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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】ルーバー材の小口蓋及び小口塞ぎ構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/08 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
E04F10/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022036937
(22)【出願日】2022-03-10
(62)【分割の表示】P 2020072333の分割
【原出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2022084732
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000127639
【氏名又は名称】株式会社エービーシー商会
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 富士夫
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-160060(JP,U)
【文献】実開昭55-35226(JP,U)
【文献】特開2007-56597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 10/08
E04F 11/18
F16B 5/10
F16L 57/00
E04B 1/00
E04G 21/30
E04H 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーバー材の端部に取り付けられる小口蓋において、
ルーバー材の端部開口を塞ぐ小口蓋本体の内面に、当該内面と直交して突出していて先端に前記内面に向けて折れた折り返し部を有する突出部が設けられた構成を有することを特徴とするルーバー材の小口蓋。
【請求項2】
小口蓋本体の内面に設けられた突出部はその先端を折り返し部として断面U字形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のルーバー材の小口蓋。
【請求項3】
小口蓋の外面に複数の凸筋又は凹筋が形成されてなる請求項1又は2に記載のルーバー材の小口蓋。
【請求項4】
建物の外装又は内装に用いられるアルミ形材からなるルーバー材であって、出幅面の内側に見付面と向き合う裏面を配置して中空に形成されてなるルーバー材の端部に、アルミ形材からなる小口蓋を取り付けて、ルーバー材の端部開口を塞ぐルーバー材の小口塞ぎ構造において、
前記小口蓋は、その内面に当該内面と直交して突出していて先端に前記内面に向けて折れた折り返し部を有する突出部が設けられ、
前記突出部を前記ルーバー材の内部に挿入して小口蓋をルーバー材の端部開口に被せるとともに、前記ルーバー材の取付部の側から裏面に留めネジをねじ込み、裏面を貫通してルーバー材の内部に突出した留めネジのネジ部を前記突出部の折り返し部に係合させて、又は折り返し部にネジ入れて留め付けることにより、ルーバー材の端部に小口蓋を固定することを特徴とするルーバー材の小口塞ぎ構造。
【請求項5】
建物の外装又は内装に用いられるアルミ形材からなるルーバー材であって、出幅面の内側に見付面と向き合う裏面を配置して中空に形成されてなるルーバー材の端部に、アルミ形材からなる小口蓋を取り付けて、ルーバー材の端部開口を塞ぐルーバー材の小口塞ぎ構造において、
前記小口蓋の内面に設けられた突出部はその先端を折り返し部として断面U字形に形成されており、
この突出部を前記ルーバー材の内部に挿入して小口蓋をルーバー材の端部開口に被せるとともに、前記ルーバー材の取付部の側から前記突出部よりもネジ部が大径の留めネジをねじ込み、裏面を貫通して突出した留めネジのネジ部を前記突出部内にねじ入れての留め付けることにより、ルーバー材の端部に小口蓋を固定することを特徴とするルーバー材の小口塞ぎ構造。
【請求項6】
ルーバー材の内部であって見付面の内面と裏面の内面のどちらか一方又は両方に、小口蓋の突出部の挿入位置を規制するリブが形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のルーバー材の小口塞ぎ構造。
【請求項7】
請求項4から6の何れかに記載のルーバー材の小口塞ぎ構造において、
ルーバー材は、その外面の全体又は一部に、当該ルーバー材の押出方向に沿って伸びた複数の凸筋又は凹筋が配置されたものであることを特徴するルーバー材の小口塞ぎ構造。
【請求項8】
請求項4から6の何れかに記載のルーバー材の小口塞ぎ構造において、
ルーバー材は、出幅面の内側に見付面と向き合う裏面を配置して中空に形成されているとともに、前記出幅面の端部に内折れ片が配置された取付部が設けられ、
この取付部に面する前記裏面の外面と前記内折れ片の外面とに、複数の凸筋又は凹筋が形成された構成を有するものであることを特徴するルーバー材の小口塞ぎ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外装又は内装に用いられるアルミ形材からなるルーバー材に係り、外面にルーバー材の長手方向に沿って伸びた複数の凸筋又は凹筋が設けられた形状のものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、木材の視覚効果として、木材がアルミニウムやコンクリートなどと比べて紫外線の反射が少ないこと、木材表面の小さな凸凹によって光が拡散されるため、まぶしさを和らげることなどが挙げられ、また、年輪や木目は等間隔のように見えるようで実は微妙にズレて、基本的に「1/fのゆらぎ」の配置となっており、この木目のゆらいだ配置が視覚を通して人の感覚を心地よく刺激する効果があることが知られている。
【0003】
このような視覚効果と相俟って木材はその木目や節のパターンと茶色系の色彩により、安定感のある落ち着いた雰囲気と高級感を醸し出す材料として建物や外装材、内装材に好適に用いられ、また、表面に木目調の図柄や模様を付した鋼材や樹脂材も外装材や内装材の材料として用いられている。
複数のルーバー材を互いに間隔を開けて平行に支持材に取り付けて構成されるルーバーにおいては、ルーバー材の表面に木目図柄の化粧シートを貼り付けてルーバーの意匠性を高めたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、アルミ形材からなるルーバー材の開口した小口を塞ぐ構造として、ルーバー材の中空部内に上下面に一対の突条をそれぞれ形成するとともに、前記小口を塞ぐ小口化粧材の裏面に、前記突条に篏合する篏合片を突出形成し、ルーバー材の小口に前記小口化粧材を宛がって前記篏合片を突条に強く嵌合させることにより、小口化粧材をルーバー材の端部に固定して小口を塞ぐ形態のものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭59-96291号公報
【文献】特開2011-94344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外面が木目図柄で装飾された従来のルーバー材にあっては、例えば複数のルーバー材を互いに水平向きにし、且つ上下間隔を開けて支持材に取り付けて目隠しルーバーを構成した場合に、ルーバー材が面する目隠しルーバーの正面側からはルーバー材の木目図柄の装飾を見ることができるが、背面側から目隠しルーバーを見るとルーバー材の装飾がされていない面が露出しており、背面側の見栄えは必ずしも良好なものではなかった。ルーバーの設置態様によっては、その背面側の外観も良好であることが必要な場合もある。
【0007】
また、木目調の図柄に装飾されたルーバー材を製作する方法としては、ルーバー材を樹脂押出成形により形成して表面に凹凸を設ける方法や前記のように木製や鋼製のルーバー材の表面に木目図柄の化粧シートを貼り付ける方法、鋼製のルーバー材の表面に木目調の樹脂被膜を形成する方法、鋼製のルーバー材の表面にプレス成形により凹凸模様を形成する方法などが挙げられる。
【0008】
しかし、樹脂押出成形により形成されたルーバー材には、紫外線の照射や温度変化によって樹脂が劣化し、変色や変形、割れなどを来たしやすいという問題がある。ルーバー材の表面に化粧シートを貼り付ける方法は、化粧シートの貼り付けに製作コストを要し、施工後に化粧シートが剥がれる懸念があり、また、ルーバー材の表面に樹脂被膜を形成する方法もコストが高くなるとともに樹脂劣化により被膜が変色したり剥がれたりしやすいという問題がある。
【0009】
プレス成形によりルーバー材に凹凸模様を付す方法も製作コストが高くなるという問題がある。また、そもそもプレス成形により形成される凹凸模様は一定の間隔で凹凸を繰り返して凸筋を整列させた縞模様であり、また、プレス成形でルーバー材の表面に微細な凹凸模様を付すことは難しいという問題もある。
【0010】
また、前記ルーバー材の小口を塞ぐ構造にあっては、小口化粧材を固定するための留めネジが不要であり、小口化粧材の取り付け作業が簡単であるという利点はあるものの、ルーバー材の中空部内に設けた上下の突条と小口化粧材の篏合片とを篏合させてあるだけなので、屋外に設置されるルーバーでは風雨を受けて小口化粧材が抜け外れる危険があることは避けられない。
さらに、内壁の交差部や建物や外装材の角部に設置されるルーバーの態様では、コーナー取り合いなどでルーバー材の小口が傾斜するが、前記従来の構造はこれに対応することができず、別の手段で小口化粧材を固定する必要がある。
【0011】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、ルーバーの背面側の外観も見栄えが良くなるようにルーバー材を構成することを課題とする。また、木材の視覚効果を発揮するルーバー材を安価に製作することができるようにするとともに、木材で形成された如き自然な風合いを観取させることができるようにルーバーを構成することを課題とする。さらに本発明は、ルーバー材の小口を塞ぐ小口蓋を、簡単な操作によって確実に固定することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため本発明は、建物の外装又は内装に用いられるアルミ形材からなるルーバー材であり、外面に当該ルーバー材の押出方向に沿って伸びた複数の凸筋又は凹筋が設けられてなるルーバー材において、
ルーバー材は、出幅面の内側に見付面と向き合う裏面を配置して中空に形成されているとともに、前記出幅面の端部に内折れ片が配置された取付部が設けられ、
この取付部に面する前記裏面の外面と前記内折れ片の外面とに、複数の凸筋又は凹筋が形成された構成を有することを特徴とする。
【0013】
これによれば、ルーバー材の裏面や内折れ片の外面にも凸筋又は凹筋が形成されているので、例えば複数のルーバー材を支持材で支持して目隠しルーバーを構成し、この目隠しルーバーをその背面側から見たときに、背面側に露出したルーバー材の前記裏面や内折れ片に凸筋や凹筋を付した装飾が施されていることを確認することができ、ルーバーの背面側をその正面側から見たときと同様の見栄えの外観のものとすることができる。設置態様に関わりなく、正面側と背面側で同等の装飾が施されたルーバーを構成することができる。
【0014】
また、前述のとおり、ルーバー材の表面に一定の高さと幅の凸筋が一定の間隔で機械的に整列させて配置したのでは、天然木或いはこれに似せた木目調の模様のようには見えない。
ルーバー材が前記木材の視覚効果をもたらすようにするには、木目に相当する複数の凸筋を等間隔で機械的に配置するのではなく、「1/fのゆらぎ」の如き配置となるように、隣り合う凸筋同士が相互の間隔が微妙に異なるような配置とする必要がある。そのようにすることで凸筋のゆらいだ配置が視覚を通して人の感覚を心地よく刺激することが生じると考えられる。
そこで本発明のルーバー材は、アルミ押出形材により表面に凹凸模様を有するルーバー材を形成して製作コストの低廉化を図るとともに、凹凸模様が天然木の木目の形態に似た、つまり凹凸模様が機械的に均等な配置ではなく、ゆらいだ配置となるように形成することで、ルーバー材が木材の視覚効果をもたらすように構成した。
【0015】
すなわち、前記課題を解決するため本発明は、建物の外装又は内装に用いられるアルミ形材からなるルーバー材において、
茶色系の塗装がなされた外面に当該ルーバー材の押出方向に沿って伸びた複数の凸筋が配置されているとともに、
この外面に配置された複数の凸筋は均一な寸法には配置されておらず、
少なくとも、前記外面の複数の凸筋のうちの一の凸筋とこれの両側の凸筋とがそれぞれ突出高さが異なり、且つ前記一の凸筋とその両側の凸筋の配置間隔が異なるように設けられた部分を有することを特徴する。
つまり、図1(A)に示されるように、ルーバー材の表面Sに突出した複数の凸筋Csを、一の凸筋Csとその両側の凸筋Cs,Csとがそれぞれ突出高さと配置間隔が異なった部分を有するような配置とした。
【0016】
これによれば、ルーバー材は茶色系に塗装され、その外面の長手方向に沿って複数の凸筋を配置して形成されている。複数の凸筋は全体が均一な寸法には配置されておらず、各凸筋は表面からの突出高さが異なったり凸筋同士の間隔が大小に異なったりしている。換言すると、ルーバー材外面の複数の凸筋の均等でない配置は、ルーバー材の長手方向に沿って並んでいることから等間隔のように見えるようで、実際には微妙にズレた「ゆらぎ」のある配置となっている。
【0017】
一定の高さ及び間隔で複数の凸筋がルーバー材の外面に形成されている場合、これを見る者に凸筋の規則的な並びは秩序のある一体性や工業的で無機質な印象を強く感じさせる。
これに対して、前記のようにルーバー材外面の複数の凸筋が「ゆらぎ」のある配置としてあれば、均等ではない凸筋の配置から規則性のある工業的な印象は薄れ、凸筋の高さや配列密度の違いによって光の反射角度が変わり、ルーバー材を見る位置や角度によって異なる印象を与えるとともに、不均一な配置の凸筋によって光が拡散するためまぶしさが和らぎ、茶色系に塗装されていることと相俟って凸筋を天然木の木目のように視認させて、ルーバー材自体が木材により形成されているかのように観取させることができる。
図15から図20は、本発明のルーバー材の一例の形態の正面図、右側面図、左側面図、平面図及び底面図である。図示されるように、表面に不均一な配置の凸筋が形成されたルーバー材は、前述の木材の視覚効果を発揮し、これを組み合わせて構成されたルーバーを、落ち着いた雰囲気と高級感を醸し出す外観のものに形成することができる。
【0018】
また、前記の凸筋に代えて、これと同様に配置された複数の凹筋をルーバー材の外面に設けてもよい。
すなわち、図1(B)に示されるように、ルーバー材の表面Sから窪んだ或いは陥没した複数の凹筋Dsを、一の凹筋Dsとその両側の凹筋Ds,Dsとがそれぞれ窪み深さと配置間隔が異なった部分を有するような配置としてもよい。
このような、ルーバー材の外面に配置された複数の凹筋が、前記凸筋と同様な配置、つまり「ゆらぎ」のある配置であれば、ルーバー材を見る位置や角度によって異なる印象を与え、不均一な配置の凹筋によって光が拡散するためまぶしさが和らぎ、茶色系に塗装されていることと相俟って凹筋を天然木の木目のように視認させて、ルーバー材自体が木材により形成されているかのように観取させることが可能である。
【0019】
ルーバー材が木材の視覚効果をもたらすようにするには、ルーバー材の外面全体に、前記複数の凸筋又は凹筋が配置されていることが好ましい。ルーバー材の外面を部分的に装飾するため、外面の一部に前記複数の凸筋又は凹筋が配置されるように設けてもよい。ルーバー材の外面のうち、複数の面に前記凸筋を配置し、その他の面に前記凹筋が配置されるように設けてもよい。なお、ルーバー材の外面とは、ルーバー材を胴縁に取り付けてルーバーを構成した状態で、外側から目視により確認することができる部位をいう。
【0020】
このような構成のルーバー材は、例えば、天然木の木目模様に依拠した凹凸部を内面に有するダイス金型にアルミ合金を通して押し出すことにより外面に複数の凸筋又は凹筋を有するルーバー材を成形する工程と、
前記ルーバー材の表面を茶色系に塗装する工程と、
の処理工程を含む製造方法により製作することができる。
【0021】
これによれば、ダイス金型に天然木の木目に模した凹凸部を設けることで、アルミ合金を押し出してルーバー材を成形する際にルーバー材の外面に不均一な配列の凸筋又は凹筋が形成され、さらにルーバー材を茶色系に塗装することで、ルーバー材の外面に天然木に模した木目模様を現出させることができる。アルミ合金の押し出しにより前記凸筋と凹筋がルーバー材に形成されるので、ルーバー材を安価に製作することができ、また、凸筋や凹筋の装飾がルーバー材外面から剥がれたり劣化したりするような虞はない。
ルーバー材の表面の塗装は、電解着色法による塗装や、焼き付け塗装などにより行うことができる。
【0022】
前記ダイス金型内面の天然木の木目模様に依拠した凹凸部は、天然木の木目模様を撮影した画像データから波形の信号に変換して天然木の木目パターンを生成する手段により形成することができる。
例えば、デジタルカメラで天然木の木目模様を撮影し、撮影により取り込んだ画像データを、二次元画像をフーリエ変換する画像処理ソフトを用いて、木目の輝度などから周波数特性を解析する。木目部分とそれ以外の部分では色の濃淡で違いがあるので、不規則な木目の間隔が周波数で表現できると考えられる。
前記解析により画像データを波形の信号に変換し、この波形の信号から天然木の木目パターンを生成する。この木目パターンが、ルーバー材の表面に形成される複数の凸筋又は凹筋に相当する。
そして、前記生成された木目パターンのデータを金型の加工データに取り込み、押出成形されるルーバー材外面に対応する金型内面に前記木目パターンの凹凸を刻設することで、天然木の木目模様に依拠した凹凸部を内面に有するダイス金型を製作することができる。
ルーバー材外面の凸筋又は凹筋の配置が天然木の木目模様の画像データに基づいていれば、ルーバー材をより自然木に近い外観のものにすることができる。他の方法によっても前記凹凸部を有する金型を製作してもよい。
【0023】
本発明のルーバーは、間隔を開けて配置された支持材間に、前記構成の複数のルーバー材がそれぞれ長手方向を前記支持材と交差する方向に向けて、且つ互いに隙間を開けて並べて、前記支持材に取り付けて構成される。支持材が鉛直向きのときは、ルーバー材は水平横向きに並設され、支持材が水平向きのときには、ルーバー材は鉛直縦向きに並設されて、ルーバー材群の壁面を構成する。
前記構成のルーバーにおいて、複数のルーバー材の少なくとも一部のルーバー材について隣接するルーバー材との配置間隔を適宜にずらすことにより、全体の配置間隔が均等である場合と比較して、自然な風合い、つまり恰も木製の帯状化粧材群をハンドメイドで取り付けたかの如き風情を壁面に醸し出すことができる。
【0024】
また、前記構成のルーバーにおいて、全体を木目調の外観模様に統一するため、茶色系の塗装がなされた外面に複数の凸筋又は凹筋が配置されてなるアルミ形材からなる小口蓋が、ルーバー材の端部に取り付けられていることが好ましい。
【0025】
また、本発明は、出幅面の内側に見付面と向き合う裏面を配置して中空に形成されているとともに、前記出幅面の端部に取付部が設けられたアルミ形材からなるルーバー材の端部に、同じくアルミ形材からなる小口蓋を取り付けてルーバー材の端部開口を塞ぐ構造において、
前記小口蓋を、その内面に当該内面と直交して突出していて先端に前記内面に向けて折れた折り返し部を有する突出部を設けて形成し、
前記突出部を前記ルーバー材の中空部内に挿入して小口蓋をルーバー材の端部開口に被せるとともに、前記ルーバー材の取付部の側から裏面に留めネジをねじ込み、裏面を貫通して中空部内に突出した留めネジのネジ部を前記突出部の折り返し部に係合させて、又は折り返し部にネジ入れて留め付けることにより、ルーバー材の端部に小口蓋を固定することを特徴とする。
【0026】
これによれば、ルーバー材の端部開口に小口蓋を被せ、胴縁側であるルーバー材の取付部の側からルーバー材の裏面に留めネジをねじ込めば、裏面から中空部内に突出したネジ部が小口蓋の突出部の折り返し部に係合し、或いは折り返し部にねじ込まれて留め付けられることにより、小口蓋はルーバー材の端部に固定される。小口蓋は留めネジにより確実に固定され、ルーバー材の端部から抜け落ちることはない。ルーバーが外装材のときも風雨により小口蓋が脱落する虞はない。
また、内壁の交差部や建物や外装材の角部などのコーナー部の取り合いでルーバー材の小口を傾斜させる必要がある場合でも、傾斜したルーバー材の端部開口に前記小口蓋を取り付けて、突出部を胴縁側からねじ入れた留めネジに留め付けることで、ルーバー材の端部に小口蓋を確実に固定することができる。
小口蓋の内面に設ける突出部は、前記内面と直交して突出し、先端に前記内面に向けて折れた折り返し部を有する形状、例えば断面J字形やU字形に形成することができる。前記留めネジのネジ部が確実に係合し、又は螺合して留め付けられるように、断面U字形に突出した形状に形成することが好ましい。
【0027】
また、小口蓋の内面に設けられた突出部を断面U字形の中空状に形成した場合に、この突出部をルーバー材の中空部内に挿入して小口蓋をルーバー材の端部開口に被せ、前記突出部の中空部よりもネジ部が大径の留めネジをルーバー材の取付部の側からねじ込み、中空部内に突出した留めネジのネジ部を突出部の中空部内にねじ入れて留め付けることで、ルーバー材の端部に小口蓋が固定されるようにしてもよい。
【0028】
前記構成のルーバー材の小口塞ぎ構造において、ルーバー材の中空部内であって見付面の内面と裏面の内面のどちらか一方又は両方に、小口蓋の突出部の挿入位置を規制するリブが形成されていることが好ましい。
【0029】
ルーバー材の中空部内に前記リブが形成してあれば、小口蓋をルーバー材の端部に被せる際に、中空部内で小口蓋の突出部がリブに当接して挿入位置が規制されて小口蓋の取り付け位置ががたつくことはなく、突出部への留めネジの係合やねじ込み操作をスムーズ且つ確実に行うことができる。
リブは、前記ルーバー材の見付面の内面と裏面の内面の少なくともどちらか一方に形成してあれば、小口蓋の突出部の挿入位置を規制することができるが、前記突出部の中空部内への挿入をスムーズに行うため、見付面の裏面の両方に形成してあることが好ましい。
小口蓋の突出部が断面U字形に形成されている場合は、ルーバー材の見付面と裏面の両方の内面に適宜な間隔を開けて一対のリブをそれぞれ設け、見付面と裏面にそれぞれ設けた一対のリブ内に小口蓋の突出部が差し込まれるようにすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ルーバー材の表面に形成される凸筋(A)と凹筋(B)の拡大断面図である。
図2】本発明のルーバーの一実施形態の外観図である。なお、一つのルーバー材の端部は小口蓋を外した状態としてある。
図3図2のルーバーを構成するルーバー材の概略外観図である。
図4図3のルーバー材の断面図である。
図5】ルーバー材の支持材との取付部を断面で示した図である。
図6】ルーバー材を支持材に固定する固定金具と留めネジの形態を示した外観斜視図(A)と側面図(B)である。
図7図2の小口蓋の平面図と側面図である。
図8】ルーバー材に図7の小口蓋を取り付ける態様を示した図である。
図9】端部に図7の小口蓋を固定した状態のルーバー材の要部断面図である。
図10】傾斜したルーバー材の小口に取り付ける小口蓋の平面図と側面図である。
図11】ルーバー材に図10の小口蓋を取り付ける態様を示した図である。
図12】端部に図10の小口蓋を固定した状態のルーバー材の要部断面図である。
図13】他のルーバー材の端部に図10の小口蓋を固定した状態の要部断面図である。
図14】他のルーバー材の端部に小口蓋を固定した状態の要部断面図(A)と切断端面図である(B)。
図15図3のルーバー材を支持材に取り付けたときのルーバー背面側の外観図である。
図16】本発明のルーバー材の一例の形態の正面図である。
図17】同じく右側面図である。
図18】同じく左側面図である。
図19】同じく平面図である。
図20】同じく底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の技術的思想は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0032】
図2は本発明のルーバーの一実施形態の概略外観を示している。
本形態のルーバー1は、表面が茶色系に塗装されていて外面に木目に模した複数の凸筋Csが形成された複数のルーバー材2が、鉛直縦向きに設置された支持材4に沿って上下に間隔を開けて横向き水平に取り付けられ、各ルーバー材2の端部に、ルーバー材2と同様に、表面が茶色系に塗装されていて外面に木目に模した複数の凹筋Dsが形成された小口蓋3を取り付けて、全体として、天然木の帯状の板材を上下複数列に配置した如き外観の壁面に構成してある。
【0033】
ルーバー材2は、表面を茶色系に塗装したアルミ形材からなり、図3に示されるように、出幅面22,22の一側の端部に見付面21、他側の端部に内方へ直角に折れた内折れ片24,24を有する溝状の取付部23をそれぞれ備えるとともに、出幅面22,22の内側に見付面21と向き合う裏面25を配置して中空な矩形箱状に形成されている。
見付面21、出幅面22,22及び裏面25の外面には、ルーバー材2の押出方向に沿って伸びた複数の凸筋Csを形成してある。また、内折れ片24,24の外面には、ルーバー材2の押出方向に沿って伸びた複数の凹筋Dsを形成してある。
【0034】
詳しくは、図4に示されるように、ルーバー材2の各外面に形成された複数の凸筋Csは均一な寸法には配置されておらず、各外面には、その複数の凸筋Csのうちの一の凸筋とこれの両側の凸筋とがそれぞれ突出高さが異なり、且つ前記一の凸筋とその両側の凸筋の配置間隔が異なるように設けられた部分を有しており、不均一な配列の凸筋Csと茶色系の塗装によって、ルーバー材2は表面に天然木の木目模様が付いているかの如き外観に装飾されている。
また、内折れ片24,24の外面に形成された複数の凹筋Dsも、前記凸筋Csと同様に、均一な寸法には配置されておらず、その複数の凹筋Dsのうちの一の凹筋とこれの両側の凹筋とがそれぞれ窪み深さが異なり、且つ前記一の凹筋とその両側の凹筋の配置間隔が異なるように設けられた部分を有しており、不均一な配列の凹筋Dsと茶色系の塗装によって、内折れ片24,24はその外面に天然木の木目模様が付いているかの如き外観に装飾されている。
【0035】
また、ルーバー材2の中空部に面する見付面21の内面と裏面25の内面には、後述する小口蓋3の突出部32の挿入位置を規制する、中空部内突出した一対のリブ26,27をそれぞれ設けてある。一対のリブ26とリブ27の間隔は、小口蓋3の突出部32を差し込んで挿入することができる大きさに設定してある。
【0036】
図5及び図6に示されるように、ルーバー材2は、上面に突条51,51を有し、中央に孔部52を有する固定金具5を介して支持材4に取り付けられている。
すなわち、図5に示されるように、ルーバー材2の取付部23内に、前記孔部52内に留めネジ6のネジ部が挿通し且つ留めネジ6のネジ頭を突条51,51間に篏合させえた固定金具5を挿入した状態で、ルーバー材2の打折れ片24,24の外面を支持材4の前面に重ねて支持材4の前方に見付面21を突出させる。
そして、取付部23内に挿入された固定金具5を内折れ片24,24の内面に係合させるとともに、固定金具5にネジ頭が篏合して留めネジ6のネジ部を支持材4の取り付け孔に挿入し、支持材4の背面側に突出した前記ネジ部にナット7を螺合し、支持材4の背面にナッット7を締め付けて、支持材4にルーバー材2が取り付けてある。
なお、前記留めネジ6のネジ部が貫通する支持材4の取り付け孔を、長孔に形成するなど、留めネジ6の固定位置を取り付け孔に沿ってずらすことができるようにすることで、支持材4に固定されるルーバー材2が、これと隣接するルーバー材2との配置間隔を適宜に調整することが可能である。
【0037】
図7は、ルーバー材2の端部に取り付けられる小口蓋3の外観を示している。
小口蓋3もルーバー材2と同様に、表面を茶色系に塗装したアルミ形材からなり、ルーバー材2の端部開口を塞ぐ大きさに形成された小口蓋本体31の外面に、ルーバー材2と同様の、押出方向に沿って伸びた複数の凹筋Dsが設けられているとともに、小口蓋本体31の内面に、当該内面と直交して突出していて先端に前記内面に向けて折れた折り返し部32aを有する断面U字形の突出部32を設けて形成してある。
突出部32は、その上下の幅がルーバー材2の見付面21と裏面25の両面の内面間の大きさ、その太さが見付面21の内面と裏面25の内面にそれぞれ形成された一対のリブ26,27間の両面の内面間の大きさにそれぞれ設定され、小口蓋3をルーバー材2の端部開口に被せたときに、ルーバー材2の中空部内に突出部32が進入し、前記一対のリブ26,27間に差し込まれてルーバー材2の内部に挿入するようになっている。
【0038】
小口蓋3は、前記支持材4に取り付けられたルーバー材2の端部に取り付けられ、図7に示されるように、ルーバー材2の端部にあてがった小口蓋3をその突出部32を前記一対のリブ26,27間に差し入れてルーバー材2の中空部内に押し入れ、ルーバー材2の端部開口を小口蓋本体31で塞いだ状態で、図9に示されるように、ルーバー材2の取付部23の側から裏面25に留めネジ8をねじ込み、裏面25を貫通して中空部内に突出した留めネジ8のネジ部を突出部32の折り返し部32aに係合させることで、小口蓋3をルーバー材2の端部に固定することができる。
【0039】
図10は、小口が傾斜したルーバー材2の端部に取り付けられる小口蓋2の外観を示している。
この小口蓋3もルーバー材2と同様に、表面を茶色系に塗装したアルミ形材からなり、小口蓋本体31の外面に、前記と同様の、押出方向に沿って伸びた複数の凹筋Ds33が設けられているとともに、小口蓋本体31の内面に、当該内面と直交して突出していて先端に前記内面に向けて折れた折り返し部32aを有する断面U字形の突出部32を設けて形成してある。突出部32が、その上下の幅がルーバー材2の見付面21と裏面25の両面の内面間の大きさ、その太さが見付面21の内面と裏面25の内面にそれぞれ形成された一対のリブ26,27間の両面の内面間の大きさにそれぞれ設定されていることは前記小口蓋3と同様である。
【0040】
かかる小口蓋3は、図11に示される小口が傾斜したルーバー材2の端部に取り付けられ、前記と同様に、ルーバー材2の端部にあてがった小口蓋3をその突出部32を前記一対のリブ26,27間に差し入れてルーバー材2の中空部内に押し入れ、ルーバー材2の傾斜した端部開口を小口蓋本体31で塞いだ状態で、図12に示されるように、ルーバー材2の取付部23の側から裏面25に留めネジ8をねじ込み、裏面25を貫通して中空部内に突出した留めネジ8を、さらに突出部32の折り返し部32aにネジ入れ、貫通させて留め付けることにより、小口蓋3をルーバー材2の端部に固定することができる。
図13に示されるように、ルーバー材2の取付部23の側から裏面25に留めネジ8をねじ込み、裏面25を貫通して中空部内に突出した留めネジ8のネジ部を突出部32の折り返し部32aに係合させることによっても、小口蓋3をルーバー材2の端部に固定することができる。
また、図14に示されるように、断面U字形の突出部32の中空部の内寸よりもネジ部の径が大きな留めネジであって前記ネジ部の長さがルーバー材2の見付面21と裏面25に形成されたリブ26,27間に亘る長さを有する留めネジ8を用い、裏面25を貫通してルーバー材2の中空内に突出した留めネジ8のネジ部を突出部32の中空部内にねじ入れて留め付けることで、ルーバー材2の端部に小口蓋3が固定されるようにしてもよい。
【0041】
図15は、ルーバー材2を支持材4に取り付けて構成されるルーバー1の背面側を示している。同図に示されるように、ルーバー1の背面側から、ルーバー材2の裏面25の外面に形成された凸筋Csと、内折れ片24,24の外面に形成された凹筋Dsを目視により確認することができ、ルーバー1の背面側を、その正面側から見たときと同様の、天然木の木目模様が表出した見栄えの良い外観のものとなっている。
【0042】
前記ルーバー材2と小口蓋3は、ともに、天然木の木目模様に依拠した凹凸部を内面に有するダイス金型にアルミ合金を通して押し出すことにより外面に複数の凸筋を有するルーバー材又は小口蓋を成形する工程と、このルーバー材又は小口蓋の表面を茶色系に塗装する工程と、の処理工程を含む製造方法により製作することが可能である。
前記ダイス金型内面の天然木の木目模様に依拠した凹凸部は、例えば、天然木の木目模様を撮影した画像データから木目に依拠した波形の信号に変換して天然木の木目パターンを生成する手段により形成することができるが、これに限定されない。
【0043】
なお、図示したルーバー1、ルーバー材2及び小口蓋3の形態は一例であり、本発明は図示した形態に限定するものではない。ルーバー2の端部に小口蓋3を取り付ける構造は、外面に凸筋や凹筋が形成されていないルーバー材にも適用することができる。本発明は、建物の内装材や外装材を構成する適宜な形態のルーバーやルーバー材に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ルーバー、2 ルーバー材、21 見付面、22 出幅面、23 取付部、24 鍔面、25 裏面、26,27 リブ、3 小口蓋、31 小口蓋本体、32 突出部、32a 折り返し部、4 支持材、5 固定金具、6 留めネジ、7 ナット、8 留めネジ、Cs 凸筋、Ds 凹筋
図1
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