(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】電力増幅器に基づく電流高速増幅システム及び電流高速増幅方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/62 20200101AFI20231115BHJP
G01R 31/72 20200101ALI20231115BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20231115BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20231115BHJP
H01F 41/00 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G01R31/62
G01R31/72
G01R31/00
H01F27/00 H
H01F41/00 D
(21)【出願番号】P 2022570751
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2021096787
(87)【国際公開番号】W WO2022028066
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】202010783941.2
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522299159
【氏名又は名称】雲南電網有限責任公司電力科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】許 守東
(72)【発明者】
【氏名】鄒 京希
(72)【発明者】
【氏名】李 勝男
(72)【発明者】
【氏名】李 波
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇
(72)【発明者】
【氏名】朱 全聡
(72)【発明者】
【氏名】張 麗
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】奚 ▲シン▼沢
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼ 超
(72)【発明者】
【氏名】彭 俊臻
(72)【発明者】
【氏名】盧 佳
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109407035(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106772198(CN,A)
【文献】中国実用新案第206387899(CN,U)
【文献】中国実用新案第206311749(CN,U)
【文献】中国実用新案第203838323(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111487466(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102654571(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104714099(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/62
G01R 31/72
G01R 31/40
G01R 31/00
G01R 35/02
H02H 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源モジュールと主制御モジュールと電流高速増幅モジュールセットとを含み、前記主電源モジュールは主制御モジュールに接続され、複数の電流高速増幅モジュールセットは並列して主電源モジュールに接続され、各組の前記電流高速増幅モジュールセットは2つの信号分析処理モジュールと1つの負荷とを含み、2つの前記信号分析
処理モジュールは並列接続され、信号分析
処理モジュールの入力端は主電源モジュールに接続され、出力端は同一の電流高速増幅モジュールセット内の負荷に接続され、
前記信号分析
処理モジュールは、順に接続される、制御スイッチと、フィルタと、高広帯域DA変換器と、電力増幅器と、高速電流センサとを含み、前記制御スイッチは主電源モジュールに接続され、前記高速電流センサは負荷に接続され、
前記制御スイッチ、高速電流センサ及び負荷はいずれもフィードバック回路を介して主制御モジュールに接続され、
前記主制御モジュールは、
最大電流量の値を設定して制御モジュールに入力し、最大電流により負荷の最大インダクタンス量を算出するステップと、
制御スイッチの動作時のデューティ比に基づいて、出力フィルタインダクタンスを確定し、主電源モジュールの電流スイッチング周波数を設定するステップと、
フィルタのフィルタリングモードを設定し、同一の電流高速増幅モジュールセット内の1つのフィルタのフィルタリングモードを高調波電流に設定し、もう1つのフィルタのフィルタリングモードを過渡電流に設定するステップと、
高速電流センサからフィードバックされた誘導電流値と負荷からフィードバックされた負荷インダクタンス量を受信し、実際の出力インダクタンス量を計算するステップと、
負荷の最大出力インダクタンス量を照合して負荷の動作状態を判定し、電流のスイッチング周波数を変更することで、電流増幅器の電流出力をピーク値に維持するステップと、
を実行するように配置されている、
ことを特徴とする電力増幅器に基づく電流高速増幅システム。
【請求項2】
並列接続した2つの前記信号分析
処理モジュールにおける電力増幅器はそれぞれフルブリッジスイッチング増幅器及びフルブリッジリニア増幅器を用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力増幅器に基づく電流高速増幅システム。
【請求項3】
前記負荷は変流器であり、前記変流器の制御端は制御モジュールに接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力増幅器に基づく電流高速増幅システム。
【請求項4】
前記主電源モジュールは電圧が5~10KWの複数の電源が並列接続して構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力増幅器に基づく電流高速増幅システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電力増幅器に基づく電流高速増幅システムに基づく電流高速増幅方法であって、
複数組の独立した電流高速増幅モジュールセットを選択し、制御モジュールにより前記電流高速増幅モジュールセットの制御スイッチを統括的に制御するステップと、
電源モジュールの電流は並列接続した信号分析
処理モジュールのフィルタをそれぞれ通過し、フィルタはそれぞれ高調波電流と過渡電流を選択するステップと、
最大電流に基づいて負荷の最大インダクタンス量を確定し、スイッチング動作のデューティ比に基づいて出力フィルタインダクタンスを確定し、電流のスイッチング周波数を設定し、電流を出力するように主電源モジュールを制御するステップと、
フィルタリング処理された過渡電流と高調波電流に対して並列接続した高速DA変換器により電流サンプリングをそれぞれ行い、電力増幅器により電流を増幅し、増幅した後の過渡電流を初期段階の過渡電流信号として変流器に入力するステップと、
高調波電流を電力増幅器により増幅して、電流をピーク値に増幅すると、過渡電流の出力を完了させ、制御スイッチをオフにし、過渡電流の出力を停止し、高調波電流信号を持続的に出力するステップと、
高速電流センサは増幅された高調波電流を誘導し、フィードバック回路により制御モジュールにフィードバックするとともに、変流器における誘導電流をフィードバック回路により制御モジュールにフィードバックするステップと、
主制御モジュールは受信した高調波電流と誘導電流に基づいて、高調波電流状態をリアルタイムに監視するステップと、
高調波電流がピーク値にないことを監視すると、主制御モジュールは誘導電流の変流器の実際の出力インダクタンス量に基づいて、変流器の最大出力インダクタンス量と比較し、変流器の動作状態を判定し、電流周波数を変更し、電流増幅器を電流出力ピーク値に達させるステップと、
を含むことを特徴とする電流高速増幅方法。
【請求項6】
前記高調波電流はフルブリッジスイッチング増幅器により信号増幅を行い、前記過渡
電流はフルブリッジリニア増幅器により信号増幅を行う、
ことを特徴とする請求項5に記載の電流高速増幅方法。
【請求項7】
前記変流器の動作状態の判定方法は、変流器の最大フィルタインダクタンス量を計算し、フィードバックされた変流器の実際の出力フィルタインダクタンスと比較し、変流器の動作状態を判定することである、
ことを特徴とする請求項5に記載の電流高速増幅方法。
【請求項8】
前記変流器の出力フィルタインダクタンスは以下のとおりであり、
L=Us/I
ここで、Uは負荷の最大電圧であり、sは電流の立ち上がり時間であり、Iは最大電流である、
ことを特徴とする請求項7に記載の電流高速増幅方法。
【請求項9】
出力負荷の最大インダクタンス量、最大負荷電圧及びスイッチングデューティ比に基づいて出力負荷の誘導性リアクタンスを確定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の電流高速増幅方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は試験回路における回路高速増幅技術に関し、特に電力増幅器に基づく電流高速増幅システム及び電流高速増幅方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リレー保護は、電力システムの安全で安定的な動作を保証する主な技術的措置として、保護効果が電力システム内に電流情報を提供する変流器から影響を受け、特に変流器の過渡特性から影響を受ける。変流器の過渡特性が悪いと、リレー保護の誤動作と誤不動作を引き起こし、電力システムの安全で安定的な動作を脅かすこととなる。そのため、電力システムに接続される変流器の性能を試験又は検出することが必要とされる。
【0003】
変流器に対する試験及び検出には、高速に応答して、大電流を出力することが可能な試験装置が必要である。現在、変流器の試験及び検出には、いずれも大電力電源を選択し、商用周波数変圧により大電力電源に対して降圧絶縁処理を行うことにより、試験装置に接続可能な大電流の順調な発生を保証する。
【0004】
しかしながら、上記の方法で試験を行うと、発生する力率が低くなる。且つ大電力電源のスイッチング周波数が低く、変流器における誘導性負荷は十分な負荷電圧を形成することができず、実電流は試験要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電流変成器の試験及び検出において、試験装置は高速に応答して出力される大電流を提供できるように、本願は電力増幅器に基づく電流高速増幅システム及びその方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的に基づいて、本願の電力増幅器に基づく電流高速増幅システムは、主電源モジュールと主制御モジュールと電流高速増幅モジュールセットとを含み、前記主電源モジュールは主制御モジュールに接続され、複数の電流高速増幅モジュールセットは並列して主電源モジュールに接続され、前記電流高速増幅モジュールセットは2つの信号分析処理モジュールと負荷とを含み、2つの前記信号分析処理モジュールは並列接続され、信号分析処理モジュールの入力端は主電源モジュールに接続され、出力端は同一の負荷に接続され、
前記信号分析処理モジュールは、順に接続される、制御スイッチと、フィルタと、高広帯域DA変換器と、電力増幅器と、高速電流センサとを含み、前記制御スイッチは主電源モジュールに接続され、前記高速電流センサは負荷に接続され、
前記制御スイッチ、高速電流センサ及び負荷はいずれもフィードバック回路を介して主制御モジュールに接続され、
前記主制御モジュールは、
最大電流量の値を設定して制御モジュールに入力し、最大電流により負荷の最大インダクタンス量を算出するステップと、
制御スイッチの動作時のデューティ比に基づいて、出力フィルタインダクタンスを確定し、主電源モジュールの電流スイッチング周波数を設定するステップと、
フィルタのフィルタリングモードを設定し、同一の電流高速増幅モジュールセット内の1つのフィルタのフィルタリングモードを高調波電流に設定し、もう1つのフィルタのフィルタリングモードを過渡電流に設定するステップと、
高速電流センサからフィードバックされた誘導電流値と負荷からフィードバックされた負荷インダクタンス量を受信し、実際の出力インダクタンス量を計算するステップと、
負荷の最大出力インダクタンス量を照合して負荷の動作状態を判定し、電流のスイッチング周波数を変更することで、電流増幅器の電流出力をピーク値に維持するステップと、
を実行するように配置されている。
【0007】
電流増幅の効率を向上させるために、並列接続した2つの前記信号分析処理モジュールにおける電力増幅器はそれぞれフルブリッジスイッチング増幅器及びフルブリッジリニア増幅器を用いる。
【0008】
任意選択的に、前記負荷は変流器であり、前記変流器の制御端は制御モジュールに接続される。
【0009】
任意選択的に、前記主電源モジュールは電圧が5~10KWの複数の電源が並列接続して構成される。
【0010】
本願における大電流の高速発生方法は、電力増幅器の電流高速増幅システムに基づいて実現されるものであり、
複数組の独立した電流高速増幅モジュールセットを選択し、制御モジュールにより前記電流高速増幅モジュールセットの制御スイッチを統括的に制御するステップと、
電源モジュールの電流は並列接続した信号分析処理モジュールのフィルタをそれぞれ通過し、フィルタはそれぞれ高調波電流と過渡電流を選択するステップと、
最大電流に基づいて負荷の最大インダクタンス量を確定し、スイッチング動作のデューティ比に基づいて出力フィルタインダクタンスを確定し、電流のスイッチング周波数を設定し、電流を出力するように主電源モジュールを制御するステップと、
フィルタリング処理された過渡電流と高調波電流に対して並列接続した高速DA変換器により電流サンプリングをそれぞれ行い、電力増幅器により電流を増幅し、増幅した後の過渡電流を初期段階の過渡電流信号として変流器に入力するステップと、
高調波電流を電力増幅器により増幅して、電流をピーク値に増幅すると、過渡電流の出力を完了させ、制御スイッチをオフにし、過渡電流の出力を停止し、高調波電流信号を持続的に出力するステップと、
高速電流センサは増幅された高調波電流を誘導し、フィードバック回路により制御モジュールにフィードバックするとともに、変流器における誘導電流をフィードバック回路により制御モジュールにフィードバックするステップと、
主制御モジュールは受信した高調波電流と誘導電流に基づいて、高調波電流状態をリアルタイムに監視するステップと、
高調波電流がピーク値にないことを監視すると、主制御モジュールは誘導電流の変流器の実際の出力インダクタンス量に基づいて、変流器の最大出力インダクタンス量と比較し、変流器の動作状態を判定し、電流周波数を変更し、電流増幅器を電流出力ピーク値に達させるステップと、を含む。
【0011】
電流の増幅効果を向上させるために、前記高調波電流はフルブリッジスイッチング増幅器により信号増幅を行い、前記過渡電流はフルブリッジリニア増幅器により信号増幅を行う。
【0012】
本願では、変流器の動作状態の判定方法は、変流器の最大フィルタインダクタンス量を計算し、フィードバックされた変流器の実際の出力フィルタインダクタンスと比較し、変流器の動作状態を判定することである。
【0013】
任意選択的に、前記変流器の出力フィルタインダクタンスは以下のとおりであり、
L=Us/I
ここで、Uは負荷の最大電圧であり、sは電流の立ち上がり時間であり、Iは最大電流である。
【0014】
任意選択的に、出力負荷の最大インダクタンス量、最大負荷電圧及びスイッチングデューティ比に基づいて出力負荷の誘導性リアクタンスを確定する。
【発明の効果】
【0015】
本願では、電流増幅方式を変更し、電力増幅器により基本波電流を増幅し、力率を向上させる。複数の5~10KWの電源モジュールを並列接続して主電源モジュールとし、電源の安定性を向上させる。また、小電力の電源スイッチの周波数が相対的に高く、変流器に十分な誘導負荷を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下、本願の技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例において使用する必要がある図面を簡単に紹介する。明らかに、当業者であれば、創造的な労力をせず、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本願のシステム及び方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明らか且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力をせず得る他の実施例の全ては、いずれも本願に保護される範囲に属する。
【0018】
本願は電力増幅器に基づく電流高速増幅システム及び方法を提供することを目的とする。
【0019】
本願では、電力増幅器に基づく電流高速増幅システムは、主に主電源モジュールと、主制御モジュールと、電流高速増幅モジュールセットとによって構成され、主電源モジュールは電圧が5~10KWの複数の電源が並列接続して構成される。
【0020】
主電源モジュールは主制御モジュールに接続され、複数組の電流高速増幅モジュールセットは並列接続され、各電流高速増幅モジュールセットにそれぞれ番号が付けられ、番号が主制御モジュールに記憶される。全ての電流高速増幅モジュールセットはいずれも主電源モジュールに接続される。主制御モジュールの信号入力端は操作卓に接続される。
【0021】
各組の電流高速増幅モジュールセットは2つの信号分析モジュールと1つの負荷とを含み、2つの信号分析モジュールは並列接続され、信号分析モジュールの信号入力端は主電源モジュールに接続され、信号出力端は当該電流高速増幅モジュールセットにおける負荷に接続され、
信号分析モジュールは、順に接続される、制御スイッチと、フィルタと、高帯域幅DA変換器と、電力増幅器と、高速電流センサとを含み、そのうち、制御スイッチは主電源モジュールに接続され、高速電流センサは負荷に接続される。
【0022】
同一の電流高速増幅モジュールセット内には並列接続した2つのフィルタが含まれ、フィルタは電流をフィルタリングし、フィルタリングした後に高調波電流と過渡電流をそれぞれ出力する。ここで、高調波電流信号を増幅する電力増幅器はフルブリッジスイッチング増幅器であり、過渡電流信号の電力増幅器はフルブリッジリニア増幅器である。
【0023】
制御スイッチ、高速電流センサ及び負荷はいずれもフィードバック回路を介して主制御モジュールに接続され、負荷は変流器である。
【0024】
本願では、モジュール間はいずれも光ファイバを介して通信することで、長距離通信の耐干渉能力、通信速度及びデータの精度を向上させる。入力電流信号の遅延は20usより小さく、位相精度誤差は1°より小さい。
【0025】
図1に示すように、本願の電力増幅器に基づく電流高速増幅システムが電流を高速に増幅する具体的な操作方法は、1組の電流高速増幅モジュールセットを例とすると、以下のステップS1~ステップS7を含む。
【0026】
ステップS1において、試験要求に基づいて、試験に必要な最大電流及び最大負荷電圧を制御卓で入力し、主制御モジュールは変流器から出力された最大インダクタンス量を算出し、スイッチング動作のデューティ比に基づいてフィルタインダクタンスを確定し、これに基づいて、主電源モジュールのスイッチング周波数を設定し、主電源モジュールは基本波電流を出力する。
【0027】
ステップS2において、主制御モジュールは信号分析モジュール内の制御スイッチをオンにするように制御し、主電源モジュールの基本波電流を並列接続したフィルタによりフィルタリング処理し、高調波電流と過渡電流を出力する。
【0028】
ステップS3において、フィルタリング処理された電流を高速DA変換器により変換した後にアナログ信号を出力し、電力増幅器に入れて電流を増幅し、増幅した過渡電流を初期段階の過渡電流信号として変流器に入力する。
【0029】
ステップS4において、高調波電流に対して、電力増幅器により電流をピーク値に増幅すると、過渡電流の出力を完了させ、制御スイッチをオフにし、過渡電流の出力を停止し、高調波電流信号を持続的に出力する。
【0030】
ステップS5において、増幅された電流は高速電流センサを通過した後に変流器に入り、高速電流センサは高調波電流を誘導し、主制御モジュールにフィードバックする。
【0031】
ステップS6において、高調波電流は変流器に入り、変流器における誘導電流をフィードバック回路により制御モジュールにフィードバックする。
【0032】
ステップS7において、制御モジュールは受信した高調波電流と誘導電流に基づいて、変流器の実際の出力フィルタインダクタンスを計算し、変流器の最大出力フィルタインダクタンスと比較し、変流器の動作状態を判定し、主電源モジュールのスイッチング周波数を変更し、電流増幅器の電流をピーク値に維持させて出力する。
【0033】
ステップS5において、高調波電流信号はフルブリッジスイッチング増幅器により信号増幅を行い、過渡電流信号はフルブリッジリニア増幅器により信号増幅を行い、増幅された電流高調波は歪み率が0.2%より小さく、非直線性誤差が0.2%より小さく、電流出力精度誤差が0.5%より小さい。
【0034】
ステップS5において、高調波電流がフルブリッジスイッチング増幅器により高調波電流をピーク値に増幅する時間を計算し、フルブリッジリニア増幅器における過渡電流をピーク値に増幅する時間をそれと一致する時間に設定する。
【0035】
複数組の電流高速増幅モジュールセットを試験する必要がある場合に、
試験要求に基づいて、複数組の並列接続した電流高速増幅モジュールセットを選択し、
選択した電流高速増幅モジュールセットの番号を制御卓により入力し、主制御モジュールに送信し、主制御モジュールは番号に基づいて電流高速増幅モジュールセットを選択し、選択された電流高速増幅モジュールセットを統括的に制御し、
試験要求に基づいて、各組の電流高速増幅に必要な最大電流及び最大負荷電圧を制御卓で入力し、主制御モジュールは変流器から出力された最大インダクタンス量を算出し、スイッチング動作のデューティ比に基づいてフィルタインダクタンスを確定し、これに基づいて、主電源モジュールのスイッチング周波数をそれぞれ設定し、主電源モジュールは基本波電流を出力し、
各組の電流高速増幅モジュールセットをいずれも上記ステップS1~S7を参照して試験する。
【0036】
(実施例1)
試験要求によると、最大出力電流は2000Aであり、電流の立ち上がり時間は500usより小さく、出力時間は10sより小さく、高調波周波数は0~100kHzであり、装置の負荷電圧能力は50Vである。負荷は変流器である。
【0037】
1組の電流高速増幅モジュールセットを選択して試験し、操作卓は選択された電流高速増幅モジュールセットの番号及び必要とされる電流タイプ情報を主制御モジュールに送信し、選択された電流高速増幅モジュールセットの制御スイッチを主制御モジュールにより統括的に制御し、フィルタのフィルタリングモードを過渡電流と高調波電流にそれぞれ設定する。
【0038】
主制御モジュールは最大電流に基づいて変流器の最大インダクタンス量を確定し、
既に知っているとおり、負荷のピーク電圧は50×1.414=70.7Vであり、
最大出力電流は2000Aであると、最大ピーク電流は2000×1.414=2828Aとなり、
試験における電流の立ち上がり時間は最大で500uSであり、且つ
L=Us/I
負荷の最大インダクタンス量を容易に得て、
L=70.7×500×106/2828=12.5uH
したがって、装置が出力する誘導負荷は12.5uH未満でなければならない。
【0039】
スイッチング動作のデューティ比及び計算して得られた装置出力インダクタンスに基づいて出力したフィルタインダクタンスを確定し、
制御スイッチが動作する時に80%のデューティ比より大きく、そのため、フィルタインダクタンスは出力負荷の導性リアクタンスの4倍であり、すなわちL=50uH、スイッチング周波数は100kHzにする。
【0040】
分析モジュール内の制御スイッチをオンにし、主電源モジュールの出力電流をフィルタのフィルタリング処理により高調波電流と過渡電流に変更する。
【0041】
フィルタ電流はフルブリッジスイッチング増幅器を通過し、スイッチング周波数は100kHzであり、フルブリッジスイッチング増幅器の電圧は80Vであり、フィルタインダクタンスは50uHである。
【0042】
電流が0Aからピーク値(2828A)になるまでに要する時間は以下のとおりである。
L=IL/kU=2828×62.5×106/(80×0.9)=2.4mS
【0043】
過渡電流のフルブリッジリニア増幅器の電流の立ち上がり時間を450uSに設定し、出力時間を2.45mSに設定する。
【0044】
過渡電流は初期段階の過渡電流信号を提供し、2.45mS後、高調波電流はピーク値に達し、過渡信号の出力を完了させ、制御スイッチをオフにし、高調波電流信号を持続的に出力する。
【0045】
高調波電流の出力過程において、高速電流センサは増幅した高調波電流を誘導し、主制御モジュールにフィードバックし、変流器における誘導電流をフィードバック回路により制御モジュールにフィードバックする。
【0046】
主制御モジュールは受信した高速電流センサのフィードバック情報に基づいて、高調波電流の出力状態を判定し、
高調波電流が試験要求を満たすことができないと判定する場合、変流器からフィードバックされた誘導電流によって変流器の実際の出力インダクタンス量を計算し、
変流器の実際の出力インダクタンス量を最大出力インダクタンス量の12.5uHと比較し、
実際の出力インダクタンスの変化に応じて、高調波電流をピーク値に維持させて出力するようにスイッチング周波数を調整し変更する。
【0047】
本願では、電流増幅方式を変更し、電力増幅器により基本波電流を増幅し、力率を向上させる。複数の5~10KWの電源モジュールを並列接続して主電源モジュールとし、電源の安定性を向上させる。また、小電力の電源スイッチの周波数が相対的に高く、変流器に十分な誘導負荷を提供する。
【0048】
複数の電源モジュールを並列接続して用い、大電力デバイスを必要とせず、電源の重量を軽減でき、現場での搬送とテストを容易にし、試験装備の実用性を向上させる。
【0049】
以上、特定の実施形態及び例示的な実施例を参照して本願を詳細に説明したが、これらの説明は本願を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者であれば理解されるように、本願の精神及び範囲から逸脱することなく、本願の技術的解決手段及びその実施形態に対して様々な同等の置換、修飾又は改良を行うことができ、これらはいずれも本願の範囲内に含まれる。本願の保護範囲は添付の特許請求の範囲を基準とする。
【0050】
(付記)
(付記1)
主電源モジュールと主制御モジュールと電流高速増幅モジュールセットとを含み、前記主電源モジュールは主制御モジュールに接続され、複数の電流高速増幅モジュールセットは並列して主電源モジュールに接続され、各組の前記電流高速増幅モジュールセットは2つの信号分析処理モジュールと1つの負荷とを含み、2つの前記信号分析モジュールは並列接続され、信号分析モジュールの入力端は主電源モジュールに接続され、出力端は同一の電流高速増幅モジュールセット内の負荷に接続され、
前記信号分析モジュールは、順に接続される、制御スイッチと、フィルタと、高広帯域DA変換器と、電力増幅器と、高速電流センサとを含み、前記制御スイッチは主電源モジュールに接続され、前記高速電流センサは負荷に接続され、
前記制御スイッチ、高速電流センサ及び負荷はいずれもフィードバック回路を介して主制御モジュールに接続され、
前記主制御モジュールは、
最大電流量の値を設定して制御モジュールに入力し、最大電流により負荷の最大インダクタンス量を算出するステップと、
制御スイッチの動作時のデューティ比に基づいて、出力フィルタインダクタンスを確定し、主電源モジュールの電流スイッチング周波数を設定するステップと、
フィルタのフィルタリングモードを設定し、同一の電流高速増幅モジュールセット内の1つのフィルタのフィルタリングモードを高調波電流に設定し、もう1つのフィルタのフィルタリングモードを過渡電流に設定するステップと、
高速電流センサからフィードバックされた誘導電流値と負荷からフィードバックされた負荷インダクタンス量を受信し、実際の出力インダクタンス量を計算するステップと、
負荷の最大出力インダクタンス量を照合して負荷の動作状態を判定し、電流のスイッチング周波数を変更することで、電流増幅器の電流出力をピーク値に維持するステップと、
を実行するように配置されている、
ことを特徴とする電力増幅器に基づく電流高速増幅システム。
【0051】
(付記2)
並列接続した2つの前記信号分析モジュールにおける電力増幅器はそれぞれフルブリッジスイッチング増幅器及びフルブリッジリニア増幅器を用いる、
ことを特徴とする付記1に記載の電力増幅器に基づく電流高速増幅システム。
【0052】
(付記3)
前記負荷は変流器であり、前記変流器の制御端は制御モジュールに接続される、
ことを特徴とする付記1に記載の電力増幅器に基づく電流高速増幅システム。
【0053】
(付記4)
前記主電源モジュールは電圧が5~10KWの複数の電源が並列接続して構成される、
ことを特徴とする付記1に記載の電力増幅器に基づく電流高速増幅システム。
【0054】
(付記5)
付記1から4のいずれか1つに記載の電力増幅器に基づく電流高速増幅システムに基づく電流高速増幅方法であって、
複数組の独立した電流高速増幅モジュールセットを選択し、制御モジュールにより前記電流高速増幅モジュールセットの制御スイッチを統括的に制御するステップと、
電源モジュールの電流は並列接続した信号分析モジュールのフィルタをそれぞれ通過し、フィルタはそれぞれ高調波電流と過渡電流を選択するステップと、
最大電流に基づいて負荷の最大インダクタンス量を確定し、スイッチング動作のデューティ比に基づいて出力フィルタインダクタンスを確定し、電流のスイッチング周波数を設定し、電流を出力するように主電源モジュールを制御するステップと、
フィルタリング処理された過渡電流と高調波電流に対して並列接続した高速DA変換器により電流サンプリングをそれぞれ行い、電力増幅器により電流を増幅し、増幅した後の過渡電流を初期段階の過渡電流信号として変流器に入力するステップと、
高調波電流を電力増幅器により増幅して、電流をピーク値に増幅すると、過渡電流の出力を完了させ、制御スイッチをオフにし、過渡電流の出力を停止し、高調波電流信号を持続的に出力するステップと、
高速電流センサは増幅された高調波電流を誘導し、フィードバック回路により制御モジュールにフィードバックするとともに、変流器における誘導電流をフィードバック回路により制御モジュールにフィードバックするステップと、
主制御モジュールは受信した高調波電流と誘導電流に基づいて、高調波電流状態をリアルタイムに監視するステップと、
高調波電流がピーク値にないことを監視すると、主制御モジュールは誘導電流の変流器の実際の出力インダクタンス量に基づいて、変流器の最大出力インダクタンス量と比較し、変流器の動作状態を判定し、電流周波数を変更し、電流増幅器を電流出力ピーク値に達させるステップと、
を含むことを特徴とする電流高速増幅方法。
【0055】
(付記6)
前記高調波電流はフルブリッジスイッチング増幅器により信号増幅を行い、前記過渡信号はフルブリッジリニア増幅器により信号増幅を行う、
ことを特徴とする付記5に記載の電流高速増幅方法。
【0056】
(付記7)
前記変流器の動作状態の判定方法は、変流器の最大フィルタインダクタンス量を計算し、フィードバックされた変流器の実際の出力フィルタインダクタンスと比較し、変流器の動作状態を判定することである、
ことを特徴とする付記5に記載の電流高速増幅方法。
【0057】
(付記8)
前記変流器の出力フィルタインダクタンスは以下のとおりであり、
L=Us/I
ここで、Uは負荷の最大電圧であり、sは電流の立ち上がり時間であり、Iは最大電流である、
ことを特徴とする付記7に記載の電流高速増幅方法。
【0058】
(付記9)
出力負荷の最大インダクタンス量、最大負荷電圧及びスイッチングデューティ比に基づいて出力負荷の誘導性リアクタンスを確定する、
ことを特徴とする付記7に記載の電流高速増幅方法。