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  • 特許-取水装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】取水装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/00 20060101AFI20231115BHJP
   E02B 13/02 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
A01G25/00 501B
E02B13/02 B
A01G25/00 501E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020055939
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021153450
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】512198785
【氏名又は名称】株式会社エイブルコンピュータ
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】上野 直人
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-131332(JP,U)
【文献】特開2005-113549(JP,A)
【文献】特開平11-332399(JP,A)
【文献】実開昭60-172845(JP,U)
【文献】特開平08-037950(JP,A)
【文献】特開平11-113431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
E02B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状である止水材と
前記止水材に設けられ、当該止水材を吊下げた状態で保持する吊下げ部材と、
水田の水面位置を検知するフロートと、
前記フロートにより検知した水面位置が所定の水位に達した場合に、前記吊下げ部材を押圧する押圧部材と
を有し、
前記止水材は、前記押圧部材により前記吊下げ部材を押圧することで、吊下がり状態から鉛直方向下方に落下して用水を取水する取水口を閉鎖する
取水装置。
【請求項2】
前記吊下げ部材は、
前記止水材に設けられ、既定の軸を中心として回動するハンドル部と、
前記止水材に設けられ、既定の軸を中心として前記ハンドル部と共に回動する留め具と
を含み、
吊下げた前記止水材が用水を取水する取水口より上方に位置するよう、前記止水材を吊下げる位置に設けた突起部
をさらに有し、
前記押圧部材は、前記突起部の上に前記留め具を載置して前記止水材を吊下げた状態において、前記ハンドル部及び前記留め具の回動方向に当該ハンドル部を押圧し、
前記ハンドル部から当該ハンドル部の回動の中心となる軸までの距離は、前記留め具から当該留め具の回動の中心となる軸までの距離より長い
請求項1に記載の取水装置。
【請求項3】
前記ハンドル部及び前記留め具は、ワイヤーの両側を同じ方向に屈曲して一体に形成され、
前記ハンドル部及び前記留め具は、同じ軸を中心として回動し、
前記留め具は、前記ハンドル部、及び、回動の中心となる軸の間に位置している
請求項に記載の取水装置。
【請求項4】
前記フロートにより検知した水面位置に応じて、既定の軸を中心に回動するレバー
をさらに有し、
前記レバーは、前記ハンドル部及び前記留め具の回動方向と同じ方向に回動し、
前記押圧部材は、前記レバーに連結している
請求項1乃至に記載の取水装置。
【請求項5】
少なくとも取水口の閉鎖を完了したタイミングにおいて、前記止水材の有無を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果に基づいて、取水口の開閉状態を判定する制御部と、
前記制御部により判定された判定結果を送信する送信部と
をさらに有する
請求項1乃至に記載の取水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の目標水位で取水を自動停止する取水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械的作用のみを用い取水の制御に電力を必要としない取水装置についての発明はフロートの浮力を利用し、取水装置に設置された弁あるいはシャッターを閉め取水を停止するよう構成されている。例えば、特許文献1、及び、特許文献2には、いずれもフロートの浮力の力の方向を上下逆にすることで弁を動作させ、取水停止のみでなく、取水開始も、自動化する装置が開示されている。また、特許文献3には、上部位置に支持されたシャッターのロックをフロートの浮力を利用して解除するよう構成した、取水の停止のみを実現する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-167173号公報
【文献】特開2013-123434号公報
【文献】特開2005-113549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1あるいは特許文献2に開示された装置によれば、フロートと弁が連動するため、取水の停止のみならず取水の開始も水位の変化に対応して実現される。しかし、逆に水位が低下した場合に用水が水田に流入してしまう可能性があるため、適切でない時間帯に用水が導入されてしまう。一方で、特許文献3に開示された装置は、フロートの浮力を伝達する部材とシャッターが直結されていないため、水位が下がっても勝手に取水されることがない。しかし、取水状態になるようシャッターを上部位置に支持するためのロック部材にシャッターの重量が直接負荷されており、ロックを解除しシャッターを落下させるためには、シャッターからロック部材を引き抜くときに生じる摩擦力を上回る浮力が必要となる。浮力を大きくするためには、フロートを大きくしなければならないため、結果的に装置全体が大きくなってしまう。
【0005】
また、特許文献1、及び、特許文献2に開示された装置は、装置全体が大きく、これを設置した場合、水田側への装置が大きく張り出す。水田では、トラクターなどの農業機械を用いた作業が行われるため、装置が張り出していると、これと接触して装置が破壊してしまいやすい。このため、できるだけ水田側に張り出さないようコンパクトな装置であることが望ましい。また、コンパクトにするためには、動作を実現するための構成も簡易にすることが必要となる。
【0006】
そこで、本発明は、簡易な構成であり、かつ、コンパクトである取水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る取水装置は、板状である止水材と、前記止水材に設けられ、既定の軸を中心として回動するハンドル部と、前記止水材に設けられ、既定の軸を中心として前記ハンドル部と共に回動する留め具と、吊下げた前記止水材が用水を取水する取水口より上方に位置するよう、前記止水材を吊下げる位置に設けた突起部と、前記ハンドル部及び前記留め具の回動方向に、前記ハンドル部を押圧する押圧部材とを有し、前記押圧部材は、前記突起部の上に前記留め具を載置して前記止水材を吊下げた状態において、前記ハンドル部を押圧し、前記ハンドル部から当該ハンドル部の回動の中心となる軸までの距離は、前記留め具から当該留め具の回動の中心となる軸までの距離より長い。
【0008】
好適には、前記ハンドル部及び前記留め具は、ワイヤーの両側を同じ方向に屈曲して一体に形成され、前記ハンドル部及び前記留め具は、同じ軸を中心として回動し、前記留め具は、前記ハンドル部、及び、回動の中心となる軸の間に位置している。
【0009】
好適には、水田の水面位置を検知するフロートと、前記フロートにより検知した水面位置に応じて、既定の軸を中心に回動するレバーとをさらに有し、前記レバーは、前記ハンドル部及び前記留め具の回動方向と同じ方向に回動し、前記押圧部材は、前記レバーに連結し、前記フロートにより検知した水面位置が所定の水位に達した場合に、前記押圧部材は、前記ハンドル部を押圧する。
【0010】
好適には、少なくとも取水口の閉鎖を完了したタイミングにおいて、前記止水材の有無を検知する検知部と、前記検知部による検知結果に基づいて、取水口の開閉状態を判定する制御部と、前記制御部により判定された判定結果を送信する送信部とをさらに有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成であり、かつ、コンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】用水側から見た取水装置1の外観斜視図である。
図2】水田側から見た取水装置1の外観斜視図である。
図3】状態検知ユニット40の機能構成図である。
図4】実施形態の取水装置1における変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明がなされた背景を説明する。
水田の水管理はコメの生産量や質を決定する重要な作業の1つであり、かつ栽培期間中ほぼ毎日行う必要がある。水田の取水は水田付近に設置された用水路から供給するのが一般的である。用水路の多くは河川から幾度も分岐した開水路であるため、水量や水圧は時間的空間的に一定でなく、また、水田の大きさや取水口の位置といった各水田の特性も異なるため、取水開始後、目標の水位に達するまでの時間が定かでない。このため、取水を停止すべく再度作業者が対象の水田に訪れたとき、目標の水位に達していなかったり、逆に必要以上に水位が高くなっていたりする。水位が低すぎても高すぎても稲の生長上の望ましくない。また、取水した水の多くが排水口から排出される場合、水田の土壌や養分を流出させてしまう場合があるうえ、排出された水は排水路に流下してしまうため、農業用水が無駄になってしまう。
【0014】
また、水田への取水は、一般的に夕方以降の夜間か夜明け前に行われる。このため、作業者に一般的な業務時間外の労働を強いる。また、毎日行う作業であるため、作業者は休日でも当該作業を行う必要がある。このような状況は、農業に従事する作業者に不満を生じさせ、農業の労働力確保を妨げる一因となっている。
【0015】
適切な水管理を行うとともに作業を軽減するため、これまでも、水田に設置する全自動(取水の開始と停止を行う)あるいは半自動(取水の停止だけを行う)の取水装置が考案されている。これまでに考案された水田の取水装置の一部では、水門の開閉に電磁弁あるいはモーターを用いることが検討されてきた。しかし、取水装置を設置する水田が、居住地区に近く電力供給設備がある場合は限られており、むしろそうした利便性に乏しい場合にこそ自動化された取水装置が求められる。このため、電力を一切使わないか省電力の取水装置の開発が重要である。
【0016】
また、これに加え、取水装置を実際に野外に設置した場合、用水を流下してきたゴミや砂泥などにより弁あるいはシャッターの動作が妨げられる事象が生じやすい。このような事象が頻繁に生じる場合は、結局、取水停止が適切に実施されたか確認するため現地に赴かねばならず、自動装置の効果を著しく減じる。このため、弁あるいはシャッターの状態を遠隔地から確認する方策を講じることが求められる。
【0017】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、水田の水が目標の水位に達したときに、自動的に取水を停止し、しかも簡易な構成でかつコンパクトであり、取水の状態を遠隔監視できる。以下、このような本発明の実施形態による取水装置1を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、用水側から見た取水装置1の外観斜視図である。図1(A)及び図1(B)は、吐出口(23)を開鎖した状態の取水装置1であり、図1(C)は、吐出口(23)を閉鎖した状態の取水装置1である。
図2は、水田側から見た取水装置1の外観斜視図である。
図1及び図2に例示する取水装置1は、用水路の切欠き部に直接設置するかあるいは用水路から水田に向かって設置された導水管に接続される。なお、図1及び図2に例示した取水装置1は、-XからX方向に用水が導通するよう設置する。また、Z方向が天頂方向である。
図1(A)及び図1(B)に例示すように、取水装置1は、用水を導入あるいは遮断するため上下方向に可動する板状のシャッター(30)と、シャッター(30)を可動自在に支持する支持枠(20)と、支持枠(20)に設けられた突起部(24)にシャッター(30)の上部に設けられた留め具(31)とを有し、留め具(31)を突起部(24)に引掛けることにより、シャッター(30)を支持枠(20)の上部位置に固定できる。また、図1(C)に例示すように、取水装置1は、支持枠(20)に設けられ、シャッター(30)で吐出口(23)を閉鎖した状態で、シャッター(30)の上端部と隣接する位置に窓(25)を有する。窓(25)は、支持枠(20)を板厚方向に貫通して設けられている。
【0019】
シャッター(30)は、本発明に係る止水材の一例であり、留め具(31)を突起部(24)に引掛けることで、用水を取水する取水口である吐出口(23)より上方に吊下げて配置される。シャッター(30)は、留め具(31)を突起部(24)から取り外すことで自重により落下し、吐出口(23)を塞ぐ。
【0020】
留め具(31)及びハンドル部(32)は、ワイヤーの両側を同じ方向に屈曲してそれぞれ形成し、これらを連結し一体化した吊下げ部材である。本例では、シャッター(30)に取り付けた留め具(31)にハンドル部(32)を連結している。すなわち、留め具(31)及びハンドル部(32)は、同じ留め具支点(33)を中心として回動する。また、ハンドル部(32)と留め具支点(33)との間に、留め具(31)が位置している。また、ハンドル部(32)から留め具支点(33)までの距離は、留め具(31)から留め具支点(33)までの距離の距離より長いとも換言できる。
留め具(31)は、留め具支点(33)を中心として、ハンドル部(32)と共に回動する。また同様に、ハンドル部(32)は、留め具支点(33)を中心として、留め具(31)と共に回動する。
【0021】
突起部(24)は、支持枠(20)に設けられた突起であり、シャッター(30)が吐出口(23)より上方に位置するよう、シャッター(30)を吊下げる位置に設けられる。
【0022】
また、図2に例示したように、水田側において、取水装置1は、フロート(10)、駆動軸(12)、レバー(14)、従動軸(17)、状態検知ユニット(40)及び、管(50)を有する。
フロート(10)は、水田の水面位置を検知する浮きである。フロート(10)は、支持枠(20)の下端に位置し水位を検知する。フロート(10)は、稲の生育段階により適切な水田の水位が異なるため、高さ調整具(11)により駆動軸(12)に沿って、取付位置を変更できる。
駆動軸(12)は、フロート(10)の浮力によって鉛直方向上方に運動する棒材である。駆動軸(12)は、棒状であり、一方をフロート(10)と連結し、他方をレバー(14)と連結している。駆動軸(12)は、ガイド(13)及びフレーム(15)により、運動を上下方向に制限されている。
【0023】
レバー(14)は、フロート(10)により検知した水面位置に応じて、軸受け(16)に支持された軸に接続されており、軸を中心に回動する。レバー(14)は、駆動軸(12)に連結し鉛直方向の力を回転力に変換する。また、レバー(14)は、従動軸(17)に連結しレバー(14)の回転力を水平方向の力に変換する。レバー(14)は、ハンドル部(32)及び留め具(31)の回動方向と同じ方向に回動し、従動軸(17)にハンドル部(32)を押圧させる。
【0024】
従動軸(17)は、留め具(31)及びハンドル部(32)の回動方向に、ハンドル部(32)を押圧する押圧部材である。従動軸(17)は、レバー(14)に連結し、レバー(14)の回転力を水平方向の力に変換する。そして従動軸(17)は、突起部(24)の上に留め具(31)を載置してシャッター(30)を吊下げた状態において、ハンドル部(32)を押圧する。なお、従動軸(17)は、本発明に係る押圧部材の一例である。
【0025】
状態検知ユニット(40)は、窓(25)を設けた位置に設けられる。状態検知ユニット(40)は、支持枠(20)に可動自在に支持されたシャッター(30)の状態を特定し、特定されたシャッター(30)の状態を作業者の管理端末に通知する。なお、状態検知ユニット(40)の機能構成は後述する。
【0026】
管(50)は、吐出口(23)に連結して設けられ、エルボに短管を接続した管である。管(50)は、エルボに接続した短管に直管、又は、径違いソケットを用いることにより、用水の流入量を調節できる。
【0027】
図3は、状態検知ユニット40の機能構成図である。
図3に例示するように、状態検知ユニット(40)は、物体検知センサ(41)、制御部(42)、送信部(43)、電源回路部(44)、及び、電池部(45)を含む。
物体検知センサ(41)は、本発明に係る検知部の一例であり、窓(25)に挿設され、シャッター(30)の有無を検知する赤外線センサである。物体検知センサ(41)は、少なくとも吐出口(23)の閉鎖を完了したタイミングにおいて、窓(25)を通してシャッター(30)の有無を検知する。
【0028】
制御部(42)は、物体検知センサ(41)からの入力データを処理し、処理した入力データを送信部(43)に送信させる、マイコンである。制御部(42)は、物体検知センサ(41)により検知した検知結果に基づいて、吐出口(23)を閉鎖しているか否かを判定する。具体的には、物体検知センサ(41)がシャッター(30)を検知した場合、制御部(42)は、シャッター(30)が吐出口(23)を閉鎖していない状態、いわゆる吐出口(23)を開いた状態であると判定する。また、物体検知センサ(41)がシャッター(30)を検知しない場合、制御部(42)は、シャッター(30)が閉鎖した状態、いわゆる吐出口(23)を塞いだ状態であると判定する。制御部(42)は、判定結果を送信部(43)に通知する。
【0029】
送信部(43)は、制御部(42)により判定された判定結果を、シャッター(30)の状態変化時、あるいは、定期的に、作業者の管理端末に送信する、2.4GHz帯の省電力通信モジュールである。なお、送信形式の形態は、取水装置1の使用状況に応じて変更可能である。
電池部(45)は、物体検知センサ(41)、制御部(42)、及び、送信部(43)に必要な電力を供給する。本例の電池部(45)は、電源回路部(44)により、制御部(42)あるいは物体検知センサ(41)の駆動電圧に合わせ電力を供給する。電池部(45)は、物体検知センサ(41)として赤外線センサを用い、制御部(42)にマイコン、送信部(43)に2.4GHz帯の省電力通信モジュールを用いることにより、乾電池2本程度の電力でこれらを駆動できる。電池部(45)の形態は取水装置1の使用状況に応じて変更可能である。
【0030】
次に、図1を参照し、取水装置1による取水方法を説明する。
まず、取水を行う場合において、作業者は、図1(A)に例示したように、手動でシャッター(30)をひきあげ、留め具(31)を突起部(24)に引掛ける。これにより、吐出口(23)が解放され用水の取水が開始される。
【0031】
取水開始後、水田の水面位置が設定された水位に到達したとき、図1(B)に例示したように、フロート(10)の浮力により、駆動軸(12)が鉛直方向に上昇し、レバー(14)を回転させる。この回転力が従動軸(17)を水平方向に動かし、従動軸(17)がハンドル部(32)を押し出す。押し出されたハンドル部(32)と共に留め具(31)が留め具支点(33)を軸として回動する。回動する留め具(31)は、突起部(24)から離れることにより、シャッター(30)のロックを解除する。
【0032】
図1(C)に例示したように、ロックが解除されたシャッター(30)は、鉛直方向に自重で落下し、吐出口(23)を閉鎖する。これにより、吐出口(23)からの取水が停止する。
このように、シャッター(30)上部で支点となる軸受け(16)により支持され、従動軸(17)からの力を受けとり力点となるハンドル部(30)が押されることにより、留め具(32)において作用点となる突起部(24)との接触点を直接押すよりも小さな浮力で留め具を突起部(24)から外すことができるため、フロート(10)の小型化が可能となる。
【0033】
以上説明したように、実施形態における取水装置1は、取水の停止のための動力を浮力のみに依存することで、浮力の伝達の機構構成およびシャッターのロック解除の構成がシンプルとなる。さらに、ロック解除時にてこの原理を用いてシャッターをロックする留め具を押すことで、フロートを最小化してもロック解除することができる。すなわり、取水装置1全体をさらにコンパクト化することにより、水田側に突出しない構造とすることができる。さらに、シャッターの状態を状態検知ユニット40により判定し、その情報を送信することで遠隔監視が可能であり、現地に赴く頻度を減少させられる。
【0034】
次に、上記実施形態における変形例を説明する。
なお、変形例では、上記実施例と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図4は、実施形態の取水装置1における変形例を説明する図である。
上記実施例では、留め具(31)及びハンドル部(32)を連結し、これらの回動の中心となる軸を留め具支点(33)とする場合を具体例とするが、これに限定するものではなく、図4に例示するように、留め具(31)及びハンドル部(32)それぞれ別に回動の中心となる軸を設けてもよい。図4(A)に例示するように、ハンドル部(32)およびハンドル部(32)の回動の中心となる軸(ハンドル部支点35)の間に、留め具(31)および留め具支点(33)を設けてもよい。また、図4(B)に例示するように、ハンドル部(32)およびハンドル部支点(35)の間に留め具(31)が位置し、かつ、留め具支点(33)及びハンドル部支点(35)が同軸線上に設けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 取水装置
30 シャッター
20 支持枠
24 突起部
31 留め具
33 留め具支点
10 フロート
12 駆動軸
14 レバー
17 従動軸
40 状態検知ユニット
図1
図2
図3
図4