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特許7385427医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20231115BHJP
【FI】
G16H10/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019192875
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021068179
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】518134231
【氏名又は名称】PSP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】都甲 和宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】水澤 一也
(72)【発明者】
【氏名】中島 健太
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 裕佳子
(72)【発明者】
【氏名】松本 秀一
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079271(JP,A)
【文献】特開2019-053478(JP,A)
【文献】特開2011-039674(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0054271(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療機関から送信された医療画像を含む医療情報を蓄積する医療情報管理サーバに、端末装置と前記医療情報の所有者であるユーザの携帯端末装置とが接続可能であり、前記携帯端末装置の閲覧要求によって前記ユーザの医療情報の閲覧を行うことができる医療情報閲覧システムであって、
前記医療情報管理サーバは、前記端末装置接続された場合、前記医療情報の閲覧のための前記端末装置との接続情報を示すバーコード情報を前記端末装置に対して発行し、
前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに接続した場合、前記医療情報管理サーバが発行する前記バーコード情報を取得して表示し、
前記携帯端末装置は、前記バーコード情報を読み取り、該バーコード情報及び該携帯端末装置を所有するユーザのユーザ識別情報を含めて、前記ユーザの医療情報の閲覧を要求する閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、
前記医療情報管理サーバは、前記閲覧要求を受け付けた場合、前記バーコード情報を表示した端末装置による前記ユーザの医療情報の閲覧を許可することを特徴とする医療情報閲覧システム。
【請求項2】
前記医療情報管理サーバは、各ユーザの生体認証情報を登録し、
前記携帯端末装置は、生体情報を取得する生体情報取得部を備え、前記バーコード情報及び前記ユーザ識別情報とともに、前記生体情報取得部が取得した生体情報を閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、
前記医療情報管理サーバは、前記生体情報が前記生体認証情報と合致する場合、前記ユーザ識別情報は正当であると判定し、前記端末装置に前記ユーザの医療情報の閲覧を許可することを特徴とする請求項1に記載の医療情報閲覧システム。
【請求項3】
前記医療情報管理サーバは、前記バーコード情報を定期的に更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の医療情報閲覧システム。
【請求項4】
前記ユーザ識別情報は、前記ユーザが所有する携帯端末装置の装置識別情報であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の医療情報閲覧システム。
【請求項5】
前記ユーザ識別情報は、前記ユーザが許可する他のユーザ群を含めたユーザ識別情報群であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の医療情報閲覧システム。
【請求項6】
複数の医療機関から送信された医療画像を含む医療情報を蓄積する医療情報管理サーバに、端末装置と前記医療情報の所有者であるユーザの携帯端末装置とが接続可能であり、前記携帯端末装置の閲覧要求によって前記ユーザの医療情報の閲覧を行うことができる医療情報閲覧システムにおける医療情報閲覧方法であって、
前記医療情報管理サーバは、前記端末装置接続された場合、前記医療情報の閲覧のための前記端末装置との接続情報を示すバーコード情報を前記端末装置に対して発行し、
前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに接続した場合、前記医療情報管理サーバが発行する前記バーコード情報を取得して表示し、
前記携帯端末装置は、前記バーコード情報を読み取り、該バーコード情報及び該携帯端末装置を所有するユーザのユーザ識別情報を含めて、前記ユーザの医療情報の閲覧を要求する閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、
前記医療情報管理サーバは、前記閲覧要求を受け付けた場合、前記バーコード情報を表示した端末装置による前記ユーザの医療情報の閲覧を許可することを特徴とする医療情報閲覧方法。
【請求項7】
前記医療情報管理サーバは、各ユーザの生体認証情報を登録し、
前記携帯端末装置は、生体情報を取得する生体情報取得部を備え、前記バーコード情報及び前記ユーザ識別情報とともに、前記生体情報取得部が取得した生体情報を閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、
前記医療情報管理サーバは、前記生体情報が前記生体認証情報と合致する場合、前記ユーザ識別情報は正当であると判定し、前記端末装置に前記ユーザの医療情報の閲覧を許可することを特徴とする請求項6に記載の医療情報閲覧方法。
【請求項8】
前記医療情報管理サーバは、前記バーコード情報を定期的に更新することを特徴とする請求項6又は7に記載の医療情報閲覧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの医療情報を閲覧しようとする第三者の端末装置とユーザの携帯端末装置とが近くに存在する場合に簡易な構成で、容易にユーザの医療情報の閲覧許可を得ることができる医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、多数の医療情報を電子データ化してPACS(Picture Archiving and Communication Systems)などのデータベースシステムに蓄積する技術が普及してきている。そして、このデータベースシステムには、各医療施設が参加して1つのデータベースシステムに各医療施設が生成した医療情報を蓄積するものがある。しかしながら、病院主導による医療情報のデータベース化のため、患者であるユーザが自己の医療情報を閲覧することが困難であった。
【0003】
このため、特許文献1では、ユーザがデータベース端末に蓄積されているユーザ本人の医療情報を、ユーザ端末においてデータベース端末に対する認証を行うことによって自己の医療情報を閲覧することができるものが開示されている。また、特許文献1では、ユーザの許可のもと、第三者がデータベース端末からユーザの医療情報にアクセスできるものが開示されている。
【0004】
なお、特許文献2には、病院側がユーザの携帯電話の画面内に表示されたバーコードを読み込むことにより、別の病院で作成された医療情報を管理サーバからアクセスできるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-297153号公報
【文献】特開2002-366665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数の医療施設で作成された医療情報は、本来、患者であるユーザに帰属すべきものであり、ユーザは自由に医療情報を閲覧できる必要がある。また、医療情報の利用の観点から、医者を含む第三者も、ユーザの許可のもとにユーザの医療情報を閲覧できることが必要である。
【0007】
しかしながら、第三者によるユーザの医療情報の閲覧の際には、ユーザの許可を得る必要があり、このための手続や操作が煩雑であるという課題があった。特に、第三者が使用する端末装置の近くに、閲覧しようとする医療情報の所有者であるユーザが居る場合であっても、第三者の端末装置から、医療情報を管理する医療情報管理サーバやユーザの携帯端末装置に対して煩雑な手続や操作を行う必要があった。
【0008】
一方、ユーザは、一般にユーザが所有する携帯端末装置を所持しており、この携帯端末装置による閲覧認証は容易である。したがって、ユーザの携帯端末装置は、ユーザの医療情報を容易に閲覧することができる。
【0009】
そこで、ユーザの医療情報を閲覧しようとする第三者の端末装置とユーザの携帯端末装置とが近くにある場合、第三者の端末装置とユーザの携帯端末装置とを所定の近距離無線通信によって無線接続し、ユーザの携帯端末装置を介して医療情報を閲覧することができる。
【0010】
しかし、この場合、第三者の端末装置が近距離無線通信機能を備えている必要があり、第三者の端末装置の装置構成が複雑になる。
【0011】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、ユーザの医療情報を閲覧しようとする第三者の端末装置とユーザの携帯端末装置とが近くに存在する場合に簡易な構成で、容易にユーザの医療情報の閲覧許可を得ることができる医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明は、複数の医療機関から送信された医療画像を含む医療情報を蓄積する医療情報管理サーバに、端末装置と前記医療情報の所有者であるユーザの携帯端末装置とが接続可能であり、前記携帯端末装置の閲覧要求によって前記ユーザの医療情報の閲覧を行うことができる医療情報閲覧システムであって、前記医療情報管理サーバは、前記端末装置接続された場合、前記医療情報の閲覧のための前記端末装置との接続情報を示すバーコード情報を前記端末装置に対して発行し、前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに接続した場合、前記医療情報管理サーバが発行する前記バーコード情報を取得して表示し、前記携帯端末装置は、前記バーコード情報を読み取り、該バーコード情報及び該携帯端末装置を所有するユーザのユーザ識別情報を含めて、前記ユーザの医療情報の閲覧を要求する閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、前記医療情報管理サーバは、前記閲覧要求を受け付けた場合、前記バーコード情報を表示した端末装置による前記ユーザの医療情報の閲覧を許可することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、記医療情報管理サーバは、各ユーザの生体認証情報を登録し、前記携帯端末装置は、生体情報を取得する生体情報取得部を備え、前記バーコード情報及び前記ユーザ識別情報とともに、前記生体情報取得部が取得した生体情報を閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、前記医療情報管理サーバは、前記生体情報が前記生体認証情報と合致する場合、前記ユーザ識別情報は正当であると判定し、前記端末装置に前記ユーザの医療情報の閲覧を許可することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記医療情報管理サーバは、前記バーコード情報を定期的に更新することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記ユーザ識別情報は、前記ユーザが所有する携帯端末装置の装置識別情報であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記ユーザ識別情報は、前記ユーザが許可する他のユーザ群を含めたユーザ識別情報群であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、複数の医療機関から送信された医療画像を含む医療情報を蓄積する医療情報管理サーバに、端末装置と前記医療情報の所有者であるユーザの携帯端末装置とが接続可能であり、前記携帯端末装置の閲覧要求によって前記ユーザの医療情報の閲覧を行うことができる医療情報閲覧システムにおける医療情報閲覧方法であって、前記医療情報管理サーバは、前記端末装置接続された場合、前記医療情報の閲覧のための前記端末装置との接続情報を示すバーコード情報を前記端末装置に対して発行し、前記端末装置は、前記医療情報管理サーバに接続した場合、前記医療情報管理サーバが発行する前記バーコード情報を取得して表示し、前記携帯端末装置は、前記バーコード情報を読み取り、該バーコード情報及び該携帯端末装置を所有するユーザのユーザ識別情報を含めて、前記ユーザの医療情報の閲覧を要求する閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、前記医療情報管理サーバは、前記閲覧要求を受け付けた場合、前記バーコード情報を表示した端末装置による前記ユーザの医療情報の閲覧を許可することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記の発明において、前記医療情報管理サーバは、各ユーザの生体認証情報を登録し、前記携帯端末装置は、生体情報を取得する生体情報取得部を備え、前記バーコード情報及び前記ユーザ識別情報とともに、前記生体情報取得部が取得した生体情報を閲覧要求として前記医療情報管理サーバに送信し、前記医療情報管理サーバは、前記生体情報が前記生体認証情報と合致する場合、前記ユーザ識別情報は正当であると判定し、前記端末装置に前記ユーザの医療情報の閲覧を許可することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記の発明において、前記医療情報管理サーバは、前記バーコード情報を定期的に更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザの医療情報を閲覧しようとする第三者の端末装置とユーザの携帯端末装置とが近くに存在する場合に簡易な構成で、容易にユーザの医療情報の閲覧許可を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、医療情報閲覧システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2図2は、携帯端末装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、端末装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、医療情報閲覧システムによる医療情報の閲覧許可処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図5図5は、変形例1にかかる携帯端末装置の構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、変形例1にかかる医療情報管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図7図7は、変形例1にかかる医療情報閲覧システムによる医療情報の閲覧許可処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【0023】
<医療情報閲覧システムの概要>
まず、本実施例に係る医療情報閲覧システム1の構成について説明する。図1は、医療情報閲覧システム1の構成を示す機能ブロック図である。
【0024】
図1に示すように、医療情報閲覧システム1は、医療情報管理サーバ10、医療施設20内のローカルサーバ21、読影センター30のローカルサーバ31、医療施設40の端末装置41、医療施設50の端末装置51、及び、必要に応じて患者などのユーザ100が所有する携帯端末装置60がネットワークNに接続される。また、ローカルサーバ21には、モダリティ22及び読影装置23が接続される。また、ローカルサーバ31には、読影装置32が接続される。なお、医療情報管理サーバ10は、例えばクラウド上に形成されるサーバである。なお、医療施設20,40、50は、病院や診療センターなどの医療行為を行う施設であり、読影センターも医療施設の一つである。なお、端末装置41,51は、医療施設40,50内に配置されているが、これに限らず、研究機関内の端末装置や一般の家屋内に配置される端末装置であってもよい。例えば、端末装置が救急移動体内や一般の家屋内に配置される場合、これらの端末装置にユーザ100の医療情報を閲覧表示できることによって適切な医療行為を行うことができるからである。なお、ネットワークNは、インターネット、イントラネット、特定の施設内LANを含む。
【0025】
モダリティ22は、CR(Computed Radiography;コンピュータ放射線撮影)、MRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴撮影)、CT(Computed Tomography;コンピュータ断層撮影)等の画像生成装置である。モダリティ22は、生成した医療画像とともに検査患者等の属性情報をローカルサーバ21に送信する。ローカルサーバ21は、医療画像に属性情報を付加して医療情報管理サーバ10に送信する。
【0026】
読影装置23は、ローカルサーバ21から、医療画像に属性情報が付加された医療情報を読み込んで読影医が読影するための装置である。読影装置23は、医療画像をもとに読影結果を読影レポートとして作成し、医療情報に付加する。ローカルサーバ21は、読影レポートが付加された医療情報を医療情報管理サーバ10に送信する。
【0027】
なお、多量の医療画像がモダリティ22から送られてくる場合、医療情報管理サーバ10は、ローカルサーバ21から医療情報を受け取り、未読影の医療情報を読影センター30内のローカルサーバ31に転送し、ローカルサーバ31に接続される読影装置32によって読影レポートを作成する。ローカルサーバ31は、読影レポートを付加した医療情報を医療情報管理サーバ10に送信する。
【0028】
<医療情報管理サーバ>
医療情報管理サーバ10は、入出力部11、通信部12、記憶部13及び制御部14を有する。
【0029】
入出力部11は、各種操作入力及び表示出力等を行うタッチパネル式ディスプレイなどの入出力インタフェースである。通信部12は、ネットワークNを介してローカルサーバ21,31、端末装置41,51、及び、携帯端末装置60との通信を行うための通信インタフェースである。
【0030】
記憶部13は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、医療情報D1、バーコード情報D2及び閲覧登録情報D3を記憶する。医療情報D1は、医療画像に属性情報や読影レポートなどが紐付られた情報であり、画像情報に対する検査結果、画像情報に関連しない健康診断結果や問診結果、通院履歴、処方内容などの各種情報も逐次追加して記憶される。なお、この医療情報には、過去の服用薬剤や現在の服用薬剤などの薬剤情報などを含めてもよい。
【0031】
バーコード情報D2は、QRコード(登録商標)などの2次元バーコード情報を含む情報である。バーコード情報D2は、医療情報管理サーバ10に接続された端末装置41,51に対して発行されるものであり、医療情報管理サーバ10と端末装置41,51との接続情報を示す。
【0032】
閲覧登録情報D3には、ユーザ100のユーザ識別情報、例えばユーザ100が所有する携帯端末装置60の装置識別情報が登録されている。また、閲覧登録情報D3には、ユーザ100の医療情報の閲覧範囲を予め登録することができる。すなわち、閲覧登録情報D3には、ユーザ100の医療情報のうち、病名などの所定のカテゴリのみの閲覧、医療画像のみの閲覧、時期的な範囲の閲覧などの一部の医療情報のみの閲覧を設定することができる。また、ユーザ識別情報には、ユーザ100本人のみではなく、ユーザ100が許可する他のユーザ群を含めたユーザ識別情報群であってもよい。このユーザ群には、例えば親族や動物を含めてもよいし、ユーザ100の代理人であってもよい。
【0033】
制御部14は、医療情報管理サーバ10の全体を制御する制御部であり、バーコード情報発行部15及び閲覧処理部16を有する。制御部14は、これらの機能部に対応するプログラムを不揮発性メモリや磁気ディスク装置などの記憶装置に記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0034】
バーコード情報発行部15は、端末装置41,51が接続された場合、接続ごとに、医療情報D1の閲覧のためのバーコード情報D2を端末装置41,51に発行する。
【0035】
閲覧処理部16は、携帯端末装置60から、端末装置41,51のバーコード表示部42,52に表示されたバーコード情報D2を読み取ったバーコード情報D2と、携帯端末装置60のユーザ識別情報である装置識別情報とを含む閲覧要求を受けて、ユーザ認証が正当である場合、閲覧要求に含まれたバーコード情報D2が示す端末装置41,51に対してユーザ100の医療情報D1の閲覧を許可する閲覧許可通知を送信する。これにより、端末装置41,51は、ユーザ100の医療情報D1を閲覧することができる。
【0036】
また、閲覧処理部16は、携帯端末装置60からユーザ識別情報を含む閲覧要求を受け付けると、携帯端末装置60に対してユーザ100の医療情報D1の閲覧を許可する閲覧許可通知を送信する。
【0037】
さらに、閲覧処理部16は、図示しない外部施設、例えば研究機関の端末装置からユーザ100の医療情報の閲覧可否の問合せ要求があった場合、ユーザ100の携帯端末装置60に対して、閲覧の利用目的、利用範囲等の閲覧内容を送信し、閲覧に同意するか否かの応答によって外部施設の端末装置に閲覧の許可あるいは拒否を通知する。閲覧処理部16は、外部施設の端末装置に対して閲覧の許可の応答があった場合、外部施設の端末装置に対してユーザ100の医療情報D1の閲覧を許可する。
【0038】
<携帯端末装置>
図2は、携帯端末装置60の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、携帯端末装置60は、操作表示部61、撮像部62、通信部63、記憶部64及び制御部65を有する。
【0039】
操作表示部61は、各種操作入力及び表示出力等を行うタッチパネル式ディスプレイなどの入出力インタフェースである。撮像部62は、画像を撮像するカメラである。通信部63は、ネットワークNを介して医療情報管理サーバ10との通信を行うための通信インタフェースである。なお、通信部63は、Wifi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信機能をも有する。
【0040】
記憶部64は、不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、ユーザ識別情報D10及びバーコード情報D2を記憶する。ユーザ識別情報D10は、例えば、携帯端末装置60の装置識別情報である。また、バーコード情報D2は、撮像部62によって読み取られたバーコード情報D2である。
【0041】
制御部65は、携帯端末装置60の全体を制御する制御部であり、バーコード情報読取部66及び閲覧要求生成部67を有する。制御部65は、これらの機能部に対応するプログラムを不揮発性メモリや磁気ディスク装置などの記憶装置に記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0042】
バーコード情報読取部66は、撮像部62を介して、端末装置41,51のバーコード表示部42、52に表示されたバーコード情報D2を読み取って記憶部64に記憶させる処理を行う。
【0043】
閲覧要求生成部67は、読み取ったバーコード情報D2とユーザ識別情報D10とを含む閲覧要求を生成し、閲覧要求を医療情報管理サーバ10に送信する処理を行う。
【0044】
<端末装置>
図3は、端末装置41の構成を示す機能ブロック図である。なお、端末装置51は、端末装置41と同じ構成である。図3に示すように、端末装置41は、入力部43、表示部44、通信部45、記憶部46及び制御部47を有する。
【0045】
入力部43は、キーボードやポインティングデバイスなどの入力デバイスである。表示部44は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。表示部44は、医療情報管理サーバ10と接続した場合に送られてくるバーコード情報D2を表示するバーコード表示部42を有する。通信部45は、ネットワークNを介して医療情報管理サーバ10との通信を行うための通信インタフェースである。
【0046】
記憶部46は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、医療情報管理サーバ10から送られたバーコード情報D2を記憶する。
【0047】
制御部47は、端末装置41の全体を制御する制御部であり、バーコード情報表示処理部48及び閲覧処理部49を有する。制御部47は、これらの機能部に対応するプログラムを不揮発性メモリや磁気ディスク装置などの記憶装置に記憶しておき、これらのプログラムをメモリにロードして、CPUで実行することで、対応するプロセスを実行させることになる。
【0048】
バーコード情報表示処理部48は、医療情報管理サーバ10から送られたバーコード情報D2をバーコード表示部42に表示する処理を行う。
【0049】
閲覧処理部49は、医療情報管理サーバ10からユーザ100の医療情報D1の閲覧許可通知を受けて、ユーザ100の医療情報D1の閲覧処理を行う。
【0050】
<医療情報の閲覧許可処理>
次に、医療情報閲覧システム1による医療情報D1の閲覧許可処理について説明する。図4は、医療情報閲覧システム1による医療情報D1の閲覧許可処理手順の一例を示すシーケンス図である。図4に示すように、まず、端末装置41は医療情報管理サーバ10と通信接続処理を行う(ステップS110)。医療情報管理サーバ10は、この通信接続処理によって通信接続が完了すると、バーコード情報発行部15が、端末装置41との接続情報を示すバーコード情報D2を発行し(ステップS120)、バーコード情報D2を端末装置41に送信する(ステップS130)。バーコード情報D2を受信した端末装置41は、バーコード表示部42にバーコード情報D2を表示する(ステップS140)。
【0051】
その後、携帯端末装置60は、バーコード表示部42に表示されたバーコード情報D2を読み取り(ステップS150)、読み取ったバーコード情報D2と、携帯端末装置60の装置識別情報であるユーザ識別情報D10とを含めた閲覧要求を生成する(ステップS160)。そして、携帯端末装置60は、この閲覧要求を医療情報管理サーバ10に送信する(ステップS170)。
【0052】
この閲覧要求を受信した医療情報管理サーバ10は、閲覧登録情報D3を参照してユーザ識別情報D10が正当であるか否かを判定する(ステップS180)。ユーザ識別情報D10が正当なものでないならば(ステップS180;No)、そのまま本処理を終了する。一方、ユーザ識別情報D10が正当であるならば(ステップS180;Yes)、バーコード情報D2が示す端末装置41に対してユーザ100の医療情報D1の閲覧許可通知を送信する(ステップS190)。そして、端末装置41は、医療情報管理サーバ10との間で、ユーザ100の医療情報D1の閲覧処理を行い(ステップS200)、本処理を終了する。
【0053】
本実施例では、ユーザ100の医療情報D1を閲覧しようとする医者などの第三者の端末装置41とユーザ100の携帯端末装置60とが近くに存在する場合、携帯端末装置60が端末装置41のバーコード表示部42に表示されたバーコード情報D2を読み取って医療情報管理サーバ10に閲覧要求を行うのみで、端末装置41はユーザ100の医療情報D1を閲覧することができ、容易かつ迅速にユーザ100の医療情報D1を閲覧することができる。この際、端末装置41と携帯端末装置60とは通信接続を行わないため、端末装置41は携帯端末装置60が有する近距離無線通信機能などを保有する必要がなく、簡易な構成でユーザ100の医療情報D1を閲覧することができる。また、端末装置41は、ユーザ100の医療情報D1の閲覧のために医療情報管理サーバ10などを介して携帯端末装置60に閲覧のための問合せ要求などを行う必要がなく、また、携帯端末装置60は、この問合せ要求に対する許可応答などを行う必要がないため、ユーザ100の医療情報D1の閲覧のための煩雑な操作を行わなくても済む。
【0054】
<変形例1>
上記の実施例では、端末装置41の操作者である医者を含む第三者が、携帯端末装置60の所有者であるユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザと面識がない場合、ユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザ以外の者が、ユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザに成りすまして閲覧要求を行ってしまう場合がある。このため、本変形例1では、ユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザの生体認証処理を行うようにしている。
【0055】
図5は、変形例1にかかる携帯端末装置60の構成を示す機能ブロック図である。図5に示すように、本変形例1の携帯端末装置60は、実施例の携帯端末装置60に対し、制御部65に生体情報取得処理部68をさらに設け、記憶部64に生体情報D20を記憶するようにしている。この場合、生体情報は、顔情報であり、撮像部62は、生体情報取得部として機能する。閲覧要求生成部67は、バーコード情報D2及びユーザ識別情報D10とともに、さらに生体情報D20である顔情報を加えた閲覧要求を生成して、この閲覧要求を医療情報管理サーバ10に送信する。
【0056】
一方、図6は、変形例1にかかる医療情報管理サーバ10の構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、本変形例1の医療情報管理サーバ10は、さらに制御部14に生体認証部17を備え、閲覧登録情報D3内に、予め登録したユーザ100の顔情報である生体認証情報D4を記憶している。医療情報管理サーバ10は、携帯端末装置60から閲覧要求を受け付けた場合、生体認証部17が、送られた顔画像である生体情報D20と、予め登録された生体認証情報D4とを比較して、ユーザ100の認証処理を行う。
【0057】
図7は、変形例1にかかる医療情報閲覧システム1による医療情報D1の閲覧許可処理手順の一例を示すシーケンス図である。図7に示すように、携帯端末装置60は、バーコード情報D2を読み取った(ステップS150)後、生体情報取得処理部68が、撮像部62を介して、顔画像である生体情報D20を取得する(ステップS151)。その後、携帯端末装置60は、バーコード情報D2、ユーザ識別情報D10及び生体情報D20を含めた閲覧要求を生成し(ステップS160)、この閲覧要求を医療情報管理サーバ10に送信する。
【0058】
一方、この閲覧要求を受け取った医療情報管理サーバ10は、ユーザ識別情報D10の認証処理に加えて、生体情報D20の認証処理を行い、双方の認証処理が正当であるか否かを判定する(ステップS180)。その他の構成は、図4に示した実施例による閲覧許可処理と同じである。
【0059】
なお、生体情報D20には、顔情報以外に、指紋情報、虹彩情報などの各種生体情報を含む。この場合、生体情報取得部は、各生体情報に対応したものを設けることになる。
【0060】
本変形例1では、ユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザに成りすました閲覧要求の送信を確実に防止し、セキュリティを高めることができる。
【0061】
<変形例2>
本変形例2では、バーコード情報D2を定期的に更新するようにしている。バーコード情報D2が固定的なものである場合、携帯端末装置60が予めバーコード情報D2を取得しておくことにより、携帯端末装置60が端末装置41から遠隔に存在する場合であっても、携帯端末装置60から閲覧要求が送信され、ユーザ100の医療情報D1を閲覧できることなる。すなわち、この場合も、ユーザ100あるいはユーザ100が許可したユーザに成りすました閲覧要求の送信が可能となる。
【0062】
このため、本変形例2では、医療情報管理サーバ10がバーコード情報D2を定期的に更新し、所定期間を過ぎたバーコード情報D2を無効にし、医療情報D1の閲覧許可のセキュリティを高めている。
【0063】
なお、上記の実施例及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る医療情報閲覧システム及び医療情報閲覧方法は、ユーザの医療情報を閲覧しようとする第三者の端末装置とユーザの携帯端末装置とが近くに存在する場合に簡易な構成で、容易にユーザの医療情報の閲覧許可を得る場合に有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 医療情報閲覧システム
10 医療情報管理サーバ
11 入出力部
12,45,63 通信部
13,46,64 記憶部
14,47,65 制御部
15 バーコード情報発行部
16 閲覧処理部
17 生体認証部
20,40,50 医療施設
21,31 ローカルサーバ
22 モダリティ
23,32 読影装置
30 読影センター
41,51 端末装置
42,52 バーコード表示部
43 入力部
44 表示部
48 バーコード情報表示処理部
49 閲覧処理部
51 端末装置
60 携帯端末装置
61 操作表示部
62 撮像部
66 バーコード情報読取部
67 閲覧要求生成部
68 生体情報取得処理部
100 ユーザ
D1 医療情報
D2 バーコード情報
D3 閲覧登録情報
D4 生体認証情報
D10 ユーザ識別情報
D20 生体情報
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7