(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】温度調節装置
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
A01K1/015 A
(21)【出願番号】P 2019205151
(22)【出願日】2019-11-13
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】宮田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 文章
(72)【発明者】
【氏名】藤田 司
(72)【発明者】
【氏名】野地 克哉
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-025424(JP,A)
【文献】特開2000-023820(JP,A)
【文献】国際公開第2016/185389(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/015
F24F 1/009
F28D 20/02
A47G 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節面を有する温度調節シートと、
前記温度調節シートの温度を制御する温度制御部と、
を備え、
前記温度調節シートは、
前記温度制御部に接続されたベースシートと、
前記ベースシートに対して熱的に接続可能であり、前記温度調節面を拡張可能な拡張シートと、
を有
し、
前記拡張シートは、
前記ベースシートと接触する接触面と、前記温度調節面とを含む熱伝導部と、
前記熱伝導部に接続されており、接地面を有する接地部と、
を有し、
前記接地部の熱伝導率が、前記熱伝導部の熱伝導率よりも低い、温度調節装置。
【請求項2】
前記拡張シートは、前記ベースシートに対して着脱可能である、請求項
1に記載の温度調節装置。
【請求項3】
温度調節面を有する温度調節シートと、
前記温度調節シートの温度を制御する温度制御部と、
を備え、
前記温度調節シートは、
前記温度制御部に接続されたベースシートと、
前記ベースシートに対して熱的に接続可能であり、前記温度調節面を拡張可能な拡張シートと、
を有し、
前記拡張シートは、前記ベースシートに対して前記ベースシートの厚み方向に重なる第1ポジションと、前記第1ポジションに位置するときよりも前記ベースシートと重なる部分の面積が小さな第2ポジションとの間でスライド可能である
、温度調節装置。
【請求項4】
前記拡張シートと、前記ベースシートとは、軸を中心として回転可能に接続されている、請求項
1に記載の温度調節装置。
【請求項5】
前記拡張シート及び前記ベースシートの少なくとも一方が、可撓性を有するシートにより構成されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の温度調節装置。
【請求項6】
前記拡張シート及び前記ベースシートの少なくとも一方は、蓄熱材を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の温度調節装置。
【請求項7】
動物の体温調節に用いられる、請求項1~
6のいずれか一項に記載の温度調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小動物用冷房装置の一例が記載されている。特許文献1に記載の冷房装置は、冷却ユニットと、熱伝導板とを有する。冷却ユニットと、熱伝導板とは、一体不可分に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大型動物と小型動物との両方を飼育している飼育者もいる。このような飼育者には、小型動物と大型動物との両方に用いることができる冷房装置に対するニーズが存在する。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の小動物用冷房装置を、大型動物にも適用可能にするためには、熱伝導板を大面積化する必要がある。しかしながら、熱伝導板を大面積化した場合、冷房装置が大型化し、冷房装置の収納のしやすさ、すなわち、収納容易性が損なわれる。
【0006】
本開示の主な目的は、種々の大きさの被温度調節物に対して適用可能で、かつ優れた収納容易性を有する温度調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の温度調節装置は、温度調節シートと、温度制御部とを備える。温度調節シートは、温度調節面を有する。温度制御部は、温度調節シートの温度を制御する。温度調節シートベースシートと、拡張シートとを有する。ベースシートは、温度制御部に接続されている。拡張シートは、ベースシートに対して熱的に接続可能である。拡張シートは、温度調節面を拡張可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る温度調節装置(拡張態様)の模式的斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る温度調節装置(拡張態様)の模式的正面図である。
【
図3】第1実施形態に係る温度調節装置(非拡張態様)の一部分の模式的部分分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る温度調節装置の模式的分解正面図である。
【
図5】第1実施形態における拡張シートの模式的斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る温度調節装置(非拡張態様)の模式的斜視図である。
【
図7】第2実施形態に係る温度調節装置(非拡張態様)の模式的正面図である。
【
図8】第2実施形態に係る温度調節装置(拡張態様)の模式的正面図である。
【
図9】第3実施形態に係る温度調節装置(非拡張態様)の模式的正面図である。
【
図10】第3実施形態に係る温度調節装置(拡張態様)の模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る温度調節装置(拡張態様)の模式的斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る温度調節装置(拡張態様)の模式的正面図である。
図3は、第1実施形態に係る温度調節装置(非拡張態様)の一部分の模式的部分分解斜視図である。なお、
図1及び
図2は、詳細には、温度調節装置1が拡張態様をとっているときの温度調節装置1を示す。
図3は、詳細には、温度調節装置1が非拡張状態をとっているときの温度調節装置1を示す。温度調節装置1の拡張態様と、非拡張態様とについては、後に詳述する。
【0011】
(温度調節装置1の機能及び用途)
図1及び
図2に示す温度調節装置1は、被温度調節物の温度を調節するためのものである。具体的には、本実施形態に係る温度調節装置1は、被温度調節物を冷却したり、暖めたりするためのものである。
【0012】
被温度調節物の種類は、特に限定されない。被温度調節物は、例えば、生物であってもよいし、無生物であってもよい。すなわち、温度調節装置1は、生物の温度調節に使用することもできるし、無生物の温度調節に用いることもできる。温度調節装置1は、例えば、人間やペット等の動物の体温調節、なかでも、ペット等の体温調節に特に好適に用いられる。以下、本実施形態では、温度調節装置1が、動物の温度を調節する装置、具体的には、動物を冷やしたり、暖めたりする装置である例について説明する。
【0013】
(温度調節装置1の概略構成)
図1に示すように、温度調節装置1は、温度制御部10と、温度調節シート20とを備える。
【0014】
温度調節シート20は、温度調節面20aを有する。温度調節面20aは、動物と接触して、動物の温度調節をする面(動物を冷やしたり、暖めたりする面)である。すなわち、温度調節面20aの上に動物が座ったり寝転んだりして動物が温度調節面20aと接触することにより、動物が冷やされたり、暖められたりする。
【0015】
温度制御部10は、温度調節シート20の温度を制御する。例えば、温度制御部10は、温度調節シート20を冷やしたり、暖めたり、温度調節シート20の温度を保持したりする。温度制御部10は、操作者が温度制御情報を入力可能である。ここで、温度制御情報とは、温度調節面20aの温度を制御するための情報である。温度制御情報は、例えば、温度調節面20aをある温度に保持するという情報であってもよいし、温度調節面20aの設定温度のタイミングチャートであってもよい。
【0016】
温度制御部10は、例えば、操作者が操作可能な操作部を有しており、その操作部を操作することにより温度制御情報が入力可能であってもよい。温度制御部10は、例えば、ネットワークを経由して接続された端末(例えば、携帯電話、タブレットパーソナルコンピューター等の移動情報端末やパーソナルコンピューター等)から温度制御情報の入力が可能に構成されていてもよい。
【0017】
図3に示すように、温度制御部10は、筐体11と、温度制御機構12とを有する。筐体11は、温度制御機構12等を収納している。温度制御機構12は、温度調節シート20と接続されている(詳細には、温度調節シート20のうち、後述するベースシート21に接続されている。)。温度制御機構12は、温度調節シート20の温度を制御する。詳細には、温度制御機構12は、温度調節シート20を冷やしたり、暖めたりする。
【0018】
温度制御機構12は、ペルチェ素子13と、ヒートシンク14とを有する。
【0019】
ペルチェ素子13は、温度調節シート20を冷却したり、加熱したりすることができる。詳細には、ペルチェ素子13を流れる電流の向きや大きさを調節することにより、ペルチェ素子13の温度を変化させることができ、その結果、温度調節シート20を冷却したり、加熱したりすることができる。
【0020】
ヒートシンク14は、ペルチェ素子13と接触している。ヒートシンク14は、ペルチェ素子13の熱を放熱する放熱体である。ヒートシンク14は、空冷方式のヒートシンクであってもよいし、水冷方式のヒートシンクであってもよい。
【0021】
(温度調節シート20)
次に、温度調節シート20の構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、温度調節シート20は、ベースシート21と、拡張シート22とを有する。
【0022】
ベースシート21は、温度制御部10に接続されている。ベースシート21は、温度制御部10に対して着脱不能である。ベースシート21と温度制御部10とは、装置本体2を構成している。
【0023】
図3に示すように、ベースシート21は、温度制御機構12に直接接続されている。ベースシート21は、温度制御機構12によって直接冷やされたり、直接暖められたりする。
【0024】
ベースシート21は、温度制御機構12によって温度調節可能なシートである限りにおいて特に限定されない。ベースシート21は、例えば、剛体であってもよし、可撓性を有するシートであってもよい。ベースシート21は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金のような金属により構成された金属板、ゾル状またはゲル状の蓄熱材(例えば、保冷剤を含む。)を含むゲルシート等により構成することができる。以下、本実施形態では、ベースシート21が金属板により構成されている例について説明する。
【0025】
なお、本発明において、「シート」とは、厚み寸法が、幅寸法や長さ寸法よりも小さな部材全般を含むものとする。「シート」は、剛体であってもよいし、可撓性を有する部材であってもよい。「シート」には、例えば、厚みが0.1mm~10cm程度の、剛性を有する、または可撓性を有する部材が含まれるものとする。
【0026】
ベースシート21は、第1温度調節面21aを有する。この第1温度調節面21aは、温度調節面20aに含まれる。後に詳述するように、本実施形態においては、第1温度調節面21aは、非拡張態様において、動物を冷却または加温する温度調節面20aを単独で構成する。第1温度調節面21aは、拡張態様において、温度調節面20aを構成せず、温度伝達面として機能する。
【0027】
本実施形態では、ベースシート21が金属板により構成されている。このため、第1温度調節面21aは、平面状である。例えば、ベースシート21が、可撓性を有するシートや変形可能なシートにより構成されている場合は、第1温度調節面21aは、変形可能な面である。この場合、動物が第1温度調節面21a上に着座等したときに動物と第1温度調節面21aとの接触面積を大きくすることができる。
【0028】
本実施形態では、ベースシート21が矩形板状である。第1温度調節面21aは、略矩形状である。但し、本発明において、ベースシート及び第1温度調節面のそれぞれの形状は、限定されない。ベースシートは、例えば、平面視形状が多角形状、円形状、長円状、楕円形状等であるシートであってもよい。第1温度調節面は、例えば、多角形状、円形状、長円状、楕円形状等であってもよい。
【0029】
図4は、第1実施形態に係る温度調節装置の模式的分解正面図である。
図5は、第1実施形態における拡張シートの模式的斜視図である。
【0030】
図1、
図2及び
図4に示すように、温度調節シート20は、拡張シート22を有する。拡張シート22は、ベースシート21よりも大面積である。
図4に示すように、拡張シート22は、装置本体2、詳細には、ベースシート21に対して着脱可能である。拡張シート22は、ベースシート21に対して熱的に接続可能である。
【0031】
具体的には、拡張シート22は、第1主面22aと、第2主面22bとを有する。第1主面22aは、第1温度調節面21aよりも大面積である。
図1及び
図2に示すように、拡張シート22が装置本体2に取り付けられた状態において、第1主面22aは、ベースシート21とは反対側に位置している。第2主面22bは、ベースシート21側に位置している。
【0032】
第1主面22aは、第2温度調節面23を構成している。この第2温度調節面23は、温度調節面20aに含まれる。後に詳述するように、本実施形態においては、第2温度調節面23は、拡張態様において、動物を冷却または加温する温度調節面21aを単独で構成する。第2温度調節面23は、非拡張態様において、温度調節面20aを構成しない。
【0033】
第2主面22bの幅方向における略中央部には、凹部が形成されている。第2主面22bの凹部の底面を構成している部分22b1は、拡張態様において、温度伝達面を構成している第1温度調節面21aと接触する。すなわち、第2主面22bの部分22b1は、ベースシート21と接触する接触面を構成している。拡張態様においては、第2主面22bの部分22b1と第1温度調節面21aとが面接触するため、ベースシート21と拡張シート22との間で熱交換が行われる。
【0034】
温度調節装置1は、ベースシート21と拡張シート22とを固定可能な固定具をさらに備えていてもよい。
【0035】
拡張シート22は、熱伝導部を構成している熱伝導シート24と、接地部を構成している断熱シート25とを有する。熱伝導シート24は、断熱シート25よりも高い熱伝導率を有する。すなわち、熱伝導シート24は、相対的に高い熱伝導率を有し、断熱シート25は、相対的に低い熱伝導率を有する。従って、本実施形態では、拡張シート22の接地部の熱伝導率が、熱伝導部の熱伝導率よりも低い。拡張シート22の接地部の熱伝導率は、熱伝導部の熱伝導率の1/100以下であることが好ましく、1/1000以下であることがより好ましい。
【0036】
熱伝導シート24は、例えば、剛体であってもよし、可撓性を有するシートであってもよい。熱伝導シート24は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金のような金属により構成された金属板、ゾル状またはゲル状の蓄熱材(例えば、保冷剤を含む。)を含むゲルシート等により構成することができる。以下、本実施形態では、熱伝導シート24が金属板により構成されている例について説明する。
【0037】
熱伝導シート24は、第1主面22a(第2温度調節面23)と、第2主面22bの部分22b1とを構成している。
【0038】
断熱シート25は、熱伝導シート24の第2主面22bの部分22b1以外の部分に固定されている。断熱シート25は、拡張態様において、断熱シート25の第2主面22bのうち、ベースシート21と接触する部分を除いた部分に固定されている。断熱シート25は、拡張態様において、温度調節装置1の接地面に対して接地する。
【0039】
断熱シート25の材質は、特に限定されない。断熱シート25は、例えば、発泡スチロールまたは発砲ウレタン等により構成することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、断熱シート25と熱伝導シート24とが別の部材により構成されている例について説明する。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、接地部と熱伝導部とが一体に設けられていてもよい。接地部と熱伝導部とが実質的に同一の材料により構成されていてもよい。
【0041】
(非拡張態様と拡張態様)
温度調節装置1は、非拡張態様と拡張態様との少なくともふたつの態様で使用可能である。次に、主として
図1、2及び6を参照して、非拡張態様と拡張態様について説明する。
【0042】
(非拡張態様)
図6に温度調節装置1の非拡張態様を示す。非拡張態様は、小型の動物の温度を調節する際に好適な態様である。
図6に示すように、非拡張態様では、拡張シート22を使用せず、ベースシート21を有する装置本体2のみを使用する。このため、温度調節面20aは、ベースシート21の第1温度調節面21aにより構成される。非拡張態様においては、拡張シート22はベースシート21と実質的に熱交換不能に隔離されている。拡張シート22は、装置本体2とは別に、収納されている。
【0043】
(拡張態様)
図1及び
図2に温度調節装置1の拡張態様を示す。拡張態様は、大型の動物の温度を調節する際に好適な態様である。
図1及び
図2に示すように、拡張態様では、拡張シート22がベースシート21の上に配置され、拡張シート22とベースシート21とが熱的に接続される。このため、拡張態様では、温度調節面20aは、第1温度調節面21aよりも大面積な、拡張シート22の第2温度調節面23(第1主面22a)により構成される。このように、拡張シート22を用いることにより、温度調節面20aが拡張可能である。拡張シート22により温度調節面20aが拡張されていない非拡張態様においてよりも、拡張シート22により温度調節面20aが拡張されている拡張態様においての方が、拡張シート22とベースシート21との間の熱伝導率が高い。具体的には、非拡張態様においては、拡張シート22とベースシート21との間で熱伝導が実質的に生じないのに対して、拡張態様においては、拡張シート22とベースシート21との間で熱伝導が生じる。このため、拡張態様においては、拡張シート22の温度を、温度制御部10によって制御することができる。
【0044】
以上説明したように、温度調節装置1は、温度制御部10に接続されたベースシート21に対して熱的に接続可能であり、温度調節面20aを拡張可能な拡張シート22を有する。このため、例えば小型の動物の温度調節を行いたいときなどのように、温度調節面20aが小さくてもよい場合は、拡張シート22を用いず、ベースシート21の第1温度調節面21aにより温度調節面20aを構成することができる。よって、例えば、小型の動物の温度調節を行うときに、温度調節装置1の占有面積を小さくし得る。
【0045】
例えば、大型の動物の温度調節を行いたいときには、拡張シート22を用いて温度調節面20aを拡張することができる。従って、温度調節装置1は、温度調節対象となる動物が小型であるときにも大型であるときにも好適である。さらに、拡張シート22がベースシート21に対して着脱可能であるため、温度調節装置1の収納スペースを小さくし得る。
【0046】
温度調節装置1では、非拡張態様においては、拡張シート22がベースシート21に熱的に接続されていない。温度制御部10は、ベースシート21のみの温度を制御する。このため、非拡張態様における温度調節装置1の駆動電力の増大を抑制し得る。
【0047】
温度調節装置1では、拡張シート22の接地面を構成している接地部が、熱伝導部を構成している熱伝導シート24よりも熱伝導率が低い、断熱シート25により構成されている。このため、拡張シート22が受ける、温度調節装置1の配置面からの熱的影響を小さくできる。例えば、拡張シート22が配置面により不所望に冷却されたり、加熱されたりしにくい。従って、拡張態様における温度調節装置1の駆動電力の増大を抑制し得る。
【0048】
以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0049】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る温度調節装置1a(非拡張態様)の模式的正面図である。
図8は、第2実施形態に係る温度調節装置1a(拡張態様)の模式的正面図である。
【0050】
第1実施形態では、ベースシート21と拡張シート22とが着脱可能である例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。
図7及び
図8に示す温度調節装置1aでは、拡張シート22は、ベースシート21に対して着脱不能である。
【0051】
拡張シート22は、ベースシート21に対してベースシート21の厚み方向に重なる第1ポジション(
図7を参照。)と、第1ポジションに位置するときよりもベースシート21と重なる部分の面積が小さな第2ポジションとの間でスライド可能である。
【0052】
図7に示すように、非拡張態様においては、拡張シート22は、第1ポジションに位置している。非拡張態様においては、ベースシート21の第1温度調節面21aの全体の上に拡張シート22が位置している。拡張シート22の第2主面22bは、ベースシート21の第1温度調節面21aと面接触している。このため、温度制御部10により拡張シート22の温度が制御可能である。
【0053】
非拡張態様においては、温度調節面20aは、拡張シート22の第1主面22a(第2温度調節面23)単独により構成される。
【0054】
図8に示すように、拡張態様においては、拡張シート22は、第2ポジションに位置している。拡張態様においては、ベースシート21の第1温度調節面21aの大部分が拡張シート22から露出しており、第1温度調節面21aの幅方向における端部と拡張シート22とが面接触している。このため、拡張態様においても、温度制御部10により拡張シート22の温度が制御可能である。
【0055】
拡張態様においては、温度調節面20aは、ベースシート21の第1温度調節面21aの一部分と、拡張シート22の第1主面22a(第2温度調節面23)により構成される。
【0056】
以上のように、本実施形態においても、拡張シート22により温度調節面20aが拡張可能である。従って、本実施形態においても、上記第1実施形態と実質的に同様の効果が得られる。
【0057】
本実施形態では、拡張シート22が第1ポジションと第2ポジションとの間でスライド可能である。このため、温度調節面20aを大きくしたいときには、拡張シート22を第2ポジションに位置させ、収納する際には拡張シート22を第1ポジションに位置させることにより、収納容易性を高めることができる。
【0058】
なお、第2実施形態では、非拡張態様において拡張シート22がベースシート21の上に位置し、拡張シート22の第2温度調節面23により温度調節面20aが構成されている例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。
【0059】
例えば、非拡張態様において、拡張シート22がベースシート21の下に位置し、ベースシート21の第1温度調節面21aにより温度調節面20aが構成されてもよい。
【0060】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る温度調節装置1b(非拡張態様)の模式的正面図である。
図10は、第3実施形態に係る温度調節装置1b(拡張態様)の模式的正面図である。
【0061】
第2実施形態では、拡張シート22がベースシート21に対してスライド可能である例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、拡張シート22とベースシート21とは、軸を中心として回転可能に接続されていてもよい。
【0062】
図9及び
図10に示すように、第3実施形態に係る温度調節装置1bでは、拡張シート22は、第1シート片22Aと、第2シート片22Bとを有する。
図9に示すように、第1シート片22Aと第2シート片22Bとを有する拡張シート22と、ベースシート21とは実質的に同じ面積を有する。
【0063】
第1シート片22Aは、幅方向における一方端に位置する回転軸A1を中心として、ベースシート21に対して回転可能である。第2シート片22Bは、幅方向における他方端に位置する回転軸A2を中心として、ベースシート21に対して回転可能である。
【0064】
図9に示すように、非拡張態様においては、第1シート片22A及び第2シート片22Bがベースシート21の上に位置している。非拡張態様においては、温度調節面20aは、第1シート片22Aの主面22A1と第2シート片22Bの主面22B1とにより構成される。
【0065】
図10に示すように、拡張態様においては、第1シート片22A及び第2シート片22Bのそれぞれと、ベースシート21とが並列に配列される。拡張態様においては、温度調節面20aは、第1シート片22Aの主面22A2と、第2シート片22Bの主面22B2と、ベースシート21の第1温度調節面21aとにより構成される。
【0066】
以上のように、本実施形態においても、拡張シート22により温度調節面20aが拡張可能である。従って、本実施形態においても、上記第1実施形態及び第2実施形態と実質的に同様の効果が得られる。
【0067】
なお、本実施形態では、拡張シート22が、それぞれがベースシート21に対して回転可能な複数のシート片22A、22Bにより構成されている例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、一体に設けられた拡張シート22が、回転軸A1または回転軸A2を中心に回転可能であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、1b 温度調節装置
10 温度制御部
20 温度調節シート
21 ベースシート
22 拡張シート
24 熱伝導シート
25 断熱シート