IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-空調関連機器及び空調システム 図1
  • 特許-空調関連機器及び空調システム 図2
  • 特許-空調関連機器及び空調システム 図3
  • 特許-空調関連機器及び空調システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】空調関連機器及び空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/88 20180101AFI20231115BHJP
   H04B 3/54 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F24F11/88
H04B3/54
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022061066
(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公開番号】P2023151457
(43)【公開日】2023-10-16
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】トク チャン ウェン
(72)【発明者】
【氏名】東山 伸
(72)【発明者】
【氏名】堀田 浩介
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆総
(72)【発明者】
【氏名】浦田 健佑
(72)【発明者】
【氏名】小寺 啓太
(72)【発明者】
【氏名】山本 亮介
(72)【発明者】
【氏名】小山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】石関 晋一
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-100655(JP,A)
【文献】特開2017-211143(JP,A)
【文献】国際公開第2012/114421(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0033745(US,A1)
【文献】米国特許第06290141(US,B1)
【文献】国際公開第2004/114543(WO,A1)
【文献】特開2022-185182(JP,A)
【文献】国際公開第2022/255330(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/88
H04B 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強電の伝送を行うための電源線と、通信を行うための信号線と、強電の伝送及び通信に共用される共用線とを含む強電電源線が接続される第1接続部と、
通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は通信とともに弱電の伝送を行う配線が接続される第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する接続回路と
を備え、
前記第1接続部は、
前記強電電源線を介して、外部の他の空調関連機器に接続するためのものであり、
前記第2接続部は、
通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して、外部の他の空調関連機器に接続するためのものであり、
前記接続回路は、
前記強電電源線を介した通信及び前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信を行う通信回路と、
前記通信回路の前段に設けられており、強電電力を遮断し、通信に係る信号を透過する絶縁回路
を含み、
前記第1接続部は、前記絶縁回路を介して前記通信回路に接続され、
前記第2接続部は、前記絶縁回路を介さずに前記通信回路に接続されている
空調関連機器。
【請求項2】
交流電源に接続される第3接続部と、
ノイズフィルタを介して前記第3接続部に接続され、かつ、前記ノイズフィルタ及び強電用のローパスフィルタを介して前記第1接続部に接続されており、前記交流電源から供給された強電電力又は前記強電電源線を介して伝送された強電電力を受電し、主電力を自装置に供給する電源回路と、
弱電用のノイズフィルタ及びローパスフィルタを介して前記第2接続部に接続されており、前記第2接続部に接続された前記配線を介して伝送された弱電電力を受電し、補助電力を自装置に供給する受電回路と
を備える請求項1に記載の空調関連機器。
【請求項3】
前記強電電源線を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の信号を、前記強電電源線を介して受信する第1受信回路と、
前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の信号を、前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して受信する第2受信回路と
を備える請求項1又は請求項2に記載の空調関連機器。
【請求項4】
交流電源に接続され、主電力を自装置に供給する電源回路を備え、
交流電源の強電電力を、前記強電電源線を介して他の空調関連機器に伝送するようにしてある請求項1に記載の空調関連機器。
【請求項5】
前記強電電源線を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の信号を、前記強電電源線を介して送信する第1送信回路と、
前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の信号を、前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して送信する第2送信回路と
を備える請求項4に記載の空調関連機器。
【請求項6】
記電源線及び前記共用線を用いて強電電力の伝送が行われるとともに、前記通信回路は前記信号線及び前記共用線を介した通信を行う
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の空調関連機器。
【請求項7】
前記絶縁回路は、
トランス又はコンデンサを備える
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の空調関連機器。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の第1の空調関連機器と、
前記第1の空調関連機器に前記強電電源線又は前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して接続された第2の空調関連機器と
を備え、
前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記強電電源線又は前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信を行う
空調システム。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の第1の空調関連機器と、
前記第1の空調関連機器に前記強電電源線を介して接続された第2の空調関連機器と、
前記第1の空調関連機器に前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して接続された第3の空調関連機器と
を備え、
前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記強電電源線を介した通信を行うとともに、前記第3の空調関連機器との間で前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信を行う
空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調関連機器及び空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、室外機及び室内機を通信専用線で接続し、信号伝送を行う技術を開示する。特許文献2は、電源線及び通信線を用いて通信する空気調和機を開示する。特許文献3は、交流電源と直流電源の両方に共用できる通信処理制御回路を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-99020号公報
【文献】国際公開第2020/174563号
【文献】特開2005-159921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、通信とともに強電の伝送を行う配線を含む通信ネットワークと、通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は通信とともに弱電の伝送を行う配線を含む通信ネットワークとに信号の相互乗り入れが可能な空調関連機器及び空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、通信とともに強電の伝送を行う配線が接続される第1接続部と、通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は通信とともに弱電の伝送を行う配線が接続される第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する接続回路とを備え、前記接続回路は、電力伝送を遮断し、通信に係る信号を透過する絶縁回路を含む。
【0006】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記接続回路は、前記通信とともに強電の伝送を行う配線を介した通信及び前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信を行う通信回路を含み、前記絶縁回路は前記通信回路の前段に設けられている構成が好ましい。
【0007】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記絶縁回路は、前記通信回路と、前記第1接続部との間に設けられており、前記第2接続部は、前記絶縁回路を介さずに前記通信回路に接続されている構成が好ましい。
【0008】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、外部の空調関連機器から前記通信とともに強電の伝送を行う配線を介して伝送された強電電力、又は交流電源から供給された強電電力を受電し、主電力を自装置に供給する電源回路と、外部の空調関連機器から前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して伝送された弱電電力を受電し、補助電力を自装置に供給する受電回路とを備える構成が好ましい。
【0009】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記通信とともに強電の伝送を行う配線を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の信号を、前記通信とともに強電の伝送を行う配線を介して受信する第1受信回路と、前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の信号を、前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して受信する第2受信回路とを備える構成が好ましい。
【0010】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、交流電源に接続され、主電力を自装置に供給する電源回路を備え、交流電源の強電電力を、前記通信とともに強電の伝送を行う配線を介して強電電力を他の空調関連機器に伝送するようにしてある構成が好ましい。
【0011】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記通信とともに強電の伝送を行う配線を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の信号を、前記通信とともに強電の伝送を行う配線を介して送信する第1送信回路と、前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の信号を、前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して送信する第2送信回路とを備える構成が好ましい。
【0012】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記通信とともに強電の伝送を行う配線は電源線、共用線及び信号線を含み、前記電源線及び前記共用線を用いて強電電力の伝送が行われるとともに、前記通信回路は前記信号線及び前記共用線を介した通信を行う構成が好ましい。
【0013】
本開示の一側面に係る空調関連機器は、前記絶縁回路は、トランスと又はコンデンサを備える構成が好ましい。
【0014】
本開示の一側面に係る空調システムは、上記第1の空調関連機器と、前記第1の空調関連機器に前記通信とともに強電の伝送を行う配線又は前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して接続された第2の空調関連機器とを備え、前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記通信とともに強電の伝送を行う配線又は前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信を行う構成が好ましい。
【0015】
本開示の一側面に係る空調システムは、上記第1の空調関連機器と、前記第1の空調関連機器に前記通信とともに強電の伝送を行う配線を介して接続された第2の空調関連機器と、前記第1の空調関連機器に前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介して接続された第3の空調関連機器とを備え、前記第1の空調関連機器は、前記第2の空調関連機器との間で前記通信とともに強電の伝送を行う配線を介した通信を行うとともに、前記第3の空調関連機器との間で前記通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は前記通信とともに弱電の伝送を行う配線を介した通信を行う構成が好ましい。
【0016】
本開示によれば、通信とともに強電の伝送を行う配線を含む通信ネットワークと、通信を目的とし電力伝送を目的としない配線又は通信とともに弱電の伝送を行う配線を含む通信ネットワークとに信号の相互乗り入れが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る空調システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る室外機及び室内機の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る室外機及び室内機の構成を示すブロック図である。
図4】比較例に係る空調システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施形態に係る空調関連機器及び空調システムを、以下に図面を参照しつつ説明する。
<空調システムの構成>
図1は、実施形態1に係る空調システムの構成を示すブロック図、図2は、実施形態1に係る室外機2及び室内機3の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る空調システムは、集中管理装置1、室外機2、室内機3及び冷媒切替装置4等の複数の空調関連機器を備える。複数の空調関連機器は、複数種類の配線Lを介して接続されている。空調関連機器は上記のものに限らず、例えば換気装置、リモコン(リモートコントローラ)、通信装置又は制御装置等の空調(空気調和)に関連する種々の機器が含まれる。
【0019】
空調関連機器を接続する配線Lには、通信とともに強電電力の伝送を行う配線L(以下、強電電源線L1と呼ぶ。)と、通信とともに弱電電力の伝送を行う配線L(以下、弱電電源線L2と呼ぶ)と、通信を目的とし電力伝送を目的としない配線L(以下、通信専用線と呼ぶ。)とが含まれる。強電電源線L1は、冷媒回路等の駆動系を動作させるために必要な電力を伝送する配線Lである。弱電電源線L2は、例えば制御系を動作させるために必要な電力を伝送する配線Lである。図1に示す例では、複数の空調関連装置が強電電源線L1及び弱電電源線L2によって接続されている。
【0020】
集中管理装置1には、複数の室外機2が弱電電源線L2を介してデイジーチェイン方式で接続されている。集中管理装置1及び室外機2は、弱電電源線L2を介して通信を行うことができる。
【0021】
第1の室外機2には、強電電源線L1を介して複数の室内機3が接続されている。室外機2は、室内機3との間で強電電源線L1を介して通信を行うとともに、強電電力を室内機3へ供給する。当該第1の室外機2及び複数の室内機3は、一系統(例えば、一つの冷媒回路)を構成している。
【0022】
第2の室外機2には、弱電電源線L2を介して複数の室内機3がデイジーチェイン方式で接続されている。第2の室外機2及び室内機3は弱電電源線L2を介して通信を行うことができる。当該第2の室外機2及び複数の室内機3は一つの系統を構成している。
【0023】
第3の室外機2には、弱電電源線L2を介して冷媒切替装置4が接続されている。冷媒切替装置4には強電電源線L1を介して複数の室内機3がデイジーチェイン方式で接続されている。第3の室外機2及び冷媒切替装置4は、弱電電源線L2を介して通信を行うことができる。冷媒切替装置4は、室内機3との間で強電電源線L1を介して通信を行うとともに、強電電力を室内機3に供給する。第3の室外機2は、室内機3との間で弱電電源線L2及び強電電源線L1を介して通信を行うことができる。第3の室外機2、冷媒切替装置4及び複数の室内機3は、一つの系統を構成している。
【0024】
このように構成された空調システムにおいて、室外機2及び室内機3は、本実施形態に係る接続回路20、30を備えることにより、強電電源線L1及び弱電電源線L2への信号の相互乗り入れを実現する。具体的には、接続回路20、30は、絶縁回路20b、30bと、所定の共通の通信プロトコルにて通信を行う通信回路20d、30dとを備えることにより、信号の相互乗り入れを実現する。図1中、室外機2及び室内機3の「通信」は通信回路20d、30dを示し、「絶縁」は絶縁回路20b、30bを示している。冷媒切替装置4も室外機2と同様の回路構成を有し、信号の相互乗り入れを実現する。
【0025】
相互乗り入れ可能な空調関連機器の機能は以下の通りである。
(1)室外機2、室内機3及び冷媒切替装置4は、強電電源線L1を利用した通信ネットワーク、弱電電源線L2を利用した通信ネットワーク及び通信専用線を利用した通信ネットワークのいずれにも接続することができる。
(2)室外機2、室内機3及び冷媒切替装置4は、異なる複数種類の配線Lを用いてデイジーチェイン方式で接続することができ、各空調関連機器は複数種類の配線Lを通じて直接的に信号をやり取りすることができる。空調関連機器は、各種空調関連機器が同一系統の配線Lでデイジーチェイン接続されているかのように通信を行うことができる。通信に係る信号は絶縁回路20b、30bを介して弱電電源線L2から強電電源線L1へ、強電電源線L1から弱電電源線L2へ伝送する。同様に、通信に係る信号は絶縁回路20b、30bを介して通信専用線から強電電源線L1へ、強電電源線L1から通信専用線へ伝送する。
(3)室外機2、室内機3及び冷媒切替装置4は、通信ネットワークの種類、系統を問わず、共通の通信プロトコルで通信を行うことができる。
【0026】
<強電電源線L1にて接続された室外機2及び室内機3>
図2に示す室外機2及び室内機3は、強電電源線L1にて接続されている。強電電源線L1は電源線L11と、共用線L12と、信号線L13とを含む。共用線L12は、例えば基準電位に接続された電線である。例えば、共用線L12は0Vに接地された電線である。電源線L11は、強電電力を伝送するための電線である。信号線L13は、空調関連器機間で通信を行うための電線である。室外機2及び室内機3は、電源線L11及び共用線L12によって強電電力を伝送し、共用線L12及び信号線L13を介して通信を行う。
通信に係る信号は、基準電位に接続された共用線L12及び信号線L13を伝送するため、通信に係る信号が電源線L13を通じて外部の電力系統に漏出しないようにすることができる。
【0027】
室外機2は、強電電源線L1が接続される第1接続部21と、弱電電源線L2又は通信専用線が接続される第2接続部22と、交流電源10が接続される電源端子を有する第3接続部23とを備える。室外機2は、第1接続部21と第2接続部22とを接続する接続回路20を備える。
【0028】
室外機2の第1接続部21は、強電電源線L1の電源線L11、共用線L12及び信号線L13が接続されるレセプタクルを備える。第1接続部21は、デイジーチェイン方式で他の空調関連機器と接続するために2組以上のレセプタクルを備える。各レセプタクルの対応する端子は接続されている。つまり、第1のレセプタクルは、強電電源線L1の電源線L11が接続される端子と、共用線L12が接続される端子と、信号線L13が接続される端子とを含む。第2のレセプタクルも強電電源線L1の電源線L11が接続される端子と、共用線L12が接続される端子と、信号線L13が接続される端子とを含む。各レセプタクルの電源線L11が接続される端子同士は接続されている。各レセプタクルの共用線L12が接続される端子同士は接続されている。各レセプタクルの信号線L13が接続される端子同士は接続されている。
【0029】
室外機2の第2接続部22は、弱電電源線L2又は通信専用線が接続されるレセプタクルを有する。第2接続部22は、デイジーチェイン方式で他の空調関連機器と接続するために2組以上のレセプタクルを備える。弱電電源線L2及び通信専用線は2線であり、各レセプタクルは当該2線が接続される端子を含む。各レセプタクルの対応する端子同士は接続されている。
【0030】
室内機3は、強電電源線L1が接続される第1接続部31と、弱電電源線L2又は通信専用線が接続される第2接続部32と、交流電源10が接続される第3接続部33とを備える。室内機3は、第1接続部31と第2接続部32とを接続する接続回路30を備える。
【0031】
室内機3の第1接続部31は、強電電源線L1の電源線L11、共用線L12及び信号線L13が接続されるレセプタクルを有する。第1接続部31は、デイジーチェイン方式で他の空調関連機器と接続するために2組以上のレセプタクルを含む。
【0032】
室内機3の第2接続部32は、弱電電源線L2又は通信専用線が接続されるレセプタクルを有する。第2接続部32は、他の空調関連機器をデイジーチェイン方式で接続するために2組以上のレセプタクルを含む。弱電電源線L2及び通信専用線は2線であり、各レセプタクルは当該2線が接続される端子を含む。各レセプタクルの対応する端子同士は接続されている。
【0033】
図2に示す例では、室外機2の第1接続部21と、室内機3の第1接続部31とが強電電源線L1にて接続されている。室外機2の第2接続部22と、集中管理装置1とが弱電電源線L2にて接続されている。室外機2の第3接続部23には交流電源10が接続されている。室内機3の第2接続部32及び第3接続部33には配線L及び交流電源10が接続されていない。
【0034】
<室外機2の接続回路20の構成>
室外機2の接続回路20は、室外機2の第1接続部21と第2接続部22とを接続する回路である。接続回路20は、強電ノイズフィルタ(強電NF)20a、絶縁回路20b、バンドパスフィルタ(BPF)20c、通信回路20d、制御回路20e、及び弱電ノイズフィルタ(弱電NF)20fを備える。接続回路20は、さらに空調システムの系統認識を行うための第1送信回路(強電PS)20g及び第2送信回路(PS)20hを備える。第1送信回路20g及び第2送信回路20hの詳細は後述する。
【0035】
室外機2の第1接続部21には、強電ノイズフィルタ20a、絶縁回路20b、バンドパスフィルタ20cを介して通信回路20dが接続されている。詳細には、強電電源線L1の共用線L12及び信号線L13が接続される第1接続部21の端子には内部配線が接続されており、当該内部配線を通じて第1接続部21と、通信回路20dとが接続されている。強電ノイズフィルタ20aは、強電電源線L1に進入したノイズを除去する回路である。強電ノイズフィルタ20aは、例えばコモンモードノイズフィルタである。絶縁回路20bは、強電電力を遮断し、通信に係る信号を透過する回路である。絶縁回路20bは、直列接続されたトランスTr1と及びコンデンサC1を備える。なお、作図の便宜上、強電ノイズフィルタ20aと通信回路20dとを接続する内部配線を1本線で図示しているが、各回路間は2本の内部配線で接続されている。トランスTr1を構成する第1コイルの両端子それぞれはコンデンサC1を介して強電ノイズフィルタ20aに接続されている。トランスTr1を構成する第2コイルの両端子はバンドパスフィルタ20cに接続されている。バンドパスフィルタ20cは、空調関連機器間で送受信される信号成分を通過し、非信号成分を遮断するフィルタ回路である。バンドパスフィルタ20cは、ハイパスフィルタであってもよい。
なお、絶縁回路20bは、トランスTr1と及びコンデンサC1のいずれか一方を備える構成でもよい。
【0036】
室外機2の第2接続部22には、弱電ノイズフィルタ20fを介して通信回路20dが接続されている。詳細には、第2接続部22の端子には内部配線が接続されており、当該内部配線を介して、第2接続部22と、通信回路20dとが接続されている。弱電ノイズフィルタ20fは、弱電電源線L2に進入したノイズを除去する回路である。なお、作図の便宜上、第2接続部22、弱電ノイズフィルタ20f、通信回路20dを接続する内部配線を1本線で図示しているが、各回路間は2本の内部配線で接続されている。
【0037】
通信回路20dは、上記の通り絶縁回路20bを介して第1接続部21に接続され、絶縁回路20bを介さずに第2接続部22に接続されている。通信回路20dは、第1接続部21に接続された強電電源線L1を介して、外部の空調関連機器と通信を行うと共に、第2接続部22に接続された弱電電源線L2又は通信専用線を介して、外部の空調関連機器と通信を行うことができる。図2に示す例では、通信回路20dは、強電電源線L1を介して室内機3と通信を行うと共に、弱電電源線L2を介して集中管理装置1と通信を行うことができる。
【0038】
室外機2の制御回路20eは、通信回路20dによる信号の送受信を制御し、室外機2の動作を制御する回路である。制御装置は、制御プログラムを実行する演算処理装置及び記憶部を備える。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む。記憶部は、制御プログラム及び制御処理に用いられる情報を記憶する。記憶部は、不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含む。
【0039】
<室内機3の接続回路30の構成>
室内機3の接続回路30は、室内機3の第1接続部31と第2接続部32とを接続する回路である。室内機3の接続回路30の構成は、室外機2の接続回路30と同様の構成であるため、詳細な説明を適宜省略する。接続回路30は、強電ノイズフィルタ(強電NF)30a、絶縁回路30b、バンドパスフィルタ(BPF)30c、通信回路30d、制御回路30e、及び弱電ノイズフィルタ(弱電NF)30fを備える。接続回路30は、さらに空調システムの系統認識を行うための第1受信回路(強電PD)30g及び第2受信回路(PD)30hを備える。第1受信回路30g及び第2受信回路30hの詳細は後述する。
【0040】
室内機3の第1接続部31には、強電ノイズフィルタ30a、絶縁回路30b、バンドパスフィルタ30cを介して通信回路30dが接続されている。詳細には、強電電源線L1の共用線L12及び信号線L13が接続される第1接続部31の端子には内部配線が接続されており、当該内部配線を通じて第1接続部31と、通信回路30dとが接続されている。絶縁回路30bは、強電電力を遮断し、通信に係る信号を透過する回路である。絶縁回路30bは、直列接続されたトランスTr2と及びコンデンサC2を備える。トランスTr2を構成する第1コイルの両端子それぞれはコンデンサC2を介して強電ノイズフィルタ30aに接続されている。トランスTr3を構成する第2コイルの両端子はバンドパスフィルタ30cに接続されている。バンドパスフィルタ30cは、空調関連機器間で送受信される信号成分を通過し、非信号成分を遮断するフィルタ回路である。
【0041】
室内機3の第2接続部32には、弱電ノイズフィルタ30fを介して通信回路30dが接続されている。詳細には、第2接続部32の端子には内部配線が接続されており、当該内部配線を介して、第2接続部32と、通信回路30dとが接続されている。
【0042】
通信回路30dは、上記の通り絶縁回路30bを介して第1接続部31に接続され、絶縁回路30bを介さずに第2接続部32に接続されている。通信回路30dは、第1接続部31に接続された強電電源線L1を介して、外部の空調関連機器と通信を行うと共に、第2接続部32に接続された弱電電源線L2又は通信専用線を介して、外部の空調関連機器と通信を行うことができる。図2に示す例では、通信回路30dは、強電電源線L1を介して室外機2と通信を行うことができる。
【0043】
室内機3の制御回路30eは、通信回路30dによる信号の送受信を制御し、室内機3の動作を制御する回路である。記憶部は、制御プログラム及び制御処理に用いられる情報を記憶する。
【0044】
<系統認識に係る送信回路及び受信回路>
上記の通り、複数の系統に属する室外機2、室内機3及び冷媒切替装置4は、相互乗り入れ可能に通信ができるため、通信接続された空調関連機器がいずれの系統に属する機器であるかを、通信回路20d、30dを用いた通信では認識することができない。
【0045】
そこで、本実施形態に係る室外機2は系統を認識するための回路として、第1送信回路20g及び第2送信回路20hを備え、室内機3は第1受信回路30g及び第2受信回路30hを備える。
【0046】
室外機2の第1送信回路20gは、強電電源線L1を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の検知信号を、強電電源線L1を介して送信する回路である。第1送信回路20gの出力端子は第1接続部21に接続されている。具体的には、第1送信回路20gは、強電電源線L1の共用線L12及び信号線L13に接続される内部配線を介して第1接続部21に接続されている。第1送信回路20gの入力端子は制御回路20eに接続されている。制御回路20eは第1送信回路20gの動作を制御する。例えば、第1送信回路20gは、室外機2の識別子を符号化したパルス信号を送信する。
【0047】
室外機2の第2送信回路20hは、通信専用線又は弱電電源線L2を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の検知信号を、通信専用線又は弱電電源線L2を介して送信する回路である。第2送信回路20hの出力端子は第2接続部22に接続されている。第2送信回路20hの入力端子は制御回路20eに接続されている。制御回路20eは第2送信回路20hの信号送信を制御する。例えば、第2送信回路20hは、室外機2の識別子を符号化したパルス信号を送信する。
【0048】
室内機3の第1受信回路30gは、強電電源線L1を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の検知信号を、強電電源線L1を介して受信する回路である。第1受信回路30gの入力端子は第1接続部31に接続されている。具体的には、第1受信回路30gは、強電電源線L1の共用線L12及び信号線L13に接続される内部配線を介して第1接続部31に接続されている。第1受信回路30gの出力端子は制御回路30eに接続されている。制御回路30eは第1受信回路30gを介して検知信号を受信する。制御回路30eは、検知信号を復号することによって、送信元の識別子を取得することができる。
【0049】
室内機3の第2受信回路30hは、通信専用線又は弱電電源線L2を介した通信に係る信号の周波数よりも低周波数の検知信号を、通信専用線又は弱電電源線L2を介して受信する回路である。第2受信回路30hの入力端子は弱電ノイズフィルタ30fを介して第2接続部32に接続されている。第2受信回路30hの出力端子は制御回路30eに接続されている。制御回路30eは第2受信回路30hを介して検知信号を受信する。制御回路30eは、検知信号を復号することによって、送信元の識別子を取得することができる。
【0050】
図1に示す空調システムを構成する複数の系統間には、高周波透過フィルタが配されている。つまり第1の系統を構成する空調関連機器と、第2の系統を構成する空調関連器機とを接続する配線Lには高周波透過フィルタが設けられている。高周波透過フィルタは、空調関連機器間で送受信される信号成分を通過し、上記した検知信号を遮断するフィルタ回路である。高周波透過フィルタを設けることによって、検知信号の伝送範囲は一つの系統内に制限される。
【0051】
室外機2が強電電源線L1に接続された空調関連機器の系統認識を行う場合、室外機2の制御回路20eは第1送信回路20gに検知信号を送信させる。検知信号は、空調関連機器間で送受信される信号成分よりも低周波数であり、高周波透過フィルタを透過しない。検知信号は高周波透過フィルタで規定された系統内の空調関連機器のみに到達する。室外機2にデイジーチェイン方式で接続された室内機3の制御回路30eが、室外機2から送信された検知信号を第1受信回路30gにて受信した場合、強電電源線L1を介して応答信号を室外機2へ送信する。室外機2は、通信回路20dにて応答信号を受信した場合、応答信号の送信元である室外機2が自装置と同一の系統にある空調関連機器であると認識する。他の空調関連機器についても、検知信号及び応答信号を送受することによって、空調関連機器は同一系統にある空調関連機器のまとまりを認識することができる。
【0052】
室外機2が弱電電源線L2又は通信専用線に接続された空調関連機器の系統認識を行う場合、室外機2の制御回路20eは第2送信回路20hに検知信号を送信させる。検知信号は高周波透過フィルタで規定された系統内の空調関連機器のみに到達する。室外機2にデイジーチェイン方式で接続された室内機3の制御回路30eが、室外機2から送信された検知信号を第2受信回路30hにて受信した場合、弱電電源線L2又は通信専用線を介して応答信号を室外機2へ送信する。室外機2は、通信回路20dにて応答信号を受信した場合、応答信号の送信元である室外機2が自装置と同一の系統にある空調関連機器であると認識する。他の空調関連機器についても、検知信号及び応答信号を送受することによって、空調関連機器は同一系統にある空調関連機器のまとまりを認識することができる。
【0053】
<室外機2及び室内機3のその他の構成>
室外機2及び室内機3は、図示しない冷媒回路を構成する室外ユニットと室内ユニットとをそれぞれ備える。室外ユニット及び室内ユニットは冷媒配管及び閉鎖弁を介して接続されている。室外ユニットは、冷媒を吸入及び圧縮して吐出する圧縮機、冷媒配管に設けられた四路切換弁、室外熱交換器、冷媒を減圧する膨張機構等を備える。膨張機構は、例えば膨張弁、キャピラリーチューブ等である。室内ユニットは、室内熱交換器等を備える。
【0054】
室外機2は、ノイズフィルタ(NF)24、整流平滑回路25、インバータ26a、室外ファン26b、電源回路26c及びローパスフィルタ(LPF)27を備える。
【0055】
室外機2の第3接続部23にはノイズフィルタ24及び整流平滑回路25を介してインバータ26a及び室外ファン26bが接続されている。ノイズフィルタ24は、接続回路20、30で発生したノイズ、強電電源線L1に進入したノイズを除去する。整流平滑回路25は、交流電源10又は外部の空調関連機器から供給された交流電力を直流電力に変換する回路である。インバータ26aは、整流平滑回路25で整流された直流電力を交流電力に変換する回路である。室外ユニットはインバータ26aで変換された交流電力によって駆動する。室外ファン26bは、整流平滑回路25で整流された直流電力で駆動する。室外ファン26bは室外熱交換器へ風を送り、熱交換を促す。
【0056】
室外機2の第3接続部23にはノイズフィルタ24を介して電源回路26cが接続されている。電源回路26cは、例えばスイッチング電源回路である。電源回路26cは、交流電源10又は外部の空調関連機器から供給された交流電力を受電し、主電力を自装置である室外機2の各種機器へ供給する。
【0057】
室外機2の第3接続部23はローパスフィルタ27を介して第1接続部31に接続されている。ローパスフィルタ27は、交流電力よりも高周波の信号を遮断し、当該信号が第1接続部31から第3接続部33を介して外部へ漏出することを防ぐ。第3接続部33に交流電源10が接続され、第1接続部31に強電電源線L1が接続されている場合、交流電源10の強電電力は、第3接続部33及び第1接続部31、強電電源線L1を介して外部の空調関連機器へ伝送される。図2に示す例では、室外機2から強電電源線L1を介して強電電力が室内機3へ伝送される。
【0058】
室内機3は、ノイズフィルタ(NF)34、整流平滑回路35、室内ファン36b、電源回路36c、ローパスフィルタ(LPF)37、38及び受電回路39を備える。
【0059】
室内機3の第3接続部33にはノイズフィルタ34及び整流平滑回路35を介して室内ファン36bが接続されている。ノイズフィルタ34は、接続回路20、30で発生したノイズ、強電電源線L1に進入したノイズを除去する。整流平滑回路35は、交流電源10又は外部の空調関連機器から供給された交流電力を直流電力に変換する回路である。室内ファン36bは、整流平滑回路35で整流された直流電力で駆動する。室内ファン36bは室内熱交換器へ風を送り、熱交換された風を室内へ送る。
【0060】
室内機3の第3接続部33にはノイズフィルタ24を介して電源回路36cが接続されている。電源回路36cは、例えばスイッチング電源回路である。電源回路36cは、交流電源10又は外部の空調関連機器から供給された交流電力を受電し、主電力を自装置である室内機3の各種機器へ供給する。
【0061】
室内機3の第3接続部33はローパスフィルタ37を介して第1接続部31に接続されている。ローパスフィルタ37は、交流電力よりも高周波の信号を遮断し、当該信号が第1接続部31から第3接続部33を介して外部へ漏出することを防ぐ。
【0062】
室内機3の第2接続部32には、弱電ノイズフィルタ30f、ローパスフィルタ38を介して受電回路39が接続されている。ローパスフィルタ38は通信に係る信号を除去する回路である。受電回路39は、室外機2、冷媒切替装置4、その他の空調関連機器から弱電電源線L2を介して供給された弱電電力を受電し、補助電力を自装置である室内機3の各種回路へ供給する。
【0063】
なお、弱電電力を受電するためのローパスフィルタ38及び受電回路39を室内機3に設ける例を説明したが、弱電電力を受電するための回路を室外機2にも設けてもよい。
【0064】
<弱電電源線L2にて接続された室外機2及び室内機3>
図3は、実施形態1に係る室外機2及び室内機3の構成を示すブロック図である。室外機2及び室内機3の構成は図2と同一又は同様である。図3に示す例では、室外機2の第2接続部22と、室内機3の第2接続部32とが弱電電源線L2にて接続されている。室外機2の第2接続部22と、集中管理装置1とが弱電電源線L2にて接続されている。室内機3の第3接続部33及び室外機2の第3接続部23には交流電源10が接続されている。室外機2機の第1接続部21及び室内機3の第1接続部31には配線Lが接続されていない。
【0065】
図3に示す例では、室外機2及び室内機3は弱電電源線L2を介して信号を送受信することができる。集中管理装置1及び室外機2は弱電電源線L2を介して信号を送受信することができる。集中管理装置1及び室内機3は、弱電電源線L2を介して信号を送受信することができる。
【0066】
室外機2の第2接続部22と、室内機3の第2接続部32とを通信専用線で接続することもできる。この場合、室外機2及び室内機3は通信専用線を介して信号を送受信することができる。
【0067】
<冷媒切替装置4>
図1に示す冷媒切替装置4の通信に係る構成は、室外機2又は室内機3と同一又は同様であるため詳細な説明を省略する。図1に示す例では、冷媒切替装置4は、弱電電源線L2を介して室外機2に接続され、強電電源線L1を介して室内機3に接続されている。冷媒切替装置4及び室外機2は、弱電電源線L2を介して信号を送受信することができる。冷媒切替装置4及び室内機3は、強電電源線L1を介して信号を送受信することができる。室外機2及び室内機3は、弱電電源及び強電電源線L1を介して信号を送受信することができる。集中管理装置1は、弱電電源線L2及び強電電源線L1を介して信号を送受信することができる。
【0068】
<本実施形態との比較例>
図4は、比較例に係る空調システムの構成を示すブロック図である。比較例に係る空調システムは、複数の空調関連機器が複数種類の配線Lを介して接続されているが、信号の相互乗り入れが不能なシステムである。図4中、「通信」は弱電電源線L2を介して通信を行う専用の強電通信回路を示し、「強電通信」は強電電源線L1を介して通信を行う専用の弱電通信回路を示している。
【0069】
比較例に係る室外機121と複数の室内機131は強電電源線L1を介して接続されている。室外機121及び室内機131は強電通信回路を用いて、強電専用の通信プロトコルで信号を送受信する。室内機131は弱電通信回路を備える。一の室内機131は弱電通信回路にて、弱電電源を介して集中管理装置1と通信を行う。室内機131及び集中管理装置1は、弱電専用の通信プロトコルで信号を送受信する。室内機131は弱電電源線L2を介した通信と、強電電源線L1を介した通信とが可能であるが、強電電源線L1と弱電電源線L2とは信号の相互乗り入れが不能であり、通信プロトコルも異なる。このため、集中管理装置1は、室外機121と直接通信を行うことができない。集中管理装置1は、弱電電源線L2で接続されていない室内機131とも直接通信を行うことができない。
【0070】
比較例に係る室外機122と複数の室内機132は弱電電源線L2を介して接続されている。室外機122及び室内機132は弱電通信回路を用いて、弱電専用の通信プロトコルで信号を送受信する。室外機122は、室外機121と直接通信を行うことができない。
【0071】
上記の通り、比較例に係る空調システムは、強電電源線L1を利用した通信ネットワークと、弱電電源線L2を利用した通信ネットワークとが信号乗り入れ可能に接続されていない。このため、空調関連機器が通信を行うことができる相手機器は限定されている。
これに対して本実施形態に係る空調システムによれば、強電電源線L1を利用した通信ネットワークと、弱電電源線L2を利用した通信ネットワークとが信号の相互乗り入れが可能に接続されている。通信プロトコルも共通化されている。このため、各空調関連機器は強電電源線L1及び弱電電源線L2をまたいで直接的に通信を行うことができる。
【0072】
<作用効果>
本実施形態に係る空調関連機器及び空調システムによれば、空調関連器機を、強電電源線L1を含む通信ネットワークと、弱電電源線L2又は通信専用線を含む通信ネットワークとに信号の相互乗り入れが可能となるように接続することができる。
【0073】
空調関連機器の接続回路20、30は、強電電源線L1が接続される第1接続部21、31と、弱電電源線L2又は通信専用線が接続される第2接続部22、32との間を絶縁回路20b、30bが配されている。このため、強電電源線L1と、弱電電源線L2とに信号の相互乗り入れが可能である。
【0074】
室外機2及び室内機3の通信回路20d、30dは、絶縁回路20b、30bを介して強電電源線L1に接続される。室外機2及び室内機3は、強電電源線L1を介して通信を行うことができる。
【0075】
室外機2及び室内機3の通信回路20d、30dは、絶縁回路20b、30bを介さずに弱電電源線L2に接続される。室外機2及び室内機3は、弱電電源線L2を介して通信を行うことができる。
【0076】
室外機2、室内機3及び冷媒切替装置4は、強電電源線L1を介して他の空調関連機器から供給され強電電力を受電し、動作することができる。
【0077】
室外機2、室内機3及び冷媒切替装置4は、弱電電源線L2を介して他の空調関連機器から供給され弱電電力を受電し、動作することができる。
【0078】
室外機2、室内機3及び冷媒切替装置4は、強電電源線L1を介して他の空調関連機器へ強電電力を供給することができる。
【0079】
室外機2及び室内機3は、系統認識用の低周波数の信号を送受信し、系統認識を行うことができる。つまり、室外機2及び室内機3は、自装置が接続された系統と同一系統にある空調関連機器を認識することができる。
【0080】
高周波数帯で通信を行うため、通信経路の一部に障害が発生しても、配線Lで正常に接続されている空調関連器機同士は比較的安定的に通信を継続することができる。
【0081】
高速通信が可能であるため、空調関連器機は、空調システムの制御データ以外の情報も送受信することができる。例えば、保守点検に係る情報を送受信することができる。
【0082】
強電電源線L1を介した通信、弱電電源線L2を介した通信、通信専用線を介した通信のプロトコルが共通化されているため、空調関連機器の通信回路20d、30dは、共通の通信プロトコルを用いて相互接続された空調関連機器と通信を行うことができる。
【0083】
絶縁回路20b、30bをコンデンサC1、C2及びトランスTr1、Tr2からなる簡単な回路で構成することができる。
【0084】
空調関連機器は、強電電力を伝送するための導線の一つである共用線L12と、信号線L13とを用いて信号を送受信することができる。強電電源線L1を通信用の電線として用いることができ、通信に係る信号が電力系統に漏出しないようにすることができる。
【0085】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。上記の実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 集中管理装置
2 室外機
3 室内機
4 冷媒切替装置
10 交流電源
20 接続回路
20a 強電ノイズフィルタ
20b 絶縁回路
20c バンドパスフィルタ
20d 通信回路
20e 制御回路
20f 弱電ノイズフィルタ
20g 第1送信回路
20h 第2送信回路
21 第1接続部
22 第2接続部
23 第3接続部
24 ノイズフィルタ
25 整流平滑回路
26a インバータ
26b 室外ファン
26c 電源回路
27 ローパスフィルタ
30 接続回路
30a 強電ノイズフィルタ
30b 絶縁回路
30c バンドパスフィルタ
30d 通信回路
30e 制御回路
30f 弱電ノイズフィルタ
30g 第1受信回路
30h 第2受信回路
31 第1接続部
32 第2接続部
33 第3接続部
34 ノイズフィルタ
35 整流平滑回路
36b 室内ファン
36c 電源回路
37 ローパスフィルタ
38 ローパスフィルタ
39 受電回路
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ
L 配線
L1 強電電源線
L11 電源線
L12 共用線
L13 信号線
L2 弱電電源線
図1
図2
図3
図4