(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】廃棄物処理装置、請求金額算出方法、プログラム、及び、廃棄物処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20231115BHJP
【FI】
G06Q30/02
(21)【出願番号】P 2023137633
(22)【出願日】2023-08-25
【審査請求日】2023-08-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501363095
【氏名又は名称】株式会社サニコン
(73)【特許権者】
【識別番号】523323871
【氏名又は名称】松本 利彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158366
【氏名又は名称】井戸 篤史
(72)【発明者】
【氏名】松岡 誠司
(72)【発明者】
【氏名】松本 利彦
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-187161(JP,A)
【文献】特許第2901951(JP,B2)
【文献】特開平08-131994(JP,A)
【文献】特開2005-185880(JP,A)
【文献】特開2021-159804(JP,A)
【文献】特開2001-321760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を収容して減量する処理容器と、
前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る重量測定部と、
所定期間内の前記測定値の減少度から
、廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、を備え、
前記請求金額算出部は、前記使用者が前記廃棄物処理装置を使用する時間のうち、前記測定値が連続的に減少する時間に、予め設定された単価を乗じた金額を、前記請求金額として算出する、
廃棄物処理装置。
【請求項2】
時間当たりの測定値の減少度に応じた複数の単価が予め設定され、
前記請求金額算出部は、時間当たりの測定値の減少度を基に前記複数の単価から一の単価を選択し、請求金額を算出する、
請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
廃棄物を収容して減量する処理容器と、
前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る重量測定部と、
所定期間内の前記測定値の減少度から
、廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、
前記使用者が前記所定期間内に前記廃棄物処理装置を使用する上で生じた経費を算出する経費算出部と、
前記使用者に対して前記請求金額及び前記経費を提示する金額提示部と、を備える、
廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記経費は、電気代及び/又は水道代である、請求項3に記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
微生物の発酵により、収容された廃棄物を減量する廃棄物処理装置であって、
廃棄物を収容して減量する処理容器と、
前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る重量測定部と、
所定期間内の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、
前記処理容器に水を供給する水供給部と、を備える、
廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記処理容器に収容された廃棄物の含水率を測定する含水率測定部をさらに備え、
前記水供給部は、前記含水率に応じた量の水を供給する、
請求項5に記載の廃棄物処理装置。
【請求項7】
廃棄物を収容して減量する処理容器を備える廃棄物処理装置の、所定期間内の使用に対する請求金額算出方法であって、
前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る、重量測定ステップと、
所定期間内の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出ステップと、を含み、
前記請求金額算出ステップは、前記使用者が前記廃棄物処理装置を使用する時間のうち、前記測定値が連続的に減少する時間に、予め設定された単価を乗じた金額を、前記請求金額として算出する、
コンピュータを用いて実行する請求金額算出方法。
【請求項8】
廃棄物を収容して減量する処理容器を備える廃棄物処理装置の、所定期間内の使用に対する請求金額算出方法であって、
前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る、重量測定ステップと、
所定期間内の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出ステップと、
前記使用者が廃棄物処理装置を使用する上で生じた経費を算出する経費算出ステップと、
前記使用者に対して前記請求金額及び前記経費を提示する金額提示ステップと、を含む、
コンピュータを用いて実行する請求金額算出方法。
【請求項9】
廃棄物を収容して減量する処理容器を備える廃棄物処理装置の、所定期間内の使用に対する請求金額算出方法であって、
前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る、重量測定ステップと、
所定期間内の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出ステップと、を含み、
前記廃棄物処理装置は、微生物の発酵により、収容された廃棄物を減量する廃棄物処理装置であり、前記処理容器に水を供給する水供給部をさらに備える、
コンピュータを用いて実行する請求金額算出方法。
【請求項10】
請求項7~9いずれか一項に記載の請求金額算出方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
廃棄物処理装置とサーバとを備える廃棄物処理システムであって、
前記廃棄物処理装置は、
廃棄物を収容して減量する処理容器と、
前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る、重量測定部と、を備え、
前記サーバは、
前記測定値を受付ける測定値受付部と、
所定期間内の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、を備え、
前記請求金額算出部は、前記使用者が前記廃棄物処理装置を使用する時間のうち、前記測定値が連続的に減少する時間に、予め設定された単価を乗じた金額を、前記請求金額として算出する、
廃棄物処理システム。
【請求項12】
廃棄物処理装置とサーバとを備える廃棄物処理システムであって、
前記廃棄物処理装置は、
廃棄物を収容して減量する処理容器と、
前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る、重量測定部と、を備え、
前記サーバは、
前記測定値を受付ける測定値受付部と、
所定期間内の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、
前記使用者が前記所定期間内に前記廃棄物処理装置を使用する上で生じた経費を算出する経費算出部と、
前記使用者に対して前記請求金額及び前記経費を提示する金額提示部と、を備える、
廃棄物処理システム。
【請求項13】
廃棄物処理装置とサーバとを備える廃棄物処理システムであって、
前記廃棄物処理装置は、微生物の発酵により、収容された廃棄物を減量する廃棄物処理装置であり、
廃棄物を収容して減量する処理容器と、
前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る、重量測定部と、
前記処理容器に水を供給する水供給部と、を備え、
前記サーバは、
前記測定値を受付ける測定値受付部と、
所定期間内の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、を備える、
廃棄物処理システム。
【請求項14】
前記サーバが、前記請求金額に対する前記使用者の決済処理を行う決済処理部をさらに備える、
請求項11~13いずれか一項に記載の廃棄物処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理装置、廃棄物処理装置の所定期間内の使用に対する請求金額算出方法、プログラム、及び、廃棄物処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処理装置や廃棄物処理システムの使用料の算出に特徴のある技術として、被処理物の総重量をユーザ毎に算出し、総重量に基づいてユーザ毎に課金する管理装置を含む、課金システム(特許文献1参照)、含水性の廃棄物を処理するシステムにおいて、残渣回収量に応じて請求金額を算出し課金するシステム(特許文献2参照)、生ゴミ投入量データに応じた支払料金が生ゴミ単価データに基づいて算出されるゴミ処理システム(特許文献3参照)、処理装置への原料投入料をカウントし、原料投入量から処理物の買取量を差し引いて使用料を算出する産業廃棄物処理装置のレンタル方式(特許文献4参照)、使用者毎に集計管理された生ごみの投入量に基づき生ごみ液状化装置の利用に対する課金若しくは対価の支払いを行う、生ごみ液状化装置の管理方法(特許文献5参照)、共同使用する有機廃棄物の処理システムにおいて、使用者の使用頻度や投入廃棄物量に対応した経費負担の課金を行う廃棄物処理システム(特許文献6参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-007903号
【文献】特開2004-355323号
【文献】特開2003-290739号
【文献】特開2003-187161号
【文献】特開2001-348103号
【文献】特開2001-276796号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃棄物処理装置の使用の対価を算定する上で、廃棄物処理装置への廃棄物投入量や、投入頻度を基にする技術が知られている。一方で、廃棄物の種類によっては、装置内で処理できない廃棄物も存在する。かかる場合に、投入量や投入頻度を基に金額を算出すると、処理できていない廃棄物に対しても課金されることとなり、使用者の不満が生ずる恐れがある。
【0005】
また、微生物の発酵により、廃棄物を減量する廃棄物処理装置では、微生物発酵のために廃棄物の含水率を高める必要があるが、注水による重量増加と、廃棄物の投入による重量増加を区別することが困難である。処理容器の重量増加は、必ずしも投入廃棄物量を反映しないため、重量増加量を基に使用料を算出することは適切ではない場合もある。
【0006】
特許文献4には、原料投入量から処理物の買取量を差し引いて使用料を算出する発明が記載されている。当該発明は、処理物をユーザから買い取ることで使用料を値引きするために買取量を原料投入量から差し引くものであり、使用料は原料投入量を基に算出されているのであって、処理された廃棄物の重量を基に使用料を算出してはいない。
【0007】
本発明が解決すべき課題は、使用者に対し、所定期間の使用の対価の支払いを求める廃棄物処理装置を提供することであり、且つ、使用者が納得し易い、適正な対価を算出することができる廃棄物処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、使用者に対し所定期間内の使用の対価を算出する廃棄物処理装置であり、廃棄物を収容して減量する処理容器と、前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る重量測定部と、所定期間の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、を備える。
【0009】
さらに、別の本発明は、単価が予め設定され、前記請求金額算出部は、前記使用者が前記廃棄物処理装置を使用する時間のうち、前記測定値が連続的に減少する時間に前記単価を乗じた金額を、請求金額として算出する、廃棄物処理装置である。
【0010】
さらに、別の本発明は、時間当たりの測定値の減少度に応じた複数の単価が予め設定され、前記請求金額算出部は、時間当たりの測定値の減少度を基に前記複数の単価から一の単価を選択し、請求金額を算出する、廃棄物処理装置である。
【0011】
さらに、別の本発明は、前記使用者が前記廃棄物処理装置を使用する上で生じた経費を算出する、経費算出部と、前記使用者に対して、前記請求金額及び前記経費を提示する金額提示部と、をさらに備える、廃棄物処理装置である。前記経費は、電気代及び/又は水道代であり得る。
【0012】
さらに、別の本発明は、微生物の発酵により、収容された廃棄物を減量する廃棄物処理装置であって、前記処理容器に水を供給する水供給部をさらに備える、廃棄物処理装置である。前記処理容器に収容された廃棄物の含水率を測定する含水率測定部をさらに備え、前記水供給部は、前記含水率に応じた量の水を供給する、廃棄物処理装置であってもよい。
【0013】
本発明は、廃棄物を収容して減量する処理容器を備える廃棄物処理装置の、所定期間内の使用に対する請求金額算出方法であって、前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る、重量測定ステップと、所定期間内の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出ステップと、を含む、コンピュータを用いて実行する請求金額算出方法である。また、前記請求金額算出方法をコンピュータに実行させるプログラムでもある。
【0014】
本発明は、廃棄物処理装置とサーバとを備える廃棄物処理システムであって、前記廃棄物処理装置は、廃棄物を収容して減量する処理容器と、前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る、重量測定部と、を備え、前記サーバは、前記測定値を受付ける測定値受付部と、所定期間の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、を備える、廃棄物処理システムである。
【0015】
別の本発明は、前記サーバが、前記請求金額に対する前記使用者の決済処理を行う決済処理部をさらに備える、廃棄物処理システムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、使用者に対して廃棄物処理装置を設備として販売するのではなく、所定期間、例えば月毎に、廃棄物処理量に応じた使用料を請求するという、新たなビジネス方式の確立に寄与する。使用者は、所定期間の使用に対する対価を支払うことで、比較的安価な値段で、廃棄物処理装置を導入することができる。
【0017】
本発明によれば、収容した廃棄物の減少度に応じて所定期間内の使用の対価を算出するため、使用者が納得し易い、適正な請求金額とすることができる。また、予め時間単価を設定することで、請求金額を明瞭且つ容易に算出することができる。
【0018】
また、減量しやすさ/減量しにくさは廃棄物の種類によって異なるが、時間当たりの減少度に応じて、予め複数の単価を設定しておくことで、より適正な請求金額とすることができる。例えば、廃棄物の重量の減少度が高い場合には時間単価を高く、減少度が低い場合には時間単価を安く設定することで、廃棄物処理装置の処理実績に応じた請求金額とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】廃棄物処理装置の一態様を示す模式図である。
【
図2】廃棄物処理システムの一態様を示す模式図である。
【
図3】実施例による請求金額算出方法を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、廃棄物処理装置であって、廃棄物を収容して減量する処理容器と、前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る重量測定部と、前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、を備える、廃棄物処理装置である。さらに、廃棄物処理装置の所定期間内の使用に対する請求金額算出方法、当該方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び廃棄物処理システムを提供する。以下、本発明を、実施形態に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明の一実施形態である廃棄物処理装置10は、微生物の発酵により、有機廃棄物を減量する廃棄物処理装置である。別の実施形態の廃棄物処理装置は、廃棄物中の水分を乾燥させるものや、廃棄物を炭化させるものであってもよい。本発明の廃棄物処理装置は、収容した廃棄物の減量を目的とするものであれば、いずれの廃棄物処理方式も、任意に選択可能である。
【0022】
図1に、廃棄物処理装置10の模式的な断面図を示す。廃棄物処理装置10は、廃棄物処理装置本体11と、ネットワーク24を介して本体11と接続されたサーバ26を備える。廃棄物処理装置本体11は、廃棄物を収容して減量する処理容器12、及び、処理容器の重量を連続的且つ経時的に測定して測定値を得る重量測定部14を備える。廃棄物処理装置本体11は、処理容器12内で、微生物の発酵を促進するため、廃棄物を一定の含水率に保つために処理容器12に収容された廃棄物に対して水を供給する水供給部16、廃棄物を撹拌して略均質化し、且つ発酵に必要な酸素を供給する撹拌羽18を処理容器12内部に備える。さらに、廃棄物処理装置本体11は、処理容器12内部の温度を、微生物の発酵に適した温度に維持する温度調整部20を備える。
【0023】
使用者は、廃棄物処理装置本体11の廃棄物投入口22から、廃棄物を処理容器12内に投入する。含水率測定部(図示しない)は、投入された廃棄物の含水率を測定する。廃棄物の含水率が、予め設定された含水率よりも低い場合には、設定された含水率になるように、水供給部16から処理容器12に対して水を供給する。また、別の実施態様では、水供給部16は、使用者の操作により、処理容器12に対して水を供給するものであってもよい。
【0024】
重量測定部14は、連続的に処理容器12の重量を測定することで、処理容器12の重量がリアルタイムでモニタリングされる。重量測定部14で得られた測定値は、ネットワーク24を介して接続されたサーバ26により、廃棄物処理装置本体11から、管理者端末及び/又は使用者端末に送信されてもよく、廃棄物処理装置本体11上のディスプレイ(図示しない)においてリアルタイムに表示されてもよい。
【0025】
重量測定部14では、少なくとも、処理容器12の重量測定値及び当該測定値を得た時間に関する情報が得られる。これらの情報は、廃棄物処理装置10本体の外部に備えられ、ネットワーク24を介して廃棄物処理装置本体11と接続されたサーバ26の記憶部32に記憶される。
【0026】
サーバ26は、通信部28、制御部30、及び記憶部32を備え、請求金額算出部として機能する。ここで、請求金額算出部は、所定期間内の測定値の減少度から、当該所定期間の使用の対価である請求金額を算出する。例えば、一実施形態では、所定期間内の測定値の減少度を合算して得られた数値に、単位減少度当たりの単価を乗じた金額を請求金額としてもよい。
【0027】
別の実施形態では、請求金額算出部は、時間単価が予め設定され、記憶部32に記憶される。請求金額算出部は、測定値が減少状態にある時間を算出し、当該時間に時間単価を乗じた金額を請求金額とする。具体的には、測定値の時間微分値が負である時間を、測定値が減少状態にある時間としてカウントし、カウントされた時間数に、時間単価を乗じた金額を請求金額とする。
【0028】
さらに別の実施形態では、単位時間当たりの測定値の減少度に応じた複数の単価が予め設定され、記憶部32に記憶される。請求金額算出部は、時間当たりの測定値の減少度から、当該時間に乗ずるべき単価を、複数の単価から選択して請求金額を算出する。例えば、測定値の時間微分値を算出し、時間微分値を基に単価を選択し、時間数に単価を乗ずる。各時間単価に、その単価を適用した時間数を乗じた金額の合計値を請求金額とする。測定値の時間微分値の絶対値が大きいほど時間単価を高く設定し、絶対値が小さいほど時間単価を低く設定してもよい。このように設定すれば、廃棄物処理装置10の実際の廃棄物処理量に応じた請求金額が、明瞭且つ容易に算出されるためである。
【0029】
また、廃棄物処理装置10は、経費算出部と金額提示部とをさらに備える。経費算出部は、使用者が廃棄物処理装置10を所定期間使用する上で生じた経費、具体的には光熱水費、さらに具体的には電気代及び/又は水道代を算出する。金額提示部は、請求金額算出部において算出された請求金額(所定期間の使用の対価)と併せて、経費算出部において算出された所定期間の経費を表示する。金額提示部は、廃棄物処理装置本体11上のディスプレイ(図示しない)であってもよいが、サーバ26から接続される使用者端末であってもよい。使用者は、金額提示部により、廃棄物処理装置10の使用に係る全ての出費を容易に把握することができる。
【0030】
本発明の別の実施形態は、廃棄物処理装置本体11と、サーバ26とを備える廃棄物処理システム40である。廃棄物処理システム30の模式図を
図2に示す。廃棄物処理装置10とサーバ26とはネットワーク24を介して接続され、さらに管理者端末34及び/又は使用者端末36が、ネットワーク24を介して、これらに接続され得る。
【0031】
重量測定部14で得られた測定値は、サーバ26に送信され、サーバ26の通信部28は、測定値を受付ける測定値受付部として機能し、記憶部32が測定値を記憶する。サーバ26の制御部30は、受け付けられた測定値を基に、測定値の減少度から使用者に対する請求金額を算出する。測定値や、算出された請求金額は、記憶部32に記憶されると共に、通信部28からネットワーク24を介して管理者端末34及び/又は使用者端末36に送信され、表示される。
【0032】
また、別の実施形態では、サーバ26は、請求金額に対する前記使用者の決済処理を行う決済処理部を備えていてもよい。決済処理部は、オンライン決済事業者の別のサーバと通信して、決済を行うものであってもよい。
【0033】
本発明は、コンピュータを用いて実行する請求金額算出方法、及び請求金額算出方法をコンピュータに実行させるプログラムをさらに提供する。本発明の別態様は、上述のプログラムを記憶した記憶媒体である。記憶媒体は、コンピュータで読み取り可能な有形記憶媒体であり得る。
【0034】
本発明のコンピュータを用いて実行する請求金額算出方法は、廃棄物を収容して減量する処理容器を備える廃棄物処理装置の、所定期間内の使用に対する請求金額算出方法であって、処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る、重量測定ステップと、所定期間内の測定値の減少度から、廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出ステップと、を含む。
【0035】
本発明の方法の一態様では、単価が予め設定され、請求金額算出ステップは、使用者が廃棄物処理装置を使用する時間のうち、測定値が連続的に減少する時間に単価を乗じた金額を、請求金額として算出する、請求金額算出ステップである。
【0036】
本発明の方法の別の態様では、単位時間当たりの測定値の減少度に応じた複数の単価が予め設定され、請求金額算出ステップは、所定の時間当たりの測定値の減少度を基に、当該時間の単価を選択し、請求金額を算出する、請求金額算出ステップである。
【0037】
本発明の方法の別の態様は、使用者が廃棄物処理装置を使用する上で生じた経費を算出する経費算出ステップと、使用者に対して、請求金額及び経費を提示する金額提示ステップと、をさらに含む。経費は、電気代及び/又は水道代であり得る。
【0038】
本発明の方法の別の態様は、廃棄物処理装置が、微生物の発酵により、収容された廃棄物を減量する廃棄物処理装置であって、処理容器に水を供給する水供給部をさらに備える。また、廃棄物処理装置は、処理容器に収容された廃棄物の含水率を測定する含水率測定部をさらに備え、含水率に応じた量の水を供給する水供給部であり得る。
【実施例】
【0039】
実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0040】
実施例の廃棄物処理装置を用いて、請求金額の算出を行った。実施例の廃棄物処理装置の処理容器の重量測定値の推移を
図3に示す。使用者は、Aに示すタイミングで1回目の廃棄物の投入を行った。投入直後から廃棄物の含水率を調整するために、水供給部から水が供給されたため、廃棄物の投入量を正確に把握することは困難であった。一方で、測定値が減少した時間は、aに示す時間であることが把握され、この間の減少度は1であった。aに示した期間経過後、重量測定値の変化が観察されなくなったため、Aで投入した廃棄物の処理が完了したと判断された。
【0041】
続いて、
図3のBに示すタイミングで2回目の廃棄物の投入が行われた。投入直後から廃棄物の含水率を調整するために、水供給部から水が供給されたため、廃棄物の投入量を正確に把握することは困難であった。測定値が現象した時間はbに示す時間であり、この間の減少度は2であった。bに示した期間経過後、重量測定値の変化が観察されなくなったため、Bで投入した廃棄物の処理が完了したと判断された。
【0042】
以上の重量測定値の減少度を基に、請求金額算出部は、以下の数式に基づいて、この期間の使用に対する請求金額を算出した。
【0043】
【符号の説明】
【0044】
10 廃棄物処理装置
11 廃棄物処理装置本体
12 処理容器
14 重量測定部
16 水供給部
18 撹拌羽
20 温度調整部
22 廃棄物投入口
24 ネットワーク
26 サーバ
28 通信部
30 制御部
32 記憶部
34 管理者端末
36 使用者端末
40 廃棄物処理システム
【要約】
【課題】 本発明が解決すべき課題は、使用者に対し、所定期間の使用の対価の支払いを求める廃棄物処理装置を提供することであり、且つ、使用者が納得し易い、適正な対価を算出することができる廃棄物処理装置を提供することである。
【解決手段】 廃棄物処理装置であって、廃棄物を収容して減量する処理容器と、前記処理容器の重量を連続的に測定して測定値を得る重量測定部と、所定期間内の前記測定値の減少度から、前記廃棄物処理装置の使用者に対する請求金額を算出する請求金額算出部と、を備える、廃棄物処理装置を提供する。
【選択図】
図1