IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特許-車両用スロープ 図1
  • 特許-車両用スロープ 図2
  • 特許-車両用スロープ 図3
  • 特許-車両用スロープ 図4
  • 特許-車両用スロープ 図5
  • 特許-車両用スロープ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】車両用スロープ
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/00 20060101AFI20231115BHJP
   A61G 3/06 20060101ALI20231115BHJP
   B60R 3/00 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
E04F11/00 100
A61G3/06 711
B60R3/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019220409
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021088894
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】仲田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】田村 例人
(72)【発明者】
【氏名】望月 惇平
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-019993(JP,A)
【文献】特開2001-163117(JP,A)
【文献】特開2015-83149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00 - 11/18
B60R 3/00 - 7/14
A61G 1/00 - 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を載せて前記移動体を通過させるための板状部材と、
光源と、
前記光源の光を出射する光出射部であって、前記板状部材における通過方向の左右領域に配置された光出射部と、を備える車両用スロープであって、
前記板状部材は、前記光源から前記板状部材の下方に向けて出射された光が前記板状部材の下方に位置する地面または前記光源から出射された光を導光する導光部で反射し、それにより前記光の進行方向が上方に変化すること所定の情報を表示可能な情報表示部を有
車両と地面に架け渡される、車両用スロープ。
【請求項2】
前記車両用スロープは、前記光源から出射される光の一部を前記地面に向かって出射させ、前記地面からの反射光を前記情報表示部の下面に入射させるように構成されている、請求項1に記載の車両用スロープ。
【請求項3】
前記板状部材のうち、前記情報表示部を含む少なくとも一部は前記導光部を有し、
前記光源は、出射した光を前記導光部に入射させるように設けられており、
前記導光部は、前記入射された光を前記情報表示部の上面から出射させるように反射させるための反射部を有する、請求項1または2に記載の車両用スロープ。
【請求項4】
前記板状部材は、非透明部材により形成されており、
前記情報表示部は、前記板状部材に形成され、かつ前記光源から出射された光を透過可能な透光部を有する、請求項1または2に記載の車両用スロープ。
【請求項5】
前記光出射部は、前記光源から前記板状部材の上方および前記板状部材の幅方向の少なくとも一方に向けて出射された光を前記光出射部の外方に出射させるように構成されたレンズを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用スロープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スロープに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両、バス等の乗降口と、駅のホーム等の路面との間にかけ渡され、車いす等の通行に供される可搬式の車両用スロープが知られている(特許文献1参照)。また、乗降機構の上面部を照明する照明灯を備えたスロープ型乗降機構が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-97768号公報
【文献】特開2018-52223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1等に開示されている従来の車両用スロープについては、例えば、暗い場所に、車両用スロープがかけ渡さられる場合、車いす等の操作者等は車両用スロープの位置や幅を認識しにくいことがある。また、特許文献2等に開示されている従来の車両用スロープは、車いす等が通過するための位置を示すための照明を有するものであるが、さらなる改善の余地があると考えられる。
【0005】
本発明は、車両用スロープを利用する移動体にとってより利便性の高い車両用スロープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様に係る車両用スロープは、
移動体を載せて前記移動体を通過させるための板状部材と、
光源と、
前記光源の光を出射する光出射部であって、前記板状部材における通過方向の左右領域に配置された光出射部と、
を備える車両用スロープであって、
前記板状部材は、前記光源から出射された光が上方に向かって出射されることによって所定の情報を表示可能な情報表示部を有する。
【0007】
上記構成に係る車両用スロープによれば、光源の光を出射する光出射部によって、板状部材における左右領域(例えば、板状部材の左端部より左側または右端部より右側の領域)から光を出射させることで、車両用スロープの近傍にいる者に対して車両用スロープの存在を認識させることと、移動体が通過するための位置と、を示すことができる。さらに上記構成に係る車両用スロープによれば、光源から出射された光を上方に向けて出射させることで所定の情報を情報表示部に表示させることもできる。このため、車両用スロープの存在や移動体が通過するための位置をより強調することができたり、車両用スロープの用途を周囲に知らせることができる。例えば、車いすを用いる者を車両に乗車させるための情報を情報表示部に表示させることで、当該車両用スロープは、車いすを用いる者が車両に向かって進行するための用途に用いられているものであることを周囲に知らせることができる。
このように、上記構成によれば、車両用スロープを利用する移動体にとってより利便性の高い車両用スロープを提供することができる。
【0008】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る車両用スロープにおいて、
前記車両用スロープは、前記光源から出射される光の一部を前記板状部材の下方に位置する地面に向かって出射させ、前記地面からの反射光を前記情報表示部の下面に入射させるように構成されている。
【0009】
上記構成に係る車両用スロープによれば、光源から出射される光の一部は、板状部材の下方に位置する地面に反射して、情報表示部の下面に入射される。したがって、情報表示部に対して光を入射させるための光学部材を用いることなく、簡易的な構成によって、所定の情報を情報表示部に表示させることができる。
【0010】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る車両用スロープにおいて、
前記板状部材のうち、前記情報表示部を含む少なくとも一部は前記光源から出射された光を導光する導光部を有し、
前記光源は、出射した光を前記導光部に入射させるように設けられており、
前記導光部は、前記入射された光を前記情報表示部の上面から出射させるように反射させるための反射部を有する。
【0011】
上記構成に係る車両用スロープによれば、光源から出射された光は導光部に入射した後、導光部が有する反射部によって情報表示部の上面から出射する。したがって、光源から出射される光の利用効率が高まり、情報表示部に表示される所定の情報を明るく表示させることができる。
【0012】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る車両用スロープにおいて、
前記板状部材は、非透明部材により形成されており、
前記情報表示部は、前記板状部材に形成され、かつ前記光源から出射された光を透過可能な透光部を有する。
【0013】
上記構成に係る車両用スロープによれば、板状部材として、例えば金属部材等の透明部材ではない部材を用いることができる。したがって、板状部材を比較的強度の高い部材にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両用スロープを利用する移動体にとってより利便性の高い車両用スロープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態に係る車両用スロープを備える車両の概略図である。
図2】第一実施形態に係る車両用スロープを上方から見た図である。
図3図2におけるA-A線断面図である。
図4】第一実施形態の変形例に係る車両用スロープを上方から見た図である。
図5図4におけるB-B線断面図である。
図6】第二実施形態に係る車両用スロープの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態の例について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、添付の図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0017】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、図1に示す車両用スロープ2について設定された相対的な方向である。したがって、本明細書中および図面中で使用される「左」「右」「前」「後」「上」「下」は、説明の便宜のために表示された方向であり、図示された方向に限定する意図はない。ここで、「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。さらに、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「通過方向」について適宜言及する。「通過方向」とは、車両用スロープ2(以下、単に「スロープ2」という。)がドア開口部11と路面Rとの間にかけ渡されている状態において、移動体3がスロープ2の板状部材21上を通過する方向(図2における前後方向)である。
【0018】
(第一実施形態)
図1図3を参照しつつ、第一実施形態に係るスロープ2を備えた車両1について以下に説明する。本実施形態において、車両1は、バスである。ただし、車両1はバスに限られず、救急車、タクシー、パトカー、ワンボックスカー等の他の車両であってもよい。
【0019】
図1に例示されるように、車両1は、ドア開口部11を備えている。ドア開口部11は、車両1の側面に設けられており、車両1の乗降口として機能する。なお、本実施形態において、ドア開口部11は開状態である。ドア開口部11が開状態であるとき、車両1の乗降者は、ドア開口部11を介して、車両1に乗降可能である。
【0020】
車両1のドア開口部11には、ドア開口部11とドア開口部11の近傍の路面Rとをかけ渡すように、スロープ2が設置されうる。スロープ2がドア開口部11と路面Rとにかけ渡されているとき、移動体3は、スロープ2上を移動することで、車両1に乗降することができる。なお、移動体3は、例えば車いす、キックボード、自転車、小型モビリティ、移動型ロボット、歩行者等である。
【0021】
次に、図2および図3を参照しつつ、スロープ2について説明する。図2は、スロープ2を上方から見た図である。図3は、図2におけるA-A線断面図である。図2に例示されるように、スロープ2は、板状部材21と、縁部22と、光源23と、光出射部24と、を備えている。板状部材21は、薄い板状の部材であり、平面視で長方形である。板状部材21は、例えば、材料強度が比較的高い金属部材等の非透明部材を含みうる。このような材料としては、例えばアルミニウム製形材等である。板状部材21は、板状部材21の前側部分である第一部21Aと、板状部材21の後側部分である第二部21Bと、を含む。第一部21Aは、第二部21Bよりも僅かに大きく、第二部21Bを収容可能である。第二部21Bは前後方向に移動することができる。スロープ2は、第二部21Bが、第一部21Aに収容されている状態から、後方向に移動することで、図1および図2に例示される状態になる。
【0022】
スロープ2がドア開口部11に設置されている状態において、板状部材21は移動体3の通路として機能する。板状部材21は、情報表示部212を有している。
【0023】
情報表示部212は、スロープ2の近傍にいる者に対するメッセージ等の所定の情報を表示することができるように構成されている。情報表示部212は、任意の形状を有している。当該任意の形状は、所定の情報に応じて形成される。本実施形態において、情報表示部212の形状は、前方に先端がある矢印の形状および車いすの形状である。当該矢印は、スロープ2は車両1に乗車する移動体3用のスロープであることを示す。また、当該車いすのマークは、スロープ2は車いす用のスロープであることを示す。
【0024】
図3に例示されるように、情報表示部212は、貫通孔212a(透光部の一例)を有する。貫通孔212aは、光を透過するように構成されている。
【0025】
図2および図3に例示されるように、縁部22は、板状部材21の左端部より左または右端部より右にそれぞれ設けられている。縁部22は、前後方向に延びる細く薄い板状の部材である。縁部22の上下方向の寸法は、板状部材21の上下方向の寸法よりも大きい(図3参照)。
【0026】
光源23は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。光源23は、光出射部24に向けて光を出射するように構成されている。光源23は、縁部22の側面のうち、板状部材21に近い方の面(内側面)に設けられている。
【0027】
光出射部24は、光源23から出射された光を所定の方向に出射させるように構成されている。図3に例示されるように、光出射部24は、光源23を覆うように設けられている。光出射部24は、板状部材21における通過方向(図2における前後方向)の左右領域(本実施形態では、板状部材21の左端部より左または右端部より右に位置する領域)に配置されている。
【0028】
光出射部24は、第一レンズ241と、第二レンズ242と、を含む。第一レンズ241は、光源23の上方向と、左右方向の一方と、を覆うように、光源23の上方から下方向に延びている。第一レンズ241は、光を透過可能な樹脂材等に対して、例えば拡散材を含有させて形成されている。拡散材としては、例えば酸化チタン、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ホウ素、中空フィラー等である。したがって、例えば、光源23から出射された光は、第一レンズ241の中で拡散しつつ、第一レンズ241の外側に出射される。このように、第一レンズ241は、光源23から出射された光を、第一レンズ241全体から均一に出射させるように構成されている。
【0029】
第二レンズ242は、薄い板状の部材であり、断面視で長方形である。第二レンズ242は、例えばポリカーボネイトやアクリル材等の透明樹脂、ガラス等の透明部材から形成されている。第二レンズ242は、光源23から出射された光をスロープ2の下方に位置する地面Gに向けて出射させるように構成されている。
【0030】
次に、図3を参照しつつ、光源23から光が出射されるときの様子を説明する。図3に例示されるように、光源23から出射された光のうち、上方向または左右方向に出射される光は第一レンズ241に入射し、光源23から下方向に出射される光(いわゆる、「漏れ光」)は第二レンズ242に入射する。したがって、第一レンズ241に入射する光の光量は、第二レンズ242に入射する光の光量よりも多い。
【0031】
第一レンズ241に入射した光は、第一レンズ241によって拡散され、上方向または左右方向に向けて、均一に出射される。第一レンズ241に入射した光は第一レンズ241から全体的に出射されるので、第一レンズ241の周囲は他の部分と比べて明るい。したがって、スロープ2の近傍にいる者は、第一レンズ241を視認することで、近くにスロープ2があることと、および移動体3が通過するための位置(板状部材21の左右の端部の位置)と、を容易に認識することができる。
【0032】
一方、第二レンズ242に入射した光は、第二レンズ242によって、スロープ2の下方に位置する地面Gに向けて出射される。つまり、第二レンズ242に入射した光は、第二レンズ242を透過し、地面Gに当たる。当該光は、地面Gに当たると、地面Gで反射し、板状部材21の下面に入射する。
【0033】
板状部材21のうち、情報表示部212の下面に入射した光は、情報表示部212を通過して、板状部材21の上方に出射される。具体的には、情報表示部212の貫通孔212aに入射した光は、貫通孔212a内で反射するか、あるいは貫通孔212aをそのまま通過し板状部材21の上方に出射される。なお、板状部材21の上方に出射される光は、板状部材21の上方向のみならず、右上方向または左上方向にも出射されてもよい。このように、光源23から出射された光のうち第二レンズ242を通過し、地面Gにより反射され、貫通孔212aを通過した光は、板状部材21の上方に出射されるので、情報表示部212は、板状部材21の上面のうち情報表示部212以外の部分と比較して明るく視認される。その結果、スロープ2の周囲にいる者は、情報表示部212の形状を視認し、当該形状に対応する所定の情報を認識することができる。本実施形態における情報表示部212の形状は、前方に先端がある矢印の形状および車いすの形状である。したがって、スロープ2の周囲にいる者は、スロープ2は車いすに乗っている者が車両1に乗車するためのスロープであることを容易に認識することができる。
【0034】
一方、板状部材21のうち、情報表示部212以外の部分の下面に入射した光は、板状部材21の下面によって反射され、板状部材21の上方には出射されない。
【0035】
第一実施形態に係るスロープ2によれば、光出射部24によって、板状部材21の左端部より左または右端部より右に位置する領域から光が出射されるので、スロープ2の近傍にいる者に対してスロープ2の存在を認識させることと、移動体3が通過するための位置と、を示すことができる。さらにスロープ2によれば、光源23から出射された光を板状部材21の上方に向けて出射させることで所定の情報(スロープ2は車両1に乗車する移動体3用のスロープであることを示す情報、およびスロープ2は車いす用のスロープであることを示す情報)を情報表示部212に表示させることもできる。したがって、スロープ2は、スロープ2の存在をより強調することができたり、スロープ2は車いすを用いる者が車両1に乗車するためスロープであることをスロープ2の近傍にいる者に知らせることができる。
【0036】
また、第一実施形態に係るスロープ2によれば、光源23から出射される光の一部は、板状部材21の下方に位置する地面Gに反射して、情報表示部212に入射される。したがって、情報表示部212に対して光を入射させるための光学部材を用いることなく、簡易的な構成によって、所定の情報を情報表示部212に表示させることができる。
【0037】
また、第一実施形態に係るスロープ2によれば、板状部材21が、例えば金属部材等の非透明部材を含んでいる場合、板状部材21の材料強度は比較的高いので、移動体3が重い場合でも、スロープ2上を通過させることができる。
【0038】
(第一実施形態の変形例)
次に、図4および図5を参照しつつ、第一実施形態の変形例に係る車両用スロープ2A(以下、単に「スロープ2A」という。)について説明する。図4は、変形例に係るスロープ2Aを上方から見た図である。図5は、図4におけるB-B線断面図である。スロープ2Aは、光源23の配置位置とは異なる位置に配置されている光源23Aと、光出射部24とは異なる構成の光出射部24Aと、を備えている点でスロープ2と異なる。なお、第一実施形態と説明が重複する部分については、適宜説明を省略する。
【0039】
光源23Aの構成は、光源23の構成と同様であるので説明を省略する。図4に例示されるように、光源23Aは、光出射部24Aの前端より前方にそれぞれ1つずつ配置されている。光源23Aは、後方、すなわち光出射部24Aに向けて光を出射するように構成されている。
【0040】
光出射部24Aは、前後方向に、直線状に延びている。図5に例示されるように、光出射部24Aは、第一レンズ241と、第二レンズ242と、導光部243と、を備えている。導光部243は、光透過性を有する透明部材から形成されている。このような透明部材としては、例えばポリカーボネイトやアクリル材等の透明樹脂、ガラス等である。導光部243の端部243aは、前後方向に、直線状に延びている。端部243aの内側面には、図示しないステップ面が設けられている。
【0041】
次に、図5を参照しつつ、光源23Aから光が出射されるときの様子を説明する。光源23Aから光が出射されると、当該光は導光部243に入射する。光源23Aから導光部243に出射された光の一部は、導光部243の内部で反射し、端部243aに設けられたステップに入射する。端部243aに設けられたステップに入射した光の一部は、当該ステップで反射する。当該ステップで反射した光の一部は、臨界角よりも小さい入射角で、導光部243のうち端部243a以外の内周面に入射する。その結果、当該光の一部は当該内周面において全反射しないため、導光部243の外側に出射される。光出射部24Aの外部に出射された光は、第一レンズ241または第二レンズ242に入射する。第一レンズ241または第二レンズ242に入射した後の光の光路は第一実施形態と同様なので説明を省略する。
【0042】
当該変形例に係るスロープ2Aによれば、導光部243を用いた場合、光源23Aを光出射部24Aの前端より前方にそれぞれ1つずつ配置するだけで、スロープ2Aの近傍にいる者に対してスロープ2Aの存在を認識させることと、移動体3が通過するための位置と、を示すことができる。さらにスロープ2Aは、光源23Aから出射された光を板状部材21の上方に向けて出射させることで所定の情報(スロープ2Aは車両1に乗車する移動体3用のスロープであることを示す情報、およびスロープ2Aは車いす用のスロープであることを示す情報)を情報表示部212に表示させることもできる。
【0043】
(第二実施形態)
次に、図6を参照しつつ、第二実施形態に係る車両用スロープ2B(以下、単に「スロープ2B」という。)について説明する。図6は、第二実施形態に係るスロープ2Bの断面図である。スロープ2Bは、導光部25を備えている点で第一実施形態に係るスロープ2と異なる。
【0044】
導光部25は、板状の略直方体であり、板状部材21より下方に配置される。導光部25は、導光部243と同様の透明部材から構成されうる。導光部25は、光源23から出射された光を、導光部25の内部で反射させながら導光部25の外部に出射させるように構成されている。断面視において、導光部25は左右方向の辺が上下方向の辺よりも長い略長方形形状である。導光部25は、上面部251と、下面部252(反射部の一例)と、を備えている。
【0045】
上面部251は、平面部251aと、ステップ面251bと、を備えている。平面部251aは平坦な面である。
【0046】
ステップ面251bは、上面部251のうち情報表示部212の下方に位置する部分に配置されている。ステップ面251bは、ステップ面251bに入射した光の一部を屈折させて導光部25の外側(導光部25の上方)に出射させるように構成されている。ステップ面251bは略山型である。ステップ面251bは、例えば点刻形状やライン形状に延びるステップである。なお、光を所望の方向へ出射させられるのであれば、ステップ面251bの形状、位置、大きさは任意である。
【0047】
下面部252の表面には、反射面となるように、例えばアルミニウムが蒸着されている。つまり、下面部252は、光源22から出射された光を反射させることができる。
【0048】
次に、図6を参照しつつ、光源23から光が出射されるときの様子を説明する。図6に例示されるように、光源23から出射された光の一部は導光部25に入射する。
【0049】
導光部25に入射した光は、上面部251の平面部251aや下面部252によって、導光部25の内部で反射し、その一部がステップ面251bに入射する。したがって、光源23から出射された光は導光部25においてほとんど吸収されない。ステップ面251bに入射した光の一部は、ステップ面251bによって出射される。ステップ面251bによって出射された光は、導光部25の上方に出射される。
【0050】
導光部25の上方に出射された光は、板状部材21のうち、情報表示部212の下面に入射し、情報表示部212の上面から出射される。
【0051】
第二実施形態に係るスロープ2Bによれば、光源23から出射された光の一部は、導光部25に入射した後、反射部として機能する下面部252によって、ステップ面251bに向けて反射される。ステップ面251bに入射した光の一部は、情報表示部212の下面に入射し、情報表示部212の上面から出射される。光をほとんど吸収しない導光部25を介して情報表示部212の上面から光が出射される場合の光の利用効率は、光を吸収しうる地面Gを介して情報表示部212の上面から光が出射される場合の光の利用効率よりも高くしやすい。したがって、スロープ2Bは、情報表示部212に表示される所定の情報を明るく表示させることができる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明の目的を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0053】
上述した実施形態において、情報表示部212の形状は、前方に先端がある矢印の形状および車いすの形状であるが、他の形状であってもよい。情報表示部212の形状は、例えば、後方に先端がある矢印の形状、歩行者の形状、ロボットの形状、丸形状等であってもよい。例えば、後方に先端がある矢印は、スロープ2は車両1から降車する移動体3用のスロープであることを示す。歩行者のマークは、スロープ2は歩行者用のスロープであることを示す。丸形のマークは、スロープ2上を移動体3が通過してよいことを示す。
【0054】
上述した実施形態において、スロープ2は、光源23から出射される光の光量や出射方向を制御可能な光制御部を備えていないが、このような光制御部を備えていてもよい。スロープ2がこのような光制御部を備えている場合、スロープ2の周囲の環境に応じて、光源23から出射される光の光量や出射方向が制御されるので、光の利用効率を高めることができる。
【0055】
上述した実施形態において、情報表示部212は、透光部としての貫通孔212aを有しているが、アクリル材等の光透過性と耐久性を有する材料により透光部が形成されていてもよい。
【0056】
上述した実施形態および変形例において、情報表示部212は、貫通孔212aを有しているが、貫通孔212aの代わりに半透明なスリット(透過部の一例)を有してもよい。
【0057】
上述した変形例において、光源23Aは、光出射部24Aの前端より前方の位置にのみ配置されているが、光出射部24Aの前端より前方の位置および光出射部24Aの後端より後方の位置にそれぞれ配置されてもよい。
【0058】
第二実施形態において、ステップ251bは、導光部25の上面部251に設けられているが、下面部252に設けられていてもよい。この場合、当該ステップ(反射部の一例)に入射した光の一部は、当該ステップによって、導光部25の上方に向けて反射され、上面部251から上方へ出射される。導光部25の上方に出射された光の一部は、情報表示部212の上面から出射される。
【0059】
上述した実施形態および変形例において、光出射部24,24Aは、板状部材21の左端部より左または板状部材21の右端部より右に位置する領域も配置されているが、他の領域に配置されていてもよい。例えば、光出射部24,24Aは、板状部材21の左右の端部より左右方向の内側の領域や、上方または下方に位置する領域に配置されていてもよい。
【0060】
上述した第二実施形態において、光出射部24は、第一レンズ241と、第二レンズ242と、を含んでいるが、光出射部24は第一レンズ241のみを含んでいてもよい。
【0061】
上述した第二実施形態において、上面部251のうちステップ面251bが設けられていない部分、すなわち平面部251aの表面は、反射面となるように、例えばアルミニウムが蒸着されていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1:車両、2:車両用スロープ、3:移動体、21:板状部材、22:縁部、23,23A:光源、24,24A:光出射部、25:導光部、212:情報表示部、212a:貫通孔、241:第一レンズ、242:第二レンズ、243:導光部、251:上面部、252:下面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6