(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】空調関連機器及び空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/88 20180101AFI20231115BHJP
H04B 3/54 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F24F11/88
H04B3/54
(21)【出願番号】P 2022061065
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小寺 啓太
(72)【発明者】
【氏名】東山 伸
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆総
(72)【発明者】
【氏名】堀田 浩介
(72)【発明者】
【氏名】浦田 健佑
(72)【発明者】
【氏名】トク チャン ウェン
(72)【発明者】
【氏名】山本 亮介
(72)【発明者】
【氏名】小山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】石関 晋一
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-100655(JP,A)
【文献】特開2017-211143(JP,A)
【文献】国際公開第2012/114421(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0033745(US,A1)
【文献】米国特許第06290141(US,B1)
【文献】国際公開第2004/114543(WO,A1)
【文献】特開2022-185182(JP,A)
【文献】国際公開第2022/255330(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/88
H04B 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回路と、
通信信号の伝送媒体として、2本の電線を含む通信専用線、又は弱電電力及び通信信号の伝送媒体として2本の電線を含む弱電電源線が接続される第1の接続部と、
強電の伝送を行うための電源線と、通信を行うための信号線と、強電の伝送及び通信に共用される共用線とを含む強電電源線が接続される第2の接続部と、
弱電電力を遮断して前記通信信号を透過する弱電遮断用のコンデンサと、
強電電力を遮断して前記通信信号を透過する絶縁回路と
を備え、
前記第1の接続部は、
前記弱電遮断用のコンデンサを介して前記通信回路に接続され、
前記第2の接続部は、
前記強電電源線の前記電源線が接続される第1の端子と、前記信号線が接続される第2の端子と、前記共用線が接続される第3の端子とを含み、前記第2の端子及び前記第3の端子は、前記絶縁回路及び前記前記弱電遮断用のコンデンサを介して前記通信回路に接続され、
前記通信回路は、
前記第1の接続部に前記通信専用線が接続された場合、前記通信専用線を伝送する通信信号を送受信し、前記第1の接続部に前記弱電電源線が接続された場合、前記弱電電源線を伝送する通信信号を送受信し、前記第2の接続部に前記強電電源線が接続された場合、前記強電電源線を伝送する通信信号を送受信する
空調関連機器。
【請求項2】
前記強電電力から前記通信回路の駆動電力を生成する電源回路と、
前記第2の接続部と前記電源回路との間に介在し、通信信号の周波数帯域にわたる、前記第1の接続部のインピーダンスを前記電源回路のインピーダンスよりも高く保つインピーダンスアッパと
を備える請求項1に記載の空調関連機器。
【請求項3】
前記弱電電力から補助電力を生成して、前記強電電力が停止したときに前記通信回路に供給する受電回路と、
前記
第1の接続部と前記受電回路との間に介在し、前記通信信号の周波数帯域にわたる、前記
第1の接続部のインピーダンスを前記受電回路のインピーダンスよりも高く保つインピーダンスアッパ
と
を備える請求項1又は2に記載の空調関連機器。
【請求項4】
前記絶縁回路は、
コンデンサを備える
請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載の空調関連機器。
【請求項5】
前記通信回路は、周波数分割多重方式の複数の信号により通信を行う
請求項1から
請求項4のいずれか1項に記載の空調関連機器。
【請求項6】
前記通信回路は、100kHz以上の周波数の信号により通信を行う
請求項1から
請求項5のいずれか1項に記載の空調関連機器。
【請求項7】
前記電源線及び前記共用線を介して強電電力が伝送され、前記通信回路は前記信号線及び前記共用線を介して通信する、
請求項1から
請求項6のいずれか1項に記載の空調関連機器。
【請求項8】
請求項1から
請求項7のいずれか1項に記載の第1の空調関連機器と、
前記第1の空調関連機器に、前記通信専用線を介して接続された第2の空調関連機器と、
を備え、
前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記通信専用線を介して通信する
空調システム。
【請求項9】
請求項1から
請求項7のいずれか1項に記載の第1の空調関連機器と、
前記第1の空調関連機器に前記弱電電源線を介して接続された第2の空調関連機器と、
を備え、
前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記弱電電源線を介して通信する
空調システム。
【請求項10】
請求項1から
請求項7のいずれか1項に記載の第1の空調関連機器と、
前記第1の空調関連機器に前記強電電源線を介して接続された第2の空調関連機器と、
を備え、
前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記強電電源線を介して通信する
空調システム。
【請求項11】
請求項1から
請求項7のいずれか1項に記載の第1の空調関連機器と、
前記第1の空調関連機器に前記強電電源線を介して接続された第2の空調関連機器と、
前記第1の空調関連機器に前記弱電電源線を介して接続された第3の空調関連機器と
を備え、
前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記強電電源線を介して通信すると共に、前記第3の空調関連機器との間で前記弱電電源線を介して通信する
空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調関連機器及び空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、室外機及び室内機を通信専用線で接続し、信号伝送を行う技術を開示する。特許文献2は、交流電源線を用いて通信する空気調和機を開示する。特許文献3は、通信線を介して接続される複数の室内機に直流電源を供給する空調機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4165581号公報
【文献】特許第5928423号公報
【文献】特許第4160884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、通信信号を伝送する通信専用線を介した通信、強電電力を伝送する強電電源線を介した通信、及び弱電電力を伝送する弱電電源線を介した通信の少なくとも二つに対応することが可能な空調関連機器及び空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、通信信号を伝送する通信専用線、強電電力を伝送する強電電源線、及び弱電電力を伝送する弱電電源線、のうちの少なくとも二つを介して通信可能に接続される通信回路を備える。
【0006】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記強電電力から前記通信回路の駆動電力を生成する電源回路と、前記通信専用線を接続する接続部と、を備え、前記通信回路は前記接続部に接続される構成が好ましい。
【0007】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記弱電電源線を接続する接続部と、前記弱電電力から補助電力を生成して、前記強電電力が停止したときに前記通信回路に供給する受電回路と、前記接続部と前記受電回路との間に介在し、前記通信信号の周波数帯域にわたる、前記接続部のインピーダンスを前記受電回路のインピーダンスよりも高く保つインピーダンスアッパと、を備え、前記通信回路は前記接続部に接続されている構成が好ましい。
【0008】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記強電電源線が接続される接続部と、前記強電電力から前記通信回路の駆動電力を生成する電源回路と、前記接続部と前記電源回路との間に介在し、前記通信信号の周波数帯域にわたる、前記接続部のインピーダンスを前記電源回路のインピーダンスよりも高く保つインピーダンスアッパと、前記強電電力を遮断して前記通信信号を透過する絶縁回路とを備え、前記通信回路は前記絶縁回路を介して前記接続部に接続されている構成が好ましい。
【0009】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記強電電源線が接続される接続部と、強電電源が接続される電源接続部と、前記強電電力から前記通信回路の駆動電力を生成する電源回路と、前記接続部と前記電源接続部との間に介在し、前記通信信号の周波数帯域にわたる、前記接続部のインピーダンスを前記電源接続部のインピーダンスよりも高く保つインピーダンスアッパと、前記強電電力を遮断して前記通信信号を透過する絶縁回路とを備え、前記通信回路は前記絶縁回路を介して前記接続部に接続されている構成が好ましい。
【0010】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記通信回路が接続され、前記通信専用線又は前記弱電電源線が接続される第1の接続部と、前記強電電源線が接続される第2の接続部と、前記第2の接続部に接続され、前記強電電力から前記通信回路の駆動電力を生成する電源回路と、前記第2の接続部と前記電源回路との間に介在し、前記通信信号の周波数帯域にわたる、前記第2の接続部のインピーダンスを前記電源回路のインピーダンスよりも高く保つインピーダンスアッパと、前記第2の接続部と前記通信回路との間に介在し、強電電力を遮断して前記通信信号を透過する絶縁回路と、を備える構成が好ましい。
【0011】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記弱電電力から補助電力を生成して、前記強電電力が停止したときに前記通信回路に供給する受電回路と、前記第1の接続部と前記受電回路との間に介在し、前記通信信号の周波数帯域にわたる、前記第1の接続部のインピーダンスを前記受電回路のインピーダンスよりも高く保つインピーダンスアッパとを備える構成が好ましい。
【0012】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記絶縁回路は、コンデンサを備える構成が好ましい。
【0013】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記通信回路は、周波数分割多重方式の複数の信号により通信を行う構成が好ましい。
【0014】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記通信回路は、100kHz以上の周波数の信号により通信を行う構成が好ましい。
【0015】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記強電電源線は電源線、共用線及び信号線を含み、前記電源線及び前記共用線を介して強電電力が伝送され、前記通信回路は前記信号線及び前記共用線を介して通信する構成が好ましい。
【0016】
本開示の一側面に係る空調システムは、上記第1の空調関連機器と、前記第1の空調関連機器に、前記通信専用線を介して接続された第2の空調関連機器と、を備え、前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記通信専用線を介して通信する構成が好ましい。
【0017】
本開示の一側面に係る空調システムは、上記第1の空調関連機器と、前記第1の空調関連機器に前記弱電電源線を介して接続された第2の空調関連機器と、を備え、前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記弱電電源線を介して通信する構成が好ましい。
【0018】
本開示の一側面に係る空調システムは、上記第1の空調関連機器と、前記第1の空調関連機器に前記強電電源線を介して接続された第2の空調関連機器と、を備え、前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記強電電源線を介して通信する構成が好ましい。
【0019】
本開示の一側面に係る空調システムは、上記第1の空調関連機器と、前記第1の空調関連機器に前記強電電源線を介して接続された第2の空調関連機器と、前記第1の空調関連機器に前記弱電電源線を介して接続された第3の空調関連機器とを備え、前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記強電電源線を介して通信すると共に、前記第3の空調関連機器との間で前記弱電電源線を介して通信する構成が好ましい。
【0020】
本開示によれば、通信信号を伝送する通信専用線を介した通信、強電電力を伝送する強電電源線を介した通信、弱電電力を伝送する弱電電源線を介した通信の少なくとも二つに対応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態1に係る室内機の構成概要を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る室内機の構成例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1に係る室内機及び室外機の第1の接続例を示す模式図である。
【
図5】実施形態1に係る室内機及び室外機の第2の接続例を示す模式図である。
【
図6】実施形態1に係る室内機及び室外機の第3の接続例を示す模式図である。
【
図7】実施形態1に係る室内機及び室外機の第4の接続例を示す模式図である。
【
図8】実施形態2に係る室外機の構成例を示すブロック図である。
【
図9】実施形態3に係る室内機及び室外機の構成例を示す模式図である。
【
図10】実施形態4に係る室内機及び室外機の構成例を示す模式図である。
【
図11】実施形態5に係る室内機及び室外機の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施形態に係る空調関連機器及び空調システムを、以下に図面を参照しつつ説明する。
【0023】
(実施形態1)
<室内機(空調関連機器)の構成>
図1は、実施形態1に係る室内機1の構成概要を示すブロック図、
図2は、実施形態1に係る室内機1の構成例を示すブロック図、
図3は、フィルタ回路の構成例を示す回路図である。実施形態1に係る室内機1は、通信信号を伝送する通信専用線L1、強電電力を伝送する強電電源線L2及び弱電電力を伝送する弱電電源線L3のいずれか一つ又は二つの配線を介して外部の空調関連機器と通信を行うことができるように構成された空調関連機器である。通信専用線L1、強電電源線L2又は弱電電源線L3によって空調関連機器を接続してなる通信システムを空調システムと呼ぶ。
【0024】
通信専用線L1は、通信信号の伝送を目的とし電力伝送を目的としない配線である。通信専用線L1は、差動信号の伝送媒体として、2本の電線を含む。通信専用線L1は、2芯のビニルキャブタイヤ丸形コード(VCTF)である。
【0025】
強電電源線L2は、冷媒回路等の駆動系を動作させるために必要な強電電力を伝送すると共に、通信信号を伝送する配線である。強電電源線L2は電源線L21と、共用線L22と、信号線L23とを含む。共用線L22は、例えば基準電位に接続された電線である。例えば、共用線L22は0Vに接地された電線である。電源線L21は、強電電力を伝送するための電線である。信号線L23は、空調関連機器間で通信を行うための電線である。室内機1は、電源線L21及び共用線L22によって強電電力を伝送し、共用線L22及び信号線L23を介して通信を行う。
【0026】
弱電電源線L3は、制御系を動作させるために必要な電力を伝送すると共に、通信信号を伝送する配線である。弱電電源線L3は、弱電電力及び差動信号の伝送媒体として、2本の電線を含む。弱電電源線L3の物理的構成は通信専用線L1と同じである。
【0027】
本実施形態1に係る室内機1は、通信回路10と、第1接続部11、第2接続部12、第3接続部13、受電回路14、第1インピーダンスアッパ15、電源回路16及び第2インピーダンスアッパ17を備える。
【0028】
第1接続部11は、通信専用線L1又は弱電電源線L3が接続される接続端子である。第1接続部11は弱電遮断用のコンデンサC2を介して通信回路10に接続されている。第1接続部11は第1インピーダンスアッパ15を介して受電回路14に接続されている。
【0029】
詳細には第1接続部11は、弱電電源線L3及び通信専用線L1を構成する2本の電線がそれぞれ接続される二つの端子11a、11bを含む。二つの端子11a、11bには内部配線が接続されており、二つの端子11a、11bは、当該内部配線によって、コンデンサC2を介して送信回路10b及び受信回路10cに接続されている。二つの端子11a、11bには内部配線が接続されており、当該内部配線によって、端子11a、11bは、第1インピーダンスアッパ15を介して受電回路14に接続されている。
【0030】
なお、第1接続部21は、デイジーチェイン方式で他の空調関連機器と接続するために端子11a、11bを2組以上備えてもよい。対応する端子同士は接続される。
【0031】
受電回路14は、外部の空調関連機器から弱電電源線L3を介して供給された弱電電力を受電し、補助電力を自装置である室内機1の各種回路へ供給する回路である。受電回路14は、強電電力の供給が停止した場合であっても、弱電電力を受電し、受電した電力を通信回路10に供給することができる。
【0032】
第1インピーダンスアッパ15は、第1接続部11と受電回路14との間に介在し、通信信号の周波数帯域にわたる、第1接続部11のインピーダンスを受電回路14のインピーダンスよりも高く保つ回路である。第1インピーダンスアッパ15は、例えばローパスフィルタであり、通信信号を除去して弱電電力のみ受電回路14に供給する。
【0033】
第2接続部12は、強電電源線L2が接続される接続端子である。第2接続部12は第2インピーダンスアッパ17を介して電源回路16に接続されている。第2接続部12は強電遮断用のコンデンサC1(絶縁回路)及びコンデンサC2を介して通信回路10に接続されている。第2接続部12はコンデンサC1を介して第1接続部11に接続されている。
【0034】
詳細には、第2接続部12は、強電電源線L2の電源線L21が接続される端子12aと、共用線L22が接続される端子12bと、信号線L23が接続される端子12cとを含む。端子12a及び端子12bは第2インピーダンスアッパ17を介して電源回路16に接続されている。端子12b及び端子12cはコンデンサC1に接続されている。
【0035】
なお、第2接続部22は、デイジーチェイン方式で他の空調関連機器と接続するために端子12a、12b、12cを2組以上備えてもよい。対応する端子同士は接続される。
【0036】
第2インピーダンスアッパ17は、通信信号の周波数帯域にわたる、端子12a及び端子12bのインピーダンスを電源回路16のインピーダンスよりも高く保つ回路である。第2インピーダンスアッパ17は、例えば
図3Bに示すようなローパスフィルタ回路である。
図3Bに示すローパスフィルタはL型のフィルタ回路である。当該ローパスフィルタは、2本の通信経路にそれぞれ直列接続されたインダクタLと、並列接続されたコンデンサCとを備える。
【0037】
コンデンサC1は、第2接続部12と通信回路10及び第1接続部11との間に介在し、強電電力を遮断して通信信号を透過する回路である。
【0038】
第3接続部13は、交流電源Aが接続される接続端子である。第3接続部13は二つの端子13a、13bを含む。二つの端子13a、13bには内部電源線が接続されており、当該内部電源線によって端子13a、13bと電源回路16とが接続されている。また、二つの端子13a、13bは、第2インピーダンスアッパ17を介して第2接続部12の端子12a、12bに接続されている。第3接続部13と電源回路16との間にノイズフィルタを設けてもよい。
【0039】
電源回路16は、例えばスイッチング電源回路である。電源回路16は、交流電源A又は外部の空調関連機器から供給された交流電力を受電し、主電力を自装置である室内機1の各種機器へ供給する。電源回路16は主電源であり、通信回路10の駆動電力を生成し、通信回路10に供給している。
【0040】
通信回路10は、周波数分割多重方式の通信を行う回路である。具体的には、通信回路10は、制御回路10aと、2MHz~28MHzの帯域で周波数分割多重方式で変調された信号を送信する送信回路10bと、同周波数帯域の周波数分割多重方式で変調された信号を受信する受信回路10cとを含む。通信回路10は、送信フィルタ18a、受信フィルタ18b及びノイズフィルタ18を含む。通信回路10は、高周波帯域を用いたブロードバンド通信が可能であり、周波数分割多重方式の信号によりマルチキャリア通信を行うことができる。通信回路10は、高速大容量通信を行うことができる。
【0041】
通信回路10の通信プロトコルは以下の通りである。物理・データリンク層として、周波数分割多重方式の通信プロトコル及びイーサネット(登録商標)を使用する。トランスポート層プロトコルとしてUDP(User Datagram Protocol)、ネットワーク層プロトコルとしてIPv6を使用する。アプリケーションプロトコルとしてCoAP(Constrained Application Protocol)を、シリアライズフォーマットとしてCBOR(Concise Binary Object Representation)を使用する。
UDPは本実施形態に係る室内機1及び空調システムに好適である。多数の空調関連機器が接続される場合であっても、TPCのようにコネクションを張らないため、空調関連機器のRAMを圧迫しない。
IPv6は本実施形態に係る室内機1及び空調システムに好適である。多数の空調関連機器を共通仕様のIPアドレスによって識別し、通信を行うことができる。
CoAPは、本実施形態に係る室内機1及び空調システムに好適である。バイナリ通信であるため、HTTPよりも軽量な通信が可能である。リクエストとレスポンスの対応がとれ、リクエストに失敗した場合にデータの再送を行うことができる。GETコマンド及びSETコマンドを用いて、空調関連機器間で制御、運転状態等に係るデータの取得及び更新を行うことができる。
CBORは、本実施形態に係る室内機1及び空調システムに好適である。バイナリ通信であるため、JSON等と比べ軽量な通信が可能である。データにタグ付けを行い、空調関連機器が送受信するデータに意味づけを持たせることができる。
上記プロトコルの組み合わせは、本実施形態に係る室内機1及び空調システムに最も好適である。
【0042】
通信回路10の送信回路10bは、送信フィルタ18a、ノイズフィルタ18及びコンデンサC1,C2を介して第2接続部12に接続されている。送信回路10bは、送信フィルタ18a、ノイズフィルタ18及びコンデンサC2を介して第1接続部11に接続されている。通信回路10の受信回路10cは、受信フィルタ18b、ノイズフィルタ18及びコンデンサC1,C2を介して第2接続部12に接続されている。受信回路10cは、受信フィルタ18b、ノイズフィルタ18及びコンデンサC2を介して第1接続部11に接続されている。通信回路10は、第2接続部12に接続された強電電源線L2を介して、外部の空調関連機器と通信を行うと共に、第1接続部11に接続された通信専用線L1又は弱電電源線L3を介して、外部の空調関連機器と通信を行うことができる。
【0043】
ノイズフィルタ18は、差動信号を透過し、コモンモードノイズを遮断するトランスであり、トランスを構成する第1コイルの両端子それぞれはコンデンサC1,C2を介して第2接続部12の端子12b、12cに接続されている。第1コイルの両端子それぞれはコンデンサC2を介して第1接続部11の端子11b、11cに接続されている。ノイズフィルタ18を構成する第2コイルの両端子は送信フィルタ18aを介して送信回路10bに接続されている。ノイズフィルタ18を構成する第2コイルの両端子は受信フィルタ18bを介して受信回路10cに接続されている。送信フィルタ18a及び受信フィルタ18bは、空調関連機器間で送受信される信号成分を透過し、非信号成分を遮断するフィルタ回路である。送信フィルタ18a及び受信フィルタ18bは、
図3Aに示すようなハイパスフィルタ回路で構成するとよい。
図3Aに示すハイパスフィルタはT型のフィルタ回路である。当該ハイパスフィルタは、第1の通信経路に直列接続された二つのコンデンサCと、第2の通信回路に直列接続された二つのコンデンサCと、各経路のコンデンサCの接続点において並列接続されたインダクタLとを備える。送信フィルタ18a及び受信フィルタ18bは、バンドパスフィルタ回路であってもよい。
【0044】
制御回路10aは、送信回路10b及び受信回路10cによる信号の送受信を制御し、室内機1の動作を制御する回路である。制御装置は、制御プログラムを実行する演算処理装置及び記憶部を備える。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む。記憶部は、制御プログラム及び制御処理に用いられる情報を記憶する。記憶部は、不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含む。
【0045】
<室内機1のその他の構成>
室内機1及び室外機2(
図4参照)は、図示しない冷媒回路を構成する室内ユニットと、室外ユニットとをそれぞれ備える。室内ユニット及び室外ユニットは冷媒配管及び閉鎖弁を介して接続されている。室外ユニットは、冷媒を吸入及び圧縮して吐出する圧縮機、冷媒配管に設けられた四路切換弁、室外熱交換器、冷媒を減圧する膨張機構等を備える。膨張機構は、例えば膨張弁、キャピラリーチューブ等である。室内ユニットは、室内熱交換器等を備える。
【0046】
<通信専用線L1を用いた接続例>
図4は、実施形態1に係る室内機1及び室外機2の第1の接続例を示す模式図である。室外機2は、通信回路20、第1接続部21、第3接続部23、及び電源回路26を備える。第1接続部21は、通信専用線L1が接続される接続端子である。第1接続部21は通信回路20に接続されている。通信回路20は、周波数分割多重方式の通信を行う回路である。通信回路20の構成は、室内機1の通信回路10と同様であり、同一の通信プロトコルを用いて通信を行うことができる。第3接続部23は交流電源Aが接続される接続端子である。第3接続部23は電源回路26に接続されている。電源回路26は、第3接続部23に接続された交流電源Aから供給された交流電力を受電し、主電力を自装置である室外機2の各種機器へ供給する。
【0047】
図4に示すように、本実施形態1に係る室内機1は、通信専用線L1を介して室外機2に接続することができ、通信専用線L1を介して信号を送受信することができる。具体的には、通信専用線L1の一端は室内機1の第1接続部11に接続され、通信専用線L1の他端は室外機2の第1接続部21に接続されている。通信回路10が送信する通信信号は、コンデンサC2、第1接続部11及び通信専用線L1を介して室外機2へ送信される。室外機2から通信専用線L1を介して送信された通信信号は、第1接続部11及びコンデンサC2を介して通信回路10に入力する。
【0048】
<強電電源線L2を用いた接続例>
図5は、実施形態1に係る室内機1及び室外機3の第2の接続例を示す模式図である。室外機3は、通信回路30、第2接続部32、第3接続部33、電源回路36、インピーダンスアッパ37及び絶縁回路38を備える。第2接続部32は、強電電源線L2が接続される接続端子である。第2接続部32は絶縁回路38を介して通信回路30に接続されている。また、第2接続部32はインピーダンスアッパ37を介して第3接続部33及び電源回路36に接続されている。通信回路30は、周波数分割多重方式の通信を行う回路である。通信回路30の構成は、室内機1の通信回路10と同様であり、同一の通信プロトコルを用いて通信を行うことができる。第3接続部33は交流電源Aが接続される接続端子である。第3接続部33は電源回路36に接続されている。電源回路36は、第3接続部33に接続された交流電源Aから供給された交流電力を受電し、主電力を自装置である室外機3の各種機器へ供給する。
【0049】
図5に示すように、本実施形態1に係る室内機1は、強電電源線L2を介して室外機3に接続することができ、強電電源線L2を介して信号を送受信することができる。具体的には、強電電源線L2の一端は室内機1の第2接続部12に接続され、強電電源線L2の他端は室外機3の第2接続部32に接続されている。通信回路10が送信する通信信号は、コンデンサC1,C2、第2接続部12及び強電電源線L2を介して室外機3へ送信される。室外機3から強電電源線L2を介して送信された通信信号は、第2接続部12及びコンデンサC1,C2を介して通信回路10に入力する。
【0050】
室外機3は強電電源線L2を介して強電電力を室内機1へ供給する。室外機3から強電電源線L2を介して供給された強電電力は、室内機1の第2接続部12から第2インピーダンスアッパ17を介して電源回路16に入力する。室内機1は室外機3から供給された強電電力を受電することができる。
【0051】
<弱電電源線L3を用いた接続例>
図6は、実施形態1に係る室内機1及び室外機2の第3の接続例を示す模式図である。室内機1は送電ユニット4を介して室外機2に接続されている。
【0052】
室外機2は、通信回路20、第1接続部21、第3接続部23、及び電源回路26を備える。これらの回路構成は、
図4を用いて説明した室外機2の回路構成と同一又は同様である。
【0053】
送電ユニット4は、弱電電力を供給する装置である。送電ユニット4は、通信回路40、第1接続部41、第2接続部42、第3接続部43、電源回路46、インピーダンスアッパ47及びコンデンサ49を備える。
【0054】
第1接続部41及び第2接続部42は、弱電電源線L3が接続される接続端子である。第1接続部41は通信回路40に接続されている。第2接続部42はコンデンサ49を介して通信回路40に接続されている。通信回路40は第1接続部41及び第2接続部42にデイジーチェイン方式で接続されている。
【0055】
送電ユニット4は、弱電電力を供給する弱電供給用電源回路を備え、当該弱電供給用電源回路はインピーダンスアッパ47を介して第1接続部41に接続されている。弱電供給用電源回路は弱電電力を第1接続部41に接続された弱電電源線L3へ供給する。
【0056】
第3接続部43は交流電源Aが接続される接続端子である。第3接続部43は電源回路46に接続されている。電源回路46は、第3接続部43に接続された交流電源Aから供給された交流電力を受電し、主電力を自装置である送電ユニット4の各種機器へ供給する。
【0057】
図6に示すように、本実施形態1に係る室内機1は、弱電電源線L3を介して室外機2に接続することができ、弱電電源線L3を介して信号を送受信することができる。具体的には、第1の弱電電源線L3一端は室内機1の第1接続部11に接続され、当該弱電電源線L3の他端は送電ユニット4の第1接続部41に接続されている。第2の弱電電源線L3一端は送電ユニット4の第2接続部42に接続され、当該弱電電源線L3の他端は室外機2の第1接続部21に接続されている。通信回路10が送信する通信信号は、コンデンサC2、第1接続部11、第1の弱電電源線L3、送電ユニット4、第2の弱電電源線L3を介して室外機2へ送信される。室外機2から通信専用線L1を介して送信された通信信号は、第1接続部11及びコンデンサC2を介して通信回路10に入力する。
【0058】
送電ユニット4から弱電電源線L3を介して供給された弱電電力は、室内機1の第1接続部11から第1インピーダンスアッパ15を介して受電回路14に入力する。室内機1は、受電回路14にて弱電電力を受電することができる。
【0059】
<強電電源線L2及び弱電電源線L3を用いた接続例>
図7は、実施形態1に係る室内機1及び室外機2、3の第4の接続例を示す模式図である。室内機1は強電電源線L2を介して室外機3に接続され、弱電電源線L3を介して室外機2に接続されている。
図7に示す室外機3の構成は
図5に示した室外機3と同一又は同様である。
図7に示す室外機2及び送電ユニット4の構成は
図6に示した室外機2及び送電ユニット4の構成と同一又は同様である。
【0060】
強電電源線L2の一端は室内機1の第2接続部12に接続され、強電電源線L2の他端は室外機3の第2接続部32に接続されている。
【0061】
第1の弱電電源線L3の一端は室内機1の第1接続部11に接続され、当該弱電電源線L3の他端は送電ユニット4の第1接続部41に接続されている。第2の弱電電源線L3一端は送電ユニット4の第2接続部42に接続され、当該弱電電源線L3の他端は室外機2の第1接続部21に接続されている。
【0062】
図7に示すように、本実施形態1に係る室内機1は、強電電源線L2を介して室外機3に接続すると共に、弱電電源線L3を介して室外機2に接続することができる。室内機1は、弱電電源線L3を介して室外機2と通信を行うことができ、強電電源線L2を介して室外機3と通信を行うことができる。
【0063】
図7に示すように、室内機1は、本実施形態に係るコンデンサC1を備えることにより、強電電源線L2及び弱電電源線L3への信号の相互乗り入れを実現する。具体的には、室内機1は、コンデンサC1と、周波数分割多重方式の通信方式を用いた共通の通信プロトコルにて通信を行う通信回路10、20、30とを備えることにより、信号の相互乗り入れを実現する。
【0064】
相互乗り入れ可能な空調関連機器の機能は以下の通りである。
(1)室内機1は、強電電源線L2を利用した通信ネットワーク、弱電電源線L3を利用した通信ネットワーク及び通信専用線L1を利用した通信ネットワークのいずれにも接続することができる。
(2)室内機1は、強電電源線L2及び弱電電源線L3を用いてデイジーチェイン方式で接続することができ、各空調関連機器は強電電源線L2及び弱電電源線L3を通じて直接的に信号をやり取りすることができる。
図7に示す例では、室外機2及び室外機3は、強電電源線L2及び弱電電源線L3を介して信号を直接的に送受信することができる。
(3)室内機1は、通信ネットワークの種類、系統を問わず、共通の通信プロトコルで通信を行うことができる。
【0065】
<作用効果>
本実施形態に係る室内機1及び空調システムによれば、室内機1は、通信専用線L1、強電電源線L2及び弱電電源線L3のいずれにも接続でき、外部の空調関連機器と通信を行うことができる。
【0066】
室内機1の通信回路10は、強電遮断用のコンデンサC1を介して強電電源線L2に接続されるため、室内機1は、強電電源線L2を介して通信を行うことができる。
【0067】
室内機1の通信回路10は、強電遮断用のコンデンサC1を介さず、弱電遮断用のコンデンサC2を介して弱電電源線L3に接続される。室内機1は、弱電電源線L3を介して通信を行うことができる。
【0068】
室内機1は、強電電源線L2を介して他の空調関連機器から供給され強電電力を受電し、動作することができる。
【0069】
室内機1は、弱電電源線L3を介して他の空調関連機器から供給され弱電電力を受電し、動作することができる。
【0070】
室内機1は、強電電源線L2を介して他の空調関連機器へ強電電力を供給することができる。
【0071】
室内機1を、強電電源線L2を含む通信ネットワークと、弱電電源線L3又は通信専用線L1を含む通信ネットワークとに信号の相互乗り入れが可能となるように接続することができる。
【0072】
室内機1は、通信専用線L1又は弱電電源線L3が接続される第1接続部11と、強電電源線L2が接続される第2接続部12との間に設けられた強電遮断用のコンデンサC1を備えるため、強電電源線L2と、弱電電源線L3とに信号の相互乗り入れが可能である。
【0073】
室内機1及び室外機2の通信回路10は、周波数分割多重方式の通信を行うことができる。2MHz~28MHzの高周波数帯で周波数分割多重方式の信号により、ブロードバンド、マルチキャリア通信を行うことができる。室内機1及び室外機2は高速大容量通信を行うことができる。
【0074】
高周波数帯で通信を行うため、通信経路の一部に障害が発生しても、配線で正常に接続されている空調関連機器同士は比較的安定的に通信を継続することができる。
【0075】
高速通信が可能であるため、空調関連機器は、空調システムの制御データ以外の情報も送受信することができる。例えば、保守点検に係る情報を送受信することができる。
【0076】
通信専用線L1を介した通信、強電電源線L2を介した通信、弱電電源線L3を介した通信のプロトコルが共通化されているため、室内機1及び室外機2の通信回路10、20は、共通の通信プロトコルを用いて相互接続された空調関連機器と通信を行うことができる。
【0077】
強電遮断用の絶縁回路をコンデンサC1からなる簡単な回路で構成することができる。
【0078】
空調関連機器は、強電電力を伝送するための導線の一つである共用線L22と、信号線L23とを用いて信号を送受信することができる。強電電源線L2を通信用の電線として用いることができる。
【0079】
本実施形態1に係る空調関連機器の一例として室内機1を例示したが、室外機2、冷媒切替装置、送電ユニット、換気装置、リモコン(リモートコントローラ)、通信装置又は制御装置等の空調(空気調和)に関連する種々の機器に本実施形態1を適用してもよい。
【0080】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係る室外機202の構成例を示すブロック図である。本実施形態2に係る室外機202は、通信回路20と、第1接続部21、第2接続部22、第3接続部23、受電回路24、第1インピーダンスアッパ25、電源回路26及び第2インピーダンスアッパ27を備える。通信及び電力伝送に係る回路構成は室内機1の回路構成と同様であるため、詳細な説明を適宜省略する。
【0081】
第1接続部21は、通信専用線L1又は弱電電源線L3が接続される接続端子である。第1接続部21は、弱電電源線L3及び通信専用線L1を構成する2本の電線がそれぞれ接続される二つの端子21a、21bを含む。第1接続部21は弱電遮断用のコンデンサC4を介して通信回路20に接続されている。第1接続部21は第1インピーダンスアッパ25を介して受電回路24に接続されている。
【0082】
受電回路24は、外部の空調関連機器から弱電電源線L3を介して供給された弱電電力を受電し、補助電力を自装置である室外機202の各種回路へ供給する回路である。
【0083】
第1インピーダンスアッパ25は、第1接続部21と受電回路24との間に介在し、通信信号の周波数帯域にわたる、第1接続部21のインピーダンスを受電回路24のインピーダンスよりも高く保つ回路である。
【0084】
第2接続部22は、強電電源線L2が接続される接続端子である。第2接続部22は第2インピーダンスアッパ27を介して電源回路26に接続されている。第2接続部22は強電遮断用のコンデンサC3(絶縁回路)及び弱電遮断用のコンデンサC4を介して通信回路20に接続されている。
【0085】
詳細には、第2接続部22は、強電電源線L2の電源線L21が接続される端子22aと、共用線L22が接続される端子22bと、信号線L23が接続される端子22cとを含む。端子22a、22bは第2インピーダンスアッパ27を介して電源回路26に接続されている。端子22b及び端子22cは強電遮断用のコンデンサC3に接続されている。
【0086】
第2インピーダンスアッパ27は、通信信号の周波数帯域にわたる、端子22a、22bのインピーダンスを電源回路26のインピーダンスよりも高く保つ回路である。
【0087】
コンデンサC3は、第2接続部22と通信回路20及び第1接続部21との間に介在し、強電電力を遮断して通信信号を透過する回路である。
【0088】
第3接続部23は、交流電源Aが接続される接続端子である。第3接続部23は二つの端子23a、23bを含む。二つの端子23a、23bには内部電源線が接続されており、当該内部電源線によって端子23a、23bと電源回路26とが接続されている。また、二つの端子23a、23bは、第2インピーダンスアッパ27を介して第2接続部22の端子22a、22bに接続されている。
【0089】
電源回路26は、交流電源A又は外部の空調関連機器から供給された交流電力を受電し、主電力を自装置である室外機202の各種機器へ供給する。
【0090】
通信回路20は、制御回路20a、周波数分割多重方式の通信を行う送信回路20b、受信回路20c、送信フィルタ28a、受信フィルタ28b及びノイズフィルタ28を備える。各回路及びフィルタの構成は実施形態1の室内機1が備える回路及びフィルタと同様である。
【0091】
通信回路20は、コンデンサC3,C4を介して第2接続部22に接続されている。通信回路20は、コンデンサC4を介して第1接続部21に接続されている。通信回路20は、第2接続部22に接続された強電電源線L2を介して、外部の空調関連機器と通信を行うと共に、第1接続部21に接続された通信専用線L1又は弱電電源線L3を介して、外部の空調関連機器と通信を行うことができる。
【0092】
本実施形態2によれば、室外機202は、通信専用線L1、強電電源線L2及び弱電電源線L3のいずれにも接続し、外部の空調関連機器と通信を行うことができる。
【0093】
(実施形態3)
図9は、実施形態3に係る室内機301及び室外機2の構成例を示す模式図である。実施形態1で説明したように、通信専用線L1を介した通信、強電電源線L2を介した通信、弱電電源線L3を介した通信を行うための通信プロトコルは共通化されている。従って、複数種類の空調関連器機で共通化された一の通信回路10を備え、必要な周辺回路を適宜選択することにより、専ら通信専用線L1を介した通信を行う室内機301を構成することができる。室内機301を構成する回路の詳細は実施形態1と同一又は同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0094】
実施形態3に係る室内機301は、通信回路10、第1接続部11、第3接続部13、電源回路16を備える。室外機2の構成は、
図4を用いて説明した室外機2の回路構成と同一又は同様である。室内機301の第1接続部11と、室外機2の第1接続部21は通信専用線L1によって接続されている。
【0095】
実施形態3によれば、室内機301は、通信専用線L1を介して室外機2と通信を行うことができる。通信専用線L1を介した通信を実現するための専用回路を用意する必要は無く、共通仕様の通信回路10を用いて実施形態3に係る室内機301を構成することができる。
【0096】
(実施形態4)
図10は、実施形態4に係る室内機401及び室外機3の構成例を示す模式図である。実施形態1で説明したように、通信専用線L1を介した通信、強電電源線L2を介した通信、弱電電源線L3を介した通信を行うための通信プロトコルは共通化されている。従って、複数種類の空調関連器機で共通化された一の通信回路10を備え、必要な周辺回路を適宜選択することにより、専ら強電電源線L2を介した通信を行う室内機401を構成することができる。室内機401を構成する回路の詳細は実施形態1と同一又は同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0097】
実施形態4に係る室内機401は、通信回路10、第2接続部12、電源回路16、第2インピーダンスアッパ17及びコンデンサC2を備える。室外機3の構成は、
図5を用いて説明した室外機3の回路構成と同一又は同様であり、第2接続部12はコンデンサC2を介して通信回路10に接続されている。室内機401の第2接続部12と、室外機3の第2接続部32とは強電電源線L2によって接続されている。
【0098】
実施形態4によれば、室内機401は、強電電源線L2を介して室外機3と通信を行うことができる。強電電源線L2を介した通信を実現するための専用回路を用意する必要は無く、共通仕様の通信回路10を用いて実施形態4に係る室内機401を構成することができる。
【0099】
(実施形態5)
図11は、実施形態5に係る室内機501及び室外機2の第1の接続例を示す模式図である。実施形態1で説明したように、通信専用線L1を介した通信、強電電源線L2を介した通信、弱電電源線L3を介した通信を行うための通信プロトコルは共通化されている。従って、複数種類の空調関連器機で共通化された一の通信回路10を備え、必要な周辺回路を適宜選択することにより、専ら弱電電源線L3を介した通信を行う室内機501を構成することができる。室内機501を構成する回路の詳細は実施形態1と同一又は同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0100】
実施形態5に係る室内機501は、通信回路10、第1接続部11、第3接続部13、電源回路16、第1インピーダンスアッパ15、受電回路14及びコンデンサC2を備える。室外機2の構成は、
図4及び
図6を用いて説明した室外機2の回路構成と同一又は同様であり、第1接続部11はコンデンサC2を介して通信回路10に接続されている。送電ユニット4の構成は、
図6を用いて説明した送電ユニット4の回路構成と同一又は同様である。室内機501の第1接続部11と、室外機2の第1接続部21とは、送電ユニット4を介して弱電電源線L3によって接続されている。
【0101】
実施形態5によれば、室内機501は、弱電電源線L3を介して室外機2と通信を行うことができる。弱電電源線L3を介した通信を実現するための専用回路を用意する必要は無く、共通仕様の通信回路10を用いて実施形態5に係る室内機501を構成することができる。
【0102】
実施形態1から実施形態5では、通信回路10、20は、周波数分割多重方式の複数の信号により通信を行ったが、これに限定するものではない。通信回路10、20は、単一の信号により通信を行ってもよい。
【0103】
実施形態1から実施形態5では、通信専用線L1および弱電電源線L3には、2芯のビニルキャブタイヤ丸形コード(VCTF)を用いたが、これに限定するものではない。通信専用線L1および弱電電源線L3には、ビニルキャブタイヤ長丸形コード(VCTFK)、ビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル(VCT)、ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形(VVR)、ビニル節煙ビニルシースケーブル平形(VVF)、制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブル(CVV)等の異なる種別のケーブルを用いてもよい。さらに、通信専用線L1および弱電電源線L3には、3芯以上のコード又はケーブルを用いてもよい。
【0104】
実施形態1から実施形態5では、通信回路10、20は、2MHz~28MHzの帯域で周波数分割多重方式で変調された信号により通信を行ったが、これに限定するものではない。通信回路10、20は、100kHz以上の帯域で周波数分割多重方式で変調された信号により通信を行ってもよい。
【0105】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。上記の実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 室内機
2,3 室外機
4 送電ユニット
10 通信回路
10a 制御回路
10b 送信回路
10c 受信回路
11 第1接続部
12 第2接続部
13 第3接続部
14 受電回路
15 第1インピーダンスアッパ
16 電源回路
17 第2インピーダンスアッパ
18 ノイズフィルタ
18a 送信フィルタ
18b 受信フィルタ
20 通信回路
20a 制御回路
20b 送信回路
20c 受信回路
21 第1接続部
22 第2接続部
23 第3接続部
24 受電回路
25 第1インピーダンスアッパ
26 電源回路
27 第2インピーダンスアッパ
28 ノイズフィルタ
28a 送信フィルタ
28b 受信フィルタ
A 交流電源
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ
C3 コンデンサ
C4 コンデンサ
L1 通信専用線
L2 強電電源線
L21 電源線
L22 共用線
L23 信号線
L3 弱電電源線