(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】販売支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20230101AFI20231115BHJP
G06Q 40/08 20120101ALI20231115BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231115BHJP
【FI】
G06Q40/00
G06Q40/08
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019047157
(22)【出願日】2019-03-14
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】田村 英祐
(72)【発明者】
【氏名】小俣 幹男
(72)【発明者】
【氏名】沢田 圭
【審査官】成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-238173(JP,A)
【文献】特開2005-032901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投資信託、保険を商品とした販売を顧客に対して行う際の販売活動を支援する販売支援システムであって、
前記顧客に関する情報であり
当該顧客の識別情報である顧客識別情報と当該顧客が過去に購入した商品を特定する購入商品情報とを含む顧客情報
、及び前記商品の内容を
ファンド名又は保険名の識別コードを含めて特定
し、当該商品が投資信託の場合にはリスクの大小をポイントとして定義して記憶する商品情報
とを、前記商品情報で特定された前記識別コードと各前記顧客による購入年月日及び購入額とが特定できるように互いに紐づけて記憶する記憶部と、
各種情報の内容を表示する表示部と、
前記販売活動に際して用いられた又は得られた資料、あるいは当該資料の内容を特定する情報であ
りアンケート結果と顧客との面談記録を含む販売活動情報を入手して前記記憶部に記憶させると共に、
対象となる前記顧客と前記商品を
それぞれ前記顧客情報、前記商品情報と対応させて認識し、対応する前記顧客情報、前記商品情報、及び前記販売活動情報を前記記憶部から読み出し、当該顧客情報、当該商品情報、及び当該販売活動情報に基づき、
(1)
前記商品についての承認済みと認識された前記面談記録の面談記録番号を前記表示部を介して営業担当者に問い合わせ、当該営業担当者が当該面談記録に対応した面談を認識できない場合、当該面談記録が実際には承認済みではないと認識された場合、前記面談記録の実質的な内容がなかった場合、のいずれかに該当することにより、前記顧客に対しての事前説明が正規に行われていなかったと判定された場合、
(2)
前記商品の前記商品情報と前記販売活動情報に含まれる
前記アンケート結果に基づき
、前記商品情報における投資先と前記アンケート結果における希望投資先とを対比した結果、当該投資先と当該希望投資先とが整合しないため、前記商品の販売が前記顧客に適さないと判定された場合、
(3)
前記商品情報における信託期間と前記顧客の前記顧客情報から認識された年齢とを比較し、当該年齢からみて前記信託期間が長いと判定された場合、又は、前記顧客の年齢が80歳以上の場合において、前記面談記録の作成者が前記顧客に対して日本証券業協会のガイドラインにより規定された役席者でなかった場合、のいずれかに該当することにより、前記商品の販売が前記顧客に適さないと判定された場合、
(4)
前記商品が投資信託である場合に、当該商品の前記ポイントが、前記顧客が過去に購入した投資信託の累積の前記ポイントと対比して過大であるために、前記顧客の投資信託の購入経験が前記商品の購入には適さないと判定された場合、
(5)
前記商品の購入額が前記顧客の過去の購入額の総額と対比して過大であるために、当該顧客の投資金額が適正でないと判定された場合、
のいずれかに該当した場合には、その旨を前記表示部に表示させ、
前記(1)~(5)のいずれにも該当しない場合には、
前記商品の前記商品情報と前記顧客の前記顧客情報に基づき、前記顧客に対する前記商品の販売を締結させる書面を編集あるいは確認させる画面を前記表示部に表示させる制御部と、
を具備することを特徴とする販売支援システム。
【請求項2】
前記資料
には、提示された帳票
が含まれることを特徴とする請求項1に記載の販売支援システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記(1)~(5)における判定の結果を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の販売支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に投資信託や保険を商品とする販売支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融商品の販売に際しては、その販売活動に際して多くの制約が法的に課せられている。例えば、特許文献1には、商品に応じて説明が要求される重要事項の具体的内容を認識し、この説明が実際に行われたか否かを記憶することにより、営業員にこの金融商品の販売活動を行わせることができる営業支援システムが記載されている。
【0003】
また、金融商品の販売に際しては、例えば営業員が顧客に対してコンプライアンス違反となるような言動を行っていないことが要求される。特許文献2には、営業員と顧客との間の通話記録を音声データとして記憶し、その内容を解析することによって、こうしたコンプライアンス違反となるような言動があった場合には注意を喚起することができる営業支援システム(顧客対応管理(CRM)システム)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-181553号公報
【文献】特開2012-234269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、保険の販売活動を行うに際しては、確認すべき事項として、顧客に関する個人情報、過去に購入した保険商品の内訳、面談(アンケート)結果の内容等、特に確認すべき項目の数が多く、その具体的内容も多岐にわたる。また、この場合には、手順に応じて順次確認すべき項目も発生する。
【0006】
こうした点において、特許文献1、2に記載の技術によって、それぞれ単一の事項のみについての確認が可能となるものの、このように多くの確認事項が存在する場合には、結局、営業担当者による多くの確認作業を要し、営業担当者の負担が大きくなった。特に、上記のような手順に応じた確認作業が必要となる場合には、営業担当者の負担が大きくなり、ミスも多く発生した。
【0007】
更に、この場合においては、特定の案件や特定の顧客に対応した特定の営業担当者がこの作業を行う。営業担当者が交代した場合には、新任の営業担当者がこの作業を行う際の負担は特に大きくなった。このため、販売活動において多くの確認事項がある商品に対応した販売支援システムが求められた。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、投資信託、保険を商品とした販売を顧客に対して行う際の販売活動を支援する販売支援システムであって、前記顧客に関する情報であり当該顧客の識別情報である顧客識別情報と当該顧客が過去に購入した商品を特定する購入商品情報とを含む顧客情報、及び前記商品の内容をファンド名又は保険名の識別コードを含めて特定し、当該商品が投資信託の場合にはリスクの大小をポイントとして定義して記憶する商品情報とを、前記商品情報で特定された前記識別コードと各前記顧客による購入年月日及び購入額とが特定できるように互いに紐づけて記憶する記憶部と、各種情報の内容を表示する表示部と、前記販売活動に際して用いられた又は得られた資料、あるいは当該資料の内容を特定する情報でありアンケート結果と顧客との面談記録を含む販売活動情報を入手して前記記憶部に記憶させると共に、対象となる前記顧客と前記商品をそれぞれ前記顧客情報、前記商品情報と対応させて認識し、対応する前記顧客情報、前記商品情報、及び前記販売活動情報を前記記憶部から読み出し、当該顧客情報、当該商品情報、及び当該販売活動情報に基づき、(1)前記商品についての承認済みと認識された前記面談記録の面談記録番号を前記表示部を介して営業担当者に問い合わせ、当該営業担当者が当該面談記録に対応した面談を認識できない場合、当該面談記録が実際には承認済みではないと認識された場合、前記面談記録の実質的な内容がなかった場合、のいずれかに該当することにより、前記顧客に対しての事前説明が正規に行われていなかったと判定された場合、(2)前記商品の前記商品情報と前記販売活動情報に含まれる前記アンケート結果に基づき、前記商品情報における投資先と前記アンケート結果における希望投資先とを対比した結果、当該投資先と当該希望投資先とが整合しないため、前記商品の販売が前記顧客に適さないと判定された場合、(3)前記商品情報における信託期間と前記顧客の前記顧客情報から認識された年齢とを比較し、当該年齢からみて前記信託期間が長いと判定された場合、又は、前記顧客の年齢が80歳以上の場合において、前記面談記録の作成者が前記顧客に対して日本証券業協会のガイドラインにより規定された役席者でなかった場合、のいずれかに該当することにより、前記商品の販売が前記顧客に適さないと判定された場合、(4)前記商品が投資信託である場合に、当該商品の前記ポイントが、前記顧客が過去に購入した投資信託の累積の前記ポイントと対比して過大であるために、前記顧客の投資信託の購入経験が前記商品の購入には適さないと判定された場合、(5)前記商品の購入額が前記顧客の過去の購入額の総額と対比して過大であるために、当該顧客の投資金額が適正でないと判定された場合、のいずれかに該当した場合には、その旨を前記表示部に表示させ、前記(1)~(5)のいずれにも該当しない場合には、前記商品の前記商品情報と前記顧客の前記顧客情報に基づき、前記顧客に対する前記商品の販売を締結させる書面を編集あるいは確認させる画面を前記表示部に表示させる制御部と、を具備する。
前記資料には、提示された帳票が含まれていてもよい。
前記制御部は、前記(1)~(5)における判定の結果を前記表示部に表示させてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、販売活動において多くの確認事項がある商品に対応した販売支援システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る販売支援システムが用いられる際の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る販売支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】使用される面談記録付随情報(販売活動情報)の例である。
【
図7】使用されるアンケート結果付随情報(販売活動情報)の例である。
【
図8】実施の形態に係る販売支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態に係る販売支援システムにおけるチェック結果の表示の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して具体的に説明する。ここで本発明の実施の形態に係る販売支援システムにおける商品となるのは、投資信託、保険であり、これらの販売に際しては、チェックすべき項目が多数存在し、そのチェックの手順も適正となることが要求される。この販売支援システムにおいては、入手した各種のデータより、このチェックを適正な手順で行わせることができる。また、この際に、販売支援システム自身が各項目のチェックを行った結果をデフォルトとして提示することにより、チェック者(営業担当者、責任者)の負担を低減させることができる。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る販売支援システム1が用いられる際の構成全体を示す図である。この販売支援システム1は、営業活動を行う本部に設けられ、Webサーバ10と、データサーバ20を具備する。Webサーバ10は、ネットワークNを介して、個々の営業担当者により操作される複数の端末100、本店における他のパーソナルコンピュータ(本店PC110)、顧客等に操作される他のパーソナルコンピュータ(一般ユーザPC120)と接続される。
【0014】
ここで、データサーバ20は、Webサーバ10から、あるいはWebサーバ10を介して端末100、本店PC110、一般ユーザPC120から、投資信託、保険(商品)の販売に際してチェックすべき項目と関連のある情報(販売活動情報)を入手し、記憶する。また、データサーバ20は、登録された顧客に関する顧客情報や登録された商品(投資信託、保険)に関する商品情報も記憶し、これらを紐づけて認識することができる。
【0015】
図2は、データサーバ20の構成を示すブロック図である。ここでは、データサーバ20全体の制御を行う制御部21が設けられる。また、責任者あるいは営業担当者の操作を受け付けるための操作部22、この際に各種の情報を表示するディスプレイである表示部23が設けられる。また、上記の全ての情報を記憶するハードディスクや不揮発性メモリ等で構成される記憶部24も設けられる。また、この情報が文字情報や文字(文字列)を含む画像である場合において、情報の中に存在する文字を認識し、所望の文字列を検索する文字認識部25も設けられる。
【0016】
以下に、記憶部24に記憶される情報の具体的内容、これに関連して表示部23で表示される具体的内容について説明する。
図3は、登録された顧客を識別するための情報(顧客識別情報)の例であり、1人分の顧客情報の具体的内容に対応する。ここでは、顧客ごとに設定された顧客コード、担当支店名、顧客氏名、住所、生年月日、職業、連絡先、年齢、性別が、顧客(顧客コード)毎に指定される。この内容は、表示部23で表示され、操作部22を用いて編集可能とされる。この設定内容が、記憶部24に顧客識別情報として記憶される。
【0017】
また、
図4は、登録、記憶された商品情報の例である。ここでは、商品として2種類の投資信託が設定されている。この商品情報(投信情報)としては、商品毎に識別コードが設定され、目論見書に記載すべき各事項が記録されており、ここでは、委託会社、投資先、最新の基準価額及びその前日比変動、決算日、信託期間が記憶されている。実際には
図4の内容は一部分であり、より詳細な事項(リスク等)が記憶されている。最新の基準価額等は、Webサーバ10等を介して制御部21が認識することができる。保険についても、同様に、その内容の詳細条件を特定する商品情報(保険情報)が登録され、記憶部24に記憶されている。
【0018】
また、
図5は、
図3に示された顧客が過去に購入した商品の内容を示す購入商品情報の一部を示す例であり、
図5(a)においては投資信託に関する購入商品情報である購入投信情報、
図5(b)においては保険に関する購入商品情報である購入保険情報が記載されている。購入商品情報は顧客毎に設けられているが、実際には上記の商品情報を記憶部24が記憶し、顧客に対応しては、ファンド名又は保険名の識別コードと購入年月日、購入額を顧客毎に記憶し、例えば
図5(a)における基準価額に関する情報は、識別コードに応じて制御部21が作成してもよい。なお、
図4~5に示された情報も、顧客識別情報と同様に編集可能とされる。
顧客識別情報と購入商品情報は各顧客に関する情報(顧客情報)として、顧客ごとに設定される。
【0019】
また、記憶部24は、上記の顧客情報、商品情報とは別に、販売活動に際して得られた情報(文書)、使用された情報(文書)等である販売活動情報も記憶する。このような情報としては、例えば顧客との面談記録、アンケート結果、提示された帳票がある。これらの情報は、文書ファイルや画像ファイルとして記憶することができる。ただし、これらの文書自身ではなく、これらの内容を特定する情報を販売活動情報としてもよい。この場合、例えば、制御部21は、Webサーバ10を介して、端末100、本店PC110、一般ユーザPC120からこれらの文書(ファイル)を入手することができ、これを記憶部24に記憶させることができる。
【0020】
例えば、制御部21が面談記録を入手した場合、制御部21は、これを記憶部24に記憶させる。ここで対象となる面談記録は、この本部の管理下で過去に行われた面談記録であり、これを入手した時点では、これに対応する顧客、商品は特定されていない。この場合、面談記録には、面談記録に付随した面談記録付随情報も紐づけられて記憶される。
図6は、この面談記録付随情報の内容を示す例である。ここでは、面談記録毎に、ファイル名に対応する面談記録識別番号、面談記録種別、面談日時、面談記録作成者(営業担当者名)、顧客紐づけの有無、顧客(顧客コード、顧客名)が記憶される。また、この面談記録種別に応じて設定された承認者の設定と、この承認者による承認の有無が記録されている。
図6においては、ハッチングされた項目(面談日時、面談記録種別、作成者、顧客コードあるいは顧客名が、作成者による操作部22の操作によって入力(選択により設定)される。面談記録識別番号は制御部21によって付与され、顧客紐づけの有無は、顧客コードあるいは顧客名の入力の有無に応じて制御部21が設定する。また、承認者は、設定された面談記録種別によって制御部21が設定する。その承認は、パスワード入力等によって識別されたこの承認者によって行われる。この場合、面談記録と面談記録付随情報とを組み合わせて上記の販売活動情報とすることができる。あるいは、面談記録付随情報のみを上記の販売活動情報としてもよい。
【0021】
制御部21が文字認識部25を用いて面談記録中の文字列を認識し、キーワード検索によって上記の面談記録種別、面談日時、顧客名等を認識できる場合には、認識された内容を表示部23で編集の際のデフォルトとして表示させた上で、編集を行わせてもよい。また、制御部21は、記憶部24に記憶された面談記録に対して、例えば顧客名あるいは顧客コード、商品名あるいは識別コード、面談日時等の指定によるサーチを行うことができる。これによって、上記のような顧客コードの入力(顧客との紐づけ)が容易となる。
【0022】
制御部21は、同様に過去に顧客毎に行われたアンケート結果も販売活動情報として入手し、これを記憶部24に記憶させることもできる。
図7は、このアンケート結果の内容を特定するアンケート結果付随情報の例であり、ここでは、購入の対象となる投資信託に対する要件(投資先、投資金額上限)、保険に対する要件(保険料月額上限)、保険の種類が特定されている。上記のような購入商品情報、アンケート結果は、登録された顧客毎に設定されて記憶される。制御部21は、提示された各種の帳票についても、同様に、あるいはこれに基づく付随情報も同様に、記憶部24に記憶させることができる。
【0023】
制御部21は、以上のように記憶部24に記憶された情報を基に、営業担当者に対して、商品の販売に際してチェックすべき項目とその結果を表示部23に表示させる。
【0024】
図8は、営業担当者が商品(投資信託、保険)の販売を行う際に、制御部21が行わせる動作の流れを示すフローチャートである。まず、制御部21は、識別コードの入力により販売の対象となる商品を、顧客コードの入力により顧客を認識し、その購入額を、営業担当者による操作部22の操作により認識する(S1)。以下では、この商品が投資信託であるものとして説明する。以降は、記憶部24に記憶された顧客情報、商品情報、販売活動情報に基づいて、この顧客にこの商品を販売する際に要求される各種項目のチェックが制御部21により行われる。
【0025】
制御部21は、まず、該当する顧客に対しての事前説明が正規に行われていたかを確認する(S2)。このため、制御部21は、この商品についての承認済みの面談記録の面談記録識別番号を、表示部23を介して営業担当者に問い合わせる。この際、営業担当者は、この面談記録が特定できない場合には、上記のサーチを行うことによって、この面談記録をみつけることができる。制御部21は、この面談記録が承認済みでない、あるいは面談記録がない場合には、事前説明は適切に行われていないと判定する(S2:No)。この場合、制御部21は、表示部23に、適切な事前説明が行われていない旨の表示(警告)を行わせる(S3)。
【0026】
事前説明が適正に行われたと判定した場合(S2:Yes)には、以降は、制御部21は、上記のように記憶部24に記憶された各種の情報に基づき、この商品の販売をこの顧客に対して行うことが適正であるか否かの判定を行う。まず、制御部21は、認識された商品(投資信託)の商品情報(投信情報)と、認識された顧客のアンケート結果を記憶部24から読み出し、商品情報における投資先とアンケート結果における希望投資先とを対比する(S4)。その結果、これらの投資先が合致しない(大きく相違している)場合(S4:No)には、制御部21は、表示部23に、投資先が適正でない旨の表示(警告)を行わせる(S3)。
【0027】
投資先が適正であると判定した場合(S4:Yes)には、制御部21は、記憶部24からこの顧客の顧客識別情報を読出し、その生年月日を認識し、年齢を認識する。その後、制御部21は、顧客が高齢であるために取引が適正でなかったことがないか否かを判定する(S5)。ここでは、例えば商品情報(投信情報)における信託期間がこの年齢に対して適正であるか否かを判定する。例えば、顧客が高齢である場合に信託期間が長い場合は、適正でないと判定される(S5:No)。また、例えば、日本証券業協会のガイドラインにより、80歳以上との取引は役席者が行うものとされている場合があるが、この場合には認識された面談記録(S2)の面談記録付随情報における作成者がこの役席者であるか否かを制御部21が認識することによってこの取引がこの要件を満たすか否か(S5)が判定される。顧客の年齢によるこうした要件が満たされない場合(S5:No)には、制御部21は、表示部23に、高齢者要件が満たされない旨の表示(警告)を行わせる(S3)。
【0028】
高齢者要件が満たされると判定した場合(S5:Yes)には、制御部21は、記憶部24からこの顧客の購入商品情報(購入投信情報)を記憶部24から読み出し、これと認識された商品情報(投信情報)を対比して、この顧客がこの商品の購入に適しているか否かを判定する(S6)。例えば、過去に投資信託を購入した経験が全くない顧客が取引をする場合においては、不適であると認識される(S6:No)。また、上記の投信情報や購入商品情報は簡略化して示されているが、例えば、投資信託のリスクの大小をポイントとして設定してこれらの情報に取り入れ、過去に購入した投資信託の累積ポイントと、今回購入対象の投資信託のポイントを比較し、この判定を行ってもよい。過去の投資経験によるこうした要件が満たされない場合(S6:No)には、制御部21は、表示部23に、投資経験が満たされない旨の表示(警告)を行わせる(S3)。
【0029】
投資経験要件が満たされると判定した場合(S6:Yes)には、制御部21は、同様に、認識された購入額が、過去の購入投信情報における購入額の総額を基準にして適正であるか否かを判定する(S7)。ここでは、例えば認識された購入額が過去の購入額の総額よりも大幅に大きくなっている場合には、購入額(投資金額)が適正でないと認識される(S7: No)。過去の投資金額によるこうした要件が満たされない場合(S7:No)には、制御部21は、表示部23に、投資金額要件が満たされない旨の表示(警告)を行わせる(S3)。
【0030】
投資金額要件が満たされると判定した場合(S7:Yes)には、制御部21は、表示部23において、この顧客に対するこの商品(投資信託)の販売の契約締結前交付書面を編集あるいは確認させる画面を表示させ、営業担当者(操作部22の操作者)に、最終的な契約締結前交付書面を確認させる(S8)。その内容が問題ないと確認されたら(S8:Yes)、契約締結前交付書面が印刷出力される(S9)。
【0031】
上記の動作によれば、営業担当者が個々の事項をチェックすることなく、記憶部24に記憶された各種の情報に基づき、制御部21により個々の事項がチェックされる。ただし、上記のような警告が発せられるような判定結果(S2、S4~S7:No)があった場合でも、制御部21は、操作部21に対する操作者(営業担当者)の操作により、次の確認ステップに移行することができる設定とされる。すなわち、上記のチェック結果は制御部21によるデフォルトとなるものであり、最終的なチェックはあくまで営業担当者あるいは責任者により行われる。しかしながら、こうした場合においても、制御部21によるチェック結果が順序立てて示されるため、これによる営業担当者の負担は小さく、ミスも低減する。
【0032】
また、上記の例では購入商品が投資信託であるものとしたが、保険に対しても、個々のチェック内容は変わるが、同様の手順で契約締結前交付書面の出力までを行わせることができる。この際、同様に、面談記録、アンケート結果、帳票、あるいはこれの付随情報(販売活動情報)を、この際に用いることができる。
【0033】
また、制御部21は、
図8におけるS2、S4~S8におけるチェック結果を、チェック結果情報として、対応する顧客の顧客識別情報、商品の商品情報と紐づけて記憶部24に記憶させることができる。
図9(a)(b)は、このようなチェック結果情報を一覧表示させた例である。ここでは、制御部21によるチェック結果が「システム判定結果」として表示され、その操作者(営業担当者、責任者)による確認が「確認」として示されている。
図9(a)は、全てのチェック結果がOKであり契約締結前交付書面の出力までが行われた場合を示し、
図9(b)は、高齢者取引の判定(S5)がNGとされた場合の例である。ここでは、営業担当者(操作者)名も同時に記憶される。こうしたチェック結果情報を記憶部24に記憶させることにより、例えば販売活動の途中で営業担当者が交代した場合においても、この販売活動を円滑に進めることができる。この場合、新たな営業担当者がこの結果を容易に認識し、例えばこの顧客に異なる商品を勧誘する、あるいは購入金額を変更させる、等の活動を行うことができる。
【0034】
図8、9においては、商品が投資信託であるものとされたが、商品が保険である場合においても、その内容に応じてチェック項目を設定し、そのチェックを上記と同様に行わせることができる。
【0035】
また、制御部21は、上記のように記憶部24に記憶された情報に基づいて、営業担当者(操作者)に各種の指示を行うこともできる。例えば、制御部21は、顧客識別情報の生年月日に基づき、この生年月日が近付いた場合に、この顧客に対して誕生日祝いの連絡をする旨の表示を、表示部23で行わせることができる。
【0036】
また、商品情報(
図4)、購入商品情報(
図5)に基づき、最新の基準価額が一定値以上騰落、あるいは騰貴した商品(投資信託)があった場合に、この商品の顧客に対して、例えば売買の意思の確認をする旨の表示をさせることもできる。同様に、顧客に対して連絡を要するような事象が商品について発生した場合には、その旨を表示部23で表示させることができる。
【0037】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0038】
1 販売支援システム
10 Webサーバ
20 データサーバ
21 制御部
22 操作部
23 表示部
24 記憶部
25 文字認識部
100 端末
110 本店PC
120 一般ユーザPC
N ネットワーク