(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】架台及び積載方法
(51)【国際特許分類】
F16M 3/00 20060101AFI20231115BHJP
F16M 13/02 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F16M3/00 M
F16M3/00 F
F16M13/02 B
(21)【出願番号】P 2023149488
(22)【出願日】2023-09-14
【審査請求日】2023-10-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523186438
【氏名又は名称】株式会社菊池空調
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】菊池 出
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-39500(JP,A)
【文献】特開2011-99495(JP,A)
【文献】特開2017-146064(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0017295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 3/00
F16M 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1切り欠き部を有し水平方向に平行な第1面と、第2切り欠き部を有し前記水平方向に平行な第2面と、を有し、前記第1面及び前記第2面が突出するように設けられた第1側面と、第3切り欠き部を有し前記水平方向に平行な第3面と、第4切り欠き部を有し前記水平方向に平行な第4面と、を有し、前記第3面及び前記第4面が突出するように設けられた第2側面と、備え、上下方向において前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面が略同じ高さに設けられ、前記第1切り欠き部、前記第2切り欠き部、前記第3切り欠き部及び前記第4切り欠き部をそれぞれ吊りボルトによって締結することで天井に設置される設備機器を積載する架台であって、
前記水平方向に対して略垂直な第1支柱と、前記水平方向に対して略垂直な第2支柱と、前記上下方向における前記第1支柱の下端と前記第2支柱の下端とを接続する第1梁と、を有する第1枠部と、
前記水平方向に対して略垂直な第3支柱と、前記水平方向に対して略垂直な第4支柱と、前記上下方向における前記第3支柱の下端と前記第4支柱の下端とを接続する第2梁と、を有する第2枠部と、
前記上下方向における前記第1支柱の下端と前記第3支柱の下端とを接続する第3梁と、
前記上下方向における前記第2支柱の下端と前記第4支柱の下端とを接続する第4梁と、
を備え、
前記第1支柱は、前記水平方向に平行な第5面と、前記第5面に設けられ前記設備機器を締結するための第1締結部材と、を有し、前記第5面が前記第2枠部に向かって突出する第1固定部材を有し、
前記第2支柱は、前記水平方向に平行な第6面と、前記第6面に設けられ前記設備機器を締結するための第2締結部材と、を有し、前記第6面が前記第2枠部に向かって突出する第2固定部材を有し、
前記第3支柱は、前記水平方向に平行な第7面と、前記第7面に設けられ前記設備機器を締結するための第3締結部材と、を有し、前記第7面が前記第1枠部に向かって突出する第3固定部材を有し、
前記第4支柱は、前記水平方向に平行な第8面と、前記第8面に設けられ前記設備機器を締結するための第4締結部材と、を有し、前記第8面が前記第1枠部に向かって突出する第4固定部材を有し、
前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材は、前記上下方向における高さが略等しく、
前記第1締結部材は、前記第1切り欠き部に嵌合して前記第1面と前記第5面とを締結し、
前記第2締結部材は、前記第2切り欠き部に嵌合して前記第2面と前記第6面とを締結し、
前記第3締結部材は、前記第3切り欠き部に嵌合して前記第3面と前記第7面とを締結し、
前記第4締結部材は、前記第4切り欠き部に嵌合して前記第4面と前記第8面とを締結する、架台。
【請求項2】
前記第1支柱と前記第1梁と前記第2支柱は、一体に形成され、
前記第3支柱と前記第2梁と前記第4支柱は、一体に形成される、請求項1に記載の架台。
【請求項3】
前記設備機器は、前記架台に積載される際に、前記上下方向において前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材よりも上方で、かつ、水平方向において前記第1枠部と前記第2枠部との間に挿入される、請求項1に記載の架台。
【請求項4】
前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材を固定部材群としたとき、
前記上下方向に所定間隔で複数の前記固定部材群を備え、
それぞれの前記固定部材群に設備機器がそれぞれ固定され、
前記所定間隔は、第1固定部材群に固定された第1設備機器と、前記上下方向において前記第1固定部材群の上にある第2固定部材群に固定された第2設備機器とが、前記架台の停止中及び移動中に接触しない間隔である、請求項1に記載の架台。
【請求項5】
前記第5面の突出する方向の長さは、前記第1面の突出する方向の長さよりも長く、
前記第6面の突出する方向の長さは、前記第2面の突出する方向の長さよりも長く、
前記第7面の突出する方向の長さは、前記第3面の突出する方向の長さよりも長く、
前記第8面の突出する方向の長さは、前記第4面の突出する方向の長さよりも長い、請求項1に記載の架台。
【請求項6】
前記第1枠部は、前記上下方向において前記第1梁よりも上方に前記第1支柱と前記第2支柱とを接続する第5梁を有し、
前記第2枠部は、前記上下方向において前記第2梁よりも上方に前記第3支柱と前記第4支柱とを接続する第6梁を有する、請求項1に記載の架台。
【請求項7】
第1被締結部を少なくとも1つ有し、前記第1被締結部が突出するように設けられた第1側面と、第2被締結部を少なくとも1つ有し、前記第2被締結部が突出するように設けられた第2側面と、備え、上下方向において前記第1被締結部及び前記第2被締結部が略同じ高さに設けられ、前記第1被締結部及び前記第2被締結部をそれぞれ吊りボルトによって締結することで天井に設置される設備機器を積載する架台であって、
前記設備機器が前記架台に乗せられた状態で前記第1被締結部に嵌合する第1締結部材を有する第1固定部材と、
前記設備機器が前記架台に乗せられた状態で前記第2被締結部に嵌合する第2締結部材を有する第2固定部材と、
前記第1固定部材が設けられ、水平方向に対して略垂直な第1支柱と、
前記第2固定部材が設けられ、前記水平方向に対して略垂直な第2支柱と、
を備え、
前記第1固定部材は、前記第2支柱に向かって突出するように設けられ、
前記第2固定部材は、前記第1支柱に向かって突出するように設けられる、架台。
【請求項8】
請求項1に記載の架台に前記設備機器を積載する積載方法であって、
前記第1枠部、前記第2枠部、前記第1梁、前記第2梁、前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材を前記架台として組み立てる第1工程と、
前記上下方向において前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材よりも上方で、かつ、前記第1枠部と前記第2枠部との間に前記設備機器を挿入する第2工程と、
前記第1切り欠き部に前記第1締結部材を嵌合させ、前記第2切り欠き部に前記第2締結部材を嵌合させ、前記第3切り欠き部に前記第3締結部材を嵌合させ、前記第4切り欠き部に前記第4締結部材を嵌合させる第3工程と、
前記第1締結部材により前記第1面と前記第5面とを締結し、前記第2締結部材により前記第2面と前記第6面とを締結し、前記第3締結部材により前記第3面と前記第7面とを締結し、前記第4締結部材により前記第4面と前記第8面とを締結する第4工程と、
を備え、
前記設備機器を前記架台に固定させて積載する、積載方法。
【請求項9】
前記架台に固定された前記設備機器を第1設備機器とし、前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材を第1固定部材群としたとき、
前記上下方向において前記第1設備機器よりも上方に第2固定部材群を取り付ける第5工程と、
前記第2固定部材群よりも上方で、かつ、前記第1枠部と前記第2枠部との間に第2設備機器を挿入する第6工程と、
前記第2設備機器の第1切り欠き部に前記第2固定部材群の第1締結部材を嵌合させ、前記第2設備機器の第2切り欠き部に前記第2固定部材群の第2締結部材を嵌合させ、前記第2設備機器の第3切り欠き部に前記第2固定部材群の第3締結部材を嵌合させ、前記第2設備機器の第4切り欠き部に前記第2固定部材群の第4締結部材を嵌合させる第7工程と、
前記第2固定部材群の第1締結部材により前記第2固定部材群の第5面と前記第2設備機器の第1面とを締結し、前記第2固定部材群の第2締結部材により前記第2固定部材群の第6面と前記第2設備機器の第2面とを締結し、前記第2固定部材群の第3締結部材により前記第2固定部材群の第7面と前記第2設備機器の第3面とを締結し、前記第2固定部材群の第4締結部材により前記第2固定部材群の第8面と前記第2設備機器の第4面とを締結する第8工程と、
を備える、請求項8に記載の積載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台及び積載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機器等を含む設備機器は、設備機器を構成する各部材がそれぞれ梱包された状態で、設備機器が取り付けられる建物に搬入されている。設備機器を取り付ける作業者は、建物に搬入された各部材を開梱し、建物内で各部材を組み立てて設備機器を完成させ、その後、例えば天井等の設置場所に設備機器を取り付けている。
【0003】
また、例えば特許文献1には、空調用の冷媒配管用ダクトを工場で仮設し、保持部を有する架台に乗せて建築物の屋上まで運搬することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のように、建物内で開梱を行う場合、梱包に用いられた段ボール箱等の梱包容器が廃棄物として発生してしまう。また、建物で設備機器の組み立てを行うため、組み立てのための工数や時間も要している。これに対し、開梱及び組み立てを工場で行うことで建物での廃棄物を減らし、組み立てのための工数や時間を軽減することは可能である。しかし、工場で開梱し、設備機器の組み立てを完成させた後で、完成した設備機器を建物に運搬する場合には、完成品としての設備機器に傷が付かないよう、また、運搬途中で荷崩れ等の不具合が発生しないよう、安全面に配慮する必要がある。
【0006】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、現場での開梱と設備機器の組み立てに要する工数や時間を削減するとともに設備機器を建物まで運搬する際の安全性を向上させることができる架台及び積載方法を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の例示的側面としての架台は、以下の構成を有する。
【0008】
第1切り欠き部を有し水平方向に平行な第1面と、第2切り欠き部を有し前記水平方向に平行な第2面と、を有し、前記第1面及び前記第2面が突出するように設けられた第1側面と、第3切り欠き部を有し前記水平方向に平行な第3面と、第4切り欠き部を有し前記水平方向に平行な第4面と、を有し、前記第3面及び前記第4面が突出するように設けられた第2側面と、備え、上下方向において前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面が略同じ高さに設けられ、前記第1切り欠き部、前記第2切り欠き部、前記第3切り欠き部及び前記第4切り欠き部をそれぞれ吊りボルトによって締結することで天井に設置される設備機器を積載する架台であって、
前記水平方向に対して略垂直な第1支柱と、前記水平方向に対して略垂直な第2支柱と、前記上下方向における前記第1支柱の下端と前記第2支柱の下端とを接続する第1梁と、を有する第1枠部と、
前記水平方向に対して略垂直な第3支柱と、前記水平方向に対して略垂直な第4支柱と、前記上下方向における前記第3支柱の下端と前記第4支柱の下端とを接続する第2梁と、を有する第2枠部と、
前記上下方向における前記第1支柱の下端と前記第3支柱の下端とを接続する第3梁と、
前記上下方向における前記第2支柱の下端と前記第4支柱の下端とを接続する第4梁と、
を備え、
前記第1支柱は、前記水平方向に平行な第5面と、前記第5面に設けられ前記設備機器を締結するための第1締結部材と、を有し、前記第5面が前記第2枠部に向かって突出する第1固定部材を有し、
前記第2支柱は、前記水平方向に平行な第6面と、前記第6面に設けられ前記設備機器を締結するための第2締結部材と、を有し、前記第6面が前記第2枠部に向かって突出する第2固定部材を有し、
前記第3支柱は、前記水平方向に平行な第7面と、前記第7面に設けられ前記設備機器を締結するための第3締結部材と、を有し、前記第7面が前記第1枠部に向かって突出する第3固定部材を有し、
前記第4支柱は、前記水平方向に平行な第8面と、前記第8面に設けられ前記設備機器を締結するための第4締結部材と、を有し、前記第8面が前記第1枠部に向かって突出する第4固定部材を有し、
前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材は、前記上下方向における高さが略等しく、
前記第1締結部材は、前記第1切り欠き部に嵌合して前記第1面と前記第5面とを締結し、
前記第2締結部材は、前記第2切り欠き部に嵌合して前記第2面と前記第6面とを締結し、
前記第3締結部材は、前記第3切り欠き部に嵌合して前記第3面と前記第7面とを締結し、
前記第4締結部材は、前記第4切り欠き部に嵌合して前記第4面と前記第8面とを締結する、架台。
【0009】
また、本発明の他の例示的側面としての架台は、以下の構成を有する。
【0010】
第1被締結部を少なくとも1つ有し、前記第1被締結部が突出するように設けられた第1側面と、第2被締結部を少なくとも1つ有し、前記第2被締結部が突出するように設けられた第2側面と、備え、上下方向において前記第1被締結部及び前記第2被締結部が略同じ高さに設けられ、前記第1被締結部及び前記第2被締結部をそれぞれ吊りボルトによって締結することで天井に設置される設備機器を積載する架台であって、
前記設備機器が前記架台に乗せられた状態で前記第1被締結部に嵌合する第1締結部材を有する第1固定部材と、
前記設備機器が前記架台に乗せられた状態で前記第2被締結部に嵌合する第2締結部材を有する第2固定部材と、
前記第1固定部材が設けられ、水平方向に対して略垂直な第1支柱と、
前記第2固定部材が設けられ、前記水平方向に対して略垂直な第2支柱と、
を備え、
前記第1固定部材は、前記第2支柱に向かって突出するように設けられ、
前記第2固定部材は、前記第1支柱に向かって突出するように設けられる、架台。
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明の例示的側面としての積載方法は、以下の構成を有する。
【0012】
上述の架台に前記設備機器を積載する積載方法であって、
前記第1枠部、前記第2枠部、前記第1梁、前記第2梁、前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材を前記架台として組み立てる第1工程と、
前記上下方向において前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材よりも上方で、かつ、前記第1枠部と前記第2枠部との間に前記設備機器を挿入する第2工程と、
前記第1切り欠き部に前記第1締結部材を嵌合させ、前記第2切り欠き部に前記第2締結部材を嵌合させ、前記第3切り欠き部に前記第3締結部材を嵌合させ、前記第4切り欠き部に前記第4締結部材を嵌合させる第3工程と、
前記第1締結部材により前記第1面と前記第5面とを締結し、前記第2締結部材により前記第2面と前記第6面とを締結し、前記第3締結部材により前記第3面と前記第7面とを締結し、前記第4締結部材により前記第4面と前記第8面とを締結する第4工程と、
を備え、
前記設備機器を前記架台に固定させて積載する、積載方法。
【0013】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現場での開梱と設備機器の組み立てに要する工数や時間を削減するとともに設備機器を建物まで運搬する際の安全性を向上させることができる架台及び積載方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1、2の空調機を示す図であり、(a)空調機の上面図、(b)空調機の側面図、(c)天井に取り付けられた状態の空調機を示す側面図
【
図2】実施形態1の(a)架台の要部概略斜視図、(b)固定部材部分の拡大図
【
図3】実施形態1の固定部材を示す図であり、(a)固定部材の上面図、(b)固定部材の側面図、(c)(a)のA-A矢視断面図
【
図4】実施形態1の架台を台車に取り付けた状態を示す図であり、(a)フレーム210側から見た図、(b)梁230b側から見た図
【
図5】実施形態1の架台に空調機が位置決めされて乗った状態を示す図であり、(a)締結部材が切り欠き部に嵌合した状態を示す図、(b)平面部141と平面部241とが締結部材により締結された状態を示す斜視図
【
図6】実施形態1の(a)3台の空調機を積載し固定した架台を示す図、(b)貨物車両に架台を積載した様子を示す図、(c)建物の天井に空調機を取り付ける様子を示す図
【
図7】(a)実施形態1の変形例を示す図、(b)実施形態2の変形例1を示す図、(c)実施形態2の変形例2を示す図、(d)実施形態2の変形例3を示す図
【
図8】実施形態2の(a)(b)変形例4を示す図、(c)変形例5を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明において、設備機器には、機械設備や電気設備機器等が含まれ、例えば、天井に吊り下げた状態で取り付けられる空調機等も含まれる。建物には、住宅やビル等が含まれる。設備機器が取り付けられる建物を現場ともいう。また、工場や建物の天井や床面は水平方向に平行であるものとする。なお、実施形態で参照する図面において、各構成物の大きさの比率や相対的な距離等は必ずしも現実の大きさの比率や相対的な距離等を表しておらず模式的に表している。
【0017】
<設備機器の例:天井埋込型の空調機>
図1は、設備機器としての天井埋込型の空調機100を説明する図である。
図1(a)は空調機100の上面図、(b)は側面図、(c)は天井10に取り付けられた状態の空調機100を示す側面図である。なお、空調機100の長手方向をx方向、上下方向をz方向、x方向及びz方向に直交する方向をy方向とする。水平方向には、x方向及びy方向が含まれる。なお、
図1のx方向、y方向及びz方向に整合するように、
図2以降にも各方向を示す。
【0018】
空調機100は、例えば天井埋込型の空調機である。空調機100は、本体110、吸気チャンバー120、排気チャンバー130を備えている。なお、空調機100は、他の構成部品を備えていてもよい。
【0019】
本体110は、現場の天井10に対向する面である上面100c、上面100cに対向する面である下面100d、上面100c及び下面100dに交差する側面100a、側面100aに対向する側面100b、を有している。下面100dは床面に対向する面でもある。ここで、側面100aは第1側面に相当し、側面100bは第2側面に相当する。本体110は、吊りボルト180を通しナット・ワッシャー190で締結するための取り付け部140を有している。側面100aには、取り付け部140a、140bが設けられ、側面100bには、取り付け部140c、140dが設けられている。取り付け部140a、140bは、
図1(a)に示す矢印y01の向きに側面100aから突出している。矢印y01は、取り付け部140a、140bが突出する方向である。取り付け部140c、140dは、
図1(a)に示す矢印y02の向きに側面100bから突出している。矢印y02は、取り付け部140c、140dが突出する方向である。
【0020】
取り付け部140(140a~140d)は、空調機100が天井10に設置された状態で水平方向に略平行となる平面部141(141a~141d)を有している。ここで、平面部141aは第1面に相当し、平面部141bは第2面に相当し、平面部141cは第3面に相当し、平面部141dは第4面に相当する。平面部141(140a~140d)は切り欠き部142(142a~142d)を有している。ここで、切り欠き部142aは第1切り欠き部に相当し、切り欠き部142bは第2切り欠き部に相当し、切り欠き部142cは第3切り欠き部に相当し、切り欠き部142dは第4切り欠き部に相当する。切り欠き部142は、空調機100を天井10に取り付ける際に吊りボルト180及びナット・ワッシャー190と嵌合する部分である。
【0021】
図1(a)に示すように、取り付け部140aと取り付け部140cは、吸気チャンバー120寄り、かつ、x方向における略同じ位置に設けられている(破線参照)。取り付け部140bと取り付け部140dは、排気チャンバー130寄り、かつ、x方向における略同じ位置に設けられている(破線参照)。
【0022】
図1(b)に示すように、取り付け部140aと取り付け部140bは、下面100d寄り、かつ、z方向において略同じ位置(高さ)に設けられている(破線参照)。取り付け部140cと取り付け部140dも、下面100d寄り、かつ、z方向において略同じ位置(高さ)に設けられている。これにより、空調機100は、吊りボルト180及びナット・ワッシャー190によって天井10に吊り下げられたときに、安定して水平状態を保つことができる。なお、取り付け部140は、上面100c寄りに取り付けられていてもよいし、z方向において側面100a、100bの略中央の高さに取り付けられていてもよい。
【0023】
取り付け部140aの切り欠き部142aのx方向における中央と、取り付け部140bの切り欠き部142bのx方向における中央と、の距離を、距離L1とする。距離L1は、取り付け部140cの切り欠き部142cのx方向における中央と、取り付け部140dの切り欠き部142dのx方向における中央と、の距離でもある。
【0024】
取り付け部140aの切り欠き部142aの最も深い部分と、取り付け部140cの切り欠き部142cの最も深い部分と、の距離を、距離L2とする。距離L2は、取り付け部140bの切り欠き部142bの最も深い部分と、取り付け部140dの切り欠き部142dの最も深い部分と、の距離でもある。なお、切り欠き部142の最も深い部分とは、それぞれ側面100a、100bに最も近い部分でもある。
【0025】
一般的に、本体110、吸気チャンバー120、排気チャンバー130は、それぞれ段ボール箱等の梱包容器(不図示)にそれぞれ梱包されている。一般的に、空調機100は、各部が梱包された状態で工場等からビル等の現場に搬入される。作業者は、現場において、それぞれの梱包を解き(開梱し)空調機100を組み立てる。すなわち、本体110、吸気チャンバー120、排気チャンバー130がそれぞれ別々に梱包容器に梱包された状態で運搬されるため、これらの部品が安全に運搬される反面、開梱後の梱包容器は現場で廃棄物となってしまう。また、現場での開梱、組み立て等の工数や時間も必要となっている。
【0026】
[実施形態1]
<架台>
図2を用いて実施形態1の架台200を説明する。
図2(a)は架台200の要部概略斜視図、
図2(b)は固定部材240部分の拡大図である。架台200は、フレーム210、220、梁230a、230b、固定部材240を有している。
【0027】
図2(a)に示すように、フレーム210は、支柱211、梁213、支柱215を有している。支柱211と支柱215は水平方向に略直交している。梁213は、支柱211の上下方向における下端である角部212と、支柱215の上下方向における下端である角部214と、を接続している。実施形態1では、支柱211、梁213、支柱215は一体に形成されることでフレーム210を形成しており、角部212及び角部214で屈曲し、コの字形状を形成している。ここで、支柱211は第1支柱に相当し、支柱215は第2支柱に相当し、第1梁は梁213に相当し、フレーム210は第1枠部に相当する。
【0028】
また、フレーム220は、支柱221、梁223、支柱225を有している。支柱221と支柱225は水平方向に略直交している。梁223は、支柱221の上下方向における下端である角部222と、支柱225の上下方向における下端である角部224と、を接続している。実施形態1では、支柱221、梁223、支柱225も一体に形成されることでフレーム220を形成しており、角部222及び角部224で屈曲し、コの字形状を形成している。ここで、支柱221は第3支柱に相当し、支柱225は第4支柱に相当し、梁223は第2梁に相当し、第2枠部はフレーム220に相当する。
【0029】
フレーム210、220は、コの字の開放側が上になるように設置される。また、フレーム210とフレーム220とは互いに対向するように設置される。フレーム210とフレーム220とは、フレーム210の角部212とフレーム220の角部222とが梁230aによって接続され、フレーム210の角部214とフレーム220の角部224とが梁230bによって接続される。より具体的には、梁230aは、支柱211の上下方向における下端である角部212と、支柱215の上下方向における下端である角部214と、を接続している。梁230bは、支柱215の上下方向における下端である角部214と、支柱225の上下方向における下端である角部224と、を接続している。梁320aは第3梁に相当し、梁320bは第4梁に相当する。
【0030】
フレーム210、220、梁230a、230bの接続は、例えばボルトやナット、ネジ等により締結され接続されてよい。この場合、フレーム210、220、梁230a、230bには、ボルトやネジ等を貫通させるための孔が適宜設けられていてよい。また、ボルトとナットの嵌合時にはワッシャー等を用いてよい。また、架台200を組み立てた後に、分解する必要がない部分がある場合には、分解する必要がない部分を溶接等により接続してもよい。
【0031】
なお、フレーム210は、実施形態1のように一体としてコの字形状を形成していなくてもよく、支柱211、215、梁213が別体であり、締結部材等で締結されることでコの字形状を形成するようにしてもよい。フレーム220についても同様である。
【0032】
架台200は、一般形鋼材、アルミ鋼材等の材質のものであってよい。架台200は、耐久性の高い材質のものが好ましく、例えばステンレス製やスチール製が好ましい。また、軽量な設備機器を支える場合には、例えばアルミニウム製であってもよい。さらに、積載する設備機器によっては、架台200の材質は、木材、樹脂、プラスチック等の他の素材であってもよい。
【0033】
フレーム210、220や梁230a、230bの形状は、丸・角パイプ、等辺・不等辺アングル形状(断面L形状)、チャンネル・不等辺チャンネル形状(断面C形状)、断面I形状、断面H形状、丸・各棒等であってよい。
【0034】
架台200は、角部212、214、222、224よりも上方に、それぞれ固定部材240を有している。角部212のz方向における上方に固定部材240aが、角部214のz方向における上方に固定部材240bが、角部222のz方向における上方に固定部材240cが、角部224のz方向における上方に固定部材240dが、それぞれ設けられている。4つの固定部材240は、z方向の高さが略同じになるように、言い換えれば、同一の水平面内となるように、フレーム210、220に設けられている。
【0035】
また、フレーム210に取り付けられた固定部材240a、240bは、フレーム210に対向するフレーム220に向かって、矢印y1の向きに突出するように取り付けられる。矢印y1は、固定部材240a、240bが突出する方向である。一方、フレーム220に取り付けられた固定部材240c、240dは、フレーム220に対向するフレーム210に向かって、矢印y2の向きに突出するように取り付けられる。矢印y2は、固定部材240c、240dが突出する方向である。なお、固定部材240aは第1固定部材に相当し、固定部材240bは第2固定部材に相当し、固定部材240cは第3固定部材に相当し、固定部材240dは第4固定部材に相当する。
【0036】
<固定部材>
図2(b)は、
図2(a)の固定部材240b部分を上方から見た斜視図である。実施形態1では、フレーム210、220、梁230a、230b、固定部材240は、いずれも断面L字形状のアングルを用いている。また、
図3は固定部材240の構成を示す図であり、(a)は固定部材240の上面図、(b)は固定部材240の側面図、(c)は(a)のA-A矢視断面図である。
【0037】
固定部材240は、平面部241、平面部244、締結部材246、後述する締結部材400(
図5(b)参照)を有している。平面部241は、固定部材240が架台200に取り付けられた状態で、水平方向に略平行となる部分である。平面部241は、締結部材246が取り付けられる孔242を有している。なお、固定部材240aの平面部241は第5面に相当し、固定部材240bの平面部241は第6面に相当し、固定部材240cの平面部241は第7面に相当し、固定部材240dの平面部241は第8面に相当する。また、固定部材240aの締結部材246は第1締結部材に相当し、固定部材240bの締結部材246は第2締結部材に相当し、固定部材240cの締結部材246は第3締結部材に相当し、固定部材240dの締結部材246は第4締結部材に相当する。
【0038】
平面部244は、平面部241から連続し、角部243において平面部241に対して略直角に曲がった部分であり(
図3(c)参照)、固定部材240が架台200に取り付けられた状態で、平面部241よりも下方に突出している部分である。平面部244は、固定部材240をフレーム210、220に取り付ける際にボルトやナット等の締結部材250(
図4(b)参照)が貫通する孔245を有している。なお、フレーム210、220には孔245に対応する位置に締結部材250が貫通する孔260(
図4(b)参照)が設けられている。
【0039】
締結部材246は、例えばボルト246aとナット246bである。ボルト246aは、平面部241の孔242に、平面部241の下面側から上方に向かって挿入され、頭部246a1を下に、ネジ部246a2を上にした状態で、固定部材240に締結される。
図2(b)に示すように、締結部材246のネジ部246a2は露出した状態となる。すなわち、固定部材240の平面部241は、ボルト246aの頭部246a1とナット246bとで挟まれた状態となる。
【0040】
なお、
図2(b)は固定部材240の中でも固定部材240b(又は固定部材240c)を示したものである。固定部材240a、240dは、締結部材246及び孔245の配置が
図3(b)においてy方向で線対称となり、平面部244の位置が
図3(c)においてはx方向で線対称となる。平面部244はフレーム210、220の取り付けられる場所に応じて平面部241の短手方向における一方の端部から屈曲すればよい。
【0041】
<寸法について>
固定部材240aの締結部材246と、固定部材240bの締結部材246とのx方向における距離(以下、距離L3という。)は、
図1(a)に示す空調機100の距離L1に相当する(L3≒L1)。距離L3は、固定部材240cの締結部材246と、固定部材240dの締結部材246とのx方向における距離でもある。
【0042】
固定部材240aの締結部材246と、固定部材240cの締結部材246とのy方向における距離(以下、距離L4という。)は、
図1(a)に示す空調機100の距離L2に相当する(L4≒L2)。距離L4は、固定部材240bの締結部材246と、固定部材240dの締結部材246とのy方向における距離でもある。
【0043】
なお、y方向においては、空調機100の切り欠き部142に切り欠きの深さ程度のマージンがあるため、厳密に距離L2と距離L4とが同じである必要はない。また、x方向についても、厳密に距離L1と距離L3とが同じである必要はない。これは、次の理由による。フレーム210、220は、開放部が上を向いたコの字形状の枠体であって面ではない。このため、締結部材246による締結によって、支柱211と支柱215(又は支柱221と支柱225)が平行ではない状態にある程度は変形することも可能であるからである。
【0044】
さらに、高さ方向についても、4つの固定部材240が厳密に同一水平面内にある必要はない。これは、締結部材246にワッシャー等の高さを調整する部材を取り付けて各固定部材240で高さを調整したり、締結部材400の締結時における位置で高さを調整したりできるからである。
【0045】
<台車への取り付け>
図4は架台200を台車300に取り付けた状態を示す図であり、(a)はフレーム210側から見た図、(b)は梁230b側から見た図である。架台200は、例えばU字ボルト330によって複数箇所で台車300に取り付けられる。
【0046】
台車300は、基部310、車輪部320を有している。基部310は架台200を乗せる部分である。基部310は水平方向に平行な平面であってもよいし、梁を格子状に組み合わせたものであってもよい。車輪部320は、y方向において基部310の両端部に対称となるように設けられる。また、車輪部320は、x方向においては、
図4(a)のように両端部に2組設けられてもよいし、3組以上が設けられていてもよい。また、車輪部320は、y方向に平行な回転軸の回りに回転する車輪であってx方向に移動可能である車輪を有していてもよいし、回転軸が水平面内で360度回転可能で水平面内で自由な方向に移動可能なものであってもよい。
【0047】
台車300のx方向の長さは、架台200のx方向の長さ以上であって、空調機100のx方向の全体の長さに応じて決定されればよい。台車300のy方向の長さは、架台200のy方向の長さ以上であればよい。実施形態1では、
図4(b)に示すように、y方向において、架台200と台車300との長さを略同じとしている。これにより、複数の架台200及び台車300を隣接してy方向に並べることができる。すなわち、架台200と台車300のy方向の長さを略同じとすることで、y方向における省スペース化を図っている。
【0048】
<空調機の積載>
空調機100を架台200に積載する積載方法について、
図4等を参照しながら説明する。
【0049】
(架台の組み立て:第1工程)
フレーム210とフレーム220は、コの字形状の開放部を上向きにして工場等の床面に置かれ、梁230a、230bによって接続される。4つの固定部材240は、フレーム210、220に設けられた複数の孔260のうち、一番下に設けられた孔260aに取り付けられる。これにより、架台200は
図4(b)に示す状態となる。
【0050】
(空調機の挿入:第2工程)
空調機100は、次のように架台200に挿入される。空調機100は、z方向においては固定部材240よりも上方となる状態を維持したまま、フレーム210とフレーム220との間、すなわちx方向に挿入される。すなわち、空調機100は、下面100dが
図4(a)に示す破線H1よりも高い位置である状態で挿入される。
図4(a)に空調機100の挿入方向Drを示す。
【0051】
空調機100は、z方向においては固定部材240よりも上方となる状態を維持したまま、フレーム210とフレーム220との間であってフレーム210、220から固定部材240が突出した方向に直交する方向(x方向)に挿入される。ここで、固定部材240が突出した方向とは、
図2(a)矢印y1、y2の方向である。すなわち、空調機100は、固定部材240にぶつからないように架台200に挿入される。
【0052】
なお、空調機100が架台200に挿入される際、z方向の高さは固定部材240よりも上方(破線H1よりも上)という条件を満たしていればよく、条件を満たす範囲内においてx方向の移動中に高さが上下してもよい。また、
図4(a)では、挿入方向Drは左から右に向かう矢印で表しているが、逆向き、すなわち右から左であってもよい。
【0053】
(位置決め:第3工程)
空調機100は、次のように架台200に位置決めされる。水平方向において、空調機100の取り付け部140の切り欠き部142と、架台200の固定部材240の締結部材246とが位置決めされた状態で、空調機100はz方向の下方に移動される。これにより、架台200の固定部材240の締結部材246が、空調機100の取り付け部140の切り欠き部142に嵌合する。
【0054】
より詳細には、切り欠き部142aに固定部材240aの締結部材246が嵌合し、切り欠き部142bに固定部材240bの締結部材246が嵌合する。また、切り欠き部142cに固定部材240cの締結部材246が嵌合し、切り欠き部142dに固定部材240dの締結部材246が嵌合する。
【0055】
図5は、架台200に空調機100が位置決めされて乗った状態を示しており、(a)は架台200の固定部材240bの締結部材246が、空調機100の取り付け部140bの切り欠き部142bに嵌合した状態を示している。架台200の4つの固定部材240(240a~240d)の上に、空調機100の4つの取り付け部140(140a~140d)が乗った状態となる。
【0056】
なお、
図5(a)に示すように、平面部141(141a~141d)と平面部241のそれぞれが突出する方向(
図1のy01、y02、
図2のy1、y2)における長さの関係は次のようになる。取り付け部140(140a~140d)の平面部141(141a~141d)の突出する方向における長さを長さL5とする。固定部材240(240a~240d)の平面部241の突出する方向における長さを長さL6とする。このとき、長さL6は長さL5よりも長くなるように設定されている(L6>L5)。これにより、y方向において、空調機100はフレーム210とフレーム220の間にマージンを有した状態で固定される。
【0057】
(空調機と架台の締結:第4工程)
空調機100は、次のように架台200に締結され固定される。4つの固定部材240の締結部材246のボルト246aのネジ部246a2に、それぞれナット等の締結部材400が取り付けられ締結される。
図5(b)は、固定部材240bによって空調機100の平面部141bと固定部材240bの平面部241とが締結された状態を示す斜視図である。
【0058】
より詳細には、固定部材240aの締結部材246により空調機100の平面部141aと固定部材240aの平面部241とが締結される。固定部材240bの締結部材246により空調機100の平面部141bと固定部材240bの平面部241とが締結される。固定部材240cの締結部材246により空調機100の平面部141cと固定部材240cの平面部241とが締結される。固定部材240dの締結部材246により空調機100の平面部141dと固定部材240dの平面部241とが締結される。
【0059】
すなわち、空調機100の取り付け部140は、予めボルト246aのネジ部246a2に取り付けられていたナット246b(
図3参照)と締結部材400とで挟まれた状態で固定される。これにより、空調機100は、架台200に強固に締結され固定される。
【0060】
実施形態1の架台200は、空調機100の下面100dに2次元的に(面状に)当接し支持するパネル等の支持部材又は保持部材を有していない。実施形態1の架台200は、水平方向に直交する4つのフレームから、空調機100が挿入される方向に直交する方向に突出した複数(例えば4つ)の固定部材240によって空調機100を支えている。
【0061】
実施形態1の架台200では、架台200に乗せられている空調機100の取り付け部140が固定部材240に固定されることで、空調機100自体も架台200の一部を構成することになり、架台200の強度を向上させている。
【0062】
<1台の架台に2台以上の空調機を乗せる場合>
1台の架台200には、z方向に複数台の空調機100を乗せることも可能である。
図4(b)に示すように、フレーム210、220には、z方向に複数の固定部材240を取り付けることができるように、孔245(
図3(b)参照)とともに締結部材250が貫通する孔260を複数有している。なお、
図4(b)では支柱211、221は不図示となっているが、支柱211にも支柱215と同様に孔260が設けられており、支柱221にも支柱225と同様に孔260が設けられている。
【0063】
図4(b)では、フレーム210、220に、z方向における一番下に、4つの固定部材240(以下、固定部材群ともいう。)を取り付けるための孔260aが設けられている。孔260aの上には、別の固定部材群を取り付けるための孔260bが設けられている。さらに、孔260bの上には、さらに別の固定部材群を取り付けるための孔260cが設けられている。
【0064】
孔260は、複数の空調機100が架台200に乗せられた状態で、z方向における空調機100同士の間隔が、後述する間隔Lsを維持するような位置に予め設けられる。間隔Lsは、z方向における空調機100同士が、架台200の停止中及び移動中に、互いに接触しないように設定されている。なお、
図4(b)では、1台の架台200に3台の空調機100を積載し固定する構成となっているが、固定部材群を取り付ける孔を増やし、4台以上の空調機100を積載するようにしてもよい。
【0065】
(孔260bへの固定部材群の取り付け:第5工程)
1台目の空調機100が締結部材400により締結された後、1台目の空調機100よりも上方に、4つの固定部材240が取り付けられる。
図4(b)には支柱215にのみ固定部材240を破線で示す。以下、孔260bに新たに取り付けられた固定部材群を次の固定部材群、新たに取り付けられた固定部材240を次の固定部材240という。なお、次の固定部材群の構成や取り付け方法は上述したとおりである。
【0066】
(2台目の空調機の挿入:第6工程)
その後、2台目の空調機100が、次の固定部材群にぶつからないように、1台目と同様にフレーム210とフレーム220との間にx方向に挿入される。すなわち、2台目の空調機100は、
図4に示す破線H2よりも上方の位置を維持しつつ、挿入方向Drに挿入される。なお、
図4に示す破線H3は3台目の空調機100が挿入されるときに維持していなければならない高さを示す。なお、z方向において、破線H1と破線H2との間隔、及び、破線H2と破線H3との間隔は、固定部材群と固定部材群との間隔であり、所定間隔に相当する。
【0067】
(2台目の空調機と次の固定部材群との嵌合:第7工程)
2台目の空調機100の切り欠き部142と次の固定部材群とを嵌合させる。詳細には、2台目の空調機100の切り欠き部142aに次の固定部材240aの締結部材246を嵌合させる。2台目の空調機100の切り欠き部142bに次の固定部材240bの締結部材246を嵌合させる。2台目の空調機100の切り欠き部142cに次の固定部材240cの締結部材246を嵌合させる。2台目の空調機100の切り欠き部142dに次の固定部材240dの締結部材246を嵌合させる。
【0068】
(2台目の空調機の締結、固定:第8工程)
空調機100の取り付け部140の切り欠き部142と、次の固定部材240の締結部材246とが嵌合したら、締結部材400を締結部材246に取り付けて締結することで、2台目の空調機100を架台200に固定する。
【0069】
詳細には、次の固定部材240aの締結部材246により次の固定部材240aの平面部241と2台目の空調機100の平面部141aとを締結する。次の固定部材240bの締結部材246により次の固定部材240bの平面部241と2台目の空調機100の平面部141bとを締結する。次の固定部材240cの締結部材246により次の固定部材240cの平面部241と2台目の空調機100の平面部141cとを締結する。次の固定部材240dの締結部材246により次の固定部材240dの平面部241と2台目の空調機100の平面部141dとを締結する。
【0070】
以上の動作を、3台目、4台目、・・・と繰り返すことで、1台の架台200に複数台の空調機100を積載し、固定することができる。なお、架台200は、空調機100を固定することで空調機100自体を架台200の一部とし強度を上げることができるため、積載する空調機100の台数が多いほど架台200の強度は上がる。一方で、1台の架台200に乗せる空調機100の台数が多くなるほど重量も重くなる。このため、1台の架台200に乗せる空調機100の台数は、架台200及び台車300について予め決められた安全基準等を考慮して決定されればよい。
【0071】
図6(a)は、上述した積載方法で1台の架台200に3台の空調機100A、100B、100Cを積載し固定した様子を示す図である。なお、空調機100A、100B、100Cの構成は同じである。z方向において、下に乗せられた空調機100とその上に乗せられた空調機100との間の間隔Lsについては、間隔Lsが狭いほど1台の架台200に乗せることが可能な空調機100の台数が増え、運搬の効率化を図ることができる。その一方で、間隔Lsが狭くなるほど、運搬時の急激な揺れ等により上下の空調機100の接触の可能性も大きくなる。このため、間隔Lsは、空調機100のサイズや形状によって決定される。実施形態1では、例えば間隔Lsは100mm前後としている。
【0072】
<運搬>
図6(b)は、架台200に複数台の空調機100を積載、固定した後、台車300を移動させ、トラック等の貨物車両500に複数の架台200を積載した様子を示す図である。また、
図6(b)には貨物車両500の進行方向Drtも示す。貨物車両500によって空調機100を設置する建物に架台200を運搬する。空調機100は架台200に固定部材240により強固に固定されており、安全に運搬することができる。なお、
図6(b)では、x方向が貨物車両500の進行方向Drtとなるように、架台200及び台車300を貨物車両500に積載しているがこれに限定されない。y方向が貨物車両500の進行方向Drtとなるように、架台200及び台車300を貨物車両500に積載してもよい。
【0073】
<建物(例えば天井)への取り付け>
図6(c)は、建物の天井10に空調機100を取り付ける様子を示す図である。現場では、貨物車両500から台車300が降ろされ、空調機100を取り付ける場所(フロア等)に運搬される。工場にて開梱及び組み立ては終了しているため、台車300を現場に搬入したら、すぐに空調機100の取り付け工事に取り掛かることができる。
【0074】
空調機100を取り付ける場所まで台車300が移動される。架台200の一番上に乗せられた空調機100Cを天井10に取り付けるため、1番上の4つの締結部材400が外され、空調機100Cを天井10に取り付ける作業が行われる(
図6(c)白抜き矢印参照)。
【0075】
一番上の空調機100Cの取り付けが終了したら、2番目の空調機100Bを取り付ける場所に台車300が移動される。空調機100Bの上にある、空調機100Cに固定されていた固定部材240が外された後、上から2番目の締結部材400が外され、2番目の空調機100Bが天井10に取り付けられる。以上の動作が繰り返される。
【0076】
これにより、現場で開梱をする必要がなく、開梱後の段ボール箱の廃棄の工数、時間を削減することができる。また、工場で空調機100の組み立てが完了しているため、組み立てのための工数、時間を削減できる。さらに、空調機100は架台200にしっかりと固定、積載されており、空調機100の取り付け場所までの移動を安全にスムーズに行うことができる。また、取り付け場所の真下に完成した空調機100を移動することができ、上下方向の移動で空調機100の取り付け工事ができるので、作業者の作業性を向上することができる。
【0077】
<変形例>
(補強部材)
フレーム210及びフレーム220に、それぞれ、x方向に延びる梁を取り付けて、架台200の強度を補強してもよい。すなわち、空調機100を架台200に挿入する際に、空調機100の挿入を妨げない部分に、補強用の梁を取り付けてもよい。
図7(a)は、架台200に補強用の梁270を取り付けた状態を示す図である。なお、
図7(a)はフレーム210側から見た図であり、フレーム220にも同様の補強用の梁が取り付けられている。すなわち、フレーム210の梁270は第5梁に相当し、フレーム220の梁(270に相当)は第6梁に相当する。
【0078】
また、梁270は水平方向に平行に取り付けられたが、これに限定されない。補強用の補強部材は、フレーム210、220の面内において、水平方向に対して傾きを持っていてもよい。例えば、
図7(a)に破線で示すように、2本の梁をたすき掛けしてフレーム210及びフレーム220に取り付けた補強部材280としてもよい。さらに、空調機100の挿入を妨げない位置に、又は、架台200に空調機100を挿入した後等に、y方向に延びる梁を取り付けて補強部材としてもよい。すなわち、支柱211と支柱221との間(梁230aの上方)、支柱215と支柱225との間(梁230bの上方)にそれぞれ補強部材270、280のような補強部材を設けてもよい。
【0079】
(固定部材群)
上述した実施形態1では、4つの固定部材240a、240b、240c、240dを1つの固定部材群としたが、これに限定されない。例えば、空調機が3組以上の取り付け部を有していてもよい。この場合、取り付け部の数や位置に応じて、支柱211と支柱215との間、及び、支柱221と支柱225との間に、固定部材240を有する新たな支柱を架台200に増設してもよい。
【0080】
なお、空調機が3組以上の取り付け部を有している場合に、架台200の固定部材群に含まれる固定部材240の数を4つのままとしてもよい。この場合、空調機の3組以上のペアの中で吸気チャンバー120に最も近い1組と、排気チャンバーに最も近い1組を、4つの固定部材240に締結するようにしてもよい。
【0081】
以上、実施形態1によれば、現場での開梱と設備機器の組み立てに要する工数や時間を削減するとともに設備機器を建物まで運搬する際の安全性を向上させることができる架台及び積載方法を提供することができる。
【0082】
[実施形態2]
実施形態1の積載方法では、1台の架台200に複数台の空調機100を積載する場合、下の空調機100が固定部材240に固定された後に、フレーム210、220に次の固定部材240を固定して空調機100を固定するという動作を繰り返した。実施形態2では、他の方法について変形例として説明する。さらに、3つ以下の取り付け部を備える設備機器に対応する架台についても、変形例として説明する。なお、以下の説明においても、同じ水平面内にある複数の固定部材240を総称して固定部材群という。また、架台は、3台の空調機100を積載することが可能として説明する。
【0083】
<変形例1>
図7(b)は、変形例1の架台200Aを示す図である。フレーム210、220、梁230a、230bについては実施形態1と同様であるため、説明を省略する。また、一番下の空調機100(以下、空調機100Aとする。)を固定する固定部材群240Aは、実施形態1と同様であり、説明を省略する。なお、固定部材群240Aは第1固定部材群に相当する。また、空調機100Aは第1設備機器に相当する。さらに、2番目の空調機100を空調機100Bとし、3番目すなわち一番上の空調機100を空調機100Cとする。他の変形例についても同様である。
【0084】
実施形態2の変形例1では、空調機100Bを固定する固定部材群240B及び空調機100Cを固定する固定部材群240Cは、それぞれ
図4(b)の孔260b、260cに、予め回転可能に取り付けられている。なお、固定部材群240Bは第2固定部材群に相当し、固定部材群240Cは第3固定部材群に相当する。また、空調機100Bは第2設備機器に相当し、空調機100Cは第3設備機器に相当する。
【0085】
例えば、固定部材群240Bについて詳細に説明する。固定部材群240Bの固定部材240aは、支柱211を中心に矢印R方向に回転可能に取り付けられ、固定部材群240Bの固定部材240bは、支柱215を中心に矢印R方向に回転可能に取り付けられている。固定部材群240Bの固定部材240cは、支柱221を中心に矢印R方向に回転可能に取り付けられ、固定部材群240Bの固定部材240dは、支柱225を中心に矢印R方向に回転可能に取り付けられている。
【0086】
固定部材群240B、240Cの構成は
図3等で説明した構成と同様であり、説明を省略する。固定部材群240B、240Cは、水平面内で回転可能であり、空調機100Aを挿入する際には、
図7(b)に示すように空調機100Aの挿入を妨げない位置に回転して退避している。空調機100Aの挿入が終わったら、空調機100Bを固定する位置に固定部材群240Bを回転させて空調機100Bを挿入する。空調機100Bの挿入が終わったら、空調機100Cを固定する位置に固定部材群240Cを回転させて空調機100Cを挿入する。
【0087】
このように、固定部材群240B、240Cを水平面内で矢印R方向に回転可能にフレーム210、220に取り付けておく。これにより、固定部材群240B、240Cの回転により、空調機100A、100Bの挿入を妨げることなく、かつ、空調機100B、100Cを固定することができる。なお、固定部材群240Aも回転可能な構成としてもよい。
【0088】
<変形例2>
図7(c)は、変形例2の架台200Bを示す図である。フレーム210、220、梁230a、230bについては実施形態1と同様であるため、説明を省略する。また、一番下の空調機100Aを固定する固定部材群240Aは、実施形態1と同様であり、説明を省略する。
【0089】
実施形態2の変形例2では、空調機100Bを固定する固定部材群1240B、及び、空調機100Cを固定する固定部材群1240Cは、それぞれ
図4(b)の孔260b、260cに、予め折り畳み可能に取り付けられている。固定部材群1240B、1240Cの構成は
図3等で説明した構成と同様であり、説明を省略する。
【0090】
固定部材群1240B、1240Cは、y方向からz方向に折り曲げる(折り畳む)ことが可能である。言い換えれば、y方向及びz方向で規定されるyz平面内で、x方向に平行な回転軸の回りに回転可能にフレーム210、220に取り付けられている。空調機100Aを挿入する際には、
図7(c)に示すように、空調機100Aの挿入を妨げないよう折り畳まれて退避している。空調機100Aの挿入が終わったら、固定部材群240Bを折り畳んだ状態から矢印Fで示すように元の状態に戻し、空調機100Bを挿入する。空調機100Bの挿入が終わったら、固定部材群240Cを折り畳んだ状態から矢印Fで示すように元の状態に戻し、空調機100Cを挿入する。
【0091】
このように、固定部材群1240B、1240Cをy方向からz方向に折り曲げて折り畳んだ状態にすることが可能な構成とする。これにより、固定部材群1240B、1240Cの折り畳みにより、空調機100A、100Bの挿入を妨げることなく、かつ、空調機100B、100Cを固定することができる。
【0092】
なお、変形例2では、空調機100が挿入される領域内で固定部材群1240B、1240Cを折り畳む構成としている。このため、折り畳まれた固定部材群240B、240Cと挿入される空調機100とが干渉しないよう、予めフレーム210とフレーム220との間隔を決定する必要がある。
【0093】
<変形例3>
上述した実施形態及び変形例では、1組のフレーム(フレーム210、220)に複数の固定部材群を取り付けたがこれに限定されない。例えば、1つの固定部材群を有し1台の空調機100を積載可能な高さを有する1組のフレームを、z方向に3台重ねて1台の架台としてもよい。
【0094】
図7(d)は変形例3の架台200Cを示す図である。架台200Cは、フレーム1210A、1220A、梁230a、230bによって1台の空調機100を締結、固定することが可能なものが、z方向に3つ重ねられることで構成されている。なお、固定部材群240Aは上述した変形例と同様であり、説明を省略する。
【0095】
一番下のフレーム1210A、1220Aは、空調機100Aを固定するためのフレームである。真ん中のフレーム1210A、1220Aは、空調機100Bを固定するためのフレームである。一番上のフレーム1210A、1220Aは、空調機100Cを固定するためのフレームである。フレーム1210A、1220Aは、空調機100が固定されたとき、
図6(a)で説明した間隔Lsが適切な値となるように、予め高さが設定されている。
【0096】
空調機100Aが一番下のフレーム1210A、1220Aに固定された後、次のフレーム1210B、1220Bが接続され、空調機100Bが固定される。その後さらに次のフレーム1210C、1220Cが接続され、空調機100Cが固定される。
【0097】
なお、予め1組のフレーム1210B、1220Bに1台の空調機をそれぞれ固定しておいてもよい。これにより、空調機100A、100B、100Cが予めそれぞれのフレーム1210A、1220Aに固定された状態で、空調機100ごとフレーム1210A、1220Aが重ねられてもよい。
【0098】
変形例3では、1組のフレームに1つの固定部材群を有し、1台の空調機を積載する構成としたが、これに限定されない。例えば、1組のフレームに2つの固定部材群を有し、2台の空調機を積載するものと、1組のフレームに1つの固定部材群を有し、1台の空調機を積載するものと、を組み立てて1台の架台としてもよい。1組のフレームに何台の空調機を積載するかは、組み立て工数や空調機の挿入や固定時の工数、安全面等、種々の要因に応じて決定されればよい。
【0099】
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例では、設備機器が4つの取り付け部を備えるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、設備機器が3つ以下の取り付け部を備えるものであってもよい。
【0100】
図8(a)は変形例4の一例の架台200Dを示す図である。設備機器が一方の側面に2つの取り付け部を備え、他方の側面に1つの取り付け部を備えていてもよい。この場合、
図8(a)に示すように、架台200Dのフレーム210は上述した実施形態等と同じ構成とする。一方、フレーム220は、支柱221と支柱225との間で他方の側面の1つの取り付け部に対応する位置に、固定部材240eを有する新たな支柱290aを有する構成とすればよい。なお、支柱221、225の破線で示す固定部材は、外してもよいし取り付けたままであってもよい。さらに、フレーム210とフレーム220とが逆の構成であってもよい。
【0101】
図8(b)は変形例5の一例の架台200Eを示す図である。設備機器が両方の側面に1つの取り付け部を備えていてもよい。この場合、次のようにすればよい。架台200Eのフレーム210は、支柱211と支柱215との間で一方の側面の1つの取り付け部に対応する位置に固定部材240fを有する新たな支柱290bを有する構成とすればよい。また、架台200Eのフレーム220も、支柱221と支柱225との間で他方の側面の1つの取り付け部に対応する位置に固定部材240gを有する新たな支柱290cを有する構成とすればよい。なお、支柱211、215、221、225の破線で示す固定部材は、外してもよいし取り付けたままであってもよい。
【0102】
このように、変形例4の
図8(b)の場合、設備機器としての空調機100は、第1被締結部である取り付け部140を少なくとも1つ有し、取り付け部140が突出するように設けられた第1側面である側面100aを有している。また、空調機100は、第2被締結部である取り付け部140を少なくとも1つ有し、取り付け部140が突出するように設けられた第2側面である側面100bを有している。空調機100は、上下方向において取り付け部140が略同じ高さに設けられ、取り付け部140をそれぞれ吊りボルトによって締結することで天井に設置される。
【0103】
一方、架台200Eは、空調機100が架台に乗せられた状態で取り付け部140に嵌合する第1締結部材としての締結部材246を有する第1固定部材である固定部材240fを有する。架台200Eは、空調機100が架台に乗せられた状態で取り付け部140に嵌合する第2締結部材としての締結部材246を有する第2固定部材である固定部材240gを有する。支柱290bは、固定部材240fが設けられ、水平方向に対して略垂直な第1支柱に相当する。支柱290cは、固定部材240gが設けられ、水平方向に対して略垂直な第2支柱に相当する。固定部材240fは支柱290cに向かって突出するように設けられ、固定部材240gは、支柱290bに向かって突出するように設けられる。
【0104】
<変形例5>
さらに、架台の移動中に設備機器の安定性が維持できるのであれば、4つの取り付け部及び4つの固定部材のうち、3つ以下の取り付け部及び固定部材を締結し固定してもよい。すなわち、4つの取り付け部及び4つの固定部材をすべて締結する必要はない。
【0105】
図8(c)は変形例5の一例を示す図である。架台200の構成は実施形態1(
図2(a))と同様である。例えば、
図8(c)に示すように、破線楕円で囲んだ固定部材240aと、固定部材240aの水平面内の対角線上に位置する固定部材240dの2つを空調機100と締結してもよい。このとき、
図8(c)に「×」印を付けた固定部材240bと、固定部材240bの水平面内の対角線上に位置する固定部材240cを空調機100とは締結しないようにしてもよい。
【0106】
以上、実施形態2によれば、現場での開梱と設備機器の組み立てに要する工数や時間を削減するとともに設備機器を建物まで運搬する際の安全性を向上させることができる架台及び積載方法を提供することができる。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本発明は以下の趣旨を含むものとする。
【0108】
[趣旨1]
第1切り欠き部を有し水平方向に平行な第1面と、第2切り欠き部を有し前記水平方向に平行な第2面と、を有し、前記第1面及び前記第2面が突出するように設けられた第1側面と、第3切り欠き部を有し前記水平方向に平行な第3面と、第4切り欠き部を有し前記水平方向に平行な第4面と、を有し、前記第3面及び前記第4面が突出するように設けられた第2側面と、備え、上下方向において前記第1面、前記第2面、前記第3面及び前記第4面が略同じ高さに設けられ、前記第1切り欠き部、前記第2切り欠き部、前記第3切り欠き部及び前記第4切り欠き部をそれぞれ吊りボルトによって締結することで天井に設置される設備機器を積載する架台であって、
前記水平方向に対して略垂直な第1支柱と、前記水平方向に対して略垂直な第2支柱と、前記上下方向における前記第1支柱の下端と前記第2支柱の下端とを接続する第1梁と、を有する第1枠部と、
前記水平方向に対して略垂直な第3支柱と、前記水平方向に対して略垂直な第4支柱と、前記上下方向における前記第3支柱の下端と前記第4支柱の下端とを接続する第2梁と、を有する第2枠部と、
前記上下方向における前記第1支柱の下端と前記第3支柱の下端とを接続する第3梁と、
前記上下方向における前記第2支柱の下端と前記第4支柱の下端とを接続する第4梁と、
を備え、
前記第1支柱は、前記水平方向に平行な第5面と、前記第5面に設けられ前記設備機器を締結するための第1締結部材と、を有し、前記第5面が前記第2枠部に向かって突出する第1固定部材を有し、
前記第2支柱は、前記水平方向に平行な第6面と、前記第6面に設けられ前記設備機器を締結するための第2締結部材と、を有し、前記第6面が前記第2枠部に向かって突出する第2固定部材を有し、
前記第3支柱は、前記水平方向に平行な第7面と、前記第7面に設けられ前記設備機器を締結するための第3締結部材と、を有し、前記第7面が前記第1枠部に向かって突出する第3固定部材を有し、
前記第4支柱は、前記水平方向に平行な第8面と、前記第8面に設けられ前記設備機器を締結するための第4締結部材と、を有し、前記第8面が前記第1枠部に向かって突出する第4固定部材を有し、
前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材は、前記上下方向における高さが略等しく、
前記第1締結部材は、前記第1切り欠き部に嵌合して前記第1面と前記第5面とを締結し、
前記第2締結部材は、前記第2切り欠き部に嵌合して前記第2面と前記第6面とを締結し、
前記第3締結部材は、前記第3切り欠き部に嵌合して前記第3面と前記第7面とを締結し、
前記第4締結部材は、前記第4切り欠き部に嵌合して前記第4面と前記第8面とを締結する、架台。
【0109】
[趣旨2]
前記第1支柱と前記第1梁と前記第2支柱は、一体に形成され、
前記第3支柱と前記第2梁と前記第4支柱は、一体に形成されてもよい。
【0110】
[趣旨3]
前記設備機器は、前記架台に積載される際に、前記上下方向において前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材よりも上方で、かつ、水平方向において前記第1枠部と前記第2枠部との間に挿入されてもよい。
【0111】
[趣旨4]
前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材を固定部材群としたとき、
前記上下方向に所定間隔で複数の前記固定部材群を備え、
それぞれの前記固定部材群に設備機器がそれぞれ固定され、
前記所定間隔は、第1固定部材群に固定された第1設備機器と、前記上下方向において前記第1固定部材群の上にある第2固定部材群に固定された第2設備機器とが、前記架台の停止中及び移動中に接触しない間隔であってもよい。
【0112】
[趣旨5]
前記第5面の突出する方向の長さは、前記第1面の突出する方向の長さよりも長く、
前記第6面の突出する方向の長さは、前記第2面の突出する方向の長さよりも長く、
前記第7面の突出する方向の長さは、前記第3面の突出する方向の長さよりも長く、
前記第8面の突出する方向の長さは、前記第4面の突出する方向の長さよりも長くてもよい。
【0113】
[趣旨6]
前記第1枠部は、前記上下方向において前記第1梁よりも上方に前記第1支柱と前記第2支柱とを接続する第5梁を有し、
前記第2枠部は、前記上下方向において前記第2梁よりも上方に前記第3支柱と前記第4支柱とを接続する第6梁を有してもよい。
【0114】
[趣旨7]
第1被締結部を少なくとも1つ有し、前記第1被締結部が突出するように設けられた第1側面と、第2被締結部を少なくとも1つ有し、前記第2被締結部が突出するように設けられた第2側面と、備え、上下方向において前記第1被締結部及び前記第2被締結部が略同じ高さに設けられ、前記第1被締結部及び前記第2被締結部をそれぞれ吊りボルトによって締結することで天井に設置される設備機器を積載する架台であって、
前記設備機器が前記架台に乗せられた状態で前記第1被締結部に嵌合する第1締結部材を有する第1固定部材と、
前記設備機器が前記架台に乗せられた状態で前記第2被締結部に嵌合する第2締結部材を有する第2固定部材と、
前記第1固定部材が設けられ、水平方向に対して略垂直な第1支柱と、
前記第2固定部材が設けられ、前記水平方向に対して略垂直な第2支柱と、
を備え、
前記第1固定部材は、前記第2支柱に向かって突出するように設けられ、
前記第2固定部材は、前記第1支柱に向かって突出するように設けられる、架台。
【0115】
[趣旨8]
請求項1に記載の架台に前記設備機器を積載する積載方法であって、
前記第1枠部、前記第2枠部、前記第1梁、前記第2梁、前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材を前記架台として組み立てる第1工程と、
前記上下方向において前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材よりも上方で、かつ、前記第1枠部と前記第2枠部との間に前記設備機器を挿入する第2工程と、
前記第1切り欠き部に前記第1締結部材を嵌合させ、前記第2切り欠き部に前記第2締結部材を嵌合させ、前記第3切り欠き部に前記第3締結部材を嵌合させ、前記第4切り欠き部に前記第4締結部材を嵌合させる第3工程と、
前記第1締結部材により前記第1面と前記第5面とを締結し、前記第2締結部材により前記第2面と前記第6面とを締結し、前記第3締結部材により前記第3面と前記第7面とを締結し、前記第4締結部材により前記第4面と前記第8面とを締結する第4工程と、
を備え、
前記設備機器を前記架台に固定させて積載する、積載方法。
【0116】
[趣旨9]
前記架台に固定された前記設備機器を第1設備機器とし、前記第1固定部材、前記第2固定部材、前記第3固定部材及び前記第4固定部材を第1固定部材群としたとき、
前記上下方向において前記第1設備機器よりも上方に第2固定部材群を取り付ける第5工程と、
前記第2固定部材群よりも上方で、かつ、前記第1枠部と前記第2枠部との間に第2設備機器を挿入する第6工程と、
前記第2設備機器の第1切り欠き部に前記第2固定部材群の第1締結部材を嵌合させ、前記第2設備機器の第2切り欠き部に前記第2固定部材群の第2締結部材を嵌合させ、前記第2設備機器の第3切り欠き部に前記第2固定部材群の第3締結部材を嵌合させ、前記第2設備機器の第4切り欠き部に前記第2固定部材群の第4締結部材を嵌合させる第7工程と、
前記第2固定部材群の第1締結部材により前記第2固定部材群の第5面と前記第2設備機器の第1面とを締結し、前記第2固定部材群の第2締結部材により前記第2固定部材群の第6面と前記第2設備機器の第2面とを締結し、前記第2固定部材群の第3締結部材により前記第2固定部材群の第7面と前記第2設備機器の第3面とを締結し、前記第2固定部材群の第4締結部材により前記第2固定部材群の第8面と前記第2設備機器の第4面とを締結する第8工程と、
を備えてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 天井
100、100A、100B、100C 空調機
100a、100b 側面
100c 上面
100d 下面
110 本体
120 吸気チャンバー
130 排気チャンバー
140、140a、140b、140c、140d 取り付け部
141、141a、141b、141c、141d 平面部
142、142a、142b、142c、142d 切り欠き部
180 吊りボルト
190 ナット・ワッシャー
200、200A、200B、200C、200D、200E 架台
210、210A、210B、210C、220、220A、220B、220C フレーム
211、215、221、225、290a、290b、290c、1210A、1220A 支柱
212、214、222、224、243 角部
213、223、230a、230b、270、320a、320b 梁
240、240a、240b、240c、240d、240f、240g 固定部材
240A、240B、240C、1240B、1240C 固定部材群
241、244 平面部
242、245、260、260a、260b、260c 孔
246、250、400 締結部材
246a ボルト、246a1 頭部、246a2 ネジ部、246b ナット
280 補強部材
300 台車
310 基部
320 車輪部
330 U字ボルト
500 貨物車両
【要約】
【課題】現場での開梱と設備機器の組み立てに要する工数や時間を削減するとともに設備機器を建物まで運搬する際の安全性を向上させることができる架台及び積載方法を提供すること。
【解決手段】支柱211、215、梁213を有するフレーム210、支柱221、225、梁223を有するフレーム220、梁230a、230bを備え、各支柱211、215、221、225は、平面部241と締結部材246とを有し、平面部241がフレーム220に向かって突出する固定部材240a、240b、平面部241がフレーム210に向かって突出する固定部材240c、240dをそれぞれ有し、各固定部材240は上下方向における高さが略等しく、各締結部材246は、各切り欠き部142に嵌合して平面部241と平面部141とを締結する。
【選択図】
図2