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特許7385426医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20231115BHJP
【FI】
G16H10/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019192874
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021068178
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】518134231
【氏名又は名称】PSP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】都甲 和宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 元紀
(72)【発明者】
【氏名】松尾 純
(72)【発明者】
【氏名】松本 秀一
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-078198(JP,A)
【文献】特開2014-109836(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008163(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0350488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療機関から送信された医療画像を含む医療情報を蓄積する医療情報管理サーバに、端末装置と前記医療情報の所有者であるユーザの携帯端末装置とが接続可能であり、前記携帯端末装置の閲覧要求によって前記ユーザの医療情報の閲覧を行うことができる医療情報閲覧システムであって、
前記医療情報管理サーバは、前記端末装置接続された場合、前記医療情報の閲覧のための前記端末装置との接続情報を示すバーコード情報を前記端末装置に対して発行し、
前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに接続した場合、前記医療情報管理サーバが発行する前記バーコード情報を取得して表示し、
前記携帯端末装置は、前記バーコード情報を読み取り、該バーコード情報及び該携帯端末装置を所有するユーザのユーザ識別情報を含めて、前記ユーザの医療情報の閲覧を要求する閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、
前記医療情報管理サーバは、前記閲覧要求を受け付けた場合、前記バーコード情報を表示した端末装置による前記ユーザの医療情報の閲覧を許可し、
前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに蓄積された前記ユーザの医療情報を時系列で統合したライフチャートとして表示することを特徴とする医療情報閲覧システム。
【請求項2】
前記端末装置は、現在の病状に関連する医療情報、あるいは指示した所定カテゴリの医療情報及び該医療情報に関連する医療情報のみを前記ライフチャートとして表示するフィルタ機能を有することを特徴とする請求項に記載の医療情報閲覧システム。
【請求項3】
前記携帯端末装置は、前記ユーザの歩数、ウォーキングランニング距離、消費エネルギー、BMI、身長、体重及び心拍数を含むヘルスケア情報を取得するヘルスケア情報取得部を備え、前記ライフチャートに、前記ヘルスケア情報取得部が取得したヘルスケア情報を含めて表示することを特徴とする請求項に記載の医療情報閲覧システム。
【請求項4】
前記ライフチャートは、時系列の各医療情報を泡状に表示したことを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の医療情報閲覧システム。
【請求項5】
複数の医療機関から送信された医療画像を含む医療情報を蓄積する医療情報管理サーバに、端末装置と前記医療情報の所有者であるユーザの携帯端末装置とが接続可能であり、前記携帯端末装置の閲覧要求によって前記ユーザの医療情報の閲覧を行うことができる医療情報閲覧方法であって、
前記医療情報管理サーバは、前記端末装置接続された場合、前記医療情報の閲覧のための前記端末装置との接続情報を示すバーコード情報を前記端末装置に対して発行し、
前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに接続した場合、前記医療情報管理サーバが発行する前記バーコード情報を取得して表示し、
前記携帯端末装置は、前記バーコード情報を読み取り、該バーコード情報及び該携帯端末装置を所有するユーザのユーザ識別情報を含めて、前記ユーザの医療情報の閲覧を要求する閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、
前記医療情報管理サーバは、前記閲覧要求を受け付けた場合、前記バーコード情報を表示した端末装置による前記ユーザの医療情報の閲覧を許可し、
前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに蓄積された前記ユーザの医療情報を時系列で統合したライフチャートとして表示することを特徴とする医療情報閲覧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの医療情報を閲覧しようとする第三者の端末装置とユーザの携帯端末装置とが近くに存在する場合に簡易な構成で、容易にユーザの医療情報の閲覧許可を得ることができる医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、多数の医療情報を電子データ化してPACS(Picture Archiving and Communication Systems)などのデータベースシステムに蓄積する技術が普及してきている。そして、このデータベースシステムには、各医療施設が参加して1つのデータベースシステムに各医療施設が生成した医療情報を蓄積するものがある。しかしながら、病院主導による医療情報のデータベース化のため、患者であるユーザが自己の医療情報を閲覧することが困難であった。
【0003】
このため、特許文献1では、ユーザがデータベース端末に蓄積されているユーザ本人の医療情報を、ユーザ端末においてデータベース端末に対する認証を行うことによって自己の医療情報を閲覧することができるものが開示されている。また、特許文献1では、ユーザの許可のもと、第三者がデータベース端末からユーザの医療情報にアクセスできるものが開示されている。
【0004】
なお、特許文献2には、病院側がユーザの携帯電話の画面内に表示されたバーコードを読み込むことにより、別の病院で作成された医療情報を管理サーバからアクセスできるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-297153号公報
【文献】特開2002-366665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数の医療施設で作成された医療情報は、本来、患者であるユーザに帰属すべきものであり、ユーザは自由に医療情報を閲覧できる必要がある。また、医療情報の利用の観点から、医者を含む第三者も、ユーザの許可のもとにユーザの医療情報を閲覧できることが必要である。
【0007】
しかしながら、たとえ複数の医療施設で作成された医療情報を閲覧できたとしても、閲覧できる医療情報は、個別に管理された医療情報であって他の医療施設での医療情報との関連性を容易に知ることができない。すなわち、複数の医療施設において管理された複数の医療情報を統合した医療情報として閲覧することができなかった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、複数の医療施設において管理されるユーザの医療情報を統合した医療情報として閲覧することができる医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、複数の医療機関から送信された医療画像を含む医療情報を蓄積する医療情報管理サーバに、端末装置と前記医療情報の所有者であるユーザの携帯端末装置とが接続可能であり、前記携帯端末装置の閲覧要求によって前記ユーザの医療情報の閲覧を行うことができる医療情報閲覧システムであって、前記医療情報管理サーバは、前記端末装置接続された場合、前記医療情報の閲覧のための前記端末装置との接続情報を示すバーコード情報を前記端末装置に対して発行し、前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに接続した場合、前記医療情報管理サーバが発行する前記バーコード情報を取得して表示し、前記携帯端末装置は、前記バーコード情報を読み取り、該バーコード情報及び該携帯端末装置を所有するユーザのユーザ識別情報を含めて、前記ユーザの医療情報の閲覧を要求する閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、前記医療情報管理サーバは、前記閲覧要求を受け付けた場合、前記バーコード情報を表示した端末装置による前記ユーザの医療情報の閲覧を許可し、前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに蓄積された前記ユーザの医療情報を時系列で統合したライフチャートとして表示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記端末装置は、現在の病状に関連する医療情報、あるいは指示した所定カテゴリの医療情報及び該医療情報に関連する医療情報のみを前記ライフチャートとして表示するフィルタ機能を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記携帯端末装置は、前記ユーザの歩数、ウォーキングランニング距離、消費エネルギー、BMI、身長、体重及び心拍数を含むヘルスケア情報を取得するヘルスケア情報取得部を備え、前記ライフチャートに、前記ヘルスケア情報取得部が取得したヘルスケア情報を含めて表示することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記ライフチャートは、時系列の各医療情報を泡状に表示したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、複数の医療機関から送信された医療画像を含む医療情報を蓄積する医療情報管理サーバに、端末装置と前記医療情報の所有者であるユーザの携帯端末装置とが接続可能であり、前記携帯端末装置の閲覧要求によって前記ユーザの医療情報の閲覧を行うことができる医療情報閲覧方法であって、前記医療情報管理サーバは、前記端末装置接続された場合、前記医療情報の閲覧のための前記端末装置との接続情報を示すバーコード情報を前記端末装置に対して発行し、前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに接続した場合、前記医療情報管理サーバが発行する前記バーコード情報を取得して表示し、前記携帯端末装置は、前記バーコード情報を読み取り、該バーコード情報及び該携帯端末装置を所有するユーザのユーザ識別情報を含めて、前記ユーザの医療情報の閲覧を要求する閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、前記医療情報管理サーバは、前記閲覧要求を受け付けた場合、前記バーコード情報を表示した端末装置による前記ユーザの医療情報の閲覧を許可し、前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに蓄積された前記ユーザの医療情報を時系列で統合したライフチャートとして表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の医療施設において管理されるユーザの医療情報を統合した医療情報(ライフチャート)として閲覧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、医療情報閲覧システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2図2は、携帯端末装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、ライフチャートの一例を示す図である。
図4図4は、ライフチャートの閲覧処理手順を示すシーケンス図である。
図5図5は、変形例に係る医療情報閲覧システムの構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、端末装置の構成を示す機能ブロック図である。
図7図7は、変形例によるライフチャートの閲覧処理手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【0019】
<医療情報閲覧システムの概要>
まず、本実施例に係る医療情報閲覧システム1の構成について説明する。図1は、医療情報閲覧システム1の構成を示す機能ブロック図である。
【0020】
図1に示すように、医療情報閲覧システム1は、医療情報管理サーバ10、医療施設20内のローカルサーバ21、読影センター30のローカルサーバ31、及び、患者などのユーザ100が所有する携帯端末装置40がネットワークNに接続される。また、ローカルサーバ21には、モダリティ22及び読影装置23が接続される。また、ローカルサーバ31には、読影装置32が接続される。なお、医療情報管理サーバ10は、例えばクラウド上に形成されるサーバである。なお、医療施設20は、病院や診療センターなどの医療行為を行う施設であり、読影センター30も医療施設の一つである。なお、ネットワークNは、インターネット、イントラネット、特定の施設内LANを含む。
【0021】
モダリティ22は、CR(Computed Radiography;コンピュータ放射線撮影)、MRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴撮影)、CT(Computed Tomography;コンピュータ断層撮影)等の画像生成装置である。モダリティ22は、生成した医療画像とともに検査患者等の属性情報をローカルサーバ21に送信する。ローカルサーバ21は、医療画像に属性情報を付加して医療情報管理サーバ10に送信する。
【0022】
読影装置23は、ローカルサーバ21から、医療画像に属性情報が付加された医療情報を読み込んで読影医が読影するための装置である。読影装置23は、医療画像をもとに読影結果を読影レポートとして作成し、医療情報に付加する。ローカルサーバ21は、読影レポートが付加された医療情報を医療情報管理サーバ10に送信する。
【0023】
なお、多量の医療画像がモダリティ22から送られてくる場合、医療情報管理サーバ10は、ローカルサーバ21から医療情報を受け取り、未読影の医療情報を読影センター30内のローカルサーバ31に転送し、ローカルサーバ31に接続される読影装置32によって読影レポートを作成する。ローカルサーバ31は、読影レポートを付加した医療情報を医療情報管理サーバ10に送信する。
【0024】
<医療情報管理サーバ>
医療情報管理サーバ10は、入出力部11、通信部12、記憶部13及び制御部14を有する。
【0025】
入出力部11は、各種操作入力及び表示出力等を行うタッチパネル式ディスプレイなどの入出力インタフェースである。通信部12は、ネットワークNを介してローカルサーバ21,31、及び、携帯端末装置40との通信を行うための通信インタフェースである。
【0026】
記憶部13は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、医療情報D1、ユーザ識別情報D10を記憶する。医療情報D1は、医療画像に属性情報や読影レポートなどが紐付られた情報であり、画像情報に対する検査結果、画像情報に関連しない健康診断結果や問診結果、通院履歴、処方内容などの各種情報も逐次追加して記憶される。なお、この医療情報には、過去の服用薬剤や現在の服用薬剤などの薬剤情報などを含めてもよい。
【0027】
ユーザ識別情報D10は、例えば、携帯端末装置40の装置識別情報である。ユーザ識別情報D10には、ユーザ100本人のみではなく、ユーザ100が許可する他のユーザ群を含めたユーザ識別情報群であってもよい。このユーザ群には、例えば親族や動物を含めてもよいし、ユーザ100の代理人であってもよい。
【0028】
制御部14は、医療情報管理サーバ10の全体を制御する制御部であり、認証処理部15及び閲覧処理部16を有する。制御部14は、これらの機能部に対応するプログラムを不揮発性メモリや磁気ディスク装置などの記憶装置に記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0029】
認証処理部15は、携帯端末装置40からの閲覧要求に付加されたユーザ識別情報が正当なものであるか否かを認証する。
【0030】
閲覧処理部16は、認証処理部15によるユーザ認証が正当である場合、ユーザ100の携帯端末装置40に医療情報D1の閲覧を許可する閲覧許可通知を送信する。閲覧処理部16は、閲覧すべき医療情報D1の指示がない場合、あるいは携帯端末装置40からライフチャートの閲覧要求を受けた場合、ユーザ100の医療情報D1を時系列で統合したライフチャートを生成し、携帯端末装置40に対してライフチャートの閲覧を提供する。
【0031】
<携帯端末装置>
図2は、携帯端末装置40の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、携帯端末装置40は、操作表示部41、撮像部42、通信部43、記憶部44及び制御部45を有する。
【0032】
操作表示部41は、各種操作入力及び表示出力等を行うタッチパネル式ディスプレイなどの入出力インタフェースである。撮像部42は、画像を撮像するカメラである。通信部43は、ネットワークNを介して医療情報管理サーバ10との通信を行うための通信インタフェースである。なお、通信部43は、Wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信機能をも有する。
【0033】
記憶部44は、不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、ユーザ識別情報D10及びヘルスケア情報D11を記憶する。ユーザ識別情報D10は、例えば、携帯端末装置40の装置識別情報である。また、ヘルスケア情報D11は、携帯端末装置40自身が取得した、あるいは、携帯端末装置40に入力されたヘルスケア情報であり、例えば、歩数、ウォーキングランニング距離、消費エネルギー、BMI、身長、体重、心拍数などである。
【0034】
制御部45は、携帯端末装置40の全体を制御する制御部であり、閲覧要求生成部46、閲覧処理部47、フィルタ処理部48及びヘルスケア情報取得部49を有する。制御部45は、これらの機能部に対応するプログラムを不揮発性メモリや磁気ディスク装置などの記憶装置に記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0035】
閲覧要求生成部46は、ユーザ識別情報D10を含めて、ユーザ100の医療情報D1の閲覧を要求する閲覧要求を生成し、閲覧要求を医療情報管理サーバ10に送信する処理を行う。
【0036】
閲覧処理部47は、閲覧許可通知を受けて、医療情報D1の閲覧処理を行うが、医療情報D1が特定されていない場合、医療情報管理サーバ10が生成したライフチャートを操作表示部41に表示する処理を行う。
【0037】
フィルタ処理部48は、現在の病状に関連する医療情報、あるいは指示した所定カテゴリの医療情報及び該医療情報に関連する医療情報のみをライフチャートとして表示するフィルタ処理を行う。所定カテゴリの指示は、ライフチャート上で行ってもよいし、操作表示部41での入力により行ってもよい。
【0038】
ヘルスケア情報取得部49は、携帯端末装置40内のアプリケーションなどで計測したヘルスケア情報、あるいは操作表示部41又は通信部43を介して入力されたヘルスケア情報をヘルスケア情報D11として取得する。このヘルスケア情報D11は、ライフチャートの一部として表示することができる。
【0039】
<ライフチャートの一例>
図3は、ライフチャートの一例を示す図である。図3に示すように、表示画面Eには、医療情報D1のライフチャートE1と、ヘルスケア情報D11のライフチャートE2とが表示される。この表示画面Eには、さらにライフチャートE1,E2の表示期間を設定するGUIと、ヘルスケア情報の表示項目を設定するGUIとが表示される。図3では、表示期間として「1年」が設定され、ヘルスケア情報の表示項目として「歩数」が設定されている。なお、図3では、表示期間として「1年」を設定しているが、表示内容は、スクロールバーSBを操作することによって、任意の1年の期間を表示することができる。
【0040】
ライフチャートE1には、医療情報DA,DB,DCを時系列で泡状に表示している。例えば、医療情報DAは、血糖値であり、医療情報DBは、尿酸値であり、医療情報DCは、肝臓がんの手術である。このライフチャートE1の縦軸は、医療情報が示す状態の値であり、泡が上部に存在するほど、悪い値である。このライフチャートE1では、血糖値を示す医療情報DAが、現在までの半年間で急激に悪化していることがわかる。一方、ライフチャートE2には、選択されたヘルスケア情報である「歩数」の時系列変化が表示される。
【0041】
ここで、表示期間を「全て」に設定すると、ユーザ100が生れてから現在までのライフチャートE1、E2が表示される。なお、図3では、表示期間を「1年」と「全て」との2つにしているが、さらに細かく表示期間を指定できるようにしてもよいし、拡大縮小キーなどによって表示期間を長くしたり、短くしたり設定できるようにしてもよい。また、ヘルスケア情報の表示設定では、項目を選択しなくてもよいし、2以上の項目を設定してもよい。
【0042】
なお、ライフチャートE1の医療情報(泡)をクリックすると、クリックした医療情報D1が別ウインドウ(サブウィンドウ)などに表示される。例えば、医療情報DCをクリックすると、肝臓がんの手術に関する情報や肝臓がんの画像情報等がサブウィンドウに表示される。すなわち、医療情報D1と泡とはリンク設定されている。
【0043】
また、医療情報を示す泡の大きさを変えて医療情報の状態を表示するようにしてもよい。例えば、泡が大きいほど、状態の値が悪いことを示すようにしてもよい。この場合、縦軸は無次元となる。さらに、各医療情報を峻別するために泡の色あるいは模様、デザインなどを変えることが好ましい。
【0044】
さらに、ライフチャートE1は、フィルタ処理部48によって、現在の病状に関連する医療情報のみを表示することができる。また、ライフチャートE1は、フィルタ処理部48によって、指示した所定カテゴリの医療情報及び該医療情報に関連する医療情報のみを表示することができる。所定カテゴリとは、例えば、糖尿病であり、この場合、血糖値が主医療情報として表示され、これに関連する医療情報として、Hba1c、蛋白尿、血圧、視力などが表示の関連する医療情報が表示される。
【0045】
<ライフチャートの閲覧処理>
次に、ライフチャートの閲覧処理手順について説明する。図4は、ライフチャートの閲覧処理手順を示すシーケンス図である。図4に示すように、まず、携帯端末装置40は医療情報管理サーバ10と通信接続処理を行う(ステップS110)。その後、携帯端末装置40は、ユーザ識別情報D10を含んだ閲覧要求を生成する(ステップS120)。そして、携帯端末装置40は、この閲覧要求を医療情報管理サーバ10に送信する(ステップS130)。
【0046】
この閲覧要求を受信した医療情報管理サーバ10は、ユーザ識別情報D10が正当であるか否かを判定する(ステップS140)。ユーザ識別情報D10が正当なものでないならば(ステップS140;No)、そのまま本処理を終了する。一方、ユーザ識別情報D10が正当であるならば(ステップS140;Yes)、携帯端末装置40に閲覧許可通知を送信する(ステップS150)。さらに、医療情報管理サーバ10は、ユーザ100の医療情報D1を参照してユーザ100のライフチャートE1を生成する(ステップS160)。その後、携帯端末装置40は、医療情報管理サーバ10との間で、ユーザ100のライフチャートE1の閲覧処理を行い(ステップS170)、本処理を終了する。なお、上記の処理における閲覧要求は、閲覧すべき医療情報D1の指示がない閲覧要求、あるいはライフチャートの閲覧要求である場合を前提としている。
【0047】
本実施例では、医療情報管理サーバ10が複数の医療施設における複数の医療情報D1を管理しており、携帯端末装置40から閲覧要求を行うことによって、ユーザ100の医療情報D1を時系列で統合したライフチャートとして閲覧することができる。
【0048】
<変形例>
上記の実施例では、ユーザ100の携帯端末装置40においてライフチャートを閲覧することができたが、本変形例では、ユーザ100の医療情報D1を閲覧しようとする医者などの第三者の端末装置であっても、ユーザ100のライフチャートを閲覧できるようにしている。
【0049】
図5は、変形例に係る医療情報閲覧システム1の構成を示す機能ブロック図である。本変形例の医療情報閲覧システム1では、医療施設50の端末装置51がネットワークNに接続されるともに、携帯端末装置40が端末装置51の近くに位置している。また、医療情報管理サーバ10の制御部14は、さらにバーコード情報発行部17を有し、記憶部13は、バーコード情報D2を記憶する。一方、端末装置51は、バーコード情報D2を表示するバーコード表示部52を有する。
【0050】
バーコード情報D2は、QRコード(登録商標)などの2次元バーコード情報を含む情報である。バーコード情報D2は、医療情報管理サーバ10に接続された端末装置51に対して発行されるものであり、医療情報管理サーバ10と端末装置51との接続情報を示す。
【0051】
バーコード情報発行部17は、端末装置51が接続された場合、接続ごとに、医療情報D1の閲覧のためのバーコード情報D2を端末装置51に発行する。
【0052】
<端末装置>
図6は、端末装置51の構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、端末装置51は、入力部53、表示部54、通信部55、記憶部56及び制御部57を有する。
【0053】
入力部53は、キーボードやポインティングデバイスなどの入力デバイスである。表示部54は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。表示部54は、医療情報管理サーバ10と接続した場合に送られてくるバーコード情報D2を表示するバーコード表示部52を有する。通信部55は、ネットワークNを介して医療情報管理サーバ10との通信を行うための通信インタフェースである。
【0054】
記憶部56は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、医療情報管理サーバ10から送られたバーコード情報D2を記憶する。
【0055】
制御部57は、端末装置51の全体を制御する制御部であり、バーコード情報表示処理部58、閲覧処理部59及びフィルタ処理部60を有する。制御部57は、これらの機能部に対応するプログラムを不揮発性メモリや磁気ディスク装置などの記憶装置に記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0056】
バーコード情報表示処理部58は、医療情報管理サーバ10から送られたバーコード情報D2をバーコード表示部52に表示する処理を行う。
【0057】
閲覧処理部59は、閲覧処理部47と同様に、閲覧許可通知を受けて、医療情報D1の閲覧処理を行うが、医療情報D1が特定されていない場合、医療情報管理サーバ10が生成したライフチャートを表示部54に表示する処理を行う。
【0058】
フィルタ処理部60は、フィルタ処理部48と同様に、現在の病状に関連する医療情報、あるいは指示した所定カテゴリの医療情報及び該医療情報に関連する医療情報のみをライフチャートとして表示するフィルタ処理を行う。所定カテゴリの指示は、ライフチャート上で行ってもよいし、入力部53での入力により行ってもよい。
【0059】
<ライフチャートの閲覧処理>
次に、変形例によるライフチャートの閲覧処理手順について説明する。図7は、変形例によるライフチャートの閲覧処理手順を示すシーケンス図である。図7に示すように、まず、端末装置51は医療情報管理サーバ10と通信接続処理を行う(ステップS210)。医療情報管理サーバ10は、この通信接続処理によって通信接続が完了すると、バーコード情報発行部17が、端末装置51との接続情報を示すバーコード情報D2を発行し(ステップS220)、バーコード情報D2を端末装置51に送信する(ステップS230)。バーコード情報D2を受信した端末装置51は、バーコード表示部52にバーコード情報D2を表示する(ステップS240)。
【0060】
その後、携帯端末装置40は、バーコード表示部52に表示されたバーコード情報D2を撮像部42によって読み取り(ステップS250)、読み取ったバーコード情報D2と、携帯端末装置40の装置識別情報であるユーザ識別情報D10とを含めた閲覧要求を生成する(ステップS260)。そして、携帯端末装置40は、この閲覧要求を医療情報管理サーバ10に送信する(ステップS270)。
【0061】
この閲覧要求を受信した医療情報管理サーバ10は、ユーザ識別情報D10が正当であるか否かを判定する(ステップS280)。ユーザ識別情報D10が正当なものでないならば(ステップS280;No)、そのまま本処理を終了する。一方、ユーザ識別情報D10が正当であるならば(ステップS280;Yes)、端末装置51に閲覧許可通知を送信する(ステップS290)。さらに、医療情報管理サーバ10は、ユーザ100の医療情報D1を参照してユーザ100のライフチャートE1を生成する(ステップS300)。その後、端末装置51は、医療情報管理サーバ10との間で、ユーザ100のライフチャートE1の閲覧処理を行い(ステップS310)、本処理を終了する。なお、上記の処理における閲覧要求は、閲覧すべき医療情報D1の指示がない閲覧要求、あるいはライフチャートの閲覧要求である場合を前提としている。
【0062】
本変形例では、ユーザ100の医療情報D1を閲覧しようとする医者などの第三者の端末装置51とユーザ100の携帯端末装置40とが近くに存在する場合、携帯端末装置40が端末装置51のバーコード表示部52に表示されたバーコード情報D2を読み取って医療情報管理サーバ10に閲覧要求を行うのみで、端末装置51はユーザ100の医療情報D1、すなわちライフチャートE1を閲覧することができ、容易かつ迅速にユーザ100のライフチャートE1を閲覧することができる。この際、端末装置51と携帯端末装置40とは通信接続を行わないため、端末装置51は携帯端末装置40が有する近距離無線通信機能などを保有する必要がなく、簡易な構成でユーザ100のライフチャートE1を閲覧することができる。また、端末装置51は、ユーザ100のライフチャートE1の閲覧のために医療情報管理サーバ10などを介して携帯端末装置40に閲覧のための問合せ要求などを行う必要がなく、また、携帯端末装置40は、この問合せ要求に対する許可応答などを行う必要がないため、ユーザ100のライフチャートE1の閲覧のための煩雑な操作を行わずに済む。
【0063】
上記の変形例では、端末装置51の操作者である医者を含む第三者が、携帯端末装置40の所有者であるユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザと面識がない場合、ユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザ以外の者が、ユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザに成りすまして閲覧要求を行ってしまう場合がある。このため、ユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザの生体認証処理を行うようにしてもよい。
【0064】
また、医療情報管理サーバ10はバーコード情報D2を定期的に更新し、所定期間を過ぎたバーコード情報D2を無効にし、医療情報D1の閲覧許可のセキュリティを高めるようにしてもよい。
【0065】
なお、上記の実施例及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法は、複数の医療施設において管理されるユーザの医療情報を統合した医療情報として閲覧する場合に有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 医療情報閲覧システム
10 医療情報管理サーバ
11 入出力部
12,43,55 通信部
13,44,56 記憶部
14,45,57 制御部
15 認証処理部
16,47,59 閲覧処理部
17 バーコード情報発行部
20,50 医療施設
21,31 ローカルサーバ
22 モダリティ
23,32 読影装置
30 読影センター
40 携帯端末装置
41 操作表示部
42 撮像部
46 閲覧要求生成部
48,60 フィルタ処理部
49 ヘルスケア情報取得部
51 端末装置
52 バーコード表示部
53 入力部
54 表示部
58 バーコード情報表示処理部
100 ユーザ
D1,DA,DB,DC 医療情報
D2 バーコード情報
D10 ユーザ識別情報
D11 ヘルスケア情報
E 表示画面
E1,E2 ライフチャート
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7