(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】サンドイッチ包装用袋、サンドイッチ包装体およびサンドイッチの包装方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
B65D85/50 100
(21)【出願番号】P 2019116411
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】509009038
【氏名又は名称】アイワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一郎
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-035673(JP,A)
【文献】特開2017-030841(JP,A)
【文献】登録実用新案第3219989(JP,U)
【文献】特開2004-196323(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0134810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1紙シートおよび第2紙シートが重なり合って形成された等脚台形状の食品収容部と、等脚台形状の短辺側に沿って食品収容部に隣接した耳部と、等脚台形状の長辺側に沿って食品収容部に隣接した折り畳み部とを有し、
略等脚台形状の短辺および斜辺に沿って食品収容部の第1紙シートおよび第2紙シートが接続された接続部と、長辺に沿った非接続部が形成され、
第1紙シートの食品収容部である等脚台形状の上辺を一辺とする長方形の内部において設けられた切り抜き部と、その切り抜き部に第1紙シートの裏面から取り付けられた透明シートにより窓部が形成されていて、
第1紙シートおよび第2紙シートは外側の面に耐水性を有する紙シートであ
り、
第1紙シートと第2紙シートの少なくともいずれかの非接続部側には三角サンドイッチの底面の上に折り畳むための折り曲げ誘導線が形成されているサンドイッチ包装用袋。
【請求項2】
三角サンドイッチを収納したときに三角サンドイッチの垂直面と底面により形成される辺に沿って当たる位置に設けられた第1の折り曲げ誘導線と、第1の折り曲げ誘導線の両端部付近から45度の角度で外向きに設けられた第2の折り曲げ誘導線を有する請求項1に記載のサンドイッチ包装用袋。
【請求項3】
プレスによって第1の折り曲げ誘導線と第2の折り曲げ誘導線が第1紙シートと第2紙シート3の同じ位置に形成されてしている請求項2に記載のサンドイッチ包装用袋。
【請求項4】
第1紙シートおよび第2紙シートには内側の面にラミネート加工が施されている
請求項1から請求項3のいずれかに記載のサンドイッチ包装用袋。
【請求項5】
第1紙シートおよび第2紙シートの内側のラミネート層と透明シートは生分解性プラスチックを素材とする請求項
4に
記載のサンドイッチ包装用袋。
【請求項6】
第1紙シートは略長方形の切り抜き部を有し、等脚台形状の上辺と切り抜き部の上辺の間に10mm以上25mm以下の間隔があり、切り抜き部の下辺と第2の折り線の間に10mm以上25mm以下の間隔がある請求項1から請求項5のいずれかに記載のサンドイッチ包装用袋。
【請求項7】
第2紙シートの等脚台形状の短辺を一辺とする長方形の内部において長方形の上辺付近または下辺付近に水平に設けられた水平分断誘導線と、水平分断誘導線の両端から垂直に設けられた垂直分断誘導線によりなる分断誘導部が形成されており、
分断誘導部の上に設けられた開封用シートを有する請求項1から請求項
6のいずれかに記載のサンドイッチ包装用袋。
【請求項8】
外側の面に耐水性を有する第1紙シートおよび第2紙シートが重なり合って形成された等脚台形状の食品収容部と、等脚台形状の短辺側に沿って食品収容部に隣接した耳部と、等脚台形状の長辺側に沿って食品収容部に隣接した折り畳み部とを有し、略等脚台形状の短辺および斜辺に沿って食品収容部の第1紙シートおよび第2紙シートが接続された接続部と、長辺に沿った非接続部が形成され、
第1紙シートおよび第2紙シートには内側の面に生分解性プラスチックを素材とするラミネート加工が施されていて、
第1紙シートの非接続部側には三角サンドイッチの上に折り畳むための折り曲げ誘導線が形成されていて、
第1紙シートの食品収容部である等脚台形状の上辺を一辺とする長方形の内部において略長方形の切り抜き部を有し、等脚台形状の上辺と切り抜き部の上辺の間に10mm以上25mm以下の間隔があり、切り抜き部の下辺と第2の折り線の間に10mm以上25mm以下の間隔があり、
切り抜き部に第1紙シートの裏面から取り付けられた生分解性プラスチックを素材とする透明シートにより窓部が形成されていて、
第2紙シートの等脚台形状の短辺を一辺とする長方形の内部において長方形の上辺付近または下辺付近に水平に設けられた水平分断誘導線と、水平分断誘導線の両端から垂直に設けられた垂直分断誘導線によりなる分断誘導部が形成されており、分断誘導部の上に設けられた開封用シートを有するサンドイッチ包装用袋に直角三角形のサンドイッチが包装されたサンドイッチ包装体であり、
直角三角形のサンドイッチの斜辺に沿った面の上下においてパンの間に具材がはさまれていない箇所が等脚台形状の上辺と切り抜き部の上辺の間の間隔および切り抜き部の下辺と第2の折り線の間の間隔によって覆われていて外部から観察されないようになしたサンドイッチ包装体。
【請求項9】
請求項2に記載のサンドイッチ包装用袋を使用したサンドイッチの包装方法であり、
直角三角形のサンドイッチをサンドイッチの斜辺に沿った面が第1紙シートに当たり、垂直な面が第2紙シートに当たるような向きで頂点側からサンドイッチ包装用袋に挿入し、サンドイッチの垂直な面の上に出ている面をサンドイッチの背面と底面が交差する辺に沿って折り込み、第2紙シートの幅中央部をサンドイッチの底面の上に被せ、サンドイッチの側面の上に出ている面を第2の折り曲げ誘導線で折り曲げ、
サンドイッチの側面の上に出ている面を折り込み、サンドイッチの底面の上に被せ、残ったサンドイッチの斜面の上に出ている面を折り込み、折り畳たみ部分の端部にシールや粘着テープを貼って封止するサンドイッチの包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直角三角形状のサンドイッチを包装するための食品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
直角三角形の形状をしたサンドイッチは、プラスチックフィルムでできた包装袋に収納され、店頭に陳列されている。特許文献1などには、このような直角三角形のサンドイッチを収納する包装袋が記載されている。
【0003】
特許文献1のサンドイッチ用包装体は、第1プラスチックシートと第2プラスチックシートを有し、第1プラスチックシートと第2プラスチックシートは同形の等脚台形部を有し、等脚台形部の斜辺部および上辺部には第1プラスチックシートと第2プラスチックシートの接続部が所定の幅で形成され、等脚台形部の下辺部は第1プラスチックシートと第2プラスチックシートが接続されていない開口部となっている。そして、中央部にはカットテープや開封用の第3シートなどの開封補助部材が設けられ、開封を容易にしている。
【0004】
また、引用文献2には、紙質シートを長方形状に切り出し、長尺のプラスチックシートの上に接続し、これを裁断あるいは溶断して三角形状の食品の食品包装袋にすることが記載されている。これによって、重厚感が増し、高級感が漂うものとなるとしている(同文献0019)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-30841号公開特許公報
【文献】特開2005-35673号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のプラスチックシートにより作られるサンドイッチ用包装材などは、等脚台形の食品収容部を有し、ここに直角三角形のサンドイッチを入れて包装する。直角三角形のサンドイッチの形状に沿ってほどんと隙間なくきれいに包装できる。また、カットテープなどの開封補助部材が設けられているので、簡単に開封でき、その開口部より、中のサンドイッチを取り出すことができる。さらに、透明なプラスチックシートによりなるので、内部のサンドイッチが容易に観察できる。
【0007】
しかし、プラスチック製の容器は使用後には、可燃物と分別して廃棄しなければならい。また、回収されなかったプラスチックは環境に流出し、海洋汚染の原因物質の一つともなっており、生態系への悪影響も問題化している。
【0008】
特許文献2に記載の食品包装袋は、プラスチックシートに加えて紙質シートを使用している。しかし、特許文献2は重厚感が増し高級感が漂うことを目的とするものである。同文献0030に示すように、紙質シート帯を所定長さに裁断し、裁断された紙質シートをプラスチックシートに重ね合わせるのでは、プラスチックの使用量は減らず、さらに紙質シートの分だけ廃棄物は増加することになる。同文献0034以降には、プラスチックシート帯と紙質シート帯をそれぞれ原反ロールから繰り出し、カッターによりそれぞれ所定長さに裁断し、裁断されたプラスチックシートの端部と裁断された矩形状の紙質シートの端部とを重ね合わせた状態で該部分をヒートシールバーにてシールすることにより、矩形状のプラスチックシートと矩形状の紙質シートとを交互に接合して表シート帯を形成することが記載されている。しかし、このような矩形状のプラスチックシートと矩形状の紙質シートとを交互に接合していく工程は実際には可能でなく、仮に実施するにしても極めて複雑かつ大規模な設備と工程になってしまう。また、矩形状のプラスチックシートと矩形状の紙質シートとを交互に接合したシート帯では、透明部分を窓状に形成することができず、食品の見え方を自由に選択することはできない。また、紙シートは水分が付着・吸収されると硬さを保つことができず、変形などが生じる。さらに、紙シートを使用した袋体はプラスチックフィルムよりも固くてカットテープなどでは開封が行いにくく、また直角三角形状のサンドイッチを収納した後に折り畳んで封止するにするのに手間がかかる。
【0009】
この発明は、廃棄処分が容易で、環境への悪影響が少なく、直角三角形状のサンドイッチを収納しやすく、サンドイッチが美しく観察できる包装体を形成できる包装袋およびサンドイッチ包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明のサンドイッチ包装用袋は、第1紙シートおよび第2紙シートが重なり合って形成された等脚台形状の食品収容部と、等脚台形状の短辺側に沿って食品収容部に隣接した耳部と、等脚台形状の長辺側に沿って食品収容部に隣接した折り畳み部とを有し、
略等脚台形状の短辺および斜辺に沿って食品収容部の第1紙シートおよび第2紙シートが接続された接続部と、長辺に沿った非接続部が形成され、
第1紙シートの食品収容部である等脚台形状の上辺を一辺とする長方形の内部において設けられた切り抜き部と、その切り抜き部に第1紙シートの裏面から取り付けられた透明シートにより窓部が形成されていて、
第1紙シートおよび第2紙シートは外側の面に耐水性を有する紙シートである。
【0011】
上記の構成に加えて、第1紙シートおよび第2紙シートには内側の面にラミネート加工が施されていることが好ましい。また、第1紙シートおよび第2紙シートの内側のラミネート層と透明シートは生分解性プラスチックを素材であることが好ましい。
第1紙シートの非接続部側には三角サンドイッチの底面の上に折り畳むための折り曲げ誘導線が形成されていることが好ましい。
第1紙シートは略長方形の切り抜き部を有し、等脚台形状の上辺と切り抜き部の上辺の間に10mm以上25mm以下の間隔があり、切り抜き部の下辺とサンドイッチの斜面下端位置の間に10mm以上25mm以下の間隔があることが好ましい。
第2紙シートの等脚台形状の短辺を一辺とする長方形の内部において長方形の上辺付近または下辺付近に水平に設けられた水平切断誘導線と、水平切込み線の両端から垂直に設けられた垂直切断誘導線によりなる切断誘導部が形成されており、分断誘導部の上に設けられた開封用シートを有することが好ましい。
【0012】
さらにこの発明のサンドイッチ包装体は、外側の面に耐水性を有する第1紙シートおよび第2紙シートが重なり合って形成された等脚台形状の食品収容部と、等脚台形状の短辺側に沿って食品収容部に隣接した耳部と、等脚台形状の長辺側に沿って食品収容部に隣接した折り畳み部とを有し、略等脚台形状の短辺および斜辺に沿って食品収容部の第1紙シートおよび第2紙シートが接続された接続部と、長辺に沿った非接続部が形成され、
第1紙シートおよび第2紙シートには内側の面に生分解性プラスチックを素材とするラミネート加工が施されていて、
第1紙シートの非接続部側には三角サンドイッチの上に折り畳むための折り曲げ誘導線が形成されていて、
第1紙シートの等脚台形状の短辺を一辺とする長方形の内部において略長方形の切り抜き部を有し、等脚台形状の上辺と切り抜き部の上辺の間に10mm以上25mm以下の間隔があり、切り抜き部の下辺と下辺とサンドイッチの斜面下端位置の間に10mm以上25mm以下の間隔があり、
切り抜き部に第1紙シートの裏面から取り付けられた生分解性プラスチックを素材とする透明シートにより窓部が形成されていて、
第2紙シートの等脚台形状の短辺を一辺とする長方形の内部において長方形の上辺付近または下辺付近に水平に設けられた水平切断誘導線と、水平切断誘導線の両端から垂直に設けられた垂直切断誘導線によりなる切断誘導部が形成されており、切断誘導部の上に設けられた開封用シートを有するサンドイッチ包装用袋に直角三角形のサンドイッチが包装されたサンドイッチ包装体であり、
直角三角形のサンドイッチの斜辺に沿った面の上下においてパンの間に具材がはさまれていない箇所が等脚台形状の上辺と切り抜き部の上辺の間の間隔および切り抜き部の下辺と第2の折り線の間の間隔によって覆われていて外部から観察されないようになっている。
【発明の効果】
【0013】
この発明のサンドイッチ包装用袋は、焼却可能でありまた環境中で分解しやすい紙を主要素材にしており、プラスチックの使用量が少なく、環境への悪影響が小さい。第1紙シートおよび第2紙シートは外側の面に耐水性を有し、サンドイッチ包装体の移動や陳列において、形状を保持することができる。折り線を有するので、包装時には簡単に袋体の口を折り畳むことができる。窓の位置や形状を選択でき、直角三角形のサンドイッチの斜辺に沿った面を商品価値が高まるように見せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】第1紙シートおよび第2紙シートの構造を模式的に示す一部拡大断面図である。
【
図14】サンドイッチの包装方法の例を示す斜視図である。
【
図16】サンドイッチ包装体の開封方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1はサンドイッチ包装用袋を示す正面図、
図2は同背面図、
図3は同A-A縦断面図、
図4は同B-B横断面図、
図5は第1紙シートおよび第2紙シートの構造を模式的に示す一部拡大断面図である。なお、このサンドイッチ包装用袋を構成する各シートは薄いシートであるが、断面図においては、構成をわかりやすくするために、厚さを強調して表現している。特に
図5では実際よりも厚さを誇張して表現している。
【0016】
サンドイッチ包装用袋1の本体部は、ほぼ外形が同じ第1紙シート2と第2紙シート3の重ね合わせにより形成されている。第1紙シート2および第2紙シート3はいずれも薄い食品包装用の紙シートであり、外側の面に耐水性を有する。紙自体に耐水性を有するものを用いてもよいが、本例では、耐水性のある材料を外側の面にコーティングすることにより耐水性を持たせている。第1紙シート2と第2紙シート3のそれぞれ内側を向く面には薄いプラスチック膜のラミネート加工が施されている。このラミネート層23はポリエステルやポリプロピレンなどでもよいが、生分解性プラスチックを使用することが好ましい。第1紙シート2および第2紙シート3はいずれも紙シートであるので、不透明である。
【0017】
サンドイッチ包装用袋1は、上辺が下辺より短い等脚台形の形状をした食品収容部4を有する。この食品収容部4において、上辺5および側部の斜辺6では第1紙シート2と第2紙シート3が接続されている。接続は接着剤によってもよいが、本例では第1紙シート2と第2紙シート3のそれぞれ内側を向く面にラミネート加工しているので、ヒートシールによって接続している。一方、下辺7では第1紙シート2と第2紙シート3は接続されていない。したがって、食品収容部4は下辺7のみが開いた袋形状になっており、この中にサンドイッチを収容できるようになっている。したがって、食品収容部4の形状は収容されるサンドイッチの形状に対応している。このサンドイッチ包装用袋1には、直角三角形のサンドイッチが収容されるが、上辺5はサンドイッチの厚さとほぼ同じか若干広めになっており、斜辺6の垂線に対する角度θはサンドイッチの頂点の角度2θの半分になっている。
【0018】
食品収容部4の上部には耳部8が設けられ、下部には折り畳み部9が設けられている。この耳部8と折り畳み部9の形状には特に制限はないが、ここでは耳部8は概ね長方形状とし、折り畳み部9は下側が狭くなる等脚台形状になっている。
【0019】
図6は第1紙シートを示す正面図、
図7は同背面図、
図8は同C-C縦断面図、
図9は同D-D横断面図である。また、
図10は第2紙シートを示す正面図、
図11は同背面図、
図12は同E-E縦断面図は、
図13は同F-F横断面図である。第1紙シート2と第2紙シート3はほぼ同じ外形であり、食品収容部4を形成する等脚台形状の部分と、その上の耳部8を形成する長方形状の部分と、下の折り畳み部9を形成する等脚台形状の部分を有する。この第1紙シート2と第2紙シート3により袋体が形成される。
【0020】
第1紙シート2には、切り抜き部10が形成されている。この切り抜き部10は、等脚台形状の中央部に設けられており、特に等脚台形状の上辺7を一辺とする長方形の内部に収まっている。ここで、切り抜き部10は閉じた線によって囲まれる範囲内にある。したがって、切り抜き部10の下には、第1紙シート2が切り抜かれていない部分が存在する。そして、この切り抜き部10には透明シート11が取り付けられていて、これにより窓部が形成されている。この切り抜き部10は、等脚台形状の上辺7を一辺とする長方形の大部分を占めるような形状でもよいが、その一部であってもよい。本例では、切り抜き部10は長方形であり、その幅は長方形部の幅の60%以上である。長さは、包装時に切り抜き部10をサンドイッチの斜辺に沿った面(サンドイッチの切断面)に合せたときに、サンドイッチの切断面の上部および下部は入らない程度に設定されている。この場合、等脚台形状の上辺と切り抜き部の上辺の間に10mm以上25mm以下の間隔があり、切り抜き部の下辺と下辺とサンドイッチの斜面下端位置の間に10mm以上25mm以下の間隔があるように設定することが好ましい。特に、上下とも20mm以上25mm以下の間隔にすることが多くのサンドイッチにおいて好ましく、サンドイッチの斜面の上下の端部を覆うとともに、サンドイッチの具材のある部分が効果的に示される。本例では、間隔は22mmに設定している。この切り抜き部10によって形成される窓部によって内部のサンドイッチが観察されるので、購買意欲を促進できるような表示が好ましい。
【0021】
また窓の別の携帯としては、切り抜き部は長方形以外にも、円形、横長の楕円形などであってもよく、また、複数設けられてもよい。できるだけ小さくすることによって、透明シート11を小さくすることもできる。あるいは逆に、できるだけ大きくし、サンドイッチの斜辺に沿った面のうち、上端部および下端部を除いたほぼ全域をカバーするようにしてもよい。
【0022】
透明シート11はポリプロピエンや生分解性プラスチックなどの透明な食品包装用のプラスチックフィルムである。ここで、第2紙シート3に対向した第1紙シート2の面に透明シート11が取り付けられている。したがって、透明シート11はサンドイッチ包装用袋1の内側に設けられる。
【0023】
本例では、第1紙シート2および第2紙シート3の内側のラミネート層23と透明シート11は酸化分解型分解性プラスチックを素材としている。ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂に酸化分解促進剤を添加したものである。これにより低コストで生分解性プラスチックが得られ、酸化分解促進剤の添加量によって酸化崩壊開始時期をコントロールすることができる。ここでは、サトウキビ由来のバイオプラスチック樹脂であるポリエチレンに酸化分解促進剤を添加した樹脂を使用している。
【0024】
第2紙シート3には、開封補助部材が設けられることが好ましい。特に、等脚台形状の上辺7を一辺とする長方形部の内部にカットテープや開封用シートなどの開封補助部材が設けられることが好ましい。本例では、第2紙シート3には、分断誘導部12が形成されている。この分断誘導部12は、等脚台形状の中央部に設けられており、特に等脚台形状の上辺5を一辺とする長方形の内部に収まっている。さらに、この分断誘導部12は、長方形部の上辺付近または下辺付近に水平に設けられた水平分断誘導線13と、水平分断誘導線13の両端から垂直に設けられた垂直分断誘導線14により、コの字状に構成されている。ここでは、水平分断誘導線13は下側に設けられている。
【0025】
水平分断誘導線13と垂直分断誘導線14は、その線に沿って第2紙シート3が分断されうるように誘導するものであり、その線に沿って完全に切り離されていてもよいが、切り離された部分と接続された部分が交互に繰り返されるような部分切断線やミシン目などであってもよい。本例では、本例では水平分断誘導線13や垂直分断誘導線14はミシン目によって形成している。つまり、上側が開いたコの字状の分断誘導部になり、この中に囲まれた部分の上辺の近くにはおいては分断誘導線は設けられておらず、第2紙シート3の他の部分とつながっている。この分断誘導部12は、なるべく大きく形成することが好ましく、中に収容されるサンドイッチを取り出すのに十分な広さにする。特に水平分断誘導線13は後述の第1の折り線21のやや上側に設けられることが好ましい。
【0026】
開封用シート15は、第2紙シート3の分断誘導部12を覆うための覆い部16と、その下に設けられるつまみ部17を有する。覆い部16は概ね長方形であり、分断誘導部12よりも若干広め、すなわち、分断誘導部12の外側に接続部を形成できるだけの大きさを有する。
【0027】
第2紙シート3と開封用シート15は接着剤などにより接続されている。あるいは、第2紙シート3か開封用シート15のいずれかの接続部付近にラミネート加工や熱溶着性材料の塗布などを行って、ヒートシールにより接続してもよい。分断誘導部12の内側において第2紙シート3と開封用シート15が接続されている内側接続部18が設けられている。そして、その外側には、分断誘導部12に沿った第2紙シート3と開封用シート15が接続されていない非接続部19が設けられ、さらに、分断誘導部14の外側において第2紙シート3と開封用シート17が接続されている外側接続部20が形成されている。この外側接続部20は分断誘導部12を囲むように形成されており、これによって、分断誘導部12の周囲を閉鎖しており、分断誘導部12を通って空気が出入りできないようになっている。また、開封用シート15の下部のつまみ部17は第2紙シート3に接続されていない。
【0028】
第1紙シート2と第2紙シート3の少なくともいずれかの非接続部側には三角サンドイッチの底面の上に折り畳むための折り曲げ誘導線が設けられている。この線に沿ったシートの折り曲げを容易にする処理であればよいが、たとえばプレス処理などによって、細い溝を形成することができる。サンドイッチ包装用袋に三角サンドイッチを収納したときに、第1紙シート2と第2紙シート3の非接続部側にはシートの余った部分が生じ、この部分を三角サンドイッチの底面の上に折り畳むことによって、包装体を封止する。やわらかいパンの上に硬い紙シートを折り曲げる作業が、折り曲げ誘導線により容易になる。この折り畳み方に合った折り曲げ誘導線が選択できる。
【0029】
本例では、第2紙シート3に折り曲げ誘導線が設けられている。開封用シート15の下辺付近に水平な第1の折り曲げ誘導線21が設けられている。これは、サンドイッチ包装用袋に三角サンドイッチを収納したときに三角サンドイッチの垂直面と底面により形成される辺に沿って当たる位置になっている。そして、この第1の折り曲げ誘導線21の両端部付近から45度の角度で外下向きに第2の折り曲げ誘導線22がハの字状に設けられている。なお、この折り曲げ誘導線の形成工程を簡易化するために、第1紙シート2と第2紙シート3が重なった状態でプレス等によって第1の折り曲げ誘導線21と第2の折り曲げ誘導線22を形成しているため、第1紙シート2にも同じ位置に折り曲げ誘導線が形成されている。
【0030】
ついで、このサンドイッチ包装用袋1の使用方法の例について説明する。
図14はサンドイッチの包装方法の例を示す概念的な斜視図である。包装用袋1の下部は開いているので、ここから袋体を広げ、収納される直角三角形のサンドイッチの形状にする。
【0031】
サンドイッチxを挿入する。サンドイッチxの直角三角形の頂点側から挿入し、奥まで入れる。このとき、サンドイッチxの斜辺に沿った面(斜面)x1が第1紙シート2に当たり、垂直な面x2が第2紙シート3に当たるような向きで入れる。こうして
図14(a)に示すような状態になる。
図14においてはサンドイッチ包装用袋の開口部側を上向きに表しており、サンドイッチxの底面x3が上向きに表れている。サンドイッチ包装用袋の下部の余った部分はサンドイッチxの底面x3の上に、四面の壁のように立っている。この四面の壁のような紙シートの部分をキャラメル折りにして折り畳む。本例では、サンドイッチxの背面、すなわち垂直x2な面の上に出ている面1をサンドイッチxの背面x2と底面x3が交差する辺x4に沿って折り込み、第2紙シート3の幅中央部をサンドイッチxの底面x3の上に被せる。このとき、サンドイッチxの側面x5の上に出ている面2の一部も折られて、
図14(b)に示すような状態になる。ここで、この面2の折り曲げ位置には第2の折り曲げ誘導線22が設けられているので、簡単に折り曲げられ、
図14(b)に示す形状が正確に実現される。こうして、キャラメル折りの最初の工程が円滑に実施される。
【0032】
ついで、サンドイッチxの側面x5の上に出ている面2を折り込み、サンドイッチxの底面x3の上に被せる。最後に残ったサンドイッチxの斜面x1の上に出ている面3を折り込みキャラメル折りが完了する。折り畳たみ部分の端部にシールや粘着テープを貼って、封止する。こうして、サンドイッチ包装体が形成される。
【0033】
図15はサンドイッチ包装体を示す斜視図である。三角サンドイッチxは、通常は正方形または長方形の2枚またはそれ以上のパンの間に具材を挟みこむことによって作られ、その後、対角線に沿って2つに切断される。こうして、複数の直角三角形のパンが重なり合ったサンドイッチができる。斜辺に沿った面x1が切断面であり、パンの間に挟まれた具材が観察される。さらに、その斜面x1の上下端部よりも、中央部の方がよく具材を観察できる。特に本例では、サンドイッチの切断面x1の大部分に渡って窓部10が設けられているので、具材のある部分がよく観察できる。この包装サンドイッチxは、斜辺に沿った面x1を前に向けて店内に陳列される。こうして、透明シート11を介してサンドイッチの具材を消費者に見せることによって、購入意欲を喚起できる。また、消費者としても、具材を見ることによって、自分が食べたいサンドイッチを的確に選択できる。
【0034】
一方、窓部10はサンドイッチの切断面x1の上下端までは伸びていない。この部分は紙シートが切り抜かれていない間隔部24である。サンドイッチの角部は柔らかく、若干の変形が生じる場合もある。また、具材は中央部に多く挟まれており、端部側では少なめになり、最端部では具材が挟まれていない。本例であれば、その部分は覆われて、窓部に現れない。したがって、サンドイッチの商品価値が高い部分を魅力的に見せることができる。
【0035】
包装したときに、この切断面ではない垂直な面x2は開封用シート15を設けられた位置になる。包装体の分断誘導部12と開封用シート15は三角サンドイッチの垂直な面x2に合わせられた位置になり、水平分断誘導線18とつまみ部17は三角サンドイッチの直角部付近に合わせられた位置になる。
【0036】
サンドイッチxには、パンの間に野菜や調味料を含む食材が具材として挟まれており、水分や油分が第1紙シート2および第2紙シート3の内面に付着しうる。第1紙シート2および第2紙シート3には内側の面にラミネート加工を施すことによって、付着した水分や油分がシートの内部に進入することが防止され、清潔であるとともに包装体の強度が維持される。また、第1紙シート2および第2紙シート3は外側の面に耐水性を有する紙シートであるので、外部の水分や湿度によっても強度を失わず、サンドイッチ包装用袋はその形状を保つことができる。
【0037】
図16はサンドイッチ包装体の開封方法を示す斜視図である。このサンドイッチ包装用袋は、つまみ部17を指でつまんで開封用シート15を第2紙シート3から引きはがすことによって簡単に開封を行うことができる。一方の手の掌にサンドイッチxの底面x3をのせ、その手でサンドイッチxの側面x5をつかむ。他の手の指でつまみ部17をつまみ、引き上げるようにして第2紙シート3から開封用シート15を引きはがす。第2紙シート3と開封用シート15は接着剤やヒートシールなどによって弱く接続されているだけなので、簡単に引きはがすことができる。そして、第2紙シート3の分断誘導部12の内側の部分は内側接続部18により開封用シート17に接続されているので、開封用シート17とともにサンドイッチ包装用袋から引きはがされる。こうして、大きな開口25が得られる。この間、サンドイッチxは一方の手で下からつかまれているので開封中に開口部から飛び出すことはない。そして、この開口部25より中のサンドイッチxを簡単に取り出すことができる。この開口部の側からはサンドイッチの具材は見えないが、第1紙シート2の透明シート11を通して具材が観察できる。複数のサンドイッチで異なる具材のものが収容されている場合でも、透明シート11を見て自分の食べたい具材のサンドイッチを選択することができる。
【0038】
つまみ部17は包装サンドイッチの下部にあり、第2紙シート3との接続部は下向きに開いている。したがって、運搬中や保管中に何らかの異物が降りかかったとしても、つまみ部17と第2紙シート3の間に入り込まない。仮に下から吹き上がった異物が一時的に入り込むにしても、そのほとんどは自然に落下していくので残らない。異物はこの包装袋の表面にほとんどつかず、清潔な状態が保たれる。
【0039】
以上の例では、つまみ部17は下向きに設けられるが、これを上向きに設けることもできる。この場合は、水平分断誘導線は等脚台形の食品収容部4の短辺(上辺)側に設け、分断誘導部12を下に開いたコの字形状にする。
【0040】
また、第2紙シートの切込み部に沿って接着性軽減処理部を設け、開封用シートは低接着性接着剤によって開封および再封止可能に第2紙シートに接着してもよい。たとえば、第2紙シート3の外側接着部の範囲にOP剤塗布などの処理を行うことにより、その表面を滑らかにして接着性を低下させることができる。これによって、開封時に第2紙シート3の繊維等が引きちぎられることがなく、第2紙シート3および開封用シート15の表面は滑らかな状態が保たれ、接続部に残った接着剤によって再度接続することができる。全てのサンドイッチを食べきれない場合には、再度、開封用シート15を第2紙シート3に貼り直すことができ、良好な密封状態を再現できるので、食べ残しのサンドイッチを収納する容器として使用し続けることができる。
【0041】
この発明のサンドイッチ包装用袋はその大部分が紙シートより成り、プラスチックは窓の透明シート11と第1紙シート2および第2紙シート3の内面のラミネート層23だけである。使用後のサンドイッチ包装用袋が正しく廃棄されなかったとしても、環境中に出されるプラスチックの量は従来のプラスチックのサンドイッチ包装用袋に比べてはるかに少ない。さらに、透明シート11と第1紙シート2および第2紙シート3の内面のラミネート層23に生分解性プラスチックを使用することにより、短時間で二酸化炭素と水に分解される。酸化促進剤の添加量を調整することによって、製造から消費されるまでの期間は十分な強度を維持し、使用後は速やかに分解されるように設定することもできる。
【0042】
サンドイッチ包装用袋は、折り畳み部を熱圧着などによって密封するようにしてもよい。この場合、その折り畳み方に合った折り曲げ誘導線を設けることが好ましい。さらに、第1紙シート2および第2紙シート3の外面には耐水性に加えてガスバリア性のあるコーティング材でコーティングすることが好ましく、これによって包装されたサンドイッチをより長期間、新鮮で安全な状態に保つことができる。
【符号の説明】
【0043】
1.サンドイッチ包装用袋
2.第1紙シート
3.第2紙シート
4.食品収容部(等脚台形部)
5.上辺
6.斜辺
7.下辺
8.耳部
9.折り畳み部
10.切り抜き部
11.透明シート
12.分断誘導部
13.水平切分断誘導線
14.垂直分断誘導線
15.開封用シート
16.覆い部
17.つまみ部
18.内側接続部
19.非接続部
20.外側接続部
21.第1の折り曲げ誘導線
22.第2の折り曲げ誘導線
23.ラミネート層
24.間隔部
25.開口部
30.サンドイッチ包装体
x.サンドイッチ