(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】ミラー装置及びそのミラー装置を有する光源装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/182 20210101AFI20231115BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20231115BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20231115BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231115BHJP
【FI】
G02B7/182
G02B5/08 A
F21V17/00 250
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2020041747
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奈良 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雄一
(72)【発明者】
【氏名】小櫻 隆之
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-153554(JP,U)
【文献】特開平02-216003(JP,A)
【文献】特開2017-062326(JP,A)
【文献】特開2002-267984(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0117486(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18 - 7/24
G02B 5/00 - 5/136
F21V 17/00 - 17/20
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反射ミラーと、
該複数の反射ミラーが載置されるミラー支持体と、
該複数の反射ミラーと該ミラー支持体とを接着固定するための接着部材と、を有するミラー装置において、
該ミラー支持体は、
該複数の反射ミラー
の反射面とは反対側の面と当接される複数の当接部と、
該接着部材が設けられる接着固定部を備え、該当接部を基準として該反射ミラーから離れる方向の段差と、を有
し、
該段差は該反射ミラーの長手方向に関する両端部に設けられ、
該当接部は、該反射ミラーの長手方向に関して該段差に挟まれた領域である、ミラー装置。
【請求項2】
前記反射ミラーの長手方向の両端側の反射面に設けられる接着部材と、該反射ミラーの長手方向の両端側の側面に設けられる接着部材と、前記段差に設けられる接着部材とで、該反射ミラーの長手方向の両端部を包み込む包込部を形成する、請求項1に記載のミラー装置。
【請求項3】
前記ミラー支持体は、
前記ミラー支持体に載置される前記反射ミラーの長手方向の両端部あるいは短手方向の両端部のうち、少なくともいずれか一方に、前記段差から立設される壁部を有する、請求項1または2に記載のミラー装置。
【請求項4】
前記壁部は、前記反射ミラーの上面よりも高く立設され、
前記反射ミラーの上面に設けられる接着部材と、前記壁部とが接着される、請求項3に記載のミラー装置。
【請求項5】
前記反射ミラーの長手方向の端面あるいは短手方向端面の一部あるいは全部と、前記壁部との間には前記接着部材が設けられている、請求項3または4に記載のミラー装置。
【請求項6】
前記ミラー支持体の外表面のうち、少なくとも前記接着部材が配置される部分は、前記当接部より粗面である、請求項1から5のいずれか1項に記載のミラー装置。
【請求項7】
前記接着部材は、熱伝導性接着剤である、請求項1から6のいずれか1項に記載のミラー装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載のミラー装置と、
前記ミラー装置における前記反射ミラー
の反射面に向かって、光を出射する光源部と、を有する、光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー装置及びそのミラー装置を有する光源装置に関する。ミラー装置は、例えば、複数ミラーが平行に配置されている。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の半導体レーザ素子等の半導体発光素子を光源として用い、当該光源からの出射光の光軸上に複数の反射ミラーを配置した光源装置が知られている。このような光源装置において、出射光の光軸に平行な方向及び垂直な方向に関し各反射ミラーの位置をずらして配置することで、出射光の間隔よりも狭い間隔で当該出射光を反射させる技術がある(例えば特許文献1)。この技術によれば、出射光の間隔に比べて反射光の間隔を狭めることができるため、反射光を集光するレンズを小さくすることができ、光源装置の小型化が可能になるという利点がある。
【0003】
特許文献1の構成では、短冊状の反射ミラーの裏面と、ミラー保持体とが接する面において両者を接着させるため、複数の反射ミラーの平行性が保てないという問題があった。すなわち、反射ミラーの裏面と、ミラー保持体とが接着剤等を介して接するため、反射ミラーがわずかに傾いて接着されるなど、各々の反射ミラーが平行ではなくなり、光軸がばらついてしまうという問題があった。そこで、特許文献2では、反射ミラーの裏面と、ミラー保持体とが接する面を、平行性を担保して配置するための押し当て面として端部に設け、その他の中央部分に接着剤を付けて固定させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-76781号公報
【文献】特開2017‐62326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2では、反射ミラーを透過するわずかなレーザ光により次第に接着剤が劣化する恐れがあり、仮に劣化が進んだ場合に反射ミラーがミラー保持体から脱落することが懸念される。
そこで、本発明は、反射ミラーの平行性を保ちつつ、接着剤の劣化によるミラーの脱落を抑制できる、ミラー装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記のミラー装置を有する光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のミラー装置は、
複数の反射ミラーと、
該複数の反射ミラーが載置されるミラー支持体と、
該複数の反射ミラーと該ミラー支持体とを接着固定するための接着部材と、を有するミラー装置において、
該ミラー支持体は、
該複数の反射ミラーが当接される複数の当接部と、
該接着部材が設けられる接着固定部を備え、該当接部を基準として該反射ミラーから離れる(凹む)方向の段差と、を有する。
前記段差は、1または複数設けられていてもよい。前記接着固定部は、前記1または複数の段差の一部あるいは全てに設けられていてもよい。前記接着固定部は、一つの段差の中で、一部にあるいは全体に設けられていてもよい。
前記段差は、前記反射ミラーまたは前記当接部を、連続的にあるいは間段的(破線的)に囲むように配置(周設)されていてもよい。
前記段差は、側面視あるいは側断面視でL字状でもよく、凹溝形状でもよい。
前記当接部は、1つの平坦面、高さが同じ複数の平坦面、高さが同じ複数の突起部(凸部)で構成されていてもよい。前記当接部に、前記段差が形成されていてもよい。前記当接部は、離間している前記接着固定部の間に設けられていてもよい。前記当接部の端部あるいは周囲に前記段差が形成されていてもよい。
前記当接部は、前記接着部材が設けられる(塗布される)第二の接着固定部を有していてもよい。第二の接着固定部は、当接部に設けられた凹部(溝、孔を含む)や反射ミラーが接する面よりも、高さが低い箇所(該面よりも窪んだ箇所)に設けられていてもよい。
前記当接部は、レーザ光が当たる反射ミラーの反射面(「上面」ともいう。)の反対面(「裏面」ともいう。)に位置することが好ましい。
前記段差は、レーザ光が当たる反射ミラーの反射面の裏面から離れていることが好ましい。
【0007】
前記ミラー支持体は、
前記反射ミラーの長手方向の両端側の反射面に設けられる第一接着部材と、該反射ミラーの長手方向の両端側の側面に設けられる第二接着部材と、前記段差に設けられる第三接着部材とで、該反射ミラーの長手方向の両端部を包み込む包込部を形成していてもよい。
【0008】
前記ミラー支持体は、
前記ミラー支持体に載置される前記反射ミラーの周囲端部の一部あるいは全部に、前記段差から立設される壁部(例えば、当接部と同じ高さあるいはそれより低い壁部)を有していてもよい。
前記ミラー支持体に載置される前記反射ミラーの周囲端部の一部として、前記反射ミラーの長手方向の両端部あるいは短手方向の両端部が例示され、前記ミラー支持体は、前記反射ミラーの長手方向の両端部あるいは短手方向の両端部のうち、少なくともいずれか一方に、前記段差から立設される壁部(当接部と同じ高さあるいはそれより低い壁部)を有していてもよい。
前記ミラー支持体は、前記壁部と前記段差とで凹部を形成していてもよい。
接着部材を凹部に塗布することで、段差からの漏れ出しを防ぐことができる。また、粘度の低い接着部材を用いることができる。
【0009】
前記壁部は、前記反射ミラーの上面よりも高く立設されていてもよい。
前記反射ミラーの上面に設けられる接着部材と、前記壁部とが接着されていてもよい。
この構成により、接着部材が反射ミラーの上面よりも高い位置の壁部と反射ミラーの上面とが接着固定されることで、反射ミラーがより強固に固定され、脱落しにくい構造にできる。
【0010】
前記反射ミラーの長手方向の端面あるいは短手方向端面の一部あるいは全部と、前記壁部との間には前記接着部材が設けられていてもよい。
この構成により、反射ミラーの端面と壁部との隙間に接着部材が充填されるため、接着固定力がより高まるとともに、放熱性が向上し、反射ミラーを冷却することができる。
【0011】
前記ミラー支持体の外表面のうち、少なくとも前記接着部材が設けられる(塗布される)部分は、前記当接部(の平坦面)より粗面であってもよい。前記接着部材が配置される部分は、例えば粗化領域が形成されている。粗化領域は、例えばサンドブラスト加工により形成され、Ra25程度の表面粗さを有していてもよい。ミラー支持体が鋳物で構成され、前記当接面の接着部材が配置される部分が鋳肌面で構成されていてもよい。鋳肌面は、Ra10以上Ra70以下であってもよい。ここで、Raは算術平均粗さである。
【0012】
前記接着部材は、熱伝導性接着剤であることが好ましい。
この構成により、反射ミラーの熱を熱伝導性接着剤で好適に伝熱(排熱)させることができ、冷却性を向上できる。
【0013】
他の発明の光源装置は、
上記のミラー装置と、
前記ミラー装置における前記反射ミラーの前記反射面に向かって、光を出射する光源部と、を有する。
光源部は、レーザ光でもよく、蛍光光でもよい。本発明は、特に、高強度の光に対する効果が高い。
【0014】
(作用効果)
本発明のミラー装置では、レーザ光による接着部材の劣化に起因する反射ミラーの脱落を防止することができる。接着部材の劣化を防止できるので複数の反射ミラーの平行性を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1の光源装置を模式的に示す図である。
【
図2】実施形態1のミラー装置を模式的に示す全体断面図である。
【
図3A】実施形態1の反射ミラーをミラー支持体に接着した状態を示す模式図である。
【
図4A】実施形態2の反射ミラーをミラー支持体に接着した状態を示す模式図である。
【
図5A】実施形態3の反射ミラーをミラー支持体に接着した状態を示す模式図である。
【
図6A】実施形態4の反射ミラーをミラー支持体に接着した状態を示す模式図である。
【
図7】実施形態5のミラー支持体を示す模式図である。
【
図8】実施形態6のミラー支持体を示す模式図である。
【
図9】実施形態7のミラー支持体を示す模式図である。
【
図10】実施形態9のミラー支持体を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0017】
本発明のミラー装置及び光源装置につき、図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
【0018】
(第1実施形態)
実施形態1の光源装置1について
図1を用いて説明する。
図1に示すように、光源装置1は、光源部11、ミラー装置13を備える。
光源部11は、レーザ光を出射する複数の半導体レーザ素子11a、及び、半導体レーザ素子11aからのレーザ光を平行光に変換する複数のコリメータレンズ11bを含む。以下では、半導体レーザ素子11aからのレーザ光を出射光L1と呼ぶ。
【0019】
半導体レーザ素子11aは、行及び列をなして配列される。列方向は、
図1における紙面鉛直方向であり、行方向は、当該列方向及び出射光L1の光軸に直交する方向(紙面左右方向)である。本実施形態では、一例として、4行6列に半導体レーザ素子11aが配列されている。また、本実施形態では、半導体レーザ素子11aは、青色光(例えば、波長が430~470nmの光)を発している。なお、光源部11は、青色光と異なる波長帯の光を発する半導体レーザ素子により構成されても構わないし、LED素子により構成されても構わないし、他の固体光源素子により構成されていても構わない。
【0020】
コリメータレンズ11bは、各半導体レーザ素子11aからの出射光L1の光軸上に配置される。即ち、コリメータレンズ11bは、半導体レーザ素子11aと同数配置されている。なお、光源部11は、コリメータレンズ11bを備えないものとしても構わない。
【0021】
ミラー装置13は、複数の反射ミラー15及びミラー支持体17を有する。
【0022】
反射ミラー15は、コリメータレンズ11bにより平行化された出射光L1を反射して反射光L2にする。反射光L2は、集光レンズ16により集光され、必要に応じて種々の光学系を介して光源装置1の外部へ出射される。
【0023】
反射ミラー15は、半導体レーザ素子11aの列数と同数存在する。即ち、同じ列に存在する半導体レーザ素子11aは、同一の反射ミラー15によって反射されるようになっている。本実施形態では、6列の半導体レーザ素子11aが配置されており、6個の反射ミラー15が配置されている。なお、反射ミラー15は、一例として、ガラスからなる基板の表面に高い反射特性を有する金属膜または誘電体多層膜を蒸着したものである。
【0024】
ミラー支持体17は、各反射ミラー15を平行に支持する。ミラー支持体17は、出射光L1に対して反射ミラー15の反射面15Aの法線方向が一定の角度θをなすように反射ミラー15を支持する。本実施形態では、一例として、ミラー支持体17は6個の反射ミラー15を、角度θが45度となるように支持する。
【0025】
また、ミラー支持体17は、各反射ミラー15を、出射光L1を反射可能な位置であって、かつ、反射光L2の間隔が出射光L1の間隔よりも狭くなるような位置に支持する。ミラー支持体17は、一例としてアルミ合金等の金属からなり、NCフライス盤やマシンニングセンタ等の周知の工作機械を用いた金属加工によって製造されてもよく、鋳物で構成されていてもよい。
【0026】
[ミラー支持体の構成]
図2に示すように、本発明のミラー装置13は、ミラー支持体17に複数の反射ミラー15が載置された構造となっている。
ミラー支持体17には、複数の反射ミラー15のそれぞれが当接される当接部17Bが設けられている。当接部17Bは、各反射ミラー15の平行性が担保されるように平坦面171を有する。また、レーザ光照射により反射ミラー15の温度が上昇するが、反射ミラー15とミラー支持体17が当接部17Bで接していることで、この温度上昇に寄与する熱はミラー支持体17へ伝熱し排熱される。
【0027】
図3Aは、
図2の破線で示すミラー支持体17と反射ミラー15の模式図である。
図3Bは、
図3AのX-X断面図である。ミラー支持体17には、当接部17Bの平坦面171を基準として反射ミラー15から離れる(凹む)方向の段差172が設けられている。
図3Aに示す段差172は、反射ミラー15の長手方向の両端側に設けられているが、これに制限されず、反射ミラー15の周端に沿って設けられていてもよく、反射ミラー15の短手方向の両端側に設けられていてもよい。
図3Bに示すように、段差172は、接着部材30が塗布される接着固定部1721を有する。この接着固定部1721と反射ミラー15との間に接着部材30が配置されることで、反射ミラー15がミラー支持体17に固定される。対向する2つの段差172(接着固定部1721)は、当接部17B(平坦面171)を挟むように離間して設けられており、反射ミラー15をわずかに透過するレーザ光が照射されない位置にある。このため、レーザ光による接着部材30の劣化を抑制でき、劣化に起因する反射ミラー15の脱落を防止できる。
【0028】
本実施形態では、レーザ光が当たる反射ミラー15の反射エリアの反対面には当接部17Bが配置され、2つの段差172(接着固定部1721)は、反射エリアの反対面から離れているが、段差172以外の当接部17Bまたは当接部17Bに形成された凹部の一部または全部にも接着部材30が塗布されていてもよい。この構成は他の実施形態でも同様である。なお、反射エリアは、反射面15Aのうちその端部を除く中央部であってもよい。
【0029】
(実施形態2)
実施形態2のミラー装置13の構成を
図4Aと
図4Bに示す。なお、同じ符号は実施形態1と同様の構成要素である。以下の実施形態でも同様の態様である。
ミラー支持体17は、反射ミラー15の長手方向の両端部に、各段差172のそれぞれから立設される壁部173を有する。本実施形態において、壁部173の高さは、当接部17Bより高く、反射ミラー15の反射面15Aよりも低い。対向する2つの壁部173の間に反射ミラー15が配置され、反射ミラー15の長手方向の両端面と壁部173の面とが接する。段差172と壁部173とで、反射ミラー15の長手方向断面視(x-x断面)で凹部を形成することで、接着部材30が硬化する前に段差172から漏れ出すことを抑制できる。特に、粘度が低い接着部材を用いる場合に有効である。
【0030】
別実施形態として、壁部173の高さは、当接部17Bより低くてもよく、反射ミラー15の反射面15Aよりも高くてもよい。
【0031】
(実施形態3)
実施形態3のミラー装置13の構成を
図5Aと
図5Bに示す。
本実施形態において、対向する2つの壁部1731の高さは、反射ミラー15の反射面15Aよりも高く、反射面15Aからの高さがHである。対向する2つの壁部1731の間に反射ミラー15が配置され、反射ミラー15の長手方向の両端面と壁部1731の面とが接する。そして、反射ミラー15の反射面側の端部に接着部材31が塗布され、壁部1731の面と固定される。これにより、接着固定部1721に設けられた接着部材30と、反射ミラー15の反射面15Aに設けられた接着部材31とで、反射ミラー15をミラー支持体17に固定できる。
【0032】
(実施形態4)
実施形態4のミラー装置13の構成を
図6Aと
図6Bに示す。
本実施形態において、対向する2つの壁部1732の高さは、反射ミラー15の反射面15Aよりも高く、反射面15Aからの高さがHである。対向する2つの壁部1732の間に反射ミラー15が配置される。各壁部1732と反射ミラーの長手方向端面との間には隙間Wがあり、隙間Wにも接着部材32が塗布される。つまり、接着固定部1721に設けられた接着部材30と、反射ミラー15の反射面15Aに設けられた接着部材31と、隙間Wに設けられた接着部材32とで、反射ミラー15をミラー支持体17に固定でき、接着固定力がより高まるとともに、放熱性が向上し、反射ミラー15を冷却することができる。
【0033】
(実施形態5)
実施形態5のミラー装置13の構成を
図7(側面視、平面視、断面視)に示す。実施形態5のミラー支持体17は、実施形態1の段差172を有する。
反射ミラー15と接する面の接着部材の接着力低下の要因として、例えば、反射ミラー15を透過した光が、ガラス内で伝搬し(「伝搬光」という。)、接着部材が配置された領域に光が照射される可能性がある。本実施形態では、反射ミラー15の長手方向の両端側の反射面に設けられた第一接着部材351と、反射ミラー15の長手方向の両端側の側面に設けられた第二接着部材352と、段差172に設けられた第三接着部材353とで、反射ミラー15の長手方向の両端部を包み込む包込部35を形成し、反射ミラー15とミラー支持体17とを固定する。この構成によれば、伝搬光による接着部材(第一、第二接着部材351、352)の劣化が仮に生じたとしても、包込部35が反射ミラー15を保持し、第三接着部材353と段差172とが接着しているため、反射ミラー15の脱落を防止できる。
【0034】
また、別実施形態として、包込部35は、実施形態2、3、4における接着部材30、31の替わりに設けられていてもよい。
【0035】
(実施形態6)
実施形態6のミラー装置13の構成を
図8に示す。実施形態6のミラー支持体17は、実施形態4の段差172および壁部1732を有する。
段差172および壁部1732の接着部材が接する面に、粗化領域80が形成される。粗化領域80は、例えばサンドブラスト加工により形成され、Ra25程度の表面粗さを有する。本実施形態では、ミラー支持体17がアルミダイカストで製造されることで、鋳肌面の粗さを有し、鋳肌面が粗化領域80を兼ねる構成でもよい。粗化領域80に設けられる接着部材は、アンカー効果により、接着性が向上する。なお、ミラー支持体17の外表面のうち、当接部17B(平坦面171)については、反射ミラー15の反射面15Aの裏面との接触を良くするように、滑らかな表面状態、例えば、表面粗さをRa1.6程度にしてもよい。
【0036】
また、別実施形態として、粗化領域80は、他の上記実施形態における接着部材が設けられる(塗布される)部分に形成されていてもよい。ミラー支持体17のみでなく反射ミラー15の接着部材が接する箇所にも粗化領域が形成されていてもよい。
【0037】
(実施形態7)
実施形態7のミラー装置13の構成を
図9(a)、(b)に示す。実施形態7のミラー支持体17は、実施形態1の段差172を有する。
本実施形態では、当接部17B(平坦面171)に窪み1711(
図9(a))又は貫通孔1712(
図9(b))を設け、そこに伝熱部材90を設ける。伝熱部材90と反射ミラー15とを当接させることにより、反射ミラー15をより冷却しやすくできる。伝熱部材90は、例えば、放熱グリスを用いることができる。
【0038】
また、別実施形態として、窪み1711又は貫通孔1712および伝熱部材90は、他の上記実施形態における当接部17B(平坦面171)に設けられていてもよい。
【0039】
(実施形態8)
実施形態8は、上記の実施形態の接着部材として、熱伝導性接着剤を用いる。反射ミラーの熱を熱伝導性接着剤で好適に伝熱(排熱)させることができ、冷却性を向上できる。熱伝導性接着剤は、例えば、熱伝導性熱硬化型接着剤、熱伝導性エポキシ系接着剤、放熱用硬化型シリコーンを用いることができる。
【0040】
(実施形態9)
実施形態9のミラー装置13の構成を
図10(a)、(b)に示す。実施形態9のミラー支持体17は、実施形態4の段差172および壁部1732を有する。
本実施形態では、反射ミラー15の長手方向の両端部のそれぞれに段差172と壁部1732が設けられている場合において、一方の壁部1732から他方の壁部1732までの長さをL(反射ミラー15の長手方向の両端面と向かい合う各壁部1732の両面間の幅)、反射ミラー15の長手方向の長さをM、一方の段差172から他方の段差172までの長さをN(平坦面171の一端から他端までの長さ)とした場合に、下記関係を満たす。
(L-M):(M-N)=1:1.1~1:60 (式1)
加工精度を加味すれば、この関係を満たすことで、反射ミラー15が対向する2つの壁部1732の間で偏って配置されても、反射ミラー15の長手方向の両端部が接着部材30と接することができ、より強固に反射ミラーを固定することができる。つまり、反射ミラー15の両端部が接着部材で強固に固定されることが担保される。例えば、
図10(b)に示すような、偏って配置されて反射ミラー15の片側(紙面左端部)が接着できないという不具合を防止できる。
【0041】
壁部173の間隔Lと、当接部17B(平坦面171)の長さNと、段差172の長さDと、反射ミラー15の長手方向の長さMとは、以下の関係を満たす。
(L-N)/2=D (式2)
(N+D)<M<L (式3)
上記関係を満たすことで、
図10(b)に示すような、偏って配置されると反射ミラー15の片側(紙面左端部)が接着できないという不具合を防止できる。
【符号の説明】
【0042】
1 光源装置
11 光源部
11a 半導体レーザ素子
11b コリメータレンズ
13 ミラー装置
15 反射ミラー
15A 反射面
16 集光レンズ
17 ミラー支持体
17B 当接部
171 平坦面
172 段差
1721 接着固定部
173、1731、1732 壁部
30、31、32 接着部材
35 包込部
351 第一接着部材
352 第二接着部材
353 第三接着部材
80 粗化領域
90 伝熱部材
L1 出射光
L2 反射光
W 隙間