(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】棚照明装置
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20231115BHJP
A47F 11/06 20060101ALI20231115BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20231115BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20231115BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20231115BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231115BHJP
【FI】
A47F5/00 Z
A47F11/06
F21V33/00 110
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V23/00 160
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019173604
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-09-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 TAIYA PACK 第4回(株)田井屋 食品・流通包装展 における展示公開
(73)【特許権者】
【識別番号】510240321
【氏名又は名称】竹内 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100110814
【氏名又は名称】高島 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 孝文
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-134040(JP,A)
【文献】特開昭62-068413(JP,A)
【文献】特開2014-056647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00-5/16、11/06-11/10
F21V 23/00、33/00、19/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚柱と、この棚柱に支持され電源に接続されたアームと、このアームを経由して前記アームに設けられた照明器具に電源を供給する棚照明装置において、
前記棚柱が、分割された複数の分割部材から構成され、
隣接する前記分割部材を折り畳み自在に連結する連結手段を
有し、
隣接する前記分割部材の連結部分の互いに当接する端面には、前記アームを取り付けたときの前記棚柱の反りに依る前記アームの傾斜を修正する方向に、水平面に対して傾斜する角度を付したこと、
を特徴とする棚照明装置。
【請求項2】
前記棚柱が、吊り下げて立設されるものであり、前記連結手段は、前記棚柱の中心軸線より偏心した位置で隣接する前記分割部材を連結するものであることを特徴とする請求項1に記載の棚照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納・陳列する棚やケースに設けられたり、店頭のショーウインドゥや建屋の天井面・壁面等に設けられたりして、前記物品を照明する棚照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を陳列する棚やケースの照明は、スポットライトが主流であり、棚全体を明るく照らすことができないという問題があった。また、前記スポットライトに変えて例えば低電圧で駆動する蛍光灯のような照明器具で棚全体を照明することも行われているが、照明器具自体が大きく、せっかくの陳列範囲を狭めてしまうという問題点があるほか、照明器具が目立つという問題があった。特に、オープン形式の陳列棚の他にガラスショーケースのような美観を重要視する陳列棚には不向きであった。
かかる問題点を解決するために、本発明の発明者は、棚やケースに設けられ、棚台を支持する棚台設置部に載置するだけでLED等の発光体を点灯させることのできる棚照明装置を提案した(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-134040号公報
【文献】特開2012-40334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の棚照明装置は、従来の陳列棚やショーケースの概念を変えるものとして、種々の展示会や商談会で好評を得ている。また、電源供給端子の左右の位置及び前後の位置を調整することができるので、棚柱の間隔や電源を供給する棚受金具の位置などが異なっても前記棚照明装置を設置できるという利点がある。
しかし、前記棚照明装置の応用範囲が拡がるに従い、以下のような問題が発生してきている。すなわち、展示会や店舗などにおける一時的な棚の増設時に、簡単に設置及び撤去ができて持ち運びにも便利な棚照明装置が求められていること、上記文献に記載の棚照明装置は、装置本体に設けたスライド溝に電源供給端子を嵌め込み、前記スライド溝に沿って前後又は左右の位置調整を行うものであるが、スライド溝によって電源供給端子の移動範囲や移動方向が制限されるため、顧客の要望に応じた多種多様なディスプレイに対応できる棚照明装置が求められていることがある。
本発明はこのような要求に鑑みてなされたもので、搬送・携行に便利で設置や除去が簡単な棚照明装置を提供することを第一の目的とし、棚柱の間隔や電源を供給する棚受金具などの電源供給部分の位置などが異なる場合はもちろん、棚台の形状や大きさ、棚台設置部に対する棚台の設置形態が種々に変化しても、これら変化に対応して多種多様なディスプレイが可能になる棚照明装置の提供を第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の第一の要求に応えるために本発明の棚照明装置は、請求項1に記載するように、棚柱と、この棚柱に支持され電源に接続されたアームと、このアームを経由して前記アームに設けられた照明器具に電源を供給する棚照明装置において、前記棚柱が、分割された複数の分割部材から構成され、隣接する前記分割部材を折り畳み自在に連結する連結手段を有し、隣接する前記分割部材の連結部分の互いに当接する端面には、前記アームを取り付けたときの前記棚柱の反りに依る前記アームの傾斜を修正する方向に、水平面に対して傾斜する角度を付したことを特徴とする。この構成によれば、棚柱を各分割部分で折り畳んでコンパクトにすることができるので、棚照明装置の搬送・携行を便利にすることができる。
本発明の棚柱は、折り畳み状態から展開した後に、各連結部分で隣接する分割部材を固定することで、床面に立設して使用することも可能である。このように立設して使用する場合は、アームやこのアームに載せる棚台及び商品の重量によって棚柱が撓まないように、前記分割部材や前記連結手段の剛性又は撓み防止のための支持手段を考慮する必要がある。その一方で、本発明の棚柱を、例えば壁面や柱面などの構造物の表面に沿って吊り下げるようにすれば、撓みや反り抑制のための対策は軽微なものでよくなる。この場合、請求項2に記載するように、前記連結手段は、前記棚柱の中心軸線より偏心した位置で隣接する前記分割部材を連結するとよい。このようにすることで、各分割部材には、前記連結手段を支点として前記構造物の表面から離間する方向に初期応力が作用し、アームや棚台を載せたときにその自重によって棚柱が真っ直ぐになる。
【0006】
また、第二の要求に応えるために、少なくとも前記アーム側を差し向く一方の面が開放された外筐体に互いに接触しないように収容され、前記アームを介して前記電源の正極に接続される導電性の第一の内筐体及び前記アームを介して前記電源の負極に接続される第二の内筐体と、前記第一の内筐体及び前記第二の内筐体の少なくとも一部に形成され、前記アームに通電可能に接触するように前記外筐体から一部が露出する露出部と、前記第一の内筐体及び前記第二の内筐体のそれぞれに電気的に接触する電極とこの電極を介した電源の供給によって発光する発光体とを備えた基板とを備えるように構成する。
本発明は上記のように構成されているので、棚照明装置をアームに載せるだけで、外筐体から露出する第一の内筐体及び第二の内筐体がアームに接触して基板への電源の供給が可能になり、発光体を発光させることができる。
【0007】
本発明においては、前記外筐体は前記アームに載置される棚に形成されていてもよい。このようにすることで、棚本体に外筐体を一体に的に埋め込むことができ、棚照明装置が棚の外観に表れないようにすることができる。
本発明の棚照明装置においては、外筐体の内部に電極を構成する第一の内筐体及び第二の内筐体が収容されている構成であるので、種々の応用例が可能である。例えば、前記外筐体に二方向以上の開口面を形成し、前記発光体の発光による照射光が前記と外筐体から二方向以上に照射されるようにしてもよい。また、前記第一の内筐体及び前記第二の内筐体のうちの少なくとも一方を、前記外筐体の内部で摺動自在としてもよい。この場合、前記基板を前記第一の内筐体側と前記第二の内筐体側とに分割し、分割した左右の基板を電気的に接続するとともに、前記左右の基板の距離を可変自在にするようにしてもよいし、複数個の前記第一の内筐体又は前記第二の内筐体を前記外筐体に収容し、複数の前記第一の内筐体どうし又は複数の前記第二の内筐体どうしを、互いの距離を可変自在にする接続手段で電気的に接続するようにしてもよい。このようにすることで、棚の種類や形状、大きさ、棚に載せる商品等に応じて、発光体の位置を変化させることが可能になる。
【0008】
なお、前記露出部に、前記アームに対する前記第一の内筐体又は前記第二の内筐体の位置決めを行うための位置決め手段を設けてもよい。前記位置決め手段としては、アームと係合する凹凸などを挙げることができる。
本発明の棚照明装置は直線状に限らず、円弧状、湾曲状、蛇行状など種々の形を選択することできる。すなわち、前記外筐体を非直線状(円弧状、湾曲状、蛇行状など)に形成してもよい。この場合、前記第一の内筐体及び前記第二の内筐体は、前記外筐体に収容できる形状とする。
第一の内筐体及び第二の内筐体は、外筐体の長手方向の軸線を横断するように、一つの内筐体を左右に分割したものであってよいが、前記外筐体の軸線に沿って前後に一つの内筐体を分割して第一及び第二の内筐体とし、これらを前記軸線と平行に接触しないように対峙して配置してもよい。
なお、前記第一の内筐体又は前記第二の内筐体のうちの少なくとも一方が前記外筐体と一体に形成され、前記外筐体の一部が導電性を有する前記第一の内筐体又は前記第二の内筐体として機能するように構成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[棚照明装置の第一の実施形態]
図1~
図4は、本発明の棚照明装置を構成する棚柱の説明図にかかり、
図1はその構成を説明する斜視図、
図2は、
図1の折り畳み部分の詳細を説明する拡大図、
図3は棚柱の作用を説明する図、
図4は棚柱を折り畳む手順を説明する図である。
図1に示すように、この実施形態の棚柱3は、その上端をパーテーションPの上端縁にL字状の係合部材36を引っ掛けて吊り下げるものである。棚柱3は、複数に分割された分割部材31から構成されていて、隣接する分割部材31の各々が折り畳み自在に連結されている。複数の分割部材31を折り畳み自在に連結する構成としては、ヒンジやボルトなどを挙げることができるが、この実施形態では、板状の連結リンク34と、この連結リンク34を分割部材31の各々に回動自在に取り付けるピン33とによって連結される。
断面コの字状の分割部材31の内部で、差し込み孔32に差し込まれたアーム4の先端の係合金具とピン33とが干渉しないようにするために、図示するように差し込み孔32のところで棚柱3を分割するのが好ましい。分割部材31の本数は、棚照明装置の高さにも依るが、例えば高さ160cmから200cm程度の棚照明装置においては、分割部材31は2本~4本程度とするのが目安である。また、一つの分割部材31の長さは、アーム4に支持させる棚台(
図5以降の棚台2A,2B)と一緒に収納することを考慮して、前記棚台の長手方向の幅内に収まるものとするのが好ましい。
なお、棚柱3が三つ以上の分割部材31から構成されている場合のピン33,33の距離sは、棚柱3の上端に位置する分割部材31と中間に位置する分割部材31とを折り畳んだときに、ピン33,33によって形成されるこれら二つの分割部材31の空間の幅が、中央の分割部材31がちょうど収まるような寸法とするのがよい。また、棚柱3の下端に配置される分割部材31は、上端及び中間の分割部材31の間の前記空間に収容されが、下端の分割部材31の先端が上端及び中間の分割部材31,31の先端から張り出さないようにするために、これら分割部材31,31よりも若干短尺に形成するのがよい。
【0010】
この実施形態において上下のピン33,33は、
図1及び
図2(a)に示すように、分割部材31の側面(差し込み孔32が形成された表面の両側の面)における棚柱3の中心軸線Zから、前記表面側に偏心した位置に設けられている。このように、中心軸線Zから偏心した位置にピン33,33を設けているので、棚柱3をパーテーションPの上端縁から無負荷で吊り下げると、各分割部材31の連結部分で棚柱3が
図3(a)に示すように、パーテーションPの表面から離れる方向に弓なりに反ろうとする。そして、この棚柱3にアーム4を取り付け、アーム4に棚台2Aを載せると、
図3(b)に示すように、アーム4及び棚台2Aの重さによって棚柱3が真っ直ぐになり、パーテーションPの表面に密着する。アーム4や棚台2A、棚台2Aに載せる商品などの重さによっては、棚柱3が各分割部材31の連結部分で無負荷時とは逆方向に弓なりに反り、これによってアーム4や棚台2Aを下方に傾斜させるおそれがある。そのため、
図2(b)に示すように、分割部材31,31の連結部分の互いに当接する端面31a,31aには、前記傾斜を修正する方向に水平面Hに対して角度αを付けるとよい。
【0011】
棚柱3は、建造物の壁面や柱、天井などの構造物にボルトで上端を固定して吊り下げるようにしてもよいし、ワイヤなどで吊り下げるようにしてもよい。この実施形態の棚柱3の一端(上端)には、パーテーション4など仕切部材の上端縁に引っ掛けて、棚柱3を吊すことのできるように、係合部材36が取り付けられている。この係合部材36は、棚柱3の上端からパーテーション4の表面に反って上方に延出し、かつ、その上端をほぼ直角に折り曲げて形成された逆L字状のL形部材35に、固定部材37を介して取り付けられる。係合部材36は、L字状に屈曲された本体36aと、パーテーション4に引っ掛かるように本体36bの先端をほぼ直角下方に屈曲させて形成されたフック部36bと、本体36aのほぼ中央に形成されフック部36bまでに伸びる貫通状の長孔36cとを有する。
固定部材37は、L形部材35から鉛直上方に立設して設けられた螺旋軸37bと、この螺旋軸37bに螺入されたハンドル37aとを有している。長孔36cに螺旋軸37bを挿通させてL形部材35の上に本体36aを載せ、本体36aに当接するまでハンドル37aを螺旋軸37bに螺入することで、係合部材36が、固定部材37を介してL形部材35に取り付けられる。適宜にハンドル37aを緩めて長孔36cにおける螺旋軸37bの挿通位置を変えることで、パーテーション4の厚みが多少変化しても対応することが可能である。
【0012】
図4は、棚柱3を折り畳む手順を説明する図である。
まず、棚台2Aの上から全ての商品を取り除き、棚台2A及びアーム4を棚柱3から取り外す。次に、棚柱3をパーテーションPから取り外す。そして、棚柱3を各連結部分で折り畳み、分割部材31を重ね合わせる。このとき、この実施形態では、棚柱3の上端に位置する分割部材31と中間に位置する分割部材31との間の空間に、下端に位置する分割部材31が収容されるように折り畳む。下端の分割部材31を上端と中間の分割部材31,31より短尺に形成することで、下端の分割部材31が上端と中間の分割部材31,31の端部より張り出さないようにすることができる。
【0013】
次に
図4(a)に示すように、固定部材37のハンドル37aを緩めてハンドル37aとL形部材35との間に十分な空間を作る。そして、長孔36cを利用して係合部材36を矢印方向に移動させて図中(I),(II),(III)のように反転させ、折り畳んだ三本の分割部材31の先端が拡散しないように、L形部材35と係合部材36とで三本の分割部材31の先端を挟み、ハンドル37aを締めて固定する。これにより、折り畳んだ三本の分割部材31は、L形部材35及び係合部材36と連結リンク34とで両端が固定され、折り畳んだ状態が維持される。
この実施形態の棚柱3によれば、長尺の棚柱3を折り畳んだコンパクトな状態で持ち運ぶことができ、棚柱照明装置の持ち運びに便利であるうえ、展示会場や店舗等において指定された場所に棚柱3を吊り下げるだけで、棚柱3を迅速かつ簡単に設置することができ、棚柱照明装置の設置と撤去を極めて簡単かつ短時間で行うことができる。
なお、複数の棚柱3間の間隔が変化しないように、棚柱3間には棒状の固定手段を架け渡すようにしてもよいし、棚柱3が容易に揺動しないように、テープや針金、ボルトなどを使って、棚柱3をパーテンションPや床面に補助的に固定するようにしてもよい。
【0014】
次に、上記の棚柱3に設置する照明器具について説明する。
図5は本発明の棚照明装置を構成する照明器具の第一の実施形態にかかり、その分解斜視図、
図6は、この第一の実施形態の照明器具を棚台に取り付けたときの照明器具の横断面図、
図7は、照明器具を棚台に組み込んだ別の例を示す棚台の斜視図である。なお、
図7においては、照明器具の説明のために棚台やアームなどは仮想線(二点鎖線)で示してある。
この実施形態の照明器具1Aは、一方の面(図示の例では下側を向く面)が開口する長尺箱状の外筐体10と、この外筐体10の開口部分に取り付けられ、発光体であるLED15の光を前方に向けて照射できるガラスやアクリル等の透明な部材で形成されたカバー16と、外筐体10と同様に一方の面が開口する箱状で外筐体10の半分程度の長さに形成されるとともに導電性を有する金属等の材料で形成され、外筐体10の内側に収容される左右の第一の内筐体11及び第二の内筐体12と、第一の内筐体11から第二の内筐体12に架け渡すようにして第一の内筐体11及び第二の内筐体12外筐体10の内部に収容され、LED15を点灯させるための回路が形成された基板14と、この基板14の両端近傍の二カ所に形成され、一方が第一の内筐体11に接触し、他方が第二の内筐体12に接触する電極14a,14bとを有している。
【0015】
[外筐体]
外筐体10は、樹脂などの電気絶縁性の材料で一方の面を開放させた断面下向きコの字の長尺箱状に形成されている。外筐体10の長手方向の長さは、設置しようとする棚台(例えば
図6の棚台2A)の幅又は棚台設置部の導通部(例えば左右のアーム4、4)の間隔に応じたものとするとよく、棚台2Aの寸法に合わせて複数種類を準備しておくのが好ましい。外筐体10の開口部分には、透光性又は半透光性のカバー16が取り付けられる。
【0016】
[第一の内筐体及び第二の内筐体]
この実施形態においてアルミ等の導電性の部材で形成された第一の内筐体11及び第二の内筐体12は、外筐体10と同様に断面視して下向きコの字状に形成されている。第一の内筐体11及び第二の内筐体12は外筐体10の内壁面にぴったりと密着して嵌装される寸法に形成されるが、この実施形態において軸線C方向の長さは、外筐体10の軸線C方向の長さの半分より僅かに短く形成されている。
また、第一の内筐体11及び第二の内筐体12の側壁の高さhは、開口部から外筐体10の底部までの深さHよりも僅かに大きく形成されていて、第一の内筐体11及び第二の内筐体12を外筐体10に嵌装したときに、第一の内筐体11及び第二の内筐体12の開口部分の端縁11a,12aが外筐体10の開口部分の端縁10aよりも僅かに突出(露出)するようになっている。
図6に示すように、外筐体10の端縁10aから突出する第一の内筐体11及び第二の内筐体12の端縁11a,12aが、アーム4と接触することで、アーム4を介して基板14のLED15に電源を供給できるようになっている。なお、短絡防止のため正極側の第一の内筐体11と負極側の第二の内筐体12とは接触しないようにする必要があるが、
図5に示すように絶縁部10aを外筐体10の底部に設けてもよいし、互いに向かい合う第一の内筐体11又は第二の内筐体12の一端に絶縁部を取り付け又は形成してもよい。
第一の内筐体11及び第二の内筐体12は接着剤やボルトなどによって外筐体10の内部に固定するようにしてもよいが、第一の内筐体11及び第二の内筐体12の少なくとも一方を、外筐体10の内部で軸線C方向にスライドできるようにしてもよい。このようにすることで、例えば左右のアーム4,4の幅が外筐体10の軸線C方向の長さよりも大きい場合に、スライド可能な第一の内筐体11又は第二の内筐体12を外筐体10の一端から突出させることで対応可能になる。
【0017】
[基板]
LED15を発光させるための長尺帯状の基板14は、第一の内筐体11及び第二の内筐体12の少なくとも一方に固定して取り付けられる。例えば、第一の内筐体11に基板14を接着剤やボルトなどによって固定し、電極14bと第2の内筐体12との接触状態を維持したままで基板14を第2の内筐体12に対してスライド可能とすることで、第一の内筐体11及び第二の内筐体12の少なくとも一方を外筐体10に対してスライドさせても、基板14への電源の供給を行ってLED15を発光させることが可能になる。
【0018】
[棚照明装置を棚台に組み付けた例]
上記構成の照明器具1Aは、棚台2Aと一体に形成することが可能である。
図5に示す例では、左右のアーム4,4を横切る横断方向の棚台2Aの一端から他端まで凹溝(又は孔、以下同じ)2aが形成され、この凹溝2aに照明器具1Aが嵌め込まれている。この場合、棚台2Aの底面から第一の内筐体11及び第二の内筐体12の開口部分の端縁11a,12aが突出してアーム4と接触できるように、凹溝2aの深さは外筐体10の深さH(
図5参照)と同程度とする。棚台2Aの底面から外筐体10の端縁10aが突出しないように、第一の内筐体11及び第二の内筐体12の端縁11a,12aが突出する範囲内で、外筐体10の深さHよりも僅かに大きくするとよい。この実施形態のように、棚台2Aに照明器具1Aを埋め込んで棚台2Aと一体化させることで、照明器具1Aを目立たなくすることができる。なお、特に図示はしないが、この実施形態においては、凹溝2aを有する棚台2Aを外筐体として利用することで、外筐体10を不要にできる。
【0019】
[棚照明装置の第二の実施形態]
図8に、本発明の棚照明装置の第二の実施形態を示す。
図8(a)は本発明の棚照明装置の第二の実施形態にかかり、棚照明装置を棚台に組み込んだ一例を示す棚台の斜視図、(b)はこの実施形態の棚照明装置の断面図である。
この実施形態の照明器具1Bは、上下二つの面で開口する断面H形の第一の内筐体11及び第二の内筐体12を有し、前記断面H形の中央に配置されたウェブ部分の表裏に、LED15を備えた基板14がそれぞれ取り付けられている。従って、LED15を発光させると、第一の内筐体11及び第二の内筐体12の上下の開口部分から照射光が照射されることになる。
この実施形態の棚台2Bには、第一の内筐体11及び第二の内筐体12が嵌め込める矩形状の貫通孔2bが形成されている。この実施形態においては、棚台2Bが外筐体を構成するため、別体の外筐体10(
図5参照)は不要である。第一の内筐体11及び第二の内筐体12の一方の端縁11a,12aは棚台2Bの下面から突出していて、棚台2Bをアーム4に載置することで端縁11a,12aがアーム4に接触し、アーム4を介してのLED15への電源の供給が可能になる。なお、第一の内筐体11及び第二の内筐体12の他方の端縁を棚台2Bの上面にも突出させて、棚台2Bを表裏使いできるようにしてもよい。この実施形態の照明器具1Bによれば、棚台2Bの下方だけでなく上方にも照明光を照射させることが可能になる。
【0020】
[棚照明装置の第三の実施形態]
図9は、本発明の棚照明装置の第三の実施形態にかかり、その分解斜視図である。
この実施形態の照明器具1Cにおいて第一の内筐体11及び第二の内筐体12は、第一の実施形態の照明器具1A及び第二の実施形態の照明器具1Bの第一の内筐体11及び第二の内筐体12よりも短尺に形成されているとともに、第一の内筐体11及び第二の内筐体12の両側には、第一の内筐体11及び第二の内筐体12と同じ断面形状を有する電極体17,18が配置されている。基板14は、第一の内筐体11及び第二の内筐体12に合わせて左右に二分割されていて、それぞれの基板14は第一の内筐体11及び第二の内筐体12に取り付けられている。電極体17,18は金属など導電性の材料で形成され、一方の電極体17と第一の内筐体11、第一の内筐体11に取り付けられた基板14、この基板14と第二の内筐体12,第二の内筐体12に取り付けられた基板14と他方の電極体18とはそれぞれ導線13によって電気的に接続されている。導線13は屈曲変形自在で、外筐体10の内部において電極体17、第一の内筐体11、第二の内筐体12及び電極体18の相対的な位置(距離)が変わっても、これに追随して導線13が変形することで、前記位置(距離)の変化を吸収することができるようになっている。
【0021】
すなわち、この実施形態では、導線13が第一の内筐体11及び第二の内筐体12などの部材の互いの距離を可変自在かつ電気的に接続する接続手段を構成する。また、電極体17,18は、第一の内筐体11及び第二の内筐体12と同様に、端縁17a,18aが外筐体10の端縁10aより僅かに突出するように形成されている。そして、電極体17,18の外筐体10の端縁10aより突出する端縁17a,18aがアーム4と接触することで、一方のアーム4から一方の電極体17、第一の内筐体11、一方の基板14、第二の内筐体12、他方の基板14、他方の電極体18、他方のアーム4に電流が流れ、基板14,14のLED15を発光させる。もちろん、左右のアーム4の幅が狭いような場合には、第一の内筐体11又は第二の内筐体12の端縁11a,12aをアーム4に接触させることで、基板14,14に電源を供給することが可能である。
この第三の実施形態の照明器具1Cのように構成すれば、第一の内筐体11及び/又は第二の内筐体12を外筐体10内でスライドさせることで、外筐体10に対してLED15の配置を自在に変更することが可能になり、陳列する商品などに応じて、より多様な照明が可能になる。
【0022】
[第三の実施形態の変形例]
上記した第三の実施形態の照明器具1Cにおいては、電極体17,18,第一の内筐体11及び第二の内筐体12のいずれかがアーム4に接触することで基板14に電源を供給できるようにしているが、電源の供給を電極体17,18のみから行うようにすることで、第一の内筐体11及び第二の内筐体12を樹脂などの絶縁性の部材で形成することが可能になる。この場合は、第一の内筐体11及び第二の内筐体12をアーム4に接触させる必要がないので、端縁11a,12aは外筐体10の端縁10aから突出させなくてもよい。第一の内筐体11及び第二の内筐体12を樹脂等の絶縁性の部材で形成する場合は、電極体17と第一の内筐体11の基板14,第一の内筐体11の基板14と第二の内筐体12の基板14及び第二の内筐体12の基板14と電極体18とを接続手段である導線13で電気的に接続するようにする。
【0023】
[棚照明装置の第四の実施形態]
上記の実施形態では、外筐体10の軸線Cに沿った方向に第一の内筐体11と第二の内筐体12とを分けて配置しているが、第一の内筐体11と第二の内筐体12とは軸線Cを挟んで配置した形態としてもよい。
図10は、本発明の棚照明装置の第四の実施形態にかかり、その分解斜視図である。
この実施形態の照明器具1Dにおいて第一の内筐体11′及び第二の内筐体12′は、軸線Cを境として外筐体10を二分割した形状に形成されている。第一の内筐体11′及び第二の内筐体12′は、外筐体10の長手方向(軸線C方向)の長さより若干短く形成され、互いに軸線C方向にずらすことで、第二の内筐体12′の端縁12a′が一方のアーム4に接触したり、第一の内筐体11′の端縁11a′が他方のアーム4に接触したりしないようにしている。外筐体10の底部には突起状の絶縁部10aが形成されていて、外筐体10の内部で第一の内筐体11′と第二の内筐体12′とが接触しないようにしている。基板14には第一の内筐体11′及び第二の内筐体12′と接触する電極14a,14bが形成されているが、この電極14a,14bも基板14の中央を通る軸線C′を境に前後に振り分けられていて、電極14aが第一の内筐体11′に接触したり、電極14bが第二の内筐体12′に接触したりしないようになっている。
【0024】
[棚照明装置の第五の実施形態]
図11は、棚照明装置の第五の実施形態を示す正面図である。説明の便宜上、
図11では棚台2A又は外筐体10は二点鎖線により省略して記載している。
この実施形態の照明器具1Eでは、棚台2又は外筐体10から突出する第一の内筐体11及び第二の内筐体12の端縁に凹凸11b,12bを形成している。そして、この凹凸11b,12bをアーム4に係合させることで、棚台2又は外筐体10や第一の内筐体11又は第二の内筐体12がアーム4に対して位置ずれしにくいようにしている。また、このような凹凸11b,12bはアーム4との電気的接触性を高めて、アーム4と第一の内筐体11又は第二の内筐体12との接触不良を抑制し、確実にLED15を発光させることができる。この実施形態では、凹凸11b,12bが、アーム4に対する第一の内筐体11又は第二の内筐体12の位置決めを行う位置決め手段を構成する。
なお、凹凸11b,12bと同様の作用を奏するものであれば、凹凸11b,12bに限らず他の手段であってもよい。例えば、第一の内筐体11又は第二の内筐体12の端縁11a,11a′,12a,12a′に磁石を取り付け、アーム4に磁着させるようにしてもよい。
【0025】
[棚照明装置の第六の実施形態]
上記の第一~第五の実施形態では、外筐体10と第一及び第二の内筐体11,12とは別体であるとして説明している。
この第六の実施形態では、外筐体10と第一の内筐体及び第二の内筐体とが一体に形成されていて、外筐体10の一部が導電性を有する内筐体としても機能するようになっている。
図12の例では、外筐体10の外側に導電部11″,12″が露出していて、この導電部11″,12″がアーム4に接触することで、LEDを点灯させる。
図12の例では、導電部11″,12″が外筐体10と一体に形成された第一の内筐体及び第二の内筐体を構成する。導電部11″,12″は、導電性の部材を外筐体10の外側又は内側に貼り付ける等して構成してもよいし、外筐体10の一部を切り欠いて、当該切欠き部分に前記導電性の部材を嵌め付けるようにしてもよい。導電性の金属層を外筐体10の表面にメッキなどで形成するようにしてもよい、
なお、第一~第五の実施形態の第一の内筐体11,11′及び第二の内筐体12、12′のうち、いずれか一方をこの実施形態の内筐体11″又は内筐体12″に置き換えるようにしてもよい。
【0026】
本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記の説明に限定されるものではない。
例えば、上記の説明で棚柱3はパーテーションPなどの仕切壁、その他壁面及び柱面などを含む構造物の表面に沿って吊り下げるものとして説明したが、このような構造物が設置場所に無くても、例えば天井から宙吊り状態としてワイヤやロープで引っ張ることで設置が可能である。また、アームやこのアームに載せる棚台及び商品の重量によって棚柱が撓まないように、前記分割部材や前記連結手段の剛性を高めたり、撓み防止のための補助部材を設けるなどすることで、床面に立設して使用することも可能である。
さらに、上記の説明では外筐体10は直線状のものを前提としているが、外筐体10は例えば湾曲状や屈曲状、蛇行状のものであってもよい。また、
図9に示した第三の実施形態の照明器具1Cでは、電極体17,18を第一の内筐体11及び第二の内筐体12の両側に設けているが、電極体17,18に代えてLED15を備えた別の第一の内筐体11及び第二の内筐体12とすることも可能で、さらに、複数の第一の内筐体11及び第二の内筐体12を外筐体10の内部にスライド可能に設けることで、より多様な照明が可能になる。
また、上記の説明では、第一の内筐体11,11′の端縁11a,11′a、第二の内筐体12,12′の端縁12a,12a′、電極体17の端縁17a,電極体18の端縁18aをその全長に亘って外筐体10の端縁10aから突出させているが、部分的に突出させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の棚照明装置は、物品を陳列する棚やショーケース、ショーウィンドウのほか、室内外の壁面や天井、梁、柱等に設けることが可能である。また、本発明の棚照明装置は必ずしも棚台と組み合わせる必要はなく、照明装置としての単体の利用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の棚照明装置を構成する棚柱の説明図にかかり、その構成を説明する斜視図である。
【
図2】
図1の折り畳み部分の詳細を説明する拡大図である。
【
図5】本発明の棚照明装置の第一の実施形態にかかる分解斜視図である。
【
図6】第一の実施形態の棚照明装置を棚台に取り付け状態を示す棚照明装置の横断面図である。
【
図7】棚照明装置を棚台に組み込んだ一例を示す棚台の斜視図である。
【
図8】
図8(a)は本発明の棚照明装置の第二の実施形態にかかり、棚照明装置を棚台に組み込んだ一例を示す棚台の斜視図、(b)はこの実施形態の棚照明装置の断面図である。
【
図9】本発明の棚照明装置の第三の実施形態にかかり、その分解斜視図である。
【
図10】本発明の棚照明装置の第四の実施形態にかかり、その分解斜視図である。
【
図11】棚照明装置の第五の実施形態を示す正面図である。
【
図12】棚照明装置の第六の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1A~1F 棚照明装置
10 外筐体
10a 端縁
11,11′ 第一の内筐体
11a,11a′ 端縁
11b 凹凸
12,12′ 第二の内筐体
12a,12a′ 端縁
12b 凹凸
13 導線
14 基板
14a 電極
15 LED(発光体)
2A,2B 棚台
3 棚柱
31 分割部分
33 ピン
34 連結リンク
35 L形部材
36 係合部材
37 固定部材
4 アーム
P パーテンション
Z 棚柱の中心軸線
C 外筐体の軸線