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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】キッチン壁面保護シート
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/12 20060101AFI20231115BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F24C15/12 F
B32B27/00 M
B32B27/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019234037
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103031
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(72)【発明者】
【氏名】中川 圭一
(72)【発明者】
【氏名】木村 将俊
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-101896(JP,U)
【文献】特開2015-063602(JP,A)
【文献】実開平05-013732(JP,U)
【文献】特開平11-277655(JP,A)
【文献】特開2001-090961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/12
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンの壁面に貼り付けられて、その壁面を油汚れから保護するシートであって、
樹脂フィルムからなるシート本体と、
前記シート本体の裏面に積層され、そのキッチンの壁面への貼り合わせ面に多数の微小な凸部が点在し前記壁面には前記凸部のみが粘着する、前記凸部と凸部以外とが同じ粘着剤からなる粘着層と、
前記シート本体の表面に積層されたコート層と、を備え、
隣接する前記凸部と前記凸部の間には空気の流通を許容する隙間が形成されており、この隙間は前記シートの外縁へと連通している、キッチン壁面保護シート。
【請求項2】
前記凸部の高さは、5~25μmである、請求項1に記載のキッチン壁面保護シート。
【請求項3】
前記コート層は、フッ素コートからなる請求項1または2に記載のキッチン壁面保護シート。
【請求項4】
前記コート層が積層されたコート面の、θ/2法にて測定したときの食用油に対する接触角が60°以上である請求項1から3のいずれかに記載のキッチン壁面保護シート。
【請求項5】
前記シート本体は、厚みが30~100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる請求項1から4のいずれかに記載のキッチン壁面保護シート。
【請求項6】
前記粘着層は、厚みが20~40μmのアクリル系粘着剤からなる請求項1から5のいずれかに記載のキッチン壁面保護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンの壁面に貼り付けてその壁面を汚れから保護するシートに関する。
【背景技術】
【0002】
油汚れ等のつきやすいキッチンの壁面に貼り付けて、その壁面を汚れから保護するキッチン壁面保護シートが知られている。
従来のキッチン壁面保護シートは、アルミニウム箔や樹脂フィルムからなるシート本体の片面に粘着層を積層してなり、その貼り合わせ面をキッチンの壁面に貼り合わせて使用される。
【0003】
油汚れ等は、キッチンの壁面を覆うシートに付着するため、壁面自体が汚れることが防止される。また、シートに付着した汚れは壁面に付着する場合と比べて拭き取りやすいし、汚れがひどい場合には、シートを壁面から剥がして廃棄し、新しいシートに貼り替えることもできる。
シートを貼り替える手間を省くため、特許文献1のように、あらかじめシート本体が複数層に積層されたシートを壁面に貼り付けておき、表側のシート本体が汚れるとこれを剥離して裏側のシート本体が表側に現れるようにする試みもなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-147711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のキッチン壁面保護シートは、特許文献1のように、粘着層からなる貼り合わせ面が平坦なものが多かったため、この面を壁面へ貼り合わせると気密な状態になりやすく、いったん壁面との間に空気(壁面との間に発生したガスも含む、以下同様)が入ってしまうと、へら等を用いても、その空気を外部に追い出すのが容易でなかった。
したがって、壁面とシートの貼り合わせ面との界面に気泡ができてしまい、シートに凹凸や皺が現れたり、シート本体が透明の場合には、表側から気泡が透けて見えたりして、体裁が悪かった。
また、壁面に対する密着性が高いため、シートを壁面から剥がす際に、壁面に粘着剤が転着して跡が残りやすく、シートを除去した後でも体裁が悪くなるおそれがあった。
【0006】
さらに、特許文献1のキッチン壁面保護シートでは、シート本体が表面に露出しているが、その滑り性が悪い場合、表面に汚れが付きやすく、汚れが付いた場合に拭き取り等しにくいうえに、へらでしごく等の空気の追い出し作業もやりにくい問題があった。
【0007】
そこで本発明の解決すべき課題は、キッチン壁面保護シートについて、汚れが付きにくく、汚れが付いた場合にも拭き取り等により除去しやすく、また剥がした後に粘着剤が残りにくくするとともに、壁面との間に空気が入りにくく、空気が入った場合にその空気を追い出しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上気した課題を解決するため、発明にかかるキッチン壁面保護シートを、樹脂フィルムからなるシート本体と、前記シート本体の裏面に積層され、そのキッチンの壁面への貼り合わせ面に多数の微小な凸部が点在する粘着層と、前記シート本体の表面に積層されたコート層と、を備える構成としたのである。
【0009】
このように、シート本体裏面の粘着層に多数の微小な凸部を形成すると、シートをキッチンの壁面に貼り合わせた場合に、貼り合わせ面においては、凸部は壁面に密着するものの、凸部と凸部の間は若干壁面から浮き上がったようになって隙間が生じることになる。
このため、シートの貼り合わせ面と壁面との間に空気が入った場合でも、凸部と凸部の間の隙間を通じて自然に外部に抜けてしまったり、へらを用いる等すれば容易に外部に追い出すことが可能である。
したがって、シートと壁面との界面上の気泡の発生が抑制され、シートの表面に凹凸や皺が現れたり、シートが透明の場合に気泡が透けて見えたりすることが防止される。
シートと壁面とは、貼り合わせ面全体のうち、主として凸部のみで接着されているため、シートを剥がす場合にも、粘着剤が転着しにくく、跡が残りにくい。
【0010】
また、シート本体表面にコート層を形成すると、表面の滑り性が高まるため、シートを壁面に貼り合わせる作業をする際の取り扱いが容易となり、きれいにシートが伸びた状態で貼り合わせることができる。したがって、シートと壁面の間に空気が入ることが一層防止される。
そして、空気が入った場合にも、コートされた表面が滑らかであることから、へらを用いてしごく等の作業もスムーズにおこなうことができ、空気を外部に追い出すことも一層容易となる。
コート層により表面の滑り性が高まることで、汚れが付着しにくくなり、付着しても拭き取る等して除去が容易となる。
【0011】
発明にかかるキッチン壁面保護シートにおいて、前記コート層は、フッ素コートからなる構成を採用することが好ましい。
フッ素コートを用いると、撥水撥油性や防湿性も高いため防汚性に優れ、耐酸性や耐摩耗性も高いため耐久性に優れ、低摩擦性であるため滑り性も良好なキッチン壁面保護シートとすることができる。なお、本発明におけるフッ素コートとは、フッ素原子と炭素原子が結合したユニットを構造内に有する高分子化合物であるフッ素樹脂を含むコートをいい、フッ素樹脂のみで構成されているものに限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲であれば別の樹脂や添加剤を含有していてもよい。本明細書では便宜的にフッ素コートと表現するものとする。
【0012】
発明にかかるキッチン壁面保護シートにおいて、前記コート層が積層されたコート面の、θ/2法にて測定したときの食用油に対する接触角が60°以上である構成を採用することが好ましい。
食用油に対する接触角が60°以上とすると、キッチンにおいて使用頻度が高く、また飛散する頻度も高い食用油がコート層に付着することが防止されるため、シートが汚れることが一層防止される。
【0013】
発明にかかるキッチン壁面保護シートにおいて、前記シート本体は、厚みが30~100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる構成を採用することが好ましい。
ポリエチレンテレフタレートは透明性が高いことから、シートを壁面に張り付けても、その壁面の模様やデザインが透けて見えるため、美観が損なわれることがない。
ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みが30μmを下回ると、厚みが小さすぎて、破損等の原因となりうる。また、厚みが100μmを上回ると、厚みが大きすぎて剛性が高まり、壁面に貼り合わせる際の追従性が低下し、皺等が発生しやすくなる。
厚みを30~100μmとすることで、強度や壁面への追従性を良好なものとできる。
【0014】
発明にかかるキッチン壁面保護シートにおいて、前記粘着層は、厚みが20~40μmのアクリル系粘着剤からなる構成を採用することが好ましい。
アクリル系粘着剤は透明性が高いことから、シートを壁面に張り付けても、その壁面の模様やデザインが透けて見えるため、美観が損なわれることがない。
粘着層の厚みが20μmを下回ると、粘着力が不十分となったり、凸部を形成しにくくなり、シートと壁面の界面に入り込んだ空気を外部に排出しにくくなる恐れがある。また、厚みが40μmを上回ると透明度が落ちたりコスト高となる。
厚みを20~40μmとすることで、透明度や粘着力、気泡抑制性能を良好なものとし、コストを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
発明にかかるキッチン壁面保護シートを以上のように構成したので、汚れが付きにくく、汚れが付いた場合にも拭き取り等しやすく、また剥がした後に粘着剤が残りにくくするとともに、壁面との間に空気が入りにくく、空気が入った場合にその空気を追い出しやすくなった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】キッチン壁面保護シートの断面図
図2】キッチン壁面保護シートの部分斜視図
図3】キッチン壁面保護シートの裏面図
図4】キッチン壁面保護シートの使用状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1から図3に示すキッチン壁面保護シート10は、シート本体11と、粘着層12と、コート層13を有し、図4のように、キッチンKの壁面Wに貼り付けて、その壁面Wが調理中に飛び散る食用油等で汚れるのを防ぐために用いられる。
キッチン壁面保護シート10の縦横寸法は特に限定されないが、一般的なキッチンの壁面の広さに適合するものとしてそれぞれ700~1000mmが例示され、また、壁面の形状に応じてカットして使用することもできるようになっている。
図1のように、使用前のキッチン壁面保護シート10には、離型紙14が付属している。
【0018】
シート本体11は、樹脂フィルムからなり、キッチンKの壁面Wの美観を損ねないものとして、透明であることが好ましい。もっとも、大理石調や木目調などの印刷を施して、不透明で模様付きの壁面Wの装飾を兼ねたシートとすることもできる。
樹脂フィルムの種類は特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、塩化ビニルフィルムが例示できるが、透明度が高く、耐熱性、耐摩耗性も優れるものとして、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
樹脂フィルムの厚みも特に限定されないが、30~100μmが好ましく、40~70μmがより好ましい。
【0019】
粘着層12は、粘着剤からなり、シート本体11の裏面に積層されている。
粘着層12は、キッチンKの壁面Wの美観を損ねないものとして、透明であることが好ましい。粘着層12のシート本体11との界面とは逆側の面は、キッチンKの壁面Wに貼り付けられる貼り合わせ面となっている。
粘着剤の種類は特に限定されず、エポキシ系粘着剤、アクリル系粘着剤が例示できるが、透明度にすぐれるものとして、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着層12の厚みも特に限定されないが、20~40μmが好ましく、25~35μmがより好ましい。
粘着層12の形成態様も特に限定されないが、粘着剤をシート本体11の裏面に塗布し乾燥させることにより形成するのが例示できる。
【0020】
図1から図3のように、粘着層12は、その貼り合わせ面が平坦ではなく、多数の微小で扁平な円柱形の凸部12aが、格子点状に設けられている。
これにより、粘着層12の貼り合わせ面をキッチンKの壁面Wに接触させた場合には、主として凸部12aのみが壁面Wに粘着し、隣接する凸部12aと凸部12aの間には、空気の流通を許容する隙間が形成されるようになっている。
図示のように、この隙間はキッチン壁面保護シート10の外縁へと連通しているため、貼り合わせ面と壁面Wとの間に入り込んだ空気は、隙間を通って自然に外部へと抜け出るか、あるいはへら等を用いることで外部へと容易に追い出すことが可能となっている。
【0021】
凸部12aの直径、間隔、高さなどの寸法は特に限定されないが、直径としては10~30μm、間隔としては50~150μm、高さとしては5~25μmが例示できる。
また、凸部12aの形状は図示のものに限定されず、空気を外部に追い出せるように、貼り合わせ面と壁面Wとの隙間が、キッチン壁面保護シートの外縁へと連通可能な限りにおいて、半球状や、角柱状、楕円柱状、円錐形状、円錐台形状、四角錐形状、矩形形状などが例示できる。
【0022】
コート層13は、コート剤からなり、シート本体11の粘着層12との界面とは逆側の面が、キッチン壁面保護シート10の最外面としてのコート面となっている。
コート層13は、シート本体11の表面に積層されて滑り性を付与している。これにより、キッチン壁面保護シート10の最外面に汚れが付着しにくく、また付着しても除去しやすいものとなっている。最外面が滑らかなコート面となることで、キッチン壁面保護シート10の壁面Wへの貼り合わせ作業や、空気を挟み込んだ場合の追い出し作業がともに容易となっている。
【0023】
ここで、コート層13に用いられるコート剤の種類は特に限定されず、フッ素系樹脂コート剤、アクリル系樹脂コート剤が例示できるが、防汚性、耐久性、滑り性の良好なものとしてフッ素系樹脂コート剤が好ましい。
また、コート層13は、θ/2法にて測定したときのコート面の食用油に対する接触角が60°以上であることが好ましい。このようにすると、コート面が食用油をよく弾いて汚れの付着が防止される。より好ましい接触角は70°以上である。
【0024】
図1のように、粘着層12の貼り合わせ面には、キッチン壁面保護シート10を使用する前には、離型紙14が貼り合わせられている。
これにより、粘着層12に塵埃等が付着して粘着力が低下したり見た目が悪くなったりすることが防止されている。
キッチン壁面保護シート10を使用する際には、図2のように、この離型紙14を貼り合わせ面から剥がして、貼り合わせ面を露出させ、壁面Wに押し当てることとなる。
離型紙14の種類等は特に限定されないが、粘着層12の貼り合わせ面の凸部12aを受容できるような微小な凹部が多数設けられているものであってもよい。
【実施例
【0025】
次に本発明の実施例および比較例を挙げて、本発明の内容を一層明確なものとする。
実施例として、表面にフッ素コートされた厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなるシート本体の裏面に、アクリル系粘着剤からなる厚み28μmの粘着層を積層したキッチン壁面保護シートを準備した。なお、実施例においては、粘着層の貼り合わせ面に微小な凸部が形成されている。
また、比較例1として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなるシート本体の裏面に、アクリル系粘着剤からなる厚み28μmの粘着層を積層したキッチン壁面保護シートを準備した。
【0026】
実施例および比較例1のキッチン壁面保護シートから、縦15mm、横150mmの試料を切り出し、学振形染色摩擦堅牢度試験機(株式会社安田精機製作所製)を用い、前記試料を同試験機のステンレス面(JISL0803準拠 試験用添付白布綿(カナキン3号)を設置している)に接触させ、荷重1.96N、摩擦距離100mm、速度30往復/分の条件で摩擦試験をおこなった。
実施例および比較例1につき、摩擦試験前、摩擦試験の100往復の時点、1000往復の時点で、それぞれ試料の表面にオリーブオイル(味の素株式会社製)を約2μl滴下し、23℃の温度条件下、固液界面解析装置「Drop Master300」(協和界面化学株式会社製)を用いて、試料表面と食用油との接触角を測定した。測定は実施例および比較例1につきそれぞれ3個の試料にておこない、その平均値を算出した。
結果を次表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1から、実施例においては、フッ素コートからなるコート層の存在により、比較例1に比べて撥油能力が高く、食用油が付着しにくく汚れにくいことが確認された。
また、実施例においては、コート層の耐久性が優れ、比較例1よりも優れた撥油能力が持続することが確認された。
【0029】
次に、比較例2として「はがせる透明シート 3層タイプ」(東洋アルミエコープロダクツ株式会社製)を、比較例3として「ピタッと簡単 きれいに貼れる吸着シート 透明」(東洋アルミエコープロダクツ株式会社製)を準備した。
実施例および比較例2および3につき、25mm幅×150mm長に切断して試験片を準備後、試験片それぞれをSUS304鋼板(表面仕上げBA)に貼り付けたのち、貼り付けた試験片の上を2kgのゴムローラーで1往復させて圧着した。そして、50%の湿度条件下で、貼り付け1分後(23℃の温度条件下)、24時間後(23℃の温度条件下)、192時間後(80℃の温度条件下)において、JIS Z0237に準拠する剥離試験をおこなった。ここで剥離速度は300mm/分、180°剥離とする。引きはがすのに要した最大荷重を測定した。なお、ここで記載しない詳細な条件はJIS Z0237に従うものとする。
結果を次表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
表2から、実施例においては、貼り付け時間が短時間(1分後、24時間後)では比較例3よりも粘着力が強く、意図せずに壁面から剥がれ落ちることが防止されている一方、貼り付け時間が長時間(192時間後)でも粘着力が過剰に大きくはならず、壁面から引きはがすことが容易であることが確認された。
【0032】
また、実施例および比較例2、3のキッチン壁面保護シートを剥がした跡の箇所につき、粘着剤の転着の有無を目視にて確認した。
結果を次表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
表3から、比較例2、3においては対象物に長期間貼り付けると、粘着剤の転着が生じる傾向があるのに対して、実施例においては、長期間貼り付けた場合でも、粘着剤の転着は見られないことが確認された。
【0035】
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲内およびこれと均等の意味でのすべての修正と変形を含む。
【0036】
たとえば、実施形態では、キッチン壁面保護シート10を、シート本体11と、粘着層12と、コート層13の三層構造としたが、さらに他の層をシート本体11と粘着層12の間、シート本体11とコート層13の間などに積層することもできる。
そのような層の例としては、印刷層や防カビコート層を挙げることができる。
また、実施形態では、キッチン壁面保護シート10を単層のものとしているが、特許文献1のように複数層が積層されたものとして、表側のシートが汚れるとこれを剥離して裏側のシートが表側に現れるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 キッチン壁面保護シート
11 シート本体
12 粘着層
12a 凸部
13 コート層
14 離型紙
K キッチン
W 壁面
図1
図2
図3
図4