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特許7385318微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態流速を調節する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態流速を調節する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0275 20060101AFI20231115BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20231115BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20231115BHJP
【FI】
A61B5/0275
G16H50/20
G16H50/30
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022525374
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2019116674
(87)【国際公開番号】W WO2021087968
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】201911065694.6
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522036093
【氏名又は名称】▲蘇▼州▲潤▼▲邁▼▲徳▼医▲療▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲廣▼志
(72)【発明者】
【氏名】▲きょう▼ ▲艷▼君
(72)【発明者】
【氏名】李 建平
(72)【発明者】
【氏名】易 ▲鉄▼慈
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 博
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/057324(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/210553(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108742570(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0110776(US,A1)
【文献】特表2019-532703(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108305246(CN,A)
【文献】国際公開第2017/187269(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0275
G16H 50/20
G16H 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張期の微小血管抵抗指数ユニットによって、血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得するステップと、
調節パラメータユニットによって、前記拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR<Kである場合、調節パラメータをr=1とし、且つ、
前記拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR≧Kである場合、調節パラメータを
(但しKは100未満の正数である)とするステップと、
血流速度取得ユニットによって、式v'=rvhに基づき、補正後の最大充血状態における血流速度を取得するステップと、
を含み、
但し、v'は補正後の最大充血状態における血流速度を表し、vhは最大充血状態における血流速度を表す、
ことを特徴とする微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項2】
vhは、
であり、
但し、vhは最大充血状態における血流速度を表し、
は一つの心周期区域内における平均血流速度を表し、zの値の範囲は1~3の定数であり、xの値の範囲は50~300の定数であり、K=50とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項3】
前記拡張期の微小血管抵抗指数ユニットによって、血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、最大充血状態における微小血管抵抗指数iFMRを取得するステップは、
前記血流速度vの最大値である拡張期の最大血流速度vmaxを選び取るステップと、
前記最大血流速度vmaxに対応する期間は拡張期であり、前記大動脈圧波形に基づき、大動脈拡張期の平均圧を取得するステップと、
を含み、
iFMRは、
であり、
は、
であり、
但し、
は大動脈拡張期の平均圧を表し、Pa1、Pa2、Pajはそれぞれ大動脈圧波形上の拡張期内の第1の点、第2の点、第jの点に対応する大動脈圧力値を表し、jは拡張期内の大動脈圧波形上に含まれる圧力点の数を表し、vhは最大充血状態における血流速度を表し、全ての血流速度vから最大値を選び取ることにより取得され、k、cは影響パラメータk=1~3、c=0~10を表す、
ことを特徴とする請求項1に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項4】
前記影響パラメータはk=a×bであり、
但しaは糖尿病特徴値を表し、bは高血圧特徴値を表し、cは性別を表す、
ことを特徴とする請求項3に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項5】
患者に糖尿病がない場合、0.5≦a≦1とされ、患者に糖尿病がある場合、1<a≦2とされ、
患者の血圧値が90mmHg以上である場合、1<b≦1.5とされ、患者の血圧値が90mmHg未満である場合、0.5≦b≦1とされ、
患者が男性である場合、c=0とされ、患者が女性である場合、c=3~10とされる、
ことを特徴とする請求項4に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項6】
患者に糖尿病がない場合、a=1とされ、患者に糖尿病がある場合、a=2とされ、
患者の血圧値が90mmHg以上である場合、b=1.5とされ、患者の血圧値が90mmHg未満である場合、b=1とされ、
患者が男性である場合、c=0とされ、患者が女性である場合、c=5とされる、
ことを特徴とする請求項5に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項7】
記血流速度を取得するステップは、
画像読み取りユニットによって、少なくとも一つの体位の冠状動脈二次元造影画像組を読み取るステップと、
血管段抽出ユニットによって、前記冠状動脈二次元造影画像組から、注目する血管段を抽出するステップと、
中心線抽出ユニットによって、前記血管段の中心線を抽出するステップと、
時間差ユニットによって、任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、中心線差ユニットによって、記中心線の差を計算し、その差の値をΔLとするステップと、
血流速度計算ユニットによって、前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度vを求めるステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項8】
前記血管段抽出ユニットによって、前記冠状動脈二次元造影画像組から、注目する血管段を抽出するステップは、
前記冠状動脈二次元造影画像組からNフレーム冠状動脈二次元造影画像を選び取るステップと、
前記冠状動脈二次元造影画像において、注目する前記血管の最初と最後の点をピックアップし、注目する前記血管段を取得するステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項9】
前記中心線抽出ユニットによって、前記血管段の中心線を抽出するステップは、
血管骨格抽出ユニットによって、前記冠状動脈二次元造影画像から血管骨格を抽出するステップと、
前記血管段の延在方向、および2点間の最短経路を取る原則に基づくステップと、
前記血管骨格に沿って、前記血管段の中心線を抽出するステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項10】
前記時間差ユニットによって、任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、前記中心線差ユニットによって、記中心線の差を計算し、その差の値をΔLとし、且つ、前記血流速度計算ユニットによって、前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度を求めるステップは、
造影剤が冠状動脈入口である前記血管段の最初の点まで流れた時の冠動脈造影画像を第1フレーム画像とし、造影剤が前記血管段の最後の点まで流れた時の冠動脈造影画像を第Nフレーム画像とするステップと、
第Nフレーム画像から第N-1フレーム、...、第N-bフレーム、...、第N-aフレーム、...、第1フレーム画像までの時間差及び中心線の長さの差を順に求め、時間差をそれぞれΔt1,..., Δtb,..., Δta,..., ΔtN-1とし、中心線の長さの差をそれぞれΔL1,..., ΔLb,..., ΔLa,..., ΔLN-1とするステップと、
v=ΔL/Δtに基づき、但し、vは血流速度を表し、第Nフレーム画像から第N-1フレーム、...、第N-bフレーム、...、第N-aフレーム、...、第1フレーム画像までの血流速度をそれぞれ得て、血流速度をそれぞれv1,..., vb,..., va,..., vN-1とするステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項11】
前記時間差ユニットによって、任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、前記中心線差ユニットによって、記中心線の差を計算し、その差の値をΔLとし、且つ、前記血流速度計算ユニットによって、前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度を求めるステップは、
第Nフレームから第bフレームまで、第N-1フレームから第b-1フレームまで、...、第N-b-aフレームから第N-aフレームまで、...、第N-b+1から第1フレームの画像までの時間差及び中心線の長さの差を順に求め、
v=ΔL/Δtに基づき、但し、vは血流速度を表し、第Nフレームから第bフレームまで、第N-1フレームから第b-1フレームまで、...、第N-b-aフレームから第N-aフレームまで、...、第N-b+1から第1フレーム画像までの血流速度をそれぞれ得るステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項12】
記血管段の中心線を抽出するステップの後、前記時間差ユニットによって、任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、前記中心線差ユニットによって、記中心線の差を計算し、その差の値をΔLとするステップの前にさらに、
少なくとも2つの体位の冠状動脈二次元造影画像組を読み取るステップと、
前記血管段のジオメトリ構造情報を取得するステップと、
注目する前記血管段に対して図形処理を行うステップと、
前記血管段の血管輪郭線を抽出するステップと、
前記血管段のジオメトリ構造情報に基づき、少なくとも2つの体位の血管の前記中心線、輪郭線を抽出した冠状動脈二次元造影画像を三次元平面上に投影し、三次元血管モデルを合成するステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項13】
前記血流速度計算ユニットによって、前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度を求めるステップは、
前記三次元血管モデルに基づき、三次元血管モデルの中心線を取得し、前記冠状動脈二次元造影画像により抽出した中心線に対して補正を行い、且つ、中心線差分値ΔLに対して補正を行い、ΔL'を得るステップと、
前記ΔL'と前記Δtの比に基づき、血流速度vを求めるステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法を含むことを特徴とする生理パラメータに基づき冠状動脈血管評定パラメータを取得する方法。
【請求項15】
血流速度取得ユニット、大動脈圧波形取得ユニット、生理パラメータ取得ユニット、拡張期の微小血管抵抗指数ユニット及び調節パラメータユニットを備え、
前記拡張期の微小血管抵抗指数ユニットは前記血流速度取得ユニット、前記大動脈圧波形取得ユニット、前記生理パラメータ取得ユニットに接続され、
前記血流速度取得ユニットは、血流速度vを取得するためのものであり、
前記大動脈圧波形取得ユニットは、時間に伴い変わる大動脈圧波形をリアルタイムに取得するためのものであり、
前記生理パラメータ取得ユニットは、性別及び既往歴を含む患者の生理パラメータを取得するためのものであり、
前記拡張期の微小血管抵抗指数ユニットは、前記血流速度取得ユニット、前記大動脈圧波形取得ユニット、前記生理パラメータ取得ユニットが送信した血流速度v、 大動脈圧波形、生理パラメータを受信し、それから血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得するためのものであり、
前記調節パラメータユニットは、前記拡張期の微小血管抵抗指数ユニットのiFMR値を受信し、前記拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR<Kである場合、調節パラメータをr=1とし、且つ、前記拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR≧Kである場合、調節パラメータを
(但しKは100未満の正数であり)とするためのものである、
ことを特徴とする前記請求項1~13のいずれかに記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法に用いられる微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置。
【請求項16】
さらに、
順に接続される画像読み取りユニット、血管段抽出ユニット、中心線抽出ユニット、前記画像読み取りユニットに接続される時間差ユニット、前記生理パラメータ取得ユニット、及び前記時間差ユニット、中心線差ユニットにそれぞれ接続される血流速度取得ユニットを備え、
前記中心線差ユニットは前記中心線抽出ユニットに接続され、
前記画像読み取りユニットは、少なくとも一つの体位の冠状動脈二次元造影画像組を読み取るためのものであり、
前記血管段抽出ユニットは、前記画像読み取りユニットが送信した冠状動脈二次元造影画像を受信し、前記画像中の注目する血管段を抽出するためのものであり、
前記中心線抽出ユニット、は前記血管段抽出ユニットが送信した血管段を受信し、前記血管段の中心線を抽出するためのものであり、
前記時間差ユニットは、前記画像読み取りユニットが送信した任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像を受信し、前記2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとするものであり、
前記中心線差ユニットは、前記中心線抽出ユニットが送信した2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が血管段を流れた分段中心線を受信し、前記分段中心線の差を計算し、その差の値をΔLとするものであり、
前記血流速度取得ユニットは、血流速度計算モジュール、拡張期血流速度計算モジュールを備え、
前記血流速度計算モジュールは前記時間差ユニット、前記中心線差ユニットにそれぞれ接続され、
前記拡張期血流速度計算モジュールは前記血流速度計算モジュールに接続され、
血流速度計算モジュールは、前記時間差ユニット及び前記中心線差ユニットが送信した前記ΔLと前記Δtを受信し、前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度を求めるためのものであり、
前記拡張期血流速度計算モジュールは、前記血流速度計算モジュールが送信した血流速度値を受信し、前記血流速度の最大値である拡張期の血流速度を選び取るためのものであり、
前記生理パラメータ取得ユニットは、前記画像読み取りユニットの冠状動脈二次元造影画像を受信し、患者の生理パラメータ及び画像撮影角度を取得し、生理パラメータ及び画像撮影角度を前記拡張期の微小血管抵抗指数ユニットに伝達するためのものである、
ことを特徴とする請求項15に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置。
【請求項17】
さらに、
前記画像読み取りユニットにそれぞれ接続される血管骨格抽出ユニット、三次元血管再構成ユニット、及び前記血管骨格抽出ユニットに接続される輪郭線抽出ユニットを備え、
前記三次元血管再構成ユニットは前記生理パラメータ取得ユニット、前記中心線抽出ユニット、前記輪郭線抽出ユニットに接続され、
前記血管骨格抽出ユニットは、前記画像読み取りユニットが送信した冠状動脈二次元造影画像を受信し、前記冠状動脈二次元造影画像中の血管骨格を抽出するためのものであり、
前記輪郭線抽出ユニットは、前記血管骨格抽出ユニットの血管骨格を受信し、前記血管骨格に基づき、注目する前記血管段の輪郭線を抽出するためのものであり、
前記三次元血管再構成ユニットは、前記輪郭線抽出ユニット、前記生理パラメータ取得ユニット、前記中心線抽出ユニットが送信した輪郭線、画像撮影角度及び中心線を受信するため、且つ、前記画像読み取りユニットが送信した冠状動脈二次元造影画像を受信するため、且つ、前記血管段のジオメトリ構造情報に基づき、少なくとも2つの体位の血管の前記中心線、輪郭線を抽出した冠状動脈二次元造影画像を三次元平面上に投影し、三次元血管モデルを合成するためのものであり、
前記中心線抽出ユニットは、前記三次元血管再構成ユニットの三次元血管モデルから新たに前記血管段の中心線を抽出し、且つ新たに前記中心線の長さを取得するためのものである、
ことを特徴とする請求項16に記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置。
【請求項18】
請求項15~17のいずれかに記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置を含むことを特徴とする冠状動脈分析システム。
【請求項19】
コンピュータプログラムがプロセッサにより実行される時に請求項1~13のいずれかに記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法を実現することを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冠状動脈技術分野に関し、特に、微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法及び装置、冠状動脈分析システム、コンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関の統計によれば、心血管疾患は既に人の健康を奪う“トップキラー”となっている。近年、血流動力学を用いて心血管疾患の生理及び病理行為を分析することは既に心血管疾患診断の一つの非常に重要な手段となっている。
血液流量及び流速は血流動力学の非常に重要なパラメータとされており、どのように血液流量及び流速を正確に簡単に測定するかが多くの研究学者の研究の重点となっている。
個体群により生命兆候は異なるため、正常な数値の判定標準にも若干違いがある。例えば、高齢者の心筋微小循環機能は低く、血流速度は一般的に若者よりも低いため、もし業界の汎用評価標準を用いる場合、採用する血流速度は実際の値より大きめになり、大きめになった血流速度はさらに、冠血流予備量比FFR、瞬時血流予備量比iFR、拡張期微小血管抵抗指数iFMR等の冠状動脈血管評定パラメータに影響する。
したがって、現段階において、どのように個人差に応じて微小血管抵抗指数iFMRを得て、それから微小血管抵抗指数iFMRに基づき最大充血状態における血流速度を調節し、狙い性が高く、個別的に差別化された血流速度を得て、血流速度の正確性を高めるかが、冠状動脈技術分野において迅速に解決されなければならない問題となっている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、どのように個人差に応じて差別化され且つ狙い通りの最大充血状態における血流速度を得るかという問題を解決するために、微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法及び装置、冠状動脈分析システム及びコンピュータ記憶媒体を提供する。
【0004】
上記目的を実現するために、第一の態様において、本出願は以下の方法を提供する。
血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得するステップと、
前記拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR<Kである場合、調節パラメータをr=1とし、且つ、
前記拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR≧Kである場合、調節パラメータを
(但しKは100未満の正数である)とするステップと、
式v'=rvhに基づき、補正後の最大充血状態における血流速度を取得するステップと、
を含み、
但しv'は補正後の最大充血状態における血流速度を表し、vhは最大充血状態における血流速度を表す、
微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0005】
任意選択的に、
vhは、
であり、
vhは最大充血状態における血流速度を表し、
は一つの心周期区域内における平均血流速度を表し、zの値の範囲は1~3の定数であり、xの値の範囲は50~300の定数であり、K=50とする、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0006】
任意選択的に、
前記血流速v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、最大充血状態における微小血管抵抗指数iFMRを取得するステップは、
前記血流速度vの最大値である拡張期の最大血流速度vmaxを選び取るステップと、
前記vmaxに対応する期間は拡張期であり、前記大動脈圧波形に基づき、大動脈拡張期の平均圧を取得するステップと、
を含み、
iFMRは、
であり、
は、
であり、
但し、
は大動脈拡張期の平均圧を表し、Pa1、Pa2、Pajはそれぞれ大動脈圧波形上の拡張期内の第1の点、第2の点、第jの点に対応する大動脈圧力値を表し、jは拡張期内の大動脈圧波形上に含まれる圧力点の数を表し、vhは最大充血状態における血流速度を表し、全ての血流速度vから最大値を選び取ることにより取得され、k、cは影響パラメータk=1~3、c=0~10を表す、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0007】
任意選択的に、
前記影響パラメータk=a×bであり、
但しaは糖尿病特徴値を表し、bは高血圧特徴値を表し、cは性別を表す、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0008】
任意選択的に、
患者に糖尿病がない場合、0.5≦a≦1とされ、患者に糖尿病がある場合、1<a≦2とされ、
患者の血圧値が90mmHg以上である場合、1<b≦1.5とされ、患者の血圧値が90mmHg未満である場合、0.5≦b≦1とされ、
患者が男性である場合、c=0とされ、患者が女性である場合、c=3~10とされる、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0009】
任意選択的に、
患者に糖尿病がない場合、a=1とされ、患者に糖尿病がある場合、a=2とされ、
患者の血圧値が90mmHg以上である場合、b=1.5とされ、患者の血圧値が90mmHg未満である場合、b=1とされ、
患者が男性である場合、c=0とされ、患者が女性である場合、c=5とされる、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0010】
任意選択的に、
前記の血流速度を取得するステップは、
少なくとも一つの体位の冠状動脈二次元造影画像組を読み取るステップと、
前記冠状動脈二次元造影画像組から、注目する血管段を抽出するステップと、
前記血管段の中心線を抽出するステップと、
任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、前記分段中心線の差を計算し、その差の値をΔLとするステップと、
前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度vを求めるステップと、
を含む、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0011】
任意選択的に、
前記の前記冠状動脈二次元造影画像組から、注目する血管段を抽出するステップは、
前記冠状動脈二次元造影画像組からNフレーム冠状動脈二次元造影画像を選び取るステップと、
前記冠状動脈二次元造影画像において、注目する前記血管の最初と最後の点をピックアップし、注目する前記血管段を取得するステップと、
を含む、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0012】
任意選択的に、
前記の前記血管段の中心線を抽出するステップは、
前記冠状動脈二次元造影画像から血管骨格を抽出するステップと、
前記血管段の延在方向、および2点間の最短経路を取る原則に基づくステップと、
前記血管骨格に沿って、前記血管段の中心線を抽出するステップと、
を含む、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0013】
任意選択的に、
前記任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、前記分段中心線の差を計算し、その差の値をΔLとし、且つ、前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度を求めるステップは、
造影剤が冠状動脈入口である前記血管段の最初の点まで流れた時の冠動脈造影画像を第1フレーム画像とし、造影剤が前記血管段の最後の点まで流れた時の冠動脈造影画像を第Nフレーム画像とするステップと、
第Nフレーム画像から第N-1フレーム、...、第N-bフレーム、...、第N-aフレーム、...、第1フレーム画像までの時間差及び中心線の長さの差を順に求め、時間差をそれぞれΔt1,..., Δtb,..., Δta,..., ΔtN-1とし、中心線の長さの差をそれぞれΔL1,..., ΔLb,..., ΔLa,..., ΔLN-1とするステップと、
v=ΔL/Δtに基づき、但し、vは血流速度を表し、第Nフレーム画像から第N-1フレーム、...、第N-bフレーム、...、第N-aフレーム、...、第1フレーム画像までの血流速度をそれぞれ得て、血流速度をそれぞれv1,..., vb,..., va,..., vN-1とするステップと、
を含む、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0014】
任意選択的に、
前記の任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、前記分段中心線の差を計算し、その差の値をΔLとし、且つ、前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度を求めるステップは、
第Nフレームから第bフレームまで、第N-1フレームから第b-1フレームまで、...、第N-b-aフレームから第N-aフレームまで、...、第N-b+1から第1フレームの画像までの時間差及び中心線の長さの差を順に求めるステップと、
v=ΔL/Δtに基づき、但し、vは血流速度を表し、第Nフレームから第bフレームまで、第N-1フレームから第b-1フレームまで、...、第N-b-aフレームから第N-aフレームまで、...、第N-b+1から第1フレーム画像までの血流速度をそれぞれ得るステップと、
を含む、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0015】
任意選択的に、
前記の前記血管段の中心線を抽出するステップの後、前記の任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、前記分段中心線の差を計算し、その差の値をΔLとする方法の前にさらに、
少なくとも2つの体位の冠状動脈二次元造影画像組を読み取るステップと、
前記血管段のジオメトリ構造情報を取得するステップと、
注目する前記血管段に対して図形処理を行うステップと、
前記血管段の血管輪郭線を抽出するステップと、
前記血管段のジオメトリ構造情報に基づき、少なくとも2つの体位の血管の前記中心線、輪郭線を抽出した冠状動脈二次元造影画像を三次元平面上に投影し、三次元血管モデルを合成するステップと、
を含む、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0016】
任意選択的に、
前記の前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度を求めるステップは、
前記三次元血管モデルに基づき、三次元血管モデルの中心線を取得し、前記冠状動脈二次元造影画像により抽出した中心線に対して補正を行い、且つ、中心線差分値ΔLに対して補正を行い、ΔL'を得るステップと、
前記ΔL'と前記Δtの比に基づき、血流速度vを求めるステップと、
を含む、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法。
【0017】
第三の態様において、本出願は以下の装置を提供する。
血流速度取得ユニット、大動脈圧波形取得ユニット、生理パラメータ取得ユニット、拡張期の微小血管抵抗指数ユニット及び調節パラメータユニットを備え、
前記拡張期の微小血管抵抗指数ユニットは前記血流速度取得ユニット、前記大動脈圧波形取得ユニット、前記生理パラメータ取得ユニットに接続され、
前記血流速度取得ユニットは、血流速度vを取得するためのものであり、
前記大動脈圧波形取得ユニットは、時間に伴い変わる大動脈圧波形をリアルタイムに取得するためのものであり、
前記生理パラメータ取得ユニットは、性別及び既往歴を含む患者の生理パラメータを取得するためのものであり、
前記拡張期の微小血管抵抗指数ユニットは、前記血流速度取得ユニット、前記大動脈圧波形取得ユニット、前記生理パラメータ取得ユニットが送信した血流速v、大動脈圧波形、生理パラメータを受信し、それから血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得するためのものであり、
前記調節パラメータユニットは、前記拡張期の微小血管抵抗指数ユニットのiFMR値を受信し、前記拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR<Kである場合、調節パラメータをr=1とし、且つ、前記拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR≧Kである場合、調節パラメータを
(Kは100未満の正数である)とするためものである、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法に用いられる微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置。
【0018】
任意選択的に、
さらに、
順に接続される画像読み取りユニット、血管段抽出ユニット、中心線抽出ユニット、前記画像読み取りユニットに接続される時間差ユニット、前記生理パラメータ取得ユニット、及び前記時間差ユニット、前記中心線差ユニットにそれぞれ接続される血流速度取得ユニットを備え、
前記中心線差ユニットは前記中心線抽出ユニットに接続され、
前記画像読み取りユニットは、少なくとも一つの体位の冠状動脈二次元造影画像組を読み取るためのものであり、
前記血管段抽出ユニットは、前記画像読み取りユニットが送信した冠状動脈二次元造影画像を受信し、前記画像中の注目する血管段を抽出するためのものであり、
前記中心線抽出ユニットは、前記血管段抽出ユニットが送信した血管段を受信し、前記血管段の中心線を抽出するためのものであり、
前記時間差ユニットは、前記画像読み取りユニットが送信した任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像を受信し、前記2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が前記血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとするものであり、
前記中心線差ユニットは、前記中心線抽出ユニットが送信した2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が血管段を流れた分段中心線を受信し、前記分段中心線の差を計算し、その差の値をΔLとするものであり、
前記血流速度取得ユニットは、血流速度計算モジュール、拡張期血流速度計算モジュールを備え、
前記血流速度計算モジュールは前記時間差ユニット、前記中心線差ユニットにそれぞれ接続され、
前記拡張期血流速度計算モジュールは前記血流速度計算モジュールに接続され、
血流速度計算モジュールは、前記時間差ユニット及び前記中心線差ユニットが送信した前記ΔLと前記Δtを受信し、前記ΔLと前記Δtの比に基づき、血流速度を求めるためのものであり、
前記拡張期血流速度計算モジュールは、前記血流速度計算モジュールが送信した血流速度値を受信し、前記血流速度の最大値である拡張期の血流速度を選び取るためのものであり、
前記生理パラメータ取得ユニットは、前記画像読み取りユニットの冠状動脈二次元造影画像を受信し、患者の生理パラメータ及び画像撮影角度を取得し、生理パラメータ及び画像撮影角度を前記拡張期の微小血管抵抗指数ユニットに伝達するためのものである、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置。
【0019】
任意選択的に、
さらに、
前記画像読み取りユニットにそれぞれ接続される血管骨格抽出ユニット、三次元血管再構成ユニット、及び前記血管骨格抽出ユニットに接続される輪郭線抽出ユニットを備え、
前記三次元血管再構成ユニットは前記生理パラメータ取得ユニット、前記中心線抽出ユニット、前記輪郭線抽出ユニットに接続され、
前記血管骨格抽出ユニットは、前記画像読み取りユニットが送信した冠状動脈二次元造影画像を受信し、前記画像中の血管骨格を抽出するためのものであり、
前記輪郭線抽出ユニットは、前記血管骨格抽出ユニットの血管骨格を受信し、前記血管骨格に基づき、注目する前記血管段の輪郭線を抽出するためのものであり、
前記三次元血管再構成ユニットは、前記輪郭線抽出ユニット、前記生理パラメータ取得ユニット、前記中心線抽出ユニットが送信した輪郭線、画像撮影角度及び中心線を受信するため、且つ、前記画像読み取りユニットが送信した冠状動脈二次元造影画像を受信するため、且つ、前記血管段のジオメトリ構造情報に基づき、少なくとも2つの体位の血管の前記中心線、輪郭線を抽出した冠状動脈二次元造影画像を三次元平面上に投影し、三次元血管モデルを合成するためのものであり、
前記中心線抽出ユニットは、前記三次元血管再構成ユニットの三次元血管モデルから新たに前記血管段の中心線を抽出し、且つ新たに前記中心線の長さを取得するためのものである、
上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置。
【0020】
第四の態様において、本出願は、上記のいずれかに記載の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置を含む冠状動脈分析システムを提供する。

第五の態様において、本出願は、コンピュータプログラムがプロセッサにより実行される時に上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法を実現するコンピュータ記憶媒体。
【0021】
本出願の実施例により提供する方案により少なくとも以下の有益な效果を奏することができる。
本出願は、血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得し、それからiFMRをKと比較し、調節パラメータを取得する。当該調節パラメータはiFMR値ごとに異なるため、個人差に応じて差別化パラメータを取得でき、血管計算パラメータの正確性に対して信頼性の高い基礎を提供できる。また、パラメータと最大充血状態における血流速度の積を調節することにより補正後の最大充血状態における血流速度を取得できる。これにより、測定結果が、より狙い通りで、より個別差が明らかで、より正確なものになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここで説明する図面は本発明をさらに理解するためのものであり、本発明の一部分を構成し、本発明の概略的な実施例及びその記載は本発明を説明するためのものであり、本発明に対する不適切な限定を構成するものではない。
【0023】
図1図1は本出願の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法のフローチャートである。
図2図2は本出願のS100のフローチャートである。
図3図3は本出願のS120のフローチャートである。
図4図4は本出願のS130のフローチャートである。
図5図5は本出願のS140の一つの実施例のフローチャートである。
図6図6は本出願のS140のもう一つの実施例のフローチャートである。
図7図7は本出願の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置の一つの実施例の構造ブロック図である。
図8図8は本出願の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置のもう一つの実施例の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、技術方案及び長所がより明確になるように、以下に本発明の具体的な実施例及び対応する図面を組み合わせて本発明の技術方案を明瞭、完全に記載する。勿論、記載する実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を行わずに得られる他の実施例もすべて本発明の保護範囲に入ると理解されるべきである。
【0025】
以下に図面により本発明の複数の実施形態を開示する。明確に説明できるよう、多くの実践的な細部を以下の記載において一緒に説明する。しかし、これら実践的な細部は本発明を限定するために用いられるのではないと理解されるべきである。つまり、本発明の一部の実施形態において、これら実践的な細部は必須事項ではない。この他、図を簡素化するために、一部の慣用的な構造や構成部材については図中で簡単に概略的に示すだけにする。
【0026】
個体群により生命兆候は異なるため、正常な数値の判定標準にも若干違いがある。例えば、高齢者の心筋微小循環機能は低く、血流速度は一般的に若者よりも低いため、もし業界の汎用評価標準を用いる場合、採用する血流速度は実際の値より大きめになり、大きめになった血流速度はさらに、冠血流予備量比FFR、瞬時血流予備量比iFR、拡張期微小血管抵抗指数iFMR等の冠状動脈血管評定パラメータに影響する。
したがって、現段階において、どのように個人差に応じて調節パラメータを得て、血流速度等の血管計算パラメータの正確性を高めるかが、冠状動脈技術分野において迅速に解決されなければ問題となっている。
【0027】
[実施例1]
上記問題を解決するために、図1に示されるように、本出願は以下のステップを含む微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法を提供する。
S100 血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得するステップ、
S200 拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR<Kである場合、調節パラメータr=1とし、且つ、拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR≧Kである場合、調節パラメータを
(但しKは100未満の正数である)とするステップ、
S300 式v'=rvhに基づき、補正後の最大充血状態における血流速度を取得するステップ、
但し、v'は補正後の最大充血状態における血流速度を表し、vhは最大充血状態における血流速度を表す。
本出願の一つの実施例において、
vhは、
であり、
vhは最大充血状態における血流速度を表し、
は一つの心周期区域内における平均血流速度を表し、zの値の範囲は1~3の定数であり、xの値の範囲は50~300の定数であり、K=50とする。
【0028】
本出願は、血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得し、それからiFMRをKと比較し、調節パラメータを取得する。当該調節パラメータはiFMR値ごとに異なるため、個人差に応じて差別化パラメータを取得でき、血管計算パラメータの正確性に対して信頼性の高い基礎を提供できる。また、調節パラメータと最大充血状態における血流速度の積により補正後の最大充血状態における血流速度を取得できる。これにより、測定結果が、より狙い通りで、より個別差が明らかで、より正確なものになる。
【0029】
[実施例2]
本出願は以下のステップを含む微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法を提供する。
S100 血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得するステップ、
当該ステップにおいて、
1)図2に示されるように、二次元造影画像により血流速度を取得する時、血流速度vを取得する方法は以下のステップを含む。
S110 少なくとも一つの体位の冠状動脈二次元造影画像組を読み取るステップ、
S120 冠状動脈二次元造影画像組から、注目する血管段を取得するステップ、
当該ステップの具体的な方法は図3に示されるように、以下のステップを含む。
S121 冠状動脈二次元造影画像組からNフレーム冠状動脈二次元造影画像を選び取るステップ、
S122 冠状動脈二次元造影画像において、注目する血管の最初と最後の点をピックアップし、注目する血管段を取得するステップ、
S130 血管段の中心線を取得するステップ、
当該ステップの具体的方法は図4に示されるように以下のステップを含む。
S131 冠状動脈二次元造影画像から血管骨格を抽出するステップ、
S132 血管段の延在方向、および2点間の最短経路を取る原則に基づくステップ、
S133 血管骨格に沿って、血管段の中心線を取得するステップ、
S140 任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、分段中心線の差を計算し、その差の値をΔLとするステップ、
S150 ΔLとΔtの比に基づき、血流速度vを求めるステップ、
2)大動脈圧波形の取得方法は以下のステップを含む。
侵襲血圧センサ又は非侵襲血圧器によりリアルタイムの大動脈圧Paj(但しjは1以上の正整数である)を取得し、その後、時間に基づき大動脈圧波形を生成するステップ、
3)拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得するステップは以下のステップを含む。
S160 S150で解を求めて得られた血流速度vにおいて最大値である拡張期の最大血流速度vmaxを選び取るステップ、
S170 vmaxに対応する期間は拡張期であり、大動脈圧波形に基づき、大動脈拡張期の平均圧を取得するステップ、即ち、
である、
S180 計算式
に基づきiFMR値を取得するステップ、
但し、
は大動脈拡張期の平均圧を表し、Pa1、Pa2、Pajはそれぞれ大動脈圧波形上の拡張期内の第1の点、第2の点、第jの点に対応する大動脈圧力値を表し、jは拡張期内の大動脈圧波形上に含まれる圧力点の数を表し、vhは最大充血状態における血流速度を表し、全ての血流速度vから最大値を選び取ることにより取得され、好ましくは、本出願は再帰的アルゴリズムまたはバブルソートにより血流速度vの最大値を選び取り、k、cは影響パラメータk=1~3、c=0~10を表す、
S200 拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR<Kである場合、調節パラメータをr=1とし、且つ、拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR≧Kである場合、調節パラメータを
(但しKは100未満の正数であり、好ましくは、K=50とする)とするステップ。
【0030】
生理パラメータに基づき冠状動脈血管評定パラメータを取得する内容であれば、いずれも本出願の保護範囲内に入る。多くの実験により、高血圧の既往歴、糖尿病の既往歴および性別はいずれも冠状動脈血管評定パラメータ計算の正確性に影響があることが証明されている。したがって、本出願の一つの実施例において、S180における影響パラメータkは式計算によりk=a×bであり、但し、aは糖尿病特徴値を表し、bは高血圧特徴値を表し、cは性別を表す。患者に糖尿病がない場合、0.5≦a≦1とされ、好ましくは、a=1とされ、患者に糖尿病がある場合、1<a≦2とされ、好ましくは、a=2とされ、患者の血圧値が90mmHg以上である場合、1<b≦1.5とされ、好ましくは、b=1.5とされ、患者の血圧値が90mmHg未満である場合、0.5≦b≦1とされ、好ましくは、b=1とされ、患者が男性である場合、c=0とされ、患者が女性である場合、c=3~10とされ、好ましくは、c=5とされる。
【0031】
本出願の一つの実施例において、S140は二種類の取得方法を含み、方法(1)は図5に示されるように、以下のステップを含む。
S141I 造影剤が冠状動脈入口である血管段の最初の点まで流れた時の冠動脈造影画像を第1フレーム画像とし、造影剤が血管段の最後の点まで流れた時の冠動脈造影画像を第Nフレーム画像とするステップ、
S142I 第Nフレーム画像から第N-1フレーム、...、第N-bフレーム、...、第N-aフレーム、...、第1フレーム画像までの時間差及び中心線の長さの差を順に求め、時間差をそれぞれΔt1,..., Δtb,..., Δta,..., ΔtN-1とし、中心線の長さの差をそれぞれΔL1,..., ΔLb,..., ΔLa,..., ΔLN-1とするステップ、
S143I v=ΔL/Δtに基づき、但し、vは血流速度を表し、第Nフレーム画像から第N-1フレーム、...、第N-bフレーム、...、第N-aフレーム、...、第1フレーム画像までの血流速度をそれぞれ得て、血流速度はそれぞれv1,..., vb,..., va,..., vN-1とするステップ。
【0032】
本出願の一つの実施例において、S140は二種類の取得方法を含み、方法(2)は図6に示されるように、以下のステップを含む。
S141II 造影剤が冠状動脈入口である血管段の最初の点まで流れた時の冠動脈造影画像を第1フレーム画像とし、造影剤が血管段の最後の点まで流れた時の冠動脈造影画像を第Nフレーム画像とするステップ、
S142II 第Nフレームから第bフレームまで、第N-1フレームから第b-1フレームまで、...、第N-b-aフレームから第N-aフレームまで、...、第N-b+1から第1フレームの画像までの時間差及び中心線の長さの差を順に求めるステップ、
S143II v=ΔL/Δtに基づき、但し、vは血流速度を表し、第Nフレームから第bフレームまで、第N-1フレームから第b-1フレームまで、...、第N-b-aフレームから第N-aフレームまで、...、第N-b+1から第1フレーム画像までの血流速度vをそれぞれ得るステップ。
【0033】
[実施例3]
本出願の一つの実施例において、S100において三次元モデリングにより血流速度vを取得する方法は以下のステップを含む。
ステップA 少なくとも2つの体位の冠状動脈二次元造影画像組を読み取るステップ、
ステップB 冠状動脈二次元造影画像組から、注目する血管段を取得するステップ、
ステップC 血管段のジオメトリ構造情報を取得し、そして血管段の中心線を抽出するステップ、
ステップD 注目する血管段に対して図形処理を行うステップ、
ステップE 血管段の血管輪郭線を抽出するステップ、
ステップF 血管段のジオメトリ構造情報に基づき、少なくとも2つの体位の血管の中心線、輪郭線を抽出した冠状動脈二次元造影画像を三次元平面上に投影し、三次元血管モデルを合成するステップ、
ステップG 任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとし、且つ、三次元血管モデルに基づき、三次元血管モデルの中心線を取得し、冠状動脈二次元造影画像により抽出した中心線に対して補正を行い、且つ、補正後の分段中心線の差を計算し、その差の値をΔL'とし、且つ、ΔL'とΔtの比に基づき、血流速度vを求めるステップ、
但し、Δtは、Δt=m×fpsであり、各組の冠状動脈二次元造影画像組には連続再生される複数のフレーム冠状動脈二次元造影画像が含まれるため、mは各組の冠状動脈二次元造影画像組において、選び取った2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像が存在する所のフレーム数の差の値を表し、fpsは隣接する2つのフレーム画像の間で切り替わる間隔時間を表し、好ましくは、fps=1/15秒とされる。
【0034】
[実施例4]
本出願は上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法を含む生理パラメータに基づき最大充血状態における血流速度を取得する方法を提供する。
【0035】
式v'=rvhに基づき、
vhは、
であり、
rは、
であり、iFMRは、
であり
v'は生理パラメータにより調節された後の最大充血状態における血流速度を表し、vhは最大充血状態における血流速度を表し、
は一つの心周期区域内における平均血流速度を表し、zの値の範囲は1~3の定数であり、xの値の範囲は50~300の定数である。
【0036】
本出願の一つの実施例は、上記の生理パラメータに基づき最大充血状態における血流速度を取得する方法を含む生理パラメータに基づき冠状動脈血管評定パラメータを取得する方法を提供する。冠状動脈血管評定パラメータとしては、冠血流予備量比FFR、微小血管抵抗指数IMR、拡張期微小血管抵抗指数iFMR、瞬時血流予備量比iFR等を含む。
【0037】
[実施例5]
図7に示されるように、本出願は上記の微小血管抵抗指数に基づき調節パラメータを取得する方法に用いられる、以下の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置を提供する。
血流速度取得ユニット1、大動脈圧波形取得ユニット2、生理パラメータ取得ユニット3、拡張期の微小血管抵抗指数ユニット4及び調節パラメータユニット5を備え、
拡張期の微小血管抵抗指数ユニット4は血流速度取得ユニット1、大動脈圧波形取得ユニット2、生理パラメータ取得ユニット3に接続され、
血流速度取得ユニット1は、血流速度vを取得するためのものであり、
大動脈圧波形取得ユニット2は、時間に伴い変わる大動脈圧波形をリアルタイムに取得するためのものであり、
生理パラメータ取得ユニット3は、性別及び既往歴を含む患者の生理パラメータを取得するためのものであり、
拡張期の微小血管抵抗指数ユニット4は、血流速度取得ユニット1、大動脈圧波形取得ユニット2、生理パラメータ取得ユニット3が送信した血流速度v、大動脈圧波形、生理パラメータを受信し、それから血流速度v、 大動脈圧波形、生理パラメータに基づき、拡張期の微小血管抵抗指数iFMRを取得するためのものであり、
調節パラメータユニット5は、拡張期の微小血管抵抗指数ユニット4のiFMR値を受信し、拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR<Kである場合、調節パラメータをr=1とし、且つ、拡張期の微小血管抵抗指数がiFMR≧Kである場合、調節パラメータを
(但しKは100未満の正数である)とするためのものである。
図8に示されるように、本出願の一つの実施例において、さらに、前記調節パラメータユニット5に接続される補正流速ユニット14、前記補正流速ユニット14に接続される最大充血状態流速ユニット15を備え、前記最大充血状態流速ユニット15は、
に基づき、最大充血状態における血流速度を計算するためのものであり、但しvhは最大充血状態における血流速度を表し、
は一つの心周期区域内における平均血流速度を表し、zの値の範囲は1~3の定数であり、xの値の範囲は50~300の定数である。
【0038】
図8に示されるように、本出願の一つの実施例において、さらに、順に接続される画像読み取りユニット6、血管段抽出ユニット7、中心線抽出ユニット8、画像読み取りユニット6に接続される時間差ユニット9、生理パラメータ取得ユニット3、及び時間差ユニット9、中心線差ユニット10にそれぞれ接続される血流速度取得ユニット1を備え、
中心線差ユニット10は中心線抽出ユニット8に接続され、
画像読み取りユニット6は、少なくとも一つの体位の冠状動脈二次元造影画像組を読み取るためのものであり、
血管段抽出ユニット7は、画像読み取りユニット6が送信した冠状動脈二次元造影画像を受信し、画像中の注目する血管段を抽出するためのものであり、
中心線抽出ユニット8は、血管段抽出ユニット7が送信した血管段を受信し、血管段の中心線を取得するためのものであり、
時間差ユニット9は、画像読み取りユニット6が送信した任意の2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像を受信し、2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が血管段を流れた時間の差を計算し、その差の値をΔtとするものであり、
中心線差ユニット10は、中心線抽出ユニットが送信した2つのフレームの冠状動脈二次元造影画像において造影剤が血管段を流れた分段中心線を受信し、分段中心線の差を計算し、その差の値をΔLとするものであり、
血流速度取得ユニット1は、血流速度計算モジュール101、拡張期血流速度計算モジュール102を備え、
血流速度計算モジュール101は時間差ユニット9、中心線差ユニット10にそれぞれ接続され、
拡張期血流速度計算モジュール102は血流速度計算モジュール101に接続され、
血流速度計算モジュール101は、時間差ユニット9及び中心線差ユニット10が送信したΔLとΔtを受信し、とΔtの比に基づき、血流速度vを求めるためのものであり、
拡張期血流速度計算モジュール102は、血流速度計算モジュール101が送信した血流速度値を受信し、血流速度の最大値である拡張期の血流速度を選び取るためのものであり、
生理パラメータ取得ユニット3は、画像読み取りユニット1が送信した冠状動脈二次元造影画像を受信し、患者の生理パラメータ、画像撮影角度、結像距離等を取得し、生理パラメータ及び画像撮影角度、結像距離等を拡張期の微小血管抵抗指数ユニット4に伝達するためのものである。
【0039】
上記の結像距離は、2つの平面画像を三次元モデルに合成する時、実物から結像平面までの距離、画像撮影角度、および2つの二次元平面画像さえ分かれば、三次元結像原理により三次元モデルを生成できると理解できる。
【0040】
本出願の一つの実施例において、さらに、画像読み取りユニット6にそれぞれ接続される血管骨格抽出ユニット11、三次元血管再構成ユニット12、血管骨格抽出ユニット11に接続される輪郭線抽出ユニット13を備え、
三次元血管再構成ユニット12は生理パラメータ取得ユニット3、中心線抽出ユニット8、輪郭線抽出ユニット13に接続され、
血管骨格抽出ユニット11は、画像読み取りユニット6が送信した冠状動脈二次元造影画像を受信し、画像中の血管骨格を抽出するためのものであり、
輪郭線抽出ユニット13は、血管骨格抽出ユニット11の血管骨格を受信し、血管骨格に基づき、注目する血管段の輪郭線を抽出するためのものであり、
三次元血管再構成ユニット12は、輪郭線抽出ユニット13、生理パラメータ取得ユニット3、中心線抽出ユニット8が送信した輪郭線、画像撮影角度及び中心線を受信するため、且つ、画像読み取りユニット6が送信した冠状動脈二次元造影画像を受信するため、且つ、血管段のジオメトリ構造情報に基づき、少なくとも2つの体位の血管の中心線、輪郭線を抽出した冠状動脈二次元造影画像を三次元平面上に投影し、三次元血管モデルを合成するためのものであり、
中心線抽出ユニット8は、三次元血管再構成ユニット12の三次元血管モデルから新たに血管段の中心線を抽出し、且つ新たに中心線の長さを取得するためのものである。
【0041】
本出願は上記のいずれか的微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する装置を含む冠状動脈分析システムを提供する。
【0042】
本出願はコンピュータプログラムがプロセッサにより実行される時に上記の微小血管抵抗指数に基づき最大充血状態における血流速度を調節する方法を実現するコンピュータ記憶媒体を提供する。
【0043】
当業者の認識として、本発明の各々の態様はシステム、方法又はコンピュータプログラム製品として実現することができる。したがって、本発明の各々の態様は具体的に以下の形式として実現できる。即ち、完全なハードウエア実施形態、完全なソフトウエア実施形態(ファームウエア、常駐ソフトウエア、マイクロコード等を含む)、 又はハードウエア及びソフトウエアの態様を組み合わせた実施形態、ここでは総じて“回路”、“モジュール”又は“システム”と称することができる。この他、一部の実施例において、本発明の各々の態様はさらに一つの又は複数のコンピュータ読み取り可能な媒体におけるコンピュータプログラム製品の形式として実現することができ、当該コンピュータ読み取り可能な媒体にはコンピュータ読み取り可能なプログラムコードが含まれる。本発明の実施例の方法及び/又はシステムの実施形態は手動的、自動的又はその組み合わせ方式により選択されたタスクを実行又は完成させることに関することができる。
【0044】
例えば、本発明の実施例に基づき選択されるタスクを実行するためのハードウエアをチップ又は回路として実現することができる。ソフトウエアとして、発明の実施例に基づき選択されるタスクを、コンピュータが如何なる適切な操作システムを使用することにより実行する複数のソフトウエアコマンドとして実現できる。本発明の例示的な実施例において、本明細書の方法及び/又はシステムの例示的な実施例に基づく一つの又は複数のタスクをデータプロセッサにより実行できる。例えば、複数のコマンドを実行するための計算プラットフォーム。任意選択的に、当該データプロセッサはコマンド及び/又はデータを記憶するための揮発性メモリ及び/又はコマンド及び/又はデータを記憶するための不揮発性メモリを含む。例えば、磁気ハードディスク及び/又はリムーバブル媒体。任意選択的に、ネットワーク接続も提供する。任意選択的に、ディスプレイ及び/又は例えばキーボードやマウスなどのユーザ入力機器も提供する。
【0045】
一つの又は複数のコンピュータ読み取り可能な如何なる組み合わせも利用できる。コンピュータ読み取り可能な媒体はコンピュータ読み取り可能な信号媒体又はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とすることができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば電気、磁気、光、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置又はデバイス、若しくは任意の以上の組み合わせとすることができるが、これらに限られない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の更なる具体的な例(全てを挙げるものではない)は以下を含む。
【0046】
一つの又は複数の導線を有する電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、書き換え可能なリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、若しくは上記の任意の適切な組み合わせ。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体はプログラムを含む又は記憶する如何なる有形媒体とすることができ、当該プログラムはコマンド実行システム、装置又はデバイスにより使用される若しくはこれらと組み合わせて使用することができる。
【0047】
コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、ベースバンドに含まれる若しくは搬送波の一部として伝播できるデータ信号とすることができ、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを搭載できる。このように伝播されるデータ信号は複数の形式を採用でき、電磁信号、光信号又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限られない。コンピュータ読み取り可能な信号媒体はさらに、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の如何なるコンピュータ読み取り可能な媒体とすることができ、当該コンピュータ読み取り可能な媒体は、コマンド実行システム、装置又はデバイスにより使用される若しくはこれらと組み合わせて使用するプログラムを送信、伝播又は伝送できる。
【0048】
コンピュータ読み取り可能な媒体に含まれるプログラムコードは如何なる適切な媒体を用いて伝送することができ、無線、有線、光ケーブル、RF等、若しくは上記の任意の適切な組み合わせが含まれる(但しこれらに含まれない)。
【0049】
例えば、一つの又は複数のプログラミング言語の如何なる組み合わせでも本発明の各態様に用いられる操作を実行するためのコンピュータプログラムコードをプログラミングすることができ、例えばJava、Smalltalk、C++等のターゲット型プログラミング言語と通常プロセスのプログラミング言語、例えば"C"プログラミング言語又は類似したプログラミング言語を含む。プログラムコードは完全にユーザコンピュータ上で実行することも、一部をユーザコンピュータ上で実行することもでき、一つの独立したソフトウェアパッケージとして実行することも、一部をユーザコンピュータ上で、一部をリモートコンピュータ上で実行することもでき、若しくは完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行することもできる。リモートコンピュータにかかる場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークによりユーザコンピュータに接続でき、若しくは、外部コンピュータに接続できる(例えばインターネットサービスプロバイダーによりインターネットを通じで接続する)。
【0050】
フローチャート及び/又はブロック図の各ブロック及びフローチャート及び/又はブロック図中の各ブロックの組み合わせは、いずれもコンピュータプログラムコマンドにより実現できると理解されるべきである。これらコンピュータプログラムコマンドは汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供され、一つの機器として生産することができ、これにより、これらコンピュータプログラムコマンドはコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサの実行時に、フローチャート及び/又はブロック図中の一つの又は複数のブロック中で規定される機能/動作を実現できる装置とすることができる。
【0051】
これらコンピュータプログラムコマンドは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶することもでき、これらコマンドは、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他の設備を特定な方式で作動させ、そして、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されたコマンドはフローチャート及び/又はブロック図中の一つの又は複数のブロック中で規定される機能/動作を実現できるコマンドを含む製品(article of manufacture)とすることができる。
【0052】
さらに、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理設備又は他の設備で一連の操作ステップを実行させるように、コンピュータ(例えば、冠状動脈分析システム)又は他のプログラム可能なデータ処理設備にコンピュータプログラムコマンドをロードすることができ、これにより、コンピュータ、他のプログラム可能な装置又は他の設備で実行されるコマンドが、フローチャート及び/又は一つの又は複数のブロック図のブロック中で指定される機能/動作を実現するためのプロセスを提供するように、コンピュータが実行するプロセスを生成することができる。
【0053】
本発明の以上の具体的な実例により、本発明の目的、技術方案及び有益な效果について、より詳細に説明した。以上は本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明を限定するために用いられるものではなく、本発明の思想及び原則を逸脱しない限り、行われる如何なる修正、均等差し替え、改良なども、全て本発明の保護範囲に包含されると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0054】
血流速度取得ユニット1
血流速度計算モジュール101
拡張期血流速度計算モジュール102
大動脈圧波形取得ユニット2
生理パラメータ取得ユニット3
拡張期の微小血管抵抗指数ユニット4
調節パラメータユニット5
画像読み取りユニット6
血管段抽出ユニット7
中心線抽出ユニット8
時間差ユニット9
中心線差ユニット10
血管骨格抽出ユニット11
三次元血管再構成ユニット12
輪郭線抽出ユニット13
補正流速ユニット14
最大充血状態流速ユニット15
図1
図2
図3
図4
図5
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図8