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特許7385375胃瘻カテーテルセット、コネクタ及びコネクタ付きチューブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】胃瘻カテーテルセット、コネクタ及びコネクタ付きチューブ
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20231115BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
A61J15/00 Z
A61M39/10 100
A61M39/10 120
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019094301
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020188845
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513245473
【氏名又は名称】鈴木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】福田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】有川 清貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-515596(JP,A)
【文献】特開2015-188521(JP,A)
【文献】特表2014-514023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンが設けられて体内に挿入される長尺のシャフトと体表に露出する体表部とを有する胃瘻カテーテルと、
栄養剤を送り込むためのチューブと前記胃瘻カテーテルとを接続するコネクタと、を備え、
該コネクタは、前記体表部に係脱可能な掛止部を有し、前記胃瘻カテーテルに対して相対的に回動可能に取り付けられており、
前記体表部は、前記掛止部に掛止される被掛止部を備え、
前記掛止部は、前記コネクタが回動されることによって、前記体表部に掛止する掛止状態と、前記体表部から離脱可能な離脱可能状態と、に切り替えられ、
前記体表部には、前記コネクタが回動するときの前記掛止部の移動経路を形成する移動空間が設けられており、
前記移動空間は、前記体表部の外周面に設けられた溝によって形成されており、前記シャフトの長尺方向に延在する仮想軸を中心として周方向に延在し、前記移動空間の少なくとも一部は、前記被掛止部に面しており、
前記被掛止部は、前記仮想軸を中心として、前記溝の底面よりも径方向外側に突出する前記溝の縁部であり、
前記掛止状態及び前記離脱可能状態のそれぞれの状態にある前記掛止部が前記胃瘻カテーテル及び前記コネクタの外部から視認可能であり、
前記掛止状態及び前記離脱可能状態のそれぞれの状態にあるときに前記掛止部が配置される前記移動空間の少なくとも一部は、前記胃瘻カテーテル及び前記コネクタの外部に露出していることを特徴とする胃瘻カテーテルセット。
【請求項2】
前記被掛止部は、前記シャフトよりも高いヤング率を有する請求項1に記載の胃瘻カテーテルセット。
【請求項3】
ルーメンが設けられて体内に挿入される長尺のシャフトと体表に露出する体表部とを有する胃瘻カテーテルと、
栄養剤を送り込むためのチューブと前記胃瘻カテーテルとを接続し、前記体表部に係脱可能な掛止部を有するコネクタと、
前記掛止部の前記体表部からの離脱を制限する障害部と、を備え、
前記コネクタは、前記胃瘻カテーテルに対して相対的に回動可能に取り付けられており、
前記掛止部は、前記コネクタが回動されることによって、前記体表部に掛止する掛止状態と、前記体表部から離脱可能な離脱可能状態と、に切り替えられ、
前記掛止状態及び前記離脱可能状態のそれぞれの状態にある前記掛止部が前記胃瘻カテーテル及び前記コネクタの外部から視認可能であり、
前記障害部は、前記掛止部の前記体表部からの離脱を制限する制限位置と前記離脱を許容する許容位置とに変位可能に構成されていることを特徴とする胃瘻カテーテルセット。
【請求項4】
前記体表部は、前記掛止部に掛止される被掛止部を備え、
前記体表部には、前記コネクタが回動するときの前記掛止部の移動経路を形成する移動空間が設けられており、
前記被掛止部には、前記掛止部を前記移動空間に通すための通し孔が形成されており、
前記制限位置は、前記掛止部を前記移動空間に通す経路上において、前記障害部の少なくとも一部が前記通し孔に重なる位置である請求項3に記載の胃瘻カテーテルセット。
【請求項5】
前記障害部は、前記シャフトの長尺方向に延在する仮想軸を中心として周方向に回動可能に前記体表部に取り付けられている請求項4に記載の胃瘻カテーテルセット。
【請求項6】
前記体表部は、前記掛止部に掛止される被掛止部を備え、
前記体表部には、前記コネクタが回動するときの前記掛止部の移動経路を形成する移動空間が設けられており、
前記被掛止部には、前記掛止部を前記移動空間に通すための通し孔が形成されており、
前記体表部には、前記コネクタが前記胃瘻カテーテルに対して回動したときに、前記掛止部を前記移動空間にガイドするガイド部を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルセット。
【請求項7】
前記コネクタに接続される前記チューブを更に備える請求項1から6のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルセット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルセットに用いられるコネクタ。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルセットに用いられる前記コネクタと、前記コネクタに接続される前記チューブと、を備えるコネクタ付きチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃瘻カテーテルセット、並びに胃瘻カテーテルセットに用いられるコネクタ及びコネクタ付きチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
口や鼻から食物を摂取することが困難な人のために、腹壁を通して直接的に胃内に栄養剤等を投与するための胃瘻カテーテルが従来から用いられている。このような胃瘻カテーテルとしては、栄養剤を供給するためのチューブが一体的に取り付けられたチューブ式のカテーテルと、コネクタを介してチューブが着脱可能(交換可能)に取り付けられたボタン式のカテーテルと、が知られている。ボタン式のカテーテルにおいては、栄養剤の投与時に、コネクタを介してチューブを接続する必要がある。
【0003】
近年、使用者に下痢が生じることを防止するため、高粘度の栄養剤が用いられることが主流となっている。高粘度の栄養剤を投入する場合には、低粘度のものを投入する場合と比較して、注入抵抗が増大するため、大きな荷重をかけて栄養剤をチューブに投入する必要がある。コネクタと胃瘻カテーテルとの構成に関して、チューブに加わる荷重によって、チューブに接続されたコネクタが胃瘻カテーテルから外れないように掛止可能なものが需要者に望まれていた。
【0004】
例えば、特許文献1には、胃瘻カテーテル(同文献には、単にカテーテルと記載。)と、チューブを有して胃瘻カテーテルに固定可能なコネクタと、を備える胃瘻カテーテルセット(同文献には、経腸栄養アセンブリと記載。)が開示されている。この胃瘻カテーテルセットについては、コネクタによる胃瘻カテーテルへの着脱が容易であることにより、チューブの交換が容易となることが記載されている。
具体的には、胃瘻カテーテルは、楕円形状や矢尻状の開口を有するマウントカバーを体表部(体表側に露出する部位)に備え、コネクタは、マウントカバーの開口の形状に整合する楕円形状や矢尻状を有して開口に通される掛止部(同文献には、フランジと記載。)を有する。
【0005】
特許文献1には、コネクタとともに掛止部をマウントカバーに対して相対的に回動させることで、コネクタと胃瘻カテーテルとの掛止状態を切り替えることが記載されている。
より詳細には、術者は、掛止部をマウントカバーの開口内部に通した後、掛止部の形状がカバーの開口の形状に整合しない位置にコネクタを回動することによって、掛止部をマウントカバーの内部で掛止めする。
一方、術者は、掛止部の形状がカバーの開口の形状に整合する位置に回動させることによって、コネクタをマウントカバーに対して着脱可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2012-515596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の胃瘻カテーテルセットは、掛止部が体表部(マウントカバー)の内部に配設されるため、掛止部が体表部に対して掛止めしている状態であるのか、着脱可能な状態であるのかを、術者が直接的かつ確信をもって理解することは困難であった。
このため、掛止位置と着脱可能位置を文字や矢印によってコネクタや胃瘻カテーテルの体表部に示すことも考えられるが、術者は、掛止状態と着脱可能状態とを直接的及び直感的に理解することが困難であることに変わりはなく、使い勝手のよい胃瘻カテーテルセットが望まれていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、コネクタと胃瘻カテーテルとの掛止めに関して使い勝手の良い胃瘻カテーテルセット、コネクタ及びコネクタ付きチューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の胃瘻カテーテルセットは、ルーメンが設けられて体内に挿入される長尺のシャフトと体表に露出する体表部とを有する胃瘻カテーテルと、該胃瘻カテーテルと栄養剤を送り込むためのチューブとを接続するコネクタと、を備え、該コネクタは、前記体表部に係脱可能な掛止部を有し、前記胃瘻カテーテルに対して相対的に回動可能に取り付けられており、前記掛止部は、前記コネクタが回動されることによって、前記体表部に掛止する掛止状態と、前記体表部から離脱可能な離脱可能状態と、に切り替えられ、前記掛止状態及び前記離脱可能状態のそれぞれの状態にある前記掛止部が前記胃瘻カテーテル及び前記コネクタの外部から視認可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の胃瘻カテーテルセット、コネクタ及びコネクタ付きチューブによれば、術者は、掛止状態と離脱可能状態とにある掛止部を外部から視認することができ、使い勝手の良い胃瘻カテーテルセット、コネクタ及びコネクタ付きチューブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る胃瘻カテーテルセットの正面図である。
図2図1の胃瘻カテーテルセットの一部(上部)を示す上側斜視図である。
図3】胃瘻カテーテルの一部(上部)を示す上側斜視図である。
図4】胃瘻カテーテルの一部(上部)と、胃瘻カテーテルに対して着脱可能な向きにあるコネクタと、を示す上側斜視図である。
図5】胃瘻カテーテルの一部(上部)と、胃瘻カテーテルに対して掛止状態にあるコネクタと、を示す上側斜視図である。
図6】第1変形例に係る制限リングを備える胃瘻カテーテルの体表部の一部を示す模式的な正面図であり、(a)は、制限リングが掛止爪の切欠きへの挿通を許容している状態を示す図、(b)は、制限リングが掛止爪の切欠きへの挿通を制限している状態を示す図である。
図7】第2変形例に係る胃瘻カテーテルの体表部の一部を示す模式的な正面図である。
図8】(a)は、上記の実施形態に係る切欠きを示す模式的な平面図、(b)は、第3変形例に係る通し孔を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る胃瘻カテーテルセット1、1Xの正面図、図2は、図1の胃瘻カテーテルセット1の一部(上部)を示す上側斜視図、図3は、胃瘻カテーテル2の一部(上部)を示す上側斜視図である。図4は、胃瘻カテーテル2の一部(上部)と、胃瘻カテーテル2に対して着脱可能な向きにあるコネクタ7と、を示す上側斜視図、図5は、胃瘻カテーテル2の一部(上部)と、胃瘻カテーテル2に対して掛止状態にあるコネクタ7と、を示す上側斜視図である。
なお、図2図4及び図5においては、胃瘻カテーテルセット1Xのうち、チューブの他の部位に係る特徴を明瞭に示すため、チューブを省略して他の部位を示している。
【0013】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0014】
<<概要>>
本実施形態に係る胃瘻カテーテルセット1は、栄養剤が通る図3に示すルーメン4aが設けられて体内に挿入される長尺のシャフト4と体表に露出する体表部3とを有する胃瘻カテーテル2と、栄養剤を送り込むためのチューブ6と胃瘻カテーテル2とを接続する図1に示すコネクタ7と、を備える。
コネクタ7は、体表部3に係脱可能な掛止部(掛止爪7c)を有し、胃瘻カテーテル2に対して相対的に回動可能に取り付けられている。
掛止部(掛止爪7c)は、コネクタ7が回動されることによって、体表部3に掛止する掛止状態(図5に示す状態)と、体表部3から離脱可能な離脱可能状態(図4に示す向きのコネクタ7の状態)と、に切り替えられる。
掛止状態及び離脱可能状態のそれぞれの状態にある掛止部(掛止爪7c)が胃瘻カテーテル2及びコネクタ7の外部から視認可能であることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、術者は、掛止状態と離脱可能状態とにある掛止部(掛止爪7c)を外部から視認することができ、胃瘻カテーテル2へのコネクタ7を介したチューブ6の取り付け、取り外しや接続状態の維持に関して、使い勝手の良い胃瘻カテーテルセットを提供することができる。
【0016】
なお、「掛止」とは、必ずしも当接状態で止まっているものに限定されず、所定以上変位したときに当接することによって、その変位する部材の移動を制限することをも含むものとする。
そして、「掛止状態」とは、具体的には、掛止部と後述の被掛止部(フランジ3a)とが対向している状態であり、コネクタ7を胃瘻カテーテル2から離脱する向き(接続する向きの逆向き)に移動させようとしたときに、体表部の少なくとも一部に当接して、その離脱が妨げられる状態である。「離脱可能状態」とは、具体的には、掛止部と被掛止部とが対向していない状態であり、コネクタ7を胃瘻カテーテル2から離脱する向きに移動させようとしたときに、体表部の少なくとも一部に当接せずに、その離脱が許容される状態である。
【0017】
また、「視認可能」については、後述するように、同一方向から掛止状態及び離脱可能状態のそれぞれの状態にある掛止部を直接的に視認可能であれば、術者が視点を変えずに両状態を把握できるため好適であるが、このような構成に限定されない。
つまり、それぞれの状態にある掛止部が異なる方向から視認可能であってもよい。つまり、掛止状態及び離脱可能状態のそれぞれの状態にある掛止部(掛止爪7c)が、いずれかの方向において胃瘻カテーテル2及びコネクタ7の外部に露出していればよい。
【0018】
また、本書において、胃瘻カテーテルセット1は、胃瘻カテーテル2と、コネクタ7と、から構成されるものをいうものとし、胃瘻カテーテルセット1Xは、胃瘻カテーテルセット1に加え、コネクタ7に接続されるチューブ6を更に備えるものをいうものとする。さらに、後述のコネクタ付きチューブ1Yは、胃瘻カテーテルセット1Xに用いられるコネクタ7と、コネクタ7に接続されるチューブ6と、を備えるものをいうものとする。
【0019】
<胃瘻カテーテル>
本実施形態に係る胃瘻カテーテル2は、体表に露出するボタンタイプの体表部3と体表部3に対して基端部が一体的に接続されたシャフト4と、シャフト4の先端部に設けられたバンパー5と、不図示の逆止弁と、を備える。
【0020】
体表部3は、使用者に取り付けられた状態において、使用者の体表に露出する部位であり、後述するコネクタ7に設けられた掛止部(掛止爪7c)に掛止される被掛止部(フランジ3a)を備える。被掛止部(フランジ3a)には、掛止部(掛止爪7c)を移動空間(溝3c)に通すため、外周面から径方向内側に窪んだ通し孔(切欠き3b)が周回方向における一部に形成されている。
なお、フランジ3aに形成された切欠き3bは、掛止爪7cを通すことが可能であるため、厳密には、「被掛止部」は、フランジ3aの下面における切欠き3b以外の部位において、掛止爪7cに対向可能な部位をいう。
ルーメン4aを画定する体表部3における内壁面には、図4に示して後述するコネクタ7の嵌合リブ7daが嵌合する被嵌合溝4cが形成されている。
【0021】
体表部3には、コネクタ7が回動するときの掛止部(掛止爪7c)の移動経路を形成する移動空間(溝3c)が設けられている。
移動空間(溝3c)は、シャフト4の長尺方向に延在する図3に示す仮想軸4b(シャフト4の中心軸)を中心として周方向に延在し、移動空間(溝3c)の少なくとも一部は、被掛止部(フランジ3a)に面している。
掛止状態及び離脱可能状態のそれぞれの状態にあるときに掛止部(掛止爪7c)が配置される移動空間(溝3c)の少なくとも一部は、胃瘻カテーテル2及びコネクタ7の外部に露出している。
【0022】
このように、溝3cが外部に露出していることで、掛止爪7cを溝3c内に配置すれば、掛止状態及び離脱可能状態にある掛止爪7cを外部から視認することができ、術者の使い勝手がよくなる。
なお、本実施形態に係る溝3cは、仮想軸4bを中心として全周回状に形成されているがこのような構成に限定されず、全周回の一部に形成されていてもよい。
【0023】
移動空間は、体表部3の外周面に設けられた溝3cによって形成されており、被掛止部(フランジ3a)は、仮想軸4bを中心として、溝3cの底面よりも径方向外側に突出する溝3cの縁部である。
上記構成によれば、移動空間が溝3cによって形成され、被掛止部(フランジ3a)が溝3cの縁部であるため、掛止部(掛止爪7c)を体表部3の外側から移動空間(溝3c)内に簡単に配設して、被掛止部(フランジ3a)に掛止することができる。
【0024】
シャフト4には、体表部3から形成された図3に示すルーメン4aが中央部に連通して軸心方向に延在している。
バンパー5は径方向に変形可能な可撓性を有し、バンパー5の内部には不図示のワイヤの一部がとぐろを巻くように配設されている。ワイヤは、体表部3からシャフト4を通り、ワイヤの先端側の部位がバンパー5の内部に配設されるように構成されている。
バンパー5は、ワイヤの弾性力が付与されることによって拡径方向に変形し、ワイヤが取り除かれることによって縮径方向に変形可能に構成されている。
【0025】
胃瘻カテーテル2は、ワイヤを含むバンパータイプに限定されず、他のバンパータイプであってもよい。さらには、胃瘻カテーテル2は、バンパータイプではなく、蒸留水等が注入されることによって膨張して胃内に係止可能となり、排出されることによって、胃内に挿入又は胃外に排出可能なバルーンタイプであってもよい。
【0026】
胃瘻カテーテル2の主な部位(シャフト4や体表部3の一部等)の構成部材の材質としては、適度な剛性をもった材質であれば特に限定はされないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はシリコンゴムその他のゴム材料等を用いて構成することができる。
【0027】
一方、胃瘻カテーテル2のうち、後述するコネクタ7の掛止爪7cが掛止めされる被掛止部(フランジ3a)は、シャフト4よりも高いヤング率(曲げ弾性率及び硬度)を有する。
上記構成によれば、フランジ3aのヤング率(曲げ弾性率及び硬度)がシャフト4よりも高いことで、フランジ3aが高い剛性を有することになる。このため、掛止爪7cがフランジ3aを撓ませる方向にコネクタ7が引っ張られたときに、フランジ3aが撓むことにより、掛止爪7cが胃瘻カテーテル2から不意に離脱することを抑制できる。つまり、掛止爪7cの掛止状態を好適に維持することができる。
【0028】
本実施形態に係るフランジ3aは、ポリカーボネート樹脂で構成されたハトメ状の部材の拡径端部であり、シリコンゴム製の体表部3の一部に形成された不図示の凹溝に埋設されて、接着して固定されている。ハトメ状の部材の一部であるフランジ3aは、シリコンゴム製の凹溝の縁との間に間隔を開けて埋設されて、凹溝の縁との間に溝3cを構成している。
例えばフランジ3aに含まれる構成材料としては、ポリカーボネート樹脂に限定されず、シャフト4よりも高いヤング率(曲げ弾性率及び硬度)を有するものであれば、任意のものを採用することができる。
【0029】
<コネクタ>
コネクタ7は、胃瘻カテーテルセット1、1Xに用いられるものであり、チューブ6が接続される本体部7aと、本体部7aに接続された尖鋭部7bと、尖鋭部7bの下面から突出して形成された掛止爪7cと、胃瘻カテーテル2のルーメン4aに挿入される挿入部7dと、を備える。
本実施形態に係るコネクタ7は、全体として略L字状に形成されており、図1に示すように、コネクタ7に接続されたチューブ6は、シャフト4に対して垂直方向に引き出されることになる。なお、コネクタ7は、このように略L字状に形成されているものに限定されず、ストレートタイプであってもよい。ストレートタイプである場合には、コネクタ7に接続されたチューブ6は、シャフト4の延長上に引き出されることになる。
【0030】
本体部7aは、直方体状に形成されて、一端部にチューブ6が接続されている。尖鋭部7bは、本体部7aの他端部に一体的に形成されており、仮想軸4bから径方向外側に向かうにつれて、平面視において均等に先細りに、側面視において上面高さが低くなるように先細りとなるように形成されている。このように尖鋭部7bが形成されていることで、術者は、尖鋭部7bを把持して、尖鋭部7bの下面から突出する掛止爪7cを後述する切欠き3bに通しやすくなる。
掛止爪7cは、鉤爪状に形成されており、図4に示すように、尖鋭部7bの挿入部7d側の面(下面)から下方に延出する延出部7caと、延出部7caの下端から挿入部7d側に延出する爪先7cbと、によって形成されている。
【0031】
爪先7cbにおける仮想軸4bを中心とした径方向内側の面(先端面)は、挿入部7dがルーメン4aに取り付けられた状態において、フランジ3aの径方向外側の面よりも径方向内側、かつ、溝3cの底面よりも径方向外側に形成されている。つまり、コネクタ7の挿入部7dをルーメン4aに挿入したときに、爪先7cbは、溝3c内に配設されるように構成されている。
延出部7caにおける仮想軸4bを中心とした径方向内側の面は、挿入部7dがルーメン4aに取り付けられた状態において、フランジ3aの径方向外側の面よりも径方向外側に形成されている。つまり、仮想軸4bを中心としてコネクタ7を回動させたときに、延出部7caは、フランジ3aに干渉しない位置に配設されている。
【0032】
また、コネクタ7の挿入部7dの外周には、嵌合リブ7daが周回上に設けられている。コネクタ7の嵌合リブ7daが上記の胃瘻カテーテル2の被嵌合溝4cに嵌合したときに、後述する切欠き3bを通った掛止爪7cの爪先7cbが溝3c内に位置するように、掛止爪7c、嵌合リブ7da及び被嵌合溝4cが形成されている。
特に、掛止爪7cがフランジ3aに掛止した状態から、爪先7cbの上面がフランジ3aの下面に当接するようにコネクタ7がシャフト4に対して傾けられたときであっても、嵌合リブ7daが被嵌合溝4cから抜け出さない位置関係であると好適である。
【0033】
なお、爪先7cbにおけるフランジ3aに当接する部位にウレタン等の弾性部材を備えるようにしてもよい。このような構成によれば、爪先7cbが弾性変形した状態で、フランジ3aに当接させるようにして、胃瘻カテーテル2に対するコネクタ7のぐらつきを好適に抑制することができる。
【0034】
<胃瘻カテーテルに対するコネクタの取り付け方法及び取り外し方法>
術者は、コネクタ7を胃瘻カテーテル2に取り付ける際には、図4に示すように、コネクタ7の掛止爪7cが胃瘻カテーテル2の切欠き3bの仮想軸4b方向の延長上に位置する向きにコネクタ7を向けて、コネクタ7を体表部3に押し込む。
具体的には、術者は、コネクタ7の嵌合リブ7daが被嵌合溝4cに嵌合する位置まで、コネクタ7の挿入部7dを胃瘻カテーテル2のルーメン4aに押し込む。このとき、掛止爪7cの爪先7cbは、切欠き3bを通過し、溝3c内に配置されることになる。
【0035】
そして、コネクタ7と胃瘻カテーテル2の接続状態を安定させるため、術者は、コネクタ7を、仮想軸4b周りに回動させて、爪先7cbの位置を切欠き3bに重なる位置からフランジ3aに重なる位置にずらす(図1図2及び図5参照)。このようにすることで、嵌合リブ7daと被嵌合溝4cの嵌合に加えて、掛止爪7cがフランジ3aの下面によって掛止めされることになり、コネクタ7の胃瘻カテーテル2からの離脱を確実に防ぐことが可能となる。
【0036】
術者は、コネクタ7を胃瘻カテーテル2から取り外す際には、図4に示すように、コネクタ7の掛止爪7cが胃瘻カテーテル2の切欠き3bの仮想軸4b方向の延長上に位置する向きにコネクタ7を向けて、コネクタ7を体表部3から引っ張って取り外す。このとき、掛止爪7cの爪先7cbは、切欠き3bを通過し、体表部3の上方に離間することになる。
【0037】
特に、本実施形態に係るフランジ3a、切欠き3b及び掛止爪7cは、体表部3及びコネクタ7の側方(同一方向)に露出している(視認可能である)ため、術者は、フランジ3aに対する掛止爪7cの掛止状態と離脱可能状態とを視点を変えずに視認することが可能となる。このため、術者は、各状態に移行する際に、コネクタ7の向きの調整を素早く行うことができる。
【0038】
胃瘻カテーテル2に対して、コネクタ7を取り付け又は取り外ししやすくするように、掛止爪7cが切欠き3bに重なり、切欠き3bに通すことができる状態となることを示すマーカー、溝又は突起等の不図示の標識部を用いるようにしてもよい。例えば、この標識部は、胃瘻カテーテル2の体表部3若しくはコネクタ7又はこれらの双方に設けられる。
【0039】
なお、上記実施形態においては、掛止爪7cを通す切欠き3bが、フランジ3aの周回方向において一箇所だけ設けられているものとして説明した。このような構成によれば、掛止爪7cが切欠き3bを不意に通ることにより、コネクタ7が胃瘻カテーテル2から不意に離脱することを防止できるため好適である。しかしながらこのような構成に限定されず、切欠き3bは、フランジ3aの周回方向において複数箇所設けられていてもよい。
【0040】
[第1変形例]
次に、第1変形例に係る体表部13について、図6を参照して説明する。図6は、第1変形例に係る制限リング18を備える胃瘻カテーテル2の体表部13の一部を示す模式的な正面図である。図6(a)は、制限リング18が掛止爪7cの切欠き18aへの挿通を許容している状態を示す図、図6(b)は、制限リング18が掛止爪7cの切欠き18aへの挿通を制限している状態を示す図である。
【0041】
本例に係る胃瘻カテーテルセット1は、掛止部(掛止爪7c)の体表部13からの離脱を制限する障害部(制限リング18)を更に備える。
障害部(制限リング18)は、掛止部(掛止爪7c)の体表部13からの離脱を制限する制限位置と離脱を許容する許容位置とに変位可能に構成されている。
上記構成によれば、制限リング18により掛止爪7c(コネクタ7)が体表部13(胃瘻カテーテル2)から離脱することを防止できる。
【0042】
より詳細には、本例に係る体表部13には、制限リング18が遊嵌する溝13cが、フランジ3aよりも上方(コネクタ7の離脱側)において全周回状に形成されている。また、体表部13は、溝13cの上側の縁部として、溝13cの底面よりも径方向外側に突出するフランジ13aを備える。
本例に係る障害部である制限リング18は、溝13cの底面から若干の隙間を空けて配設され、溝13cに遊嵌している。なお、制限リング18は、他の体表部13の部位に対して相対的に回動可能であれば、このような構成に限定されず、隙間なく接触しているものであってもよい。
【0043】
また、制限リング18には、胃瘻カテーテル2に対してコネクタ7を取り付ける、又は離脱させるときに、掛止爪7cを仮想軸4bに平行な方向に通すことが可能な切欠き18aが設けられている。
制限リング18の切欠き18aは、フランジ3aの切欠き3bと同様の形状で形成されているが、掛止爪7cを通すことが可能な大きさで形成されていれば、このような形状に限定されない。
【0044】
障害部(制限リング18)による制限位置は、掛止部(掛止爪7c)を移動空間(溝3c)に通す経路上(仮想軸4bに平行な上下方向)において、障害部(制限リング18)の少なくとも一部が通し孔(切欠き3b)に重なる位置である。
上記構成によれば、障害部(制限リング18)が切欠き3bに重なることで、掛止爪7cが切欠き3b及び切欠き18aを通りにくくすることができ、胃瘻カテーテル2からコネクタ7及びチューブ6が不意に抜脱することを抑制できる。
【0045】
詳細には、図6(a)に示す矢印方向に制限リング18を回動させることにより、図6(b)に示すように、制限リング18における切欠き18aではない部位の少なくとも一部が切欠き3bと重なる位置に、制限リング18を変位させることができる。このように制限リング18を変位させることにより、溝3c内に収められた爪先7cbが、フランジ3aの切欠き3bを通って、コネクタ7が胃瘻カテーテル2から離脱することを、制限リング18によって制限することができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、掛止爪7cを溝3cに通すための通し孔として、一部が外部に開放された切欠き3bを例に示している。しかしながら、通し孔は、掛止爪7cを溝3cに通すことができれば、このような構成に限定されず、図8(b)に示して後述するように、開放部を有しない通し孔33bであってもよい。
【0047】
本例に係る障害部(制限リング18)は、シャフト4の長尺方向に延在する仮想軸4bを中心として周方向に回動可能に体表部13に取り付けられている。
上記構成によれば、障害部(制限リング18)をシャフト4の仮想軸4bを中心として周方向に回動させることで、上記の制限位置と許容位置とに容易に切り替えることができる。
【0048】
障害部(制限リング18)が体表部13の周方向に回動する構成を説明したが、切欠き3bを通って掛止爪7cが離脱することを制限できれば、このような構成に限定されるものではない。例えば、障害部は、体表部13に対して直線的又は曲線的にスライド可能に取り付けられて、切欠き3bに重なる位置と重ならない位置とに変位可能に構成されるものであってもよい。
【0049】
さらには、障害部としては切欠き3bに重なる位置に変位可能なものに限定されない。
例えば、障害部は、掛止爪7cがフランジ3aに掛止している位置から切欠き3bに重なり体表部3、13から離脱可能な位置への掛止爪7cの変位を制限及び許容するように変位するものであってもよい。
つまり、障害部は、掛止爪7cが掛止状態から離脱可能状態(切欠き3bに重なる位置)に移行することを制限するように、掛止爪7cの回動を制限する構成であってもよい。例えば、障害部は、体表部3、13の一部(例えば、フランジ3a)から、掛止爪7cの移動経路に対して突出及び退避するものであってもよい。
【0050】
[第2変形例]
次に、第2変形例に係る体表部23について、図7を参照して説明する。図7は、第2変形例に係る胃瘻カテーテル2の体表部23の一部を示す模式的な正面図である。
本例に係る被掛止部(フランジ3a)には、上記実施形態同様に、掛止部(掛止爪7c)を移動空間(溝3c)に通すための通し孔(切欠き3b)が形成されている。
さらに、本例に係る体表部23には、コネクタ7が胃瘻カテーテル2に対して回動したときに、掛止部(掛止爪7c)を移動空間(溝3c)にガイドするガイド部(傾斜面23a)を有する。
「ガイドする」とは、コネクタ7の回動に伴って回動する掛止爪7cに対して、回動方向とは異なる方向の荷重を付与して、その移動先を変更、特に溝3cに近接するように変更することをいう。
【0051】
上記構成によれば、コネクタ7が胃瘻カテーテル2の切欠き3bに完全に挿し込まれておらず、掛止爪7cが傾斜面23aに対向する位置にある状態において、コネクタ7を回動させることにより、コネクタ7を胃瘻カテーテル2に挿し込むことができる。
具体的には、上記の状態において、胃瘻カテーテル2に対して、仮想軸4bを中心にコネクタ7を回動させることで、掛止爪7cが傾斜面23aに当接し、傾斜面23aから溝3c方向への反力を受けることになる。この反力により、掛止爪7cは、移動空間(溝3c)にガイドされることになり、コネクタ7の挿入部7dが胃瘻カテーテル2のルーメン4a内に挿し込まれることになる。
【0052】
また、切欠き3bは、仮想軸4bを中心として螺旋状、かつ仮想軸4b方向に延在するように周回方向に形成されていてもよい。つまり、切欠き3bは、側面視において仮想軸4bに対して回転角を有して、仮想軸4b方向に延在していてもよい。上記構成によれば、掛止爪7cを切欠き3bから抜けにくくすることができ、チューブ6の取り回しが問題にならないときに好適である。
【0053】
[第3変形例]
上記の掛止爪7cの移動経路を形成する移動空間は、図1等に示した溝3cに限定されず、また、移動空間に掛止爪7cを通すための通し孔は、図4及び次に説明する図8(a)に示した外部(径方向外向き)に開放された切欠き3bに限定されない。
これに関し、第3変形例に係る体表部33を備える胃瘻カテーテル2Xについて、図8を主に参照して説明する。図8(a)は、上記の実施形態に係る切欠き3bを示す模式的な平面図、図8(b)は、第3変形例に係る通し孔33b、33cを示す模式的な平面図である。
【0054】
本例に係る体表部33のフランジ33aには、掛止爪を上下方向に通す通し孔33bと、掛止爪の延出部7caを周回方向に通す通し孔33cと、が形成されている。厳密には、本例に係る通し孔33b、33cは、図4等に示す掛止爪7cを通すものではなく、掛止爪7cの爪先7cbとは逆向き(径方向外向き)に延出する爪先を有する不図示の掛止爪を通すものである。
【0055】
フランジ33aは、掛止爪の延出部7caの上下方向長さ(尖鋭部7bの下面から爪先の上面までの長さ)よりも小さい厚さで形成されている。そして、挿入部7dがルーメン4aに取り付けられた状態において、フランジ33aの下方に爪先が露出するように構成されている。
【0056】
通し孔33bは、矩形状(略矩形状を含む。)に形成され、通し孔33cと連続して形成されて、通し孔33cよりも径方向外側に延在して形成されている。より詳細には、通し孔33bは、不図示の掛止爪を通すことができるように、挿入部7dがルーメン4aに取り付けられた状態において、通し孔33bの外面は、不図示の掛止爪の爪先よりも径方向外側に位置している。また、通し孔33bにおける周方向の両面間の長さは、不図示の掛止爪における周方向の長さよりも長く形成されている。
【0057】
通し孔33cは、通し孔33bに連続して形成され、図3に示す仮想軸4bを中心として円弧状に形成されており、仮想軸4b(挿入部7d)を中心として回動する延出部7caの軌跡上に形成されている。
【0058】
そして、通し孔33cは、延出部7caを通すことが可能な幅で形成されている。換言すると、挿入部7dがルーメン4aに挿入された状態で、挿入部7dのうちフランジ33aに重なる部位において、仮想軸4bからの延出部7caの外面の径方向における最大長さよりも、仮想軸4bから通し孔33cの外側面への長さは短く、仮想軸4bからの延出部7caの内面の径方向における最小長さよりも、仮想軸4bから通し孔33cの内側面への長さは短い。
【0059】
このような通し孔33b、33cが形成された体表部33においても、通し孔33bを上方から確認でき、通し孔33bに通される不図示の掛止爪の爪先をフランジ33aの側方から確認することができる。
このため、術者は、体表部33の上方と側方とに視点を変えることで、掛止状態にある掛止爪と離脱可能状態にある掛止爪とを直接視認することができ、各状態に移行する際に、コネクタ7の向きの調整を素早く行うことができる。
なお、通し孔33bが通し孔33cから径方向内向きに延出するものを採用し、上記実施形態に係る掛止爪7cを通すものとしてもよい。
【0060】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)ルーメンが設けられて体内に挿入される長尺のシャフトと体表に露出する体表部とを有する胃瘻カテーテルと、
栄養剤を送り込むためのチューブと前記胃瘻カテーテルとを接続するコネクタと、を備え、
該コネクタは、前記体表部に係脱可能な掛止部を有し、前記胃瘻カテーテルに対して相対的に回動可能に取り付けられており、
前記掛止部は、前記コネクタが回動されることによって、前記体表部に掛止する掛止状態と、前記体表部から離脱可能な離脱可能状態と、に切り替えられ、
前記掛止状態及び前記離脱可能状態のそれぞれの状態にある前記掛止部が前記胃瘻カテーテル及び前記コネクタの外部から視認可能であることを特徴とする胃瘻カテーテルセット。
(2)前記体表部は、前記掛止部に掛止される被掛止部を備え、
前記体表部には、前記コネクタが回動するときの前記掛止部の移動経路を形成する移動空間が設けられており、
前記移動空間は、前記シャフトの長尺方向に延在する仮想軸を中心として周方向に延在し、前記移動空間の少なくとも一部は、前記被掛止部に面しており、
前記掛止状態及び前記離脱可能状態のそれぞれの状態にあるときに前記掛止部が配置される前記移動空間の少なくとも一部は、前記胃瘻カテーテル及び前記コネクタの外部に露出している(1)に記載の胃瘻カテーテルセット。
(3)前記移動空間は、前記体表部の外周面に設けられた溝によって形成されており、
前記被掛止部は、前記仮想軸を中心として、前記溝の底面よりも径方向外側に突出する前記溝の縁部である(2)に記載の胃瘻カテーテルセット。
(4)前記掛止部の前記体表部からの離脱を制限する障害部を更に備え、
該障害部は、前記掛止部の前記体表部からの離脱を制限する制限位置と前記離脱を許容する許容位置とに変位可能に構成されている(1)から(3)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルセット。
(5)前記体表部は、前記掛止部に掛止される被掛止部を備え、
前記体表部には、前記コネクタが回動するときの前記掛止部の移動経路を形成する移動空間が設けられており、
前記被掛止部には、前記掛止部を前記移動空間に通すための通し孔が形成されており、
前記制限位置は、前記掛止部を前記移動空間に通す経路上において、前記障害部の少なくとも一部が前記通し孔に重なる位置である(4)に記載の胃瘻カテーテルセット。
(6)前記障害部は、前記シャフトの長尺方向に延在する仮想軸を中心として周方向に回動可能に前記体表部に取り付けられている(5)に記載の胃瘻カテーテルセット。
(7)前記被掛止部には、前記掛止部を前記移動空間に通すための通し孔が形成されており、
前記体表部には、前記コネクタが前記胃瘻カテーテルに対して回動したときに、前記掛止部を前記移動空間にガイドするガイド部を有する(2)から(6)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルセット。
(8)前記被掛止部は、前記シャフトよりも高いヤング率を有する(2)又は(3)に記載の胃瘻カテーテルセット。
(9)前記コネクタに接続される前記チューブを更に備える(1)から(8)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルセット。
(10)(1)から(9)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルセットに用いられるコネクタ。
(11)(1)から(9)のいずれか一項に記載の胃瘻カテーテルセットに用いられる前記コネクタと、前記コネクタに接続される前記チューブと、を備えるコネクタ付きチューブ。
【符号の説明】
【0061】
1、1X 胃瘻カテーテルセット
1Y コネクタ付きチューブ
2、2X 胃瘻カテーテル
3 体表部
3a フランジ(被掛止部、溝の縁部)
3b 切欠き(通し孔)
3c 溝(移動空間)
4 シャフト
4a ルーメン
4b 仮想軸
4c 被嵌合溝
5 バンパー
6 チューブ
7 コネクタ
7a 本体部
7b 尖鋭部
7c 掛止爪(掛止部)
7ca 延出部
7cb 爪先
7d 挿入部
7da 嵌合リブ
13 体表部
13a フランジ
13c 溝
18 制限リング(障害部)
18a 切欠き(通し孔)
23 体表部
23a 傾斜面(ガイド部)
33 体表部
33a フランジ(被掛止部、溝の縁部)
33b、33c 通し孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8