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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20231115BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
H02K1/14 C
H02K1/18 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021509531
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013425
(87)【国際公開番号】W WO2020196656
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2019064557
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】木戸 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】浅野 能成
(72)【発明者】
【氏名】浅利 司
(72)【発明者】
【氏名】日比野 寛
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0048708(US,A1)
【文献】特開2006-174638(JP,A)
【文献】特開2009-005421(JP,A)
【文献】特開2005-198497(JP,A)
【文献】特開2008-301674(JP,A)
【文献】特開2018-074882(JP,A)
【文献】特開平10-295070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/14
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(10)と、前記ステータ(10)に対して回転可能に構成されたロータ(50,100)と、第1端板部(61)、第2端板部(62)、及び1つ以上の棒状部(63,64)を含む固定部材(60)とを備えるモータ(1)であって、
前記ステータ(10)および前記ロータ(50,100)の少なくとも一方は、圧粉磁心によって構成される鉄心(11,111)を備え、
前記鉄心(11,111)は、前記ロータ(50,100)の回転軸心(RA)に沿って前記ロータ(50,100)の軸方向に貫通した1つの貫通孔(10A)を有し、
前記第1端板部(61)は、前記鉄心(11,111)において、軸方向の一方の端面(10B,111D)に直接的または間接的に接触するように配置され、
前記第2端板部(62)は、前記鉄心(11,111)において、軸方向の他方の端面(10C,111E)に直接的または間接的に接触するように配置され、
前記棒状部(63,64)が前記鉄心(11,111)の貫通孔(10A)に挿入され、前記鉄心(11,111)が前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)によって前記ロータ(50,100)の軸方向に挟まれた状態で、前記棒状部(63,64)と前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)とが固定される
モータ。
【請求項2】
前記ステータ(10)は、前記ロータ(50,100)の軸方向に積層された複数の固定子鉄心(11)と、前記複数の固定子鉄心(11)の間に設けられる相間絶縁部材(40,80,90)とを備える
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記固定子鉄心(11)は、貫通孔(11A)を有する円状のバックヨーク(12)と、前記バックヨーク(12)から前記ロータ(50,100)の径方向に突出した固定子爪磁極(13)とを含み、
前記相間絶縁部材(40,80,90)は、隣接する前記固定子鉄心(11)の間に配置される絶縁部(41,81,91)と、支持部(42,82,92)とを含み、
前記固定子爪磁極(13)と前記支持部(42,82,92)とが、前記ロータ(50,100)の回転軸心(RA)の周方向及び前記ロータ(50,100)の径方向の少なくとも一方において接触する
請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
ステータ(10)と、前記ステータ(10)に対して回転可能に構成されたロータ(50,100)と、第1端板部(61)、第2端板部(62)、及び1つ以上の棒状部(63,64)を含む固定部材(60)とを備えるモータ(1)であって、
前記ステータ(10)および前記ロータ(50,100)の少なくとも一方は、圧粉磁心によって構成される鉄心(11,111)を備え、
前記ステータ(10)は、前記ロータ(50,100)の軸方向に積層された複数の固定子鉄心(11)と、前記複数の固定子鉄心(11)の間に設けられる相間絶縁部材(40,80,90)とを備え、
前記固定子鉄心(11)は、貫通孔(11A)を有する円状のバックヨーク(12)と、前記バックヨーク(12)から前記ロータ(50,100)の径方向に突出した固定子爪磁極(13)とを含み、
前記相間絶縁部材(40,80,90)は、隣接する前記固定子鉄心(11)の間に配置される絶縁部(41,81,91)と、支持部(42,82,92)とを含み、
前記固定子爪磁極(13)と前記支持部(42,82,92)とが、前記ロータ(50,100)の回転軸心(RA)の周方向及び前記ロータ(50,100)の径方向の少なくとも一方において接触し、
前記鉄心(11,111)は、前記ロータ(50,100)の軸方向に貫通した貫通孔(10A,111B)を有し、
前記第1端板部(61)は、前記鉄心(11,111)において、軸方向の一方の端面(10B,111D)に直接的または間接的に接触するように配置され、
前記第2端板部(62)は、前記鉄心(11,111)において、軸方向の他方の端面(10C,111E)に直接的または間接的に接触するように配置され、
前記棒状部(63,64)が前記鉄心(11,111)の貫通孔(10A,111B)に挿入され、前記鉄心(11,111)が前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)によって前記ロータ(50,100)の軸方向に挟まれた状態で、前記棒状部(63,64)と前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)とが固定される
モータ。
【請求項5】
前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)の一方は、前記棒状部(63,64)と一体に構成される
請求項1~4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記棒状部(63,64)には、ねじ溝(63A,64A)が形成され、
前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)の少なくとも一方には、前記棒状部(63,64)のねじ溝(63A,64A)と螺合可能なねじ溝(62A,62C)が形成される
請求項1~5のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項7】
前記固定部材(60)は、ねじ溝(65A)が形成された押さえ部(65)をさらに含み、
前記棒状部(63,64)には、ねじ溝(63A,64A)が形成され、
前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)の少なくとも一方は、前記棒状部(63,64)を挿通可能に前記ロータ(50,100)の軸方向に貫通した貫通孔(62E)を有し、
前記押さえ部(65)は、前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)の一方を介して、前記鉄心(11,111)と対向するように配置され、
前記棒状部(63,64)のねじ溝(63A,64A)と前記押さえ部(65)のねじ溝(65A)とが螺合される
請求項1~6のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項8】
前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)の少なくとも一方は、前記棒状部(63,64)を挿入可能な前記ロータ(50,100)の軸方向の穴(62F)を有し、
前記棒状部(63,64)と前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)の少なくとも一方の前記穴(62F)とが、圧入、焼き嵌め、及び冷やし嵌めのいずれかの工法で締結される
請求項1~7のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項9】
前記棒状部(63,64)と前記第1端板部(61)及び前記第2端板部(62)の少なくとも一方とが、接着、溶着、又は溶接される
請求項1~8のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項10】
前記棒状部(63,64)は、前記鉄心(11,111)の貫通孔(10A)の内面(10D)と、前記ロータ(50,100)の径方向において隙間(S)を空けて対向する
請求項1~9のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項11】
前記固定部材(60)は、複数の前記棒状部(64)を含み、
前記複数の棒状部(64)は、前記ロータ(50,100)の回転軸心(RA)の周方向に間隔を空けて配置される
請求項1~3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項12】
前記固定部材(60)は、複数の前記棒状部(64)を含み、
前記複数の棒状部(64)は、前記ロータ(50,100)の回転軸心(RA)の周方向に間隔を空けて配置される
請求項4に記載のモータ。
【請求項13】
前記棒状部(63)は、内部空間(63D)を有し、
前記内部空間(63D)を構成する内周面(63E)と前記棒状部(63)の外周面(63B)とを前記ロータ(50,100)の径方向に貫通する貫通部(63F)が前記棒状部(63)に形成される
請求項1~3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項14】
前記ステータ(10)は、圧粉磁心によって形成された固定子鉄心(11)を備える
請求項1~13のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項15】
前記ロータ(100)は、圧粉磁心によって形成された回転子鉄心(111)を備える
請求項1~14のいずれか一項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アウターロータ型のモータが開示されている。このモータでは、支持部材にステータが固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-158072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ステータが圧粉磁心によって構成される場合、ステータに支持部材を圧入すると、圧入にともない径方向の力が圧粉磁心に作用し、圧粉磁心が破損するおそれがある。また、ロータが圧粉磁心によって構成される場合、ロータを軸心に圧入すると、圧入にともない径方向の力が圧粉磁心に作用し、圧粉磁心が破損するおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、圧粉磁心によって構成される鉄心を有するモータにおいて、鉄心の破損を抑制できるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するモータは、ステータと、前記ステータに対して回転可能に構成されたロータと、第1端板部、第2端板部、及び1つ以上の棒状部を含む固定部材とを備えるモータであって、前記ステータおよび前記ロータの少なくとも一方は、圧粉磁心によって構成される鉄心を備え、前記鉄心は、前記ロータの軸方向に貫通した貫通孔を有し、前記第1端板部は、前記鉄心において、軸方向の一方の端面に直接的または間接的に接触するように配置され、前記第2端板部は、前記鉄心において、軸方向の他方の端面に直接的または間接的に接触するように配置され、前記棒状部が前記鉄心の貫通孔に挿入され、前記鉄心が前記第1端板部及び前記第2端板部によって前記ロータの軸方向に挟まれた状態で、前記棒状部と前記第1端板部及び前記第2端板部とが固定される。
【0007】
この構成によれば、鉄心の貫通孔に挿入された棒状部と、第1端板部及び第2端板部とが固定されることによって、鉄心は、第1端板部と第2端板部との間で挟まれるように固定される。これによって、圧粉磁心を圧縮する力によって鉄心が固定部材に固定されるため、圧粉磁心によって構成される鉄心の破損を抑制できる。
【0008】
上記モータにおいて、前記第1端板部及び前記第2端板部の一方は、前記棒状部と一体に構成されることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、固定部材を構成する部品の一部が一体に構成されるため、固定部材の部品点数を削減できる。
【0010】
上記モータにおいて、前記棒状部には、ねじ溝が形成され、前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方には、前記棒状部のねじ溝と螺合可能なねじ溝が形成されることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、鉄心の貫通孔に挿入された棒状部のねじ溝が、第1端板部及び第2端板部の少なくとも一方のねじ溝に螺合されることによって、鉄心を簡素な構成で固定できる。
【0012】
上記モータにおいて、前記固定部材は、ねじ溝が形成された押さえ部をさらに含み、前記棒状部には、ねじ溝が形成され、前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方は、前記棒状部を挿通可能に前記ロータの軸方向に貫通した貫通孔を有し、前記押さえ部は、前記第1端板部及び前記第2端板部の一方を介して、前記鉄心と対向するように配置され、前記棒状部のねじ溝と前記押さえ部のねじ溝とが螺合されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、鉄心の貫通孔に挿入された棒状部のねじ溝が、第1端板部及び第2端板部の少なくとも一方の貫通孔を挿通して押さえ部のねじ溝に螺合されることによって、鉄心を簡素な構成で固定できる。
【0014】
上記モータにおいて、前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方は、前記棒状部を挿入可能な前記ロータの軸方向の穴を有し、前記棒状部と前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方の前記穴とが、圧入、焼き嵌め、及び冷やし嵌めのいずれかの工法で締結されることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、鉄心の貫通孔に挿入された棒状部が、第1端板部及び第2端板部の少なくとも一方の穴に圧入、焼き嵌め、及び冷やし嵌めのいずれかの工法で締結されることによって、鉄心を強固に固定できる。
【0016】
上記モータにおいて、前記棒状部と前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方とが、接着、溶着、又は溶接されることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、鉄心の貫通孔に挿入された棒状部が、第1端板部及び第2端板部の少なくとも一方に接着、溶着、又は溶接されることによって、鉄心を強固に固定できる。
【0018】
上記モータにおいて、前記棒状部は、前記鉄心の貫通孔の内面と、前記ロータの径方向において隙間を空けて対向することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、鉄心の貫通孔に挿入された棒状部と貫通孔の内面とが接触しないため、鉄心にロータの径方向の力が作用しにくい。このため、鉄心を固定部材によって安定して固定できる。
【0020】
上記モータにおいて、前記固定部材は、複数の前記棒状部を含み、前記複数の棒状部は、前記ロータの回転軸心の周方向に間隔を空けて配置されることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、複数の棒状部が鉄心の貫通孔に挿入され、複数の棒状部と第1端板部及び第2端板部とが固定されるため、鉄心を強固に固定できる。
【0022】
上記モータにおいて、前記棒状部は、内部空間を有し、前記内部空間を構成する内周面と前記棒状部の外周面とを前記ロータの径方向に貫通する貫通部が前記棒状部に形成されることが好ましい。この構成によれば、鉄心のコイルを構成する巻線を、貫通部を介して容易に引き出すことができる。また、モータを軽量に構成できる。
【0023】
上記モータにおいて、前記ステータは、圧粉磁心によって形成された固定子鉄心を備えることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、渦電流の発生が抑制されるため、渦電流損の低減に貢献できる。また、固定子鉄心の形状の自由度が向上する。
【0025】
上記モータにおいて、前記ロータは、圧粉磁心によって形成された回転子鉄心を備えることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、渦電流の発生が抑制されるため、渦電流損の低減に貢献できる。また、回転子鉄心の形状の自由度が向上する。
【0027】
上記モータにおいて、前記ステータは、前記ロータの軸方向に積層された複数の固定子鉄心と、前記複数の固定子鉄心の間に設けられる相間絶縁部材とを備えることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、複数の固定子鉄心の間に相間絶縁部材が配置されるため、複数の固定子鉄心の間が好適に絶縁される。このため、磁束漏れが抑制され、モータの性能が向上する。
【0029】
上記モータにおいて、前記固定子鉄心は、貫通孔を有する円状のバックヨークと、前記バックヨークから前記ロータの径方向に突出した固定子爪磁極とを含み、前記相間絶縁部材は、隣接する前記固定子鉄心の間に配置される絶縁部と、支持部とを含み、前記固定子爪磁極と前記支持部とが、前記ロータの回転軸心の周方向及び前記ロータの径方向の少なくとも一方において接触することが好ましい。
【0030】
この構成によれば、ロータの周方向及びロータの径方向の少なくとも一方において、固定子鉄心が固定子爪磁極と支持部との接触によって位置決めされる。このため、固定子鉄心の構成を複雑化することなく、固定子鉄心同士を位置決めできる。
【0031】
以下に、参考のモータを開示する。
【0032】
モータは、クローポール型ステータと、前記クローポール型ステータに対して回転可能に構成されたロータと、第1端板部、第2端板部、及び1つ以上の棒状部を含む固定部材とを備えるアウターロータ型のモータであって、前記クローポール型ステータは、前記ロータの軸方向に貫通した貫通孔を有し、前記第1端板部は、前記クローポール型ステータにおいて、前記ロータの軸方向の一方の端面に接触するように配置され、前記第2端板部は、前記クローポール型ステータにおいて、前記ロータの軸方向の他方の端面に接触するように配置され、前記棒状部が前記クローポール型ステータの貫通孔に挿入され、前記クローポール型ステータが前記第1端板部及び前記第2端板部によって前記ロータの軸方向に挟まれた状態で、前記棒状部と前記第1端板部及び前記第2端板部とが固定される。
【0033】
この構成によれば、クローポール型ステータの貫通孔に挿入された棒状部と、第1端板部及び第2端板部とが固定されるため、クローポール型ステータが第1端板部と第2端板部との間で挟まれるように固定される。この場合、製造時においてクローポール型ステータにロータの径方向の力が作用しにくい。このため、クローポール型ステータを固定部材によって安定して固定できる。
【0034】
上記モータにおいて、前記第1端板部及び前記第2端板部の一方は、前記棒状部と一体に構成されることが好ましい。
【0035】
この構成によれば、固定部材を構成する部品の一部が一体に構成されるため、固定部材の部品点数を削減できる。
【0036】
上記モータにおいて、前記棒状部には、ねじ溝が形成され、前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方には、前記棒状部のねじ溝と螺合可能なねじ溝が形成されることが好ましい。
【0037】
この構成によれば、クローポール型ステータの貫通孔に挿入された棒状部のねじ溝が、第1端板部及び第2端板部の少なくとも一方のねじ溝に螺合されることによって、クローポール型ステータを簡素な構成で固定できる。
【0038】
上記モータにおいて、前記固定部材は、ねじ溝が形成された押さえ部をさらに含み、前記棒状部には、ねじ溝が形成され、前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方は、前記棒状部を挿通可能に前記ロータの軸方向に貫通した貫通孔を有し、前記押さえ部は、前記第1端板部及び前記第2端板部の一方を介して、前記クローポール型ステータと対向するように配置され、前記棒状部のねじ溝と前記押さえ部のねじ溝とが螺合されることが好ましい。
【0039】
この構成によれば、クローポール型ステータの貫通孔に挿入された棒状部のねじ溝が、第1端板部及び第2端板部の少なくとも一方の貫通孔を挿通して押さえ部のねじ溝に螺合されることによって、クローポール型ステータを簡素な構成で固定できる。
【0040】
上記モータにおいて、前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方は、前記棒状部を挿入可能な前記ロータの軸方向の穴を有し、前記棒状部と前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方の前記穴とが、圧入、焼き嵌め、及び冷やし嵌めのいずれかの工法で締結されることが好ましい。
【0041】
この構成によれば、クローポール型ステータの貫通孔に挿入された棒状部が、第1端板部及び第2端板部の少なくとも一方の穴に圧入、焼き嵌め、及び冷やし嵌めのいずれかの工法で締結されることによって、クローポール型ステータを強固に固定できる。
【0042】
上記モータにおいて、前記棒状部と前記第1端板部及び前記第2端板部の少なくとも一方とが、接着、溶着、又は溶接されることが好ましい。
【0043】
この構成によれば、クローポール型ステータの貫通孔に挿入された棒状部が、第1端板部及び第2端板部の少なくとも一方に接着、溶着、又は溶接されることによって、クローポール型ステータを強固に固定できる。
【0044】
上記モータにおいて、前記棒状部は、前記クローポール型ステータの貫通孔の内面と、前記ロータの径方向において隙間を空けて対向することが好ましい。
【0045】
この構成によれば、クローポール型ステータの貫通孔に挿入された棒状部と貫通孔の内面とが接触しないため、クローポール型ステータにロータの径方向の力が作用しにくい。このため、クローポール型ステータを固定部材によって安定して固定できる。
【0046】
上記モータにおいて、前記固定部材は、複数の前記棒状部を含み、前記複数の棒状部は、前記ロータの周方向に間隔を空けて配置されることが好ましい。
【0047】
この構成によれば、複数の棒状部がクローポール型ステータの貫通孔に挿入され、複数の棒状部と第1端板部及び第2端板部とが固定されるため、クローポール型ステータを強固に固定できる。
【0048】
上記モータにおいて、前記棒状部は、内部空間を有し、前記内部空間を構成する内周面と前記棒状部の外周面とを前記ロータの径方向に貫通する貫通部が前記棒状部に形成されることが好ましい。この構成によれば、クローポール型ステータのコイルを構成する巻線を、貫通部を介して容易に引き出すことができる。また、モータを軽量に構成できる。
【0049】
上記モータにおいて、前記クローポール型ステータは、圧粉磁心によって形成された固定子鉄心を備えることが好ましい。
【0050】
この構成によれば、渦電流の発生が抑制されるため、渦電流損の低減に貢献できる。また、固定子鉄心の形状の自由度が向上する。
【0051】
上記モータにおいて、前記クローポール型ステータは、前記ロータの軸方向に積層された複数の固定子鉄心と、前記複数の固定子鉄心の間に設けられる相間絶縁部材とを備えることが好ましい。
【0052】
この構成によれば、複数の固定子鉄心の間に相間絶縁部材が配置されるため、複数の固定子鉄心の間が好適に絶縁される。このため、磁束漏れが抑制され、モータの性能が向上する。
【0053】
上記モータにおいて、前記固定子鉄心は、貫通孔を有する円状のバックヨークと、前記バックヨークから前記ロータの径方向に突出した固定子爪磁極とを含み、前記相間絶縁部材は、隣接する前記固定子鉄心の間に配置される絶縁部と、支持部とを含み、前記固定子爪磁極と前記支持部とが、前記ロータの周方向及び前記ロータの径方向の少なくとも一方において接触することが好ましい。
【0054】
この構成によれば、ロータの周方向及びロータの径方向の少なくとも一方において、固定子鉄心が固定子爪磁極と支持部との接触によって位置決めされる。このため、固定子鉄心の構成を複雑化することなく、固定子鉄心同士を位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】第1実施形態のモータの斜視図。
図2図1のモータにおいて、ロータが省略された状態を示す斜視図。
図3図2のモータの分解斜視図。
図4図3の固定子鉄心の分解斜視図。
図5図3の相間絶縁部材の斜視図。
図6図5の相間絶縁部材と第1固定子との関係を示す斜視図。
図7図5の相間絶縁部材と第2固定子との関係を示す斜視図。
図8図2のモータにおいて、ロータの軸方向に沿う断面図。
図9】第2実施形態のモータの斜視図。
図10図9の相間絶縁部材の斜視図。
図11図10の相間絶縁部材と第1固定子との関係を示す斜視図。
図12図10の相間絶縁部材と第2固定子との関係を示す斜視図。
図13】第3実施形態のモータの斜視図。
図14図13の相間絶縁部材の斜視図。
図15図14の相間絶縁部材と第1固定子との関係を示す斜視図。
図16図14の相間絶縁部材と第2固定子との関係を示す斜視図。
図17】第4実施形態のモータにおいて、ロータ軸方向に沿う断面図。
図18】第5実施形態のモータにおいて、ロータ軸方向に沿う断面図。
図19】第6実施形態のモータにおいて、ロータ軸方向に沿う断面図。
図20】第7実施形態の棒状部の斜視図。
図21】変形例の固定子鉄心の第1固定子を示す斜視図。
図22】変形例の固定子鉄心の第1固定子を示す斜視図。
図23】変形例の固定子鉄心の第1固定子を示す斜視図。
図24】インナーロータ型のモータにおいて、回転子鉄心の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態のモータ1について説明する。なお、本開示は、以下に記載する例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0057】
モータ1は、ステータ10と、ステータ10に対して回転可能に構成されたロータと、固定部材60とを備える。モータ1において、ステータ10およびロータ50の少なくとも一方は、圧粉磁心によって構成される鉄心を備える。モータ1は、アウターロータ型のモータ、及び、インナーロータ型のモータのいずれかの構成を有する。
【0058】
図1に示されるように、本実施形態に示されるモータ1は、アウターロータ型のモータである。モータ1は、例えば空気調和機(図示略)に搭載される。一例では、モータ1は、空気調和機に搭載されるシロッコファン(図示略)を駆動可能に構成されている。モータ1は、クローポール型ステータ10(以下、「ステータ10」)と、ステータ10に対して回転可能に構成されたロータ50と、ステータ10を固定可能な固定部材60とを備える。
【0059】
ロータ50は、回転軸心RAを有する。ロータ50は、回転軸心RAまわりに回転可能に構成される。ロータ50は、回転軸心RAの軸方向に積層された複数の回転子鉄心51と、回転子鉄心51の内周面51Aに設けられる複数の磁石52とを含む。回転軸心RAの軸方向は、ロータ50の軸方向(以下、「軸方向」)と一致する。回転子鉄心51は、例えば円環形状を有する。複数の回転子鉄心51の数は、ステータ10を構成する複数の固定子鉄心11(図2参照)の数と一致する。一例では、複数の回転子鉄心51の数は3つである。複数の磁石52は、例えば各回転子鉄心51の内周面51Aにおいて、固定子鉄心11の外周面11D(図2参照)と対向するように回転軸心RAの周方向に並べられている。一例では、複数の磁石52は、各回転子鉄心51の内周面51Aにおいて、回転軸心RAの周方向に20個ずつ並べられている。回転軸心RAの周方向は、ロータ50の周方向(以下、「周方向」)と一致する。磁石52は、例えば永久磁石である。
【0060】
図2に示されるように、ステータ10は、軸方向に積層された複数の固定子鉄心11と、複数の固定子鉄心11の間に設けられる相間絶縁部材40とを備える。固定子鉄心11は、圧粉磁心によって形成されている。複数の固定子鉄心11の数は2つ以上である。一例では、複数の固定子鉄心11の数は3つである。本実施形態のステータ10は、3次元磁気構造を有し、固定子鉄心11がU相、V相、W相の順に積層された3相クローポール型ステータである。図2に示される例では、周方向における各相の固定子鉄心11の位置が互いに電気角で120°異なるように各相の固定子鉄心11が積層されている。
【0061】
相間絶縁部材40は非磁性体である。相間絶縁部材40を構成する材料の一例は樹脂である。相間絶縁部材40は、軸方向において互いに隣り合う一方の固定子鉄心11と他方の固定子鉄心11とが互いに絶縁されるように、一方の固定子鉄心11と他方の固定子鉄心11との間に配置されている。相間絶縁部材40の数は、複数の固定子鉄心11の数によって決められる。一例では、相間絶縁部材40の数は2つである。図2に示されるドットは、相間絶縁部材40を示している。
【0062】
図3に示されるように、ステータ10は、固定子鉄心11と固定部材60との間に設けられる絶縁部材70をさらに備える。絶縁部材70は、非磁性体である。絶縁部材70を構成する材料の一例は樹脂である。絶縁部材70は、固定子鉄心11と固定部材60とが互いに絶縁されるように、固定子鉄心11と固定部材60との間に配置されている。絶縁部材70は、軸方向において、固定子鉄心11と固定部材60の第1端板部61との間、及び固定子鉄心11と固定部材60の第2端板部62との間の少なくとも一方に配置される。図3に示される例では、絶縁部材70は、固定子鉄心11と固定部材60の第1端板部61との間に配置されている。
【0063】
絶縁部材70は、例えば相間絶縁部材40が軸方向と直交する面に沿って二等分された一方の形状を有する。この場合、固定部材60の第1端板部61と対向する絶縁部材70の端面71は平面である。絶縁部材70の端面71は、ステータ10の一方の端面10Bを構成している。絶縁部材70は、相間絶縁部材40と実質的に同じ形状を有していてもよく、平板形状を有していてもよい。相間絶縁部材40が軸方向と直交する面に沿って二等分された一方の形状が、第2端板部62の固定子鉄心11と対向する部分に形成されていてもよい。ステータ10は、絶縁部材70を省略して構成されてもよい。この例では、固定部材60の第1端板部61と対向するU相の固定子鉄心11の端面11Bが、ステータ10の端面10Bを構成する。
【0064】
ステータ10は、軸方向に貫通した貫通孔10Aを有する。一例では、固定子鉄心11が軸方向に貫通した貫通孔11Aを有し、相間絶縁部材40が軸方向に貫通した貫通孔40Aを有し、絶縁部材70が軸方向に貫通した貫通孔70Aを有する。固定子鉄心11の貫通孔11A、相間絶縁部材40の貫通孔40A、及び絶縁部材70の貫通孔70Aがステータ10の貫通孔10Aを構成している。固定子鉄心11の貫通孔11A、相間絶縁部材40の貫通孔40A、及び絶縁部材70の貫通孔70Aは、実質的に同じ大きさを有する。
【0065】
固定部材60は、第1端板部61、第2端板部62、及び1つ以上の棒状部63を含む。第1端板部61は、例えば円板形状を有する。第1端板部61は、ステータ10において、軸方向の一方の端面10Bに接触するように配置されている。一例では、第1端板部61は、絶縁部材70の端面71に接触するように配置されている。絶縁部材70がステータ10から省略される例では、第1端板部61は、U相の固定子鉄心11の端面11Bに接触するように配置される。第2端板部62は、例えば円板形状を有する。一例では、第2端板部62は、第1端板部61よりも直径が大きい円板形状を有する。第2端板部62は、ステータ10において、軸方向の他方の端面10C(図8参照)に接触するように配置されている。ステータ10の他方の端面10Cは、W相の固定子鉄心11の端面11C(図8参照)によって構成されている。一例では、第2端板部62は、W相の固定子鉄心11の端面11Cに接触するように配置されている。
【0066】
棒状部63は、ステータ10の貫通孔10Aに挿入可能に構成されている。棒状部63がステータ10の貫通孔10Aに挿入され、ステータ10が第1端板部61及び第2端板部62によって軸方向に挟まれた状態で、棒状部63と第1端板部61及び第2端板部62とが固定される。第1端板部61及び第2端板部62の一方は、棒状部63と一体に構成される。本実施形態の棒状部63は、第1端板部61と一体に構成されている。棒状部63は、第2端板部62と一体に構成されていてもよい。
【0067】
棒状部63には、ねじ溝63Aが形成されている。ねじ溝63Aは、棒状部63の外周面63Bに形成されている。一例では、ねじ溝63Aは、棒状部63の先端63Cに形成されている。第1端板部61及び第2端板部62の少なくとも一方には、棒状部63のねじ溝63Aと螺合可能なねじ溝62Aが形成される。第2端板部62は、棒状部63を挿入可能な挿入穴62Bを有する。挿入穴62Bは、例えば軸方向に貫通している。挿入穴62Bは、軸方向に貫通していなくてもよい。ねじ溝62Aは、第2端板部62の挿入穴62Bに形成されている。複数の棒状部63が固定部材60に含まれる場合、第1端板部61及び第2端板部62の両方にねじ溝62Aが形成されてもよい。棒状部63がステータ10の貫通孔10Aを介して第2端板部62の挿入穴62Bに挿入され、棒状部63のねじ溝63Aが第2端板部62のねじ溝62Aに螺合されることによって、棒状部63と第2端板部62とが固定される。このため、ステータ10が第1端板部61と第2端板部62との間で挟まれるように固定される(図8参照)。
【0068】
次に、図4を参照して、固定子鉄心11の構成について説明する。
【0069】
固定子鉄心11は、円状のバックヨーク12と、バックヨーク12からロータ50の径方向(以下、「径方向」)に突出した固定子爪磁極13とを含む。本実施形態のバックヨーク12は、円環形状を有する。固定子鉄心11の貫通孔11Aは、バックヨーク12に形成されている。換言すれば、バックヨーク12は貫通孔11Aを有する。固定子爪磁極13は、バックヨーク12の外周面12Aから径方向に突出し、軸方向に延びている。
【0070】
固定子鉄心11は、第1固定子20及び第2固定子30によって構成されている。第1固定子20は、円状の第1バックヨーク21と、第1バックヨーク21から径方向に突出した第1固定子爪磁極22とを含む。本実施形態の第1バックヨーク21は、円環形状を有する。第1バックヨーク21は、バックヨーク12を構成している。第1固定子爪磁極22は、第1バックヨーク21から径方向に突出し、軸方向において少なくとも第2固定子30に向けて延びる。一例では、第1固定子爪磁極22は、第1バックヨーク21の外周面21Aから径方向に突出し、軸方向において第2固定子30に向けて延びている。第1固定子爪磁極22は、固定子爪磁極13を構成している。第1固定子爪磁極22の数の一例は10極である。第1固定子爪磁極22は、例えば第1バックヨーク21の外周面21Aにおいて、周方向に等間隔に並べられている。
【0071】
第1固定子爪磁極22は、第1爪磁極23及び第2爪磁極24を含む。第1爪磁極23は、第1固定子爪磁極22の根元を含む部分を構成している。第1爪磁極23は、第1バックヨーク21の外周面21Aから径方向に延びている。第2爪磁極24は、第1固定子爪磁極22の先端24Aを含む部分を構成している。第2爪磁極24は、第1爪磁極23から第2固定子30に向けて延びている。第2爪磁極24は、例えば直方体形状を有する。一例では、固定子鉄心11の外周面11Dの一部を構成する第2爪磁極24の外面24Bが、ロータ50の磁石52と対向している。
【0072】
第2固定子30は、例えば第1固定子20と実質的に同じ構成を有する。第2固定子30は、円状の第2バックヨーク31と、第2バックヨーク31から径方向に突出した第2固定子爪磁極32とを含む。本実施形態の第2バックヨーク31は、円環形状を有する。第2バックヨーク31は、バックヨーク12を構成している。第2固定子爪磁極32は、第2バックヨーク31から径方向に突出し、周方向において第1固定子爪磁極22との間に空隙G(図3参照)が形成されるように、軸方向において少なくとも第1固定子20に向けて延びる。一例では、第2固定子爪磁極32は、第2バックヨーク31の外周面31Aから径方向に突出し、軸方向において第1固定子20に向けて延びている。第2固定子爪磁極32は、固定子爪磁極13を構成している。第2固定子爪磁極32の数の一例は10極である。第2固定子爪磁極32は、例えば第2バックヨーク31の外周面31Aにおいて、周方向に等間隔に並べられている。
【0073】
第2固定子爪磁極32は、第1爪磁極33及び第2爪磁極34を含む。第1爪磁極33は、第2固定子爪磁極32の根元を含む部分を構成している。第1爪磁極33は、第2バックヨーク31の外周面31Aから径方向に延びている。第2爪磁極34は、第2固定子爪磁極32の先端34Aを含む部分を構成している。第2爪磁極34は、周方向において第1固定子爪磁極22の第2爪磁極24との間に空隙Gが形成されるように、第1爪磁極33から第1固定子20に向けて延びている。第2爪磁極34は、例えば直方体形状を有する。一例では、固定子鉄心11の外周面11Dの一部を構成する第2爪磁極34の外面34Bが、ロータ50の磁石52と対向している。
【0074】
ステータ10は、円環状に巻回された巻線14をさらに備える。巻線14は、例えばインバータ回路・電流変換回路(図示略)等に接続されている。巻線14は、軸方向において第1固定子20と第2固定子30との間に配置されている。一例では、巻線14が第1固定子20と第2固定子30との間に配置され、周方向において第1固定子爪磁極22と第2固定子爪磁極32との間に空隙Gが形成されるように、第1固定子20と第2固定子30とが結合されることによって固定子鉄心11が構成される。本実施形態では、第1固定子20と第2固定子30との位置関係が相間絶縁部材40によって決められ、第1固定子20と第2固定子30とが固定部材60によって結合される。
【0075】
次に、図5図7を参照して、相間絶縁部材40の構成について説明する。
【0076】
図5に示されるように、相間絶縁部材40は、隣接する固定子鉄心11の間に配置される絶縁部41と、支持部42とを含む。絶縁部41は、例えば円環形状を有する。絶縁部41は、シート状、中空状、又は網目状に構成される。本実施形態の絶縁部41は、シート状に構成されている。支持部42は、固定子鉄心11の固定子爪磁極13と接触するように絶縁部41に設けられている。一例では、支持部42は、軸方向及び径方向の少なくとも一方に延びるように絶縁部41に設けられている。固定子爪磁極13と支持部42とが、周方向及び径方向の少なくとも一方において接触する。本実施形態では、固定子爪磁極13と支持部42とが、周方向において接触する(図2参照)。具体的には、支持部42は、絶縁部41に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32と周方向に接触する。
【0077】
支持部42は、軸方向における絶縁部41の第1面41Aから軸方向に延びる第1支持部43と、絶縁部41の第1面41Aとは反対側の第2面41Cから軸方向に延びる第2支持部44とを含む。第1支持部43は、周方向において第2支持部44とは異なる位置に設けられている。周方向における第1支持部43と第2支持部44とのずれは、周方向における各相の固定子鉄心11の位置に基づいて設定されている。第1支持部43が接触する固定子鉄心11と、第2支持部44が接触する固定子鉄心11とは、軸方向において互いに隣り合う相の固定子鉄心11である。
【0078】
第1支持部43は、絶縁部41の第1面41Aの縁41Bに設けられている。第1支持部43の数の一例は20個である。第1支持部43は、例えば絶縁部41の第1面41Aの縁41Bにおいて、周方向に等間隔に並べられている。第1支持部43は柱体形状を有する。一例では、第1支持部43は、径方向において、ロータ50の回転軸心RAに向けて先細りの略四角柱形状を有する。
【0079】
第1支持部43は、周方向における一方の側面43A(以下、「第1側面43A」)において、第1固定子20及び第2固定子30の一方の固定子爪磁極22,32と接触する。第1支持部43は、周方向における他方の側面43B(以下、「第2側面43B」)において、第1固定子20及び第2固定子30の他方の固定子爪磁極22,32と接触する。周方向において互いに隣り合う第1支持部43は、周方向における側面43A,43Bの関係が反対である。換言すれば、周方向において互いに隣り合う第1支持部43は、第1側面43A同士又は第2側面43B同士が互いに対向する。
【0080】
図6に示されるように、第1支持部43の第1側面43Aは、周方向において第1固定子20の第1固定子爪磁極22と接触する。一例では、第1固定子爪磁極22が、周方向において互いに対向する第1支持部43の第1側面43Aによって挟まれる。このため、周方向において、第1固定子20が第1固定子爪磁極22と第1支持部43の第1側面43Aとの接触によって位置決めされる。
【0081】
第1支持部43は、径方向における回転軸心RA寄りの側面43C(以下、「第3側面43C」)において、第1固定子20の第1バックヨーク21と接触する。一例では、第1支持部43の第3側面43Cは、径方向において第1バックヨーク21の外周面21Aと接触する。このため、径方向において、第1固定子20が第1バックヨーク21と第1支持部43の第3側面43Cとの接触によって位置決めされる。
【0082】
図7に示されるように、第1支持部43の第2側面43Bは、周方向において第2固定子30の第2固定子爪磁極32と接触する。具体的には、第1支持部43の第2側面43Bは、周方向において第2固定子爪磁極32の先端34Aと接触する。図7に示される例では、第1支持部43の第2側面43Bは、第2固定子爪磁極32の先端34Aを含む第2爪磁極34の側面34Cと接触する。一例では、第2固定子爪磁極32の先端34Aが、周方向において互いに対向する第1支持部43の第2側面43Bによって挟まれる。このため、周方向において、第2固定子30が第2固定子爪磁極32と第1支持部43の第2側面43Bとの接触によって位置決めされる。
【0083】
第2支持部44は、絶縁部41の第2面41Cの縁41Dに設けられている。第2支持部44の数の一例は20個である。第2支持部44は、例えば絶縁部41の第2面41Cの縁41Dにおいて、周方向に等間隔に並べられている。第2支持部44は、第1支持部43と実質的に同じ形状を有する。
【0084】
第2支持部44は、周方向における一方の側面44A(以下、「第1側面44A」)において、第1固定子20及び第2固定子30の一方の固定子爪磁極22,32と接触する。第2支持部44は、周方向における他方の側面44B(以下、「第2側面44B」)において、第1固定子20及び第2固定子30の他方の固定子爪磁極22,32と接触する。周方向において互いに隣り合う第2支持部44は、周方向における側面44A,44Bの関係が反対である。換言すれば、周方向において互いに隣り合う第2支持部44は、第1側面44A同士又は第2側面44B同士が互いに対向する。
【0085】
第2支持部44の第1側面44Aは、周方向において第2固定子30の第2固定子爪磁極32と接触する。第2支持部44の第1側面44Aと第2固定子爪磁極32との関係は、第1支持部43の第1側面43Aと第1固定子爪磁極22との関係と実質的に同じである。このため、周方向において、第2固定子30が第2固定子爪磁極32と第2支持部44の第1側面44Aとの接触によって位置決めされる。
【0086】
第2支持部44は、径方向における回転軸心RA寄りの側面(以下、「第3側面」)において、第2固定子30の第2バックヨーク31と接触する。第2支持部44の第3側面と第2バックヨーク31との関係は、第1支持部43の第3側面43Cと第1バックヨーク21との関係と実質的に同じである。このため、径方向において、第2固定子30が第2バックヨーク31と第2支持部44の第3側面との接触によって位置決めされる。
【0087】
第2支持部44の第2側面44Bは、周方向において第1固定子20の第1固定子爪磁極22と接触する。第2支持部44の第2側面44Bと第1固定子爪磁極22との関係は、第1支持部43の第2側面43Bと第2固定子爪磁極32との関係と実質的に同じである。このため、周方向において、第1固定子20が第1固定子爪磁極22と第2支持部44の第2側面44Bとの接触によって位置決めされる。このように、軸方向において互いに隣り合う固定子鉄心11では、一方の固定子鉄心11が第1支持部43によって位置決めされ、他方の固定子鉄心11が第2支持部44によって位置決めされる。
【0088】
相間絶縁部材40の絶縁部41は、絶縁部41に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32のうち、絶縁部41に向かって延びる一方の固定子爪磁極22,32の先端24A,34Aと軸方向に接触する。一例では、絶縁部41は、第1面41Aにおいて第2固定子爪磁極32の先端34Aと軸方向に接触し、第2面41Cにおいて第1固定子爪磁極22の先端24Aと軸方向に接触する。絶縁部41は、絶縁部41に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32のうち、絶縁部41に向かって延びる一方の固定子爪磁極22,32の先端24A,34Aと軸方向に接触しなくてもよい。
【0089】
図8に示されるように、棒状部63は、軸方向において所定の長さを有する。軸方向における棒状部63の長さは、軸方向におけるステータ10の厚みよりも長くなるように設定される。軸方向における棒状部63の長さは、軸方向におけるステータ10の厚みと、軸方向における第2端板部62の厚みとの和以下に設定されることが好ましい。本実施形態の軸方向における棒状部63の長さは、軸方向におけるステータ10の厚みと、軸方向における第2端板部62の厚みとの和と一致するように設定されている。軸方向における棒状部63の長さは、軸方向におけるステータ10の厚みと、軸方向における第2端板部62の厚みとの和よりも長くなるように設定されていてもよい。
【0090】
棒状部63の外径は、ステータ10の貫通孔10Aの内径よりも小さい。一例では、棒状部63は、ステータ10の貫通孔10Aの内面10Dと、径方向において隙間Sを空けて対向する。隙間Sは、棒状部63とステータ10の貫通孔10Aとの嵌め合い公差以上の空間を有する。一例では、隙間Sは、巻線14を引き出すために必要な空間を有する。
【0091】
各相の固定子鉄心11が相間絶縁部材40及び絶縁部材70によって位置決めされるように、各相の固定子鉄心11と相間絶縁部材40及び絶縁部材70とが組み合わせられることによってステータ10が構成される。そして、棒状部63のねじ溝63Aと第2端板部62のねじ溝62Aとが螺合するように、棒状部63がステータ10の貫通孔10Aに挿入されることによってモータ1が構成される。このモータ1では、固定子鉄心11同士が位置決めされた状態で、ステータ10を固定部材60によって好適に固定できる。
【0092】
本実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0093】
(1-1)ステータ10では、固定子爪磁極13と支持部42とが、周方向において接触する。この構成によれば、周方向において、固定子鉄心11が固定子爪磁極13と支持部42との接触によって位置決めされる。このため、固定子鉄心11の構成を複雑化することなく、固定子鉄心11同士を位置決めできる。
【0094】
(1-2)第1支持部43は、周方向において第2支持部44とは異なる位置に設けられている。この構成によれば、相間絶縁部材40に隣接する一方の固定子鉄心11が固定子爪磁極13と第1支持部43との接触によって位置決めされ、相間絶縁部材40に隣接する他方の固定子鉄心11が固定子爪磁極13と第2支持部44との接触によって位置決めされる。このため、周方向における複数の固定子鉄心11の位置を互いに異ならせた状態で、固定子鉄心11同士を位置決めできる。
【0095】
(1-3)固定子鉄心11は、第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32が周方向に並ぶように構成されている。この構成によれば、ロータ50と対向する固定子鉄心11の面積が広くなるため、安定したトルクの発生に貢献できる。
【0096】
(1-4)支持部42は、絶縁部41に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32と周方向に接触する。この構成によれば、絶縁部41に隣接する固定子鉄心11において、第1固定子20が第1固定子爪磁極22と支持部42との接触によって周方向に位置決めされ、第2固定子30が第2固定子爪磁極32と支持部42との接触によって周方向に位置決めされる。このため、周方向において、固定子鉄心11同士を好適に位置決めできる。また、固定子鉄心11の構成を複雑化することなく、第1固定子20及び第2固定子30を周方向において位置決めできる。
【0097】
(1-5)絶縁部41は、第1面41Aにおいて第2固定子爪磁極32の先端34Aと軸方向に接触し、第2面41Cにおいて第1固定子爪磁極22の先端24Aと軸方向に接触する。この構成によれば、第2固定子爪磁極32の先端34Aが絶縁部41の第1面41Aによって支持され、第1固定子爪磁極22の先端24Aが絶縁部41の第2面41Cによって支持されるため、固定子爪磁極22,32が補強される。このため、固定子鉄心11の強度が向上する。
【0098】
(1-6)棒状部63がステータ10の貫通孔10Aに挿入され、ステータ10が第1端板部61及び第2端板部62によって軸方向に挟まれた状態で、棒状部63と第1端板部61及び第2端板部62とが固定される。この構成によれば、ステータ10の貫通孔10Aに挿入された棒状部63と、第1端板部61及び第2端板部62とが固定されるため、ステータ10が第1端板部61と第2端板部62との間で挟まれるように固定される。この場合、製造時においてステータ10に径方向の力が作用しにくい。このため、ステータ10を固定部材60によって安定して固定できる。
【0099】
(1-7)好ましくは、ステータ10は、圧粉磁心によって構成される固定子鉄心11を備える。棒状部63がステータ10の貫通孔10Aに挿入され、ステータ10が第1端板部61及び第2端板部62によって軸方向に挟まれた状態で、棒状部63と第1端板部61及び第2端板部62とが固定される。この構成によれば、固定子鉄心11の貫通孔10Aに挿入された棒状部63と、第1端板部61及び第2端板部62とが固定されることによって、固定子鉄心11は、第1端板部61と第2端板部62との間で挟まれるように固定される。これによって、圧粉磁心を圧縮する力によって固定子鉄心11が固定部材60に固定されるため、圧粉磁心によって構成される固定子鉄心11の破損を抑制できる。
【0100】
(1-8)棒状部63は、第1端板部61と一体に構成されている。この構成によれば、固定部材60を構成する部品の一部が一体に構成されるため、固定部材60の部品点数を削減できる。
【0101】
(1-9)棒状部63のねじ溝63Aと第2端板部62のねじ溝62Aとが螺合するように、棒状部63がステータ10の貫通孔10Aに挿入される。この構成によれば、ステータ10を簡素な構成で固定できる。
【0102】
(1-10)棒状部63は、ステータ10の固定子鉄心11の貫通孔10Aの内面10Dと、径方向において隙間Sを空けて対向する。この構成によれば、ステータ10の貫通孔10Aに挿入された棒状部63と貫通孔10Aの内面10Dとが接触しないため、ステータ10に径方向の力が作用しにくい。このため、ステータ10を固定部材60によって安定して固定できる。
【0103】
(1-11)固定子鉄心11は、圧粉磁心によって形成されている。この構成によれば、渦電流の発生が抑制されるため、渦電流損の低減に貢献できる。また、固定子鉄心11の形状の自由度が向上する。
【0104】
(1-12)ステータ10は、ロータ50の軸方向に積層された複数の固定子鉄心11と、複数の固定子鉄心11の間に設けられる相間絶縁部材40とを備える。この構成によれば、複数の固定子鉄心11の間に相間絶縁部材40が配置されるため、複数の固定子鉄心11の間が好適に絶縁される。このため、磁束漏れが抑制され、モータ1の性能が向上する。
【0105】
(第2実施形態)
図9図12を参照して、第2実施形態のモータ1について説明する。本実施形態のモータ1は、第1実施形態のモータ1と比較して、相間絶縁部材の構成が異なる。以下の説明において、便宜上、第1実施形態のモータ1の構成要素の機能と共通する構成要素には同一符号を付し、その機能の説明を省略する。なお、図9に示されるモータ1は、ロータ50を省略した状態を示している。
【0106】
図9に示されるように、ステータ10は、軸方向に積層された複数の固定子鉄心11と、複数の固定子鉄心11の間に設けられる相間絶縁部材80とを備える。相間絶縁部材80は非磁性体である。相間絶縁部材80を構成する材料の一例は樹脂である。相間絶縁部材80は、軸方向において互いに隣り合う一方の固定子鉄心11と他方の固定子鉄心11とが互いに絶縁されるように、一方の固定子鉄心11と他方の固定子鉄心11との間に配置されている。相間絶縁部材80の数は、複数の固定子鉄心11の数によって決められる。一例では、相間絶縁部材80の数は2つである。図9に示されるドットは、相間絶縁部材80を示している。本実施形態の絶縁部材70は、相間絶縁部材80が軸方向と直交する面に沿って二等分された一方の形状を有していてもよく、相間絶縁部材80と実質的に同じ形状を有していてもよく、平板形状を有していてもよい。
【0107】
図10に示されるように、相間絶縁部材80は、軸方向に貫通した貫通孔80Aを有する。貫通孔80Aは、ステータ10の貫通孔10Aの一部を構成する。相間絶縁部材80は、隣接する固定子鉄心11の間に配置される絶縁部81と、支持部82とを含む。絶縁部81は、第1実施形態の絶縁部41と実質的に同じ形状を有する。支持部82は、固定子鉄心11の固定子爪磁極13と接触するように絶縁部81に設けられている。一例では、支持部82は、軸方向及び径方向の少なくとも一方に延びるように絶縁部81に設けられている。固定子爪磁極13と支持部82とが、周方向及び径方向の少なくとも一方において接触する。本実施形態では、固定子爪磁極13と支持部82とが、周方向及び径方向において接触する(図9参照)。具体的には、支持部82は、絶縁部81に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32の一方と周方向に接触し、第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32の他方と径方向に接触する。
【0108】
支持部82は、軸方向における絶縁部81の第1面81Aから軸方向に延びる第1支持部83と、絶縁部81の第1面81Aとは反対側の第2面81Cから軸方向に延びる第2支持部84とを含む。第1支持部83は、周方向において第2支持部84とは異なる位置に設けられている。周方向における第1支持部83と第2支持部84とのずれは、周方向における各相の固定子鉄心11の位置に基づいて設定されている。第1支持部83が接触する固定子鉄心11と、第2支持部84が接触する固定子鉄心11とは、軸方向において互いに隣り合う相の固定子鉄心11である。
【0109】
第1支持部83は、絶縁部81の第1面81Aの縁81B付近に設けられている。一例では、第1支持部83は、径方向において、第1面81Aの縁81Bとの間に所定の隙間が形成されるように第1面81Aに設けられている。所定の隙間は、固定子爪磁極22,32の先端24A,34Aを配置可能な空間を有する。第1支持部83の数の一例は10個である。第1支持部83は、例えば絶縁部81の第1面81Aの縁81B付近において、周方向に等間隔に並べられている。第1支持部83は、周方向に延びるように構成されている。第1支持部83は柱体形状を有する。一例では、第1支持部83は、径方向において、ロータ50の回転軸心RAに向けて先細りの略四角柱形状を有する。
【0110】
第1支持部83は、周方向における側面83A(以下、「第1側面83A」)において、第1固定子20及び第2固定子30の一方の固定子爪磁極22,32と接触する。第1支持部83は、径方向における回転軸心RA寄りの側面83Cとは反対側の側面83B(以下、「第2側面83B」)において、第1固定子20及び第2固定子30の他方の固定子爪磁極22,32と接触する。
【0111】
図11に示されるように、第1支持部83の第1側面83Aは、周方向において第1固定子20の第1固定子爪磁極22と接触する。具体的には、第1支持部83の第1側面83Aは、周方向において第1固定子爪磁極22の第1爪磁極23と接触する。一例では、第1固定子爪磁極22の第1爪磁極23が、周方向において互いに対向する第1支持部83の第1側面83Aによって挟まれる。このため、周方向において、第1固定子20が第1固定子爪磁極22と第1支持部83の第1側面83Aとの接触によって位置決めされる。
【0112】
第1支持部83は、径方向における回転軸心RA寄りの側面83C(以下、「第3側面83C」)において、第1固定子20の第1バックヨーク21と接触する。一例では、第1支持部83の第3側面83Cは、径方向において第1バックヨーク21の外周面21Aと接触する。このため、径方向において、第1固定子20が第1バックヨーク21と第1支持部83の第3側面83Cとの接触によって位置決めされる。
【0113】
図12に示されるように、第1支持部83の第2側面83Bは、径方向において第2固定子30の第2固定子爪磁極32と接触する。具体的には、第1支持部83の第2側面83Bは、径方向において第2固定子爪磁極32の先端34Aと接触する。図12に示される例では、第1支持部83の第2側面83Bは、径方向において第2固定子爪磁極32の先端34Aを含む第2爪磁極34の内面34Dと接触する。第2爪磁極34の内面34Dは、径方向において回転軸心RAを向く面である。一例では、第2固定子爪磁極32の先端34Aが、第1支持部83の第2側面83Bと接触するように上述の所定の隙間に配置される。このため、径方向において、第2固定子30が第2固定子爪磁極32と第1支持部83の第2側面83Bとの接触によって位置決めされる。
【0114】
第2支持部84は、絶縁部81の第2面81Cの縁81D付近に設けられている。一例では、第2支持部84は、径方向において、第2面81Cの縁81Dとの間に所定の隙間が形成されるように第2面81Cに設けられている。第2支持部84の数の一例は10個である。第2支持部84は、例えば絶縁部81の第2面81Cの縁81D付近において、周方向に等間隔に並べられている。第2支持部84は、第1支持部83と実質的に同じ形状を有する。
【0115】
第2支持部84は、周方向における側面84A(以下、「第1側面84A」)において、第1固定子20及び第2固定子30の一方の固定子爪磁極22,32と接触する。第2支持部84は、径方向における回転軸心RA寄りの端面とは反対側の側面84B(以下、「第2側面84B」)において、第1固定子20及び第2固定子30の他方の固定子爪磁極22,32と接触する。
【0116】
第2支持部84の第1側面84Aは、周方向において第2固定子30の第2固定子爪磁極32と接触する。第2支持部84の第1側面84Aと第2固定子爪磁極32との関係は、第1支持部83の第1側面83Aと第1固定子爪磁極22との関係と実質的に同じである。このため、周方向において、第2固定子30が第2固定子爪磁極32と第2支持部84の第1側面84Aとの接触によって位置決めされる。
【0117】
第2支持部84は、径方向における回転軸心RA寄りの側面(以下、「第3側面」)において、第2固定子30の第2バックヨーク31と接触する。第2支持部84の第3側面と第2バックヨーク31との関係は、第1支持部83の第3側面83Cと第1バックヨーク21との関係と実質的に同じである。このため、径方向において、第2固定子30が第2バックヨーク31と第2支持部84の第3側面との接触によって位置決めされる。
【0118】
第2支持部84の第2側面84Bは、径方向において第1固定子20の第1固定子爪磁極22と接触する。第2支持部84の第2側面84Bと第1固定子爪磁極22との関係は、第1支持部83の第2側面83Bと第2固定子爪磁極32との関係と実質的に同じである。このため、径方向において、第1固定子20が第1固定子爪磁極22と第2支持部84の第2側面84Bとの接触によって位置決めされる。このように、軸方向において互いに隣り合う固定子鉄心11では、一方の固定子鉄心11が第1支持部83によって位置決めされ、他方の固定子鉄心11が第2支持部84によって位置決めされる。
【0119】
相間絶縁部材80の絶縁部81は、絶縁部81に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32のうち、絶縁部81に向かって延びる一方の固定子爪磁極22,32の先端24A,34Aと軸方向に接触する。一例では、絶縁部81は、第1面81Aにおいて第2固定子爪磁極32の先端34Aと軸方向に接触し、第2面81Cにおいて第1固定子爪磁極22の先端24Aと軸方向に接触する。絶縁部81は、絶縁部81に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32のうち、絶縁部81に向かって延びる一方の固定子爪磁極22,32の先端24A,34Aと軸方向に接触しなくてもよい。
【0120】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-12)と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0121】
(2-1)支持部82は、絶縁部81に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32の一方と周方向に接触し、第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32の他方と径方向に接触する。この構成によれば、絶縁部81に隣接する固定子鉄心11において、第1固定子20が第1固定子爪磁極22と支持部82との接触によって周方向及び径方向の一方に位置決めされ、第2固定子30が第2固定子爪磁極32と支持部82との接触によって周方向及び径方向の他方に位置決めされる。このため、周方向及び径方向において、固定子鉄心11同士を好適に位置決めできる。また、固定子鉄心11の構成を複雑化することなく、第1固定子20及び第2固定子30を周方向及び径方向において位置決めできる。
【0122】
(第3実施形態)
図13図16を参照して、第3実施形態のモータ1について説明する。本実施形態のモータ1は、第1実施形態のモータ1と比較して、相間絶縁部材の構成が異なる。以下の説明において、便宜上、第1実施形態のモータ1の構成要素の機能と共通する構成要素には同一符号を付し、その機能の説明を省略する。なお、図13に示されるモータ1は、ロータ50を省略した状態を示している。
【0123】
図13に示されるように、ステータ10は、軸方向に積層された複数の固定子鉄心11と、複数の固定子鉄心11の間に設けられる相間絶縁部材90とを備える。相間絶縁部材90は非磁性体である。相間絶縁部材90を構成する材料の一例は樹脂である。相間絶縁部材90は、軸方向において互いに隣り合う一方の固定子鉄心11と他方の固定子鉄心11とが互いに絶縁されるように、一方の固定子鉄心11と他方の固定子鉄心11との間に配置されている。相間絶縁部材90の数は、複数の固定子鉄心11の数によって決められる。一例では、相間絶縁部材90の数は2つである。図13に示されるドットは、相間絶縁部材90を示している。本実施形態の絶縁部材70は、相間絶縁部材90が軸方向と直交する面に沿って二等分された一方の形状を有していてもよく、相間絶縁部材90と実質的に同じ形状を有していてもよく、平板形状を有していてもよい。
【0124】
図14に示されるように、相間絶縁部材90は、軸方向に貫通した貫通孔90Aを有する。貫通孔90Aは、ステータ10の貫通孔10Aの一部を構成する。相間絶縁部材90は、隣接する固定子鉄心11の間に配置される絶縁部91と、支持部92とを含む。絶縁部91は、第1実施形態の絶縁部41と実質的に同じ形状を有する。支持部92は、固定子鉄心11の固定子爪磁極13と接触するように絶縁部91に設けられている。一例では、支持部92は、軸方向及び径方向の少なくとも一方に延びるように絶縁部91に設けられている。固定子爪磁極13と支持部92とが、周方向及び径方向の少なくとも一方において接触する。本実施形態では、固定子爪磁極13と支持部92とが、周方向及び径方向において接触する(図13参照)。具体的には、支持部92は、絶縁部91に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32の一方と周方向に接触し、第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32の他方と周方向及び径方向に接触する。
【0125】
支持部92は、軸方向における絶縁部91の第1面91Aから軸方向に延びる第1支持部93と、絶縁部91の第1面91Aとは反対側の第2面91Cから軸方向に延びる第2支持部94とを含む。第1支持部93は、周方向において第2支持部94とは異なる位置に設けられている。周方向における第1支持部93と第2支持部94とのずれは、周方向における各相の固定子鉄心11の位置に基づいて設定されている。第1支持部93が接触する固定子鉄心11と、第2支持部94が接触する固定子鉄心11とは、軸方向において互いに隣り合う相の固定子鉄心11である。
【0126】
第1支持部93は、絶縁部91の第1面91Aの縁91Bに設けられている。第1支持部93の数の一例は10個である。第1支持部93は、例えば絶縁部91の第1面91Aの縁91Bにおいて、周方向に等間隔に並べられている。第1支持部93は柱体形状を有する。一例では、第1支持部93は、径方向において、ロータ50の回転軸心RAに向けて先細りの略四角柱形状を有する。
【0127】
第1支持部93は、周方向における側面93A(以下、「第1側面93A」)において、第1固定子20及び第2固定子30の一方の固定子爪磁極22,32と接触する。第1支持部93は、径方向における回転軸心RA寄りの側面93Dとは反対側の側面93B(以下、「第2側面93B」)において、第1固定子20及び第2固定子30の他方の固定子爪磁極22,32と接触する。具体的には、第1支持部93は、第2側面93Bに設けられた凹部93Cにおいて、第1固定子20及び第2固定子30の他方の固定子爪磁極22,32と接触する。凹部93Cは、固定子爪磁極22,32の先端24A,34Aを配置可能に第2側面93Bに対して凹んでいる。
【0128】
図15に示されるように、第1支持部93の第1側面93Aは、周方向において第1固定子20の第1固定子爪磁極22と接触する。一例では、第1固定子爪磁極22が、周方向において互いに対向する第1支持部93の第1側面93Aによって挟まれる。このため、周方向において、第1固定子20が第1固定子爪磁極22と第1支持部93の第1側面93Aとの接触によって位置決めされる。
【0129】
第1支持部93は、径方向における回転軸心RA寄りの側面93D(以下、「第3側面93D」)において、第1固定子20の第1バックヨーク21と接触する。一例では、第1支持部93の第3側面93Dは、径方向において第1バックヨーク21の外周面21Aと接触する。このため、径方向において、第1固定子20が第1バックヨーク21と第1支持部93の第3側面93Dとの接触によって位置決めされる。
【0130】
図16に示されるように、第1支持部93の凹部93Cは、周方向及び径方向において第2固定子30の第2固定子爪磁極32と接触する。具体的には、第1支持部93の凹部93Cは、周方向及び径方向において第2固定子爪磁極32の先端34Aと接触する。図16に示される例では、第1支持部93の凹部93Cは、周方向において第2固定子爪磁極32の先端34Aを含む第2爪磁極34の側面34Cと接触し、径方向において第2爪磁極34の内面34Dと接触する。一例では、第2固定子爪磁極32の先端34Aが、第1支持部93の凹部93Cに嵌め込まれる。このため、周方向及び径方向において、第2固定子30が第2固定子爪磁極32と第1支持部93の凹部93Cとの接触によって位置決めされる。
【0131】
第2支持部94は、絶縁部91の第2面91Cの縁91Dに設けられている。第2支持部94の数の一例は10個である。第2支持部94は、例えば絶縁部91の第2面91Cの縁91Dにおいて、周方向に等間隔に並べられている。第2支持部94は、第1支持部93と実質的に同じ形状を有する。
【0132】
第2支持部94は、周方向における側面94A(以下、「第1側面94A」)において、第1固定子20及び第2固定子30の一方の固定子爪磁極22,32と接触する。第2支持部94は、径方向における回転軸心RA寄りの側面とは反対側の側面94B(以下、「第2側面94B」)において、第1固定子20及び第2固定子30の他方の固定子爪磁極22,32と接触する。具体的には、第2支持部94は、第2側面94Bに設けられた凹部94Cにおいて、第1固定子20及び第2固定子30の他方の固定子爪磁極22,32と接触する。凹部94Cは、固定子爪磁極22,32の先端24A,34Aを配置可能に第2側面94Bに対して凹んでいる。
【0133】
第2支持部94の第1側面94Aは、周方向において第2固定子30の第2固定子爪磁極32と接触する。第2支持部94の第1側面94Aと第2固定子爪磁極32との関係は、第1支持部93の第1側面93Aと第1固定子爪磁極22との関係と実質的に同じである。このため、周方向において、第2固定子30が第2固定子爪磁極32と第2支持部94の第1側面94Aとの接触によって位置決めされる。
【0134】
第2支持部94は、径方向における回転軸心RA寄りの側面(以下、「第3側面」)において、第2固定子30の第2バックヨーク31と接触する。第2支持部94の第3側面と第2バックヨーク31との関係は、第1支持部93の第3側面93Dと第1バックヨーク21との関係と実質的に同じである。このため、径方向において、第2固定子30が第2バックヨーク31と第2支持部94の第3側面との接触によって位置決めされる。
【0135】
第2支持部94の凹部94Cは、周方向及び径方向において第1固定子20の第1固定子爪磁極22と接触する。第2支持部94の凹部94Cと第1固定子爪磁極22との関係は、第1支持部93の凹部93Cと第2固定子爪磁極32との関係と実質的に同じである。このため、周方向及び径方向において、第1固定子20が第1固定子爪磁極22と第2支持部94の凹部94Cとの接触によって位置決めされる。このように、軸方向において互いに隣り合う固定子鉄心11では、一方の固定子鉄心11が第1支持部93によって位置決めされ、他方の固定子鉄心11が第2支持部94によって位置決めされる。
【0136】
相間絶縁部材90の絶縁部91は、絶縁部91に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32のうち、絶縁部91に向かって延びる一方の固定子爪磁極22,32の先端24A,34Aと軸方向に接触する。一例では、絶縁部91は、第1面91Aにおいて第2固定子爪磁極32の先端34Aと軸方向に接触し、第2面91Cにおいて第1固定子爪磁極22の先端24Aと軸方向に接触する。絶縁部91は、絶縁部91に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32のうち、絶縁部91に向かって延びる一方の固定子爪磁極22,32の先端24A,34Aと軸方向に接触しなくてもよい。
【0137】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-12)と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0138】
(3-1)支持部92は、絶縁部91に隣接する固定子鉄心11の第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32の一方と周方向に接触し、第1固定子爪磁極22及び第2固定子爪磁極32の他方と周方向及び径方向に接触する。この構成によれば、絶縁部91に隣接する固定子鉄心11において、第1固定子20及び第2固定子30の一方が固定子爪磁極22,32と支持部92との接触によって周方向に位置決めされ、第1固定子20及び第2固定子30の他方が固定子爪磁極22,32と支持部92との接触によって周方向及び径方向に位置決めされる。このため、周方向及び径方向において、固定子鉄心11同士を好適に位置決めできる。また、固定子鉄心11の構成を複雑化することなく、第1固定子20及び第2固定子30を周方向及び径方向において位置決めできる。
【0139】
(第4実施形態)
図17を参照して、第4実施形態のモータ1について説明する。本実施形態のモータ1は、第1実施形態のモータ1と比較して、固定部材60の構成が異なる。以下の説明において、便宜上、第1実施形態のモータ1の構成要素の機能と共通する構成要素には同一符号を付し、その機能の説明を省略する。なお、図17に示されるモータ1は、ロータ50を省略した断面を示している。
【0140】
固定部材60は、第1端板部61、第2端板部62、及び複数の棒状部64を含む。棒状部64は、ステータ10の貫通孔10Aに挿入可能に構成されている。複数の棒状部64の数の一例は4本である。複数の棒状部64は、周方向に間隔を空けて配置されている。一例では、複数の棒状部64は、周方向に等間隔に配置されている。複数の棒状部64がステータ10の貫通孔10Aに挿入され、ステータ10が第1端板部61及び第2端板部62によって軸方向に挟まれた状態で、棒状部64と第1端板部61及び第2端板部62とが固定される。本実施形態では、第1端板部61、第2端板部62、及び棒状部64は、互いに別体に構成されている。棒状部64の数は、3本以下又は5本以上であってもよい。
【0141】
棒状部64には、ねじ溝64Aが形成されている。ねじ溝64Aは、棒状部64の外周面64Bに形成されている。一例では、ねじ溝64Aは、棒状部64の先端64Cに形成されている。本実施形態の棒状部64はボルトを構成している。棒状部64は、ステータ10の貫通孔10Aの内面10Dと、径方向において隙間Sを空けて対向する。第1端板部61及び第2端板部62の少なくとも一方には、棒状部64のねじ溝64Aと螺合可能なねじ溝62Cが形成される。第1端板部61は、棒状部64を挿通可能な複数の挿通孔61Aを有する。第2端板部62は、第1実施形態の挿入穴62Bに代えて、棒状部64を挿入可能な複数の挿入穴62Dを有する。一例では、ねじ溝62Cは、第2端板部62の複数の挿入穴62Dのそれぞれに形成されている。複数の棒状部64が第1端板部61の挿通孔61A及びステータ10の貫通孔10Aを介して第2端板部62の挿入穴62Dに挿入され、棒状部64のねじ溝64Aが第2端板部62のねじ溝62Cに螺合されることによって、棒状部64と第2端板部62とが固定される。このため、ステータ10が第1端板部61と第2端板部62との間で挟まれるように固定される。
【0142】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-7)及び(1-9)~(1-12)と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0143】
(4-1)複数の棒状部64は、回転軸心RAの周方向に間隔を空けて配置されている。この構成によれば、複数の棒状部64がステータ10の貫通孔10Aに挿入され、複数の棒状部64と第1端板部61及び第2端板部62とが固定されるため、ステータ10を強固に固定できる。
【0144】
(第5実施形態)
図18を参照して、第5実施形態のモータ1について説明する。本実施形態のモータ1は、第1実施形態のモータ1と比較して、固定部材60の構成が異なる。以下の説明において、便宜上、第1実施形態のモータ1の構成要素の機能と共通する構成要素には同一符号を付し、その機能の説明を省略する。なお、図18に示されるモータ1は、ロータ50を省略した断面を示している。
【0145】
固定部材60は、第1端板部61、第2端板部62、及び1つ以上の棒状部63を含む。第1端板部61及び第2端板部62の少なくとも一方は、棒状部63を挿通可能に軸方向に貫通した貫通孔62Eを有する。一例では、第2端板部62は、第1実施形態の挿入穴62Bに代えて貫通孔62Eを有する。固定部材60は、ねじ溝65Aが形成された押さえ部65をさらに含む。押さえ部65のねじ溝65Aは、棒状部63のねじ溝63Aと螺合可能に構成されている。押さえ部65は、第1端板部61及び第2端板部62の一方を介して、ステータ10と対向するように配置される。一例では、押さえ部65は、第2端板部62を介して、ステータ10と対向するように配置されている。本実施形態の押さえ部65はナットを構成している。
【0146】
棒状部63は、軸方向において所定の長さを有する。軸方向における棒状部63の長さは、軸方向におけるステータ10の厚みと、軸方向における第2端板部62の厚みとの和よりも長くなるように設定される。軸方向における棒状部63の長さは、軸方向におけるステータ10の厚みと、軸方向における第2端板部62の厚みと、軸方向における押さえ部65の厚みとの和以下に設定されることが好ましい。本実施形態の軸方向における棒状部63の長さは、軸方向におけるステータ10の厚みと、軸方向における第2端板部62の厚みと、軸方向における押さえ部65の厚みとの和と一致するように設定されている。軸方向における棒状部63の長さは、軸方向におけるステータ10の厚みと、軸方向における第2端板部62の厚みと、軸方向における押さえ部65の厚みとの和よりも長くなるように設定されていてもよい。
【0147】
棒状部63がステータ10の貫通孔10A及び第2端板部62の貫通孔62Eに挿入され、第2端板部62の貫通孔62Eから突き出された棒状部63のねじ溝63Aと押さえ部65のねじ溝65Aとが螺合されることによって、棒状部63と押さえ部65とが固定される。このため、ステータ10が第1端板部61と第2端板部62との間で挟まれるように固定される。
【0148】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-8)、(1-10)~(1-12)と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0149】
(5-1)ステータ10の貫通孔10Aに挿入された棒状部63のねじ溝63Aが、第2端板部62の貫通孔62Eを挿通して押さえ部65のねじ溝65Aに螺合される。この構成によれば、ステータ10を簡素な構成で固定できる。
【0150】
(第6実施形態)
図19を参照して、第6実施形態のモータ1について説明する。本実施形態のモータ1は、第1実施形態のモータ1と比較して、固定部材60の構成が異なる。以下の説明において、便宜上、第1実施形態のモータ1の構成要素の機能と共通する構成要素には同一符号を付し、その機能の説明を省略する。なお、図19に示されるモータ1は、ロータ50を省略した断面を示している。
【0151】
固定部材60は、第1端板部61、第2端板部62、及び1つ以上の棒状部63を含む。第1端板部61及び第2端板部62の少なくとも一方は、棒状部63を挿入可能な軸方向の穴62Fを有する。一例では、第2端板部62は、第1実施形態の挿入穴62Bに代えて穴62Fを有する。棒状部63は、ねじ溝63Aを省略して構成されることが好ましい。
【0152】
棒状部63と第1端板部61及び第2端板部62の少なくとも一方とが、例えば以下の第1例又は第2例に従って固定される。第1例では、棒状部63と第1端板部61及び第2端板部62の少なくとも一方の穴62Fとが、圧入、焼き嵌め、及び冷やし嵌めのいずれかの工法で締結される。一例では、棒状部63と第2端板部62の穴62Fとが、圧入、焼き嵌め、及び冷やし嵌めのいずれかの工法で締結される。第2例では、棒状部63と第1端板部61及び第2端板部62の少なくとも一方とが、接着、溶着、又は溶接される。一例では、棒状部63と第2端板部62とが、接着、溶着、又は溶接される。この場合、棒状部63と第2端板部62の穴62Fとが、接着、溶着、又は溶接されてもよい。第2端板部62は、穴62Fを省略して構成されてもよい。
【0153】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-8)、(1-10)~(1-12)と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0154】
(6-1)ステータ10の貫通孔10Aに挿入された棒状部63と、第2端板部62の穴62Fとが、圧入、焼き嵌め、及び冷やし嵌めのいずれかの工法で締結されることによってステータ10が固定される。この構成によれば、ステータ10を強固に固定できる。
【0155】
(6-2)ステータ10の貫通孔10Aに挿入された棒状部63と、第2端板部62とが、接着、溶着、又は溶接されることによってステータ10が固定される。この構成によれば、ステータ10を強固に固定できる。
【0156】
(第7実施形態)
図20を参照して、第7実施形態のモータ1について説明する。本実施形態のモータ1は、第1実施形態のモータ1と比較して、棒状部63の構成が異なる。以下の説明において、便宜上、第1実施形態のモータ1の構成要素の機能と共通する構成要素には同一符号を付し、その機能の説明を省略する。
【0157】
棒状部63は、内部空間63Dを有する。内部空間63Dを構成する内周面63Eと棒状部63の外周面63Bとを径方向に貫通する貫通部63Fが棒状部63に形成されている。貫通部63Fは、例えば軸方向に延びるスリットである。貫通部63Fは、ステータ10の巻線14を引き出し可能な大きさを有する。貫通部63Fの数の一例は2つである。2つの貫通部63Fは、例えば径方向において互いに対向するように棒状部63に形成されている。一例では、貫通部63Fは、第1端板部61及び棒状部63に連続して形成されている。貫通部63Fは、棒状部63だけに形成されていてもよい。
【0158】
本実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)~(1-12)と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
【0159】
(7-1)棒状部63は、内部空間63Dを構成する内周面63Eと外周面63Bとを径方向に貫通する貫通部63Fを有する。この構成によれば、ステータ10の巻線14を、貫通部63Fを介して容易に引き出すことができる。また、モータ1を軽量に構成できる。
【0160】
(変更例)
上記各実施形態は、本開示に関するモータが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関するモータは、上記各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、上記各実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、又は上記各実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下の変更例において、上記各実施形態の形態と共通する部分については、上記各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0161】
・上記各実施形態において、固定子鉄心11の構成は任意に変更可能である。第1例では、図21に示されるように、第1固定子20の第1固定子爪磁極22は、先端24Aが先細り形状を有する。一例では、第1固定子爪磁極22の先端24Aは、周方向において先細り形状を有する。なお、第2固定子30においても同様の変形例が成立する。第2例では、図22に示されるように、第1固定子20の第1固定子爪磁極22は、第2爪磁極24を省略して構成される。この場合、第2固定子30の第2固定子爪磁極32は、第1爪磁極33及び第2爪磁極34を含むことが好ましい。第3例では、図23に示されるように、第1固定子20の第1固定子爪磁極22は、第1爪磁極23及び第2爪磁極24に加えて、第3爪磁極25をさらに含む。第3爪磁極25は、例えば軸方向において、第1爪磁極23から第2爪磁極24とは反対側に延びる。軸方向における第3爪磁極25の長さは、軸方向における第2爪磁極24の長さよりも短い。なお、第2固定子30においても同様の変形例が成立する。第4例では、固定子鉄心11は、電磁鋼板によって形成される。
【0162】
・上記各実施形態において、ステータ10の構成は任意に変更可能である。第1例では、ステータ10は、2相以下又は4相以上のクローポール型ステータである。この場合、複数の固定子鉄心11の数は2つ又は4つ以上である。第2例では、ステータ10は、相間絶縁部材40,80,90を省略して構成される。
【0163】
・上記各実施形態では、アウターロータ型のモータ1のステータ10について説明したが、上記に挙げた固定部材60の構造は、アウターロータ型のモータ1のロータ50にも適用できる。
【0164】
・上記各実施形態では、アウターロータ型のモータ1のステータ10について説明したが、上記に挙げた固定部材60の構造は、インナーロータ型のモータ1のステータにも適用できる。また、上記に挙げた固定部材60の構造は、インナーロータ型のモータ1のロータ100にも適用できる。固定部材60の構造が適用されたロータ100の一例を以下に説明する。
【0165】
図24に示されるように、インナーロータ型のモータ1において、ロータ100は、各実施形態に示されるような固定部材60によって固定されてもよい。図24には、インナーロータ型モータのロータ100の一例の断面図が示される。ロータ100は、回転子鉄心111と、回転子鉄心111を固定する固定部材60とを備える。回転子鉄心111の外周には、回転軸心RAの周方向に等間隔に磁石(図示省略)が設けられる。
【0166】
回転子鉄心111は、圧粉磁心によって形成されている。回転子鉄心111は、モータ1の回転軸160が挿通する第1貫通孔111Aと、固定部材60の棒状部64が挿通する第2貫通孔111Bとを有する。第1貫通孔111Aは、回転子鉄心111に回転軸心RAに沿うように形成される。第2貫通孔111Bは、回転子鉄心111に回転軸心RAを中心として周方向に間隔を空けて設けられる。固定部材60は、第1端板部61、第2端板部62、及び複数の棒状部64を含む。第1端板部61は、回転軸160が挿通する第1孔61Rを有する。第1端板部61は、回転軸160に溶接または接着によって固定される。第2端板部62は、回転軸160が挿通する第2孔62Rを有する。第2端板部62は、回転軸160に溶接または接着によって固定される。棒状部64は、ロータ100の第2貫通孔111Bに挿入可能に構成されている。複数の棒状部64の数の一例は4本である。複数の棒状部64は、周方向に間隔を空けて配置されている。一例では、複数の棒状部64は、周方向に等間隔に配置されている。第1端板部61は、ロータ100において、軸方向の一方の端面111Dに直接的に接触するように配置されている。第1端板部61は、ロータ100において、軸方向の一方の端面111Dに絶縁部材を介して配置されてもよい。第2端板部62は、ロータ100において、軸方向の他方の端面111Eに直接的に接触するように配置されている。第2端板部62は、ロータ100において、軸方向の他方の端面111Eに絶縁部材を介して配置されてもよい。本実施形態では、複数の棒状部64がロータ100の第2貫通孔111Bに挿入され、ロータ100が第1端板部61及び第2端板部62によって軸方向に挟まれた状態で、棒状部64と第1端板部61及び第2端板部62とが固定される。図24に示される例では、第1端板部61、第2端板部62、及び棒状部64は、互いに別体に構成されている。棒状部64の数は、3本以下又は5本以上であってもよい。
【0167】
図24に示される例では、棒状部64には、ねじ溝64Dが形成されている。ねじ溝64Dは、棒状部64の外周面64Bに形成されている。一例では、ねじ溝64Dは、棒状部64の先端64Cに形成されている。ねじ溝64Dは、ナット69が螺合可能に構成される。本実施形態の棒状部64はボルトを構成している。棒状部64は、ロータ100の第2貫通孔111Bの内面111Cと、隙間SRを空けて対向する。第1端板部61には、棒状部64を挿通可能な挿通孔61Bが形成される。第2端板部62には、棒状部64を挿通可能な挿通孔62Gが形成される。複数の棒状部64は、第2端板部62の挿通孔62G及びロータ100の第2貫通孔111Bを介して第1端板部61の挿通孔61Bに挿入され、棒状部64のねじ溝64Dにナット69が螺合されることによって、第1端板部61と棒状部64と第2端板部62と回転子鉄心111とが結合される。これによって、ロータ100の回転子鉄心111が第1端板部61と第2端板部62との間で挟まれるように固定され、かつ、回転子鉄心111に対して回転軸160が固定される。この構成によれば、圧粉磁心を圧縮する力によって回転子鉄心111が固定部材60に固定されるため、圧粉磁心によって構成される回転子鉄心111の破損を抑制できる。
【0168】
また、この例では、ロータ100は、圧粉磁心によって形成された回転子鉄心111を備える。この構成によれば、渦電流の発生が抑制されるため、渦電流損の低減に貢献できる。また、回転子鉄心111の形状の自由度が向上する。
【0169】
・上記各実施形態では、クローポール型のモータ1について説明したが、上記に挙げた固定部材60の構造は、クローポール型以外の構造のモータ1のステータおよびロータにも適用できる。
【0170】
以上、本装置の実施の形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本装置の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0171】
1 モータ
10 ステータ(クローポール型ステータ)
10A 貫通孔
10B 端面
10C 端面
10D 内面
11 固定子鉄心
11A 貫通孔
12 バックヨーク
13 固定子爪磁極
40,80,90 相間絶縁部材
41,81,91 絶縁部
42,82,92 支持部
50 ロータ
60 固定部材
61 第1端板部
62 第2端板部
62A,62C ねじ溝
62E 貫通孔
62F 穴
63,64 棒状部
63A,64A ねじ溝
63B 外周面
63D 内部空間
63E 内周面
63F 貫通部
65 押さえ部
65A ねじ溝
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24