(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】マイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセス
(51)【国際特許分類】
C01F 7/023 20220101AFI20231115BHJP
C04B 35/111 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
C01F7/023
C04B35/111 500
(21)【出願番号】P 2022074448
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】202110474923.0
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522172793
【氏名又は名称】河南長興実業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫志昂
(72)【発明者】
【氏名】梁飛飛
(72)【発明者】
【氏名】蒋暁輝
(72)【発明者】
【氏名】董博
(72)【発明者】
【氏名】王倩
(72)【発明者】
【氏名】張冬梅
(72)【発明者】
【氏名】王俊健
(72)【発明者】
【氏名】薛亜楠
(72)【発明者】
【氏名】徐志凱
(72)【発明者】
【氏名】王放
(72)【発明者】
【氏名】楊彦軍
(72)【発明者】
【氏名】李明菁
(72)【発明者】
【氏名】邵梅珊
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-536711(JP,A)
【文献】特開平02-188466(JP,A)
【文献】特開平07-041318(JP,A)
【文献】特開2008-266095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F
C04B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナ原料に
、複数の鉱化剤を混合した複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得するステップ(1)と、
ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れてボールミリングして、
前処理材料を取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で取得された
前処理材料に一定の割合の波吸収剤を加えて均一に撹拌し、その後にプレス機で押出し、アルミナ素地を製造するステップ(3)と、
ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を乾燥処理して、アルミナ素地中の含水量を調整するステップ(4)と、
ステップ(4)で乾燥処理されたアルミナ素地をマイクロ波窯炉内に入れ、その後にマイクロ波窯炉を設定温度まで昇温させ、一定の時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得するステップ(5)と、
ステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを粉砕して、微結晶α-アルミナを得るステップ(6)とを含
み、
アルミナ原料の重量基準で、ステップ(1)の複合鉱化剤は、塩化物0%~3%、フッ化物0%~3%、ホウ酸0%~1%を含み、前記複合鉱化剤の最低添加量は0.01%であり、
ステップ(3)では、前記波吸収剤には、質量比が0.01%~1%である波吸収成分が含まれ、残分が水であり、前記波吸収成分は、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、リグニンのうちの1種又は複数種である、
ことを特徴とするマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセス。
【請求項2】
アルミナ原料に、複数の鉱化剤を混合した複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得するステップ(1)と、
ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れてボールミリングして、前処理材料を取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で取得された前処理材料に一定の割合の波吸収剤を加えて均一に撹拌し、その後にプレス機で押出し、アルミナ素地を製造するステップ(3)と、
ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を乾燥処理して、アルミナ素地中の含水量を調整するステップ(4)と、
ステップ(4)で乾燥処理されたアルミナ素地をマイクロ波窯炉内に入れ、その後にマイクロ波窯炉を設定温度まで昇温させ、一定の時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得するステップ(5)と、
ステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを粉砕して、微結晶α-アルミナを得るステップ(6)とを含み、
アルミナ原料の重量基準で、ステップ(1)の複合鉱化剤は、塩化物0%~3%、フッ化物0%~3%、ホウ酸0%~1%を含み、前記複合鉱化剤の最低添加量は0.01%であり、
ステップ(3)では、前記波吸収剤には、質量比が1%~5%である波吸収成分が含まれ、残分が水であり、前記波吸収成分は、擬ベーマイト、γ-アルミナ、ρ-アルミナ、水酸化アルミニウムのうちの1種又は複数種である、
ことを特徴とするマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセス。
【請求項3】
ステップ(2)では、前記ボールミルの粉砕媒体と材料との比は1~6であり、前記
前処理材料のD
50粒径は5~30μmであり、前記
前処理材料の200メッシュ篩残量≦5%である、ことを特徴とする請求項1
または2に記載のマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセス。
【請求項4】
ステップ(3)では、波吸収剤と
前処理材料との質量比は0~0.3であり、前記アルミナ素地の成形圧力は0.5MPa~60MPaである、ことを特徴とする請求項1
または2に記載のマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセス。
【請求項5】
ステップ(4)では、乾燥処理の温度は10℃~100℃であり、乾燥処理されたアルミナ素地の含水率は3%~20%である、ことを特徴とする請求項1
または2に記載のマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセス。
【請求項6】
ステップ(5)では、設定温度は1100℃~1500℃であり、焼成時間は0.1~4時間である、ことを特徴とする請求項1
または2に記載のマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセス。
【請求項7】
ステップ(6)で得られた微結晶α-アルミナの粒度は0.1~1.5マイクロメートルである、ことを特徴とする請求項1
または2に記載のマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセス。
【請求項8】
前記フッ化物はフッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムのうちのいずれか1種又は複数種であり、前記塩化物は塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウムのうちのいずれか1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項
1または2に記載のマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成アルミナの製造プロセスの技術分野に関し、特にマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
α-アルミナは、焼成アルミナとも呼ばれ、融点が高く、硬度が大きいなどの利点を有し、アルミナの各相のうちの最も安定した相状態であり、耐火材料、ガラス及び化学工業材料などの多くの分野に広く応用され、α-アルミナは、一般的には、トンネル窯、倒炎窯などの従来の窯炉を用いて製造されるが、従来の窯炉の焼成に大量の燃料油、天然ガス、電気エネルギーなどのエネルギーが必要とされ、加熱方法が従来の放射又は熱伝導であり、その熱量の利用効率が10%~30%のみであり、エネルギー利用率が高くなく、いくつかの燃料が燃焼して大量の汚染ガスを生成し、環境保護処理を行う必要があるため、従来の窯炉によるα-アルミナの製造は、加熱時間が長く、消費されるエネルギーが多く、汚染物の排出を制御しにくいなどの欠点を有し、また匣鉢の粉体への汚染及び匣鉢の損耗により焼成アルミナの製造コストを大幅に向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、マイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセスを提供して、従来技術におけるアルミナ製造プロセスのエネルギー消費が多く、汚染が多く、コストが高いなどの問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に用いられる技術手段に係るマイクロ波焼成により微結晶α-アルミナを製造する製造プロセスは、
アルミナ原料に、複数の鉱化剤を混合した複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得するステップ(1)と、
ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れてボールミリングして、前処理材料(以下、研磨材と言う)を取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で取得された研磨材に一定の割合の波吸収剤を加えて均一に撹拌し、その後にプレス機で押出し、アルミナ素地を製造するステップ(3)と、
ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を乾燥処理して、アルミナ素地中の含水量を調整するステップ(4)と、
ステップ(4)で乾燥処理されたアルミナ素地をマイクロ波窯炉内に入れ、その後にマイクロ波窯炉を設定温度まで昇温させ、一定の時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得するステップ(5)と、
ステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを粉砕して、微結晶α-アルミナを得るステップ(6)とを含む。
【0005】
好ましくは、アルミナ原料の重量基準で、ステップ(1)の複合鉱化剤は、塩化物0%~3%、フッ化物0%~3%、ホウ酸0%~1%を含み、前記複合鉱化剤の最低添加量は0.01%である。
【0006】
好ましくは、ステップ(2)では、前記ボールミルの粉砕媒体と材料との比は1~6であり、前記研磨材のD50粒径は5~30μmであり、前記研磨材の200メッシュ篩残量≦5%である。
【0007】
好ましくは、ステップ(3)では、前記波吸収剤には、質量比が0.01%~1%である波吸収成分が含まれ、残分が水であり、前記波吸収成分は、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、リグニンのうちの1種又は複数種である。
【0008】
好ましくは、ステップ(3)では、前記波吸収剤には、質量比が1%~5%である波吸収成分が含まれ、残分が水であり、前記波吸収成分は、擬ベーマイト、γ-アルミナ、ρ-アルミナ、水酸化アルミニウムのうちの1種又は複数種である。
【0009】
好ましくは、ステップ(3)では、波吸収剤と研磨材との質量比は0~0.3であり、前記アルミナ素地の成形圧力は0.5MPa~60MPaである。
【0010】
好ましくは、ステップ(4)では、乾燥処理の温度は10℃~100℃であり、乾燥処理されたアルミナ素地の含水率は3%~20%である。
【0011】
好ましくは、ステップ(5)では、設定温度は1100℃~1500℃であり、焼成時間は0.1~4時間である。
【0012】
好ましくは、ステップ(6)で得られた微結晶α-アルミナの粒度は0.1~1.5マイクロメートルである。
【0013】
好ましくは、前記フッ化物はフッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウムのうちのいずれか1種又は複数種であり、前記塩化物は塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウムのうちのいずれか1種又は複数種である。
【発明の効果】
【0014】
以上より、上記技術手段を用いるため、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0015】
(1)本発明では、アルミナ研磨材をアルミナ素地に製造し、焼成時に匣鉢を用いて収容する必要がなく、セラミックライナーを使用すればよく、操作しやすく、そして匣鉢の耐用年数が短く、繰り返し使用回数が少なく、セラミックライナーを繰り返し使用でき、製造コストを低下させ、また製造されたレンガ材料がライナーと粘着しにくく、焼成時の損失が少なく、製品の収率がより高く、匣鉢を使用する場合、匣鉢の内壁に接触するアルミナ粉末が速く昇温して溶融し、焼成が完了した後に匣鉢の内壁に粘着し、製品の収率に影響を与え、
(2)マイクロ波焼成では、熱伝導の方式を必要とせずに短時間で非常に高い温度に達することができ、そのエネルギー利用率が非常に高く、従来の窯炉に比べて、焼成のエネルギー消費を著しく低減することができ、他の燃料の代わりに電気エネルギーを窯炉のエネルギーとして使用して、排気ガスを生成せず、硫黄酸化物、窒素酸化物及び二酸化炭素の排出を回避し、より清潔環境にやさしく、
(3)微結晶α-アルミナのマイクロ波焼成では、分子の振動により加熱し、火炎の強熱により加熱しないため、焼成時にアルミナ素地の内外全体が同時に加熱され、その結晶の成長がより均一となり、外層の成長が速く、中心の成長が遅いという現象が発生せず、歩留まりを向上させ、コストを大幅に低下させ、製造された微結晶α-アルミナの純度がより高く、結晶がより均一で、粒度範囲がより狭くなり、品質がより優れた超微細粉体製品を製造することができ、
(4)アルミナは、マイクロ波加熱過程において、低温でマイクロ波との結合性が悪く、ひいては波を吸収せず、加熱されて昇温することができないが、臨界値に達すると、自体の誘電損失が急速に増加し、マイクロ波エネルギーの吸収し初め、そしてマイクロ波エネルギーを熱量に変換し、本発明では、一定の割合の波吸収剤を加え、波吸収剤中の波吸収成分のマイクロ波に対する吸収能力を利用することにより、アルミナを焼成時に迅速に昇温させ、焼成時間を短縮することができ、
(5)匣鉢を使用してアルミナ粉末を焼成する場合、アルミナと鉱化剤粉末との間に大きな空隙が存在し、粉末の比表面積が大きく、鉱化剤の揮発又は分解により温度が低いため、昇温過程において鉱化剤及びその分解生成物が空隙から迅速に失われやすく、最高温度に達しない時に大部分の鉱化剤が既に失われることになり、鉱化剤の使用効果に影響を及ぼし、本発明では、アルミナ研磨材をアルミナ素地に製造することにより、鉱化剤とアルミナとの間の空隙が圧縮され、昇温過程においてレンガ材料の内部の鉱化剤がレンガ材料の表面を透過して失われにくく、鉱化剤の触媒作用の発揮を確保し、α-アルミナの収率を向上させることができ、
(6)天然ガス回転窯、天然ガストンネル窯などの古い窯炉でα-アルミナを焼成して製造するプロセスに対して、本発明のマイクロ波焼成プロセスは、クリーンで環境にやさしく、温室効果ガスを排出しないという顕著な利点を有し、統計したところ、α-アルミナを焼成して製造する場合、天然ガス回転窯の天然ガス消費量は約100~140m3/tであり、二酸化炭素排出量は約196~275Kg/tであり、天然ガストンネル窯の天然ガス消費量は約160~200m3/tであり、二酸化炭素排出量は約314~392Kg/tであり、本発明のマイクロ波焼成プロセスは、二酸化炭素排出量を少なくとも196Kg/t減少させることができ、中国が早期に二酸化炭素排出量ピークに到達し、カーボンニュートラルを実現することに対して重要な意味を有し、
(7)従来の電気炉で匣鉢を用いてα-アルミナを焼成して製造するプロセスに対して、本発明のマイクロ波焼成プロセスは、エネルギー消費が低く、製造コストが低いという利点を有し、従来の電気炉は、間接加熱を用いるため、昇温速度が遅く、まず電気炉を昇温させ、次にアルミナを入れて焼成し、焼成が終了した後に降温させ、焼成されたアルミナを取り出す必要があり、大量のエネルギーの浪費を引き起こし、そして製造周期が長く、計算したところ、従来の電気炉によるα-アルミナの製造では、電気エネルギーの消耗は最低で約1600キロワット時/トンであり、これに対して、マイクロ波窯炉の電気エネルギーの消耗は、従来の電気炉に対して30%~40%低下することができ、1キロワット時の電気の平均価格が0.8元/キロワット時であるように計算すれば、製造コストを384~512元/トン低下させることができ、このほか、従来の電気炉に匣鉢を使用する必要があるため、製造が終了した後に匣鉢の内壁にアルミナの残渣が付着し、再利用されにくいため、製造時に大量の匣鉢を消耗し、そのコストが約600元/トンであり、本発明では、粉末アルミナを煉瓦素地に製造し、そのコストが約200~300元/トンであり、コストを300~400元/トン低下させることができ、著しいコスト優位性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例11で製造された微結晶α-アルミナ完成品の電子顕微鏡写真である。
【
図2】本発明の実施例12で製造された微結晶α-アルミナ完成品の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明し、理解すべきものとして、本明細書において記載される具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0018】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に0.1Kgの塩化アルミニウム、0.1Kgのフッ化アルミニウムが含まれ、ホウ酸が含まれず、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を6とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が4μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が0.07%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に30Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が1%濃度のポリビニルアルコール水溶液であり、その後にプレス機で60MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を100℃のオーブン内で1時間乾燥させ、その含水率が26.7%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1550℃まで昇温させ、2時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が1.5マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例2】
【0019】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に0.01Kgの塩化カルシウム、0.01Kgのホウ酸が含まれ、フッ化物が含まれず、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を5とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が7μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が0.34%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に25Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が1%濃度のカルボキシメチルセルロース水溶液であり、その後にプレス機で50MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を80℃のオーブン内で2時間乾燥させ、その含水率が22.3%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1500℃まで昇温させ、1時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が0.1マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例3】
【0020】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に0.01Kgの塩化マグネシウム、0.01Kgのフッ化カルシウム、0.01Kgのホウ酸が含まれ、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を4とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が11μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が0.77%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に20Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が1%濃度のリグニン水溶液であり、その後にプレス機で40MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を50℃のオーブン内で2時間乾燥させ、その含水率が17.7%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1400℃まで昇温させ、0.1時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が0.5マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例4】
【0021】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に0.1Kgの塩化アンモニウム、0.1Kgの塩化マグネシウムが含まれ、フッ化物及びホウ酸が含まれず、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を3とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が17μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が1.46%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に15Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が0.5%濃度のポリビニルアルコール水溶液であり、その後にプレス機で20MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を25℃のオーブン内で2時間乾燥させ、その含水率が13.5%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1300℃まで昇温させ、1.5時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が1.0マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例5】
【0022】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に0.03Kgのフッ化マグネシウム、0.03Kgのフッ化カルシウム、0.02Kgのフッ化アンモニウム、0.02Kgのフッ化水素アンモニウムが含まれ、塩化物及びホウ酸が含まれず、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を2とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が25μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が2.92%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に10Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が0.01%濃度のポリビニルアルコール水溶液であり、その後にプレス機で5MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を10℃のオーブン内で2時間干し、その含水率が8.5%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1200℃まで昇温させ、0.5時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が1.0マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例6】
【0023】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に0.5Kgの塩化アンモニウム、0.5Kgのフッ化水素アンモニウム、0.5Kgのホウ酸が含まれ、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を1とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が33μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が5.11%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に3Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が0.5%濃度のポリビニルアルコール水溶液と、0.5%濃度のポリビニルアルコール水溶液と0.5%濃度のリグニン水溶液とを1:1:1の質量比で混合したものであり、その後にプレス機で1MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を40℃のオーブン内で2時間乾燥させ、その含水率が2.6%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1100℃まで昇温させ、2.5時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が1.0マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例7】
【0024】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に1Kgの塩化カルシウム、1Kgのフッ化アルミニウム、1Kgのホウ酸が含まれ、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を1.5とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が16μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が1.39%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に15Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が擬ベーマイトと水とを1:100の質量比で混合したものであり、その後にプレス機で0.5MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を40℃のオーブン内で2時間乾燥させ、その含水率が12.1%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1050℃まで昇温させ、3時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が1.0マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例8】
【0025】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に2Kgの塩化アルミニウム、2Kgのフッ化アルミニウム、1Kgのホウ酸が含まれ、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を1.5とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が21μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が1.93%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に25Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤がγ-アルミナと水とを1:50の質量比で混合したものであり、その後にプレス機で4MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を30℃のオーブン内で2時間乾燥させ、その含水率が17.1%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1250℃まで昇温させ、3.5時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が1.0マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例9】
【0026】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤が3Kgの塩化アルミニウム、3Kgのフッ化アルミニウム、1Kgのホウ酸であり、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を1.5とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が25μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が2.83%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に15Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤がρ-アルミナと水とを1:50の質量比で混合したものであり、その後にプレス機で2MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を30℃のオーブン内で2時間乾燥させ、その含水率が10.8%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1250℃まで昇温させ、4時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が1.0マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例10】
【0027】
(1)、100Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤が0.2Kgのフッ化アルミニウム、塩化物及びホウ酸を含まず、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を1.5とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が27μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分が3.79%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に10Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が水酸化アルミニウムと水とを1:20の質量比で混合したものであり、その後にプレス機で2MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を20℃のオーブン内で2時間乾燥させ、その含水率が7.6%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理されたレンガ材料をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1250℃まで昇温させ、1時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が1.0マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【実施例11】
【0028】
(1)、10000Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に1Kgの塩化アルミニウム、1Kgのフッ化アルミニウム、1Kgのホウ酸が含まれ、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を1.5とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が15μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分は0.07%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に2500Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が水酸化アルミニウムと水とを1:20の質量比で混合したものであり、その後にプレス機で10MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を80℃のオーブン内で6時間乾燥させ、その含水率が11%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理された素地をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1250℃まで昇温させ、1時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が0.8マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【0029】
焼成前後にマイクロ波窯炉の独立した電流計の数値を記録し、焼成前後の電流計の差分値が9771キロワット時であり、単位消費電力が9771キロワット時/トンであると分かり、古い電気炉の消費電力が1600キロワット時/トンで計算すれば、電気エネルギーを39%節約した。
【0030】
適量のステップ(6)で得られた微結晶α-アルミナ完成品に対して、SEM走査型電子顕微鏡を用いてミクロ検出を行い、
図1に示すとおりである。
【実施例12】
【0031】
(1)、10000Kgのアルミナ原料に複合鉱化剤を加えて均一に混合して、混合材を取得し、使用された複合鉱化剤に1Kgの塩化アルミニウム、1Kgのフッ化アルミニウム、1Kgのホウ酸が含まれ、
(2)、ステップ(1)で取得された混合材をボールミルに入れて3時間研磨し、粉砕媒体と材料との比を1.5とし、研磨材を取得し、研磨材の粒度D50が15μmであると測定し、200メッシュの篩にかけ、篩残分は0.07%であり、
(3)、ステップ(2)で取得された研磨材に1500Kgの波吸収剤を加えて撹拌機で均一に撹拌し、波吸収剤が1%濃度のポリビニルアルコール水溶液であり、その後にプレス機で10MPa条件下で押出して成形して、アルミナ素地を製造し、
(4)、ステップ(3)で製造されたアルミナ素地を80℃のオーブン内で3時間乾燥させ、その含水率が10.1%であると測定し、
(5)、ステップ(4)で乾燥処理された素地をマイクロ波窯炉内に入れ、100℃/hの昇温速度で1300℃まで昇温させ、1時間焼成して、α-アルミナクリンカーを取得し、
(6)、粉砕機を用いてステップ(5)で取得されたα-アルミナクリンカーを小さい塊に粉砕し、その後に粒度が1.2マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕して研磨して、微結晶α-アルミナ完成品を得た。
【0032】
焼成前後にマイクロ波窯炉の独立した電流計の数値を記録し、焼成前後の電流計の差分値が10827キロワット時であり、単位消費電力が1082.7キロワット時/トンであると分かり、古い電気炉の消費電力が1600キロワット時/トンで計算すれば、電気エネルギーを33%節約した。
【0033】
適量のステップ(6)で得られた微結晶α-アルミナ完成品に対して、SEM走査型電子顕微鏡を用いてミクロ検出を行い、
図2に示すとおりである。
【0034】
以上の記載は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の構想及び原則内に行われた全ての修正、等価置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。