(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G11C 7/10 20060101AFI20231115BHJP
G11C 11/4093 20060101ALI20231115BHJP
H03K 19/0175 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G11C7/10 510
G11C11/4093 100
H03K19/0175 220
(21)【出願番号】P 2019188734
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】船木 寿彦
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特許第4513323(JP,B2)
【文献】特開2015-170370(JP,A)
【文献】特開平11-298459(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0069369(US,A1)
【文献】特開平05-167427(JP,A)
【文献】国際公開第2011/007642(WO,A1)
【文献】特開平07-307661(JP,A)
【文献】特開平07-212211(JP,A)
【文献】特開2015-176937(JP,A)
【文献】特開2006-156909(JP,A)
【文献】特開2009-246313(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0285453(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 7/10
G11C 11/4093
H03K 19/0175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央処理装置及びロジック回路が1つの半導体チップ上に形成される半導体デバイスと、
前記1つの半導体チップ上に形成されるメモリデバイスと、を含み、
前記半導体デバイス及び前記メモリデバイスの各々は、
データ及びクロック信号を出力するドライバ回路と、
データ及びクロック信号を入力するレシーバ回路と
、
第1電源電圧より低くかつグランド電位よりも高い第2電源電圧を発生する電圧発生回路と、
を有し、
前記半導体デバイスの前記ドライバ回路は、前記メモリデバイスの前記レシーバ回路に接続され、
前記メモリデバイスの前記ドライバ回路は、前記半導体デバイスの前記レシーバ回路に接続され
、
前記ドライバ回路は、
前記第1電源電圧
および前記第2電源電圧が印加され、
前記第1電源電圧と前記グランド電位との間で推移する入力信号を入力し、前記データ
と、第1クロック信号及び前記第1クロック信号から所定位相シフトされた第2クロック信号
とを前記レシーバ回路に出力し、
前記ドライバ回路は、
出力端子と、
ドレインに前記第2電源電圧が印加され、ソースが前記出力端子に接続され、ゲートに前記入力信号を入力する第1のN型MOSFETと、
ドレインが前記出力端子に接続され、ソースに前記グランド電位が印加され、ゲートに前記入力信号の極性を反転した反転入力信号を入力する第2のN型MOSFETと、
を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記
ドライバ回路は、
前記データを出力するデータ出力回路と、
前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号を出力するクロック出力回路と、を有し、
前記データ出力回路は、データ信号線を介して前記レシーバ回路に接続され、
前記クロック出力回路は、クロック信号線を介して前記レシーバ回路に接続される、請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2クロック信号は、前記第1クロック信号から180°位相シフトされた信号である、請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記メモリデバイスは、複数のラッチ回路を有し、
前記複数のラッチ回路は、
前記第1クロック信号の立ち上がりエッジに同期して前記データをラッチする第1グループのラッチ回路と、
前記第2クロック信号の立ち上がりエッジに同期して前記データをラッチする第2グループのラッチ回路と、を含む、請求項
3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1グループのラッチ回路は、奇数データをラッチし、
前記第2グループのラッチ回路は、偶数データをラッチする、請求項
4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記メモリデバイスは、複数設けられ、前記半導体デバイスの上に積層され、
最上位のメモリデバイス以外の前記複数のメモリデバイスは、各チップを貫通して前記半導体デバイスと接続される、請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記メモリデバイスは、複数設けられ、前記半導体デバイスの上に積層され、
前記複数のメモリデバイスと前記半導体デバイスは、ボンディングワイヤで接続される、請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項8】
中央処理装置及びロジック回路が1つの半導体チップ上に形成される半導体デバイスと、
前記1つの半導体チップ上に形成されるメモリデバイスと、を含み、
前記半導体デバイス及び前記メモリデバイスの各々は、
データ及びクロック信号を出力するドライバ回路と、
データ及びクロック信号を入力するレシーバ回路と、
第1電源電圧より低くかつグランド電位よりも高い第2電源電圧を発生する電圧発生回路と、
を有し、
前記半導体デバイスの前記ドライバ回路は、前記メモリデバイスの前記レシーバ回路に接続され、
前記メモリデバイスの前記ドライバ回路は、前記半導体デバイスの前記レシーバ回路に接続され、
前記ドライバ回路は、前記第1電源電圧および前記第2電源電圧が印加され、前記第1電源電圧と前記グランド電位との間で推移する入力信号を入力し、前記データと、第1クロック信号及び前記第1クロック信号から所定位相シフトされた第2クロック信号とを前記レシーバ回路に出力し、
前記ドライバ回路は、
出力端子と、
ソースに前記第1電源電圧が印加され、ドレインが前記出力端子に接続され、ゲートに前記入力信号の極性を反転した反転入力信号を入力する第1のP型MOSFET
と、
ソースが前記出力端子に接続され、ドレインに前記第2電源電圧が印加され、ゲートに前記入力信号を入力する第2のP型MOSFET
と、
を有する、
半導体装置。
【請求項9】
前記
ドライバ回路は、
前記データを出力するデータ出力回路と、
前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号を出力するクロック出力回路と、を有し、
前記データ出力回路は、データ信号線を介して前記レシーバ回路に接続され、
前記クロック出力回路は、クロック信号線を介して前記レシーバ回路に接続される、請求項
8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2クロック信号は、前記第1クロック信号から180°位相がシフトされた信号である、請求項
9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記メモリデバイスは、複数のラッチ回路を有し、
前記複数のラッチ回路は、
前記第1クロック信号の立ち下がりエッジに同期してデータをラッチする第1グループのラッチ回路と、
前記第2クロック信号の立ち下がりエッジに同期してデータをラッチする第2グループのラッチ回路と、を含む、請求項
10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1グループのラッチ回路は、奇数データをラッチし、
前記第2グループのラッチ回路は、偶数データをラッチする、請求項
11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記メモリデバイスは、複数設けられ、前記半導体デバイスの上に積層され、
最上位のメモリデバイス以外の前記複数のメモリデバイスは、各チップを貫通して前記半導体デバイスと接続される、請求項
12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記メモリデバイスは、複数設けられ、前記半導体デバイスの上に積層され、
前記複数のメモリデバイスと前記半導体デバイスは、ボンディングワイヤで接続される、請求項
12に記載の半導体装置。
【請求項15】
中央処理装置及びロジック回路が1つの半導体チップ上に形成される半導体デバイスと、
前記1つの半導体チップ上に形成されるメモリデバイスと、を含み、
前記半導体デバイス及び前記メモリデバイスの各々は、
データ及びクロック信号を出力するドライバ回路と、
データ及びクロック信号を入力するレシーバ回路と、
を有し、
前記半導体デバイスまたは前記メモリデバイスは、第1電源電圧より低くかつグランド電位よりも高い第2電源電圧を発生する電圧発生回路を有し、前記第2電源電圧を、電源線を介して前記半導体デバイスおよび前記メモリデバイスに供給し、
前記半導体デバイスの前記ドライバ回路は、前記メモリデバイスの前記レシーバ回路に接続され、
前記メモリデバイスの前記ドライバ回路は、前記半導体デバイスの前記レシーバ回路に接続され、
前記ドライバ回路は、前記第1電源電圧および前記第2電源電圧が印加され、前記第1電源電圧と前記グランド電位との間で推移する入力信号を入力し、前記データと、第1クロック信号及び前記第1クロック信号から所定位相シフトされた第2クロック信号とを前記レシーバ回路に出力し、
前記ドライバ回路の一つは、
第1の出力端子と、
ドレインが前記電源線に接続され、ソースが前記第1の出力端子に接続され、ゲートに前記入力信号の一つである第1の入力信号を入力する第1のN型MOSFETと、
ドレインが前記第1の出力端子に接続され、ソースに前記グランド電位が印加され、ゲートに前記第1の入力信号の極性を反転した第1の反転入力信号を入力する第2のN型MOSFETと、
を有し、
前記ドライバ回路の他の一つは、
第2の出力端子と、
ソースに前記第1電源電圧が印加され、ドレインが前記第2の出力端子に接続され、ゲートに、前記入力信号の他の一つである第2の入力信号の極性を反転した第2の反転入力信号を入力する第1のP型MOSFETと、
ソースが前記第2の出力端子に接続され、ドレインが前記電源線に接続され、ゲートに前記第2の入力信号を入力する第2のP型MOSFETと、
を有する、
半導体装置。
【請求項16】
前記ドライバ回路は、
前記データを出力するデータ出力回路と、
前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号を出力するクロック出力回路と、を有し、
前記データ出力回路は、データ信号線を介して前記レシーバ回路に接続され、
前記クロック出力回路は、クロック信号線を介して前記レシーバ回路に接続される、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第2クロック信号は、前記第1クロック信号から180°位相シフトされた信号である、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記メモリデバイスは、複数のラッチ回路を有し、
前記複数のラッチ回路は、
前記第1クロック信号の立ち上がりエッジに同期して前記データをラッチする第1グループのラッチ回路と、
前記第2クロック信号の立ち上がりエッジに同期して前記データをラッチする第2グループのラッチ回路と、を含む、請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第1グループのラッチ回路は、奇数データをラッチし、
前記第2グループのラッチ回路は、偶数データをラッチする、請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記メモリデバイスは、複数設けられ、前記半導体デバイスの上に積層され、
最上位のメモリデバイス以外の前記複数のメモリデバイスは、各チップを貫通して前記半導体デバイスと接続される、請求項19に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、各々がシリコン単体チップで構成されたシステムオンチップデバイスとメモリとの間でのデータ転送をする半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AI(Artificial Intelligence)やCognitiveアプリケーション向けのシステムオンチップデバイス(SoC)では、大規模積和演算回路等のニューラルネットワーク対応機能を搭載し、大量のデータを一度に処理する事が求められている。大量のデータ及びニューラルネットワークの重み等の情報を高速で書き込み・読み出しを繰返す必要性から広帯域で大容量のメモリ構成が要求される。更に動作時の電力増加が課題になってきている。このため、メモリチップ内やSoCチップ内の消費電流の多くを占める信号バス動作電流の削減がより重要になってくる。
【0003】
特許文献1には、多相クロック信号を用いて受信したデータをラッチする半導体装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置では、データ転送において、信号バス上に流れる動作電流の削減や大量のデータを正確に取り込むことに改善の余地がある。
【0006】
実施の形態の課題は、半導体装置の電流消費を削減し、データを高速に転送する動作の信頼性を高めることである。その他の課題および新規な特徴は、本明細書および図面の記載から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態に係る半導体装置は、中央処理装置及びロジック回路が1つの半導体チップ上に形成される半導体デバイス、及び1つの半導体チップ上に形成されるメモリデバイスを有し、半導体デバイス及びメモリデバイスはドライバ回路及びレシーバ回路を有する。ドライバ回路に印加される電源電圧より低い振幅のデータ、第1クロック信号及び前記第1クロック信号から所定位相シフトされた第2クロック信号がドライバ回路から出力され、レシーバ回路は、前記第1及び第2クロック信号の立ち上がりエッジに同期してデータを取り込む。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態に係る半導体装置では、信号バス上での動作電流の削減やデータを高速に転送する動作の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1のデータ転送図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1を利用した信号の波形図である。
【
図3】
図3は、実施の形態2のデータ転送図である。
【
図4】
図4は、4相クロック信号を用いた場合のデータ転送の波形を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態3において、低電圧電源回路を用い低振幅で信号を転送するデータ転送図である。
【
図6】
図6は、低電圧が印加される低振幅ドライバ回路の回路図である。
【
図7】
図7は、
図6の低振幅ドライバ回路の動作波形図である。
【
図8】
図8は、実施の形態4において、出力回路にP型MOSFETを用いた場合のデータ転送図である。
【
図9】
図9は、P型MOSFETを用いた低振幅ドライバ回路の出力回路図である。
【
図11】
図11は、実施の形態5において、
図6と
図9のドライバ回路を組み合わせた低振幅データバスの図である。
【
図12】
図12は、
図11の低振幅データバスにおけるデータ転送時の動作波形を示す図である。
【
図13】
図13は、低振幅ドライバ回路NNDr及びPPDrの共通電源の構成図である。
【
図14】
図14は、低振幅ドライバ回路NNDr、低振幅レシーバ回路Rv及び低振幅ドライバ回路PPDr、低振幅レシーバ回路Rvを組み合わせて使用した更なる変形例を示す図である。
【
図15】
図15は、低振幅ドライバ回路NNDr、低振幅レシーバ回路Rv及び低振幅ドライバ回路PPDr、低振幅レシーバ回路Rvを組み合わせて使用した更なる変形例を示す図である。
【
図16】
図16は、低振幅ドライバ回路NNDr、低振幅レシーバ回路Rv及び低振幅ドライバ回路PPDr、低振幅レシーバ回路Rvを組み合わせて使用した更なる変形例を示す図である。
【
図17】
図17は、低振幅ドライバ回路NNDr、低振幅レシーバ回路Rv及び低振幅ドライバ回路PPDr、低振幅レシーバ回路Rvを組み合わせて使用した更なる変形例を示す図である。
【
図21】
図21は、貫通電極により積層されるSoCチップの平面レイアウト図である。
【
図22】
図22は、貫通電極により積層されるメモリチップの平面レイアウト図である。
【
図23】
図23は、ワイヤにより積層されるSoCチップの平面レイアウト図である。
【
図24】
図24は、ワイヤにより積層されるメモリチップの平面レイアウト図である。
【
図25】
図25は、貫通電極により積層されるSoCチップとメモリチップの積層断面図である。
【
図26】
図26は、ワイヤにより積層されるSoCチップとメモリチップの積層断面図である。
【
図27】
図27は、低振幅ドライバ回路を使用したデータ転送の概略図である。
【
図29】
図29は、低振幅ドライバ回路からレシーバ回路までの信号遅延の周波数特性を示す図である。
【
図30】
図30は、低振幅ドライバ回路の動作波形の周波数依存を示す図である。
【
図31】
図31は、低振幅ドライバ回路を使用したデータバスを介してレシーバ回路へ入力される各信号の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要件または対応する構成要件には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0011】
(実施の形態1)
《半導体装置の構成》
図25は、貫通電極TSV(Through-Silicon Via)を用いたSoCチップとメモリチップの積層断面図である。
【0012】
1はプリント基板、2はSoCチップ、3はメモリチップ、4は各チップの電極とプリント基板とを接続するための配線である。
図25から分かるように、最下層にある基板1から最上層にあるメモリチップまでの間に位置されるSoCチップ2及びメモリチップ3は、そのチップ内を垂直に貫通する配線4により接続される。
【0013】
図26は、ワイヤによるSoCチップとメモリチップの積層断面図である。
【0014】
図26は
図25と異なり、ワイヤ5により基板1、SoCチップ2及びメモリチップ3の各々は接続される。
【0015】
図21は、貫通電極により積層されるSoCチップの平面レイアウト図である。
【0016】
SoCチップ2は、中央処理装置CPU、演算部EU、入出力ポートIOU、上層のメモリチップ及び下層の基板と配線4で接続される配線エリアtsv及びドライバ回路部DrUを有する。
【0017】
ドライバ回路部DrUは、配線4から受けた信号を中央処理装置CPU、演算部EUあるいは入出力ポートIOUへ供給し、また中央処理装置CPU、演算部EUあるいは入出力ポートIOUから受けた信号を配線4へ供給する。ここでいう信号とは、データ、アドレス及びクロック信号を含む制御信号である。
【0018】
図22は、貫通電極により積層されるメモリチップの平面レイアウト図である。
【0019】
メモリチップ3は、メモリアレイMA、メモリアレイを制御する制御回路MCONT、上層あるいは下層のチップと配線4で接続される配線エリアtsv及びドライバ回路部DrUを有する。
【0020】
ドライバ回路部DrUは、配線4から受けた信号を制御回路MCONTへ供給し、あるいは制御回路MCONTから受けた信号を配線4へ供給する。ここでいう信号とは、データ、アドレス及びクロック信号を含む制御信号である。
【0021】
制御回路MCONTは、グローバルバスGBUSを介しメモリアレイMA内のローカルバスLBUSと接続される。ローカルバスLBUSには、複数のメモリセルが接続される。
【0022】
図25及び
図26のメモリチップ3は、例えばSoCチップ2から供給されるクロック信号に同期してデータの書き込み及び読み出しをする同期式DRAMである。
【0023】
図23は、ワイヤにより積層されるSoCチップの平面レイアウト図である。
【0024】
SoCチップ2は、ワイヤボンディングエリアwpd1及びwpd2を有する。SoCチップ2とメモリチップ3は、ワイヤによりワイヤボンディングエリアwpd1で接続される。またSoCチップ2は、ワイヤによりワイヤボンディングエリアwpd1で基板1と接続される。
【0025】
図24は、ワイヤにより積層されるメモリチップの平面レイアウト図である。
【0026】
メモリチップ3は、ワイヤボンディングエリアwpdを有する。メモリチップ3は、上層、下層あるいは基板とワイヤによりワイヤボンディングエリアwpdで接続される。
【0027】
《ドライバ回路部(比較例)の詳細》
図27は、低振幅ドライバ回路を使用したデータ転送の概略図である。
【0028】
低振幅ドライバ回路NNDr、低振幅レシーバ回路Rv、ラッチ回路DFF0、DFF1及びインバータ回路INVは、
図21、
図22、
図23及び
図24に示されるドライバ回路部DrUに含まれる。一例として、
図21のSoCチップ2が
図22のメモリチップ3へ貫通電極(配線エリアtsv)を介して信号を送信する場合、低振幅ドライバ回路NNDrは、SoCチップ2内のドライバ回路部DrUに含まれ、低振幅レシーバ回路Rv等は、メモリチップ3内のドライバ回路部DrUに含まれる。
【0029】
また、別の例として、このようなチップ間ではなく、SoCチップ2内でデータ転送を行う回路、または、メモリチップ3内でデータ転送を行う回路として、
図27のような構成を適用することも可能である。
【0030】
低振幅ドライバ回路NNDrは、その出力回路がN型MOSFETからなり、nビット(nビット幅)のデータDINが並列に入力され、nビット数分のデータバスDBUSへデータDINの電圧振幅よりも低い振幅のデータを出力する。また低振幅ドライバ回路NNDrは、クロック信号CLKINを入力し、クロック信号線CLKTへクロック信号CLKINの電圧振幅よりも低い振幅のクロック信号を出力する。
【0031】
低振幅レシーバ回路Rvは、低振幅ドライバ回路NNDrから出力された低振幅のデータ及びクロック信号を受信する。nビット数分のラッチ回路DFF0及びラッチ回路DFF1が設けられており、ラッチ回路DFF0は、低振幅レシーバ回路Rvによって受信された非反転クロック信号及びnビット数分のデータDoutが並列に供給され、ラッチ回路DFF1は、インバータ回路INVによって反転された反転クロック信号及びnビット数分のデータDoutが並列に供給される。
【0032】
ラッチ回路DFF0は、非反転クロック信号に同期しnビット数分のデータDoutのうち偶数番目のデータDOUTE(0,2,4,・・・)をラッチし、ラッチしたnビット数分のデータを並列に出力する。またラッチ回路DFF1は、反転クロック信号に同期しnビット数分のデータDoutのうち奇数番目のデータDOUTO(1,3,5,・・・)をラッチし、ラッチしたnビット数分のデータを並列に出力する。
【0033】
以降の図面で示される\nは、nビット数分のデータが並列に転送されるよう信号線がnビット分存在することを意味する。またnビット数分のデータの偶数番目のデータ及び奇数番目のデータをそれぞれラッチするラッチ回路は、図面の簡略化のため1つずつしか示していないが、nビット分の数設けられている。
【0034】
【0035】
低振幅ドライバ回路NNDrは、動作電源として電源電圧VDD及びグランド電位VSSが供給され、入力端子TINから入力信号INを入力し、出力信号OUTを出力端子TOUTから出力する。N型MOSFET1及び2は直列接続され、N型MOSFET1のドレインには電源電圧VDD(例えば1.0V)が印加され、ゲートには入力端子TINからの入力信号INが供給され、ソースは出力端子TOUTに接続される。N型MOSFET2のソースにはグランド電位VSS(0V)が印加され、ゲートには入力端子TINからの入力信号INの反転信号が供給され、ドレインは出力端子TOUTに接続される。
【0036】
ハイレベルの入力信号INが供給されると、N型MOSFET1がONし、出力端子TOUTには電源電圧VDDからN型MOSFET1のVth分低くなった電圧の信号が出力信号OUTとして出力されることになる。従って、低振幅ドライバ回路NNDrとしてN型MOSFET1及び2を用いることにより、出力される信号振幅が低減されることになり、データバスDBUSの配線が長くなればなるほど増大する負荷容量への充放電電流が削減され、データバスDBUSの駆動電流が低減することができる。
【0037】
なお、入力信号INは、
図27で示されるデータDINあるいはクロック信号CLKINである。データDINを受ける低振幅ドライバ回路NNDrは、nビット数分設けられる。
【0038】
図29は、低振幅ドライバ回路からレシーバ回路までの信号遅延の周波数特性を示す図である。
【0039】
横軸は周波数、縦軸は遅延tPDを示す。REは信号の立ち上がりエッジの周波数に対する立ち上がり遅延の特性を示し、FEは信号の立ち下がりエッジの周波数に対する立ち下がり遅延の特性を示す。信号の立ち上がりエッジは周波数に影響することなく遅延時間は一定である一方、信号の立ち下がりエッジは周波数が高くなればなるほど立ち下がる時間に遅延が生じる。この現象を更に
図30を用いて説明する。
【0040】
図30は、低振幅ドライバ回路の動作波形の周波数依存を示す図である。
【0041】
Vrcvは低振幅ドライバ回路の出力電圧をロウレベルからハイレベル(またはハイレベルからロウレベル)へ変化させるしきい値を示す。
図28で示した出力回路のN型MOSFET1は、出力電位が高くなるとそのゲート・ソース間電圧Vgが小さくなり、VDD-Vth付近になると出力電圧を上げる能力が急速に下がる。従って、出力電圧としてハイレベルを出力している時間が短いとハイレベル電圧が低く、ハイレベルを出力している時間が長いと高くなる性質がある。これにより、出力電圧を立ち下げる動作でのスタート電圧が異なるため、ハイレベルからロウレベルへの変化する時間の遅延に変動(tPDF1<tPDF2<tPDF3)が生じる。
【0042】
図31は、低振幅ドライバ回路を使用しデータバスを介してレシーバ回路へ入力される各信号の波形を示す図である。
【0043】
低振幅ドライバ回路NNDrは、クロック信号CLKINをクロック信号線CLKTに、nビット数分のデータDINを偶数番目のデータに続いて奇数番目のデータというように偶数番目のデータ及び奇数番目のデータを順次シリアルにデータバスDBUSに出力する。クロック信号線CLKT及びデータバスDBUSの電位は、低振幅ドライバ回路から出力されるクロック信号及びデータに従ってグランド電位VSSからVDD-Vth及びVDD-Vthからグランド電位VSSへ変化する。この時、低振幅ドライバ回路から出力されたクロック信号(ひいては低振幅レシーバ回路Rvから出力されたクロック信号CLKOUT)は、立ち上がりエッジの遅延時間tPDRは安定しているのに対し、立ち下がりエッジの遅延時間tPDFは
図29で示した通り変動する。
【0044】
データの書き込み及び読み出しをクロック信号に従って行うシステムにおいて、クロック信号のエッジに遅延の変動が発生することは、長い配線で構成されるバスを使ってデータ転送をする際、データの受信側(すなわちラッチ回路DFF0,DFF1)でデータを正しく取り込むためのデータウィンドウを狭めてしまう。さらに、データ取り込み時間のばらつきも生じさせ、高速動作性能を大きく劣化させてしまう。
【0045】
《ドライバ回路部(実施の形態1)の詳細》
図1は、実施の形態1のデータ転送図である。
図1では、2相のクロック信号を出力する低振幅ドライバ回路が用いられる。低振幅ドライバ回路の出力回路には、
図28の場合と同様に、N型MOSFETが用いられる。
【0046】
低振幅ドライバ回路NNDr1は、nビット数分のデータDINを並列に入力するよう設けられ、データバスDBUSへデータDINの電圧振幅よりも低い振幅のデータを並列に出力する。また低振幅ドライバ回路NNDr1は、非反転クロック信号CLKIN及び反転クロック信号CLKBINを入力し、クロック信号線CLKTへ非反転クロック信号CLKINの電圧振幅よりも低い振幅のクロック信号を、反転クロック信号線CLKBへ非反転クロック信号CLKBINの電圧振幅よりも低い振幅のクロック信号を出力する。
【0047】
低振幅レシーバ回路Rvは、低振幅ドライバ回路NNDr1から出力されたnビット数分の低振幅のデータを並列に受信し、また非反転クロック信号及び反転クロック信号を受信する。ラッチ回路DFF0は、低振幅レシーバ回路Rvによって受信された非反転クロック信号及びデータDoutが供給され、ラッチ回路DFF1は、低振幅レシーバ回路Rvによって受信された反転クロック信号及びデータDoutが供給される。
【0048】
ラッチ回路DFF0は、非反転クロック信号の立ち上がりエッジに同期しデータDoutのうち偶数番目のデータDOUTE(0,2,4,・・・)をラッチし出力する。またラッチ回路DFF1は、反転クロック信号の立ち上がりエッジに同期しデータDoutのうち奇数番目のデータDOUTO(1,3,5,・・・)をラッチし出力する。
【0049】
低振幅ドライバ回路NNDr1及び低振幅レシーバ回路Rvは、
図21、
図22、
図23及び
図24に示されるドライバ回路部DrUに含まれる。
【0050】
図2は、実施の形態1を利用した信号の波形図である。
【0051】
低振幅レシーバ回路Rvで最初に受信された偶数データDout(0)は、低振幅レシーバ回路Rvで受信された非反転クロック信号CLKOUTの立ち上がりエッジに同期してラッチ回路DFF0でラッチされる。次に低振幅レシーバ回路Rvで最初に受信された奇数データDout(1)は、低振幅レシーバ回路Rvで受信された反転クロック信号CLKBOUTの立ち上がりエッジに同期してラッチ回路DFF1でラッチされる。このように、以降偶数番目のデータDoutは、非反転クロック信号CLKOUTの立ち上がりエッジに同期してラッチ回路DFF0でラッチされた後に出力され、奇数番目のデータDoutは、反転クロック信号CLKBOUTの立ち上がりエッジに同期してラッチ回路DFF1でラッチされた後に出力される。
【0052】
このような方式を用いると、ラッチ回路DFF0,DFF1は、
図27の場合と異なり、共にクロック信号(CLKOUT,CLKBOUT)の立ち上がりエッジに同期してデータをラッチすることができる。これにより、
図27の場合と比較して、データを正しく取り込むためのデータウィンドウを拡大することができる。また、データ取り込み時間のばらつきを抑制することができる。その結果、データを高速に転送する動作の信頼性を向上させることが可能になる。さらに、低振幅の信号を用いることから、信号バス上での動作電流を削減することが可能になる。
【0053】
(実施の形態2)
《ドライバ回路部(実施の形態2)の詳細》
図3は、実施の形態2のデータ転送図である。
図3では、4相のクロック信号を用いてデータ転送が行われる。
【0054】
出力インターフェース回路OIFは、データラッチ回路DLT0、4相クロック発生回路CGEN及び低振幅ドライバ回路NNDr2を有し、nビットのデータDIN及びクロック信号CLKINが供給される。
【0055】
データラッチ回路DLT0は、ラッチ回路DFF00及びDFF01を有する。4相クロック発生回路CGENは、ラッチ回路DFF02~DFF05を有する。低振幅ドライバ回路NNDr2は、出力回路OC0~OC5を有し、出力回路OC0及びOC1は、nビット数分のデータを並列に入力し出力するようnビット数分設けられる。
【0056】
出力回路OC0~OC5は、
図28に示した回路構成であり、入力された信号の電圧振幅よりもN型MOSFET1のVth分低い振幅の信号を出力する。
【0057】
ラッチ回路DFF00、DFF02及びDFF04は、非反転クロック信号が供給され、ラッチ回路DFF01、DFF03及びDFF05は、反転クロック信号が供給される。
【0058】
ラッチ回路DFF00は、非反転クロック信号に同期して偶数番目のデータDIN(0,2,4,・・・)をラッチし出力回路OC0へ出力する。またラッチ回路DFF01は、反転クロック信号に同期して奇数番目のデータDIN(1,3,5,・・・)をラッチし出力回路OC1へ出力する。
【0059】
ラッチ回路DFF02及びDFF03には、各々の出力信号が入力にフィードバックされ、かつインバータ回路によって反転された信号が入力される。ラッチ回路DFF04には、ラッチ回路DFF02の出力信号が入力信号としてフィードバックされる。ラッチ回路DFF05には、ラッチ回路DFF03の出力信号が入力信号としてフィードバックされる。
【0060】
ラッチ回路DFF02は、クロック信号CLK0を出力し、ラッチ回路DFF03は、クロック信号CLK0から90°位相がずれたクロック信号CLK1を出力する。また、ラッチ回路DFF04は、クロック信号CLK0から180°位相がずれたクロック信号CLK2を出力し、ラッチ回路DFF05は、クロック信号CLK0から270°位相がずれたクロック信号CLK3を出力する。
【0061】
低振幅ドライバ回路NNDr2は、偶数番目のデータDE(0,2,4,・・・)をnビット幅の偶数データバスBBUSEへ、奇数番目のデータDO(1,3,5,・・・)をnビット幅の奇数データバスBBUSOへ出力する。また低振幅ドライバ回路NNDr2は、クロック信号線CLKLにクロック信号CLK0~CLK3を出力する。
【0062】
入力インターフェース回路IIFは、データラッチ回路DLT1、クロック復元回路CRC及び低振幅レシーバ回路Rvを有し、偶数データバスBBUSE、奇数データバスBBUSO及びクロック信号線CLKLから各々の信号が供給される。
【0063】
低振幅レシーバ回路Rvは、入力回路IC0~IC5を有する。入力回路IC0は、偶数番目のデータを、入力回路IC1は、奇数番目のデータをデータラッチ回路DLT1へ出力する。また入力回路IC2~IC5は、各クロック信号をクロック復元回路CRCへ出力する。
【0064】
入力回路IC0及びIC1は、nビット数分のデータを並列に入力し出力するようnビット数分設けられる。
【0065】
クロック復元回路CRCは、複数のNANDロジック回路からなり、入力された4相のクロック信号から、クロック信号CLKOUT及びクロック信号CLKOUTを反転したクロック信号CLKBOUTからなる2相のクロック信号を生成し出力する。
【0066】
データラッチ回路DLT1は、ラッチ回路DFF10及びDFF11を有する。ラッチ回路DFF10は、偶数番目のデータをクロック信号CLKOUTの立ち上がりエッジに同期してラッチし出力する。またラッチ回路DFF11は、奇数番目のデータをクロック信号CLKBOUTの立ち上がりエッジに同期してラッチし出力する。
【0067】
【0068】
図4は、4相クロック信号を用いた場合のデータ転送の波形を示す図である。
【0069】
4相クロック発生回路CGENにより、クロック信号CLKINから4相クロック信号CLK0~CLK3が生成される。
【0070】
偶数番目のデータDEは、偶数データバスBBUSEを介して、奇数番目のデータDOは、奇数データバスBBUSOを介して入力インタフェース回路IIFへ供給される。
【0071】
偶数データバスBBUSE及び奇数データバスBBUSOを介して供給されたデータDE及びDOは、4相クロック信号CLK0~CLK3から復元された2相のクロック信号CLKOUT及びCLKBOUTの各々の立ち上がりエッジに同期して順次ラッチ回路DFF10及びDFF11でラッチされる。
【0072】
このデータ転送方式においては、バス駆動のピーク電流が分散し、電源ノイズが低減するため、電源ノイズによる高周波転送特性の悪化が改善される。
【0073】
(実施の形態3)
《ドライバ回路部(実施の形態3)の詳細》
図5は、実施の形態3において、低電圧電源回路を用い低振幅で信号を転送するデータ転送図である。低電圧電源回路VDDG_Genは、電源電圧VDD(例えば1.0V)が印加され、低電圧VDDG(例えば0.5V)を発生する。低電圧VDDGは、低振幅ドライバ回路NNDr3及び低振幅レシーバ回路Rv1に供給される。
【0074】
低振幅ドライバ回路NNDr3、低振幅レシーバ回路Rv1及び低電圧電源回路VDD-Genは、
図21、
図22、
図23及び
図24に示されるドライバ回路部DrUに含まれる。
【0075】
図6は、低電圧が印加される低振幅ドライバ回路の回路図を示す。低電圧電源VDDG_Genから発生された低電圧VDDGは、N型MOSFET1のドレインに供給される。入力端子TINからハイレベルの入力信号INが供給されると、N型MOSFET1のゲートノードAはハイレベルとなり、N型MOSFET2のゲートノードBはロウレベルとなる。この時、N型MOSFET1がONし、出力端子TOUTには、
図28の場合の電圧(例えば電源電圧VDDからN型MOSFET1のVth分低くなった電圧)より低い低電圧VDDGが出力されることになる。
【0076】
入力信号INは、
図5で示されるデータDINあるいはクロック信号CLKIN及びCLKBINである。
【0077】
図7は、
図6の低振幅ドライバ回路の動作波形を示す図である。
【0078】
低振幅ドライバ回路NNDr3の入力信号INがロウレベル(VSS)からハイレベル(VDD)に変化すると、N型MOSFET1のゲートの電位Aがハイレベル(VDD)となりN型MOSFET1がONし、N型MOSFET2のゲートの電位Bがロウレベル(VSS)となりN型MOSFET2はOFFする。この時、出力端子TOUTにはN型MOSFET1を介して出力信号OUTとして低電圧VDDGが出力される。
【0079】
低振幅ドライバ回路NNDr3の入力信号INがハイレベル(VDD)からロウレベル(VSS)に変化すると、N型MOSFET1のゲートの電位Aがロウレベル(VSS)となりN型MOSFET1がOFFし、N型MOSFET2のゲートの電位Bがハイレベル(VDD)となりN型MOSFET2はONする。この時、出力端子TOUTには出力信号OUTとしてグランド電位VSSが出力されることになる。
【0080】
このように、低振幅ドライバ回路NNDr3がハイレベルを出力する時、出力信号OUTは、VDD-Vthよりも低い低電圧VDDGとなる。これにより、低振幅ドライバ回路NNDr3(N型MOSFET1)がほぼOFFとなるまで出力信号OUTの電圧を上昇させることが防げるため、低振幅ドライバ回路NNDr3のハイレベルの出力レート依存性(サイクル依存性など)のばらつき要因が低減できる。
【0081】
さらに低電圧VDDGにより、バス信号系の信号振幅をより低振幅にできるので低パワー化の効果もより大きく得られる。
【0082】
(実施の形態4)
《ドライバ回路部(実施の形態4)の詳細》
図8は、実施の形態4において、出力回路にP型MOSFETを用いた場合のデータ転送図である。
【0083】
低振幅ドライバ回路PPDr及び低振幅レシーバ回路Rvは、各々の動作電圧として電源電圧VDD及び低電圧VDDG(0.5V)が印加される。低電圧VDDGは、グランド電位VSSに接続された低電圧発生回路VDDG2_Genにより生成される。
【0084】
低振幅ドライバ回路PPDr、低振幅レシーバ回路Rv及び低電圧電源回路VDD2_Genは、
図21、
図22、
図23及び
図24に示されるドライバ回路部DrUに含まれる。
【0085】
図9は、P型MOSFETを用いた低振幅ドライバ回路の出力回路図である。
【0086】
低振幅ドライバ回路PPDrは、動作電源として電源電圧VDD及び低電圧VDDGが供給され、入力端子TINから入力信号INを入力し、出力信号OUTを出力端子TOUTから出力する。
【0087】
P型MOSFET1及び2は直列接続され、P型MOSFET1のソースには電源電圧VDD(1.0V)が印加され、ゲートには入力端子TINからの入力信号INが供給され、ドレインは出力端子TOUTに接続される。P型MOSFET2のドレインにはVDDGが印加され、ゲートには入力端子TINからの入力信号INの反転信号が供給され、ソースは出力端子TOUTに接続される。
【0088】
ハイレベルの入力信号INが供給されると、P型MOSFET1がONし、出力端子TOUTには電源電圧VDDの信号が出力信号OUTとして出力されることになる。
【0089】
ロウレベルの入力信号INが供給されると、P型MOSFET2がONし、出力端子TOUTには低電圧VDDGが出力信号OUTとして出力されることになる。
【0090】
つまり、P型MOSFETからなる出力回路では、その出力電圧の振幅は、電源電圧VDDと低電圧VDDGの間となる。これにより、N型MOSFETを用いた低振幅ドライバ回路の出力回路と同様、出力される信号振幅が低減されることになり、データバスDBUSの配線が長くなればなるほど増大する負荷容量への充放電電流が削減され、データバスDBUSの駆動電流を低減することができる。
【0091】
入力信号INは、データDINあるいはクロック信号CLKIN及びCLKBINである。
【0092】
図10は、
図9の低振幅ドライバ回路の動作波形図である。
【0093】
入力信号INがロウレベル(VSS)からハイレベル(VDD)に変化すると、P型MOSFET1のゲートの電位Aがロウレベル(VSS)となりP型MOSFET1がONし、P型MOSFET2のゲートの電位Bがハイレベル(VDD)となりP型MOSFET2はOFFする。この時、出力端子TOUTの出力信号OUTは、P型MOSFET1を介して低電圧VDDGから電源電圧VDDに変化する。
【0094】
入力信号INがハイレベル(VDD)からロウレベル(VSS)に変化すると、P型MOSFET1のゲートの電位Aがハイレベル(VDD)となりP型MOSFET1がOFFし、P型MOSFET2のゲートの電位Bがロウレベル(VSS)となりP型MOSFET2はONする。この時、出力端子TOUTには出力信号OUTとして低電圧VDDGが出力されることになる。
【0095】
このように出力電圧のロウレベルがPMOSのVth分だけ高くなることで長い配線上で転送される信号が低振幅化される。
【0096】
P型MOSFETを用いた低振幅ドライバ回路の出力回路の動作波形は、N型MOSFETを用いた低振幅ドライバ回路の出力回路のハイ及びロウレベルの電圧関係を反転させた形になる。つまり、P型MOSFETを用いた低振幅ドライバ回路では、クロック信号の立ち下がりエッジを使用することが高速動作時に精度を向上させる対策となる。
【0097】
また低電圧VDDGをP型MOSFETのしきい値Vthより高くすることで、隣接するアナログ回路などへの共通GND電源からのノイズ伝搬を防ぎたいケースなどで、有効な低パワーデータ転送回路として使用できる。
【0098】
(実施の形態5)
図11は、実施の形態5において、
図6と
図9のドライバ回路を組み合わせた低振幅データバスの図である。
【0099】
図11は、長い配線上を低振幅の信号で転送する場合において、途中にリピータを設け、その前後の低振幅駆動方式として、N型MOSFETを用いた低振幅ドライバ回路NNDr3とP型MOSFETを用いた低振幅ドライバ回路PPDrを組み合わせた構成である。
【0100】
低振幅ドライバ回路NNDr3の動作電源は、低電圧VDDG及びグランド電位VSSであり、低振幅ドライバ回路PPDrの動作電源は、電源電圧VDD及び低電圧VDDGである。低電圧VDDGは内部電源生成回路によって生成され、低振幅ドライバ回路NNDr3及びPPDrのコモン電源電位として電源電圧VDDの約1/2に設定する。
【0101】
【0102】
図12は、
図11の低振幅データバスにおけるデータ転送時の動作波形を示す図である。
【0103】
図12から分かるように、低振幅ドライバ回路NNDr3では非反転クロック信号CLKT_NN及び反転クロック信号CLKB_NNの立ち上がりエッジに同期させ、低振幅ドライバ回路PPDrでは非反転クロック信号CLKT_PP及び反転クロック信号CLKB_PPの立ち下がりエッジに同期させている。このため、クロック信号に同期した信号の転送及びラッチする精度が向上する。
【0104】
図13は、低振幅ドライバ回路NNDr3及びPPDrの共通電源の構成図である。
【0105】
図11で示した通り、低振幅ドライバ回路NNDr3及びPPDrは、その動作電源として電源線VDDGLを介して低電圧VDDGが共通に供給されるため、低振幅ドライバ回路PPDrの放電電流(Iout0)が電源線VDDGLに流れ込むが、同時に低振幅ドライバ回路NNDr3のドライバ回路側の充電電流(Iout1)として流れ出るため、電荷再利用の効果が生まれる。このため、実施の形態1~4よりも消費パワーが更に1/2程度まで大幅な削減効果が見込める。
【0106】
低振幅ドライバ回路NNDr3、低振幅ドライバ回路PPDr及び低電圧電源回路VDD_Genは、
図21、
図22、
図23及び
図24に示されるドライバ回路部DrUに含まれる。
【0107】
図14~
図17は、低振幅ドライバ回路NNDr、低振幅レシーバ回路NNRv及び低振幅ドライバ回路PPDr、低振幅レシーバ回路PPRvを組み合わせて使用した更なる変形例を示す図である。
【0108】
図14~
図16の低振幅ドライバ回路NNDr、低振幅レシーバ回路NNRv、低振幅ドライバ回路PPDr及び低振幅レシーバ回路PPRvは、
図21、
図22、
図23及び
図24に示されるドライバ回路部DrUに含まれる。また
図17の低振幅ドライバ回路NNDrは、
図22及び
図24においてドライバ回路部DrUに含まれ、低振幅ドライバ回路PPDrは、メモリアレイMA中に含まれる。
【0109】
図14は変形例1を示す。
図14は、nビットデータを奇数番目のデータと偶数番目のデータの2つのグループに分割した場合の例である。
【0110】
奇数番目のデータDIN1及び奇数番目のデータ用クロック信号CLK1は、P型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅ドライバ回路PPDrにより奇数用バスOBUS上に出力され、P型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅レシーバ回路PPRvにより取り込まれる。
【0111】
また偶数番目のデータDIN0及び偶数番目のデータ用クロック信号CLK0は、N型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅ドライバ回路NNDrにより偶数用バスEBUS上に出力され、N型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅レシーバ回路NNRvにより取り込まれる。
【0112】
図15は変形例2を示す。
図15は、nビットデータを信号伝達方向(目的)により2つのグループに分割した場合の例を示す。
【0113】
書き込みデータWDIN及び書き込みデータ用クロック信号WCLKは、P型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅ドライバ回路PPDrにより書き込み用バスWBUS上に出力され、P型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅レシーバ回路PPRvにより取り込まれる。
【0114】
また読み出しデータRDOUT及び読み出しデータ用クロック信号RCLKは、N型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅ドライバ回路NNDrにより読み出し用バスRBUS上に出力され、N型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅レシーバ回路NNRvにより取り込まれる。
【0115】
図16は変形例3を示す。
図16は、動作周波数により2つのグループに分割した場合の例を示す。
【0116】
低周波クロック信号LCLK及び命令INSTは、P型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅ドライバ回路PPDrで受け、命令用バスIBUSに出力される。
【0117】
高周波クロック信号HCLK及びデータDataは、N型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅ドライバ回路NNDrで受け、データバスDBUSに出力される。
【0118】
低周波クロック信号は数百MHz(例えば200MHz)であり、高周波クロック信号は数GHz(例えば1GHz以上)である。
【0119】
図17は変形例4を示す。
図17は、例えばメモリ内を階層バス構造とすることによって2つのグループに分割した場合の例を示す。
【0120】
グローバルバスGBUSを介して入力されたデータ信号DINは、N型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅ドライバ回路NNDrで受け、ローカルバスLBUSに出力される。
【0121】
ローカルバスLBUSを介して入力されたデータ信号DINは、P型MOSFETからなる出力回路を有する低振幅ドライバ回路PPDrで受け、ローカルバスLBUSに出力される。
【0122】
例えばグローバルバスGBUSはアルミニウム等の金属材料からなり、ローカルバスLBUSは金属材料と異なる材料であるシリコンからなる。
【0123】
【0124】
図18は、通常のレベル変換回路を示す。動作電圧として電源電圧VDD及びグランド電位VSSが供給され、入力信号INとして電源電圧VDDより低い低電圧VDDGを受ける。入力信号INはデータあるいはクロック信号であり、出力信号OUTとして入力信号INより電圧振幅の大きいデータ及びクロック信号が出力される。
【0125】
図19は、
図18の性能を更に改善した第1のレシーバ回路を示し、
図20は、
図18の性能を更に改善した第2のレシーバ回路を示す。各低振幅レシーバ回路NNRv及びPPRvは、信号伝搬遅延を改善したレシーバ回路となる。
【0126】
低振幅レシーバ回路NNRv及びPPRvは、各々内部接点C及びDのPMOSあるいはNMOSの能力レシオをアクティブに改善する高速レシーバ回路を使用することにより、低振幅化に伴う信号伝搬遅延を改善している。これはレシーバ回路の出力波形をより急峻にすることでもあり、レシーバ回路で生じるH/Lデータ差が改善される為、総合的な制御クロック転送のばらつき精度とデータ転送間の取込み精度を向上できる。
【0127】
実施例の説明において、データ及びクロック信号につき低振幅で信号伝搬されることを示したが、データ及びクロック信号に限らず、図示していないアドレス信号、RASやCAS等の制御信号も低振幅で信号伝搬される。
【0128】
以上、本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例の構成のみに制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0129】
NNDr、NNDr1、NNDr2、NNDr3、PPDr 低振幅ドライバ回路
Rv、Rv1、NNRv、PPRv 低振幅レシーバ回路
DFF0、DFF1、DFF00~DFF05、DFF10、DFF11 ラッチ回路
OIF 出力インターフェース回路
DLT0、DLT1 データラッチ回路
CGEN 4相クロック発生回路
OC0~OC5 出力回路
IIF 入力インターフェース回路
CRC クロック復元回路
IC0~IC5 入力回路
VDD_Gen、VDD_Gen2 低電圧電源回路
IOU 入出力ポート
EU 演算部
CPU 中央処理装置
wpd、wpd1、wpd2 ワイヤボンディングエリア
MA メモリアレイ
MCONT 制御回路
DrU ドライバ回路部