【図1】
肝細胞機能から予備能は十分高いと予想されながら、非実質細胞機能の極度の低下から肝切術後に肝不全に陥る病態も存在する。一例として図1に肝移植における冷保存/温再灌流障害を示す。冷保存6, 24時間の2群間で、血流再開後の肝逸脱酵素(=肝細胞障害)に有意差はなかったが、ADAMTS13活性は非常に鋭敏にグラフト肝の冷保存時間に逆相関していた。これは、冷虚血再灌流は肝細胞より類洞壁細胞でより障害が強いことの査証である。
【図2】
図2は、大腸がん化学療法後の肝障害の本態が肝非実質細胞障害であることを示す図である。肝細胞障害(AST/ALTなど)も軽微で、蛋白合成能、凝固能といった肝細胞機能は正常範囲内だったが、そのADAMTS13活性はなんと正常肝の12%まで低下していた。これが現代医療ではほとんど評価されることのない肝非実質細胞障害であり、大腸癌の転移性肝腫瘍に対する肝切除後に肝機能不全を来す主因の一つである。NC:正常肝;A24:モノクロタリン投与24時間後;A48:モノクロタリン投与48時間後;T24:モノクロタリン+治療薬投与24時間後;T48:モノクロタリン+治療薬投与48時間後
【図3】
図3は、血中ADAMTS13活性が肝不全の程度(MELD: Model for End-stage Liver Disease, Child-Pugh: チャイルド分類)と逆相関する臨床データを示す図である。
【図4】
図4は、生体肝移植後早期にADAMTS13活性が著減することを示す図である。
【図5】
図5は、肝移植後のADAMTS13活性を小児と成人とで比較したデータを示す図である。
【図6】
図6は、成人例の検討でも、相対的過小グラフトではADAMTS13活性の回復がさらに遅延することを示す図である。
【図7】
図7は、肝移植後早期には、vWF活性の著増とADAMTS13活性の著減が併存することを示す図である。
【図8】
図8は、肝移植後にvWF/ADAMTS13不均衡が存在することを示す図である。
【図9】
図9は、肝虚血/再灌流障害におけるADAMTS13の役割を調べるための実験手順を示す模式図である。
【図10】
図10Aは、肝虚血再灌流により、vWF活性の著増とADAMTS13活性の著減が併存することを示す定量的RT-PCRの結果を示す図である。図10Bは、70%部分肝虚血再灌流により、血中ADAMTS13活性値は30%前後まで低下し、24時間後においても回復してこないことを示す図である。
【図11】
図11は、実験4群における再灌流後の血漿ADAMTS13活性(A)およびIRI後の末梢血中の血小板数(B)を示す図である。末梢血血小板数は、血漿ADAMTS13活性値に比例する(血中ADAMTS13活性が高いほど、末梢血血小板数は維持される)ことが証明された。
【図12】
図12は、肝虚血再灌流後の肝組織に対するCD42B蛍光免疫染色を示す写真である(肝組織中の血小板が赤色に蛍光濃染されている)。ADAMTS13ノックアウトマウスでは、野生型に比して肝内に多量の血小板凝集を起こしているが、組換えADAMTS13を投与することによって、ノックアウトマウスでも野生型でも肝内の血小板凝集が顕著に改善することが示されている。
【図13】
図13左は、画像解析ソフト(Image-J, NIH, 米国)を用いて、図12の血小板蛍光免染を定量化したものであり、ノックアウトマウスおよび野生型マウスでの多量の血小板凝縮が組換えADAMTS13を投与することによって顕著に改善することを示す図である。図13右は、Laser Doppler Flowmeter (O2C, LEA社、ドイツ)にて計測した肝組織血流(微小循環)の計測結果を示す図である。肝組織への血小板血栓の形成に逆相関して、肝組織血流(微小循環)が改善している。
【図14】
図14は、IRI後のトランスアミナーゼ放出(AおよびB)およびLDH放出(C)を示す図である。ADAMTS13ノックアウトマウスでは、野生型に比して肝障害が増悪しているが、組換えADAMTS13を投与することによって、ノックアウトマウスでも野生型でも肝障害が有意に改善することが示された。
【図15】
図15は、肝虚血再灌流後の肝組織像を示す写真である。ノックアウトマウスおよび野生型マウスでの組織損傷が、共に組換えADAMTS13によって改善されている。
【図16】
図16は、ノックアウトマウスおよび野生型マウスでの組織損傷が組換えADAMTS13によって改善されることを示す図である。
【図17】
図17は、ADAMTS13がIRI後の炎症性サイトカイン発現(TNFα, IL-1β, IL-6, IL-10)、ケモカイン発現(CXCL-2, -10)を抑制することを示す図である。
【図18】
図18は、ノックアウトマウスおよび野生型マウスでのマクロファージ(単核球)の浸潤が組換えADAMTS13によって改善されることを免疫組織学的に示す写真および図である。
【図19】
図19は、ノックアウトマウスおよび野生型マウスでの好中球の浸潤が組換えADAMTS13によって改善されることを免疫組織学的に示す写真および図である。
【図20】
図20は、ノックアウトマウスおよび野生型マウスでのアポトーシスによる細胞死が組換えADAMTS13によって減少することを免疫組織学的に示す写真および図である。
【図21】
図21は、ラットにおける20%部分肝移植モデルの術中写真である。
【図22】
図22は、20%部分肝移植モデルに組換えADAMTS13(W688X)を投与後のADAMTS13活性を示す図である。
【図23】
図23は、20%部分肝移植後のLDH放出(A)および血小板減少症(B)を示す図である。ADAMTS13投与群で、両者共に改善されている。
【図24】
図24は、20%部分肝移植後のCD42B蛍光免疫染色を示す写真および図である(肝組織中の血小板が赤色に蛍光濃染されている)。20%部分肝移植モデルに組換えADAMTS13を投与することによって、移植肝内への血小板凝集が著減されている。
【図25】
図25は、20%部分肝移植後のトランスアミナーゼ放出を示す図である。組換えADAMTS13の投与により、肝障害が有意に抑制されている。
【図26】
図26は、20%部分肝移植モデルに組換えADAMTS13を投与することによって、病理学的にも移植肝の健常性が維持されたことを示す写真および図である。
【図27】
図27は、血小板凝集を引き起こすvWFの移植肝 免疫組織染色を示す写真および図である。移植後の肝組織では、(本来は発現のない)vWFが類洞に過剰発現していること、また、20%部分肝移植モデルに組換えADAMTS13を投与することによって、血小板凝集の核となるvWFの発現が著減されたことが示されている。
【図28】
図28は、20%部分肝移植モデルに組換えADAMTS13を投与することによって、サイトカイン(IL-1β, IL-6, TNFα)や血管収縮物質 (Endothelin-1) が著減されたことを示す図である。