(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20231115BHJP
G06F 11/36 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G06F11/34 176
G06F11/36 192
(21)【出願番号】P 2019126507
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】517072206
【氏名又は名称】株式会社デプロイゲート
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【氏名又は名称】中山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 友樹
【審査官】渡辺 一帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-098958(JP,A)
【文献】特開2008-084289(JP,A)
【文献】特開2012-022641(JP,A)
【文献】特開2015-228177(JP,A)
【文献】特開2011-054043(JP,A)
【文献】特開2017-162182(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/025383(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/34
G06F 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト対象のアプリケーションソフトウェアを実行中のユーザ端末に表示された表示画像と前記アプリケーションソフトウェアを実行した場合の前記ユーザ端末の動作履歴との少なくとも一方を含む実行情報の取得指示
を、前記ユーザ端末を管理する管理端末から受け付けて前記ユーザ端末に送信する指示部と、
前記指示部からの前記取得指示の受信に応答して前記ユーザ端末で生成された前記実行情報
を含むテスト結果の報告情報を、取得する取得処理部と、
前記取得処理部により取得された前記
報告情報を記憶する実行情報記憶部と、
前記管理端末からの送信要求に応答して、前記実行情報記憶部に記憶されている前記
報告情報を前記管理端末に送信する送信処理部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記動作履歴は、前記アプリケーションソフトウェアの実行中のログと、前記アプリケーションソフトウェアの内部状態情報との少なくともいずれかを含む請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得処理部は、前記実行情報を、前記管理端末の端末情報及び前記ユーザ端末の端末情報と関連付けて前記実行情報記憶部に記憶し、
前記送信処理部は、前記管理端末の前記端末情報に関連付けられた前記実行情報が複数ある場合には、複数の前記実行情報
を含む前記報告情報を前記管理端末へ送信する
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記送信処理部は、前記実行情報記憶部において前記表示画像が記憶されている記憶領域に対応する領域情報を生成して前記管理端末に送信し、前記管理端末
において表示された前記領域情報
に対する入力情報を前記管理端末からの前記送信要求として受け付けて前記表示画像を前記管理端末に送信する請求項1
ないし3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得処理部は、取得した前記実行情報を簡略化した簡略情報を生成し、前記実行情報を前記簡略情報と関連付けて前記実行情報記憶部に記憶し、
前記送信処理部は、前記簡略情報を前記管理端末へ送信し、前記管理端末
における前記簡略情報
が示された前記実行情報に対する入力情報を前記管理端末からの前記送信要求として受け付けて、前記簡略情報に関連付けられた前記実行情報
を含む前記報告情報を前記管理端末に送信する請求項1
ないし4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
テスト対象のアプリケーションソフトウェアを実行させるユーザ端末と、
前記ユーザ端末を管理する管理端末と、
前記ユーザ端末及び前記管理端末と通信ネットワークを介して接続する情報処理装置とを備え、
前記ユーザ端末は、前記アプリケーションソフトウェアを実行中に表示された表示画像と前記アプリケーションソフトウェアを実行した場合の動作履歴との少なくとも一方を含む実行情報の取得指示
の受信に応答して、前記実行情報
を含むテスト結果の報告情報を生成し、
前記情報処理装置は、
前記取得指示を、前記管理端末から受け付けて前記ユーザ端末に送信する指示部と、
前記ユーザ端末で生成された前記
報告情報を取得する取得処理部と、
前記取得処理部により取得された前記
報告情報を記憶する実行情報記憶部と、
前記管理端末からの送信要求に応答して、前記実行情報記憶部に記憶されている前記
報告情報を前記管理端末に送信する送信処理部と、
を有する情報処理システム。
【請求項7】
テスト対象のアプリケーションソフトウェアを実行中のユーザ端末に表示された表示画像と前記アプリケーションソフトウェアを実行した場合の前記ユーザ端末の動作履歴との少なくとも一方を含む実行情報の取得指示
を、前記ユーザ端末を管理する管理端末から受け付けて前記ユーザ端末に送信する指示ステップと、
前記取得指示の受信に応答して前記ユーザ端末で生成された前記実行情報
を含むテスト結果の報告情報を、取得する取得処理ステップと、
前記取得処理ステップで取得された前記
報告情報を記憶する実行情報記憶ステップと、
前記管理端末からの送信要求に応答して、前記実行情報記憶ステップで記憶した前記
報告情報を前記管理端末に送信する送信処理ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項8】
前記アプリケーションソフトウェア中に組み込まれ、前記アプリケーションソフトウェア上で前記指示ステップ、前記取得処理ステップ、前記実行情報記憶ステップ、及び前記送信処理ステップを実行させる請求項7に記載の情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する)の開発では、開発中のアプリをテスタが試用し、バグ等の不具合や使用感等を開発者などへ報告している。テスタから開発者などへの報告には、電子メールやチャット、メッセンジャなど、インターネットを用いたコミュニケーションツールを用いられる場合が多い。報告にはテキストデータが用いられることが多く、画像データ(イメージデータ)が用いられることもある。しかし、テスタから開発者などに対するアプリの実行結果の報告は、報告に要する処理が煩雑であったり時間的なロスが多い。
【0003】
そこで、特許文献1には、ソフトウェアの不具合を検査するためにソフトウェアを実装した装置において実行するテストと、このテストを行うための操作手順との対応関係を示すテスト手順情報を記憶する記憶装置と、不具合が生じたソフトウェアに関して、不具合を引き起こした原因となる原因手順を示す情報である原因手順情報の入力を受け付ける情報受付手段と、受け付けた原因手順情報により示される原因手順を含む他のテストである関連テストを、記憶装置に記憶されたテスト手順情報から抽出する抽出手段と、抽出した関連テストを示す関連テスト情報を出力するテスト出力手段とを備える情報管理装置が記載されている。この構成により、記憶すべきデータ量を低減させつつ、再試験が必要となるテストを効率よく特定することができると、特許文献1には記載されている。
【0004】
また、特許文献2及び特許文献3には、ビデオゲーム開発システムにおける通信方法が記載されている。特許文献2に記載される通信方法は、通信ネットワークにリンクしたコンピュータ上に提供された通信ハブアプリケーションを用いて、開発ワークステーション上で動作するゲーム開発ツールからメッセージを受信するステップと、ビデオゲーム開発システムにおいて、受信したメッセージのメッセージ受信者を識別するステップと、識別されたメッセージ受信者の各々に対応する通信ライブラリに基づき、受信したメッセージを処理し、1組のメッセージを形成するステップと、メッセージは、識別されたメッセージ受信者の各々に関連した複数の構成により構成されていることと、通信ハブアプリケーションの動作するコンピュータから、前記識別されたメッセージ受信者へ、受信者特異的なメッセージを送信するステップとを有する。この構成により、開発ツールとビデオゲームプラットフォームまたは動作中のゲームとの間の通信を向上させると、特許文献2には記載されている。
【0005】
特許文献3に記載される通信方法も、前記コンピュータが、通信ハブアプリケーションを用いて、開発ワークステーション上で動作するゲーム開発ツールからメッセージを受信するステップと、識別されたメッセージ受信者の各々に対応する通信ライブラリに基づき、受信した前記メッセージを処理し、1組のメッセージを形成するステップであって、1組のメッセージの各メッセージは、識別されたメッセージ受信者の各々に関連した複数の構成により構成されている受信者特異的なメッセージである、ステップと、前記コンピュータから、前記識別されたメッセージ受信者へ、前記受信者特異的なメッセージを送信するステップと、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-096205号公報
【文献】特開2010-148869号公報
【文献】特許5558798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~3に記載される手法では、報告に要する処理が煩雑であったり、時間的なロスが多く、アプリを実行した結果報告の効率が依然として悪い。
【0008】
そこで、本発明は、アプリの実行結果の報告をより効率よく行う情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理装置は、指示部と、取得処理部と、実行情報記憶部と、送信処理部とを備えることを特徴として構成されている。指示部は、テスト対象のアプリケーションソフトウェアを実行中のユーザ端末に表示された表示画像と、上記アプリケーションソフトウェアを実行した場合のユーザ端末の動作履歴との少なくとも一方を含む実行情報の取得指示を、ユーザ端末を管理する管理端末から受け付けてユーザ端末に送信する。取得処理部は、指示部からの上記取得指示の受信に応答してユーザ端末で生成された実行情報を含むテスト結果の報告情報を、取得する。実行情報記憶部は、取得処理部により取得された報告情報を記憶する。送信処理部は、管理端末からの送信要求に応答して、実行情報記憶部に記憶されている報告情報を管理端末に送信する。
【0010】
動作履歴は、アプリケーションソフトウェアの実行中のログと、アプリケーションソフトウェアの内部状態情報との少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0012】
取得処理部は、実行情報を、管理端末の端末情報及びユーザ端末の端末情報と関連付けて実行情報記憶部に記憶し、送信処理部は、管理端末の端末情報に関連付けられた実行情報が複数ある場合には、複数の実行情報を含む前記報告情報を管理端末へ送信することが好ましい。
【0013】
送信処理部は、実行情報記憶部において表示画像が記憶されている記憶領域に対応する領域情報を生成して管理端末に送信し、管理端末において表示された領域情報に対する入力情報を管理端末からの送信要求として受け付けて表示画像を管理端末に送信することが好ましい。
【0014】
取得処理部は、取得した実行情報を簡略化した簡略情報を生成し、実行情報を簡略情報と関連付けて実行情報記憶部に記憶し、送信処理部は、簡略情報を管理端末へ送信し、管理端末における簡略情報が示された実行情報に対する入力情報を管理端末からの送信要求として受け付けて、簡略情報に関連付けられた実行情報を含む報告情報を管理端末に送信することが好ましい。
【0015】
本発明の情報処理システムは、ユーザ端末と、管理端末と、情報処理装置とを備えることを特徴として構成されている。ユーザ端末は、テスト対象のアプリケーションソフトウェアを実行させる。管理端末は、ユーザ端末を管理する。情報処理装置は、ユーザ端末及び管理端末と通信ネットワークを介して接続する。ユーザ端末は、アプリケーションソフトウェアを実行中に表示された表示画像と、アプリケーションソフトウェアを実行した場合の動作履歴との少なくとも一方を含む実行情報の取得指示の受信に応答して、実行情報を含むテスト結果の報告情報を生成する。情報処理装置は、指示部と、取得処理部と、実行情報記憶部と、送信処理部とを有する。指示部は、上記取得指示を、管理端末から受け付けてユーザ端末に送信する。取得処理部は、ユーザ端末で生成された報告情報を取得する。実行情報記憶部は、取得処理部により取得された報告情報を記憶する。送信処理部は、管理端末からの送信要求に応答して、実行情報記憶部に記憶されている報告情報を管理端末に送信する。
【0016】
本発明の情報処理プログラムは、指示ステップと、取得処理ステップと、実行情報記憶ステップと、送信処理ステップとを、コンピュータに実行させることを特徴として構成されている。指示ステップは、テスト対象のアプリケーションソフトウェアを実行中のユーザ端末に表示された表示画像とアプリケーションソフトウェアを実行した場合のユーザ端末の動作履歴との少なくとも一方を含む実行情報の取得指示を、ユーザ端末を管理する管理端末から受け付けてユーザ端末に送信する。取得処理ステップは、取得指示の受信に応答してユーザ端末で生成された実行情報を含むテスト結果の報告情報を、取得する。実行情報記憶ステップは、取得処理ステップで取得された報告情報を記憶する。送信処理ステップは、管理端末からの送信要求に応答して、実行情報記憶ステップで記憶した報告情報を管理端末に送信する。
【0017】
上記の情報処理プログラムは、アプリケーションソフトウェア中に組み込まれ、アプリケーションソフトウェア上で指示ステップ、取得処理ステップ、実行情報記憶ステップ、及び送信処理ステップを実行させることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アプリの実行結果の報告をより効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態である報告システムの説明図である。
【
図4】ユーザ端末と管理端末との電気的構成を示す説明図である。
【
図5】アプリを実行する前における情報の流れを説明するシーケンス図である。
【
図6】サーバの端末情報記憶部における記憶態様の説明図である。
【
図7】ユーザ端末で取得指示が行われる場合の情報の流れを説明するシーケンス図である。
【
図8】ユーザ端末に表示される報告用の画面の説明図である。
【
図9】実行情報記憶部における記憶態様の説明図である。
【
図10】送信画像生成部が生成する一覧画像の説明図である。
【
図11】送信画像生成部が生成する特定のユーザ端末の管理画像の説明図である。
【
図12】管理端末で取得指示が行われる場合の情報の流れを説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示す報告システム10は、アプリケーションソフトウェア(以下、アプリと称する)を使用したテスト結果の報告を行う情報処理システムの一例である。報告システム10は、複数のユーザ端末11と、管理端末12と、サーバ13とを備える。サーバ13は、各ユーザ端末11及び管理端末12と、通信ネットワーク16を介して接続しており、これにより通信できるようになっている情報処理装置の一例である。通信ネットワーク16には、サーバ13以外の他のサーバ(図示無し)が接続していてもよい。
【0021】
複数のユーザ端末11の各々には、テスト対象である共通のアプリがインストールされている。この例では、複数のユーザ端末11のアプリの中には、バージョンが異なるものが含まれている。複数のユーザ端末11にインストールされるアプリは、互いに異なるアプリであってもよい。また、複数のユーザ端末11の各々には、テスト対象の複数のアプリ(バージョンが互いに異なるアプリも複数のアプリとする)がインストールされてもよい。
【0022】
この例のアプリは開発中のアプリであり、複数のユーザ端末11は、このアプリをテストするテスト端末となっている。そこで、複数のユーザ端末11を使用するユーザは、この例ではアプリをテスト(試用)するテスタ(試用者)とされている。テスタは、アプリを開発する組織に属する者でもよいし、この組織に属しない一般ユーザであってもよい。アプリは開発中のものに限られず、完成したものでもよい。
【0023】
このユーザ端末11はスマートフォンである。しかしユーザ端末11はスマートフォンに限られず、タブレット端末、パーソナルコンピュータなど、公知のものを用いることができる。
【0024】
図1においてはユーザ端末11の数を3つとして描いているが、ユーザ端末11の数はこの例に限られず、ひとつ、2つ、または4つ以上であってもよい。
【0025】
管理端末12は、アプリを実行するユーザ端末11を、通信ネットワーク16を介して管理する。管理端末12は、接続するサーバ13を介して管理するが、管理場面や管理の対象によっては、通信ネットワークに接続された、サーバ13以外のサーバ(図示無し)を介して管理する場合があってもよい。管理端末12を使用するユーザは、例えばアプリの開発者である。ひとつの管理端末12で管理するユーザ端末11の数はひとつでも複数でもよい。ひとつの管理端末12で複数のユーザ端末11を管理する場合には、複数のユーザ端末11の端末情報は、同一のアカウントに対応して登録されている、互いに異なる端末情報となっている。管理端末12のユーザは、ひとつの管理端末12のみを用いてアプリの開発を行うだけでなく、複数の管理端末12を用いて開発を行ってもよい。
【0026】
この管理端末12は、パーソナルコンピュータである。しかし管理端末12はパーソナルコンピュータに限られず、タブレット端末、スマートフォンなど公知のものを用いることができる。
図1においては管理端末12の数をひとつとして描いてあるが、管理端末12の数はこの例に限られず、複数であってもよい。
【0027】
上記アプリは、その種類や機能は限定されないものの、情報処理プログラムが組み込まれる。情報処理プログラムとアプリとは、開発者や開発者が属する団体(企業を含む)が互いに異なっていてもよい。情報処理プログラムは、ユーザ端末11のユーザと管理端末12のユーザとの間で通信する通信機能をアプリに加えるものであり、SDK(Software Development Kit,ソフトウェア開発キット)の全部または一部である。すなわち、情報処理プログラムは、アプリ中にSDKとしてまたはSDKの一部として組み込まれる。SDKは、所定のプログラム及び/またはプログラム言語上で実行されるものであり、テスト対象のアプリ上で実行される。なお、本例ではユーザ端末11に(株)デプロイゲートの「DeployGate」アプリがインストールされており、SDKは、この「DeployGate」アプリの機能を呼び出して各処理を行う。ただし、「DeployGate」アプリを用いずに、サーバ13もしくはサーバ13と異なる他の外部サーバ(図示無し)に記憶されている「DeployGate」をウェブブラウザで表示して用いてもよい。
【0028】
サーバ13は、情報処理プログラムを記憶する。また、サーバ13は、リアルタイムサーバとして機能し、ユーザ端末11と管理端末12とが通信する場合に、ユーザ端末11と管理端末12との間で通信される各種情報(データ)を送受信する。
【0029】
図2に示すように、ユーザ端末11は、入力部20と、端末制御部21と、実行情報生成部22と、スクリーンショット(以下、SSと称する)画像生成部23とを備える。入力部20は、この例ではスマートフォンであるユーザ端末11のタッチパネルディスプレイ及びボタンである。入力部20は、ユーザ端末11によって異なり、ユーザ端末11が例えばパーソナルコンピュータである場合には、キーボード、タッチパネルディスプレイなとが入力部20にあたる。
【0030】
端末制御部21は、入力部20と、実行情報生成部22と、サーバ13の後述する端末情報処理部27とのそれぞれと接続している。端末制御部21は、ユーザ端末11の端末情報の送信やアプリのサーバ13からの受信、後述のようにサーバ13から送られてくる端末識別子(以下、端末IDと称する。IDはIdentity Documentの略)やセッション識別子(以下、セッションIDと称する)の受信、アプリのダウンロードやインストールなどの各処理や、アプリの実行などを行う。また、端末制御部21は記憶部(図示無し)を備え、ユーザ端末11の端末情報、インストールしたアプリ、後述の端末ID及びセッションIDなどの記憶部への記憶や読み出しなどを行う。
【0031】
実行情報生成部22は、入力部20と、端末制御部21とのそれぞれと接続している。実行情報生成部22は、アプリをユーザ端末11で実行した結果の情報である実行情報の取得指示を受け付け、取得指示に応答して実行情報を生成し、サーバ13に送信する。取得指示は、ユーザ端末11の入力部20に入力されて実行情報生成部22へ送られてくる場合もあるし、管理端末12から指示部31を介して送られてくる場合もある。実行情報は、アプリを実行中のユーザ端末11に表示された表示画像であるSS画像と、アプリを実行した場合のユーザ端末11の動作履歴との少なくとも一方を含む。動作履歴は、アプリを実行したユーザ端末11の動作の記録である。したがって、動作履歴は、例えば、ユーザ端末11に入力された操作の履歴(以下、操作履歴と称する)と、アプリの実行中(起動時を含む)のログと、アプリの開発者が明示したアプリの内部状態情報との少なくともいずれかひとつを含む。該内部状態情報とは、例えば、ログイン中のユーザー名、接続中のサーバー名、アプリがゲームの場合にはどのステージまでクリアしたかというクリア状況、などの情報である。
【0032】
実行情報生成部22は、端末IDと詳細を後述するアプリケーション情報とを実行情報とともにサーバ13に送る。実行情報生成部22は、入力部20でユーザにより入力された報告の種別やコメントなどの各種報告事項を入力情報とし、この入力情報を実行情報に加えて、これを報告情報として生成し、この報告情報をサーバ13に送信する場合もある。入力情報としては、上記の報告の種別やコメントの他に、端末情報(例えば端末名、OS(Operating System)のバージョン、バッテリの残り容量、通信状況(例えば、3G,Wi-Fi等)、画面の向き、など)があってもよい。
【0033】
SS画像生成部23は、実行情報生成部22が、SS画像の取得指示を実行情報の取得指示として、あるいは、実行情報の取得の一部として受け付けた場合に、実行情報生成部22からの画像生成指示に応答してSS画像を生成し、生成したSS画像を実行情報生成部22に送る。
【0034】
サーバ13は、ユーザ端末11と管理端末12との一方から受信した情報を処理し、他方へ送信する。サーバ13は、端末情報処理部27と、端末情報記憶部28と、指示部31と、取得処理部32と、実行情報記憶部35と、送信処理部36と、送信画像生成部37とを備える。サーバ13は、コンピュータで構成されており、ハードディスクなどの記憶部(図示無し)に記憶されたプログラム(情報処理プログラム)を実行することにより、端末情報処理部27、端末情報記憶部28、指示部31、取得処理部32、実行情報記憶部35、送信処理部36、送信画像生成部37などとして機能する。
【0035】
端末情報処理部27は、端末情報記憶部28と、前述の通りユーザ端末11の端末制御部21に接続している。端末情報処理部27は、端末制御部21からユーザ端末11の端末情報が送られてきた場合に端末情報記憶部28を読み込んで、該端末情報が特定されなかった場合には、その端末情報に対応させた端末IDを生成する。端末情報処理部27は、生成した端末IDを、端末制御部21へ送るとともに、端末情報と関連付けて端末情報記憶部28に記憶する。
【0036】
端末情報処理部27は、端末制御部21からアカウント及びパスワードとを含むログイン情報が端末IDとともに送られてきた場合には、アカウント及びパスワードとを含むログインセッションを作成してこのログインセッションに対応させたセッションIDを生成する。端末情報処理部27は、セッションIDを、端末IDと関連付けて端末情報記憶部28に記憶するとともに、端末制御部21に送る。
【0037】
また、端末情報処理部27は、後述のアプリ制御部(図示無し)と接続しており、端末制御部21からセッションIDが送られてきた場合には、該セッションIDを用いて利用可能なアプリを、後述のアプリ制御部に特定させる。そして、端末情報処理部27は、特定されたアプリのアプリ名、アイコン画像、ダウンロード用URL(Uniform Resource Locator)、過去のバージョン等の情報を含むデータを生成して端末制御部21に送る。端末制御部21は、受け取ったデータに基づき、アプリの一覧画像を生成して、ユーザ端末11のタッチパネルディスプレイに表示させる。なお、端末情報処理部27は、上記の特定されたアプリの一覧画像を生成して、端末制御部21に送り、一覧画像が端末制御部21によりユーザ端末11のタッチパネルディスプレイに表示してもよい。端末情報処理部27は、インストールされたアプリのアプリケーション情報を、インストール先のユーザ端末11の端末IDとともに関連付けて、端末情報記憶部28に記憶する。
【0038】
端末情報記憶部28は、ユーザ端末11の端末情報と、端末IDと、セッションIDと、ユーザ端末11を管理する管理端末12の端末IDと、インストール済みとされたアプリケーション情報とを関連付けて記憶する。
【0039】
この例では、端末情報処理部27及び端末情報記憶部28はサーバ13に備えられている。しかし端末情報処理部27及び端末情報記憶部28は、通信ネットワークに接続された他のサーバ(図示無し)に備えられていてもよい。
【0040】
この例のサーバ13は、さらにアプリ制御部(図示無し)とアプリ記憶部(図示無し)とを備えている。アプリ制御部は、アプリに対応させたアプリケーション情報を生成し、アプリとアプリケーション情報とを関連付けてこの関連付けた情報をソフトウェア情報としてアプリ記憶部に記憶する。なお、所定アカウントでログインする管理端末12からアプリがアップロードされた場合に、アプリ制御部は上記の所定アカウントとアップロードされたアプリのアプリケーション情報とを関連付けてアプリ記憶部に記憶する。アプリ制御部は、端末情報処理部27に接続しており、端末情報処理部27からアプリの送信を要求する送信要求を受信した場合に、送信要求を受けたアプリを、対応するアプリケーション情報とともに、すなわちソフトウェア情報を端末情報処理部27へ送る。アプリケーション情報とは、たとえばアプリ自体のバージョン情報や、アプリの配信に係るプログラム(本例ではDeployGate)がアプリを管理するために自動採番した独自のバージョン情報などがあり、本例でもこれらをアプリケーション情報として用いている。なお、アプリ制御部とアプリ記憶部とは、サーバ13と異なる他のサーバ(図示無し)に備わっていてもよい。
【0041】
指示部31は、ユーザ端末11の実行情報生成部22及び管理端末12に接続している。ユーザ端末11の実行情報生成部22に、実行情報の取得指示を送信する。この例では、管理端末12からの取得指示を受け付けて実行情報生成部22に送っている。
【0042】
取得処理部32は、ユーザ端末11からの実行情報を実行情報記憶部35に記憶し、かつ、実行情報に対する各処理を行い、処理後の情報を実行情報記憶部35に記憶するためのものである。取得処理部32は、実行情報生成部22と、端末情報記憶部28と、実行情報記憶部35との各々に接続している。
【0043】
取得処理部32は、実行情報生成部22から実行情報を受け取った場合に、実行情報とともに受け取った端末IDとアプリケーション情報とを、実行情報と関連付けて実行情報記憶部35に記憶する。取得処理部32は、端末情報記憶部28から、該端末IDとアプリケーション情報とに関連付けられたアカウント(管理端末12でアプリをアップロードした際のアカウント)を読み出し、このアカウントを実行情報と関連付けて実行情報記憶部35に記憶することが好ましく、本例でもそのようにしている。
【0044】
取得処理部32は、取得した実行情報を簡略化した簡略情報を生成し、実行情報を簡略情報と関連付けて実行情報記憶部35に記憶することが好ましく、本例でもそのようにしている。実行情報を含む前述の報告情報を取得した場合には、取得処理部32は、実行情報以外の報告情報、すなわち入力情報も簡略化してよい。簡略化とは、例えば要約すること、予め設定したキーワードを抽出すること、予め特定した位置の文字列などを抽出すること、などがある。本例では実行情報と入力情報との報告情報全体を要約している。報告情報全体の要約としては、報告情報全体の中から不具合の再現手順報告で用いられる、不具合の発生日時、アプリのバージョン、ユーザ端末11の端末名、OSのバージョン、アプリが強制終了したいわゆるクラッシュ時のログなどを抽出したものが例示される。チャット上の通知や報告一覧に概要として表示する。
【0045】
実行情報記憶部35は、取得処理部32により取得された実行情報を記憶する。実行情報記憶部35は、実行情報に加えて、上記のように、ユーザ端末11の端末IDやアプリケーション情報を記憶しており、さらに管理端末12の端末ID、簡略情報などを記憶することが好ましい。
【0046】
送信処理部36は、管理端末12と実行情報記憶部35と送信画像生成部37とのそれぞれに接続しており、管理端末12からの送信要求に応答して、実行情報記憶部35に記憶されている実行情報を管理端末12に送信する。本例では、送信処理部36は、管理端末12のディスプレイに表示する画像を送信画像として送信画像生成部37により生成させている。管理端末12でアプリをアップロードした際のアカウントに関連付けられた実行情報が複数ある場合には、送信処理部36は、複数の実行情報を一覧表示した一覧画像を送信画像生成部37により生成して管理端末12へ送信することが好ましく、本例でもそのようにしている。
【0047】
送信処理部36は、また、管理端末12のサーバ13への接続に応答して、管理端末12の管理対象であるユーザ端末11の端末IDを実行情報記憶部35から特定する。そして送信処理部36は、それら端末IDとそれら端末IDにそれぞれ対応するユーザ端末との少なくともいずれか一方の一覧の画像を送信画像生成部37により生成して管理端末12へ表示させる。上記一覧からひとつのユーザ端末11またはユーザ端末の端末IDが管理端末12で特定されて送信処理部36に送られてきた場合に、送信処理部36はこの受取りを該ユーザ端末11の管理画面の表示要求として受け取る。送信処理部36は、表示要求を受け取ったユーザ端末11の管理画面を送信画像生成部37により生成して、その管理端末12へ送り、管理端末12に管理画面が表示される
【0048】
送信処理部36は、実行情報記憶部35においてSS画像が記憶されている記憶領域を特定し、その記憶領域に対応させた領域情報を生成して管理端末12に送信することが好ましい。この場合、送信処理部36は、管理端末12からの領域情報の入力を上記の送信要求として受け付けて、この送信要求の受け付けに応答してSS画像を管理端末12に送信することが好ましく、本例でもそのようにしている。送信処理部36は、同様に、動作履歴である前述の操作履歴とログとのそれぞれが記憶されている記憶領域を特定し、これらに対応させた各領域情報を生成して管理端末12に送信してもよい。この場合も同様に、送信処理部36は、管理端末12からの領域情報の入力を上記の送信要求として受け付けて、所定の動作履歴を管理端末12に送信することができる。
【0049】
送信処理部36は、取得処理部32が簡略情報を生成して実行情報記憶部35に記憶した場合には、実行情報記憶部35からその簡略情報を読み出して管理端末12へ送信してもよい。このような場合も、送信処理部36は、送信画像生成部37により簡略情報が表示された画像を生成して管理端末12に表示し、管理端末12での簡略情報の入力を送信要求として受け付け、簡略情報に関連付けられた実行情報を管理端末12に送信することが好ましい。本例でもそのようにしている。
【0050】
管理端末12は、実行情報の取得指示を指示部31に送ることにより生成された実行情報を得る場合もあるし、ユーザ端末11の入力部20で取得指示がなされることにより生成された実行情報を得る場合もある。
【0051】
サーバ13の電気的構成の一例は、
図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)を含む制御処理装置51と、RAM(Random Access Memory)を含む主記憶装置52と、HDD(Hard Disc Drive)を含む補助記憶装置53と、マウスやキーボードを含む入力装置54と、ディスプレイやスピーカを含む出力装置55と、ネットワークカード(Network Interface Card)を含む通信制御装置56と、を有する。なお、CPUの代わりにMPU(Micro-Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の装置を用いてもよい。この電気的構成は上記の通り一例であるから、例えば入力装置54や出力装置55を、通信ネットワークを介した外部装置とする場合もある。
【0052】
主記憶装置52、補助記憶装置53、入力装置54、出力装置55及び通信制御装置56は、バスラインを介して制御処理装置51とそれぞれ接続される。制御処理装置51は、(1)補助記憶装置53に記憶された情報処理プログラムを主記憶装置52上に読み込み、(2)情報処理プログラムの指示に従って入力装置54と補助記憶装置53と通信制御装置56との少なくともいずれかからデータを取得し、(3)取得したデータを情報処理プログラムに規定される手順で演算・加工した上で、(4)演算済み・加工済みのデータを補助記憶装置53と出力装置55と通信制御装置56との少なくともいずれかに提供する。
【0053】
前述の端末情報処理部27と取得処理部32と送信処理部36と送信画像生成部37とは、制御処理装置51と通信制御装置56とを含んで構成される。端末情報記憶部28と実行情報記憶部35とは、補助記憶装置53と主記憶装置52とを含んで構成されている。
【0054】
ユーザ端末11(
図2参照)と管理端末12(
図2参照)との電気的構成の一例は、
図4に示すように、制御処理部を構成するDSP61と、主記憶部を構成するRAM62と、補助記憶部を構成するROM63及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)64と、入力部及び表示部を構成するタッチパネルディスプレイ67と、音声出力部を構成するスピーカ68と、通信制御部を構成するNIC(Network Interface Controller)71及び無線LAN(Local Area Network)チップ72と、を少なくとも有する。なお、DSP61の代わりにMPU(Micro-Processing Unit)等の装置を用いてもよい。
【0055】
RAM62、ROM63、EEPROM64、タッチパネルディスプレイ67、スピーカ68、NIC71、無線LANチップ72は、バスラインを介してDSP61とそれぞれ接続される。DSP61は、(1)ROM63又はEEPROM64に記憶されたプログラム(情報処理プログラム)をRAM62上に読み込み、(2)プログラム(情報処理プログラム)の指示に従ってタッチパネルディスプレイ67とEEPROM64とNIC71と無線LANチップ72との少なくともいずれかからデータを取得し、(3)取得したデータをプログラム(情報処理プログラム)に規定される手順で演算・加工した上で、(4)演算済み・加工済みのデータをEEPROM64とタッチパネルディスプレイ67とスピーカ68とNIC71と無線LANチップ72との少なくともいずれかに提供する。
【0056】
ユーザ端末11(
図2参照)の端末制御部21と実行情報生成部22とSS画像生成部23とは、DSP61と無線LANチップ72とを含んで構成される。入力部20は、タッチパネルディスプレイ67を含んで構成される。
【0057】
管理端末12(
図2参照)のたとえば前述の取得指示や送信要求が入力される入力部(図示無し)は、タッチパネルディスプレイ67を含んで構成される。
【0058】
上記構成の作用を説明する。ユーザ端末11は、アプリを取得するための初期設定として、本例ではDeployGateの初回の起動時に、
図5に示すように、端末制御部21が端末情報をサーバ13の端末情報処理部27へ送る。端末情報処理部27は端末情報に対応付けた端末IDを生成して、端末IDを端末制御部21へ送り、DeployGateが端末IDを保存する。
【0059】
ユーザ端末11がアプリをダウンロードするための準備段階として、端末制御部21はログイン情報(アカウントとパスワード)と端末IDとをサーバ13の端末情報処理部27に送る。端末情報処理部27は、ログイン情報を検証して生成したログインセッションのセッションIDを、ログイン情報及び端末IDと関連付けて端末情報記憶部28に記憶するとともに、ユーザ端末11の端末制御部21に送る。そして、端末情報処理部27は、前述のアプリ制御部から、この端末IDのユーザ端末11が利用可能なアプリの情報を取得する。
【0060】
端末制御部21は、セッションIDを保存し、利用可能なアプリの一覧要求をセッションIDとともに端末情報処理部27へ送る。端末情報処理部27は、利用可能なアプリのアプリ名、アイコン画像等の情報を含むデータを生成して端末制御部21に送り、ユーザ端末11にアプリ一覧が表示される。アプリ一覧を端末制御部21へ送り、入力部20での入力によりアプリが特定されてインストール要求として端末情報処理部27へ送られる。
【0061】
この例では、上記のようにアカウントにログインする手法としているが、ログインせずに、共有用リンクを用いてもよい。まず、ユーザ端末11の入力部20への直接入力または二次元バーコードの読み取りによる入力などにより、管理端末12を使用する開発者などがサーバ13にて生成したアプリの共有用URLに接続し、アプリの情報の取得要求を端末情報処理部27へ送る。端末情報処理部27は、アプリの情報の取得要求に応答して、アプリの情報を端末制御部21へ送る。端末制御部21は、ユーザ端末11のタッチパネルディスプレイにアプリの情報を表示し、アプリの取得の要求を送る。端末情報処理部27は、共有用リンクに対して端末IDを関連付けて保存し、アプリの送り先として記憶する。このとき、送り先をアプリのテストへの参加者として記録して、表示上のテスト参加者の仮名(ログインユーザーのアカウント名の代用)を生成して端末制御部21へ送る場合がある。この場合、端末制御部21は、テスト参加者仮名を保存する。以上のようにして、アプリをダウンロードする準備段階が終わる。
【0062】
端末制御部21は、アプリ取得要求を端末ID及びセッションIDとともに端末情報処理部27へ送る。端末情報処理部27は、アプリ取得要求を受け取ると、例えば、ダウンロード用URLを端末制御部21へ送る。端末制御部21は、ダウンロード用URLからアプリのパッケージファイルをダウンロードして、インストールする。端末制御部21は端末IDとセッションIDとともに、インストール完了の通知を端末情報処理部27へ送る。
【0063】
端末情報処理部27は、インストール完了の通知を受け取ると、
図6に示すように、インストールされたアプリのアプリケーション情報を、セッションID及び端末IDと関連付けて端末情報記憶部28に記憶する。
図6の一番上の行には、アプリケーション情報がAPxであるアプリを、アカウント「ACA」及びパスワード「PWA」と紐付かれてあるセッションIDの「SA」と、端末IDの「UA」と関連付けた態様で示してある。なお、前述の通り、アプリケーション情報と管理端末12にてアプリをアップロードした際のログインに用いられたアカウントとは互いに関連付けられた状態で、アプリ記憶部に記憶されている。そこで、端末情報処理部27は、管理端末12で用いられたアカウントをアプリ記憶部から読み込んで、上記アプリケーション情報を管理端末12で用いられたアカウントと関連付けて端末情報記憶部28に記憶する。
【0064】
アプリの実行テスト中にユーザ端末11に不具合が生じた場合において、入力部20による入力を実行情報の取得指示として、
図7に示すように、実行情報生成部22は実行情報を生成して、取得処理部32へ送る。取得指示に応答して、実行情報生成部22は、アプリケーション情報や端末情報、DeployGateのセッション情報を自動的に収集し、報告内容に付与する。追加でデバッグ用のログや、開発者の指定する追加の情報をSDKにおいて取得し、これらの情報を実行情報に加えてもよい。上記の端末情報は、例えば、ユーザ端末11の端末名、ユーザ端末11のOS(Operating System)のバージョン、通信状況や電波状況などである。上記のセッション情報とは、例えば、端末ID、ログインユーザー、もしくはテスト参加者名の仮名などである。また、上記の追加の情報とは、例えばアプリ自体のログインユーザー名や現在の画面名などである。
【0065】
ユーザ端末11に生じた不具合が、例えばディスプレイの画面の乱れであった場合には、SS画像の取得操作を行ってもよいし、または、アプリ内からSDK経由で実行情報の報告用画面を表示させてもよい。この例では、
図8に示すような報告用画面をユーザ端末11のタッチパネルディスプレイに表示させており、SS画像の取得を指示する取得ボタン81a、ログを取得する取得ボタン81b,操作履歴を取得する取得ボタン81cの各ボタンが報告用画面に表示されている。取得する動作履歴に、操作履歴の他に、例えば、前述のアプリの実行中(起動時を含む)のログや、アプリの開発者が明示したアプリの内部状態情報などがある場合には、これらの各々を取得する取得ボタン(図示無し)を表示するとよい。SS画像の取得ボタン81aが触れられるとこれを取得指示として実行情報生成部22はSS画像生成部23によりSS画像を生成して、実行情報生成部22内の記憶部(図示無し)に記憶する。取得ボタン81a~81cの表示は、この例のように報告用画面に表示させる場合に限られず、例えば、動作しているアプリの画像上に表示させてもよい。また、この例では報告の種別やコメントなどの各種報告事項を実行情報に加え「Title」欄や「コメント」欄への入力ができるように構成されている。送信ボタン82に触れることにより実行情報生成部22は取得処理部32へ実行情報を送信する。
【0066】
送信した実行情報と入力情報とは、ユーザ端末11の端末制御部21内の前述の記憶部または実行情報生成部22内の前述の記憶部に記憶してもよく、後にユーザが読み出してディスプレイに表示されるよう構成してもよい。また、記憶する情報の中に、ユーザ自身が後に参照するためのメモなどを加えてもよい。
【0067】
なお、画面乱れとは、例えば画面の一部領域に画像が表示されなかったり、画像がディスプレイ面積よりも大きく拡大された状態になって見えない画像部分があったり、画面の一部画像が明らかに他の画像の一部になっていたり、など、種々の態様があり、特に限定されない。また、この例では画面の乱れを不具合としているが、不具合としてはこの例に限られない。また、この例では不具合の場合に実行情報を取得しているが、実行情報の取得は、不具合の場合に限られず、例えば、過去に確認された不具合が解消したことを示す実行情報を取得してもよい。
【0068】
サーバ13の取得処理部32は、実行情報を受け取ると、受け取った実行情報を、
図9に示すように、ユーザ端末11の端末IDと関連付けて実行情報記憶部28に記憶する。このように、入力部20での入力が実行情報の取得指示となり、ユーザ端末11が生成した実行情報がサーバ13の実行情報記憶部28に記憶されるから、管理端末12のサーバ13への接続の有無に関わらず、ユーザ端末11は実行情報を送信しておくことができる。そのため、管理端末12がサーバ13に接続している間でなければ実行情報を送信できない場合と比べて、効率がよく、また、利便性も高い。そのため、アプリのテスト結果の報告の効率が向上する。取得処理部32は、さらに、端末情報記憶部28から、ユーザ端末11の端末IDに関連付けられた管理端末の端末IDを特定し、その端末IDも関連付けて実行情報記憶部35に記憶する。前述のように、実行情報にコメントなどの入力情報を加えた報告情報を受け取った場合には報告情報も関連付けて記憶し、簡略情報を生成した場合には簡略情報も関連付けて記憶することが好ましく、本例でもそのようにしている。さらに、本例では、報告の種別、例えば画像の乱れという不具合の報告に「1」、アプリの停止という不具合に「2」などの数字ラベルを予め設定してあり、これにより報告の主旨を迅速に把握できるようにしてある。
【0069】
管理端末12が、DeployGateに接続要求をし、認証されると、この接続状態がサーバ13に送信される。送信処理部36は、送信画像生成部37により、実行情報記憶部35に記憶されている報告の、例えば
図10に示す一覧画像を表示して、管理端末12へ送り、管理端末12のディスプレイに表示する。簡略情報を、この一覧内に表示させてもよい。管理端末12において一覧画像からひとつの報告が選択されると、この選択が送信要求として送信処理部36に送られる。報告の一覧画像が表示され、送信要求する報告をその中から選択できるから、例えば、早期に解決できると予測される不具合を優先して選択して、不具合を解消する改良開発を済ませられ、アプリのテストが効率よく進められる。一方、解決に時間を要すると予測される不具合を優先して選択して、不具合を解消する改良開発に早期に着手することもできるから、この観点でもアプリのテストが効率よく進められる。なお送信処理部36は一覧画像を必ずしも生成しなくてもよい。例えば、実行情報などの報告の個々をチャットなどのコミュニケーションプログラムを用いて管理端末12に送ってもよく、この場合にはチャット上から直接各報告を選択してもよい。本例では、チャットを用いる態様として、通信ネットワークを介して接続するチャットサーバ(図示無し)を利用している。サーバ13の例えば端末情報記憶部28には、アプリを管理するためのアプリ管理画像が記憶されており、そのアプリ管理画像には、チャットサービスに遷移要求するボタンが形成されている。管理端末12のユーザは、このアプリ管理画面のボタンにより、チャットサービスのウェブサイトに遷移する。管理端末12のユーザがチャットサービスのアカウントでログインして、情報を送信したい連携先のチャンネルを選択すると、チャットサービスからサーバ13に接続情報が送信される。サーバ13ではそれを保存し、サーバ13は、以降、イベントが発生するごとに、保存された接続情報を基にチャットサーバへ接続して情報を送信する。なお、簡略情報を、チャット上での通知に用いてもよい。
【0070】
送信処理部36は、送信要求を受け取ると、管理端末12のユーザのアクセス権を認証し(アカウントにログインし)、送信要求に対応する実行情報や報告情報などを含む詳細データを生成する。詳細データには、実行情報としてのスクリーンショットや、アプリのバージョン情報、ユーザ端末11の端末情報やOSバージョン、デバッグ情報などが含まれていてもよく、本例でもそのようにしている。なお、
図10ではユーザ端末欄のうち、UBのみが他の線分よりも太い太線の枠TFで囲んである。これはUBがサーバ13に接続している状態であるのに対し、UA及びUCはサーバ13に接続していない非接続状態であることを示している。
【0071】
また、送信処理部36は、送信要求を受け取ると、管理端末12に表示させる表示画像を送信画像生成部37により生成して、管理端末12に送る。例えば
図10に非接続状態として描いてあるユーザ端末UA,報告種別1、報告日時2019.5.10 14:22である報告が選択された場合に、
図11は、管理端末12に表示させる特定のユーザ端末11の管理画像の例を示している。「操作履歴」、「ログ」、「SS画像」各欄には、前述の領域情報が表示されるように構成されている。
図11では「操作履歴」と「ログ」は空欄となっており、操作履歴とログとがユーザ端末11において実行情報として取得されていないことを意味している。これに対して、「SS画像」欄には領域情報が表示されており、この表示部分が触れられると、これを送信要求として送信処理部36は受け取り、SS画像が管理端末12に送られて表示される。なお、領域情報としては、例えば固有のURLがある。固有のURLであることにより、この領域情報を関係者などと共有することができ、同じ実行情報を複数の関係者らと共有することができる。また、管理端末12のユーザは、同じアプリもしくは同じユーザ端末11で過去に取得した情報にもアクセスすることができる。
【0072】
以上のように、実行情報は管理端末12のサーバ13への送信要求に応答して管理端末12に送信されるから、ユーザ端末11のサーバ13への接続の有無に関わらず、実行情報が管理端末12にて得られる。そのため、ユーザ端末11がサーバ13に接続している間でなければ実行情報を受信できない場合と比べて、効率がよく、また、利便性が高い。そのため、アプリのテストの効率が向上する。
【0073】
アプリの実行テスト中にユーザ端末11に不具合が生じた場合において、実行情報生成部22は、入力部20以外からの取得指示、すなわち管理端末12からの取得指示があった場合にも、その取得指示に応答して実行情報を生成し、取得処理部32へ送る。ユーザ端末11に生じた不具合が例えば、ディスプレイの画面の乱れであった場合を例に、
図12を参照しながら以下に説明する。
【0074】
管理端末12においてDeployGate上で接続要求(ログイン)がなされると、管理端末12の管理対象であるユーザ端末11の一覧の画像が送信処理部36から送られてきて、管理端末12に表示される。なお、ユーザ端末11の一覧の代わりに、または加えて、ユーザ端末11の端末IDの一覧であってもよい。
【0075】
上記一覧からひとつのユーザ端末11を選択すると、この選択が表示要求として、管理端末12から送信処理部36へ送られ、送信処理部36は、表示要求を受け取ったユーザ端末11の管理画面(
図11参照)を送信画像生成部37により生成して、その管理画面は管理端末12に送られて表示される。表示された後も管理端末12のサーバ13との接続を維持することにより、サーバ13の送信処理部36はユーザ端末11の接続やユーザ端末11から取得処理部32への実行情報の送信などの更新情報を受け付け、この受付けに応答して、管理画面を新たに生成し、これにより、管理端末12における管理画面が更新される。
【0076】
ユーザ端末11でアプリが起動されると、アプリに含まれるSDKがサーバに接続する。これによりユーザ端末11の実行情報生成部22は、アプリのバックグラウンドでサーバ13の指示部31からの取得指示が受信可能となる。サーバ13の端末情報処理部27は、ユーザ端末11のアプリによって端末制御部21と接続し、アプリが実行中であることを端末情報記憶部28に記憶するとともに、サーバ13と接続している管理端末12に、ユーザ端末11のアプリのサーバ13との接続状態の表示を、接続していない状態から接続している状態の表示に、送信処理部36は切り替える。例えば
図11の(A)に示す管理画面においては、ユーザ端末欄は他の欄と同様の太さの線分で囲んだ表示としており、これによりユーザ端末UAが接続していない非接続状態であることを示している。これに対し、ユーザ端末UAが接続状態になっている場合には、
図11の(B)に示すように、
図10のユーザ端末欄の「UB」を囲む太線と同様の、他の線分よりも太い線分で囲んだ表示としている。このように、一覧画像においては、ユーザ端末11が接続状態か否かを判別できるように切り替え表示することが好ましい。ただし、接続状態と非接続状態との各表示の態様は特に限定されず、両者を判別できればよい。
【0077】
管理端末12は、端末情報処理部27からユーザ端末11の接続の通知を受け取ると、実行情報の取得指示が可能な状態となる。この例の管理画面は、
図11に示すように、SS画像欄に、SS画像の取得指示を送信する取得ボタン86aが設けられており、この取得ボタン86aに触れることで、SS画像の取得指示がなされる。これにより、管理端末12からの取得指示は、指示部31を介してSDKで機能が実現されている実行情報生成部22へ送られ、実行情報生成部22は、SS画像生成部23によりSS画像を生成する。このように、ユーザ端末11のサーバ13に対する接続状態と非接続状態とが管理端末12に表示されるから、非接続状態から接続状態に切り替わった場合に迅速にSS画像の取得指示ができるなど、アプリのテストの効率がよい。また、このように、管理端末12からもSS画像などの実行情報の取得指示ができるから、SS画像が効率的かつ利便性よく取得できる。
【0078】
図11に示すように、本例の管理画面には操作履歴やログなどの動作履歴の各欄にも取得ボタン86b,86cが設けられている。これらの取得ボタン86b,86cに触れることで、各動作履歴もSS画像と同様に実行情報生成部22により生成され、取得処理部32に送られる。
【0079】
なお、SS画像生成部23がSS画像を生成する初回は、SS画像を生成する確認の画像がOSによって生成されてタッチパネルディスプレイに表示される。これに対する同意操作がなされることにより、以降はSS画像生成部23は取得指示に応答してSS画像を生成する。各動作履歴を生成する初回についても同様である。
【0080】
生成されたSS画像は、入力部20からの取得指示に応答して生成されたSS画像の場合と同様の処理を経て、管理端末12に送られる。
【符号の説明】
【0081】
10 報告システム
11 ユーザ端末
12 管理端末
13 サーバ
16 通信ネットワーク
20 入力部
21 端末制御部
22 実行情報生成部
23 SS画像生成部
27 端末情報処理部
28 端末情報記憶部
31 指示部
32 取得処理部
35 実行情報記憶部
36 送信処理部
37 送信画像生成部
86a~86c 取得ボタン