(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20231115BHJP
E06B 1/32 20060101ALI20231115BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
E06B9/52 B
E06B9/52 H
E06B1/32
E05D15/06 124A
E05D15/06 125A
(21)【出願番号】P 2019196475
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000155207
【氏名又は名称】株式会社明工
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 一範
(72)【発明者】
【氏名】山元 則之
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-95885(JP,A)
【文献】登録実用新案第3099709(JP,U)
【文献】特開2002-295148(JP,A)
【文献】特開2003-293675(JP,A)
【文献】特開2007-56447(JP,A)
【文献】特開2017-137714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/52 - 9/54
E05D 15/00 - 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下左右の枠材を組んでなり、建物開口部に固定される枠体と、枠体に張設される網戸とからなり、枠体を構成する上下もしくは左右の一対の枠材は、それぞれ内周方向に開口するガイド溝を備えるとともに、ガイド溝内の入口に連通する切欠部を有しており、
網戸は、
可撓性を有する網状体と、網状体の対向する一組の縁部にそれぞれ固定される網戸框とを備えており、
ガイド溝は、網戸框をガイドする網戸框ガイド溝と、網状体をガイドする網状体ガイド溝からなるとともに、網戸框ガイド溝と網状体ガイド溝とが内周方向に連続しており、網戸框を網戸框ガイド溝に、網戸の両網戸框に固定されていない縁部を網状体ガイド溝に、前記切欠部を介してそれぞれ挿入可能なものであり、
網状体ガイド溝は、室外側ガイド溝構成部品と室内側ガイド溝構成部品とを入口に有するとともに、室外側ガイド溝構成部品は、内周側視円弧状面を有しており、内周側視円弧上面は、ガイド溝における網状体ガイド溝の入口を次第に狭くなるようにして、網状体の縁部をガイド溝の入口に挿入する際に、網状体の縁部を網状体ガイド溝の溝開口に案内することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓等の建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓等の建具には、屋外から虫の侵入を防止するために網戸が装着される場合があるが、例えば縦滑り窓等の室外側に張り出して開閉する窓種においては、網戸を障子の室外側に設置することができないため、網戸は障子の室内側に取り付けられていた。
このように網戸が障子の室内側に取り付けられている建具においては、障子を室内側から清掃することを可能にするために、窓枠に対して網戸を着脱自在に装着するのが一般的であった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
網戸を窓枠に対して着脱自在に構成するためには、網戸を窓枠の室内側に配置した係止具等によって係止して取付けることが考えられるが、係止具等が室内に露出するのでは意匠的に優れているとはいえず、係止具等をできるだけ窓枠と一体的にして意匠性を高めようとすると、係止具等に複雑な着脱機構を設ける必要がある。しかし、窓枠に対して網戸を着脱する作業は、それほど頻繁に行われるものではなく、例えば大掃除時に網戸を外すだけの一般使用者にとっては、窓枠と一体的となった着脱機構がかえってわかりにくく、また、窓枠と網戸外周との間に隙間があまり生じないので着脱作業がしづらく、誤って網戸を屋外に落下させてしまう可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、窓枠の障子の室内側に安全にかつ簡単に網戸を設置することができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、上下左右の枠材を組んでなり、建物開口部に固定される枠体と、枠体に張設される網戸とからなり、枠体を構成する上下もしくは左右の一対の枠材は、それぞれ内周方向に開口するガイド溝を備えるとともに、ガイド溝内の入口に連通する切欠部を有しており、網戸は、可撓性を有する網状体と、網状体の対向する一組の縁部にそれぞれ固定される網戸框とを備えており、ガイド溝は、網戸框をガイドする網戸框ガイド溝と、網状体をガイドする網状体ガイド溝からなるとともに、網戸框ガイド溝と網状体ガイド溝とが内周方向に連続しており、網戸框を網戸框ガイド溝に、網戸の両網戸框に固定されていない縁部を網状体ガイド溝に、前記切欠部を介してそれぞれ挿入可能なものであり、網状体ガイド溝は、室外側ガイド溝構成部品と室内側ガイド溝構成部品とを入口に有するとともに、室外側ガイド溝構成部品は、内周側視円弧状面を有しており、内周側視円弧上面は、ガイド溝における網状体ガイド溝の入口を次第に狭くなるようにして、網状体の縁部をガイド溝の入口に挿入する際に、網状体の縁部を網状体ガイド溝の溝開口に案内することを特徴とする建具である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、枠体に対する網戸の設置を簡単に、かつ、安全に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図10に示す下枠の切欠部のガイド溝を構成する部品の斜視図であって、(a)はガイド溝の入口を開いた状態であり、(b)はガイド溝の入口を閉じた状態である。
【
図2】
図1に示すガイド溝を上から見た平面図である。
【
図3】
図1に示すガイド溝を構成する部品の図であり、(a)はガイド溝構成部品本体を支持する本体支持具の斜視図であり、(b)はガイド溝構成部品本体の斜視図であり、(c)はストッパーを上から見た斜視図であり、(d)はストッパーを下から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示すA-A断面図であり、網戸との関係を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る建具における、網戸の左下角部の斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る建具における、上枠の切欠部のガイド溝を構成する部品を下から見た斜視図であって、(a)はガイド溝の入口を開いた状態であり、(b)はガイド溝の入口を閉じた状態である。
【
図7】
図6に示すB-B断面図であり、網戸との関係を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る建具の縦断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る建具の横断面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る建具の外観図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る建具の網戸を説明するための図であり、(a)は全体図、(b)は網戸製造工程の網戸端部の横断面図、(c)は網戸端部の横断面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る建具の網戸と窓枠との関係を説明するための図であり、(a)は網戸の左右側縁の一部拡大図、(b)は窓枠の縦枠と網戸の縦框の一部拡大斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る建具において、網戸を窓枠に装着する方法を説明するための図であり、(a)は網戸装着前の窓枠と網戸の斜視図、(b)は窓枠に対して網戸を装着する初期の段階における窓枠と網戸の斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る建具において、網戸を窓枠に装着する方法を説明するための図であり、(a)は窓枠に対して網戸の装着が進んだ状態の窓枠と網戸の斜視図、(b)は窓枠に対して網戸の装着が完了直前の状態の窓枠と網戸の外観正面図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る建具の網戸を窓枠に対して緊張状態で張設するための機構を説明するための図であり、(a)は窓枠に対して網戸を緊張させる前の網戸の正面図、(b)は窓枠に対して網戸を緊張させる途中の網戸の正面図、(c)は網戸を緊張させる途中の状態の引寄手段近傍の拡大図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る建具の網戸を窓枠に対して緊張状態で張設するための機構を説明するための図であり、(a)は窓枠に対する網戸の張設が完了した状態の網戸の正面図、(b)は窓枠に対する網戸の張設が完了した状態の引寄手段近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(建具全体の構成)
図10に示すように、本実施形態に係る建具10は、縦滑り出し窓であり、上下枠11、12及び左右の縦枠13、14を四周に組んで成り、建物の開口部に固定される枠体1に対して、上下框21、22及び左右框23、24を四周に組んでその内周にガラス等のパネルを配置してなる障子2を室外側に向けて開放する縦滑り出し窓をその基本構成とするものであり、障子2の室内側には、網戸5が装着されている。
【0010】
図8及び
図9に示すように、上枠(枠材)11は、室外側金属上枠111と、室内側金属上枠112と、両金属上枠111、112を連結する上ブリッジ113及び、室内側金属上枠112の室内側内周面に設けた樹脂上枠114により構成されている。下枠(枠材)12は、室外側金属下枠121と、室内側金属下枠122と、両金属下枠121、122を連結する下ブリッジ123及び、室内側金属下枠122の室内側内周面に設けた樹脂下枠124により構成されている。樹脂下枠124は、主樹脂下枠1241と副樹脂下枠1242から構成されている。左縦枠(枠材)13は、金属左枠131及び金属左枠131の室内側内周側面に設けた樹脂左枠134により構成されている。樹脂左枠134は、主樹脂左枠1341と副樹脂左枠1342とから構成されている。右縦枠(枠材)14は、金属右枠141及び金属右枠141の室内側内周側面に設けた樹脂右枠144により構成されている。樹脂右枠144は主樹脂右枠1441と副樹脂左枠1442とから構成されている。
樹脂上枠114、樹脂下枠124、樹脂左枠134及び樹脂右枠144の室内側には、それぞれ内周側を止めているねじ15を隠す樹脂キャップ15aが嵌めてある。また、下枠12には、下ブリッジ123の内周側に、室外側下金属枠121と室内側下金属枠122との間に樹脂目板126が嵌めてある。
【0011】
一方、本実施形態の建具の障子2を構成する各框材は、アルミ押し出し形材等からなる金属框の室内側に樹脂製の押縁を取付けて構成されている。
具体的には、上框21は、金属上框枠211及び中空部を有する樹脂上押縁212により構成され、下框22は、金属下框枠221及び中空部を有する樹脂下押縁222により構成され、左縦框23は、金属左框枠231及び中空部を有する樹脂左押縁232により構成され、右縦框24は、金属右框枠241及び中空部を有する樹脂右押縁242により構成されており、枠体1と障子2とによって、全体で断熱サッシを構成している。
【0012】
そして、本実施形態の建具においては、枠体1の各樹脂枠に網戸5を装着するための各網戸枠が取付けられている。具体的には、
図8に示すように、室内側金属上枠112の室内側内周側面に設けた樹脂上枠114に形成された取付部114aに対して樹脂製の網戸上枠61が取付爪612により取付けられ、同様に、樹脂下枠124に形成された取付部124aに対して樹脂製の網戸下枠62が取付爪622aにより取付けられ、
図9に示すように、主樹脂左枠1341と副樹脂左枠1342に形成された取付部134aに対して樹脂製の網戸左枠63の被取付部632が取付けられ、主樹脂右枠1441と副樹脂右枠1442に形成された取付部144aに対して樹脂製の網戸右枠64が取付爪642により取付けられることで、障子2の室内側に網戸5を装着するための網戸枠6(
図10参照)が形成されている。
【0013】
図8に一点鎖線Fで抜き出して示すように、網戸上枠61は、室外側壁部611a、室内側中空壁611b及び下方に框用開口611dが形成された網戸框上ガイド溝611cを備える網戸上枠本体611と、網戸上枠本体611の上部に設けられた取付爪612とを備えており、取付爪612が樹脂上枠114の取付部114aに係止することで、上枠11に網戸用のガイドを形成することができる。網戸框上ガイド溝611cの外周側には後述する網状体51の上縁部51aをガイドする網状体上縁部ガイド開口611fが形成された網状体上縁部ガイド溝611eが設けてある。網状体上縁部ガイド開口611fは、網状体51の上縁部51a(後述する)が摺動するものであり、網戸框上ガイド溝611cの框用開口611dよりも見込巾が狭く形成されている。
【0014】
図8に一点鎖線Eで抜き出して示すように、網戸下枠62は、室外側壁部621a及び室内側壁部621bとより構成されて上方に開口する網戸框下ガイド溝621cを備える網戸下枠本体621と、網戸下枠本体621の室内側壁部の内周側端から延設され下面に取付爪622aを有する取付片部622とを備えており、取付爪622aが主樹脂下枠1241と副樹脂下枠1242の取付部124aに係止することで、下枠12に網戸用のガイドを形成することができる。
網戸框下ガイド溝621cの外周側には後述する網状体51の下縁部51bをガイドする網状体下縁部ガイド開口621fが形成された網状体上縁部ガイド溝621eが設けてある。
網状体下縁部ガイド開口621fは、網状体51の下縁部51bが摺動するものであり、網戸框下ガイド溝621cよりも見込巾が狭く形成されている。
【0015】
図9に示すように、網戸右枠64は、網戸右枠本体641と、網戸右枠本体641の外周に設けられた取付爪642とを備えており、取付爪642が主網戸樹脂枠1441と副網戸樹脂枠1442の取付部144aに係止することで、右の縦枠14に網戸用の装着部を形成することができる。
なお、網戸左枠63の構成は、網戸右枠64と略同一であるので、網戸左枠63についての詳細な説明は省略する。
また、
図12(b)に示すように、網戸右枠本体641の見込み面には、網戸框53(54)(後述する)を装着する係合孔641eが形成されている。
【0016】
(網戸の構造)
本実施形態の建具に装着される網戸5(
図10参照)は、
図5に示すように、可撓性を有する網状体51と、網状体51の左右両側辺に固定される左、右の網戸框53、54とから構成されている。尚、
図5には、網戸左框53のみを示すが、網戸右框54も同様の構成である。
図11(a)に示すように、網状体51は、帯状の網状体上縁部51aと、帯状の網状体下縁部51bとが形成されるとともに、網状体上縁部51aの上に上膨出部51cが、網状体下縁部51bの下に下膨出部51dが形成されている。尚、
図5に網状体下縁部51bと下膨出部51dを示すが、網状体上縁部51a及び膨出部51cも同様の形状なので、網状体上縁部51a及び上膨出部51cの詳細な説明を省略する。
図8に一点鎖線Eで拡大して示すように、網状体下縁部51bは網戸下枠62の網状体下縁部ガイド開口621fに挿入された状態で、下膨出部51dが網状体下縁部ガイド溝621e内を移動自在であり且つ網状体下縁部ガイド溝621eから抜けるのが防止されている。
図11(b)(c)に示すように、網状体51の左右の縁部は、塩化ビニール等の平板511、512によって挟まれて固定されることにより、剛性を備える左右の側縁部522が形成される。左右の側縁部522は、網戸右框54の網戸取付部541に圧入により嵌合固定されている。
【0017】
次に、左右の網戸框53、54について説明するが、左右の網戸框53、54は、同じ形状であるから、網戸左框53について説明し、網戸右框54の説明を省略する。
図4及び
図5に示すように、網戸框53は、下端部にくびれ部53aが形成してあり、くびれ部53aの外周側にはくびれ部53aよりも見込巾の広い係合部53bが設けてある。係合部53bは網戸框下ガイド溝621c(
図8の下拡大
図E参照)にスライド自在に係合するものであり、網戸框下ガイド溝621cからの抜けが防止されている。
図7に示すように、網戸左框53の上端部にもくびれ部53aが形成してあり、くびれ部53aの外周側にくびれ部53aよりも見込巾の広い係合部53bが設けてあり、係合部53bは網戸框上ガイド溝611c(
図8の上拡大
図F参照)にスライド自在に係合しており、網戸框上ガイド溝611cからの抜けが防止されている。
【0018】
(切除部に設けるガイド溝構成部品の構造)
図13に示すよう、網戸上枠61には切欠部61aが、網戸下枠62には切欠部62aが形成されており、これらの切欠部61a及び62aから網戸5の脱着が可能としてある。
図1に示すように、網戸下枠62の切欠部62aには、網戸5を装着するときの網戸ガイド溝を構成するガイド溝構成部品81が設けてある。ガイド溝構成部品81は、ガイド溝構成部品本体81aと、ガイド溝構成部品本体81aを支持する本体支持具81bから構成されている。
ガイド溝構成部品本体81aは、本体支持具81bに対して網戸下枠62の長手方向にスライド自在であり、スライドにより網戸5を脱着する網戸脱着開口82を開閉するものである。
【0019】
本体支持具81bは、支持具本体部821と、下枠12の樹脂下枠124(
図8参照)に脱着自在な取付爪822を備えている。
図3(a)に示すように、支持具本体部821には、その室内側上部に設けた上スライドガイド821aと室内側部に設けた横スライドガイド821bが形成されており、上スライドガイド821aは下枠12の長手方向に沿って上に突出した突条であり、横スライドガイド821bは下枠12の長手方向に沿って側部に突出した突条である。上スライドガイド821aの一端側(
図3(a)において左側)には、固定ストッパー823が支持具本体部821に一体に形成されている。
図1に示すように、上スライドガイド821aの他端側(
図1において右側)には脱着ストッパー824が設けてあり、
図3(a)に示すように脱着ストッパー824の装着位置には、係止穴821cが形成されている。係止穴821cは、ガイド溝構成部品本体81aのスライド方向に並んで複数(2つ)形成されている。
支持具本体部821の室外側には、網戸脱着開口82の左側壁部(
図3(a)において左側)を規定する開口壁部825が形成されている。
脱着ストッパー824は、
図3(c)に示すように、上スライドガイド821aに上から係合する係合溝824aが形成されている。また、
図3(d)に示すように、支持具本体部821の係止穴821c(
図3(a)参照)に係止する係止突起824bが形成されている。
図3(c)に示すように、脱着ストッパー824の室外側には、網戸框ガイド溝841(後述する)の室内側を規定する室内側規定部824eが形成されている。
【0020】
図3(b)に示すように、ガイド溝構成部品本体81aには、ガイド溝構成部831と、スライド操作部832とが設けてある。
ガイド溝構成部831は、本体支持具81bの横スライドガイド821b(
図3(a)参照)にスライド自在に係合する横スライド係合部831aと、本体支持具81bの室外側縁821d(
図3(a)参照)にスライド自在に係合する下スライド係合部831bとが形成されている。
【0021】
ガイド溝構成部品本体81aの上面には、網戸の下案部51b(
図5参照)が挿入される溝開口851が形成されている。溝開口851は、網状体51の下膨出部51dを案内する網状体ガイド溝853の開口であり、室内側開口壁851aと室外側開口壁851bとの間に形成されている。
室内側開口壁851aと室外側開口壁851bの上には、網戸框ガイド溝852が形成されている。この網戸框ガイド溝852は、ガイド溝構成部831の上部で室内側に突設する室外側規定部831cと、室内側開口壁851a及び室外側開口壁851bとの間に規定されており、網戸框53のくびれ部53aが室外側規定部831cに係合して網戸框53の係合部53bの移動を案内する(
図4参照)。
図1(a)に示すように、網戸框ガイド溝852と網状体ガイド溝853とは、これらのガイド溝の入口851cで連続している。
【0022】
図2に示すように、ガイド溝85の入口851cには、室外側ガイド溝構成部品85aと室内側ガイド溝構成部品85bとが設けられている。
室外側ガイド溝構成部品85aは、網戸脱着開口側端851dが内周側視円弧状に形成されており、網状体51の下縁部51b(
図1(a)参照)をガイド溝85の入口851cに挿入する際に、次第に滑らかに狭くなるように案内している。
室内側ガイド溝構成部品85bは、溝開口851の入口851cにおいて、室外側ガイド溝構成部品85aに向けて突設してあり、室外側ガイド溝構成部品85aとの間の溝開口851を規定している。
【0023】
尚、
図6及び
図7に示すように、上枠11に形成した切欠部61a(
図10参照)にも、下枠12の切欠部62aに設けたガイド溝構成部品81と同種の部品が設けてあるが、上枠11の切欠部61aに設けたガイド溝構成部品81は、上下の向きが異なるだけで同様であるから、同一の作用効果を奏する部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
(網戸の装着方法)
本実施形態において、網戸5を建具の枠体1に装着する方法を説明する。
図13に示すように、網戸上枠61及び網戸下枠62の内周にはそれぞれ対応する切欠部61a、62aが形成されおり、
図1(a)及び
図6(a)に示すように、各切欠部61a、62aに配置されているガイド溝構成部品81において、ガイド溝構成部品本体81aを本体支持具81bに対してスライドして開き、網戸脱着開口82を形成する。
網戸5の装着は、まず、
図13(a)(b)に示すように、網状体51を撓ませた状態にして網戸の左、右框53、54を、網戸上枠61の切欠部61aと網戸下枠62の切欠部62aに挿入する。
【0025】
次に、網戸右框54を網戸右枠64に固定した状態のまま、
図1に示すように、網戸左框53の上下の各係合部53bを、ガイド溝構成部品本体81aと本体支持具81bで構成する網戸脱着開口82から、溝開口の入口851c(
図2参照)に挿入した後、網戸框ガイド溝852に係合し、同時に網状体51において上縁部51a及び下縁部51bをそれぞれ溝開口851に入口851c(
図2参照)から挿入すると共に上膨出部51c及び下膨出部51dをそれぞれ網状体ガイド溝853に挿入する。
図2に示すように、室外側ガイド溝構成部品85aにおいて、溝開口851の入口851cでは、網状体51の上縁部51a及び下縁部51b(
図4参照)が、室外側ガイド溝構成部品85aの網戸脱着開口側端851dの内周側視円弧状面854に沿って案内され、狭い網状体の溝開口851に向けて次第に狭くなるように滑らかに導かれる。
そして、
図4及び
図7に示すように、網状体51の下縁部51b及び上縁部51aが、網状体の溝開口851に挿入され且つ膨出部51d、51cが網状体ガイド溝853に挿入された後、この状態のまま、
図1(a)に示すように、網戸框53を網戸枠63(
図13(b)参照)に向けてスライドし、室外側ガイド溝構成部品81を通過した後に、ガイド溝構成部品81に連続する網戸上枠61及び網戸下枠62の網状体ガイド溝611e、621eに移動してこれらの網戸ガイド溝をスライドする。
具体的には、
図8に示すように、網戸左框53は、上下の各係合部53bに対応する網戸框上ガイド溝611cと網戸框下ガイド溝621cに係合し、網状体51の上縁部51a及び下縁部51bは、網状体上縁部ガイド開口611f及び621fをスライドし、上膨出部51c及び下膨出部51dは網状体上縁部ガイド溝611e、621e内をスライドする。
【0026】
その後、
図9に示すように、網戸左框53を網戸枠63に当接させるとともに、網戸右框54を網戸框上、下ガイド溝611c、621c(
図8参照)に沿ってさらにスライドさせることにより、可撓性を有する網戸5を枠体1の網戸枠6の内周に徐々に展開して、網戸右框54を網戸右枠64に当接させて網戸5が張設される。
【0027】
上記のように、枠体1に網戸5が張設され、網戸の左、右框53、54を網戸左枠63の網戸左枠本体631及び網戸右枠64の網戸右枠本体641に当接された後、
図12に示すように、網戸5を引寄手段7で固定する。
ここで、引寄手段7について説明する。
図12に示すように、網戸の左、右框53、54が網戸左枠63及び網戸右枠64に当接された状態において、網戸の左、右框53、54と対向する網戸左枠63及び網戸右枠64の内周側見込面には、係合孔631e、641eが設けられている。
一方、網戸の左、右框53、54の外周側見込面には、係合孔631e、641eに対向する位置に引寄手段7が設けられている。
図12(a)で例示するように、引寄手段7は、網戸の左、右框53、54の外周側見込面から外周方向に向かって延設し、その後上方に屈曲する引寄部71と、引寄部71を網戸の左、右框53、54に固定するための裏板部72とから構成されており、網戸の左、右框53、54に対して上下動自在に設けられている。引寄部71のコーナー71eは、上方から下方に行くに従って網戸の左、右框53、54の外周側見込面に近接する、すなわち網戸の左、右框53、54の長手方向に対して内外周方向に変位する傾斜面71aとなっており、傾斜面71aに連続して係合部71bが形成されている。また、傾斜面71aに段差部71cを形成してある。
【0028】
そして、網戸左枠63及び網戸右枠64の内周側見込面に網戸5の左、右框53、54の外周側見込面が当接することにより、
図15(a)に示すように、係合孔631e、641eに引寄部71が挿入される。この状態で、引寄手段7を上方に操作することにより、
図12(b)に示す状態となり、引寄手段7の引寄部71の傾斜面71aが網戸左枠63及び網戸右枠64の係合孔631e、641eの上縁面の内周側から当接し、引寄手段7を上方へ操作するにしたがって、網戸の左、右框53、54が網戸左枠63及び網戸右枠64に徐々に引き寄せられる。
最終的には、
図16に示すように、網戸左枠63及び網戸右枠64の係合孔631e、641eの上辺を引寄手段7の引寄部71の係合部71bに係合させることにより、枠体1に対して可撓性を有する網戸5を緊張させた状態で張設固定することが出来る。
【0029】
なお、網戸5の幅寸法によっては、必ずしも網戸左枠63及び網戸右枠64の係合孔631e、641eの上縁面に対して引寄手段7の係合部71bが係合する必要はなく、引寄手段7の引寄部71の傾斜面71a(
図12参照)に対して係合孔631e、641eを係止させた状態で網戸5を緊張状態に張設することもできる。
網戸5の取付後には、
図1(a)に示すように、ガイド溝構成部品81は、ガイド溝構成部品本体81aを本体支持具81bの開口壁部825に向けてスライドして、
図1(b)に示すように、網戸脱着開口82を塞ぐ。
【0030】
以上のように、本実施形態においては、
図13に参照されるように、網戸5は可撓性を有する網状体51の左右両端が網戸縦枠63、64に張設固定されるものであるから、網戸5を巻き取って収納でき、梱包がコンパクトで輸送に有利である。
そして、
図8に示すように、網戸左框53及び網戸右框54は、上部と下部に設けた各係合部53aが対応する網戸框上ガイド溝611cと網戸框ガイド溝621c内に外れることなく確実に挿入され且つ保持されるので、枠体1に対して、可撓性を有する網戸5を簡単に設置し、簡単に取り外すことができる。
さらに、
図12に示すように、網戸5の左、右框53、54は、対応する網戸左枠63、網戸右枠64に左引寄手段7により引寄せて、張設固定することが出来るので網戸5の左右の側端に隙間が生じることを防止することができる。
また、引寄手段7の傾斜面71aに段差部71cを形成することにより、網状体51の伸び等により張力が変化した場合でも網戸5を緊張させた状態で張設固定できるとともに、網戸5ごとに異なる寸法誤差があっても張設固定できる。
【0031】
図2に示すように、切欠部61a及び62a(
図10参照)に設けたガイド溝構成部品81において、ガイド溝851の入口851cでは、ガイド溝85の長手方向に向けて網状体51を導く内周側視円弧状面854を有する室外側ガイド溝構成部品85aを設けているので、狭い網状体の溝開口851に網状体51の縁部51a、51bを容易に導くことができる。
図1(a)に示すように、網戸5を装着するときには、ガイド溝構成部品81を本体支持具81bに対してスライドして網戸脱着開口82を開き、
図1(b)に示すように、網戸5の装着後は、網戸脱着開口82を閉じるので、障子2を開けたときに、上枠11に形成した切欠部61a及び下枠12に形成した切欠部62aが目立ち難くくなるから、外観が良い。
【0032】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、室外側ガイド溝構成部品85aは、それぞれ、網戸下枠62の網状体下縁部ガイド溝621eを構成する室外側壁部621b(
図8の拡大図(E)参照)に直接装着し、室内側ガイド溝構成部品85bは同様に網状体下縁部ガイド溝621e(
図8の拡大図(E)参照)の室内側壁部621aに直接装着して用いても良い。
枠体1は左右縦枠13、14に、内周方向に開口する網状体ガイド溝611f、621c、網戸框ガイド溝611、c621c、切欠部61a、62a(
図10参照)を設けて、網戸5は、網状体51の上縁と下縁に対応する上框及び下框を設けて、網戸5を上下にスライドして取り付ける構成にしても良い。
障子2は、縦滑り出し窓に限らず、外倒し窓であっても良く、窓種は限定されない。
図12に参照されるように、引寄手段7において、引寄部71は、室内側に向けて角度を形成して設け、左右の網戸框54、53を同じ方向に傾斜した場合に、係合孔641e、631eに係合し易くしても良い。
【符号の説明】
【0033】
10 建具
1 枠体
11 上枠(枠材)
12 下枠(枠材)
13 左縦枠(枠材)
14 右縦枠(枠材)
5 網戸
51 網状体
51a 上縁部
51b 下縁部
53 網戸左框
54 網戸右框
61a、62a 切欠部
85a 室外側ガイド溝構成部品
85b 室内側ガイド溝構成部品
852 網戸框ガイド溝
853 網状体ガイド溝
854 内周側視円弧状面