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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
H02M7/12 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021060318
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156565
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】宮島 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 稔
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-068102(JP,A)
【文献】特開平11-206130(JP,A)
【文献】特開2013-240274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)と、
単相交流電源(2)から第1及び第2の入力端子(TE1,TE2)に供給される入力交流を直流に変換して前記正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)に出力する整流回路(10)と、
前記正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)の間に互いに直列に接続された第1及び第2のコンデンサ(31,32)とを備え、
前記第1及び第2の入力端子(TE1,TE2)のうちの前記第1の入力端子(TE1)のみに、一端が前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)に接続された逆導通スイッチ(50)の他端が接続されている電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記第1の入力端子(TE1)から前記接続点(CP)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)のうち前記正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)が無極性コンデンサであり、
前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記接続点(CP)から前記第1の入力端子(TE1)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合は、前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)のうち前記負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)が無極性コンデンサであることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記第1の入力端子(TE1)から前記接続点(CP)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)のうち前記正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)は有極性コンデンサであり、当該正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)には、ダイオード(34)がそのカソードを当該コンデンサ(31)の正極側に向けた状態で並列に接続され、
前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記接続点(CP)から前記第1の入力端子(TE1)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)のうち前記負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)は有極性コンデンサであり、当該負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)には、ダイオード(33)がそのカソードを当該コンデンサ(32)の正極側に向けた状態で並列に接続されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
前記入力交流の各周期における一方の半周期に含まれる所定のオン期間(T1)に前記逆導通スイッチ(50)をオンする第1の駆動モードと、
前記入力交流の各周期における前記一方の半周期に、常に前記逆導通スイッチ(50)をオフする第2の駆動モードとで前記逆導通スイッチ(50)を制御可能な制御部(60)をさらに備え、
前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記接続点(CP)から前記第1の入力端子(TE1)に向かう電流方向に電流が流れるように接続される場合には、前記一方の半周期は、前記第1の入力端子(TE1)の電圧が前記第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)である一方、前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記第1の入力端子(TE1)から前記接続点(CP)に向かう電流方向に電流が流れるように接続される場合には、前記一方の半周期は、前記第2の入力端子(TE2)の電圧が前記第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(HC2)であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電力変換装置において、
前記正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)に入力される直流を直流又は交流に変換して負荷に供給する電力変換回路(40)をさらに備え、
前記制御部は、前記電力変換回路(40)、前記単相交流電源(2)、及び前記負荷(3)のうちの少なくとも1つの状態に基づいて、前記第1及び第2の駆動モードのいずれか一方を選択し、選択した駆動モードで前記逆導通スイッチ(50)を制御することを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の電力変換装置において、
前記オン期間(T1)の長さ、及び開始タイミングのうちの少なくとも一方は可変であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
前記逆導通スイッチ(50)は、ユニポーラトランジスタで構成され、
前記制御部(60)は、前記入力交流の各周期における他方の半周期に、前記逆導通スイッチ(50)をオンするオン制御を実行し、
前記オン制御中に、前記逆導通スイッチ(50)のチャネルに電流が前記電流方向に流れることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
前記制御部(60)が、前記逆導通スイッチ(50)に電流が流れていないときに、前記逆導通スイッチ(50)をオン状態からオフ状態に切り替える第1切替制御、及び前記逆導通スイッチ(50)をオンしても前記逆導通スイッチ(50)に電流が流れないときに、前記逆導通スイッチ(50)をオフ状態からオン状態に切り替える第2切替制御のうちの少なくとも一方を実行することを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、単相交流電源から供給される入力交流を直流に変換する整流回路を備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された電力変換装置は、単相交流電源から第1及び第2の入力端子に供給される入力交流を直流に変換して正電圧側電源線と負電圧側電源線に出力する整流回路と、前記正電圧側電源線と負電圧側電源線の間に互いに直列に接続された第1及び第2のコンデンサと、一端が前記第1及び第2のコンデンサの接続点に接続される一方、他端が前記第1の入力端子に接続された双方向スイッチとを備える。双方向スイッチは、4つのダイオードを有するブリッジ回路と、トランジスタを用いた単方向スイッチ素子とを有している。この電力変換装置では、双方向スイッチの単方向スイッチ素子のオンオフを切り替えることにより、整流回路を2種類の整流モードで動作させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3516601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、整流モードの切り替えに、4つのダイオードを有する双方向スイッチを用いるので、素子数が多くなり、回路規模が増大する。
【0005】
本開示の目的は、整流回路を2種類の整流モードで動作させる電力変換装置の回路規模を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、電力変換装置(1)が、正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)と、単相交流電源(2)から第1及び第2の入力端子(TE1,TE2)に供給される入力交流を直流に変換して前記正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)に出力する整流回路(10)と、前記正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)の間に互いに直列に接続された第1及び第2のコンデンサ(31,32)と、一端が前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)に接続される一方、他端が前記第1の入力端子(TE1)に接続された逆導通スイッチ(50)とを備える。
【0007】
第1の態様では、整流モードの切り替えに、一方向に電流を流すことを可能にするか否かが制御され、他方向には制御によらず常時電流を流すことが可能な逆導通スイッチ(50)(例えば、1つのダイオードと1つのバイポーラトランジスタ又はユニポーラトランジスタとで構成された逆導通スイッチ(50))を用いるので、特許文献1のように4つのダイオードと1つの単方向スイッチとを有する双方向スイッチを用いる場合に比べ、素子数を減らし、回路規模を小さくできる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記第1の入力端子(TE1)から前記接続点(CP)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)のうち前記正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)が無極性コンデンサであり、前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記接続点(CP)から前記第1の入力端子(TE1)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合は、前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)のうち前記負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)が無極性コンデンサであることを特徴とする。
【0009】
第2の態様では、逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で第1の入力端子(TE1)から前記接続点(CP)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、前記正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)を無極性コンデンサとするので、当該正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)に、逆導通スイッチ(50)をオフ状態にしたときに負の電圧を印可できる。
【0010】
一方、逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記接続点(CP)から第1の入力端子(TE1)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、前記負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)を無極性コンデンサとするので、当該負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)に、逆導通スイッチ(50)をオフ状態にしたときに負の電圧を印可できる。
【0011】
本開示の第3の態様は、第1の態様において、前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記第1の入力端子(TE1)から前記接続点(CP)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)のうち前記正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)は有極性コンデンサであり、当該正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)には、ダイオード(34)がそのカソードを当該コンデンサ(31)の正極側に向けた状態で並列に接続され、前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記接続点(CP)から前記第1の入力端子(TE1)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、前記第1及び第2のコンデンサ(31,32)のうち前記負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)は有極性コンデンサであり、当該負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)には、ダイオード(33)がそのカソードを当該コンデンサ(32)の正極側に向けた状態で並列に接続されることを特徴とする。
【0012】
第3の態様では、逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で第1の入力端子(TE1)から接続点(CP)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)として有極性コンデンサを用いるので、無極性コンデンサを用いる場合に比べ、正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)を小型化できる。また、正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)に印可される逆方向の電圧の絶対値を、ダイオード(34)の順方向電圧以下にできるので、正電圧側電源線(21)側のコンデンサ(31)に絶対値の大きい逆方向の電圧が印可されることによる当該コンデンサ(31)の故障を抑制できる。
【0013】
逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で接続点(CP)から第1の入力端子(TE1)に向かう方向に電流が流れるように接続される場合には、負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)として有極性コンデンサを用いるので、無極性コンデンサを用いる場合に比べ、負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)を小型化できる。また、負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)に印可される逆方向の電圧の絶対値を、ダイオード(33)の順方向電圧以下にできるので、負電圧側電源線(22)側のコンデンサ(32)に絶対値の大きい逆方向の電圧が印可されることによる当該コンデンサ(32)の故障を抑制できる。
【0014】
本開示の第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記入力交流の各周期における一方の半周期に含まれる所定のオン期間(T1)に前記逆導通スイッチ(50)をオンする第1の駆動モードと、前記入力交流の各周期における前記一方の半周期に、常に前記逆導通スイッチ(50)をオフする第2の駆動モードとで前記逆導通スイッチ(50)を制御可能な制御部(60)をさらに備え、前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記接続点(CP)から前記第1の入力端子(TE1)に向かう電流方向に電流が流れるように接続される場合には、前記一方の半周期は、前記第1の入力端子(TE1)の電圧が前記第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)である一方、前記逆導通スイッチ(50)が、オフ状態で前記第1の入力端子(TE1)から前記接続点(CP)に向かう電流方向に電流が流れるように接続される場合には、前記一方の半周期は、前記第2の入力端子(TE2)の電圧が前記第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(HC2)であることを特徴とする。
【0015】
第4の態様では、第1及び第2の駆動モードで、整流回路(10)の出力電圧、すなわち負電圧側電源線(22)に対する正電圧側電源線(21)の電圧を、互いに異なる態様で遷移させることができる。
【0016】
本開示の第5の態様は、第4の態様において、前記正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)に入力される直流を直流又は交流に変換して負荷に供給する電力変換回路(40)をさらに備え、前記制御部は、前記電力変換回路(40)、前記単相交流電源(2)、及び前記負荷(3)のうちの少なくとも1つの状態に基づいて、前記第1及び第2の駆動モードのいずれか一方を選択し、選択した駆動モードで前記逆導通スイッチ(50)を制御することを特徴とする。
【0017】
第5の態様では、整流回路(10)の出力電圧の遷移の態様が、電力変換回路(40)、単相交流電源(2)、及び負荷(3)のうちの少なくとも1つの状態に基づいて、第1及び第2の駆動モードに対応する2つの態様から選択される。
【0018】
本開示の第6の態様は、第4又は第5の態様において、オン期間(T1)の長さ、及び開始タイミングのうちの少なくとも一方は可変であることを特徴とする。
【0019】
第6の態様では、第1の駆動モードにおける整流回路(10)の出力電圧の遷移の態様を変更できる。
【0020】
本開示の第7の態様は、第4~第6のいずれか1つの態様において、前記逆導通スイッチ(50)は、ユニポーラトランジスタで構成され、前記制御部(60)は、前記入力交流の各周期における他方の半周期に、前記逆導通スイッチ(50)をオンするオン制御を実行し、前記オン制御中に、前記逆導通スイッチ(50)のチャネルに電流が前記電流方向に流れることを特徴とする。
【0021】
第7の態様では、オン制御中、前記電流方向に流れる電流を逆導通スイッチ(50)のチャネルに流せるので、ボディダイオードだけに流す場合に比べ、逆導通スイッチ(50)における電力損失を低減できる。
【0022】
本開示の第8の態様は、第4~第7のいずれか1つの態様において、前記制御部(60)が、前記逆導通スイッチ(50)に電流が流れていないときに、前記逆導通スイッチ(50)をオン状態からオフ状態に切り替える第1切替制御、及び前記逆導通スイッチ(50)をオンしても前記逆導通スイッチ(50)に電流が流れないときに、前記逆導通スイッチ(50)をオフ状態からオン状態に切り替える第2切替制御のうちの少なくとも一方を実行することを特徴とする。
【0023】
第8の態様では、逆導通スイッチ(50)のスイッチング損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態1に係る電力変換装置の構成、及び逆導通スイッチのオン状態における電流の流れを示す回路図である。
図2図2は、逆導通スイッチのオフ状態における図1相当図である。
図3図3(a)は、第1の駆動モードにおける電源電圧を例示するタイミングチャートであり、図3(b)は、電源電流及び逆導通スイッチ電流の図3(a)相当図であり、図3(c)は、DC電圧と、第1及び第2のコンデンサの電圧との図3(a)相当図である。
図4図4(a)は、第2の駆動モードにおける図3(a)相当図であり、図4(b)は、第2の駆動モードにおける図3(b)相当図であり、図4(c)は、第2の駆動モードにおける図3(c)相当図である。
図5図5は、実施形態2に係る電力変換装置の構成を示す回路図である。
図6図6は、実施形態2の図4(c)相当図である。
図7図7は、実施形態3に係る電力変換装置の構成、及び第2の駆動モードにおける電源電圧が負となる半周期における電流の流れを示す回路図である。
図8図8は、第2の駆動モードにおける電源電圧が正となる半周期における図7相当図である。
図9図9(a)は、実施形態3の図4(a)相当図であり、図9(b)は、電源電流、逆導通スイッチ電流及び整流回路ダイオード電流の図9(a)相当図であり、図9(c)は、実施形態3の図4(c)相当図である。
図10図10は、実施形態4に係る電力変換装置の構成を示す回路図である。
図11図11は、実施形態4の図9(c)相当図である。
図12図12は、実施形態5におけるDC電圧を例示するタイミングチャートである。
図13図13(a)は、オン期間前後のDC電圧、第1及び第2のコンデンサの電圧を例示するタイミングチャートであり、図13(b)は、逆導通スイッチの制御信号の図13(a)相当図である。
図14図14は、実施形態6に係る電力変換装置の構成を示す回路図である。
図15図15(a)は、実施形態7の図3(b)相当図であり、図15(b)は、逆導通スイッチの制御信号の図15(a)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0026】
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1に係る電力変換装置(1)を示す。この電力変換装置(1)は、単相交流電源(2)から供給される入力交流を、所望周波数及び所望電圧を有する交流に変換して、負荷としての電動機(3)に供給する。
【0027】
電力変換装置(1)は、リアクトル(L)と、整流回路(10)と、正電圧側電源線(21)及び負電圧側電源線(22)と、第1及び第2のコンデンサ(31,32)と、電力変換回路としてのインバータ回路(40)と、逆導通スイッチ(50)と、制御部(60)とを備えている。
【0028】
リアクトル(L)は、単相交流電源(2)と整流回路(10)の第1の入力端子(TE1)との間に接続されている。したがって、整流回路(10)の第1の入力端子(TE1)には、単相交流電源(2)からの電流がリアクトル(L)を介して入力される。
【0029】
整流回路(10)は、単相交流電源(2)から第1及び第2の入力端子(TE1,TE2)に供給された入力交流を直流に変換して正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)に出力する。整流回路(10)は、ブリッジ状に結線された第1~第4の整流回路用ダイオード(11~14)を有している。これらの整流回路用ダイオード(11~14)は、そのカソードを正電圧側電源線(21)側に向けるとともに、そのアノードを負電圧側電源線(22)側に向けている。第1及び第2の整流回路用ダイオード(11,12)は、正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)との間に正電圧側電源線(21)側から順に互いに直列に接続され、それらの接点は、第1の入力端子(TE1)に接続されている。第3及び第4の整流回路用ダイオード(13,14)は、正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)との間に正電圧側電源線(21)側から順に互いに直列に接続され、それらの接点は、第2の入力端子(TE2)に接続されている。
【0030】
第1及び第2のコンデンサ(31,32)は、正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)の間に互いに直列に正電圧側電源線(21)側から順に接続されている。つまり、第1のコンデンサ(31)は、正電圧側電源線(21)側に接続され、第2のコンデンサ(32)は、負電圧側電源線(22)に接続されている。第1のコンデンサ(31)は、有極性コンデンサである。一方、第2のコンデンサ(32)は、無極性コンデンサである。
【0031】
インバータ回路(40)は、整流回路(10)により正電圧側電源線(21)及び負電圧側電源線(22)に入力される直流を交流にスイッチング動作により変換して電動機(3)に供給する。詳しくは、インバータ回路(40)は、6つのスイッチング素子(41a~46a)と、6つの還流ダイオード(41b~46b)とを有している。6つのスイッチング素子(41a~46a)は、ブリッジ結線されている。詳しく説明すると、インバータ回路(40)は、正電圧側電源線(21)及び負電圧側電源線(22)間に接続された3つのスイッチングレグを備えている。スイッチングレグは、2つのスイッチング素子(41a~46a)が互いに直列に接続されたものである。3つのスイッチングレグの各々において、上アームのスイッチング素子(41a,43a,45a)と下アームのスイッチング素子(42a,44a,46a)との中点が、電動機(3)の各相のコイル(u相、v相、w相のコイル)にそれぞれ接続されている。各スイッチング素子(41a~46a)には、還流ダイオード(41b~46b)が1つずつ逆並列に接続されている。
【0032】
逆導通スイッチ(50)は、バイポーラトランジスタ(51)と、当該バイポーラトランジスタ(51)に逆並列に接続された逆導通スイッチ用ダイオード(52)とを備えている。
【0033】
バイポーラトランジスタ(51)のコレクタは、第1の入力端子(TE1)に接続され、バイポーラトランジスタ(51)のエミッタは、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)に接続されている。
【0034】
逆導通スイッチ用ダイオード(52)のアノードは、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)、及びバイポーラトランジスタ(51)のエミッタに接続されている。逆導通スイッチ用ダイオード(52)のカソードは、第1の入力端子(TE1)及びバイポーラトランジスタ(51)のコレクタに接続されている。
【0035】
このように、逆導通スイッチ(50)の一端は、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)に接続される一方、逆導通スイッチ(50)の他端は、第1の入力端子(TE1)に接続されている。逆導通スイッチ(50)は、バイポーラトランジスタ(51)をオフしたオフ状態で前記接続点(CP)から第1の入力端子(TE1)に向かう方向に電流が流れるように接続されている。
【0036】
制御部(60)は、インバータ回路(40)の各スイッチング素子(41a~46a)にスイッチング信号を出力することにより、各スイッチング素子(41a~46a)のスイッチング動作を制御する。
【0037】
また、制御部(60)は、第1の駆動モードと第2の駆動モードとで逆導通スイッチを制御可能である。第1の駆動モードは、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(図3(b)において、符号HC1で示す)に含まれる所定のオン期間(図3(b)において、符号T1で示す)に逆導通スイッチ(50)をオンするモードであり、第2の駆動モードは、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)に常に逆導通スイッチ(50)をオフするモードである。本実施形態1では、第1の駆動モードにおいて、制御部(60)は、常に逆導通スイッチ(50)をオンにする。したがって、前記所定のオン期間(T1)は、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)全体となる。一方、第2の駆動モードにおいて、常に逆導通スイッチ(50)をオフにする。制御部(60)は、ユーザ又は外部装置からの入力に基づいて、第1及び第2の駆動モードのいずれか一方を選択し、選択した駆動モードで逆導通スイッチ(50)を制御する。
【0038】
図3(a)~図3(c)は、上述のように構成された電力変換装置(1)の第1の駆動モードにおける各部の電圧値及び電流値を示す。図3(a)は、第1の入力端子(TE1)と第2の入力端子(TE2)との間の電源電圧を示す。第1の入力端子(TE1)が第2の入力端子(TE2)よりも高電位のときの電源電圧を正とする。図3(b)は、単相交流電源(2)から第1及び第2の入力端子(TE1,TE2)に流入する電源電流、及び逆導通スイッチ(50)を流れる逆導通スイッチ電流を示す。逆導通スイッチ用ダイオード(52)の整流方向、すなわち接続点(CP)から第1の入力端子(TE1)に向かう方向の逆導通スイッチ電流を負とする。図3(c)は、正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)との間のDC(direct current)電圧(直流リンク電圧)と、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の電圧とを示す。
【0039】
上述のように構成された電力変換装置(1)では、第1の駆動モードにおいて、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)の一部に、図1中矢印AR1で示す向きに電流が流れ、第2のコンデンサ(32)が充電される。このとき、第1の入力端子(TE1)から逆導通スイッチ(50)のバイポーラトランジスタ(51)を介して第2のコンデンサ(32)に電流が流れる。また、第2のコンデンサ(32)から第4の整流回路用ダイオード(14)を介して第2の入力端子(TE2)に電流が流れる。
【0040】
また、第1の駆動モードにおいて、第2の入力端子(TE2)の電圧が第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(図3(b)中符号HC2で示す)の一部には、図1中矢印AR2で示す向きに電流が流れ、第1のコンデンサ(31)が充電される。このとき、第2の入力端子(TE2)から第3の整流回路用ダイオード(13)を介して第1のコンデンサ(31)に電流が流れる。また、第1のコンデンサ(31)から逆導通スイッチ(50)の逆導通スイッチ用ダイオード(52)を介して第1の入力端子(TE1)に電流が流れる。
【0041】
このように、第1の駆動モードにおいては、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の両方が充電されるので、正電圧側電源線(21)及び負電圧側電源線(22)間のDC電圧が、各コンデンサ(31,32)の電圧の2倍程度となる。つまり、整流回路(10)が、いわゆる倍電圧整流モードで動作する。
【0042】
図4(a)~図4(c)は、第2の駆動モードにおける図3(a)~図3(c)に相当する図である。
【0043】
第2の駆動モードにおいては、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)の一部に、図2中矢印AR3で示す向きに電流が流れ、第1のコンデンサ(31)が充電される。このとき、第1の入力端子(TE1)から第1の整流回路用ダイオード(11)を介して第1のコンデンサ(31)に電流が流れる。また、第1のコンデンサ(31)から第2のコンデンサ(32)に電流が流れ、第2のコンデンサ(32)から第4の整流回路用ダイオード(14)を介して第2の入力端子(TE2)に電流が流れる。
【0044】
また、第2の駆動モードにおいて、第2の入力端子(TE2)の電圧が第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(HC2)の一部には、図2中矢印AR4で示す向きに電流が流れ、第1のコンデンサ(31)が充電される。このとき、第2の入力端子(TE2)から第3の整流回路用ダイオード(13)を介して第1のコンデンサ(31)に電流が流れる。また、第1のコンデンサ(31)から第2のコンデンサ(32)に電流が流れ、第2のコンデンサ(32)から第2の整流回路用ダイオード(12)を介して第1の入力端子(TE1)に電流が流れる。
【0045】
実施形態1での第2の駆動モードでは、定常状態において、整流回路(10)が、いわゆる全波整流モードのように動作する。過渡状態において第2のコンデンサ(32)の電圧がほぼ0又は正の値であるとき、第2のコンデンサ(32)の電圧と第2の整流回路用ダイオード(12)の順方向電圧を合わせた電圧が、逆導通スイッチ用ダイオード(52)の順方向電圧よりも大きくなるので、電流が矢印AR4で示す経路を流れず、逆導通スイッチ用ダイオード(52)に流れて第2のコンデンサ(32)が充電されない。しかし、第2のコンデンサ(32)から電動機(3)への電力供給によって第2のコンデンサ(32)が放電され、第2のコンデンサ(32)の電圧が0に近い負の電圧となり、第2のコンデンサ(32)の電圧と第2の整流回路用ダイオード(12)の順方向電圧を合わせた電圧が、逆導通スイッチ用ダイオード(52)の順方向電圧よりも小さくなるので、定常的には、第2のコンデンサ(32)の電圧は0に近い負の電圧で安定し、電流が矢印AR4の経路で流れるようになる。よって第2の駆動モードにおいては、正電圧側電源線(21)及び負電圧側電源線(22)間のDC電圧が、第1のコンデンサ(31)の電圧と同じ程度となる。また、第2の駆動モードにおいては、逆導通スイッチ(50)に電流が流れない。第2のコンデンサ(32)の電圧は、常に0に近い負の値となる。
【0046】
このように、第1の駆動モードと第2の駆動モードとで、整流回路(10)の出力電圧、すなわち負電圧側電源線(22)に対する正電圧側電源線(21)の電圧を、互いに異なる態様で遷移させることができる。
【0047】
したがって、本実施形態1によれば、整流モードの切り替えに、1つの逆導通スイッチ用ダイオード(52)と1つのバイポーラトランジスタ(51)とで構成された逆導通スイッチ(50)を用いるので、特許文献1のように4つのダイオードと1つの単方向スイッチとを有する双方向スイッチを用いる場合に比べ、素子数を減らし、回路規模を小さくできる。
【0048】
また、負電圧側電源線(22)側のコンデンサ、すなわち第2のコンデンサ(32)を無極性コンデンサとしたので、当該第2のコンデンサ(32)に、逆導通スイッチ(50)をオフ状態にしたときに負の電圧を印可できる。
【0049】
(実施形態2)
図5は、本開示の実施形態2に係る電力変換装置(1)を示す。本実施形態2では、第1のコンデンサ(31)が、無極性コンデンサである一方、第2のコンデンサ(32)が、有極性コンデンサである。
【0050】
また、逆導通スイッチ(50)が、バイポーラトランジスタ(51)をオフしたオフ状態で第1の入力端子(TE1)から第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)に向かう方向に電流が流れるように接続されている。つまり、バイポーラトランジスタ(51)のコレクタは、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)に接続され、バイポーラトランジスタ(51)のエミッタは、第1の入力端子(TE1)に接続されている。
【0051】
また、逆導通スイッチ用ダイオード(52)のアノードは、第1の入力端子(TE1)及びバイポーラトランジスタ(51)のエミッタに接続されている。逆導通スイッチ用ダイオード(52)のカソードは、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)、及びバイポーラトランジスタ(51)のコレクタに接続されている。
【0052】
また、本実施形態2では、第1の駆動モードは、第2の入力端子(TE2)の電圧が第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(HC2)に含まれる所定のオン期間に逆導通スイッチ(50)をオンするモードであり、第2の駆動モードは、第2の入力端子(TE2)の電圧が第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(HC2)に常に逆導通スイッチ(50)をオフするモードである。本実施形態2でも、実施形態1と同様に、第1の駆動モードにおいて、制御部(60)は、常に逆導通スイッチ(50)をオンにする。したがって、前記所定のオン期間は、第2の入力端子(TE2)の電圧が第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(HC2)全体となる。一方、第2の駆動モードにおいて、常に逆導通スイッチ(50)をオフにする。
【0053】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0054】
本実施形態2では、図6に示すように、第2の駆動モードにおいて、第2のコンデンサ(32)だけが充電され、第1のコンデンサ(31)の電圧が、常に0に近い負の値となる。
【0055】
したがって、本実施形態2によれば、正電圧側電源線(21)側のコンデンサ、すなわち第1のコンデンサ(31)を無極性コンデンサとしたので、当該第1のコンデンサ(31)に、逆導通スイッチ(50)をオフ状態にしたときに負の電圧を印可できる。
【0056】
(実施形態3)
図7は、本開示の実施形態3に係る電力変換装置(1)を示す。本実施形態3では、第2のコンデンサ(32)が、有極性コンデンサである。また、この第2のコンデンサ(32)に、負電圧電源線側ダイオード(33)がそのカソードを第2のコンデンサ(32)の正極側に向けた状態で並列に接続されている。負電圧電源線側ダイオード(33)のアノードは、負電圧側電源線(22)に接続され、負電圧電源線側ダイオード(33)のカソードは、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)に接続されている。
【0057】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0058】
図9(a)~図9(c)は、本実施形態3の電力変換装置(1)の第2の駆動モードにおける各部の電圧値及び電流値を示す。図9(b)において、整流回路ダイオード電流は、整流回路(10)の第2及び第4の整流回路用ダイオード(12,14)を流れる電流である。
【0059】
本実施形態3の電力変換装置(1)では、第2の駆動モードにおいて、第2の入力端子(TE2)の電圧が第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(HC2)の一部に、図7中矢印AR5及び矢印AR6で示す2つの経路に分かれて電流が流れる。矢印AR5に示す経路は、第2の入力端子(TE2)から第3の整流回路用ダイオード(13)、第1のコンデンサ(31)、及び逆導通スイッチ用ダイオード(52)を順に介して第1の入力端子(TE1)に至る経路である。矢印AR6に示す経路は、第2の入力端子(TE2)から第3の整流回路用ダイオード(13)、インバータ回路(40)、及び第2の整流回路用ダイオード(12)を順に介して第1の入力端子(TE1)に至る経路である。矢印AR5の経路に電流が流れる理由は以下のとおりである。前記半周期(HC2)において、矢印AR5の経路で電流が流れる前は、第2のコンデンサ(32)の電圧が負電圧電源線側ダイオード(33)の順方向電圧以下の負の電圧であり、図2の矢印AR4の経路で電流が流れている。矢印AR4の経路に電流が流れた状態で、第2のコンデンサ(32)が充電され続けると、第2のコンデンサ(32)の電圧と第2の整流回路用ダイオード(12)の順方向電圧を合わせた電圧が、逆導通スイッチ用ダイオード(52)の順方向電圧よりも大きくなり、この時点で、矢印AR5の経路に電流の経路が切り替わる。
【0060】
また、第2の駆動モードにおいて、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)の一部には、図8中矢印AR7及び矢印AR8で示す2つの経路に分かれて電流が流れる。矢印AR7に示す経路は、第1の入力端子(TE1)から第1の整流回路用ダイオード(11)、第1のコンデンサ(31)、第2のコンデンサ(32)及び第4の整流回路用ダイオード(14)を順に介して第2の入力端子(TE2)に至る経路である。矢印AR8に示す経路は、第1の入力端子(TE1)から第1の整流回路用ダイオード(11)、インバータ回路(40)、及び第4の整流回路用ダイオード(14)を順に介して第2の入力端子(TE2)に至る経路である。本実施形態3では、図9(c)に示すように、第2のコンデンサ(32)に印可される逆方向の電圧の絶対値が、負電圧電源線側ダイオード(33)の順方向電圧以下に維持される。
【0061】
したがって、本実施形態3によれば、負電圧側電源線(22)側のコンデンサ、すなわち第2のコンデンサ(32)として有極性コンデンサを用いるので、無極性コンデンサを用いる場合に比べ、当該第2のコンデンサ(32)を小型化できる。また、第2のコンデンサ(32)に印可される逆方向の電圧の絶対値を、負電圧電源線側ダイオード(33)の順方向電圧以下にできるので、第2のコンデンサ(32)に絶対値の大きい逆方向の電圧が印可されることによる当該第2のコンデンサ(32)の故障を抑制できる。
【0062】
(実施形態4)
図10は、本開示の実施形態4に係る電力変換装置(1)を示す。本実施形態4では、第1のコンデンサ(31)が、有極性コンデンサである。また、この第1のコンデンサ(31)に、正電圧電源線側ダイオード(34)がそのカソードを第1のコンデンサ(31)の正極側に向けた状態で並列に接続されている。正電圧電源線側ダイオード(34)のアノードは、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の接続点(CP)に接続され、正電圧電源線側ダイオード(34)のカソードは、正電圧側電源線(21)に接続されている。
【0063】
その他の構成は、実施形態2と同じであるので、同一の構成には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0064】
本実施形態4では、図11に示すように、第2の駆動モードにおいて、第1のコンデンサ(31)に印可される逆方向の電圧の絶対値が、正電圧電源線側ダイオード(34)の順方向電圧以下に維持される。
【0065】
したがって、本実施形態4によれば、正電圧側電源線(21)側のコンデンサ、すなわち第1のコンデンサ(31)として有極性コンデンサを用いるので、無極性コンデンサを用いる場合に比べ、当該第1のコンデンサ(31)を小型化できる。また、第1のコンデンサ(31)に印可される逆方向の電圧の絶対値を、正電圧電源線側ダイオード(34)の順方向電圧以下にできるので、第1のコンデンサ(31)に絶対値の大きい逆方向の電圧が印可されることによる当該第1のコンデンサ(31)の故障を抑制できる。
【0066】
(実施形態5)
本開示の実施形態5では、制御部(60)が、オン期間(T1)の長さ、及び開始タイミングをユーザ又は外部装置からの入力に基づいて可変に設定できる。
【0067】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0068】
図12中、G1は、オン期間(T1)を、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)の一部とした場合の整流回路(10)の出力電圧を示す。G2は、実施形態1と同様に、オン期間(T1)を、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)全体にした場合の整流回路(10)の出力電圧を示す。G3は、オン期間(T1)を、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)に設けない場合の整流回路(10)の出力電圧を示す。
【0069】
図13(a)及び図13(b)に示す例では、オン期間(T1)を、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)の一部としている。また、オン期間(T1)の開始タイミングを、当該半周期(HC1)の開始タイミング、すなわち第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧と等しくなったタイミングとしている。オン期間(T1)を、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)の一部とした場合、オン期間(T1)中、第2のコンデンサ(32)だけが充電され、第1のコンデンサ(31)が充電されない。一方、第1の入力端子(TE1)の電圧が第2の入力端子(TE2)の電圧以上となる半周期(HC1)のうち、逆導通スイッチ(50)をオフする期間(図13(b)中、符号T2で示す)の少なくとも一部には、第1及び第2のコンデンサ(31,32)の両方が充電される。
【0070】
したがって、本実施形態5によれば、オン期間(T1)の長さ(半周期(HC1)に占める割合)又は開始タイミングを変更することにより、第1の駆動モードにおける整流回路(10)の出力電圧の遷移の態様を変更できる。
【0071】
(実施形態6)
図14は、本開示の実施形態6に係る電力変換装置(1)を示す。本実施形態6では、逆導通スイッチ(50)が、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)、すなわちユニポーラトランジスタで構成されている。
【0072】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0073】
本実施形態6でも、第1の駆動モードにおいて、制御部(60)は、常に逆導通スイッチ(50)をオンにする。つまり、第1の駆動モードにおいて、制御部(60)は、第2の入力端子(TE2)の電圧が第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(HC2)中常に、逆導通スイッチ(50)をオンにするオン制御を実行する。したがって、当該オン制御中、電流が、逆導通スイッチ(50)のチャネルに、第1及び第2のコンデンサ(31,32)から第1の入力端子(TE1)に向かう方向(電流方向)に電流が流れる。このように、オン制御中、電流を逆導通スイッチ(50)のチャネルに流せるので、ボディダイオードだけに流す場合に比べ、逆導通スイッチ(50)における電力損失を低減できる。
【0074】
なお、上記実施形態3において、第2の駆動モードにおける第2の入力端子(TE2)の電圧が第1の入力端子(TE1)の電圧以上となる半周期(HC2)中に、逆導通スイッチ(50)をオンするオン制御を実行してもよい。これにより、例えば図7の矢印AR5に示す経路で、接続点(CP)から逆導通スイッチ(50)を介して第1の入力端子(TE1)に電流が流れる際に、逆導通スイッチ(50)のチャネルに電流を流し、逆導通スイッチ(50)における電力損失を低減できる。
【0075】
(実施形態7)
本開示の実施形態7では、図15(a)及び図15(b)に示すように、制御部(60)が、第1の駆動モードにおいて、逆導通スイッチ(50)に電流が流れていないときに、逆導通スイッチ(50)をオン状態からオフ状態に切り替える第1切替制御、及び逆導通スイッチ(50)をオンしても逆導通スイッチ(50)に電流が流れないときに、逆導通スイッチ(50)をオフ状態からオン状態に切り替える第2切替制御を実行する。
【0076】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0077】
したがって、本実施形態7によれば、逆導通スイッチ(50)のスイッチング損失を低減できる。
【0078】
また、上記実施形態1において、第1の駆動モードでオン状態の逆導通スイッチ(50)のチャネルに電流が流れていないときに、逆導通スイッチ(50)をオン状態からオフ状態に切り替えることにより、駆動モードを第2の駆動モードに切り替えるようにしてもよい。また、この場合、第2の駆動モードで逆導通スイッチ(50)をオンしても逆導通スイッチ(50)のチャネルに電流が流れないタイミングで、逆導通スイッチ(50)をオフ状態からオン状態に切り替えることにより、駆動モードを第1の駆動モードに切り替えるようにしてもよい。これにより、逆導通スイッチ(50)のスイッチング損失を低減できる。
【0079】
(その他の実施形態)
上記実施形態1~7では、制御部(60)が、ユーザ又は外部装置からの入力に基づいて、第1及び第2の駆動モードのいずれか一方を選択したが、インバータ回路(40)、単相交流電源(2)、及び電動機(3)のうちの少なくとも1つの状態に基づいて選択してもよい。例えば、インバータ回路(40)の出力電力、入力電力、及び入力電流等、インバータ回路(40)の出力電力に関わる値に基づいて選択してもよいし、電動機(3)の回転数、インバータ回路(40)のスイッチング素子(41a~46a)のデューティ比、インバータ回路(40)の入力電力等、電動機(3)の誘起電圧に関わる値に基づいて選択してもよい。また、電源電圧に基づいて選択してもよい。
【0080】
また、上記実施形態1~7では、正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)に入力される直流を交流に変換して電動機(3)に供給するインバータ回路(40)を電力変換回路として設けたが、正電圧側電源線(21)と負電圧側電源線(22)に入力される直流を直流に変換して電動機(3)に供給するDC/DCコンバータを電力変換回路として設けてもよい。
【0081】
なお、上記実施形態5では、オン期間(T1)の長さ及び開始タイミングの両方を可変としたが、いずれか一方だけを可変としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態5では、制御部(60)が、オン期間(T1)の長さ、及び開始タイミングをユーザ又は外部装置からの入力に基づいて設定したが、電力変換装置(1)、単相交流電源(2)、及び電動機(3)のうちの少なくとも1つの状態に基づいて設定してもよい。例えば、インバータ回路(40)の出力電力、入力電力、及び入力電流等、インバータ回路(40)の出力電力に関わる値に基づいて設定してもよいし、電動機(3)の回転数、インバータ回路(40)のスイッチング素子(41a~46a)のデューティ比、インバータ回路(40)の入力電力等、電動機(3)の誘起電圧に関わる値に基づいて設定してもよい。また、電源電圧に基づいて設定してもよい。これにより、整流回路(10)の出力電圧の遷移の態様を、電力変換装置(1)、単相交流電源(2)、及び電動機(3)のうちの少なくとも1つの状態に基づいて、第1及び第2の駆動モードに対応する2つの態様から選択できる。
【0083】
また、上記実施形態7では、制御部(60)が、第1の駆動モードにおいて、第1切替制御と第2切替制御の両方を実行したが、いずれか一方だけを実行してもよい。
【0084】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示は、単相交流電源から供給される入力交流を直流に変換する整流回路を備えた電力変換装置として有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 電力変換装置
2 単相交流電源
3 電動機(負荷)
10 整流回路
21 正電圧側電源線
22 負電圧側電源線
31 第1のコンデンサ
32 第2のコンデンサ
33 負電圧電源線側ダイオード
34 正電圧電源線側ダイオード
40 インバータ回路(電力変換回路)
50 逆導通スイッチ
60 制御部
TE1 第1の入力端子
TE2 第2の入力端子
CP 接続点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15