(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】炭酸飲料供給機構及び炭酸飲料供給システム
(51)【国際特許分類】
B67D 1/14 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
B67D1/14 A
(21)【出願番号】P 2019126788
(22)【出願日】2019-07-08
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000202062
【氏名又は名称】早川産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】山下 直之
(72)【発明者】
【氏名】早川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】芝本 雄一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼柳 康之
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-194393(JP,A)
【文献】特開2002-104594(JP,A)
【文献】実開昭50-136499(JP,U)
【文献】特開2017-100769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に設けられ、炭酸水を供給する炭酸水供給部と、
前記本体部に取り付けられたコーンであって、厚み方向に沿って延在し、前記炭酸水が通過する貫通孔を有するコーンと、
前記コーンに設けられるフィルタと、
を備え
、
前記コーンは、厚み方向に沿って配置された複数のコーン部材を有する炭酸飲料供給機構。
【請求項2】
本体部と、
前記本体部に設けられ、炭酸水を供給する炭酸水供給部と、
前記本体部に取り付けられたコーンであって、厚み方向に沿って延在し、前記炭酸水が通過する貫通孔を有するコーンと、
前記コーンの
下面に接触して設けられるフィルタと、
を備える炭酸飲料供給機構。
【請求項3】
本体部と、
前記本体部に設けられ、炭酸水を供給する炭酸水供給部と、
前記本体部に取り付けられたコーンであって、厚み方向に沿って延在し、前記炭酸水が通過する貫通孔を有するコーンと、
前記コーンに設けられるフィルタと、
を備え、
前記コーンは複数のコーン部材を有し、
前記コーン部材は、前記フィルタと接触する面において凹凸形状を
有する炭酸飲料供給機構。
【請求項4】
前記凹凸形状は、中心から半径方向に向かって直線状に延びる直線凹部と、前記直線凹部の間で円弧状に延びる円弧凹部とを有している請求項3に記載の炭酸飲料供給機構。
【請求項5】
前記コーンは、内コーンと、前記内コーンの周縁外方に設けられた外コーンとを有し、
前記内コーンの一方側又は他方側に前記フィルタが接触して設けられる請求項1
、3及び4のいずれか1項に記載の炭酸飲料供給機構。
【請求項6】
前記内コーンは前記コーン部材であり、
2つのコーン部材の間にフィルタが設けられる請求項5に記載の炭酸飲料供給機構。
【請求項7】
本体部と、
前記本体部に設けられ、炭酸水を供給する炭酸水供給部と、
前記本体部に取り付けられたコーンであって、厚み方向に沿って延在し、前記炭酸水が通過する貫通孔を有するコーンと、
前記コーンに設けられるフィルタと、
を備え、
前記コーンは、内コーンと、前記内コーンの周縁外方に設けられた外コーンとを有し、
前記内コーンの一方側又は他方側に前記フィルタが接触して設けられ、
前記外コーンの内周側にワッシャが設けられ、
前記ワッシャは前記内コーン又は前記フィルタの一方側の面に接触して設け
られる炭酸飲料供給機構。
【請求項8】
本体部と、
前記本体部に設けられ、炭酸水を供給する炭酸水供給部と、
前記本体部に取り付けられたコーンであって、厚み方向に沿って延在し、前記炭酸水が通過する貫通孔を有するコーンと、
前記コーンに設けられるフィルタと、
を備え、
前記コーンは、内コーンと、前記内コーンの周縁外方に設けられた外コーンとを有し、
前記内コーンの一方側又は他方側に前記フィルタが接触して設けられ、
前記外コーンは、一方側端部に内方突出部を有し、前記一方側端部と反対側の他方側端部に径方向に広がる拡張部を
有する炭酸飲料供給機構。
【請求項9】
前記フィルタはステンレス鋼からなるメッシュフィルタである請求項1
乃至8のいずれか1項に記載の炭酸飲料供給機構。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の炭酸飲料供給機構からなる第一炭酸飲料供給機構と、
前記第一炭酸飲料供給機で用いられている前記コーンとは異なるコーンを用いた第二炭酸飲料供給機構と、
を備えた炭酸飲料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸飲料供給部及びコーンを有する炭酸飲料供給機構及び炭酸飲料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、炭酸水を供給し、炭酸水に飲料原液を混ぜることで炭酸飲料を供給する炭酸飲料ディスペンサが知られており、炭酸飲料ディスペンサでは円筒状のコーンを利用することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
近年、ハイボール等が人気を集めており、高い炭酸ガス含有量の炭酸飲料を供給したいというニーズが高まっている。グラス等の容器に供給される炭酸水に含有される炭酸ガスの量は、水に炭酸ガスを溶かす際の濃度よりも、炭酸水の貯留されている炭酸水貯留部から炭酸水がグラスに供給されるまでの経路で炭酸ガスが如何に抜けないかが重要になっている。この点、特許文献1で開示されているような構成は、高い炭酸含有量の炭酸飲料を供給するという観点からは不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、簡易な構成で炭酸ガスの含有量を高めた炭酸飲料を供給できる炭酸飲料供給機構及び炭酸飲料供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による炭酸飲料供給機構は、
本体部と、
前記本体部に設けられ、炭酸水を供給する炭酸水供給部と、
前記本体部に取り付けられたコーンであって、厚み方向に沿って延在し、前記炭酸水が通過する貫通孔を有するコーンと、
前記コーンに設けられるフィルタと、
を備えてもよい。
【0007】
本発明による炭酸飲料供給機構において、
前記フィルタはステンレス鋼からなるメッシュフィルタであってもよい。
【0008】
本発明による炭酸飲料供給機構において、
前記コーンは複数のコーン部材を有し、
前記コーン部材は、前記フィルタと接触する面において凹凸形状を有してもよい。
【0009】
本発明による炭酸飲料供給機構において、
前記凹凸形状は、中心から半径方向に向かって直線状に延びる直線凹部と、前記直線凹部の間で円弧状に延びる円弧凹部とを有してもよい。
【0010】
本発明による炭酸飲料供給機構において、
前記コーンは、内コーンと、前記内コーンの周縁外方に設けられた外コーンとを有し、
前記内コーンの一方側又は他方側に前記フィルタが接触して設けられてもよい。
【0011】
本発明による炭酸飲料供給機構において、
前記コーンは複数のコーン部材を有し、
前記内コーンは前記コーン部材であり、
2つのコーン部材の間にフィルタが設けられてもよい。
【0012】
本発明による炭酸飲料供給機構において、
前記外コーンの内周側にワッシャが設けられ、
前記ワッシャは前記内コーン又は前記フィルタの一方側の面に接触して設けられてもよい。
【0013】
本発明による炭酸飲料供給機構において、
前記外コーンは、一方側端部に内方突出部を有し、前記一方側端部と反対側の他方側端部に径方向に広がる拡張部を有してもよい。
【0014】
本発明による炭酸飲料供給システムは、
前述した炭酸飲料供給機構からなる第一炭酸飲料供給機構と、
前記第一炭酸飲料供給機で用いられている前記コーンとは異なるコーンを用いた第二炭酸飲料供給機構と、
を備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明において、厚み方向に沿って延在し、炭酸水等の炭酸飲料が通過する貫通孔を有するコーンと、コーンに載置されたフィルタを採用した場合には、ガスボリュームロスを低減でき、高い炭酸濃度から炭酸飲料を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得る炭酸水供給機構の縦断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得る炭酸水供給機構の一部を断面で示した斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得る炭酸水供給機構の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得るコーンの縦断面を示した斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得るバルブを説明するための概略側方図であり、
図5(b)は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得るバルブを説明するための概略正面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得る炭酸水供給機構での炭酸水及び第一液体の流れを説明するための斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得るコーン部材の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得る炭酸水供給機構の上流側に設けられる炭酸水貯留部、第一液体貯留部等を示した概略図である。
【
図9】
図9(a)は本発明の第1の実施の形態で用いられ得るコーンの変形例を示す概略縦断面図であり、
図9(b)は本発明の第1の実施の形態で用いられ得るコーンの別の変形例を示す概略縦断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施の形態で用いられ得るコーン部材(コーン)、フィルタ及びワッシャを示した斜視図である。
【
図11】
図11(a)は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得る2つのコーン部材を有するコーンの概略縦断面図であり、
図11(b)は、コーン部材の周縁に凸部が設けられた態様を示したコーンの概略縦断面図である。
【
図12】
図12(a)は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得る3つのコーン部材を有するコーンの概略縦断面図であり、
図12(b)は、コーン部材の周縁に凸部が設けられた態様を示したコーンの概略縦断面図である。
【
図13】
図13(a)は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得る2つのコーン部材を有するコーンの概略縦断面図であって、
図11及び
図12とは異なる態様を示した概略縦断面図であり、
図13(b)は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得る3つのコーン部材を有するコーンの概略縦断面図であって、
図11及び
図12とは異なる態様を示した概略縦断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得るコーンの変形例を示す概略縦断面図である。
【
図15】
図15は、貫通孔の位置がずれた態様において、2つのコーン部材を有する炭酸水供給機構の縦断面図である。
【
図17】
図17は、貫通孔の位置がずれた態様において、3つのコーン部材を有する炭酸水供給機構の縦断面図である。
【
図19】
図19(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得るコーン部材の別の変形例を示した概略平面図である。
【
図20】
図20は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得る2つのコーン部材を有するコーンの態様であって、径方向で貫通孔の位置がずれた態様の概略縦断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得る3つのコーン部材を有するコーンの態様であって、径方向で貫通孔の位置がずれた態様の概略縦断面図である。
【
図22】
図22は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得るコーンのさらに別の変形例を示す概略縦断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得るコーン部材のさらに別の態様における概略平面図であり、
図23(a)に示すコーン部材における貫通孔の数と、
図23(b)に示すコーン部材における貫通孔の数とが異なることを説明するための概略平面図である。
【
図24】
図24は、本発明の第2の実施の形態で用いられ得る外コーン、ワッシャ、コーン部材、フィルタ及び傘体を示した斜視図である。
【
図26】
図26は、本発明の第3の実施の形態で用いられ得る第一炭酸水供給機構及び第二炭酸水供給機構を示した図である。
【
図27】
図27は、本発明の第3の実施の形態で用いられ得る第一炭酸水供給機構及び第二炭酸水供給機構を示した図であり、
図26とは異なる態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施の形態
《構成》
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態では炭酸飲料として炭酸水を用いて説明するが、これに限られることはなく、炭酸水以外の炭酸飲料にも本発明を適用することができる。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の炭酸水供給機構は、本体部10と、本体部10に設けられ、炭酸水を供給する炭酸水供給部20と、本体部10に直接的又は間接的に取り付けられたコーン30とを有してもよい。本体部10の上方部に炭酸水供給部20が設けられてもよい。本体部10に本体凹部11が設けられ、当該本体凹部11内にコーン30が嵌め込まれることで、本体部10にコーン30が取り付けられるようになってもよい。コーン30はステンレス鋼等の金属から構成されてもよいし、樹脂材料から構成されてもよい。
【0019】
コーン30は、厚み方向(
図1の上下方向)に沿って延在し、炭酸水が通過する1つ又は複数の貫通孔39を有してもよい。炭酸水供給部20は例えばカーボネータのような炭酸水貯留部110(
図8参照)から供給される炭酸水が内部を通過する炭酸水供給管であってもよい。炭酸水供給部20から供給された炭酸水は、コーン30を経て、後述するノズルキャップ60からグラスやジョッキというような容器等に注がれるようになってもよい。貫通孔39は金型によって形成されてもよいし、マシニングによる穴開けを行ってもよい。これらの態様を採用することで、量産時においてバラツキの少ない貫通孔39を形成できる。貫通孔39の直径は例えば0.3mm~1.2mmであり、典型的には0.8mm~1.0mmである。貫通孔39の数は注出時の流量に合せて1~30個とすることが考えられる。
【0020】
貫通孔39はコーン30の厚み方向に沿って延在してもよい。「コーン30の厚み方向に沿って延在する」というのは、厚み方向と平行(
図1の上下方向)に設けられる態様だけではなく、厚み方向に対して傾斜して設けられる態様も含まれている(
図9(a)参照)。但し、加工のしやすさという観点からすると、貫通孔39は厚み方向と平行に設けられる態様が有益である。貫通孔39は均等な間隔、つまりコーン30をおもて面(上面)又は裏面(下面)から見た場合に貫通孔39の間の円周角が等しくなる態様で設けられてもよい(
図7参照)。
【0021】
図1に示すように、コーン30に載置するようにしてフィルタ90が設けられてもよい。フィルタ90はステンレス鋼からなるメッシュフィルタであってもよい。メッシュフィルタ数は例えば10~200メッシュであってもよく、典型的には80~120メッシュである。メッシュとは1インチ(25.4mm)の間にある網目の数を表す。メッシュフィルタの目開きは例えば0.05mm~1.0mmであってもよく、典型的には0.1mm~0.3mmである。メッシュフィルタの線形は例えば0.077mm~1.54mmであってもよく、典型的には0.08mm~0.12mmである。
【0022】
図10では、フィルタ90はコーン30の一方側であるおもて面側(上方側)に設けられているが、このような態様に限られることはなく、フィルタ90はコーン30の他方側である裏面側(下方側)に設けられてもよい。コーン30及びフィルタ90の上方にワッシャ190が設けられてもよい。ワッシャ190はフィルタ90に隣接して設けられてもよいが、コーン30がフィルタ90のおもて面側(上方)に位置する場合には、コーン30に隣接してワッシャ190が設けられてもよい。フィルタ90の中心部には後述する第一液体供給部40が通過するための開口部91が設けられてもよい。同様に、ワッシャ190の中心部には第一液体供給部40が通過するための開口部191が設けられてもよい。
【0023】
図1に示すように、第一液体を供給する第一液体供給部40が設けられてもよい。第一液体供給部40は、その一部(下流側部分)がコーン30の厚み方向に沿って(
図1に示す態様では上下方向で)延在してもよい。第一液体供給部40は、第一液体貯留部120(
図8参照)から供給されるウィスキー、シロップ等の飲料原液が内部を通過する第一液体供給管であってもよい。なお、本実施の形態において、第一液体供給部40の下流側部分とは、第一液体供給部40のうち
図1において上下方向に延在している部分のことを意味している。
【0024】
図7に示すように、コーン30の後述するコーン部材35の中央には円形状の開口35aが設けられてもよい。そして、
図1に示すように、当該開口35a内を第一液体供給部40の下流側部分が通過し、コーン30が第一液体供給部40の周縁を取り囲むように配置されてもよい。コーン30の内周面と第一液体供給部40の外周面との間に弾性部材からなるOリング等の第一シール部材51が設けられてもよい。
【0025】
図5に示すように、バルブは、炭酸水の供給を制御するための炭酸水供給弁70と、飲料原液等の第一液体の供給を制御するための第一液体供給弁75と、炭酸水供給弁70及び第一液体供給弁75の開閉を制御するためのレバー80とを有してもよい。使用者がグラス等をレバー80に押し当てることで、炭酸水供給弁70及び第一液体供給弁75が開状態となり、炭酸水が炭酸水供給部20から供給され、かつ第一液体が第一液体供給部40から供給されるようになってもよい(
図6も参照)。
【0026】
図1及び
図2に示すように、コーン30の下方側には同心円状の溝(図示せず)が複数設けられた傘体5が設けられてもよい。この傘体5もコーン30と同様に第一液体供給部40の下流側部分を外周面を取り囲むようにして配置されてよい。第一液体供給部40の下端部は傘体5の下端部よりも下方に位置づけられてもよい。
【0027】
図2及び
図3に示すように、コーン30の外方を取り囲むノズルキャップ60が設けられてもよい。ノズルキャップ60は内部空間が形成された形状となっており、当該内部空間内に、第一液体供給部40の下流側部分、第一液体供給部40の下流側部分の外周面に設けられたコーン30、傘体5等が位置付けられることになる。なお、
図2ではフィルタ90が示されていない。
【0028】
図1に示すように、本体部10の内周面とコーン30の外周面との間に弾性部材からなるOリング等の第二シール部材52が設けられてもよい。
【0029】
コーン30は、
図9(b)に示すように、後述するコーン部材35のような単一部材から構成されてもよい。但し、このような態様には限られることはなく、コーン30は複数部材から構成されてもよい。例えば
図4に示すように、コーン30は、内コーン31と、内コーン31の周縁外方に設けられた外コーン32とを有してもよい。このような態様を採用する場合には、本体部10の内周面と外コーン32の外周面との間に第二シール部材52が設けられてもよい。また、外コーン32の内周面と内コーン31の外周面との間に弾性部材からなるOリング等の第三シール部材53が設けられてもよい。外コーン32の厚みは内コーン31の厚みよりも大きくなり、外コーン32は、内コーン31の外周面の全体を取り囲み、内コーン31の上端よりも上方側に延在し、内コーン31の下端よりも下方側に延在するようになってもよい。
【0030】
図4に示すように、内コーン31の内周面には内周凹部31aが設けられ、この内周凹部31aに第一シール部材51が設けられてもよい。内コーン31の外周面には外周凹部31bが設けられ、この外周凹部31bに第三シール部材53が設けられてもよい。外コーン32の外周面には外周凹部32aが設けられ、この外周凹部32aに第二シール部材52が設けられてもよい。なお、この
図4でもフィルタ90が示されていない。
【0031】
本実施の形態では、内コーン31が一つのコーン部材35から構成されている。コーン部材35に設けられる貫通孔39の数は、供給したい炭酸水の量によって調整されてもよく、貫通孔39の径(直径)との関係で決められてもよい。貫通孔39の数は例えば1個以上30個以下であってもよい(後述する第2の実施の形態を参照)。貫通孔39の直径は例えば0.3mm~1.2mm程度であってもよい。コーン部材35の表面は加工されておらず平坦面から構成されてもよい(
図4参照)。なお、このような平坦面を採用する場合であっても、平坦面は不可避的な凹凸を有していることには留意が必要である。
【0032】
コーン部材35の厚みとしては、例えば2mm~7mmのものを採用することができ、より限定するならば、3.5mm~5mmのものを採用することができる。
【0033】
図10に示すように、コーン部材35(内コーン31)のおもて面(上面若しくは一方面)及び/又は裏面(下面若しくは他方面)に凹凸形状130が形成されてもよい。この凹凸形状130はコーン部材35のおもて面及び/又は裏面に複数の溝を設けたり、螺旋状の溝を設けたりする態様を採用してもよい。
図10に示す態様では、凹凸形状130は、中心から半径方向に向かって直線状に延びる直線凹部130aと、直線凹部130aの間で円弧状に延びる円弧凹部130bとを有している。
【0034】
凹凸形状130はフィルタ90と接触する面にだけ設けられ、フィルタ90と接触しない面には凹凸形状130が設けられないようにしてもよい。
図10に示す態様では、コーン部材35のおもて面(上面)にだけ凹凸形状130が設けられ、裏面(下面)には凹凸形状130が設けられないようにしてもよい。
【0035】
内コーン31と外コーン32とは同じ材料から構成されてもよいが、互いに異なる材料から構成されてもよい。一例として、内コーン31と外コーン32の両者がステンレス鋼のような金属から構成されてもよいし、内コーン31と外コーン32の両者が樹脂材料から構成されてもよいし、内コーン31及び外コーン32の一方がステンレス鋼のような金属から構成され、他方が樹脂材料から構成されてもよい。なお、樹脂材料を用いた場合の方が金属を用いた場合と比較して外気等の熱による影響を受け難く、安定した炭酸含有量からなる炭酸水の提供を期待できる点では有益である。他方、小さな貫通孔の径を形成しやすい点では材料として金属を用いる方が有益である。
【0036】
図8に示すように、炭酸水貯留部110には、水に駆動力を付与するためのポンプ181及び水を冷却するための冷却部182が連結されてもよい。炭酸水貯留部110には、二酸化炭素を収容した二酸化炭素ボンベ140が炭酸水貯留部110内に設けられた逆止弁116を介して連結されてもよい。炭酸水貯留部110には、炭酸水貯留部110内の水の量を計測するためのフロートスイッチ115が設けられてもよい。炭酸水貯留部110内では0℃に近い温度で炭酸水が貯留されてもよい。なお、炭酸水貯留部110内の炭酸水の炭酸含有量は二酸化炭素ボンベ140からのガスの圧力と炭酸水の温度で決定される。また、
図8に示すように、第一液体貯留部120には、第一液体に駆動力を付与するためのポンプ186が連結されてもよい。
【0037】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。
【0038】
本実施の形態において、厚み方向に沿って延在し、炭酸水が通過する貫通孔39を有するコーン30と、コーン30に載置されたフィルタ90を採用した場合には(
図10参照)、ガスロスを低減でき、炭酸ガスの含有量を高めた炭酸水(炭酸飲料)を供給することができる。
【0039】
炭酸水を生成・注出するディスペンサにおいて、注出後のガスボリュームは重要なパラメータの一つとなる。高いガスボリュームを実現するためには、(1)ディスペンサ内のカーボネータに高圧の炭酸ガスと冷却した水を混合すること、及び(2)注出時のガスロスを低減することが重要となる。(1)については、高圧ガスの規制によりカーボネータ内の圧力は1Mpa以下にする必要がある。このため、従前であれば、高圧ガスを実現するために1Mpaをわずかに下回る値の高圧ガス(例えば0.95MPa)を用いて高いガスボリュームを実現しているが、このような高圧ガスを用いるためには高額な機械(カーボネータ)を導入する必要がある。他方、本実施の形態によれば、このような高額な機械を導入することなく、例えば0.6MPa~0.7MPaといったガス圧を供給する機械を用いた場合であっても、高ガスボリュームを実現できる点で極めて優れた効果を得ることができる。
【0040】
コーン30の表面に複数の溝を設けたり、螺旋状の溝を設けたりする態様を採用してもよく、このような溝によってコーン30の表面に凹凸形状130が形成されてもよい(
図10参照)。本願の発明者らは、コーン30の表面に凹凸形状130を設け、当該凹凸形状130とフィルタ90とを接触させる態様を採用した場合に、高いガスボリュームを実現できることを確認している。
【0041】
なお、貫通孔39を設けることなく、ローレット状の微細な溝を設けた減圧部品等によってガスロスの低減を実現することも考えられるが、当該構造では、ガスロスの低減効果が部品精度によって左右されてしまう上、精度を求めることにより高価な部品となってしまう。また、形状を適宜変更することで流量やガスボリュームを調整することも困難である。他方、本実施の形態の態様では、廉価にガスロス低減効果を実現でき、また貫通孔39の数や大きさを変更するという容易な方法で流量やガスボリュームを調整することができる。また後述する第2の実施の形態等で示すように、コーン部材35及びフィルタ90の数を変更することによっても流量やガスボリュームを調整することができる。
【0042】
貫通孔39が複数設けられている態様を採用した場合には、炭酸水の供給量が同じ値であっても貫通孔39の径を小さくすることができる。このため、貫通孔39を通過する炭酸水に加わる衝撃を抑えることが期待でき、より高い炭酸ガス含有量の炭酸水を供給することを期待できる。なお、炭酸水の単位時間当たり供給量は、居酒屋、レストラン等の店舗等における飲料の提供時間に影響することから概ね決まった範囲に設定されており、例えば30cc/secというような値が設定されている。このため、炭酸水の単位時間当たり供給量を所定の範囲にするという前提の下、貫通孔39の数を増加させると、その分、貫通孔39の径を小さくすることができる。
【0043】
コーン30の内周面と第一液体供給管等からなる第一液体供給部40の下流側部分の外周面との間に例えば弾性部材等からなる第一シール部材51が設けられる態様を採用した場合には(
図1参照)、コーン30と第一液体供給部40との間を炭酸水が通過することを防止できる。このため、コーン30の貫通孔39を通過することなく、ノズルキャップ60からグラスやジョッキというような容器等に炭酸水が注がれることを防止できる。
【0044】
本体部10の内周面とコーン30の外周面との間に例えば弾性部材等からなる第二シール部材52を設けた態様を採用した場合には、本体部10の本体凹部11とコーン30との間を炭酸水が通過することを防止できる。このため、この場合にも、コーン30の貫通孔39を通過することなく、ノズルキャップ60からグラスやジョッキというような容器等に炭酸水が注がれることを防止できる。
【0045】
コーン30が内コーン31と外コーン32とを有する場合において、外コーン32の内周面と内コーン31の外周面との間に第三シール部材53が設けられる態様を採用した場合には、内コーン31と外コーン32のような二つの部材を採用した場合であっても内コーン31と外コーン32との間を炭酸水が通過することを防止できる。このため、内コーン31と外コーン32の二つの部材を採用しつつ、コーン30の貫通孔39を通過することなく、ノズルキャップ60からグラスやジョッキというような容器等に炭酸水が注がれることを防止できる。
【0046】
なお、コーン30が内コーン31及び外コーン32を有する態様を採用することで、本体部10の製造公差を含む部品バラツキによる影響を小さくして、コーン30を本体部10の本体凹部11に取り付けることができる点で有益である。より具体的には、本体部10を製造する際に製造公差が発生してしまうことは避けがたい。特に本体部10では多数の部品を組み合わせることから公差のずれが集まって製造公差が大きくなる場合もある。この点、外コーン32と外コーン32の外周面に設けられた第二シール部材52を採用することで、第二シール部材52によって本体部10の部品バラツキによる影響を吸収することができる。また、外コーン32と内コーン31の間に設けられた第三シール部材53によって外コーン32と内コーン31との間の間隔も調整できる。これらのことから、本体部10の製造公差を含む部品バラツキによる影響を受けにくくすることができ、より高い炭酸ガス含有量の炭酸水を供給することができるようになる点で有益である。なお、本実施の形態のような貫通孔39を有さず、特許文献1のようにコーンの外周面を炭酸水が通過する態様では、本体部10の製造公差を含む部品バラツキによる影響によって、提供される炭酸水の炭酸ガス含有量も変わってしまう可能性を否定できない。このため、このような態様では提供される炭酸水の炭酸ガス含有量は均一にできないこともあるが、本実施の形態では、そのような問題も生じ難い点で有益である。
【0047】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0048】
本実施の形態では、
図11及び
図12に示すように、内コーン31が厚み方向(上下方向)で積層される複数のコーン部材35を有しており、コーン部材35の各々が貫通孔39を有する態様を用いて説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態で採用したあらゆる構成を採用することができる。第1の実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。
【0049】
図11(a)及び
図12(a)に示すように断面が矩形状から構成される態様を採用してもよいが、
図11(b)及び
図12(b)に示すようにコーン部材35の周縁に突出部35bが設けられており、この突出部35bによってコーン部材35とフィルタ90との間に間隙が設けられてもよい(
図7も参照)。
【0050】
貫通孔39の長さを長くすることで炭酸水に対する抵抗を大きくすることができ、ゆっくりと炭酸水を流すことができる。しかしながら、コーン部材35の厚みが厚くなると、射出成型や切削による貫通孔39の形成が困難となり、寸法安定性に問題が出やすい。特にコーン部材35が樹脂材料から構成される場合であって、貫通孔39の径が小さい場合には、貫通孔39の加工が難しくなる。この点、本実施の形態のように積層される複数のコーン部材35を採用することで、貫通孔39の形成が難しくなることを抑えつつ、貫通孔39の長さを所定値以上にすることができる点で有益である。
【0051】
また、このように複数のコーン部材35を有する態様を採用する場合には、コーン部材35の間にフィルタ90を設けてもよい。この場合には、複数のコーン部材35の間において、各コーン部材35に接触するようにしてフィルタ90を設けてもよい。また、最も上方に位置するコーン部材35の上方にフィルタ90が設けられてもよいし、最も下方に位置するコーン部材35の下方にフィルタ90が設けられてもよい。
【0052】
また、外コーン32が採用され、外コーン32内に設けられる内コーン31が複数のコーン部材35を有する態様を採用した場合には、外コーン32内に複数のコーン部材35を嵌め込むことで、各コーン部材35の位置関係をより正確に位置決めできる点で有益である。
【0053】
コーン部材35は2つ設けられてもよいし、3つ設けられてもよいし、4つ以上設けられてもよい。各コーン部材35は厚みや材料等の同じ部材であってもよいし、厚みや材料等の異なる部材であってもよい。例えば、複数のコーン部材35のうち、一つ又は複数のコーン部材35は樹脂材料から形成され、残りのコーン部材35は金属から形成されてもよい。
【0054】
図11に示すようにコーン部材35が2つ設けられている態様では、一例として、コーン部材35の厚みを3.5mmとした場合に、直径0.5mmの貫通孔39を11個設けてもよいし、直径0.7mmの貫通孔39を6個設けてもよいし、直径0.9mmの貫通孔39を4個設けてもよい。また、
図12に示すようにコーン部材35が3つ設けられている態様では、コーン部材35の厚みを3.5mmとした場合に、直径0.5mmの貫通孔39を14個設けてもよいし、直径0.7mmの貫通孔39を8個設けてもよいし、直径0.9mmの貫通孔39を5個設けてもよい。
【0055】
図11及び
図12では、貫通孔39の面内方向での位置が完全に合致する態様を用いて説明しているが、これに限られることはなく、
図13に示すように、貫通孔39の面内方向での位置は部分的に合致するような態様であってもよい。このように部分的に貫通孔39の面内方向での位置を合致させることで、貫通孔39の径を実質的に小さくした場合と同様の効果を得ることを期待できる点で有益である。
【0056】
前述したように、本実施の形態では、第1の実施の形態で採用したあらゆる構成を採用することができる。このため、例えば、コーン30が内コーン31及び外コーン32という2種類の部材から構成されるのではなく、
図14に示すように、コーン30がコーン部材35だけから構成されてもよい。また、この態様でも、積層されるコーン部材35の厚み等が互いに異なる態様を採用してもよい。
【0057】
図15乃至
図18に示すように、あるコーン部材35の貫通孔39と、あるコーン部材35に積層して設けられる他のコーン部材35の貫通孔39とは面方向でずれて配置されてもよい。本実施の形態の「面方向」とは、コーン部材35の厚み方向に直交する面内方向(後述する
図19の紙面内の方向)のことを意味している。
【0058】
あるコーン部材35と他のコーン部材35とは同じ部材ではあるものの、円周方向に沿って両者がずれた位置で配置されることで、貫通孔39が面方向でずれるようにしてもよい。この場合には、各コーン部材35の円周方向に沿った位置の位置決めを行うために、
図19(a)に示すように、外コーン32の内周面に1つ又は複数の位置決め凹部132が設けられ、内コーン31の外周面に位置決め凹部132と嵌合する1つ又は複数の位置決め凸部131が設けられてもよい。なお、
図19(a)に示す態様では、1つの位置決め凹部132と1つの位置決め凸部131が設けられる態様が示されている。
【0059】
また、
図19(b)に示すように、外コーン32の内周面に1つ又は複数の位置決め凸部137が設けられ、内コーン31の外周面に位置決め凸部137と嵌合する1つ又は複数の位置決め凹部136が設けられてもよい。なお、
図19(b)に示す態様では、1つの位置決め凸部137と1つの位置決め凹部136が設けられる態様が示されている。
【0060】
また、貫通孔39が面方向でずれる態様としては、例えば、
図20及び
図21に示すように、あるコーン部材35の貫通孔39が位置する半径と、当該あるコーン部材に厚み方向(上下方向)で隣接する他のコーン部材35の貫通孔39が位置する半径とが異なる大きさとなっている態様を用いてもよい。なお、
図20及び
図21に示す態様でも、前述したような突出部35bが設けられてもよい。
【0061】
本実施の形態のように、あるコーン部材35と当該あるコーン部材35に対してフィルタ90を介して積層される他のコーン部材35の貫通孔39が面方向でずれて配置される態様を採用することで、あるコーン部材35と他のコーン部材35との間の面方向における間隙を炭酸水がゆっくり流れることを期待できる。このため、単位時間あたりの流量を調整しつつ、炭酸水から炭酸ガスが抜け出ることを防止することも期待できる。
【0062】
コーン部材35は3つ以上設けられてもよい。コーン部材35が3つ以上設けられる態様では、
図17、
図18及び
図21に示すように、フィルタ90を介して隣接する2つのコーン部材35においてコーン部材35の貫通孔39が面方向でずれ、フィルタ90を介して隣接しない2つのコーン部材35では貫通孔39の位置が面方向では合致する(上方から見た場合に貫通孔39の位置が合致する)ようにしてもよい。一例として、コーン部材35が3つ設けられる態様を採用した場合には、上部及び下部に位置するコーン部材35における貫通孔39は面方向で見たときに合致する位置に位置づけられているが、上部及び下部のコーン部材35の間に位置するコーン部材35の貫通孔39がこれら上部及び下部のコーン部材35の貫通孔39と面方向でずれるようになってもよい。このような態様を採用した場合には、各コーン部材35の間の間隔を利用して炭酸水をゆっくり流すことができる。なお、あるコーン部材35の貫通孔39が位置する半径と、当該あるコーン部材にフィルタ90を介して隣接する他のコーン部材35の貫通孔39が位置する半径とが異なる大きさとなっている態様を採用した場合には、
図21のように上部及び下部に位置するコーン部材35として同一部材を採用することで、利用するコーン部材35の種類を減らすことができる(2種類にすることができる)点で有益である。
【0063】
但し、このような態様には限られることなく、各コーン部材35の貫通孔39が、上方から見た場合に面方向でずれるようになってもよい。
【0064】
コーン部材35が4つ以上設けられている態様では、フィルタ90を介して隣接する2つのコーン部材35からなる少なくとも1組においてコーン部材35の貫通孔39が面方向でずれるが、フィルタ90を介して隣接する2つのコーン部材35からなる別の1組においてコーン部材35の貫通孔39が面方向で合致するようにしてもよい(
図22参照)。
【0065】
図23に示すように、あるコーン部材35の貫通孔39の数と、あるコーン部材35に積層して設けられる他のコーン部材35の貫通孔39の数が異なってもよい。
図23(a)では、一例として、8個の貫通孔39が等間隔で配置され、
図23(b)では7個の貫通孔39が等間隔で配置される態様となっており、
図23(a)に示されるコーン部材35と
図23(b)に示されるコーン部材35とが上下方向で隣接して積層される態様となっている。
図23に示す態様は、あくまでも一例であり、例えば、コーン部材35が3つ設けられている態様を採用し、上部と下部に位置するコーン部材35では貫通孔が所定の数(例えば14個)設けられ、これらのコーン部材35の間に設けられるコーン部材35では貫通孔が当該所定の数と異なる数(例えば13個)設けられてもよい。なお、あるコーン部材35の貫通孔39の数と、あるコーン部材35に積層して設けられる他のコーン部材35の貫通孔39の数との差が「1」となってもよいが、当該差が「2」以上となってもよい。
【0066】
本態様のように、あるコーン部材35の貫通孔39の数と、あるコーン部材35に積層して設けられる他のコーン部材35の貫通孔39の数が異なる場合には、例えば、炭酸水の流れやすさに応じて貫通孔39の数を調整することができる。また、貫通孔39の数が異なることで、あるコーン部材35の貫通孔39と他のコーン部材35の貫通孔39において面方向でずれやすくなる。例えば、貫通孔39が均等な間隔(貫通孔39の間の円周角が等しくなる態様)で設けられている場合には、仮に一つの貫通孔39が面方向で合致しても、その他の貫通孔39はフィルタ90を介して隣接するコーン部材35同士でずれることになる。このため、コーン部材35の円周方向の位置を気にせずにコーン部材35を設けることで、必然的に、その他の貫通孔39において面方向の位置をずらすことができる。
【0067】
本態様でも、コーン部材35は3つ以上設けられてもよい。コーン部材35が3つ以上設けられる態様では、フィルタ90を介して隣接する2つのコーン部材35において貫通孔39の数が異なるようにし、フィルタ90を介して隣接しないコーン部材35では貫通孔39の数が同じになってもよい。一例として、コーン部材35が3つ設けられる態様を採用した場合には、上部及び下部に位置するコーン部材35における貫通孔39の数は同じ数になり、上部及び下部のコーン部材35の間に位置するコーン部材35の貫通孔39の数がこれら上部及び下部のコーン部材35の貫通孔39の数と異なるようにしてもよい。
【0068】
また、コーン部材35が4つ以上設けられている態様では、フィルタ90を介して隣接する2つのコーン部材35からなる少なくとも1組においてコーン部材35の貫通孔39の数が異なるが、フィルタ90を介して隣接する2つのコーン部材35からなる別の1組においてコーン部材35の貫通孔39の数が合致してもよい。
【0069】
(実施例)
一例として、発明者が行った
図24及び
図25に示す態様を用いた実験結果を下記表1に示す。
図24及び
図25に示す態様では、3つのコーン部材35と、コーン部材35の間に設けられた2つのフィルタ90が設けられている。コーン部材35のおもて面及び裏面の各々に凹凸形状130が設けられており、この凹凸形状130は、中心から半径方向に向かって直線状に延びる直線凹部130aと、直線凹部130aの間で円弧状に延びる円弧凹部130bとを有している(
図10参照)。コーン部材35には8個の貫通孔39が等間隔(同じ円周角)で設けられており、面方向で隣接する貫通孔39は45度だけ異なる角度で配置されている。一番上方に位置するコーン部材35の貫通孔39と一番下方に位置するコーン部材35の貫通孔39の位置は平面視において(上方から見た場合)合致しているが、一番上方に位置するコーン部材35の貫通孔39及び一番下方に位置するコーン部材35の貫通孔39と、真ん中に位置するコーン部材35の貫通孔39の位置は平面視において(上方から見た場合)約22.5度だけずれて配置されている。
【0070】
下記表1で示されるガスボリュームは、0.7MPaのガス圧をカーボネータから供給し、グラスに注いだ後の炭酸水に含まれるガスボリュームをTERRISS社製のT-03-567を用いて測定したものである。
【0071】
【0072】
別の機会に、上記と同じ条件で測定した結果を下記表2に示す。
【表2】
【0073】
前述したとおり、炭酸水の単位時間当たり供給量は例えば30cc/secというような値が設定されている。一般的に流量が早くなると炭酸水に含まれる炭酸ガスが抜けやすくなるが、36cc/secという速い速度においても炭酸水のガスボリュームとして平均値で5.90~5.98という極めて高い値を得られたことは非常に驚くべきものである。炭酸水のガスボリュームを6近くまで高めるには、一般的には高額なカーボネータを採用し、1Mpaをわずかに下回る値の高圧ガス(例えば0.95Mpa)を用いて高ガスボリュームを実現していたことからすると、0.7MPaのガス圧をカーボネータから供給した場合において、ガスボリュームを6近くまで高められたことは非常に驚くべきものである。このように0.7MPaのガス圧で炭酸水のガスボリュームを6近くまで高められることにより導入コストを格段に下げることができる点で、極めて有益なものとなる。
【0074】
参考までに2つのフィルタ90を設けず、34cc/secという流量に落とした以外は上記実施例と同じ態様を用いた測定結果を下記表3及び表4に示す。この場合には炭酸水のガスボリュームが5程度であることを確認できる。
【表3】
【表4】
【0075】
この結果からしてもフィルタ90を設けることによる極めて優れた効果を確認することができる。ちなみに、本件出願人のうちの一社が出願した特願2018-001717号によってガスボリュームに関して優れた効果を得ることが確認できているが、本願はより優れた効果を実現できることを確認できたものである。
【0076】
なお、
図24及び
図25に示す外コーン32は第1の実施の形態及び第2の実施の形態とは異なる構造となっており、炭酸水の流れにおける上流側端部(一方側端部)に内方突出部32dを有し、下流側端部(他方側端部)において径方向に広がる拡張部32cを有している。内方突出部32dを設けることで、最も上方側に位置する部材(
図25ではワッシャ190)を下方に位置する部材(
図25ではコーン部材35)に押し付けることができる。また、拡張部32cを用いることで、コーン部材35の外コーン32への取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。
【0077】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0078】
本実施の形態では、
図26及び
図27に示すように、第一炭酸水供給機構200及び第二炭酸水供給機構300を有している。第一炭酸水供給機構200は、本体部10に設けられ、炭酸水を供給する第一炭酸水供給部220と、本体部10に取り付けられた第一コーン230を有している。第二炭酸水供給機構300は、本体部10に設けられ、炭酸水を供給する第二炭酸水供給部320と、本体部10に取り付けられた第二コーン330を有している。
図26では、第一炭酸水供給機構200の本体部10と第二炭酸水供給機構300の本体部10が同じ部材から構成される態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、第一炭酸水供給機構200の本体部と第二炭酸水供給機構300の本体部とが分離して設けられ、別部材となっていてもよい。本実施の形態でも、上記各実施の形態で採用したあらゆる構成を採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材に対しては同じ符号を付して説明する。なお、本実施の形態では、第一炭酸水供給機構200及び第二炭酸水供給機構300の2つの炭酸水供給機構を有する態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、3つ以上の炭酸水供給機構を有する態様を用いることもできる。
【0079】
第一コーン230と第二コーン330とは異なる構成となっている。一例として、第一コーン230としては第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明したようなコーンを用い、第二コーン330としては従来から知られている公知のコーンを用いてもよい(
図26参照)。このような態様を用いた場合には、第一炭酸水供給機構200では炭酸ガス含有量の高い炭酸水を供給でき、第二炭酸水供給機構300では第一炭酸水供給機構200と比較して炭酸ガス含有量の低い炭酸水を供給できる。このため、提供したい飲料に合わせて炭酸ガス含有量を変えることができる点で有益である。
【0080】
また、別の例としては、第一コーン230として上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明したいずれかの態様のコーンを用い、第二コーン330として第一コーン230で採用されている態様とは異なるコーンを用いてもよい(
図27参照)。このような態様を用いても、炭酸ガス含有量の異なる炭酸水を供給できる点で有益である。なお、
図27では、一例として、第一コーン230として、内コーン31が2つのコーン部材35を有し、2つのコーン部材35の間にフィルタ90が設けられ、かつ貫通孔39が面方向でずれて配置されている態様を示しており、第二コーン330として、内コーン31が3つのコーン部材35を有し、隣接する2つのコーン部材35の間の各々にフィルタ90が設けられ、かつ貫通孔39が面方向でずれて配置されている態様を示している。
【0081】
さらに別の例としては、第一コーン230における貫通孔39の径及び数と、第二コーン330における貫通孔39の径及び数とを異ならせることで、異なる炭酸ガス含有量からなる炭酸水を供給できるようにしてもよい。
【0082】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0083】
10 本体部
20 炭酸水供給部
30 コーン
31 内コーン
32 外コーン
39 貫通孔
40 第一液体供給部
51 第一シール部材
52 第二シール部材
53 第三シール部材
90 フィルタ