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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】腰痛治療器
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
A61F5/01 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019170160
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021045370
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】596106548
【氏名又は名称】コリトレール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117145
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 純
(72)【発明者】
【氏名】墨屋 勇
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-185064(JP,A)
【文献】特開平08-000764(JP,A)
【文献】特開昭58-218960(JP,A)
【文献】米国特許第04292962(US,A)
【文献】米国特許第03722507(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰椎を伸ばすことができる腰痛治療器であって、一対の梯子を向かい合わせて上端で連結してなる脚立と、当該脚立の上端に人体における骨盤及び下腹部のみを支持する平面部を有する台座が形成され、当該台座の平面部が骨盤を支持する側が下腹部を支持する側より高く形成され、当該平面部における傾斜角度が平面角20°~60°であり、脚立を開いた場合における前記向かい合わせて上端で連結されている脚立同士の開角度が30°~80°であり、さらに前記台座が、骨盤を保持する平面部及び当該平面部における人体の上半身側を支持する端部に骨盤を引っ掛ける凸状部が形成されていることを特徴とする腰痛治療器。
【請求項2】
当該台座の少なくとも表面がクッション性を有していることを特徴とする請求項1に記載された腰痛治療器。
【請求項3】
前記脚立が上端の連結部を回動中心として折り畳むことが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載された腰痛治療器。
【請求項4】
前記脚立に脚の脹脛を引っ掛ける棒が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一に記載された腰痛治療器。
【請求項5】
前記脚立の一方側の下端部近傍に、治療者が両手で把持するための取っ手が設置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一に記載された腰痛治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰椎の異常に起因する慢性腰痛、ぎっくり腰、脊椎の歪み、事故の後遺症、スポーツ損傷を解消する腰痛治療器に関する。特に持ち運びが可能で、かつ最小限の治療スペースにおいて腰痛治療を可能とする腰痛治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
腰痛症は現代病の一つとして増加傾向にあると指摘されている。そして腰痛症の原因の一つとしては、人体の背面部に配置されている脊椎における腰椎の異常に起因することが判明されている。腰椎の異常に起因して、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管窄等といった事象が発生している。腰痛症の原因は様々挙げられている。脊髄間の間には、椎間板と呼ばれる組織がある。かかる椎間板は、上下の脊髄を支える緩衝組織として機能している。しかし、このような椎間板が重力下における直立歩行等によって、組織摩耗が起こり、脊髄間の神経を圧迫することが知られている。
このような観点から、腰椎の異常に起因するものに対しては、幾つかの治療方法が実践されている。
例えば、腰椎周辺の筋力を増強する運動療法や、ストレッチによって筋肉の緊張をほぐして血流を改善し、痛みの原因となる物質の除去を促す方法がある。
【0003】
本発明者は、治療者の脚の脹脛を引っ掛け、うつ伏せになり腹部(特に骨盤前部)をクッション性を有した台座に密着させ、上半身を下方に降ろすことによって、骨盤を支点として人体を90°近く曲げ、その状態から背筋を使用して上半身を45~60°くらいの高さまで動かす運動を繰り返す治療法を考案し実践している。また本発明者は、上記治療法に適した腰痛治療器を開発し治療を行っている。
しかし、上記の腰痛治療器は、診療室に据え置きされることを前提として開発されているため、自由に持ち運ぶことが困難である。
また骨盤を支点として人体を曲げる角度もほぼ90°が限界であり、90°以下の角度を持たせることが困難であった。特に腰を90°以下の角度で折り曲げて、上半身を牽引することによって、より効果的に圧縮された腰椎を引き伸ばすことが可能となる。
【0004】
他方、現在考案されている治療器としては、特許文献1~5のものが知られている。例えば、特許文献1には腰椎を牽引することができる腰痛治療器が開示されている。しかし、これらの治療器は、持ち運ぶことが困難であり、一定範囲の治療スペースが必要となる据え置き型と推定される。
また骨盤を支点として人体を曲げる角度を90°以下とすることについては、積極的な開示はない。
本発明者は、現在知られている腰痛の治療方法や上述した腰痛治療器を検討した。更に本発明者自身が開発した腰痛治療器の効果を保持しつつ、持ち運びが可能なように発展させ、かつ、腰椎部分の屈曲角度を90°以下に曲げることを可能とする腰痛治療器の開発を目指した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2005/000172号国際公開公報
【文献】特開2008-149099号公報
【文献】特開2004-81638号公報
【文献】特開2003-169818号公報
【文献】特開2003-144471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、腰椎の異常に起因する慢性腰痛、ぎっくり腰、脊椎の歪み、事故の後遺症、スポーツ損傷を安全かつ安定的に解消する腰痛治療器を提供することを目的とする。
また軽量化を図り折り畳む構造を採用することによって、持ち運びが可能で、かつ最小限の治療スペースで腰痛治療を可能とする腰痛治療器を提供することを目的とする。
【0007】
また必要に応じて人体を90°以下に折り畳むことによって、圧迫された脊椎を元の状態に戻し、慢性腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニアの治療、事故の後遺症の治癒を可能とする腰痛治療器を提供することを目的とする。
また治療者の足元を固定し、より安全かつ安定的に腰椎周辺の筋肉を強化することが可能となる腰痛治療器を提供することを目的とする。
更に、加圧を負荷して背筋運動を可能とする腰痛治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述した従来技術の課題を解決し、圧迫された脊椎を元の状態に戻し、慢性腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニアの治療、事故の後遺症の治癒といった効果を達成するために、以下の構成を有する腰痛治療器の構成を採用した。
(1)腰椎を伸ばすことができる腰痛治療器であって、一対の梯子を向かい合わせて上端で連結してなる脚立と、当該脚立の上端に人体における骨盤及び下腹部を支持する平面部を有する台座が形成され、当該台座の平面部が骨盤を支持する側が下腹部を支持する側より高く形成され、当該平面部における傾斜角度が平面角20°~60°であり、脚立を開いた場合における前記向かい合わせて上端で連結されている脚立同士の開角度が30°~80°であることを特徴とする腰痛治療器である。
ここで本発明に係る腰痛治療器は、一対の梯子を向かい合わせて連結してなる脚立を有している点に特徴を有する。このような構成を採用することによって、治療者が台座に腹部を密着する際に、安全に昇降することが可能となる。
また本発明に係る台座は、表面角が20°~60°で傾斜している点に特徴を有する。このような角度を有することによって、人体を腰を起点として90°以下に折ることが可能となり、圧迫された脊椎を元の状態に戻し、慢性腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニアの治療、事故の後遺症の治癒が可能となる。
【0009】
このような構成を採用することによって、本発明に係る腰痛治療器は、持ち運びが容易となる。すなわち本発明を使用することによって、上半身が下を向き脊髄を湾曲させ、更に自らの上半身における体重を使用して椎間板を引き伸ばす事ができる。
ここで台座の表面角が20°未満の場合は、重力の基いて人体の体重を利用することができないため圧迫された脊椎を伸ばすことができない。一方、台座の表面角が60°を超える場合は、治療者の腹部から付け根にかけて人体の体重が過度に付加されるため、長時間の使用が困難となり、内臓疾患等の怪我が発生する危険性が生じるため好ましくない。
更に、本発明に係る腰痛治療器は、脚立を開いた場合の開角度が30°~80°であることを特徴とする。本発明に係る腰痛治療器において、開角度を30°未満とすると、器具の使用時における安定性が損なわれる危険性が生じる。開角度を30°以上にすることによって、筋肉を強化するために背中を反らす際の安定性を確保することができる。又、開角度を80°以下に設定することによって、重力を歩行時と逆方向にかけることができるため、脊髄間に存在する椎間板を従来より更に引き伸ばすことができる。
一方、80°を超えて開角度を設定すると、圧迫された脊椎を元の状態に戻す効果が減退するためである。開角度を80°以下とすることにより、人体を腰痛治療器の開放角度に沿わせることによって、圧迫された脊椎を元の状態に戻し、慢性腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニアの治療、事故の後遺症の治癒といった効果を得ることが可能となる。
【0010】
(2)当該台座の少なくとも表面がクッション性を有していることを特徴とする上記(1)に記載された腰痛治療器である。
本発明における台座はクッション性を有していることが好ましい。本発明に係る腰痛治療器は、施術を受ける人の体重の大部分を腹部で支えることになる。この場合は、腹部と密着する台座が硬度な材質で形成されている場合、衝撃を吸収するため又は人体への負荷を軽減するため、肋骨の疲労骨折や、内蔵疾患等の副作用を招く危険性がある。
台座を形成するクッション性を有する材料としては、硬質でない熱硬化性樹脂、例えば軟質ウレタンフォーム、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、ラバーウレタンフォーム、エステル系ウレタン、モールドチップウレタン、ゴム、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱硬化性エラストマー、加硫ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等樹脂が挙げられる。また台座の表面を人造皮革、合成皮革、人工皮革、植物性の代替レザー等で被覆しても良い。
【0011】
(3)前記脚立が上端の連結部を回動中心として折り畳むことが可能であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載された腰痛治療器である。
現在利用されている腰痛治療器は、一般的に治療部屋に据え置きされるものであり、自由に持ち運ぶことを主目的とするものではなかった。本発明に係る腰痛治療器は、施術終了後に上端の連結部を回動することによって折り畳むことが可能である。また脚立も梯子状に中間が抜けているものである為、相対的に軽量化を図ることが可能となる。
【0012】
(4)前記台座が、骨盤を保持する平面部及び当平面部における人体の上半身側に相当する端部に骨盤を引っ掛ける凸状部が形成されていることを特徴とする上記(2)乃至(3)のいずれか一に記載された腰痛治療器である。
本発明に係る腰痛治療器は、骨盤を引っ掛ける凸状部を形成する構造を採用することによって、折り曲げられた上半身を骨盤で固定し、腰椎を延伸することが可能となる。
(5)前記脚立に脚の脹脛を引っ掛ける棒が取り付けられていることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載された腰痛治療器である。
本発明に係る腰痛治療器は、平面部に骨盤と下腹部を載せて体を折り曲げて治療する事から、両脚が地面から浮き上がる可能性がある。このような場合に、脚の脹脛を引っ掛ける棒が取り付けられていることによって、脚部を固定する事ができるため、安全性が向上する効果が得られる。
【0013】
(6)前記脚立の一方側の下端部近傍に、治療者が両手で把持するための取っ手が設置されていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか一に記載された腰痛治療器である。
本発明に係る腰痛治療器の構成を採用することによって、又、脊髄間に存在する椎間板を引き伸ばし、更に使用者が取っ手を把持することよって、脊髄間の筋を強化するができるため、慢性腰痛、ぎっくり腰、脊椎の歪み、事故の後遺症、スポーツ損傷といった、腰椎の異常に起因する病気を効果的に治療し、かつ持続な予防を図ることが可能となる。ようするに、上半身の体重を重力を利用して椎間板を引き伸ばし、更に錘による負荷と背筋運動によって、腰痛をより効果的に治療することが可能となる。
【0014】
また本発明に係る腰痛治療器は、前記脚立を形成する脚が、多段階的に伸縮を可能にする高さ調整手段を備えていても良い。このような構成を本発明に採用することによって、治療者の身長に則して高さを調整することができる。
また本発明に係る腰痛治療器は、前記脚立に脚の脹脛を引っ掛ける棒を設置しても良い。このような構成を本発明に採用することによって、治療者の足元を固定し、より安全かつ安定して、腰椎周辺の筋肉を強化することが可能となる。
【0015】
更に本発明に係る腰痛治療器は、前記脚立の橋渡し部にT字状の端部が回動可能に取り付けられており、端部より延伸する棒の先端であって前記T字状の他端部には棒に直行する方向に握りが形成されており、前記棒の中間部と脚立の間に弾性体が配置され、T字状の他端部を脚立の方向へ牽引している構造を採用しても良い。
このような構成を本発明に採用することによって、背筋運動を行う際にT字状の端部を治療者が把持することによって、弾性体による負荷を利用し、より効果的に腰椎周辺の筋肉を強化することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る腰痛治療器を採用することによって、圧迫された脊椎を元の状態に戻し、慢性腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニアの治療、事故の後遺症の治癒を可能とする腰痛治療器を提供することを目的とする腰椎の異常に起因する慢性腰痛、ぎっくり腰、脊椎の歪み、事故の後遺症、スポーツ損傷を安全かつ安定的に解消することができる。
また本発明に係る腰痛治療器の構造により軽量化を図り折り畳む構造を採用することによって、持ち運びが可能で、かつ最小限の治療スペースで腰痛治療するという効果が得られる。
【0017】
また本発明に係る腰痛治療器を採用することによって、過大な負荷をかけることなく、人体を90°以下に折り畳み、かつ腰部に過大な負荷をかけることなく、自然な応力をもって牽引することができ、圧迫された脊椎を元の状態に戻し、慢性腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニアの治療、事故の後遺症の治癒を可能とする優れた効果が得られる。
また本発明に係る腰痛治療器を採用することによって、治療者の足元を固定し、より安全かつ安定的に腰椎周辺の筋肉を強化することが可能となる。
更に本発明に係る腰痛治療器を採用することによって、加圧を負荷して背筋運動を行うことにより、脊髄間の筋を強化できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係る腰痛治療器を説明するための斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る腰痛治療器の機能を説明するための側面図である。
図3】本発明の実施形態1に係る腰痛治療器の作用機能を説明するための概念図である。
図4】本発明の実施形態1に係る腰痛治療器の作用機能を説明するための概念図である。
図5】本発明の実施形態2に係る腰痛治療器を説明するための斜視図である。
図6】本発明の実施形態2に係る腰痛治療器の折り畳んだ状態を説明するための側面図である。
図7】本発明の実施形態3に係る腰痛治療器を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に則して本発明に係る腰痛治療器の実施形態の例示を説明する。以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1
図1は、本発明の実施形態1に係る腰痛治療器を説明するための斜視図である。
図1に示す如く、本発明の実施形態1に係る腰痛治療器10は、腰椎を伸ばすことができる腰痛治療器であって、一対の梯子を向かい合わせて上端で連結してなる連結部を有する脚立1,2と、当該脚立の上端に骨盤を支持する平面部を有する台座7が形成されている。当該台座7は、軟質ウレタンフォームで形成され合成樹脂のカバーで覆われているクッション性を有した部材である。
台座7における平面部には、人体における主に骨盤を支持する側4と、下腹部を支持する側5とがあり、台座の平面部表面が骨盤を支持する側が下腹部を支持する側より高く形成されている。本実施形態1における平面部の傾斜角度は平面角30°に形成されている。
【0020】
また、実施形態1に係る腰痛治療器は、脚立の上端に連結部を回動可能に設けることによって折り畳むことを可能にしても良い。腰痛治療器自体の折り畳みを可能とすることによって腰痛治療器をより円滑に運搬することが可能となる。
ここで、一対の脚立1,2には、図1に示す如く夫々ステップ6,8及び9,11が配置されている。もちろんステップの数に制限はない。5以上のステップを有していても良いし、ステップがなくても問題はない。ただし、施術を受ける人が脚立の上端に昇って台座上でうつ伏せになる必要があるため、ステップ6,8,9,11を設けておく方が昇降の点からは有利である。
又、本実施形態1に係る腰痛治療器10は、脚立を開いた状態で安定的に固定するための固定棒12を有している。
【0021】
図2、本発明の実施形態1に係る腰痛治療器10の機能を説明するための側面図である。
図2に示す如く実施形態1に係る腰痛治療器10の台座7上に人体Pをうつ伏せに配置する。この際台座7の平面後方に骨盤を当接させ、台座7の平面前方に下腹部を当接させる。人体Pは骨盤を支点として90°以下の角度に折り曲げられる。図2においては、約60°の角度に人体Pは骨盤を支点として折り曲げられている。
ここで図2に示す腰痛治療器は、脚立の開角度(α)は40°である。
また図3は、本発明の実施形態1に係る腰痛治療器10に使用している際の人体Pの骨盤と脊椎の状態を示す概念図である。 図3に示す如く、本実施形態1に係る腰痛治療器10を使用することによって、人体Pの主に上半身が、骨盤を支点にして重力につれて下方に引っ張られた状態となる。そして、このような状態で人体Pを保持する事によって、特に骨盤の根本部分に配置されている脊椎における腰椎を伸ばすことができる。ようするに本実施形態1に係る腰痛治療器10は、脊椎に対して、施術を受ける人体Pにおける上半身の体重を重力を使って歩行時と逆方向にかけることができるため、脊髄間に存在する椎間板を引き伸ばすことができる点に特徴を有する。
【0022】
そして本実施形態1に係る腰痛治療器10のこのような作用によって、普段の生活によって圧迫された脊椎を元の状態に戻し、慢性腰痛、ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニアの治療、事故の後遺症の治癒といった効果を得ることができる。
図4は、本発明の実施形態1に係る腰痛治療器10の作用機能をより詳細に説明するための概念図である
人体Pにおける骨盤70には、根本側から第五腰椎25、第四腰椎24、第三腰椎23、第二腰椎22、第一腰椎21が連接されている。第五腰椎25と第四腰椎24の間T4、第四腰椎24と第三腰椎23との間T3、第三腰椎23と第二腰椎22との間T2、第二腰椎22と第一腰椎21との間T1には、脊髄に繋がる神経等が存在している。人体Pは長年の歩行等に腰椎間T1~T4が狭くなり、それによって脊髄に繋がる神経を圧迫し、腰痛等の異常が発生する。本実施形態1に係る腰痛治療器10を使用することによって、腰を90°以下に折り曲げ、かつ上半身を体重と重力によって牽引することができるため、無理な負荷をかけることなく、筋肉の緊張をやわらげ、腰椎周りの結構循環を良くし、長年にわたって椎体に負荷されていた圧力を軽減し、神経の圧迫を緩和することが可能となる。
【0023】
また本実施形態1に係る腰痛治療器10は、使用時には、脚立の上端にある連結部を回動中心として開いて設置する。このような構造によって、軽量化を図ることができ、かつ折り畳む構造を採用することによって、持ち運びが可能で、かつ最小限の治療スペースで腰痛治療を可能とする効果が得られる。
そして、本実施形態1に係る腰痛治療器10を使用することによって、腰椎の異常に起因する慢性腰痛、ぎっくり腰、脊椎の歪み、事故の後遺症、スポーツ損傷を安全かつ安定的に解消することができる。
【0024】
実施形態2
図5は、本発明の実施形態2に係る腰痛治療器50を説明するための斜視図である。
図5に示す如く、本発明の実施形態2に係る腰痛治療器50は、腰椎を伸ばすことができる腰痛治療器であって、一対の梯子を向かい合わせて上端で連結してなる連結部を有する脚立41,42と、当該脚立の上端に骨盤を支持する平面部を有する台座47が形成されている。当該台座47は、クッション性を有した部材で形成され、中央で2つに分離している。実施形態2に係る腰痛理長期50は、台座47が中央で分離しているため、折り畳むと、図6に示す状態になる。
台座47における平面部には、人体における主に骨盤を支持する側44と、下腹部を支持する側45とがあり、台座の平面部表面が骨盤を支持する側が下腹部を支持する側より高く形成されている。本実施形態2における平面部の傾斜角度は平面角25°に形成されている。
また、実施形態2に係る腰痛治療器50は、脚立の上端に連結部54を回動可能に設けることによって折り畳むことが可能となっている。折り畳むことを可能にすることによって腰痛治療器をより円滑に運搬することが可能となる。
ここで、一対の脚立41,42には、図5に示す如く夫々ステップ46及び49が配置されている。
【0025】
また本実施形態2に係る腰痛治療器50は、使用時には、脚立の上端にある連結部を回動中心として開いて設置する。このような構造によって、軽量化を図ることができ、かつ折り畳む構造を採用することによって、持ち運びが可能で、かつ最小限の治療スペースで腰痛治療を可能とする効果が得られる。
又、本実施形態2に係る腰痛治療器50は、脚立を開いた状態で安定的に固定するための固定棒52を有している。
又、本発明実施形態2に係る腰痛治療器50は、脚立42に脚の脹脛を引っ掛ける棒54が取り付けられている。腰痛治療器50の台座47に腹這いになって施術を受ける人は、かかる引っ掛ける棒54に脹脛をくぐらせることによって、体位を安定させると共に脚を固定することによって、より効果的に腰痛治療を行うことが可能となる。
又、本実施形態2に係る腰痛治療器50は、脚立41の下端部近傍に、治療者が両手で把持するための取っ手57が設置されていることを特徴とする。
【0026】
骨盤前部を台座47の先端上部にあて、骨盤を支点に上半身を下げることによって、腰椎を伸ばす。この際、上半身を下げた状態から両手で取っ手57をみ背筋を利用して上半身を起こす。背中を丸めず真っ直ぐ伸ばした状態で、45~60°位の高さまで上半身を持ち上げる。この動きを5~10回繰返し、動きを終えたら脱力する。体力のある人は、上記の運動を2~3セット繰り返す。
特に骨盤に連接する腰椎は、椎間板ヘルニアの発症部位である。本実施形態2に係る腰痛治療器50は、かかる腰痛を上半身の体重を重力を利用して引き伸ばし、更に上記の背筋運動によって、腰椎間の筋を強化することが可能となる。
更に、本実施形態2に係る腰痛治療器50には、前記台座47が、骨盤を引っ掛ける凸状部58が形成されている。かかる凸状部58に骨盤を引っ掛けることにより、上半身に体重と重力を骨盤を起点として応力が発生するために、より効果的に腰椎間を伸ばし、筋肉の緊張をやわらげ、腰椎周りの結構循環を良くし、長年にわたって椎体に負荷されていた圧力を軽減し、神経の圧迫を緩和することが可能となる。
本実施形態2に係る腰痛治療器50を使用することによって、腰椎の異常に起因する慢性腰痛、ぎっくり腰、脊椎の歪み、事故の後遺症、スポーツ損傷を安全かつ安定的に解消することができる。
【0027】
実施形態3
図7は、本発明の実施形態3に係る腰痛治療器を説明するための斜視図である。
図7に示す如く、本発明の実施形態7に係る腰痛治療器70は、腰椎を伸ばすことができる腰痛治療器であって、一対の梯子を向かい合わせて上端で連結してなる連結部63を有する脚立61,62と、当該脚立の上端に骨盤を支持する平面部を有する台座67が形成され、当該台座67がクッション性を有しており、前記脚立が上端の連結部63を回動中心として折り畳むことが可能であり、脚立を開いた場合の開角度が40°であることを特徴とする。図7は、脚立を開角度40°で開いた状態を示している。
【0028】
又、前記脚立の橋渡し部79にT字状の端部が回動可能に取り付けられており、端部より延伸する棒の先端であって前記T字状の他端部には棒に直行する方向に握り68,68が形成されており、前記棒の中間部と脚立の間に弾性体69が配置され、T字状の他端部を脚立の方向へ牽引していることを特徴とする。
ここで、一対の梯子61,62は、図7において2のステップ65,66が配置されている。又、本実施形態7に係る腰痛治療器70は、脚立を開いた状態で安定的に固定するための固定棒68を有している。
本実施形態7に係る腰痛治療器70は、T字状の棒が設置されている。図示しない施術を受ける人は、かかるT字状の棒にある握り68,68をんで、背筋運動を繰り返すことによって、より脊椎間の筋の強化を行うことができる。特にT字状に付設されている弾性体69が、施術を受ける人の自重に加重する錘となる。現在、病院等で使用されている牽引する事によってヘルニア等を治療する装置は、脊椎間を十分に伸ばすことなく、脊椎間のみ刺激するため、十分な効果が得られない。
すなわち、本実施形態7に係る腰痛治療器70を採用することによって、腰椎の異常に起因する慢性腰痛、ぎっくり腰、脊椎の歪み、事故の後遺症、スポーツ損傷を安全かつ安定的に解消することができる。
【符号の説明】
【0029】
10,50,70 腰痛治療器
1,2,41,42 脚立
7,47,68 台座
57 取っ手
58 凸状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7