(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理端末及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20231115BHJP
G06Q 20/10 20120101ALI20231115BHJP
G06Q 20/32 20120101ALI20231115BHJP
【FI】
G06Q20/38 316
G06Q20/10
G06Q20/32 300
G06Q20/38 340
(21)【出願番号】P 2023075559
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2022105087の分割
【原出願日】2022-06-29
【審査請求日】2023-05-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】江田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】下平 正人
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-160652(JP,A)
【文献】特許第6878673(JP,B2)
【文献】特開2020-107217(JP,A)
【文献】特開2016-192077(JP,A)
【文献】特開2022-083358(JP,A)
【文献】特開2020-187589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザが代金を支払う店舗によって提示されたコード画像であって前記店舗に対して決済の提供が可能な決済事業者のIDを含む前記コード画像を読み取ることによってコード情報を取得するコード情報取得部、
前記コード情報取得部が取得した前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが、前記代金の支払いに対する利用が許可されている条件が定められている暗号資産の利用許可条件として、前記暗号資産を用いて前記代金の決済を行う
決済サーバを管理する事業者を示すと判定された場合のみに、前記店舗において前記代金を前記暗号資産で支払うための入力画面を表示部に表示させる表示制御部、及び
前記表示部に表示された前記入力画面において前記ユーザが入力した入力額に対応する前記暗号資産で支払うための決済要求を送信する送信部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが前記利用許可条件を満たすか否かを、
前記決済サーバに問い合わせる問合せ部としてさらに機能させ、
前記表示制御部は、前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが前記利用許可条件を満たすことを示す問い合わせ結果を前記問合せ部が取得した場合のみに、前記入力画面を表示させ、
前記送信部は、前記決済要求を前記決済サーバに送信する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コード情報は、前記店舗を識別するための店舗識別情報をさらに含み、
前記コンピュータを、記憶部に記憶されている前記暗号資産の利用が許可されている店舗の許可リストを参照し、前記コード情報に含まれる前記店舗識別情報によって特定される特定店舗が前記許可リストに含まれているか否かを判定する判定部としてさらに機能させ、
前記表示制御部は、さらに、前記特定店舗が前記許可リストに含まれていると前記判定部が判定した場合に、前記入力画面を表示させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、前記ユーザが前記暗号資産で前記代金を支払うための支払条件を満たすか否かを、前記暗号資産の口座を管理する管理システムに問い合わせる問合せ部としてさらに機能させ、
前記表示制御部は、さらに、前記ユーザが前記支払条件を満たすことを示す問い合わせ結果を前記問合せ部が取得した場合に、前記入力画面を表示させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記送信部は、前記ユーザに関連付けられているユーザ口座から前記店舗に関連付けられている店舗口座に前記入力額の移転を前記暗号資産の口座を管理する管理システムに実行させるための前記決済要求を送信する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コード情報には、前記店舗を識別するための店舗識別情報がさらに含まれ、
前記表示制御部は、さらに、前記コード情報に含まれる前記店舗識別情報によって特定される特定店舗が前記暗号資産の利用が許可されている店舗の許可リストに含まれていると判定された場合に、前記入力画面を表示させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コード情報取得部は、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報をさらに取得し、
前記表示制御部は、さらに、前記ユーザ識別情報によって特定される前記ユーザが前記暗号資産で前記代金を支払うための支払条件を満たすと判定された場合に、前記入力画面を表示させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記表示制御部は、複数の暗号資産の種類のうち、前記コード情報取得部が取得した前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが前記利用許可条件を満たすと判定された前記暗号資産の種類を表示させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記入力画面において前記ユーザが保有する暗号資産の残高を表示させる、
請求項1から8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、前記ユーザが保有する暗号資産の口座が存在するか否かを前記暗号資産の口座を管理する管理システムに問い合わせ、前記ユーザが保有する暗号資産の口座が存在する場合に、前記ユーザが保有する暗号資産の残高を取得する問合せ部としてさらに機能させ、
前記表示制御部は、前記問合せ部が取得した前記暗号資産の残高を表示させる、
請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記送信部は、前記入力額が前記代金より少ない場合、前記ユーザが保有する所定の通貨であって前記代金と入力額との差額に対応する前記所定の通貨をさらに含む前記決済要求を送信する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記暗号資産の利用額と前記暗号資産とは異なる所定の通貨の利用額とを入力するための前記入力画面を表示させ、
前記送信部は、前記入力画面において、前記ユーザが入力した前記暗号資産の入力額と、前記ユーザが入力した前記所定の通貨の入力額とを含む前記決済要求を送信する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項13】
ユーザが代金を支払う店舗によって提示されたコード画像であって前記店舗に対して決済の提供が可能な決済事業者のIDを含む前記コード画像を読み取ることによってコード情報を取得するコード情報取得部と、
前記コード情報取得部が取得した前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが、前記代金の支払いに対する利用が許可されている条件が定められている暗号資産の利用許可条件として、前記暗号資産を用いて前記代金の決済を行う
決済サーバを管理する事業者を示すと判定された場合のみに、前記店舗において前記代金を前記暗号資産で支払うための入力画面を表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示された前記入力画面において前記ユーザが入力した入力額に対応する前記暗号資産で支払うための決済要求を送信する送信部と、
を有する情報処理端末。
【請求項14】
コンピュータが実行する、
ユーザが代金を支払う店舗によって提示されたコード画像であって前記店舗に対して決済の提供が可能な決済事業者のIDを含む前記コード画像を読み取ることによってコード情報を取得するステップと、
取得した前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが、前記代金の支払いに対する利用が許可されている条件が定められている暗号資産の利用許可条件として、前記暗号資産を用いて前記代金の決済を行う
決済サーバを管理する事業者を示すと判定された場合のみに、前記店舗において前記代金を前記暗号資産で支払うための入力画面を表示部に表示させるステップと、
前記表示部に表示された前記入力画面において前記ユーザが入力した入力額に対応する前記暗号資産で支払うための決済要求を送信するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号資産に関する情報を処理するためのプログラム、情報処理端末及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、暗号資産(仮想通貨ともいう)で決済するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地域内における経済循環を活性化させることを目的として、特定の地域における決済に利用可能な暗号資産(例えば、地域デジタル通貨)を発行することが行われている。しかしながら、ユーザは、このような暗号資産がどの地域又はどの店舗で利用できるかを把握しなければならい。例えば、ユーザが利用した店舗において暗号資産を利用することができる場合であっても、ユーザが、当該店舗が暗号資産の利用可能な店舗であることを把握していなかったり、利用可能な暗号資産を保有していることを忘れたりすると、暗号資産を利用し損ねてしまう場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが暗号資産を容易に利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかるプログラムは、コンピュータを、ユーザが代金を支払う店舗によって提示されたコード画像であって前記店舗に対して決済の提供が可能な決済事業者のIDを含む前記コード画像を読み取ることによってコード情報を取得するコード情報取得部、前記コード情報取得部が取得した前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが、前記代金の支払いに対する利用が許可されている条件が定められている暗号資産の利用許可条件として、前記暗号資産を用いて前記代金の決済を行う情報処理装置を管理する事業者を示すと判定された場合のみに、前記店舗において前記代金を前記暗号資産で支払うための入力画面を表示部に表示させる表示制御部、及び前記表示部に表示された前記入力画面において前記ユーザが入力した入力額に対応する前記暗号資産で支払うための決済要求を送信する送信部、として機能させる。
【0007】
前記コンピュータを、前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが前記利用許可条件を満たすか否かを、代金の決済を行うための決済サーバに問い合わせる問合せ部としてさらに機能させてもよいし、前記表示制御部は、前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが前記利用許可条件を満たすことを示す問い合わせ結果を前記問合せ部が取得した場合のみに、前記入力画面を表示させてもよいし、前記送信部は、前記決済要求を前記決済サーバに送信してもよい。
【0008】
前記コード情報は、前記店舗を識別するための店舗識別情報をさらに含んでもよいし、前記コンピュータを、記憶部に記憶されている前記暗号資産の利用が許可されている店舗の許可リストを参照し、前記コード情報に含まれる前記店舗識別情報によって特定される特定店舗が前記許可リストに含まれているか否かを判定する判定部としてさらに機能させてもよいし、前記表示制御部は、さらに、前記特定店舗が前記許可リストに含まれていると前記判定部が判定した場合に、前記入力画面を表示させてもよい。
【0009】
前記コンピュータを、前記ユーザが前記暗号資産で前記代金を支払うための支払条件を満たすか否かを、前記暗号資産の口座を管理する管理システムに問い合わせる問合せ部としてさらに機能させてもよいし、前記表示制御部は、さらに、前記ユーザが前記支払条件を満たすことを示す問い合わせ結果を前記問合せ部が取得した場合に、前記入力画面を表示させてもよい。
【0010】
前記送信部は、前記ユーザに関連付けられているユーザ口座から前記店舗に関連付けられている店舗口座に前記入力額の移転を前記暗号資産の口座を管理する管理システムに実行させるための前記決済要求を送信してもよい。
【0011】
前記コード情報には、前記店舗を識別するための店舗識別情報がさらに含まれてもよいし、前記表示制御部は、さらに、前記コード情報に含まれる前記店舗識別情報によって特定される特定店舗が前記暗号資産の利用が許可されている店舗の許可リストに含まれていると判定された場合に、前記入力画面を表示させてもよい。
【0012】
前記コード情報取得部は、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報をさらに取得してもよいし、前記表示制御部は、さらに、前記ユーザ識別情報によって特定される前記ユーザが前記暗号資産で前記代金を支払うための支払条件を満たすと判定された場合に、前記入力画面を表示してもよい。
【0013】
前記表示制御部は、複数の暗号資産の種類のうち、前記コード情報取得部が取得した前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが前記利用許可条件を満たすと判定された前記暗号資産の種類を表示させてもよい。
前記表示制御部は、前記入力画面において前記ユーザが保有する暗号資産の残高を表示させてもよい。
【0014】
前記コンピュータを、前記ユーザが保有する暗号資産の口座が存在するか否かを前記暗号資産の口座を管理する管理システムに問い合わせ、前記ユーザが保有する暗号資産の口座が存在する場合に、前記ユーザが保有する暗号資産の残高を取得する問合せ部としてさらに機能させてもよいし、前記表示制御部は、前記問合せ部が取得した前記暗号資産の残高を表示させてもよい。
【0015】
前記送信部は、前記入力額が前記代金より少ない場合、前記ユーザが保有する所定の通貨であって前記代金と入力額との差額に対応する前記所定の通貨をさらに含む前記決済要求を送信してもよい。
【0016】
前記表示制御部は、前記暗号資産の利用額と前記暗号資産とは異なる所定の通貨の利用額とを入力するための前記入力画面を表示させてもよいし、前記送信部は、前記入力画面において、前記ユーザが入力した前記暗号資産の入力額と、前記ユーザが入力した前記所定の通貨の入力額とを含む前記決済要求を送信してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様にかかる情報処理端末は、ユーザが代金を支払う店舗によって提示されたコード画像であって前記店舗に対して決済の提供が可能な決済事業者のIDを含む前記コード画像を読み取ることによってコード情報を取得するコード情報取得部と、前記コード情報取得部が取得した前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが、前記代金の支払いに対する利用が許可されている条件が定められている暗号資産の利用許可条件として、前記暗号資産を用いて前記代金の決済を行う情報処理装置を管理する事業者を示すと判定された場合のみに、前記店舗において前記代金を前記暗号資産で支払うための入力画面を表示部に表示させる表示制御部と、前記表示部に表示された前記入力画面において前記ユーザが入力した入力額に対応する前記暗号資産で支払うための決済要求を送信する送信部と、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様にかかる情報処理方法は、コンピュータが実行する、ユーザが代金を支払う店舗によって提示されたコード画像であって前記店舗に対して決済の提供が可能な決済事業者のIDを含む前記コード画像を読み取ることによってコード情報を取得するステップと、取得した前記コード情報に含まれる前記決済事業者のIDが、前記代金の支払いに対する利用が許可されている条件が定められている暗号資産の利用許可条件として、前記暗号資産を用いて前記代金の決済を行う情報処理装置を管理する事業者を示すと判定された場合のみに、前記店舗において前記代金を前記暗号資産で支払うための入力画面を表示部に表示させるステップと、前記表示部に表示された前記入力画面において前記ユーザが入力した入力額に対応する前記暗号資産で支払うための決済要求を送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザが暗号資産を容易に利用できるようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
【
図2】本実施形態に係る決済サーバのブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る利用元ユーザ端末のブロック図である。
【
図4】情報処理システムが暗号資産を管理する方法を説明するための模式図である。
【
図6】本実施形態に係る情報処理システムが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、暗号資産管理システム1と、決済サーバ2と、利用元ユーザ端末3と、利用先ユーザ端末4と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0022】
暗号資産管理システム1は、暗号資産に関する情報を管理するための一以上のコンピュータである。暗号資産は、代金の決済等に利用可能であり、法定通貨(日本円や米国ドル等)とは異なる電子的な資産である。暗号資産は、所定の変換比率で所定の通貨に変換可能である。暗号資産は、例えば記憶装置において当該暗号資産を保有するユーザに関連付けられており、決済に利用される際に顧客であるユーザから店舗であるユーザに移転される。
【0023】
暗号資産は、例えば、ブロックチェーンによって管理される電子的な資産である。また、暗号資産は、ブロックチェーンに限られず、データベース等によって管理される電子的な資産であってもよい。暗号資産は、決済に利用される所定の単位(例えば、流通する単位)である資産単位で管理される。以下、暗号資産の資産単位をコインと呼ぶが、その他の名称であってもよい。
【0024】
本実施形態において、暗号資産は、例えば、所定の地域において利用可能な地域デジタル通貨である。地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の店舗において実行可能であり、当該地域外の店舗において実行不可能である。また、地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の所定の店舗(例えば、登録された店舗)のみにおいて実行可能であってもよい。
【0025】
また、暗号資産は、例えば、所定のユーザが利用可能な地域デジタル通貨である。地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定のユーザによる要求に応じて所定の地域内の店舗において実行可能であり、所定のユーザ以外のユーザによる要求に応じて当該地域内外の店舗において実行不可能である。所定の地域及び所定のユーザにおいては、例えば、暗号資産を発行させるために原資を負担した負担者によって定められる。
【0026】
暗号資産管理システム1は、各ユーザが保有する暗号資産を、当該ユーザに関連付けられた暗号資産口座において管理する。暗号資産は、種類ごとに、利用可能な地域(利用可能な店舗)及び利用可能なユーザが予め定められており、暗号資産管理システム1は、複数の暗号資産の種類それぞれの暗号資産口座を管理してもよい。暗号資産の種類は、例えば、暗号資産の利用が許可されている地域、暗号資産の利用が許可されている店舗、又は暗号資産の負担者等である。暗号資産管理システム1は、例えば、決済サーバ2から受信した移転要求に応じて、暗号資産をあるユーザの暗号資産口座から別のユーザの暗号資産口座に移転する。暗号資産管理システム1は、ネットワークを介して決済サーバ2、利用先ユーザ端末4及び利用先ユーザ端末4と通信可能である。
【0027】
決済サーバ2(情報処理装置)は、暗号資産を用いて代金の決済を行うためのコンピュータである。決済サーバ2は、例えば、利用元ユーザ端末3から決済要求を受信したことに応じて、暗号資産管理システム1に対して決済対象の金額に対応する暗号資産を利用元ユーザから利用先ユーザに移転させる移転要求を送信する。決済サーバ2は、ネットワークを介して暗号資産管理システム1、利用元ユーザ端末3及び利用先ユーザ端末4と通信可能である。
【0028】
利用元ユーザ端末3(情報処理端末)は、利用元ユーザが利用するコンピュータである。利用元ユーザは、例えば、店舗である利用先ユーザに対して、商品(物品、サービス等)の代金を、暗号資産を利用して支払う顧客である。また、利用元ユーザは、他の店舗である利用先ユーザに対して、暗号資産を利用して代金を支払う店舗であってもよい。利用元ユーザ端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。利用元ユーザ端末3は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、情報を読み取るためのカメラ等の撮像部と、を有する。利用元ユーザ端末3は、ネットワークを介して決済サーバ2と通信可能である。
【0029】
利用先ユーザ端末4は、利用先ユーザが利用するコンピュータである。利用先ユーザは、例えば、顧客又は店舗である利用元ユーザから、暗号資産を利用して代金の支払いを受ける店舗である。利用先ユーザ端末4は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。利用先ユーザ端末4は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。利用先ユーザ端末4は、利用元ユーザが利用先ユーザに支払う代金を決済してもらうためのQRコード(登録商標)をはじめとするコード画像を生成し、生成したコード画像を表示部に表示する。なお、コード画像は、利用先ユーザ端末4によって表示される場合に限らず、ステッカー等のような形式で利用先ユーザである店舗に設置されていてもよい。
【0030】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。利用元ユーザ端末3は、利用先ユーザ端末4の表示部に表示されたコード画像を読み取ることによって、コード情報を取得する(
図1における(1))。コード情報は、例えば、利用先ユーザである店舗を識別するための識別情報(利用先ユーザのID(identifier))を含む。
【0031】
利用元ユーザ端末3は、コード情報によって特定される特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすと判定され、かつ、利用元ユーザが支払条件を満たすと判定された場合に、入力画面を表示する。特定情報は、例えば、代金の支払いを受ける利用先ユーザのID又は決済事業者のIDである。利用許可条件は、代金の支払いに対する利用が許可されている条件が定められている暗号資産の利用を許可するための条件であり、例えば、店舗が存在する地域が暗号資産の利用が可能な地域であるか否か、又は店舗が暗号資産の利用が可能な店舗であるか否か等である。利用許可条件は、店舗が暗号資産口座を保有しているか否かであってもよい。支払条件は、利用元ユーザが暗号資産で代金を支払うための条件であり、例えば、利用元ユーザが暗号資産を利用可能なユーザであるか否か等である。入力画面は、利用先ユーザに対する代金の支払いに利用する金額に対応する暗号資産の利用額を入力するための画面である。
【0032】
利用元ユーザ端末3は、例えば、取得したコード情報を決済サーバ2に送信する(
図1における(2))。コード情報は、利用先ユーザに対して決済の提供が可能な決済事業者のIDを含んでもよい。決済サーバ2は、利用元ユーザ端末3からコード情報を取得すると、当該コード情報によって特定される特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定し、判定した判定結果を利用元ユーザ端末3に送信する(
図1における(3))。
【0033】
決済サーバ2は、例えば、利用先ユーザのIDによって特定される特定店舗が存在する地域が暗号資産の利用が可能な地域であるか否か、又は特定店舗が暗号資産の利用が可能な店舗であるか否かを判定する。決済サーバ2は、利用先ユーザのIDに基づいて、特定店舗が暗号資産口座を保有しているか否かを暗号資産管理システム1に問い合わせ、問い合わせた結果に基づいて、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定してもよい。この場合、暗号資産管理システム1は、決済サーバ2から利用先ユーザのIDを取得すると、当該利用先ユーザのIDに関連付けられている暗号資産口座が存在するか否かを判定し、判定した判定結果を決済サーバ2に送信する。
【0034】
また、利用元ユーザ端末3は、例えば、利用元ユーザのIDを暗号資産管理システム1に送信する(
図1における(4))。暗号資産管理システム1は、利用元ユーザ端末3から利用元ユーザのIDを取得すると、当該利用元ユーザのIDに関連付けられている暗号資産口座が存在するか否かを判定し、判定した判定結果を利用元ユーザ端末3に送信する(
図1における(5))。そして、利用元ユーザ端末3は、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすことを示す判定結果を決済サーバ2から取得し、かつ、利用元ユーザの暗号資産口座が存在することを示す判定結果を暗号資産管理システム1から取得した場合に、入力画面を表示する。利用元ユーザ端末3は、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たさないことを示す判定結果を決済サーバ2から取得した場合、又は利用元ユーザの暗号資産口座が存在しないことを示す判定結果を暗号資産管理システム1から取得した場合、暗号資産で決済するための入力画面の表示を禁止してもよい。なお、利用元ユーザ端末3は、利用先ユーザのIDに基づいて、特定店舗が暗号資産口座を保有しているか否かを暗号資産管理システム1に問い合わせ、問い合わせた結果に基づいて、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0035】
利用元ユーザ端末3は、表示部に表示した入力画面における利用元ユーザによる操作に応じて、決済要求を決済サーバ2に送信する(
図1における(6))。決済要求は、例えば、利用元ユーザであるユーザを識別するための識別情報(利用元ユーザのID)と、利用先ユーザのIDと、入力画面において利用元ユーザが入力した暗号資産の入力額とを含む。
【0036】
決済サーバ2は、利用元ユーザ端末3から受信した決済要求が示す入力額に対応する暗号資産を利用元ユーザから利用先ユーザに移転するための移転要求を暗号資産管理システム1に送信する(
図1における(7))。移転要求には、例えば、入力額と、利用元ユーザのIDと、利用先ユーザのIDとが含まれる。
【0037】
そして、暗号資産管理システム1は、決済サーバ2から受信した移転要求が示す決済金額に対応する暗号資産を、利用元ユーザの暗号資産口座から利用先ユーザの暗号資産口座に移転する((
図1における(8))。暗号資産管理システム1は、例えば、ブロックチェーンに対して、決済金額に対応する暗号資産の保有者を利用元ユーザから利用先ユーザに変更することを示すデータを追加する。
【0038】
このように、情報処理システムSは、利用元ユーザが利用先ユーザに支払う代金の決済として暗号資産を利用できるか否かに応じて入力画面を利用元ユーザに提示し、提示した入力画面において利用元ユーザが入力した入力額に基づいて決済する。これにより、情報処理システムSは、例えば、決済時において、利用元ユーザが保有する暗号資産が利用可能であるか否かを把握していなかったり、利用元ユーザが利用先ユーザに対して利用可能な暗号資産を保有していることを忘れていたりしても、入力画面において利用先ユーザに対して利用可能な暗号資産を提示することにより、利用元ユーザが暗号資産を容易に利用できるようにすることができる。
以下、決済サーバ2及び利用元ユーザ端末3の構成について説明する。
【0039】
[決済サーバ2の構成]
図2は、本実施形態に係る決済サーバ2のブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0040】
決済サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を有する。決済サーバ2は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、決済サーバ2は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0041】
通信部21は、ネットワークを介して暗号資産管理システム1、利用元ユーザ端末3及び利用先ユーザ端末4との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部21は、暗号資産管理システム1、利用元ユーザ端末3又は利用先ユーザ端末4からネットワークを介して受信したデータを制御部23に通知する。また、通信部21は、ネットワークを介して、制御部23から出力されたデータを暗号資産管理システム1、利用元ユーザ端末3又は利用先ユーザ端末4に送信する。
【0042】
記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部22は、決済サーバ2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部23との間でデータの授受を行ってもよい。
【0043】
制御部23は、情報取得部231と、判定部232と、送信部233と、入力額取得部234と、決済部235と、付与部236と、を有する。制御部23は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部231、判定部232、送信部233、入力額取得部234、決済部235及び付与部236として機能する。情報取得部231、判定部232、送信部233、入力額取得部234、決済部235及び付与部236それぞれが行う処理については後述する。
【0044】
[利用元ユーザ端末3の構成]
図3は、本実施形態に係る利用元ユーザ端末3のブロック図である。
図3において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図3に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
【0045】
利用元ユーザ端末3は、撮像部31と、通信部32と、表示部33と、操作部34と、記憶部35と、制御部36と、を有する。撮像部31は、撮像画像を撮像するカメラである。また、撮像部31は、撮像した撮像画像を制御部36に通知する。
【0046】
通信部32は、ネットワークを介して暗号資産管理システム1又は決済サーバ2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部32は、暗号資産管理システム1又は決済サーバ2からネットワークを介して受信したデータを制御部36に通知する。また、通信部32は、ネットワークを介して、制御部36から出力されたデータを暗号資産管理システム1又は決済サーバ2に送信する。
【0047】
表示部33は、情報を表示するための液晶ディスプレイである。操作部34は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等である。
【0048】
記憶部35は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部35は、制御部36が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部35は、利用元ユーザ端末3の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部36との間でデータの授受を行ってもよい。
【0049】
制御部36は、コード情報取得部361と、問合せ部362と、表示制御部363と、資産情報取得部364と、操作受付部365と、送信部366と、を有する。制御部36は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部35に記憶されたプログラムを実行することにより、コード情報取得部361、問合せ部362、表示制御部363、資産情報取得部364、操作受付部365及び送信部366として機能する。コード情報取得部361、問合せ部362、表示制御部363、資産情報取得部364、操作受付部365及び送信部366それぞれが行う処理については後述する。
【0050】
[口座の説明]
まず、情報処理システムSが暗号資産を管理する方法を説明する。
図4は、情報処理システムSが暗号資産を管理する方法を説明するための模式図である。
【0051】
暗号資産管理システム1は、複数のユーザそれぞれが保有する暗号資産を、暗号資産口座において管理する。複数のユーザそれぞれの暗号資産口座は、当該ユーザのID(例えば、暗号資産口座のID)に関連付けられている。暗号資産管理システム1は、暗号資産の管理として、暗号資産口座に対して暗号資産を入金及び出金し、又は複数の暗号資産口座間で暗号資産を移転する。
【0052】
暗号資産管理システム1は、例えば、ブロックチェーンを用いて、コインを資産単位として暗号資産を管理する。暗号資産管理システム1は、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの暗号資産口座における取引の内容と、を関連付けたブロック(データ)を、ネットワーク上の一又は複数の記憶装置上にブロックチェーンとして記憶する。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0053】
暗号資産管理システム1は、ブロックチェーンに限られず、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの暗号資産口座の残高と、当該ユーザの暗号資産口座における一又は複数の取引の内容と、を関連付けたデータを、暗号資産管理システム1が有する記憶部上にデータベースとして記憶してもよい。
【0054】
[提示処理の説明]
次に、情報処理システムSが決済に利用可能な暗号資産を利用元ユーザに提示する処理を実行するための構成を以下に説明する。利用元ユーザ端末3において、コード情報取得部361は、コード画像を撮像部31が読み取ることによってコード情報を取得する。コード情報は、例えば、利用先ユーザのIDを含む。コード情報は、決済事業者のIDをさらに含んでもよい。
【0055】
問合せ部362は、コード情報取得部361が取得したコード情報を決済サーバ2に送信することによって、利用元ユーザが代金の支払いとして暗号資産を利用できるか否かを決済サーバ2に問い合わせる。決済サーバ2において、情報取得部231は、コード情報取得部として機能し、利用元ユーザ端末3からコード情報を取得する。
【0056】
情報取得部231が利用元ユーザ端末3からコード情報を取得すると、判定部232は、コード情報によって特定される特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定する。具体的には、判定部232は、コード情報に含まれる利用先ユーザのIDによって特定される利用先ユーザ(特定店舗)が利用許可条件を満たすか否かを判定する
【0057】
例えば、判定部232は、コード情報に含まれる利用先ユーザのIDによって特定される特定店舗が、暗号資産の利用が許可されている地域に存在するか否かを判定することによって、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定する。例えば、記憶部22には、暗号資産の利用が許可されている利用先ユーザの許可リストが記憶されており、判定部232は、コード情報に含まれる利用先ユーザのIDによって特定される特定店舗が許可リストに含まれているか否かを判定することによって、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0058】
判定部232は、問合せ部としてさらに機能し、コード情報に含まれる利用先ユーザのIDを暗号資産管理システム1に送信することによって、特定店舗が保有する暗号資産口座が存在するか否かを暗号資産管理システム1に問い合わせてもよい。暗号資産管理システム1は、暗号資産管理システム1は、利用先ユーザのIDを決済サーバ2から取得すると、当該利用先ユーザのIDに関連付けられている暗号資産口座が存在するか否かを判定し、判定した判定結果を決済サーバ2に送信する。そして、判定部232は、特定店舗が保有する暗号資産口座が存在することを示す判定結果を取得した場合、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすと判定し、特定店舗が保有する暗号資産口座が存在しないことを示す判定結果を取得した場合、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たさないと判定する。
【0059】
例えば、特定情報が決済事業者のIDである場合、判定部232は、コード情報に含まれる決済事業者のIDが決済サーバ2を管理する決済事業者を示すか否かによって、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定してもよい。送信部233は、判定部232が判定した判定結果を利用元ユーザ端末3に送信する。
【0060】
上記において、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを利用元ユーザ端末3の問合せ部362が決済サーバ2に問い合わせる例を説明したが、これに限らない。例えば、問合せ部362が、判定部としてさらに機能し、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定してもよい。例えば、記憶部35には、暗号資産の利用が許可されている利用元ユーザを示す情報(例えば許可リスト)が記憶されており、問合せ部362は、記憶部35に記憶されている許可リストを参照し、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定する。
【0061】
問合せ部362は、さらに、利用元ユーザのIDを暗号資産管理システム1に送信することによって、利用元ユーザが支払条件を満たすか否かを暗号資産管理システム1に問い合わせる。暗号資産管理システム1は、利用元ユーザのIDを利用元ユーザ端末3から取得すると、当該利用元ユーザのIDに関連付けられている暗号資産口座が存在するか否かを判定し、判定した判定結果を利用元ユーザ端末3に送信する。暗号資産管理システム1は、利用元ユーザのIDに関連付けられている暗号資産口座が存在すると判定した場合、当該暗号資産口座の残高を判定結果として利用元ユーザ端末3に送信してもよい。
【0062】
利用元ユーザ端末3の表示制御部363は、コード情報によって特定される特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすと判定され、かつ、利用元ユーザが支払条件を満たすと判定された場合に、入力画面を表示部33に表示させる。具体的には、表示制御部363は、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすことを示す判定結果を問合せ部362が決済サーバ2から取得し、かつ、利用元ユーザが支払条件を満たすことを示す判定結果を問合せ部362が暗号資産管理システム1から取得した場合に、入力画面を表示部33に表示させる。
【0063】
図5は、入力画面の一例を模式的に表した図である。
図5に示す例において、入力画面には、利用元ユーザが保有する暗号資産の残高(保有コイン)と、代金の支払いとして利用する暗号資産の利用額を入力するための入力項目とが表示されている。
図5に示すように、表示制御部363は、入力画面において利用元ユーザが保有する暗号資産の残高をさらに表示させてもよい。このようにすることで、利用元ユーザは、利用先ユーザに対して決済で利用できる暗号資産がどれくらいあるかを認識することができる。
【0064】
表示制御部363は、入力画面において、複数の暗号資産の種類のうち、コード情報によって特定される特定情報が利用許可条件を満たすと判定され、かつ、利用元ユーザが支払条件を満たすと判定された暗号資産の種類を表示させてもよい。例えば、まず、問合せ部362は、暗号資産の種類ごとに、コード情報によって特定される特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすか否かと、利用元ユーザが支払条件を満たすか否かと、を問い合わせる。そして、表示制御部363は、複数の暗号資産の種類のうち、特定情報が利用許可条件を満たし、かつ、利用元ユーザが支払条件を満たすと判定された種類の暗号資産を表示部33に表示させる。
【0065】
例えば、上記条件を満たすと判定された暗号資産の種類が1つである場合、表示制御部363は、当該種類の暗号資産の利用額を入力するための入力画面を表示部33に表示させる。また、上記条件を満たすと判定された暗号資産の種類が2つ以上である場合、表示制御部363は、複数の暗号資産の種類のうちの少なくともいずれかの利用額を入力するための入力画面を表示部33に表示させる。このようにすることで、利用元ユーザは、複数の暗号資産を保有していても、利用先ユーザに対して決済で利用できる暗号資産がどれであるかを認識することができる。
【0066】
表示制御部363は、コード情報によって特定される特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たさないと判定された場合、又は利用元ユーザが支払条件を満たさないと判定された場合、利用元ユーザが保有する所定の通貨で決済するための入力画面を表示部33に表示させてもよい。所定の通貨は、例えば電子通貨であり、利用元ユーザがチャージした電子通貨を決済サーバ2が管理している。利用元ユーザ端末3は、コード情報によって特定される特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たさないと判定された場合、又は利用元ユーザが支払条件を満たさないと判定された場合、入力画面を提示せずに後述する決済部235に決済させてもよい。
【0067】
[決済処理の説明]
次に、情報処理システムSが暗号資産を用いて決済する処理を実行するための構成を以下に説明する。決済サーバ2において、入力額取得部234は、入力画面において利用元ユーザが入力した入力額を含む決済要求を取得する。決済要求は、利用元ユーザに関連付けられている暗号資産口座(ユーザ口座)から利用先ユーザに関連付けられている暗号資産口座(店舗口座)に入力額の移転を暗号資産管理システム1に実行させるための要求であり、例えば、利用元ユーザのIDと、利用先ユーザのIDと、入力画面において利用元ユーザが入力した入力額を含む。
【0068】
具体的には、まず、利用元ユーザ端末3において、操作受付部365が、表示部33に表示された入力画面において利用元ユーザによる暗号資産の利用額の入力を受け付けると、送信部366は、暗号資産を利用した決済要求を決済サーバ2に送信する。そして、決済サーバ2において、入力額取得部234は、決済要求を利用元ユーザ端末3から取得する。
【0069】
決済部235は、入力額取得部234が決済要求を取得すると、当該決済要求に含まれる入力額に基づいて、代金を決済する。具体的には、決済部235は、暗号資産管理システム1に対して、利用元ユーザに関連付けられている暗号資産口座(利用元ユーザ口座)から利用先ユーザに関連付けられている暗号資産口座(利用先ユーザ口座)に決済金額(入力額)を移転するための移転要求を通知することにより、代金を決済する。
【0070】
決済部235は、決済要求において決済で利用する通貨に少なくとも暗号資産が含まれる場合に、暗号資産管理システム1に移転要求を通知する。一方、決済部235は、決済要求において決済で利用する通貨に暗号資産が含まれない場合、利用元ユーザが保有する所定の通貨で決済する。
【0071】
暗号資産管理システム1は、決済サーバ2から移転要求を取得すると、移転要求に含まれる入力額が示す決済金額に対応する暗号資産を、利用元ユーザの暗号資産口座から利用先ユーザの暗号資産口座に移転する。暗号資産管理システム1は、例えば、ブロックチェーンを用いて暗号資産を管理する場合に、ブロックチェーンに対して、決済金額に対応するコインの保有者を利用元ユーザから利用先ユーザに変更することを示すブロックを追加する。また、暗号資産管理システム1は、例えば、データベースを用いて暗号資産を管理する場合に、データベースにおいて、利用元ユーザの暗号資産口座から決済金額に対応するコインを減算し、利用先ユーザの暗号資産口座に決済金額に対応するコインを加算してもよい。
【0072】
決済部235は、入力額が代金より少ない場合、代金と入力額との差額を利用元ユーザが保有する所定の通貨で決済してもよい。代金を示す情報は、情報取得部231が取得したコード情報に含まれていてもよいし、入力画面において利用元ユーザによって入力されてもよいし、利用先ユーザ端末4から取得されてもよい。具体的には、まず、決済部235は、決済要求に含まれる入力額が代金より少ないか否かを判定する。決済部235は、決済要求に含まれる入力額が代金より少なくないと判定した場合、入力額に基づいて代金を決済する。一方、決済部235は、決済要求に含まれる入力額が代金より少ないと判定した場合、入力額と、代金及び入力額の差額分の電子通貨とで代金を決済する。なお、決済部235は、利用元ユーザが保有する電子通貨の残高が、代金と入力額との差額より少ない場合、不足分の金額をチャージして決済してもよい。このようにすることで、決済サーバ2は、利用元ユーザに対して、複数の資産(暗号資産及び電子通貨等)を利用させることができる。
【0073】
決済部235は、決済要求に応じて、暗号資産と所定の通貨とで決済してもよい。具体的には、まず、利用元ユーザ端末3において、送信部366は、入力額が代金より少ない場合、利用元ユーザが保有する所定の通貨であって代金と入力額との差額に対応する所定の通貨の利用額をさらに含む決済要求を送信する。そして、決済サーバ2において、決済部235は、決済要求に含まれる暗号資産の入力額及び所定の通貨の利用額とで決済する。このようにすることで、利用元ユーザ端末3は、利用元ユーザに対して、複数の資産を利用させることができる。
【0074】
なお、入力画面には、暗号資産の利用額を入力するための第1入力項目と、電子通貨の利用額を入力するための第2入力項目とが設けられており、送信部366は、第1入力項目において利用元ユーザが入力した暗号資産の入力額と、第2入力項目において利用元ユーザが入力した電子通貨の入力額とを含む決済要求を送信してもよい。
【0075】
決済サーバ2は、利用元ユーザが利用した暗号資産の流通の頻度に応じて、利用元ユーザに特典を付与してもよい。特典は、例えば、暗号資産の負担者が提供するサービスで利用可能なポイント等である。具体的には、付与部236は、暗号資産の入力額が利用先ユーザの暗号資産口座に移転された後において、利用先ユーザが入力額の暗号資産を他のユーザ(店舗)で利用した場合、利用先ユーザが利用した額に応じた特典を利用元ユーザに付与する。
【0076】
例えば、暗号資産がブロックチェーンを用いて管理されている場合、まず、付与部236は、利用先ユーザが利用した暗号資産のブロックを参照し、利用先ユーザの直前に暗号資産を保有していた利用元ユーザを特定する。そして、付与部236は、利用先ユーザが利用した額に応じた特典を、特定した利用元ユーザに付与する。暗号資産管理システム1が暗号資産の移転の履歴を管理している場合、付与部236は、暗号資産の移転の履歴を参照し、利用先ユーザの直前に暗号資産を保有していた利用元ユーザを特定する。付与部236は、例えば、利用先ユーザが利用した額が多いほど、ポイントを多く付与する。このようにすることで、決済サーバ2は、暗号資産の利用を促すことができる。
【0077】
[情報処理方法のシーケンス]
図6は、本実施形態に係る情報処理システムSが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。なお、
図6に示すS3、S4の処理は、S5、S6の処理の後に実行されてもよい。本処理は、利用元ユーザ端末3のコード情報取得部361が、コード画像を撮像部31が読み取ることによってコード情報を取得したことを契機として開始する(S1)。問合せ部362は、コード情報取得部361が取得したコード情報を決済サーバ2に送信する(S2)。
【0078】
決済サーバ2において、コード情報取得部361が利用元ユーザ端末3からコード情報と利用元ユーザのIDとを取得すると、判定部232は、コード情報に含まれる利用先ユーザのIDによって特定される特定店舗が、暗号資産の利用が許可されている地域に存在するか否かを判定する(S3)。送信部233は、判定部232が判定した判定結果を利用元ユーザ端末3に送信する(S4)。
【0079】
利用元ユーザ端末3において、問合せ部362は、利用元ユーザのIDを暗号資産管理システム1に送信する(S5)。暗号資産管理システム1は、利用元ユーザのIDを利用元ユーザ端末3から取得すると、当該利用元ユーザのIDに関連付けられている暗号資産口座が存在するか否かを判定し、判定した判定結果を利用元ユーザ端末3に送信する(S6、S7)。
【0080】
利用元ユーザ端末3において、表示制御部363は、特定情報が暗号資産の利用許可条件を満たすことを示す判定結果を問合せ部362が決済サーバ2から取得し、かつ、利用元ユーザが支払条件を満たすことを示す判定結果を問合せ部362が暗号資産管理システム1から取得した場合に、入力画面を表示部33に表示させる。操作受付部365は、入力画面において暗号資産及び所定の通貨のうちの少なくともいずれかの利用額の入力を受け付ける(S8)。送信部366は、利用元ユーザが入力した入力額を含む決済要求を決済サーバ2に送信する(S9)。
【0081】
決済部235は、決済要求において決済で利用する通貨に少なくとも暗号資産が含まれるか否かを判定する(S10)。決済部235は、決済要求において決済で利用する通貨に暗号資産が含まれないと判定した場合(S10においてNO)、利用元ユーザが保有する所定の通貨で決済する(S11)。
【0082】
一方、決済部235は、決済要求において決済で利用する通貨に暗号資産が含まれると判定した場合(S10においてYES)、暗号資産管理システム1に移転要求を通知する(S12)。そして、暗号資産管理システム1は、移転要求に含まれる入力額が示す決済金額に対応する暗号資産を、利用元ユーザの暗号資産口座から利用先ユーザの暗号資産口座に移転する(S13)。
【0083】
<変形例>
上記において、情報処理システムSは、コード情報に基づいて暗号資産の利用を制御する例を説明したが、これに限らない。例えば、情報処理システムSは、利用元ユーザ端末3の位置に基づいて暗号資産の利用を制御してもよい。
【0084】
例えば、利用元ユーザ端末3は、不図示のGPS(Global Positioning System)受信部をさらに有し、利用元ユーザ端末3がコード画像を読み取ったときにGPS受信部が受信した情報に基づいて特定される利用元ユーザ端末3の位置が、暗号資産が利用可能な地域に含まれるか否かに応じて入力画面を表示部33に表示させる。
【0085】
例えば、暗号資産は、いずれの地域においても利用可能であり、決済サーバ2は、暗号資産の利用に応じてポイントを付与する場合において、利用元ユーザ端末3がコード画像を読み取ったときの利用元ユーザ端末3の位置が所定の地域に含まれるか否かに応じてポイントを付与してもよい。決済サーバ2は、例えば、利用元ユーザ端末3の位置が所定の地域に含まれる場合、利用元ユーザ端末3の位置が所定の地域に含まれない場合よりも付与するポイントを多くする。
【0086】
所定の地域は、決済サーバ2によって予め定められており、所定の期間ごとに異なる地域に変更されてもよい。この場合、例えば、決済サーバ2は、付与するポイントが多くなる地域を地図上に提示してもよい。また、例えば、決済サーバ2は、所定の期間が経過した後に変更される予定の地域を地図上にさらに提示してもよい。
【0087】
[本実施形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理システムSは、利用元ユーザが利用先ユーザに支払う代金の決済として暗号資産を利用できるか否かに応じて入力画面を利用元ユーザに提示し、提示した入力画面において利用元ユーザが入力した入力額に基づいて決済する。これにより、情報処理システムSは、例えば、決済時において、利用元ユーザが保有する暗号資産が利用可能であるか否かを把握していなかったり、利用元ユーザが利用先ユーザに対して利用可能な暗号資産を保有していることを忘れていたりしても、入力画面において利用先ユーザに対して利用可能な暗号資産を提示することにより、利用元ユーザが暗号資産を容易に利用できるようにすることができる。
【0088】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0089】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0090】
1 暗号資産管理システム
2 決済サーバ
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 情報取得部
232 判定部
233 送信部
234 入力額取得部
235 決済部
236 付与部
3 利用元ユーザ端末
31 撮像部
32 通信部
33 表示部
34 操作部
35 記憶部
36 制御部
361 コード情報取得部
362 問合せ部
363 表示制御部
364 資産情報取得部
365 操作受付部
366 送信部
4 利用先ユーザ端末
S 情報処理システム
【要約】 (修正有)
【課題】ユーザが暗号資産を容易に利用できるようにする。
【解決手段】プログラムは、利用元ユーザ端末3を、ユーザが代金を支払う店舗によって提示されたコード画像であって店舗に対して決済の提供が可能な決済事業者のIDを含むコード画像を読み取ることによってコード情報を取得するコード情報取得部361、コード情報取得部361が取得したコード情報に含まれる決済事業者のIDが、代金の支払いに対する利用が許可されている条件が定められている暗号資産の利用許可条件として、暗号資産を用いて代金の決済を行う決済サーバを管理する事業者を示すと判定された場合のみに、店舗において代金を暗号資産で支払うための入力画面を表示部33に表示させる表示制御部363、及び表示部33に表示された入力画面においてユーザが入力した入力額に対応する暗号資産で支払うための決済要求を送信する送信部366、として機能させる。
【選択図】
図3