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  • 特許-コンクリート型枠の固定具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】コンクリート型枠の固定具
(51)【国際特許分類】
   E04G 25/00 20060101AFI20231115BHJP
   E04G 17/14 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
E04G25/00 D
E04G17/14 C
E04G25/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022061837
(22)【出願日】2022-04-01
(65)【公開番号】P2023151952
(43)【公開日】2023-10-16
【審査請求日】2023-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522133015
【氏名又は名称】中楯 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】中楯 博明
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】実公昭44-25968(JP,Y1)
【文献】実公昭49-3450(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 25/00
E04G 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠に立て掛けた支持棒を型枠に連結する固定具であって、
前記型枠の一面に設けられる開口部に差し込まれる係合腕と、
前記係合腕と回転軸によって一端が連結され、表面にネジ溝が形成された主軸と、
前記主軸に挿通され支持棒を保持する保持部材と、
前記主軸に組み付けられ保持部材を支持棒に締め付けるナットと、を備え、
前記係合腕は、一端側に型枠の一面に一方側から係合する第1係合部と、他端側に型枠の一面に他方側から係合する第2係合部と、を有し、
前記ナットで保持部材を締め付けて、主軸を相対的に引き上げることで回転軸を中心に係合腕を回動させ、係合腕の第1係合部と第2係合部を型枠の一面に係合させる固定具。
【請求項2】
前記第1係合部は、型枠の一面に設けられた開口部の周縁に係合するフック部を有し、前記第2係合部は、型枠の一面に接する圧接部を有する請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記保持部材は、支持棒を両側から挟み込む把持部を有する請求項1に記載の固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎工事用コンクリートを打設する際に使用される型枠に、型枠を外側から支えて倒れを防ぐ支持棒を取り付けるための固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
基礎工事用コンクリートを打設する際に使用される型枠の固定には多数の支持棒が用いられている。多数の支持棒の型枠への設置を効率よく行うために各種の固定具が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、支持棒を挟み込んで仮止めする係止部が型枠に備えられており、係止部に設けられた釘孔に釘を打ち込むことにより、型枠と支持棒とを固定する型枠が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、折り畳み式の支持棒が型枠にあらかじめ設けられており、支持棒を型枠から展開するだけで使用でき、支持棒の型枠への取り付けを省いた型枠および支持棒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実全昭55-108142
【文献】特開2003-268988
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された型枠および支持棒にあっては、型枠と支持棒とを固定するために打ち込まれた釘をコンクリートの硬化後に引き抜く作業が煩雑である。
【0007】
特許文献2に記載された型枠および支持棒にあっては、支持棒を型枠から展開させるための水平脚や、支持棒の接地部分に座板を設ける必要がある。このため型枠および支持棒の製作に多数の部品を必要とし製作コストが上昇するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、既存の型枠と支持棒とを、一動作で簡単に固定および分離できる固定具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の固定具は、型枠に立て掛けた支持棒を型枠に連結する固定具であって、型枠の一面に設けられる開口部に差し込まれる係合腕と、係合腕と回転軸によって一端が連結され、表面にネジ溝が形成された主軸と、主軸に挿通され支持棒を保持する保持部材と、主軸に組み付けられ保持部材を支持棒に締め付けるナットと、を備え、係合腕は、一端側に型枠の一面に一方側から係合する第1係合部と、他端側に型枠の一面に他方側から係合する第2係合部と、を有し、ナットで保持部材を締め付けて、主軸を相対的に引き上げることで回転軸を中心に係合腕を回動させ、係合腕の第1係合部と第2係合部を型枠の一面に係合させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の固定具によれば、表面にネジ溝が形成された主軸により連結された型枠と保持部材とによって支持棒を挟み込み、主軸に螺合されたナットを締め付けることにより、保持部材が支持棒に向かって押圧されるとともに、主軸が引き上げられ主軸と型枠との連結部が係合され、固定具が型枠と支持棒を固定することができる。このため、既存の型枠と支持棒とを、一動作で簡単に固定および分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態における固定具により支持棒が固定された型枠の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態における固定具の斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態における固定具の型枠との係合状態を示した斜視断面図である。
図4】本発明の第1実施形態における固定具の取付手段を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態における固定具の斜視図である。
図6】本発明の第3実施形態における固定具の斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態における固定具の型枠との係合状態を示した斜視断面図である。
図8】本発明の第3実施形態における内側突出部の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の固定具について、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、固定具、固定具により固定される型枠と支持棒の構成部材および固定具の周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態に係る固定具1と、コンクリートにより壁、基礎などを形成する場合に用いられる型枠2と、固定具1により型枠2に固定された支持棒3が示されている。型枠2は、固定具1と支持棒3によって地面に対して垂直に支持されている。
【0014】
図1に示されるように型枠2は、型枠2の外形を形成する縦リブ2aおよび横リブ2bと、型枠2の強度を向上させるための中リブ2dおよび補助リブ2eと、を備える。また、横リブ2bには固定具1が連結される開口部2cが所定間隔毎に設けられている。なお、開口部2cは、例えば円形孔であってもよい。型枠を支える支持棒3には、断面形状が矩形をした材木やスチール製のパイプが用いられる。
【0015】
図2及び図3に示されるように型枠2に立て掛けた支持棒3を型枠2に連結する固定具1は、型枠2と保持具1とを連結させる係合腕4と、係合腕4に屈曲自在に連結された雄ネジである主軸15と、主軸15に挿通され支持棒3を保持する保持部材16と、主軸15に組み付けられ保持部材16を支持棒3に締め付けるナット23と、を備えている。
【0016】
主軸15は、表面にネジ溝37が形成されナット23が螺合されている。また、主軸15は、係合腕4と屈曲自在に連結されており、支持棒3を型枠2に対して自由な角度で固定することもできる。
【0017】
保持部材16は、主軸15が挿通されるスリーブ部17と、スリーブ17の上端から略直角方向に突出した鍔部18と、支持棒3を両側から挟み込む把持部19とを有している。
【0018】
スリーブ部17は、主軸15が挿通する通し孔21を有している。通し孔21は、主軸15の直径よりも大きく形成されているため、保持部材16が主軸15の軸方向に移動することができる。
【0019】
鍔部18には、ナット23が当接する座面35が設けられている。座面35は、曲面状に形成されており、支持棒3の形状に合わせて鍔部18が傾斜することができる。前述のように保持部材16は通し孔21を基準として軸方向に移動可能であるため、鍔部18は、支持棒3の断面形状に合わせて傾きながらナットの締め付けにより支持棒3を押圧できる。
【0020】
把持部19は、鍔部18の端部から主軸15の軸方向に突出している。スリーブ部17と鍔部18と把持部19とにより、支持棒3を包含できる保持空間22が形成されている。保持空間22の形状は、矩形でも円形状でもよい。把持部19により、支持棒3の型枠2からの不意の外れを防止できる。
【0021】
ナット23は、主軸15の表面のネジ溝37に螺合し、保持部材16の座面35を押圧する。
【0022】
係合腕4は、型枠2の一面に設けられる開口部2cに差し込まれることにより型枠2と保持具1とを連結させる。係合腕4には、腕本体5と、腕本体5の一端側に型枠2の一面に一方側から係合する第1係合部6と、腕本体5の他端側の支持部12と、支持部12に回動可能に支持された回転軸13と、第1係合部6と支持部12との間に型枠2の一面に他方側から係合する第2係合部10と、が設けられている。
【0023】
第1係合部6は、腕本体5から略直角方向に突出した腕部9と、腕部9の先端から再び腕本体5と平行になるように延び、型枠2の一面に設けられた開口部2cの周縁に係合するフック部7とを有している。
【0024】
腕部9は、腕本体5からの突出する高さが第2係合部10よりも高く設定されている。そのため、フック部7を横リブ2bの上面側に配置させることができる。
【0025】
フック部7は、平面視において開口部2cの面積よりも小さく形成されている。このため、フック部7は、横リブ2bの下面側から開口部2cに差し込まれ、横リブ2bの上面側に突出することにより、横リブ2bに形成された開口部2cの周縁に係合することができる。また、フック部7は、先端部分のエッジ部36と、下側の接触面である圧接面8とを有している。
【0026】
圧接部8は、圧接面8から圧接部11までの高さが、横リブ2bの板厚とほぼ同一となるように設定されている。また圧接面8は、横リブ2bの上面に対して略平行となる平面状に形成されている。このため、エッジ部36が横リブ2bに接触せずに、圧接面8と横リブ2bとが面接触する。
【0027】
本実施形態では、圧接面8は平面状に形成されているが、下に凸をなす曲面であってもよい。圧接面8と圧接部11との高さ方向の距離を大きく取った場合は、板厚の異なる型枠2に対して係合腕4を係合させることができる。しかし、圧接面8と横リブ2bの上面とが平行でなくなり、圧接面8の先端のエッジ部36が横リブ2bの上面と接触する恐れがある。圧接面8を下に凸をなす曲面とすることにより、圧接面8と横リブ2bの上面とが互いに傾斜した状態で接触する場合においても、圧接面8から下方に突出した曲面状の凸部に線接触させることができ、型枠2の変形を避けることができる。
【0028】
第2係合部10は、型枠2の横リブ2bの下面側に接する圧接部11を有している。圧接部11は、腕本体5よりも上側に突出した曲面による凸形状をしており、横リブ2bを下面から押圧できる。
【0029】
第2係合部10は、腕本体5に直交する円柱形状である。円筒形状の外周面である凸状の曲面が、平面である横リブ2bの下面に直線状に線接触する。このため第2係合部10は圧接部11を支点として回動できる。
【0030】
圧接部11は腕本体5よりも上側に突出しており、腕本体5が圧接部11よりも低く形成されている。このため圧接部11のみが横リブ2bの下面に当接し、圧接部11以外の部分が横リブ2bに下面から接触することがない。このように、圧接部11は、横リブ2bに圧力をかける箇所を横リブ2bの平面部分とし、変形しやすい横リブ2bの端部2fを保護することができる。
【0031】
また、この本実施形態では、第2係合部10を円柱状とすることにより圧接部11を曲面状の凸部としたが、第2係合部10の形状は特に限定されない。第2係合部10の断面形状は、略三角形でも楕円でもよく、圧接部11が曲面状の凸部となれば良い。
【0032】
回転軸13は、腕本体5の他端に設けられた支持部12に回動可能に支持されており、主軸15の下端と、係合腕4の端部とを折れ曲がり可能に連結している。
【0033】
支持部12は、第2係合部10からフック部7とは反対側に延びた位置に配置されている。このため支持部12に支持される回転軸13は、圧接部11と相当な距離を有している。また、本実施形態では、係合腕4は、直線状に延びているのではなく、圧接部11を頂点として折れ曲がっている。支持部12は、前述の折れ曲がる構造により支持棒3を避けながら圧接部11から回転軸13までの距離を長く確保することができる。回転軸13と圧接部11との距離が長いほど、フック部7が横リブ2bを押圧する力が大きくなる。回転軸13と圧接部11との距離を調整することにより、主軸15の引き上げ力に対する係合腕4の型枠2に対する係合力を調整することもできる。
【0034】
係合腕4は、前述のような折れ曲がった形状ではなく、直線状にすることもできる。この場合は、圧接部11から回転軸13までの距離が短くなるが、単純な形状により固定具1をコンパクトにでき、製造コストを安くすることができる。また、係合腕4の一端には、本実施形態においては回転軸13を用いたが、係合腕4の一端は主軸15に対して折れ曲がり可能であればよく、様々な連結方法を選択することができる。例えばワイヤーや鎖を用いることもできる。
【0035】
次に、上記構成からなる固定具1を用いて、型枠2に支持棒3を固定する場合の取付手段を説明する。図4(a)に示されるように、型枠2に固定具1を固定するにあたり、フック部7が横リブ2bの開口部2cに下面側から挿入される。フック部7を開口部2cの上面に突出させた後に、フック部7を前方に移動させて圧接面8を開口部2cの周縁側にずらして、そのまま下方に移動させて周縁側に接触させる。
【0036】
次に、図4(b)に示されるように、第2係合部10の圧接部11を横リブ2bの下面に接触させ、安定させた状態で支持棒3を保持部材16と型枠2により挟み込む。図4(c)に示されるように、型枠2を挟み込んだ状態でナット23を締め付けることにより、ナット23が主軸15の根元側に移動して(矢印A)、保持部材16を主軸15の根元側に移動させる。保持部材16と型枠2との間に挟み込まれた支持棒3は、ナット23の締め付け力により型枠2に押圧され固定される。保持部材16は、保持部材16と型枠2との間に挟み込まれた支持棒3により、これ以上主軸15の根元側に移動することはない。この状態から更にナット23を締め付けると、保持部材16は主軸15の根元側に移動できないため、主軸15が先端側に引き上げられる(矢印B)。ナット23の締め付けにより主軸15が引き上げられると、第2係合部10が圧接部11を支点として回動する(矢印C)。
【0037】
また、前述のように回転軸13は、主軸15の下端と、係合腕4の端部とを屈曲可能に連結している。このため、主軸15の引き上げによって、第2係合部10が圧接部11を支点として回動するとともに、主軸15の下端と、係合腕4の端部とが回転軸13により屈曲することにより(矢印D)、主軸15と係合腕4との角度(E)が変化する。この角度変化により、圧接部11が横リブ2bを下から上に向かって押圧すると同時に、圧接面8が横リブ2bを上から下に向かって押圧する(矢印F)。このように回転軸13は、主軸15の引き上げ力(矢印B)を係合腕4の回転力(矢印C)に変換することができ、図4(d)に示されるように、係合腕4の第1係合部6と第2係合部10を型枠2の一面に係合させ、係合腕4が型枠2に固定されるとともに、支持棒3が型枠2に固定される。
【0038】
次に、固定具30の型枠2からの取り外し方法を説明する。ナット23を緩めることにより、保持部材16を主軸15の上方へ移動させることができる。移動させることにより、保持部材16と型枠2とにより挟み込まれていた支持棒3を取り外すことができる。また、ナット23を緩めることにより、主軸15を上方へ引き上げる力が失われるので、圧接面8および圧接部11が横リブ2bから離れてクランプが解除される。フック部7を横方向に移動させて、開口部2cの周縁側から外すことにより係合腕4が横リブ2bから外れ、保持具1が型枠2から外れる。
【0039】
このように既存の型枠や支持棒をそのまま利用して一動作で短時間に型枠と支持棒を固定でき、ナットを緩めるだけで型枠と支持棒とを解除できる。また型枠や支持棒に変形を生じさせないため、繰り返し使用することができる。
【0040】
以下の実施形態においては、以下に説明する点で第1実施形態に係る固定具1と相違し、その他の点では、第1実施形態に係る固定具1と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0041】
(第2実施形態)
図5には本発明の第2実施形態に係る固定具20が示されている。固定具20は、係合腕4の腕本体5に対して直交する方向に延びた第2係合部25を備えている。第2係合部25は、腕本体5を中心として対称に突出している。
【0042】
第2係合部25は、腕本体5の約2倍の長さを有している。このため第2係合部25の圧接部26が横リブ2bの下面に対して長く線接触するので、固定具20の型枠2に対する傾きを防止することができる。また、圧接部26が長く線接触することにより、横リブ2bにかかる圧力を分散できるため変形を防止できる。さらに、圧接部26を長く形成することにより、U字形状の開口部にも係合可能である。
【0043】
(第3実施形態)
図6及び図7には、本発明の第3実施形態に係る固定具30が示されている。固定具30は、先端が斜面31により鋭角をなし、断面が三角形状であるフック部28を備えている。フック部28には、尖頭部29と傾斜部31と横リブ2bの上面に圧接する圧接面32とが設けられている。
【0044】
図7に示されるように、尖頭部29は、先端が鋭角に形成されている。尖頭部29の先端部分の断面積は、開口部2cの面積よりも小さく形成されている。このため横リブ2bの下面から開口部2cを貫通して横リブ2bの上面側に容易に突出させることができる。
【0045】
フック部28は、断面形状が尖頭部29を頂点とした略三角形状をしている。フック部28は、尖頭部29から連なった傾斜部31により、根元である腕本体5に向かって断面積が増している。傾斜部31の角度Fは、係合腕4の腕本体5に対して45度から60度程度に設定されている。
【0046】
また、傾斜部31は、第2係合部25側に円弧状に突出した曲面であり、円弧形状が開口部2cの曲率と近似した形状となっている。傾斜部31と開口部2cとは圧接面32が横リブ2bの上面に圧接し、係合腕4が型枠2に係合した状態で最小隙間Gを形成するように設定されている。傾斜部31と開口部2cとの隙間が最小隙間Gになることにより、フック部28が横方向にスライドしにくくなる。通常、G寸法は1ミリメートル未満であり、傾斜部31が開口部2cの内周面に接触しないように設定されている。傾斜部31が開口部2cの内周面に接触した場合は、係合腕4に発生する回転力により、傾斜部31が開口部2cの内周面を押圧し変形させる恐れがあるからである。
【0047】
図8に示されるように、フック部28は、圧接面32と先端面39との交差部分である角部に、角部の内側に突出する内側突出部38を有している。内側突出部38は、圧接面32から下方に突出するとともに、腕本体5の先端面39から先端側に突出している。内側突出部38の先端側の端面である凸曲面41は曲面状に形成されている。前記凸曲面41は、開口部2cの曲率と近似した形状であるため、圧接面32が横リブ2bの上面に圧接すると、フック部28と開口部2cとの間の隙間が小さくなる。このように内側突出部38は、圧接面32と先端面39との交差部分である角部の内側と、開口部2cとの間の隙間を埋めるスペーサとして機能している。内側突出部38により、フック部28と開口部2cとの隙間が小さくなり、固定具30が型枠2に安定して係合される。
【符号の説明】
【0048】
1 固定具
2 型枠
2a 縦リブ
2b 横リブ
2c 開口部
2d 中リブ
2e 補助リブ
2f 端部
3 支持棒
4 係合腕
5 腕本体
6 第1係合部
7 フック部
8 圧接面
9 腕部
10 第2係合部
11 圧接部
12 支持部
13 回転軸
15 主軸
16 保持部材
17 スリーブ部
18 鍔部
19 把持部
20 固定具
21 通し孔
22 保持空間
23 ナット
25 第2係合部
26 圧接部
28 フック部
29 尖頭部
30 固定具
31 傾斜部
32 圧接面
35 座面
36 エッジ部
37 ネジ溝
38 内側突出部
39 先端面
41 凸曲面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8