線が形成されているのが全体の構成であるが、当該コンピュータ装置と接続するための配線については従来例と同様であるので、ここでは本発明の実施の形態に係る構成についての説明を明確にするため、本発明の実施の形態に関係する構成についてのみ記載する。
【0020】
なお、以下の説明及び図面において、各部のサイズや比率は例示または図示の都合上調整されたものであり、実際には、適宜のサイズ、比率で設計され得る。
【0021】
本実施の形態の一例において、基板10は実質的に矩形状をなす、M.2などの、比較的狭小な半導体メモリ基板であるものとする。以下では、この基板10がいわゆる2280(22ミリ×80ミリ)の基板であるものとする。
【0022】
また本実施の形態では、基板10上に配する複数のNANDフラッシュメモリデバイス11のうち、少なくとも一対は、その内部に備えるダイ(シリコンダイ、以下「ダイ」と略して表記する)の数が互いに異なるものとする。
【0023】
具体的に、図1の例では、内部に1つのダイを備えた2つのSDP(Single Die Package)のNANDフラッシュメモリデバイス11a,11bと、内部に2つのダイを備えたDDP(Double Die Package)のNANDフラッシュメモリデバイス11cとを基板10の片面側に配した(つまりこの例では片面実装した)ものとする。ここでは各NANDフラッシュメモリデバイス11のダイあたりの記憶容量(最大記憶容量)はいずれも同じ(共通)であるものとする。このように片面実装した場合、両面実装に比べて半導体メモリ装置1の厚さを小さくでき、またNANDフラッシュメモリデバイス11等が実装されていない面(非実装面)はフラットな面となるので、この半導体メモリ装置1が接続される機器のレイアウトやコネクタの高さなどによる制限を受けにくくなり、接続の自由度が向上する。
【0024】
また、SDPのNANDフラッシュメモリデバイス11には、一組のI/O信号線と、制御用の信号線群(チップセレクトCS等)が接続される。またDDPのNANDフラッシュメモリデバイス11には、一組ないし二組のI/O信号線と、制御用の信号線群が接続される。I/O信号線の組の数は、パッケージによって異なる。
【0025】
一般的に、2280の基板は、片面側にNANDフラッシュメモリデバイス(例えば内部に1つのダイを備えたSDP)3個と、コントローラチップ1個を配置可能な程度の面積を有するが、この面積にNANDフラッシュメモリデバイス4個と、コントローラチップ1個とを配置することは困難となっている。
【0026】
本実施の形態では、上述のようにNANDフラッシュメモリデバイス4個を用いた場合と同容量(ダイの数は合計4であるため全体としての容量は同じ)でありながら、基板10上に配されるNANDフラッシュメモリデバイス11の数は3となっている。つまり、ほぼ1個分のNANDフラッシュメモリデバイス11の面積に相当する面積分だけ基板10の片面に空きが生じることとなる。
【0027】
具体的に、このNANDフラッシュメモリデバイス11の配置は、図2に例示するようになる。図2の例では、基板10の長手方向の一方端(短辺)側にコンピュータ装置と接続するためのコネクタCが形成され、このコネクタCに近接する側に、コントローラチップ12とRAM13とが幅方向に配されている。そして、図2(a)から(c)に例示するように:
(a)コントローラチップ12に隣接する位置から順に、NANDフラッシュメモリデバイス11を長手方向に一列に並べ、コントローラチップ12から最も離れた場所に空きPを形成する。
(b)コントローラチップ12が配された側とは反対側の短辺に近接する側から順に、NANDフラッシュメモリデバイス11を長手方向に一列に並べ、コントローラチップ12に近接する側に空き(間隙:チップが搭載されない部分)Qを形成する。
(c)コントローラチップ12を配した後に空いている領域に、実質的に等間隔にNANDフラッシュメモリデバイス11を長手方向に一列に並べ、NANDフラッシュメモリデバイス11を4つ配する場合に比べ、コントローラチップ12及び、各NANDフラッシュメモリデバイス11間の間隔を広げた状態とする
等といった状態で、コントローラチップ12と、NANDフラッシュメモリデバイス11とを配置する。
【0028】
(a)の例では、空いた部分Pに、ロードスイッチやファン、ヒートシンク、通信用のアンテナ、その他、種々の機能回路を配置するなどして高機能化を図ることができる。また(b)の例では、後に述べるように、配線の自由度を確保できるとともに、ロードスイッチやファン、ヒートシンク、通信用のアンテナ、その他、種々の機能回路を配置するなどして高機能化を図ることができる。(c)の例では、各チップで生じる熱を効果的に放熱可能となる。
【0029】
コントローラチップ12は、一般的なNANDフラッシュコントローラでよく、図3に例示するように、ホストインタフェース21と、制御部22と、RAMインタフェース23と、フラッシュインタフェース24とを含んで構成される。
【0030】
ホストインタフェース21は、ホストとなるコンピュータ装置との間で、コネクタCを介してデータやコマンドを送受する。具体的にこのホストインタフェース21は、ホストとなるコンピュータ装置からNANDフラッシュメモリデバイス11への書き込み指示と当該指示により書き込まれるべきデータとを受信して、制御部22に出力する。
【0031】
またこのホストインタフェース21は、ホストとなるコンピュータ装置からNANDフラッシュメモリデバイス11からの読み出し指示を受信して、制御部22に出力する。そしてホストインタフェース21は、制御部22が当該読み出し指示に応答して出力するデータを、ホストとなるコンピュータ装置に対して出力する。
【0032】
制御部22は、CPU等のプログラム制御デバイスとプログラムを保持するメモリとを含んで構成され、メモリ内のプログラムを実行して、ホストインタフェース21から入力される指示に従って、RAMインタフェース23及びフラッシュインタフェース24を介して、RAM13や、NANDフラッシュメモリデバイス11との間でデータの書き込み、読み出し制御を行う。またこの制御部22は、読み出し指示に従って読み出したデータをホストインタフェース21に対して出力する。
【0033】
RAMインタフェース23は、制御部22から入力される指示に従い、RAM13に対するデータの書き込み、読み出しの制御を行う。
【0034】
フラッシュインタフェース24は、制御部22から入力される指示に従って、NANDフラッシュメモリデバイス11に対してデータの書き込み、読み出しの指示を出力する。またこのフラッシュインタフェース24は、NANDフラッシュメモリデバイス11が読み出しの指示に従って出力したデータを、制御部22に出力する。
【0035】
このような、コントローラチップ12によるNANDフラッシュメモリデバイス11やRAM13を利用した、データの書き込み、読み出しの制御については広く知られた方法を採用できるため、ここでの詳しい説明は省略するが、本実施の形態において特徴的なことの一つは、このフラッシュインタフェース24が、各NANDフラッシュメモリデバイス11が備えるダイの数に応じたチャネルを設定し、当該設定されたチャネルを介して各NANDフラッシュのダイにデータを記録し、また当該ダイからデータを読み出す制御を行うことである。なお、NANDフラッシュメモリデバイス11のダイごとにチャネルを設定する方法等は、広く知られている方法を採用できる。
【0036】
そしてコントローラチップ12は、ダイごとに設定されるチャネル(同時駆動単位)を介してNANDフラッシュメモリデバイス11に対するデータの書き込み、読み出し等の制御を行う。RAM13は、コントローラチップ12のキャッシュメモリとして動作する。このようなRAM13の利用は、従来から広く知られたものであるので、その説明は省略する。
【0037】
[NANDフラッシュメモリデバイスのダイの数]
なお、ここでの説明では、基板上のNANDフラッシュメモリデバイス11a乃至cのダイの数は、それぞれ1,1,2としたが、本実施の形態はこれに限られず、各NANDフラッシュメモリデバイスが備えるシリコンダイの総数が、2の累乗で表される値であれば(そして少なくとも1つのNANDフラッシュメモリデバイス11のダイの数が、他のNANDフラッシュメモリデバイス11のダイの数と異なる数となっていれば)、基板上のNANDフラッシュメモリデバイス11a乃至cのダイの数は、例えば2,2,4としてもよい。
【0038】
[多バンク構成]
また本実施の形態では、各チャネルを多バンクで構成してもよい。この場合、NANDフラッシュメモリデバイス11ごとに設定されるチャネルの数は、当該NANDフラッシュメモリデバイス11が備えるダイの数と等しい必要はなく、この場合は、各NANDフラッシュデバイス11のチャネルの数は、各NANDフラッシュメモリデバイス11が備えるダイの数に比例した値に設定されればよい。各チャネルを介したNANDフラッシュメモリデバイス11の制御については広く知られているので、その説明を省略する。
【0039】
[配線]
次に、コントローラチップ12から各NANDフラッシュメモリデバイス11までの配線について説明する。本実施の形態では、コントローラチップ12から各NANDフラッシュメモリデバイス11までの配線長をなるべく均一にして、コントローラチップ12が各NANDフラッシュメモリデバイス11への信号を一斉に出力した場合に、当該信号が実質的に同時に各NANDフラッシュメモリデバイス11に到達するようにしておく。
【0040】
具体的には、コントローラチップ12に比較的近い側に配されたNANDフラッシュメモリデバイス11までの配線については、コントローラチップ12に最も遠い側に配されたNANDフラッシュメモリデバイス11までの配線の長さに近づけることが好適である。そこで、コントローラチップ12に比較的近い側に配されたNANDフラッシュメモリデバイス11までの配線の少なくとも一部を蛇行(ミアンダ)配線として延長配線部を形成する。
【0041】
この延長配線部は、例えば図2(b)に例示したように、コントローラチップ12に近接する側に空き(間隙)Qを形成する場合、この間隙部に形成することとしてもよい。
【0042】
具体的にはコントローラチップ12から近い順に、SDPのNANDフラッシュメモリデバイス11a,11bと、DDPのNANDフラッシュメモリデバイス11c(ここではI/O信号線が二組あるものを用いるものとする)とを、図4に例示するように配置する場合(この例は図2(b)と同じとしている)、コントローラチップ12から最も遠い側に配したNANDフラッシュメモリデバイス11cとコントローラチップ12との間の配線には延長配線部を形成しない(配線に蛇行部を形成しない)ようにする。ここで各信号の配線の長さの平均がLavとなったものとする。
【0043】
また、コントローラチップ12に最も近い位置に配されたSDPのNANDフラッシュメモリデバイス11aとコントローラチップ12との間の配線には蛇行部を形成して(Ma)、各NANDフラッシュメモリデバイス11とコントローラチップ12との配線の長さの平均がLav-ΔL≦Lav≦Lav+ΔL(ここでΔLは実験的、経験的に定めたしきい値)となるように蛇行の回数等を設定する。
【0044】
以下、配された位置がコントローラチップ12に近い順に、NANDフラッシュメモリデバイス11b…と、コントローラチップ12との間の配線に(自己よりコントローラチップ12までの距離が短いものよりも蛇行回数の少ない)蛇行部を形成して(Mb、…)その配線の長さの平均がLav-ΔL≦Lav≦Lav+ΔL(ここでΔLは実験的、経験的に定めたしきい値)となるように蛇行の回数や長さ等を設定する。
【0045】
なお、ここでは蛇行部を形成して配線の長さを調整しているが、配線が延長されるのであれば、蛇行以外の方法で配線を引き回しても構わない。
【0046】
またここで、配線する信号線が比較的多数となるDDPのNANDフラッシュメモリデバイス11cを、コントローラチップ12から最も遠い側に配しているのは、蛇行させるべき配線の数が多いものほどコントローラチップ12から遠方に配して、蛇行部の形成を容易にするためである。
【0047】
配線の数は、NANDフラッシュメモリデバイス11へのI/O信号線の数に関係するため、基板10上の複数のNANDフラッシュメモリデバイス11のうち、備えているダイの数が最大となるNANDフラッシュメモリデバイス11を、他のNANDフラッシュメモリデバイス11に比べて、コントローラチップ12から離隔した位置に配することとしてもよい。
【0048】
ここでの例ではNANDフラッシュメモリデバイス11cのI/O信号線の数が、他のNANDフラッシュメモリデバイス11a,bへのI/O信号線の数より多いためNANDフラッシュメモリデバイス11cを、コントローラチップ12から最も遠い位置に配している。
【0049】
なお、図4の例では、各NANDフラッシュメモリデバイス11とコントローラチップ12との間の配線が基板10を平面視したときに互いに重なり合わないように配しているが、実際には各NANDフラッシュメモリデバイス11とコントローラチップ12との間の配線は多層に構成された基板10の、互いに異なる層に形成されてよく、互いに異なる層に形成されていれば(電気的に接触しなければ)、平面視では、互いに重なり合っていても構わない。なお、各NANDフラッシュメモリデバイス11とコントローラチップ12との間の配線を、層を隔てて平面視で互いに重なり合う配置とする場合は、当該互いに重なり合うNANDフラッシュメモリデバイス11とコントローラチップ12との間の配線が形成された層と層の間に他の配線層を含めるなどして層間距離を大きくしてもよい。また、当該他の配線層として電源層やグランド層を挟んでもよい。これにより各配線で生じるノイズの影響を、互いに抑制できる。
【0050】
[チップの向きを考慮する例]
また、NANDフラッシュメモリデバイス11のパッケージによっては、図5(a)乃至(c)にそれぞれSDP,DDP,及び、内部に4つのダイを備えたQDP(Quad Die Package)のNANDフラッシュメモリデバイス11の例を示すように、各NANDフラッシュメモリデバイス11のパッケージの基準位置(図中、円の印で表す)に対して、I/O信号線等の配線が接続されるべきピンの位置が、SDPの場合、中心線Xより偏った位置pに配され(a)、また、2組のI/Oピンを備えるDDPの場合、各組のI/Oピンが、中心線Xを挟んで対称的な位置(q,r)に配されていることがある。
【0051】
さらに、4組のI/Oピンを備えるQDPでは、中心線X,Yに対して対称な位置(s,t,u,v)に各組のI/Oピンが配される場合がある。
【0052】
そこで、本実施の形態のある例では、SDPのNANDフラッシュメモリデバイス11a,11bを、基板10の長手方向に平行な線を対称軸として互いに対称な位置に配置する(図6)。このようにすると、I/Oピンの位置がこの対称軸に対称に位置することとなるので、コントローラチップ12からの配線上にある延長配線部Mを上記対称軸に対称に配置でき、配線の取り回しが容易になる。
【0053】
またここでは延長配線部Mをコントローラチップ12と、それに隣接するNANDフラッシュメモリデバイス11aとの間の間隙(チップを配していない領域)に重なり合う位置に形成しているが、本実施の形態のある例はこれに限られず、NANDフラッシュメモリデバイス11間の間隙に配されてもよい。また、NANDフラッシュメモリデバイス11に平面視で重なり合う範囲であっても、基板の当該NANDフラッシュデバイス11の配線が含まれる層とは異なる層(あるいはピンに対応するスルーホールのみが形成されている層など、当該配線を避け得る層)に配してもよい。
【0054】
さらに、図5(c)に示したような、内部に4つのダイを備え、4組のI/Oピンを備えて、パッケージの中心線X,Yに対して対称な位置(s,t,u,v)に各組のI/Oピンが配されるQDPのNANDフラッシュメモリデバイス11cを用いる場合(図7)は、コントローラチップ12から比較的近い位置にあるI/Oピンに接続される配線上にも延長配線部Mを形成してもよい。つまり、QDPのピンのうち、コントローラチップ12から最も遠い位置にあるピンを基準として、コントローラチップ12から当該基準としたピンまでの配線長にできるだけ近い長さになるよう、当該延長配線部Mを形成してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 半導体メモリ装置、10 基板、11 NANDフラッシュメモリデバイス、12 コントローラチップ、13 RAM、21 ホストインタフェース、22 制御部、23 RAMインタフェース、24 フラッシュインタフェース。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7