(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】物理的接触なしに物理的変化を検出するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 22/00 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
G01N22/00 V
(21)【出願番号】P 2021540782
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 US2019052076
(87)【国際公開番号】W WO2020068571
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-29
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518264538
【氏名又は名称】ライフ ディテクション テクノロジーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラングレー,ジョン,ビー.セカンド
(72)【発明者】
【氏名】マキロイ,ガイ
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/132514(WO,A1)
【文献】特開2016-020815(JP,A)
【文献】特表2016-506524(JP,A)
【文献】特表2019-505767(JP,A)
【文献】特開2011-145214(JP,A)
【文献】特表2006-506621(JP,A)
【文献】特開2002-164398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 22/00-22/04
G01N 27/00-27/24
A61B 5/02-5/0295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディの変化を検出及び解析するためのシステムであって、
ボディに関連する電界を発生するように構成された、電界発生器と、
情報を前記電界発生器に送信
し、電界の周波数変化を引き起こす電界内の前記ボディの物理的変化を検出するように構成され
た外部センサデバイスと、
前記電界発生器から電界を受信し、前記電界発生器によって発生した電界の周波数変化を検出し、検出応答を生成するように構成され
、前記検出応答として電圧出力を生成する、直交復調器と、
前記電界発生器に結合され、前記電界発生器に周波数制御信号を出力し、前記周波数制御信号の調節により電界の周波数を修正するように構成された、コントローラと、
を備え
、
前記コントローラは、さらに、前記直交復調器からの検出応答を含むフィードバック応答に基づいて前記周波数制御信号を変化させるように構成される、
システム。
【請求項2】
前記修正された電界の周波数が、前記直交復調器の線形周波数範囲内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電界発生器が発振器を含む、請求項1
又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記発振器が、インダクタ‐キャパシタタンク発振器である、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記インダクタ‐キャパシタタンク発振器が、可変インダクタ又は可変キャパシタのうちの少なくとも1つを備える、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記可変インダクタ又は前記可変キャパシタのうちの少なくとも1つが、前記周波数制御信号によって生成された調整信号に従って電界の周波数を修正するように構成される、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
直交復調器から情報を受信するローパスフィルタをさらに備え、
前記直交復調器によって生成された検出応答は、低周波数成分及び高周波数成分を含み、
前記ローパスフィルタは、前記検出応答の高周波数成分をフィルタリングにより除去してフィルタ応答を生成するように構成される、
請求項1
から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラがさらに、フィードバック応答に基づいて前記周波数制御信号を変化させるように構成される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記フィードバック応答が、前記ローパスフィルタからのフィルタ応答である、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ローパスフィルタから情報を受信し、前記フィルタ応答を解析し、解析応答を出力する信号プロセッサをさらに備える、請求項
7から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
振幅基準を提供するように構成された振幅基準源と、
前記振幅基準源及び前記電界発生器から振幅情報を受信し、前記振幅基準と前記電界の振幅を比較して振幅比較を生成するように構成された振幅比較スイッチと、
をさらに備え、前記信号プロセッサがさらに、前記振幅比較スイッチから情報を受信し、前記振幅比較を解析するように構成される、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラがさらに、前記信号プロセッサからの解析応答に基づいて前記周波数制御信号を変化させるように構成される、請求項
10又は11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラがさらに、前記直交復調器からの検出応答をモニタリングし、出力信号を信号プロセッサに送信するように構成される、請求項1
から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記直交復調器からの検出応答を受信し、フィルタ応答を生成するローパスフィルタをさらに備え、
前記コントローラがさらに、前記フィルタ応答をモニタリングし、出力信号を信号プロセッサに送信するように構成される、請求項1
から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラがさらに、前記電界の周波数を一定に保つように前記電界発生器に指示し、前記検出応答により他の周波数変化変数を決定するように構成される、請求項
13に記載のシステム。
【請求項16】
前記信号プロセッサが、前記出力信号を解析するように構成される、請求項
13に記載のシステム。
【請求項17】
ボディの変化を検出及び解析するための方法であって、
電界発生器によって、ボディに関連する電界を発生することと、
外部センサデバイスによって、前記電界の周波数に影響を与える、前記電界内のボディの物理的変化を検出することと、
直交復調器によって、前記電界の周波数の変化をモニタリング及び検出し、少なくとも1つの周波数成分を有する検出応答を生成すること
であり、前記検出応答として電圧出力を生成することと、
コントローラによって、前記少なくとも1つの周波数成分を有する検出応答を受信することと、
前記コントローラによって、
前記直交復調器により生成された前記検出応答を含むフィードバック応答に基づいて、前記ボディに関連する電界の周波数を修正するべく周波数制御信号を出力することと、
前記電界発生器によって、前記周波数制御信号に基づいて前記ボディに関連する電界を修正することと、
を含む方法。
【請求項18】
プロセッサに、
電界発生器によって、ボディに関連する電界を発生することと、
外部センサデバイスによって、前記電界の周波数に影響を与える、前記電界内のボディの物理的変化を検出することと、
直交復調器によって、前記電界の周波数の変化をモニタリング及び検出し、少なくとも1つの周波数成分を有する検出応答を生成すること
であり、前記検出応答として電圧出力を生成することと、
コントローラによって、前記少なくとも1つの周波数成分を有する検出応答を受信することと、
前記コントローラによって、
前記直交復調器により生成された前記検出応答を含むフィードバック応答に基づいて、前記ボディに関連する電界の周波数を修正するべく周波数制御信号を出力することと、
前記電界発生器によって、前記周波数制御信号に基づいて前記ボディに関連する電界を修正することと、
を含
むボディの変化を検出及び解析する
ための動作
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照によりその全容が本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR DETECTING PHYSICAL CHANGES WITHOUT PHYSICAL CONTACT」と題する2018年9月24日に出願された米国特許出願第16/139,993号の優先権を主張する国際出願である。
【0002】
本出願は、一般に、モニタリングシステムの技術分野に関し、より具体的には、物理的接触なしに物理的変化を検出するモニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
様々なモニタリングシステムの性能は、センサ又はその部品をモニタリングの対象(例えば、成人、10代、子供、又は赤ん坊などの人間)に対して配置する場所の影響を受ける可能性がある。例えば、或るモニタリングシステムは、センサが対象と物理的に接触することを必要とする場合があり、さらに、部品(例えば、電源ケーブル又はデータケーブル)がセンサからモニタリング装置に接続すること)を必要とする場合がある。センサが車両座席の着座の変化を検出するのに用いられる可能性がある他の状況があり得る。この場合、センサは、直接の物理的接触なしに、座席乗員のバイタルサイン、例えば、脈拍及び/又は呼吸も感知し得る。
【0004】
公知のモニタリングシステムは、センサが対象と直接接触することを必要とする。例えば、従来の心電図(ECG)は、患者のECG信号を検出するために外部電極を使用する。外部電極は、ケーブルの端に存在し、患者に及び患者の心臓の近くに物理的に配置されていなければならない。これは、特に比較的活発な患者の長期のモニタリングのために繋いで使用するには不便であり得る導電性材料の使用をしばしば必要とする。これらのデバイスには重大な制限がある。例えば、患者はデバイスに物理的に接続されていなければならない。患者が自分のベッドから離れたいとき、多くの場合は高度な訓練を受けたスタッフが、患者からデバイスを取り外し、患者が戻れば、デバイスを患者に再び取り付ける必要がある。このようなモニタリングシステムのセットアップに関連する不便さ及び手間も、より活発な対象、例えば、ベビーベッドにいる乳児又は車両を運転している人をモニタリングするのにあまり適していない。リストバンド及びアームバンドなどのデバイスに組み込まれたモニタリングシステムが存在するが、それらは依然として、通常は対象と直接接触する必要があり、多くの場合、不正確な情報と制限された機能を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、センサが対象と直接接触する必要がないモニタリングシステムが必要とされている。人体の生理学的変化をモニタリングすることによって対象の健康、フィットネス、睡眠、及び食事制限の管理を支援することができるモニタリングシステムも必要とされている。さらに、対象の変化を感知し、適時適切な診断情報、予後情報、及び処方情報を提供することができる長期の使用に適したモニタリングシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ボディとの物理的接触又はボディへの取り付けなしにボディ内の物理的変化の検出を可能にするシステム及び方法を含む。ボディは、他の物質とは別個の物質の塊である。ボディの限定ではない例としては、例えば、人間の体、動物の体、コンテナ、車、家などが挙げられる。これらの変化は、動物の心機能などの生理学的事象又はサイロの中の穀物などのバルク材料の特性の変化であり得る。これらの変化は、動物の臓器の機能によって引き起こされるような寸法変化、又は材木の含水量などの材料の組成の変化であり得る。
【0007】
この機器で用いられる測定技術の重要な特徴は、複数の現象の変化を同時に観察できるように、測定を拡張体積で実行できることである。例えば、2つの別個であるが関連がある生理学的パラメータ(例えば、脈拍及び呼吸)の感知が同時に達成され得る。この機器によって感知される領域は、機器内のセンサ要素の設計によって変化し得る。バルク感知機能のさらなる拡張は、複合波形から個々の特徴を分離するために、ウェーブレットベースの手法などの高度なコンピュータ署名認識ソフトウェアを使用することである。
【0008】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる、2014年10月30日に出願された米国特許第9,549,682号に関連する。本出願はまた、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる、2013年3月15日に出願された米国特許第9,035,778号に関連する。
【0009】
開示される主題は、一態様では、ボディの変化を検出及び解析するためのシステムを含む。システムは、電界を生じるように構成された電界発生器を含む。システムは、電界発生器に結合され、電界の振幅及び周波数に影響を与える電界の物理的変化を検出するように構成された外部センサデバイスを含む。システムは、電界発生器に結合され、電界発生器の出力の周波数の変化を検出し、低周波数成分及び高周波数成分を含む検出応答を生成するように構成された直交復調器を含む。システムは、直交復調器に結合され、検出応答の高周波数成分をフィルタリングにより除去してフィルタ応答を生成するように構成されたローパスフィルタを含む。システムは、振幅基準を提供するように構成された振幅基準源を含む。システムは、振幅基準源及び電界発生器に結合され、振幅基準と電界の振幅を比較して振幅比較を生成するように構成された振幅比較スイッチを含む。システムは、ローパスフィルタ及び振幅比較スイッチに結合され、フィルタ応答及び振幅比較応答を解析するように構成された信号プロセッサを含む。
【0010】
開示される主題は、別の態様において、ボディの変化を検出及び解析するための方法を含む。方法は、電界発生器で所望の検出領域の周囲に電界を確立することを含む。方法は、直交復調器で電界の周波数をモニタリングすることを含む。方法は、直交復調器で電界の周波数の変化を検出することを含む。方法は、電界の振幅をモニタリングすることを含む。方法は、振幅基準源で電界の振幅の変化を検出することを含む。
【0011】
開示される主題は、また別の態様において、装置に電界発生器で所望の検出領域の周囲に電界を確立させるように動作可能な実行可能命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体を含む。命令はさらに、装置に直交復調器で電界の周波数をモニタリングさせるように動作可能である。命令はさらに、装置に直交復調器で電界の周波数の変化を検出させるように動作可能である。命令はさらに、装置に電界の振幅をモニタリングさせるように動作可能である。命令はさらに、装置に振幅基準源で電界の振幅の変化を検出させるように動作可能である。
【0012】
開示される主題はさらに、また別の態様において、ボディの変化を検出及び解析するためのシステム含む。システムは、電界発生器、外部センサデバイス、直交復調器、及びコントローラを含む。電界発生器は、ボディに関連する電界を発生するように構成される。外部センサデバイスは、情報を電界発生器に送信し、電界の周波数変化を引き起こす、電界内のボディの物理的変化を検出するように構成される。直交復調器は、電界発生器から電界を受信し、電界発生器によって発生した電界の周波数変化を検出し、検出応答を生成するように構成される。コントローラは、電界発生器に結合され、電界発生器に周波数制御信号を出力し、周波数制御信号の調節により電界の周波数を修正するように構成される。
【0013】
開示される主題は、また別の態様において、ボディの変化を検出及び解析するための方法を含む。方法は、電界発生器によって、ボディに関連する電界を発生することを含む。方法は、外部センサデバイスによって、電界の周波数変化を引き起こす、電界内のボディの物理的変化を検出することを含む。方法は、直交復調器によって、電界の周波数の変化をモニタリング及び検出し、検出応答を生成することを含む。方法は、コントローラによって、検出応答を受信することを含む。方法は、ボディに関連する電界の周波数を修正するべく周波数制御信号を出力することを含む。方法は、電界発生器によって、周波数制御信号に基づいてボディに関連する電界を修正することを含む。
【0014】
開示される主題は、また別の態様において、装置にボディの変化を検出及び解析させるように動作可能な実行可能命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体を含む。命令はさらに、装置にボディに関連する電界を発生させるように動作可能である。命令はさらに、装置に電界の周波数変化を引き起こす電界内のボディの物理的変化を検出させるように動作可能である。命令はさらに、装置に電界の周波数の変化をモニタリング及び検出させ、検出応答を生成させるように動作可能である。命令はさらに、装置に検出応答を受信させるように動作可能である。命令はさらに、装置にボディに関連する電界の周波数を修正するべく周波数制御信号を出力させるように動作可能である。命令はさらに、装置に周波数制御信号に基づいてボディに関連する電界を修正させるように動作可能である。
【0015】
本開示と一致する例示的な実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載された又は図面に示された構成及び配置の詳細に限定されないことが理解される。本開示は、説明したものに加えていくつかの実施形態が可能であり、様々な方法で実施及び実行することができる。また、本明細書及び要約書で使用される専門語及び用語は、説明するためのものであって、限定するものとしてみなされるべきではないことが理解される。
【0016】
開示される主題の実施形態のこれらの及び他の機能は、以下の図面、詳細な説明、及び特許請求の範囲をよく見ると、より十分に理解されるであろう。
【0017】
上記の概要と以下の詳細な説明との両方は、単なる説明であって、特許請求される主題を限定するものではないことが理解される。
【0018】
開示される主題の様々な目的、特徴、及び利点は、開示される主題の以下の詳細な説明を参照しながら、同様の参照符号が同様の要素を特定する以下の図面と併せて考察すると、より十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の特定の実施形態に係る、ボディの変化を検出及び解析するためのシステムを例示する図である。
【
図2】本開示の特定の実施形態に係る、直交復調器の伝達関数を例示する図である。
【
図3】本開示の特定の実施形態に係る、呼吸信号と心拍信号とを組み合わせた波形を例示する図である。
【
図4】本開示の特定の実施形態に係る、ボディの変化を検出及び解析するためのシステムを例示する図である。
【
図5】本開示の特定の実施形態に係る、ボディの変化を検出及び解析するプロセスを例示する図である。
【
図6】本開示の特定の実施形態に係る、直交復調器を例示する図である。
【
図7】本開示の特定の実施形態に係る、信号プロセッサを例示する図である。
【
図8】本開示の特定の実施形態に係る、ボディの変化を検出及び解析するためのシステムを例示する図である。
【
図9】本開示の特定の実施形態に係る、インダクタ‐キャパシタ(LC)タンク発振器を例示する図である。
【
図10】本開示の特定の実施形態に係る、ボディの変化を検出及び解析するプロセスを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
交流(「AC」)回路での材料の挙動は、普通は、材料に蓄積されたエネルギーの量と、サイクルごとに材料で散逸したエネルギーの量の観点で説明される。エネルギーの蓄積は、電流によって発生する電界と磁界の両方で生じる。散逸は、材料で電気エネルギーを熱エネルギーに、すなわち、熱に変換する際に生じる。これらの特性は、材料に応じて様々に変化することがある。多くの材料において、特性は主に1つのタイプである。
【0021】
一部の材料での散逸は、材料の磁界特性に起因する可能性があり、他の場合には電界特性に起因する可能性がある。より一般的なケースでは、これらのメカニズムの両方が存在する。このため、磁界蓄積特性と関連する散逸がベクトル和に組み合わされる、透磁率と呼ばれる規約が存在する。同様に、電界蓄積特性と関連する散逸のベクトル和は、誘電率と呼ばれる。これらのベクトル和は複素数値として表され、散逸は実数成分であり、電界磁界蓄積特性は虚数成分である。本開示では、ボディの電磁気特性の変化を測定することによって、ボディの特性の集約された変化が検出及び定量化される。
【0022】
ここで説明する手法は、電磁気特性の変化、すなわち、電気特性と磁気特性の両方の変化を感知することによって機能するが、いくつかの用途では、特性の1つのセットだけで顕著な変化が生じる。さらなる議論をする目的で、本発明の機器は誘電率の変化を検出する。当業者には分かる任意の他の適切な特性又は特性の組み合わせの検出も、開示される主題の精神及び範囲内にある。誘電率の散逸成分は、しばしば、材料の損失正接として表され、一方、蓄積項は、キャパシタンスと呼ばれる。これらの特性の測定は、機器によって発生した電界内のボディの集約された特性に起因する電界の位相及び振幅の変化を感知することで達成される。
【0023】
図1は、本開示の特定の実施形態に係る、ボディの変化を検出及び解析するためのシステム100を例示する。システム100は、外部センサデバイス102、電界発生器104、振幅基準源106、直交変調器108、振幅比較スイッチ110、ローパスフィルタ114、信号プロセッサ116、及びディスプレイ118を含む。システム100に含まれるコンポーネントは、任意の適切な構成で1つよりも多いコンポーネントにさらに分ける及び/又は一緒に組み合わせることができる。さらに、1つ以上のコンポーネントを、再構成、変更、追加、及び/又は削除することができる。いくつかの実施形態において、システム100の1つ以上のコンポーネントは、特定用途向け集積回路(ASIC)で作製することができる。
【0024】
電界発生器104は、所望の検出領域に作用する電界を生じる。この電界の周波数及び振幅は、観察対象のボディの特徴によって決定される。いくつかの実施形態において、電界発生器104の周波数決定コンポーネント、すなわち、誘導性要素、容量性要素、及び抵抗性要素の組み合わせで構成することができる共振回路が、当該ボディ材料の所望のカバレッジをもたらす電界を生じる外部デバイスに接続される。いくつかの実施形態において、電界発生器104は、インダクタ‐キャパシタ(LC)タンク発振器などの発振器とすることができる。
【0025】
外部センサデバイス102は、多様な材料から作製され得る。これらの材料の唯一の要件は、それらが導電体であることである。外部センサデバイス102は、所望の領域の適切なカバレッジをもたらすために多くの異なる機械的構成で構築することができる。例えば、いくつかの実施形態において、外部センサデバイス102は、複数の金属プレートとすることができる。いくつかの実施形態において、外部センサデバイス102の形状及び/又は向きは、必要に応じて変えることができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、外部センサデバイス102は、当該ボディと物理的に接触する必要はない。例えば、外部センサデバイス102及びこれをサポートする電子装置は、運転者の眠気の生理学的指標の変化を検出し、したがって事故を防ぐ措置を講じるために、長距離トラックの座席に設置することもできる。いくつかの実施形態において、感知プロセスは、普通は、2つのパスで個別に行われる。(1)第1のパスにおいて、ベクトル和の実数成分の変化、例えば、エネルギー散逸が検出され、(2)第2のパスにおいて、虚数成分、すなわち、その電流の位相が実数成分の電流の位相と直交するキャパシタンス又はインダクタンスなどの成分に関連する変化が個別に処理される。いくつかの実施形態において、電界の振幅の変化が第1のパスで検出され、電界の周波数の変化が第2のパスで検出される。一般に、当業者には公知のように、電界の位相の変化は、電界の周波数の変化の解析によって得ることができる。これらの2つの信号は、複素誘電率の変化を再現するべく後の信号処理で組み合わせる、又は個別の解析のために個々の信号として保つことができる。これらの2つのパスについて、以下で個別に説明する。
【0027】
複素誘電率の虚数成分の変化を検出するために、電界発生器104の出力が直交復調器108に接続される。直交復調器108は、電界発生器104の出力の周波数の変化を検出し、低周波数成分及び高周波数成分を含む検出応答を生成する。
図6は、本開示の特定の実施形態に係る直交復調器108を例示している。直交復調器108は、ミキサ602及び共振回路604を含む。本開示では、ダブルバランスドミキサが説明されるが、他の適切なタイプのミキサも用いることができる。直交復調器108に含まれるコンポーネントは、任意の適切な構成で1つよりも多いコンポーネントにさらに分ける及び/又は一緒に組み合わせることができる。さらに、1つ以上のコンポーネントを、再構成、変更、追加、及び/又は削除することができる。
【0028】
直交復調器108への入力信号は、2つのパスに分割される。一方のパスは、ダブルバランスドミキサ602の一方の入力ポートに接続され、他方のパスは、共振回路604に接続される。共振回路604の出力は、ダブルバランスドミキサ602の他方の入力ポートに接続される。いくつかの実施形態において、共振回路604は、インダクタ及びキャパシタを含む。いくつかの実施形態において、共振回路604は、インダクタ、キャパシタ、及びレジスタを含む。共振回路604の回路コンポーネントは、直列に、並列に、又は任意の他の適切な構成で接続することができる。共振回路604はまた、当業者には分かる他の回路構成で実装することができる。いくつかの実施形態において、共振回路604は、電界発生器104の公称中心周波数に調整される。
【0029】
ダブルバランスドミキサ602は、2つの信号を掛け合わせる(一方の信号は入力からの信号であり、他方の信号は共振回路604からの信号である)。2つの信号の積により、出力に2つの成分が生じ、一方は2つの入力周波数間の差に比例し、他方は2つの入力周波数の和に比例する。2つの信号間に正確に90度の位相差があるとき、復調器の出力はゼロである。位相差が約+/-90度未満のとき、ダブルバランスドミキサ602の出力にDC成分が存在する。
【0030】
直交復調器108からの出力信号は、ローパスフィルタ114に供給される。ローパスフィルタ114は、典型的に、直交変調器108の低周波数成分を直交変調器108によって発生したはるかにより高い周波数成分から分離する、抵抗性要素、誘導性要素、及び/又は容量性要素を含むアナログ回路である。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、高周波数項を十分に抑制しながら所望の信号成分が低減衰となるように選択される。フィルタリング後に、信号は、後述する信号プロセッサユニット116に接続される。
【0031】
電界散逸の変化の検出は、電界の周波数の変化の検出とは若干異なる様態で処理される。
図1及び
図6では、電界発生器104の出力は、共振回路604によって生成されたその位相シフトバージョンと掛け合わされる。位相/周波数の変化の検出とは異なり、振幅の変動は、当該材料によって変化しない電界発生器104の出力と比較されなければならない。
図1を再び参照すると、外的影響がない状態で電界発生器104の出力を測定することによって振幅基準信号が生成され、振幅基準源106の出力レベルを設定するのに用いられる。
【0032】
振幅基準源106は、典型的に、ダイオードなどの半導体コンポーネントによってもたらされる時間及び温度安定の電圧基準である。振幅基準源106の出力は、振幅比較スイッチ110の1つの入力に供給される。信号プロセッサ116によって制御されるスイッチ110は、振幅基準源106及び電界発生器104の出力を信号プロセッサ116に交互に接続する。基準信号106と電界発生器104の出力との差を測定することによって、十分な校正情報と共に、当該材料によって吸収された、例えば散逸した、電力の量が計算され得る。
【0033】
振幅比較スイッチ110は、電界発生器104の振幅の最も急な変化の少なくとも2倍の速度で電界発生器104の出力をサンプリングし、振幅基準源106の値を差し引くことによって機能する。したがって、振幅比較スイッチ110の出力は、電界発生器104の振幅と振幅基準源106の振幅との差に等しい。
【0034】
信号プロセッサ116は、ローパスフィルタ114の出力を受け取り、所望の成分をさらなる使用又は処理のために所望のフォーマットで抽出する。信号プロセッサ116はまた、電界の振幅の変化を解析するために振幅比較スイッチ110の出力を受け取る。信号プロセッサ116は、アナログ回路、デジタル回路、又は組み合わせ回路のいずれかの使用により実装することができる。
【0035】
図7は、本開示の特定の実施形態に係る信号プロセッサ116を例示する。信号プロセッサ116は、サンプル・ホールド回路702、アナログ‐デジタル変換器(ADC)704、デジタル信号プロセッサ706、及びマイクロコントローラ708を含む。信号プロセッサ116に含まれるコンポーネントは、任意の適切な構成で1つよりも多いコンポーネントにさらに分ける及び/又は一緒に組み合わせることができる。さらに、1つ以上のコンポーネントを、再構成、変更、追加、及び/又は削除することができる。
【0036】
サンプル・ホールド回路702は、連続時間連続値信号をサンプリングし、値を指定の時間にわたってホールドするように構成される。典型的なサンプル・ホールド回路702は、キャパシタ、1つ又は複数のスイッチ、及び1つ又は複数の演算増幅器を含む。いくつかの実施形態において、他の適切な回路実装も用いることができる。
【0037】
ADC704は、サンプル・ホールド回路702の出力を受信し、これをデジタル信号に変換する。いくつかの実施形態において、ADC410は、高い分解能を有することができる。多くの可能な用途での電界内の領域全体のバルク誘電率の変化は、比較的遅い、例えば、数百ヘルツ未満であると予想されるので、いくつかの実施形態において、サンプル・ホールドデバイス406を使用して、5000サンプル/秒の範囲のサンプルレートでADC704で処理可能な短いサンプルを作製することによって電界発生器404の出力をアンダーサンプリングすることで十分であり得る。24ビット分解能又は32ビット分解能のADCが容易に入手可能である。いくつかの実施形態において、ADC704は、他の適切な分解能を有することができる。
【0038】
デジタル信号プロセッサ706は、ADC704の出力を処理するように構成することができる。いくつかの実施形態において、デジタル信号プロセッサ706は、マイクロプロセッサとすることができる。
【0039】
マイクロコントローラ708は、信号プロセッサ116の1つ以上のコンポーネントに結合することができる。いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ708は、信号プロセッサ116の1つ以上のコンポーネントのサンプリングレート及び/又はクロックレートを制御することができる。いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ708は、信号プロセッサ116の1つ以上のコンポーネントにコマンド信号を送出することができる。いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ708は、一般的な高性能の低電力のシステムオンチップ(SOC)製品とすることができる。例えば、マイクロコントローラ708は、ARM Cortex-M4コアプロセッサ又は任意の他の適切なモデルなどのARMベースのプロセッサとすることができる。
【0040】
ディスプレイ118について言及すると、ディスプレイ118は、信号プロセッサ116によって生成された様々な結果を表示するように構成することができる。ディスプレイ118は、タッチスクリーン、LCDスクリーン、及び/又は任意の他の適切なディスプレイ画面、又はディスプレイ画面の組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態において、信号プロセッサ116の出力は、信号の格納及び/又は処理のためにデータロガーにも供給することができる。
【0041】
図2は、電圧出力と電界発生器104からの入力信号の周波数との間の典型的な関係性を示す、直交復調器108の伝達関数の一般化バージョンを示す。横軸は、入力信号の周波数をヘルツ(Hz)で示し、縦軸は復調器の出力をボルト(V)で示す。横軸の中央210は、共振回路604の公称共振周波数を示す。例えば、共振回路604の公称共振周波数が80MHzである場合、横軸の中央210は80MHzである。曲線の中央領域の傾斜202は、位相/周波数の変化の関数として出力電圧に関して同じ感度を提供しながら、拡大した周波数範囲にわたる動作を可能にするべく、極めて線形とすることができる。伝達関数は、ダブルバランスドミキサ108への2つの入力間の周波数/位相の関係性にのみ数学的に依存する。これにより、散逸特性に起因する振幅の変化とは別に、材料特性により誘発される位相/周波数の変化の検出において広いダイナミックレンジが可能となる。
【0042】
図2は、同じ電界発生器104及び直交復調器108を使用しながら2つの異なる用途に用いられ得るように動作するセンサを例示する。領域1の204において、周波数及び伝達関数の傾斜の正確な値に依存するDC成分は、例えば、-1.5ボルトであり得る。電界発生器104の周波数に小さな変動がある場合、直交復調器の出力電圧にも小さな変動がある。ここでの例では、出力の変動は約-1.5ボルトに集中する。領域2の206において、DC項は、例えば、およそ+1.0ボルトであり得る。しかしながら、伝達関数の傾斜は両方の領域でほぼ同じであるため、小さな変動はおよそ0ボルトに集中する。
【0043】
これは、ここで採用される手法にとって重要な利点である。それぞれ電界内で異なる電磁特性を有する多様な材料が存在する場合、直交復調器108の集約された出力は、材料特性の小さな変化に対して本質的に一定の伝達関数を依然として維持しながら、電界領域内のすべての材料の寄与によって決まる平均DCレベルを有することができる。小信号の線形性により、当該材料の個別の構成要素からの信号成分を線形結合することができる。出力波形における様々な寄与の線形結合は、後の信号処理で容易に分離することができる。呼吸信号と心拍(脈拍)信号との両方を示す結合波形の例が
図3に示されている。
【0044】
図3は、身体による呼吸に典型的であり得る、大きい、低周波数の、ほぼ三角形の波形と、心臓パルスでしばしば見られる、より小さい振幅、より高い周波数、及びより複雑な波形で構成された信号を示す。
図3には、これらの2つの波形の線形加算が、より大きい、より遅い三角形の呼吸成分上に「乗っている」、より小さい振幅、より高い周波数、及びより複雑な心臓パルスとして示される。
【0045】
前述の大いにアナログな設計に加えて、「ダイレクト・トゥ・デジタル」手法も可能である。
図4は、本開示の特定の実施形態に係る、ボディの変化を検出及び解析するためのシステム400を例示する。システム400は、外部センサデバイス402、電界発生器404、サンプル・ホールドデバイス406、マイクロコントローラ408、ADC410、デジタル信号プロセッサ416、及びディスプレイ418を含む。システム400に含まれるコンポーネントは、任意の適切な構成で1つよりも多いコンポーネントにさらに分ける及び/又は一緒に組み合わせることができる。さらに、1つ以上のコンポーネントを、再構成、変更、追加、及び/又は削除することができる。いくつかの実施形態において、
図4に含まれるコンポーネントは、
図1及び/又は
図7に記載の対応するコンポーネントと同様のものである。
【0046】
いくつかの実施形態において、システム400は、
図1に記載のほとんどのアナログコンポーネントをデジタル又は混合信号コンポーネントに置き換える。「ダイレクト・トゥ・デジタル」の概念は、サンプル・ホールドデバイス406によって駆動されるADC410を採用する。いくつかの実施形態において、ADC410は、高い分解能を有することができる。多くの可能な用途での電界内の領域全体のバルク誘電率の変化は、比較的遅い、例えば、数百ヘルツ未満であると予想されるので、サンプル・ホールドデバイス406を使用して、5000サンプル/秒の範囲のサンプルレートでADC410で処理可能な短いサンプルを作製することによって電界発生器404の出力をアンダーサンプリングすることで十分であり得る。24ビット分解能のこのようなデバイスは、コンポーネント価格が顕著により高い32ビットバージョンと同様に、容易に入手可能である。このようなシステムでは、信号プロセッサ416は、
図1に記載の直交復調器108によって実行される機能を引き継ぐことになる。「ダイレクト・トゥ・デジタル」機器の特徴は信号プロセッサ416のソフトウェアによって決まるので、様々なアプリケーションのための専用ソフトウェアを単一のハードウェアセットにロードすることができる。「ダイレクト・トゥ・デジタル」手法のプログラム可能な特徴により、規模の経済が可能となり、単位原価が下がり、新しい市場機会が開かれるであろう。いくつかの実施形態において、ADCは、特定用途向け集積回路(ASIC)で作製することができる。
【0047】
図5は、本開示の特定の実施形態に係る、ボディの変化を検出及び解析するプロセス500を例示するフローチャートである。プロセス500は、
図1に示されたシステム100及び/又は
図4に示されたシステム400に関連して例示される。いくつかの実施形態において、プロセス500は、例えば、ステップを再構成、変更、追加、及び/又は削除することによって修正することができる。
【0048】
ステップ502で、所望の検出領域の周囲に電界が確立される。所望の検出領域は、通常、モニタリングされることになるボディの周囲である。いくつかの実施形態において、電界は、所望の検出領域に作用する電界を生じる電界発生器104を使用することによって確立される。次いで、プロセス500は、ステップ504に進む。
【0049】
ステップ504で、所望の検出領域の電界の周波数及び振幅がモニタリングされる。いくつかの実施形態において、ボディの周囲及び内部の領域をモニタリングするために外部センサデバイス102が用いられる。外部センサデバイス102は、当該ボディと物理的に接触する必要はない。次いで、プロセス500は、ステップ506に進む。
【0050】
ステップ506で、所望の検出領域の電界が、何らかの変化を検出するべく処理及び解析される。プロセス500は、電界の振幅と周波数/位相との両方の変化を検出することができる。例えば、電界の振幅の変動は、当該材料によって変化しない電界発生器104の出力と比較することができる。
図1を再び参照すると、外的影響がない状態で電界発生器の出力を測定することによって振幅基準信号が生成され、振幅基準源106の出力レベルを設定するのに用いられる。振幅基準源106の出力は、振幅比較スイッチ110の1つの入力に供給される。信号プロセッサ116によって制御されるスイッチ110は、振幅基準源106及び電界発生器106の出力を信号プロセッサに交互に接続する。基準信号と電界発生器104の出力との差を測定することによって、十分な校正情報と共に、電界の振幅比較応答を決定することができる。
【0051】
図1及び
図6に関連して説明した直交復調器構成によって、電界の周波数/位相の変化を検出及び解析することができる。例えば、いくつかの実施形態において、電界発生器104の出力は、電界発生器104の出力の周波数の変化を検出し、低周波数成分及び高周波数成分を含む検出応答を生成するように構成された、直交復調器に接続される。次いで、検出応答は、検出応答の高周波数成分をフィルタリングにより除去してフィルタ応答を生成するように構成されたローパスフィルタ114に供給される。いくつかの実施形態において、周波数の変化が検出されると、位相の変化を当業者は容易に導出することができる。
【0052】
次いで、フィルタ応答及び振幅比較応答を、さらなる解析のために信号プロセッサに供給することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、
図4のシステム400に関連して説明した「ダイレクト・トゥ・デジタル」手法の下で、電界の変化を解析することができる。電界発生器404の出力は、サンプル・ホールドデバイス406によってサンプリング及びホールドすることができ、ADC410によってデジタル化することができる。次いで、ADC410のデジタル化された出力を、デジタル信号プロセッサ416によって解析することができる。次いで、プロセス500は、ステップ508に進む。
【0054】
ステップ508で、目視検査のために電界を表示することができる。いくつかの実施形態において、電界の変化も表示及び記録することができる。いくつかの実施形態において、血管のプロセス及び状態、呼吸のプロセス及び状態、及び誘電率と共に変化する他のボディ材料特徴などの特定のボディ機能特徴を提供するべく電界の変化を抽出することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、システム100又はシステム400は、プロセッサを含むことができ、該プロセッサは、1つ又は複数のコアを含むことができ、様々なアプリケーション及びモジュールを動作させるために1つ以上のスレッドに対応することができる。ソフトウェアは、コンピュータ命令又はコンピュータコードを実行可能なプロセッサ上で動作することができる。プロセッサはまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又は任意の他の集積回路を使用してハードウェアに実装されてよい。
【0056】
プロセッサは、非一時的コンピュータ可読媒体、フラッシュメモリ、磁気ディスクドライブ、光学ドライブ、PROM、ROM、又は任意の他のメモリ又はメモリの組み合わせとすることができるメモリデバイスと結合することができる。
【0057】
プロセッサは、開示される主題で論じられる様々なステップをプロセッサに実行させるように構成されたメモリに格納されたモジュールを動作させるように構成することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、本発明の電界発生器は、直交復調器に出力する信号を調節するためのチューナを有する。いくつかの実施形態において、チューナは、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又は任意の他の集積回路に実装することができる。いくつかの実施形態において、チューナは、電界発生器内に又は電界発生器に接続された独立型のサブユニットとして実装することができる。例えば、チューナは、一体化されたインダクタ‐キャパシタ(LC)タンク発振器とすることができる。
【0059】
図2に戻って参照すると、直交復調器108の典型的な伝達関数は、電圧出力と電界発生器104からの入力信号の周波数との間の関係性を示す。横軸は、入力信号の周波数をヘルツ(Hz)で示し、縦軸は復調器の出力をボルト(V)で示す。横軸の中央210は、共振回路の公称共振周波数を示す。中央領域の傾斜202は、電界発生器によって発生した電界の線形周波数範囲を示す。材料の個別の構成要素からの信号成分が線形結合されることを可能にするために、傾斜202の線形周波数範囲を拡大することが時には望ましい又はさらには必要な場合がある。様々な寄与を線形結合する利点は、出力波形を個々の解析のために後の信号処理で容易に分離できることである。対照的に、線形周波数範囲内にない信号成分は線形結合できないため、出力波形におけるその個々の寄与を解析することは困難となる。
【0060】
直交復調器の線形周波数範囲を拡大する方法の1つは、直交復調器の応答曲線を調節することである。直交復調器の出力電圧は発振器の周波数の変化に関係するため、このような調節が可能である。しかしながら、直交復調器の出力を調節すると、システムの感度が低下する可能性がある。代替的に、直交復調器の出力は、実際の周波数ではなく周波数の変化の関数であるため、実際の周波数自体をシフトすることにより、感度を犠牲にせずに直交復調器の線形周波数範囲を拡大する別の方法が提供される。例えば、
図8は、本発明の特定の実施形態に係るボディの変化を検出及び解析するためのシステム800を例示する。システム800は、電界発生器を調整することによって直交復調器の線形周波数範囲を調節することができる。
【0061】
図8を参照すると、システム800は、外部センサデバイス802、チューナ820付きの電界発生器804、振幅基準源806、調節器818付きのコントローラ808、直交変調器810、振幅比較スイッチ812、ローパスフィルタ814、及びデータをディスプレイに出力するように構成された信号プロセッサ816を含む。システム800に含まれるコンポーネントは、任意の適切な構成で1つよりも多いコンポーネントにさらに分ける及び/又は一緒に組み合わせることができる。さらに、1つ以上のコンポーネントを、再構成、変更、追加、及び/又は削除することができる。例えば、いくつかの実施形態において、システム800は、振幅基準源806及び振幅比較スイッチ812なしに、オブジェクトの物理的変化を検出及び解析することができる。いくつかの実施形態において、システム800は、特定のフィードバック値を使用して、振幅及び/又は周波数基準の比較を確立する。
【0062】
いくつかの実施形態において、電界発生器804は、チューナ820による調節の対象となる外部センサデバイス802から受信した情報に基づいて、電界を発生するように構成される。電界発生器804に接続された外部センサデバイス802は、電界内のボディ又はオブジェクトの物理的変化を検出し、センサ情報を電界発生器804に出力するように構成される。外部センサデバイス802は、多様な材料から作製され得る。これらの材料の唯一の要件は、それらが導電体であることである。電界の変化の虚数成分を検出するために、電界発生器804の出力は、直交復調器810に接続される。直交復調器810は、電界の周波数の変化を検出し、低周波数成分及び高周波数成分を含む検出応答を生成する。いくつかの実施形態において、検出応答は、ローパスフィルタ814に供給され、次いで、
図1に示されたプロセスと同様にさらなる解析のために信号プロセッサ816に送信される。
【0063】
いくつかの実施形態において、直交復調器810からの検出応答は、電界発生器804を調整するためのフィードバックループを確立するべくコントローラ808に供給される。コントローラ808は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサ、メモリコンポーネント、電子回路などを含むことができる。例えば、コントローラ808は、ASICを含み得る。コントローラ808は、独立型のコンポーネント、システム800の他の特徴と一体化されたコンポーネント、又はこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、コントローラ808は、システム又はユーザが電界発生器804の出力信号を調節することを可能にするために、電界発生器804のチューナ820に結合された調節器818を含む。
【0064】
図8を参照すると、コントローラ808は、直交復調器810から受信した検出応答に基づいて、調節器818を介して、周波数制御信号を電界発生器804のチューナ820に出力することができる。例えば、検出応答が、材料の構成要素からの信号成分が線形周波数範囲外にあることを示す場合、コントローラ808は、伝達関数を解析し、電界発生器804の出力信号を調節するべく周波数制御信号を電界発生器804に出力することができる。いくつかの実施形態において、電界の実際の周波数は、周波数制御信号により修正される。それに応じて、直交復調器810の直交線形周波数範囲は、すべての信号成分が線形周波数範囲内にあるように拡大され得る。本明細書で説明したフィードバックループは、直交復調器810からの検出応答に基づいているが、システム800内の他のコンポーネントからの応答も用いられ得る。例えば、フィードバックループは、ローパスフィルタ814からのフィルタ応答を介して、信号プロセッサ816からの解析応答を介して、又は電界発生器804の出力から直接に確立することもできる。いくつかの実施形態において、フィードバックループは、システム800の1つよりも多いコンポーネントから信号を受信することができる。
【0065】
周波数制御信号は、有線媒体又は無線媒体を含む任意の適切な通信媒体を介して送信され得る。いくつかの実施形態において、周波数制御信号は、1つ又は複数のアナログ電気信号、デジタル電気信号、電気波形(例えば、パルス幅変調波形)などを含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、電界発生器804は、異なる機能をもつコンポーネントを含む。例えば、電界発生器804は、LCタンク発振器、バッファ、及びパワーコンディショニング要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、LCタンク発振器は、コルピッツ発振器又は任意の他の適切な発振器として構成され、バッファは、直交復調器810との望ましくない相互作用からLCタンク発振器を保護するユニティゲインデバイスであり、パワーコンディショニング要素は、LCタンク発振器とバッファのための安定した電力値を保証する。コルピッツ発振器は、電界発生器804のチューナ820とすることができる。動作時に、コントローラ808は、直交変調器810に入る信号が直交復調器810の線形周波数範囲の線形限界内に常にあるようにコルピッツ発振器のインダクタ(L)及び/又はキャパシタ(C)の値を調節するべく周波数制御信号を送信し得る。異なるタイプの可変インダクタ又はキャパシタがコルピッツ発振器に用いられ得る。いくつかの実施形態において、L及びCの値は、L及びCの固定値を電気的に敏感な誘導性コンポーネント及び/又は容量性コンポーネントのうちの1つ又は複数と組み合わせることによって調節することができる。したがって、電気的に敏感な誘導性コンポーネント又は容量性コンポーネントのうちの少なくとも1つの電気の流れを変えることによって、コントローラ808は、L又はCの値を効果的に変化させ、したがって、直交変調器810に入る信号を修正することができる。いくつかの実施形態において、電気の流れは、電源を手動で調節することによって制御される。いくつかの実施形態において、電気の流れは、電圧回路によって自動的に制御することができる。
【0067】
図9は、本発明の特定の実施形態に係るコルピッツ発振器900を例示する。コルピッツ発振器900は、2つの主要なコンポーネント、すなわち、増幅器904と、共振タンク回路906を含む。コルピッツ発振器は、固定周波数で信号を出力する能力で知られている。特定の実施形態によれば、コルピッツ発振器900は、小さな入力、普通はランダムノイズが増幅器904によって受信されるときに初期化される。増幅器904は、最初の小さな入力の大きさを増加させ、増幅された信号を、誘導性要素908及び容量性要素910を含む共振タンク回路906に送信する。共振タンク回路910の入力及び出力は、信号が単一の周波数でのみ通過することを可能にするように構成される。したがって、増幅された信号は単一の周波数でのみ共振タンク回路906に出入りすることができる。次いで、共振タンク回路906の出力は、フィードバックループを介して増幅器904の入力にフィードバックされる。動作時に、フィードバックプロセスは、増幅器が共振タンク回路906での損失を克服するのに十分な利得を有する限り継続することになる。フィードバックプロセスにより、コルピッツ発振器は、固定周波数の信号を確実に出力することができる。
【0068】
特定の実施形態によれば、チューナとしてコルピッツ発振器を備えた電界発生器804は、コントローラ808からの周波数制御信号によって調整することができる。具体的には、ヘルツで測定される発振周波数は、
【数1】
で定義され、ここで、Lは、ヘンリーで測定される誘導性コンポーネントであり、Cは、ファラッドで測定される容量性コンポーネントである。
図9を参照すると、電界発生器804を調整するために、周波数制御信号は、共振タンク回路906の誘導性コンポーネント908及び容量性コンポーネント910の値を調節することになる。いくつかの実施形態において、誘導性コンポーネント及び容量性コンポーネントは、複数の構成要素と組み合わせることができる。例えば、誘導性コンポーネント908は、固定インダクタンスの単一のデバイスであり得るが、容量性コンポーネント910は、一方は固定値をもつデバイスであり、他方は可変キャパシタである、2つの別個のデバイスとして実装され得る。別の例として、容量性コンポーネント910は、固定キャパシタンスの単一のデバイスであってよく、誘導性コンポーネント908は、一方は固定値をもつデバイスであり、他方は可変インダクタである、2つの別個のデバイスとして実装され得る。いくつかの実施形態において、可変キャパシタは、電圧の印加によりキャパシタンスを変化させるダイオードの一種である、バラクタであり得る。しかしながら、電圧の印加によりキャパシタンスを変化させることができる他の可変キャパシタも本発明の範囲内にある。いくつかの実施形態において、可変インダクタは、微小電気機械システム(MEMS)可変インダクタであり得る。しかしながら、電圧の印加によりインダクタンスを変化させることができる他の可変インダクタも本発明の範囲内にある。
【0069】
前述のように、いくつかの実施形態において、システム800は、フィードバックループにより、発生した電界の周波数を自動的に調整することができる。例えば、コントローラ808は、直交復調器810から受信した電圧に基づいて周波数制御信号を送信し得る。他の実施形態では、コントローラ808は、ローパスフィルタ814、信号プロセッサ816、電界発生器801、及び/又はシステム800の他のコンポーネントから受信した1つ以上の電圧に基づいて周波数制御信号を送信し得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、コントローラ808は、直交復調器810、ローパスフィルタ814、信号プロセッサ816、又はシステム800の他のコンポーネントから応答を受信することなく、電界発生器804を調整することができる。オペレータは、システム800内の任意のコンポーネントからのデータの自分の観察に基づいてLCタンク発振器を調整するべくコントローラのノブを手動で調節することができる。他の手動調節技術及び機構も本発明の範囲内にある。
【0071】
いくつかの実施形態において、コントローラ808は、LCタンク発振器に起因しない周波数の他の変化を判定するべく直交変調器810からの検出応答をサンプリングすることができる。これに関して、コントローラ808は、LCタンク発振器の可変コンポーネントを一定にホールドすることができ、他の周波数変化変数を検出するためのモニタリングシステムとして作用する。例えば、コントローラ808は、外部センサデバイス802に起因する周波数変化を拾うことができる。いくつかの実施形態において、モニタリングされた情報は、解析のために又は外部ディスプレイに出力するために信号プロセッサ816に直接供給することができる。
【0072】
図10は、本開示の特定の実施形態に係る、ボディの変化を検出及び解析するプロセス1000を例示するフローチャートである。プロセス1000は、
図8に示されたシステム800に関連して例示される。いくつかの実施形態において、プロセス1000は、例えば、ステップを再構成、変更、追加、及び/又は削除することによって修正することができる。
【0073】
ステップ1002で、ボディに関連する電界を発生させる。ボディは、ボディ全体である必要はなく、ボディの特定の部分である可能性がある。いくつかの実施形態において、電界は、所望の検出領域に作用する電界を生じる電界発生器804を使用することによって発生する。次いで、プロセス1000は、ステップ1004に進む。
【0074】
ステップ1004で、ステップ1002で発生した電界内のボディの物理的変化を検出する。いくつかの実施形態において、ボディの周囲及び内部の領域をモニタリングするために外部センサデバイス802が用いられる。外部センサデバイス802は、当該ボディと物理的に接触する必要はない。次いで、プロセス1000は、ステップ1006に進む。
【0075】
ステップ1006で、電界の周波数の変化を検出及びモニタリングし、検出応答を生成する。いくつかの実施形態において、電界の周波数変化をモニタリング及び検出するために直交変調器806が用いられる。
図8を参照すると、いくつかの実施形態において、周波数の変化は、直交復調器806の伝達関数に反映され、伝達関数は、電界発生器804からの電圧出力と入力信号の周波数との間の関係性を示す。いくつかの実施形態において、検出応答は、その後、さらなる解析又は処理のために1つ又は複数の他のコンポーネントに送信される。いくつかの実施形態において、検出応答は、
図8に示されていないコンポーネントに送信される。いくつかの実施形態において、検出応答は、コントローラ808に送信される。いくつかの実施形態において、検出応答は、コントローラ808に渡される前に、最初にローパスフィルタ814などの別のコンポーネントに送信される。次いで、プロセス1000は、ステップ1008に進む。
【0076】
ステップ1008で、電界の周波数を修正するためのコンポーネントに周波数制御信号を出力する。いくつかの実施形態において、周波数制御信号を出力するためにコントローラ808の調節器818が用いられる。そして、周波数制御信号を受信するために電界発生器804が用いられる。
図8に戻って参照すると、いくつかの実施形態において、コントローラ808の出力は電界発生器804の入力に直接供給されるが、他の通信経路も可能である。例えば、周波数制御信号は、電界発生器804に到達する前に、
図8に示されていない別のコンポーネントにルーティングすることができる。いくつかの実施形態において、周波数制御信号は、電界発生器804のチューナ820によって受信される。いくつかの実施形態において、周波数制御信号は、電界発生器804内の別のコンポーネント又は回路(
図8には示されていない)によって受信される。次いで、プロセス1000は、ステップ1010に進む。
【0077】
ステップ1010で、周波数制御信号に基づいて、電界発生器によって発生した電界を修正する。いくつかの実施形態において、修正される電界は、ステップ1002で発生した電界である。いくつかの実施形態において、修正される電界は、ステップ1002の後に発生した別の電界である。特定の実施形態によれば、チューナ820は、周波数制御信号に基づいて電界を修正する。いくつかの実施形態において、電界発生器内の他のコンポーネント又は回路(図示せず)が、周波数制御信号に基づいて電界を修正することができる。いくつかの実施形態において、システム800に必須ではない他のコンポーネントが、周波数制御信号を受信し、適宜電界を修正することができる。いくつかの実施形態において、プロセス1000は、ステップ1010で終了する。いくつかの実施形態において、システム800は、適切な調節を達成するためにプロセス1000を複数回繰り返す。
【0078】
以下の適用及び/又は方法は、開示される主題を適用する限定ではない例である。
【0079】
いくつかの実施形態において、センサでのアナログデータ削減の必要性を軽減するために、キャパシタの励起周波数の変化を遠隔的に感知することができる。
【0080】
いくつかの実施形態において、加圧「ドーナツ」を使用して或るボディ領域を孤立させ、次いで、加圧を解放し、結果としての血流の戻りをモニタリングすることによって、血圧を測定することができる。従来の手段は、四肢を包囲して動脈を閉塞し、圧力が解放されて動脈が開放するときの圧力をモニタリングする。開示される発明によれば、毛細血管(「ドーナツ」加圧領域内の)を閉塞し、次いで、再び開放するときの圧力をモニタリングすることによって、血流障害のあるボディ領域を判定することができる。この適用の簡略化は、病院/クリニックの待合室などでの着座状況に適用することもできる。
【0081】
いくつかの実施形態において、結合された信号から呼吸信号を差し引いて心拍信号を残すことができるように、心拍と呼吸の結合された時系列信号の繰り返しパターンを見つけるために、一次導関数を用いることができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、心拍信号を解析し、心臓プロセスの特性評価に関するイベントタイミング情報を抽出するために、エントロピー(H)の数学的概念を用いることができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、周波数組成が大きく変動する複雑な時系列データのあいまいさをなくすために、ウェーブレット解析を用いることができる。時間の経過とともに周波数が変化する信号は、高速フーリエ変換(FFT)などの従来のデジタル技術を用いる効果的な解析に抵抗する。ウェーブレットは、時系列データのスライディングウィンドウに適用可能なショートパターン相関の概念を提供し、これにより、第1の時系列内でテストパターン又は「ウェーブレット」が見つかる時間を示す、第2の相関時系列がもたらされる。
【0084】
いくつかの実施形態において、相関関数の電力レベルのピークサーチのために、低分解能FFTを用いることができる。次いで、このFFT電力解析は、相関カットオフレベルを設定する、したがって、FFTによって提供される電力レベルに基づいてより高分解能の相関周波数を決定するのに用いられる。FFTは、本質的に、特定の電力レベルを下回る相関を排除し、ゆえに、より強く相関した信号を残すことができる。これにより、FFTウィンドウの取得時間が顕著に増加した状態でFFTの分解能を増加させる必要なしに、周波数が比較的近いが電力が広く離れている低周波数信号を分離するべく電力レベルを相互に効率よく「正規化する」方法が提供される。
【0085】
いくつかの実施形態において、時系列データによって示される誘電率の変化の影響を処理するために、カルマンフィルタを用いることができ、この場合、カルマンフィルタは、高ダイナミックレンジのセンサからの変動が大きい信号を正規化する目的で使用可能な移動平均を維持する際に時系列の次の予測値を関連付けることになる。
【0086】
いくつかの実施形態において、ボディ又は物質の誘電率が温度と相関し得る場合に、ボディ又は物質の誘電率を測定することによってその温度の測定値を得ることができる。
【0087】
いくつかの実施形態において、ボディ、物質、及び/又は液体の誘電率が圧力と相関し得る場合に、ボディ、物質、及び/又は液体の誘電率を測定することによってその圧力の測定値を得ることができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、遠隔的な、非接触の、バイオメトリックセンサを使用して、個人の動き、心拍特徴、及び呼吸を解析することによって、個人のストレスレベルを判定することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、食品の品質を食品アイテムの測定された誘電率と相関させることによって、食品加工及び取扱作業での食品の品質をモニタリングすることができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、流体(例えば、塗料、血液、試薬、石油製品)の特徴(例えば、乱流、流れ、密度、温度)を流体の客観的特徴と相関させることによって、流体の特徴をモニタリングすることができる。
【0091】
いくつかの実施形態において、固体材料の空洞及び/又は不純物を見つけることができる。このような用途は、複合材料の層間剥離、建設材料の空隙、混入した汚染物質、及び/又は流体混合品質の検出などの分野で用いることができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、固体の物体内に閉じ込められた密輸品を見つけることができる。
【0093】
いくつかの実施形態において、ベビーベッド、ベビーカー、及び/又はチャイルドシートの中の乳児の生命兆候をモニタリングすることができる。
【0094】
いくつかの実施形態において、乗客の安全性を高める、エアバッグを展開する、及び/又は乳児が置き去りにされるのを防ぐ目的で、自動車内の存在及び生命兆候を検出することができる。
【0095】
いくつかの実施形態において、心拍変動、いくつかの実施形態では頭が舟を漕ぐ動きなどのジェスチャを使用することによって、運転者の意識状態を検出することができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、無許可の場所での生命兆候(例えば、密輸及び/又は不法取引)を発見することができる。
【0097】
いくつかの実施形態において、厚さの変動、混合不良、及び/又は不純物の混入などを検出することによって、ガラス製造の品質を評価することができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、地下/地中のテクスチャ及びインフラストラクチャ(パイプなど)の性質を評価することができる。
【0099】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示された外部センサデバイスは、センサの「融合」を用いて強化されたセンサ用途を提供するべく他のセンサ(例えば、カメラ、反響定位、圧力/重量/加速度計)と組み合わせることができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、特定のボディの状態を検出することができる。ボディの状態としては、心肺機能、肺水分量、血流と機能、大腸及び小腸の状態とプロセス、膀胱の状態(満杯/空)とプロセス(溜まる/空になる速度)、浮腫及び関連する体液の状態、骨密度測定、及び任意の他の適切な状態又は状態の組み合わせに関係するボディの状態が挙げられる。
【0101】
開示される主題は、その適用において、以下の説明に記載された又は図面に示されたコンポーネントの構成及び配置の詳細に限定されないことが理解される。開示される主題は、いくつかの実施形態が可能であり、様々な方法で実施及び実行することができる。また、本明細書で使用される専門語及び用語は、説明するためのものであって、限定するものとしてみなされるべきではないことが理解される。
【0102】
したがって、本開示の基礎となる概念は、開示された主題のいくつかの目的を果たすための他の構造、システム、方法、及び媒体の設計の基礎として容易に用いることができることが当業者には分かるであろう。
【0103】
開示された主題は、上記の例示的な実施形態で説明及び例示されてきたが、本開示は単なる例としてなされており、開示された主題の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された主題の実装の詳細に数多くの変更が加えられ得ることが理解される。