(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20231115BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20231115BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/228 B
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
(21)【出願番号】P 2019238929
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】若林 博孝
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-159064(JP,A)
【文献】特開2016-032050(JP,A)
【文献】特開2006-287063(JP,A)
【文献】特開2012-182355(JP,A)
【文献】特開2006-245240(JP,A)
【文献】特開平03-041710(JP,A)
【文献】特開平10-208979(JP,A)
【文献】国際公開第2013/128957(WO,A1)
【文献】米国特許第05021921(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00 -21/12
H01F 27/00
H01F 27/02
H01F 27/06
H01F 27/08
H01F 27/23
H01F 27/26 -27/30
H01F 27/32
H01F 27/36
H01F 27/42
H01F 30/00 -38/12
H01F 38/16
H01F 38/42 -41/04
H01F 41/08
H01F 41/10
H01G 4/00 - 4/40
H01G 13/00 -17/00
H01L 21/28 -21/288
H01L 21/329
H01L 21/44 -21/445
H01L 29/40 -29/49
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の内部又は外部に設けられる導体と、
前記導体と電気的に接続される第1の外部電極と、
前記導体と電気的に接続される第2の外部電極と、
前記導体と前記第1の外部電極との間に位置する金属膜と、を備え、
前記導体と前記金属膜との境界面に水平な方向における前記金属膜に含まれる一の金属粒子の寸法をa、前記境界面に垂直な方向における当該一の金属粒子の寸法をbとした場合、b/aの値の平均は0.8以上1.2以下であり、
前記導体と前記金属膜との少なくとも一部は、金属結合により接続されている、
電子部品。
【請求項2】
基体と、
前記基体の内部又は外部に設けられる導体と、
前記導体と電気的に接続される第1の外部電極と、
前記導体と電気的に接続される第2の外部電極と、
前記導体と前記第1の外部電極との間に位置する金属膜と、を備え、
前記導体と前記金属膜との境界面に水平な方向における前記金属膜に含まれる一の金属粒子の寸法をa、前記境界面に垂直な方向における当該一の金属粒子の寸法をbとした場合、b/aの値の平均は0.8以上1.2以下であり、
前記導体と前記金属膜との間に酸化膜を備え、
前記酸化膜の厚さは200nm以下である、
電子部品。
【請求項3】
基体と、
前記基体の内部又は外部に設けられる導体と、
前記導体と電気的に接続される第1の外部電極と、
前記導体と電気的に接続される第2の外部電極と、
前記導体と前記第1の外部電極との間に位置する金属膜と、を備え、
前記導体と前記金属膜との境界面に水平な方向における前記金属膜に含まれる一の金属粒子の寸法をa、前記境界面に垂直な方向における当該一の金属粒子の寸法をbとした場合、b/aの値の平均は0.8以上1.2以下であり、
前記境界面に垂直な方向において、前記導体側に位置する金属粒子の粒径は、前記第1の外部電極側に位置する金属粒子の粒径より小さい、
電子部品。
【請求項4】
前記金属膜はスパッタ膜である、請求項1~
3の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記金属膜に含まれる金属粒子同士の界面における空隙は、前記金属粒子を構成する原子5個分以下である、請求項1~
4の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記金属膜は、Cu、Ag、又はCu及びAgの少なくとも一方を含む合金を含む、請求項1~
5の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記導体と前記第2の外部電極との間に位置する他の金属膜を備え、
前記導体と前記他の金属膜との他の境界面に水平な方向のおける前記他の金属膜に含まれる一の金属粒子の寸法をa、前記他の境界面に垂直な方向における当該一の金属粒子の寸法をbとした場合、b/aの値の平均は0.8以上1.2以下である、請求項1~
6の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記導体と前記他の金属膜との少なくとも一部は、金属結合により接続されている、請求項
7に記載の電子部品。
【請求項9】
前記導体と前記他の金属膜との間に他の酸化膜を備え、
前記他の酸化膜の厚さは200nm以下である、請求項
7に記載の電子部品。
【請求項10】
前記他の境界面に垂直な方向において、前記導体側に位置する金属粒子の粒径は、前記第2の外部電極側に位置する金属粒子の粒径より小さい、
7~9の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項11】
前記他の金属膜はスパッタ膜である、請求項
7~10の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項12】
前記他の金属膜に含まれる金属粒子同士の界面における空隙は、前記金属粒子を構成する原子5個分以下である、請求項
7~11の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項13】
前記他の金属膜は、Cu、Ag、又はCu及びAgの少なくとも一方を含む合金を含む、請求項
7~12の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項14】
前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極に含まれる金属の主成分のイオン化傾向は、前記導体に含まれる金属の主成分のイオン化傾向より小さい、請求項1~
13の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項15】
前記導体は、コイル軸の周りに巻回された部分を含む、請求項1~
14の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項16】
請求項1~
15の何れか一項に記載の電子部品を備える、回路基板。
【請求項17】
請求項
16に記載の回路基板を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品として、例えばインダクタ等のコイル部品が知られている。従来のコイル部品は、典型的に、磁性材料からなる磁性基体と、当該磁性基体内に設けられ、コイル軸の周りに巻回されている導体と、当該導体の端部に接続された外部電極と、を備える。このコイル部品は、例えばはんだを用いて外部電極と基板とを電気的に接続することによって実装され、様々な電子機器の部品として用いられる。従来のコイル部品は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の導体と外部電極との間では、熱又は電圧印加等によってはんだ等に含まれる不純物原子のマイグレーションが発生することがある。マイグレーションが発生すると、不純物原子と、導体又は外部電極を構成する材料との合金化により、導体及び/又は外部電極にボイドが形成される。その結果、導体と外部電極との接合強度が低下するという問題がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、導体と外部電極との間における不純物原子のマイグレーションを抑制することが可能な電子部品を提供することである。本発明のこれ以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る電子部品は、基体と、基体内部又は外部に設けられる導体と、導体と電気的に接続される第1の外部電極と、導体と電気的に接続される第2の外部電極と、導体と第1の外部電極との間に位置する金属膜と、を備え、導体と金属膜との境界面に水平な方向における金属膜に含まれる一の金属粒子の寸法をa、境界面に垂直な方向における当該一の金属粒子の寸法をbとした場合、b/aの値の平均は0.8以上1.2以下である。
【0007】
本発明の一実施形態において、導体と金属膜との少なくとも一部は、金属結合により接続されてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態において、コイル部品は導体と金属膜との間に酸化膜を備え、酸化膜の厚さは200nm以下であってもよい。
【0009】
本発明の一実施形態において、境界面に垂直な方向において、導体側に位置する金属粒子の粒径は、第1の外部電極側に位置する金属粒子の粒径より小さくてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、金属膜はスパッタ膜であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、金属膜に含まれる金属粒子同士の界面における空隙は、金属粒子を構成する原子5個分以下であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、金属膜は、Cu、Ag、又はCu及びAgの少なくとも一方を含む合金を含んでいてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、導体と第2の外部電極との間に位置する他の金属膜を備え、導体と他の金属膜との他の境界面に水平な方向のおける他の金属膜に含まれる一の金属粒子の寸法をa、他の境界面に垂直な方向における当該一の金属粒子の寸法をbとした場合、b/aの値の平均は0.8以上1.2以下であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、導体と他の金属膜との少なくとも一部は、金属結合により接続されていてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、導体の他方の端部と他の金属膜との間に他の酸化膜を備え、他の酸化膜の厚さは200nm以下であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、他の境界面に垂直な方向において、導体側に位置する金属粒子の粒径は、第2の外部電極側に位置する金属粒子の粒径より小さくてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、他の金属膜はスパッタ膜であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、他の金属膜に含まれる金属粒子同士の界面における空隙は、金属粒子を構成する原子5個分以下であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、他の金属膜は、Cu、Ag、又はCu及びAgの少なくとも一方を含む合金を含んでいてもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、第1の外部電極及び第2の外部電極に含まれる金属の主成分のイオン化傾向は、導体に含まれる金属の主成分のイオン化傾向より小さくてもよい。
【0021】
本発明の一実施形態において、導体は、コイル軸の周りに巻回された部分を含んでいてもよい。
【0022】
本発明の一実施形態は、上記の何れかの電子部品を備える回路基板に関する。また、本発明の一実施形態は、上記の回路基板を備える電子機器に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、導体と外部電極との間における不純物原子のマイグレーションを抑制することが可能な電子部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子部品であるコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のコイル部品の磁性基体の断面を拡大して模式的に示す拡大断面図である。
【
図3】
図1のコイル部品の導体の一方の端部と外部電極との接合部分の周辺の断面を拡大して示す拡大断面図である。
【
図4】コイル部品の導体の端面と金属膜との接合部分の断面の電子顕微鏡像の模式図である。
【
図5A】コイル部品の金属膜に含まれる金属粒子を示す透過電子顕微鏡像の模式図である。
【
図5B】一般的な金属膜に含まれる金属粒子を示す透過電子顕微鏡像の模式図である。
【
図6A】
図5Aに示される金属膜の金属粒子の粒界を模式的に示す図である。
【
図6B】
図5Bに示される一般的な金属膜の金属粒子の粒界を模式的に示す図である。
【
図7A】
図5Aに示される金属膜における原子の移動経路を模式的に示す図である。
【
図7B】
図5Bに示される一般的な金属膜における原子の移動経路を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の別の実施形態に係るコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図9】本発明の別の実施形態に係る電子部品であるキャパシタを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、複数の図面において共通する構成要素には、当該複数の図面を通して同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0026】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る電子部品であるコイル部品1の概要を説明する。
図1は、コイル部品1を模式的に示す斜視図である。
図1に示されるように、コイル部品1は、基体10と、基体10の内部に設けられたコイル導体25と、基体10の表面に設けられた外部電極(第1の外部電極)21と、基体10の表面において外部電極21から離間した位置に設けられた外部電極(第2の外部電極)22と、を備える。
【0027】
本明細書においては、文脈上別と解される場合を除き、コイル部品1の「長さ」方向、「幅」方向及び「厚さ」方向はそれぞれ、
図1の「L軸」方向、「W軸」方向及び「T軸」方向とする。「厚さ」方向は、「高さ」方向と呼ぶこともある。
【0028】
コイル部品1は、不図示の回路基板に実装される。この回路基板には、2つのランド部が設けられている。コイル部品1は、外部電極21,22と、当該外部電極21,22に対応するランド部とをそれぞれ接合することで回路基板に実装され得る。この回路基板が搭載され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。この回路基板は、電子機器の一種である自動車の電装品に搭載されてもよい。
【0029】
コイル部品1は、インダクタ、トランス、フィルタ、リアクトル、及びこれら以外の様々なコイル部品に適用され得る。コイル部品1は、カップル度インダクタ、チョークコイル、及びこれら以外の様々な磁気結合型コイル部品にも適用することができる。コイル部品1の用途は、本明細書で明示されるものに限定されない。
【0030】
基体10は、絶縁材料で構成される。一実施形態において、基体10は主に磁性材料で構成され、直方体形状に形成されている。本発明の一実施形態に係るコイル部品1の基体10は、長さ寸法(L軸方向の寸法)が1.0mm~4.5mm、幅寸法(W軸方向の寸法)が0.5mm~3.2mm、高さ寸法(T軸方向の寸法)が0.5mm~5.0mmとなるように形成されている。基体10の寸法は、本明細書で具体的に説明される寸法には限定されない。本明細書において「直方体」又は「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」のみを意味するものではない。
【0031】
基体10は、第1の主面10a、第2の主面10b、第1の端面10c、第2の端面10d、第1の側面10e、及び第2の側面10fを有する。基体10の外面は、これらの6つの面によって画定されている。第1の主面10aと第2の主面10bとはそれぞれ高さ方向両端の面を成し、第1の端面10cと第2の端面10dとはそれぞれ長さ方向両端の面を成し、第1の側面10eと第2の側面10fとはそれぞれ幅方向両端の面を成している。
【0032】
図1に示されるように、第1の主面10aは基体10の上側にあるため、第1の主面10aを「上面」と呼ぶことがある。同様に、第2の主面10bを「下面」と呼ぶことがある。コイル部品1は、第1の主面10aが回路基板と対向するように配置されるので、第1の主面10aを「実装面」と呼ぶこともある。コイル部品1の上下方向に言及する際には、
図1の上下方向を基準とする。
【0033】
次に、
図2を参照して磁性を持つ基体10について更に説明する。
図2は、基体10の断面を拡大して模式的に示す拡大断面図である。図示のように、基体10は、複数の第1金属磁性粒子11、複数の第2金属磁性粒子12、及び結着材13を含む。結着材13は、複数の第1金属磁性粒子11及び複数の第2金属磁性粒子12を互いに結着させている。言い換えると、基体10は、結着材13並びに結着材13により結着されている複数の第1金属磁性粒子11及び複数の第2金属磁性粒子12によって構成されている。
【0034】
複数の第1金属磁性粒子11は、複数の第2金属磁性粒子12よりも大きな平均粒径を有する。すなわち、複数の第1金属磁性粒子11の平均粒径(以下、第1平均粒径と呼ぶ。)と、複数の第2金属磁性粒子12の平均粒径(以下、第2平均粒径と呼ぶ。)とは、異なっている。第1平均粒径は例えば30μmであり、第2平均粒径は例えば0.1μmであるが、それぞれ、これらと異なる平均粒径であってもよい。本発明の一の実施形態において、基体10は、第1平均粒径及び第2平均粒径と異なる平均粒径を有する不図示の複数の第3金属磁性粒子(以下、第3金属磁性粒子の平均粒径を第3平均粒径と呼ぶ。)を更に含んでもよい。第3平均粒径は第1平均粒径よりも小さく第2平均粒径より大きくても、第2平均粒径より小さくてもよい。以下の説明では、本明細書においては、第1金属磁性粒子11、第2金属磁性粒子12及び第3金属磁性粒子を互いに区別する必要がない場合には、磁性基体10に含まれる第1金属磁性粒子11、第2金属磁性粒子12及び第3金属磁性粒子を「金属磁性粒子」と総称することがある。
【0035】
第1金属磁性粒子11及び第2金属磁性粒子12は、様々な軟磁性材料から成る。第1金属磁性粒子11は、例えば、Feを主成分とする。具体的には、1金属磁性粒子11は、(1)Fe、Ni等の金属粒子、(2)Fe-Si-Cr合金、Fe-Si-Al合金、Fe-Ni合金等の結晶合金粒子、(3)Fe-Si-Cr-B-C合金、Fe-Si-Cr-B合金等の非晶質合金粒子、又は(4)これらが混合された混合粒子である。磁性基体10に含まれる金属磁性粒子の組成は、前記のものに限られない。第1金属磁性粒子11は、例えば、Feを85wt%以上含む。これにより、優れた透磁率を有する磁性基体10を得ることができる。第2金属磁性粒子12の組成は、第1金属磁性粒子11の組成と同じであってもよいし異なっていてもよい。磁性基体10が不図示の複数の第3金属磁性粒子を含む場合、第3金属磁性粒子の組成は、第2金属磁性粒子12の組成と同様に、第1金属磁性粒子11の組成と同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0036】
金属磁性粒子は、その表面を不図示の絶縁膜で被覆されていてもよい。例えば、この絶縁膜は、ガラス、樹脂又はこれら以外の絶縁性に優れた材料から形成されている。この絶縁膜は、例えば、第1金属磁性粒子11とガラス材料の粉末とを不図示の摩擦混合機内で混合することにより第1金属磁性粒子11の表面に形成される。ガラス材料から形成される絶縁膜は、摩擦混合機内において圧縮摩擦作用により第1金属磁性粒子11の表面に固着している。ガラス材料は、ZnO及びP2O5を含んでもよい。この絶縁膜は、様々なガラス材料から形成され得る。絶縁膜14は、ガラス粉に代えて又はガラス粉に加えて、アルミナ粉、ジルコニア粉又はこれら以外の絶縁性に優れた酸化物の粉末から形成されてもよい。絶縁膜の厚さは、例えば100nm以下とされる。
【0037】
第2金属磁性粒子12は、第1金属磁性粒子11の絶縁膜と異なる絶縁膜で被覆されていてもよい。この絶縁膜は、第2金属磁性粒子12が酸化してできる酸化膜であってもよい。この絶縁膜の厚さは、例えば20nm以下とされる。この絶縁膜は、大気中雰囲気にて第2金属磁性粒子12を熱処理することで、第2金属磁性粒子12の表面に形成される酸化膜であってもよい。この絶縁膜は、Fe及びこれ以外の第2金属磁性粒子12に含有される元素の酸化物を含む酸化膜であってもよい。この絶縁膜は、第2金属磁性粒子12をリン酸へ投入して攪拌することにより、第2金属磁性粒子12の表面に形成されるリン酸鉄膜であってもよい。第1金属磁性粒子11の絶縁膜は第1金属磁性粒子11が酸化してできる酸化膜であってもよく、第2金属磁性粒子12の絶縁膜は第2金属磁性粒子12の酸化によらず、別途設けられる被覆膜としてもよい。
【0038】
結着材13は、例えば、絶縁性に優れた熱硬化性樹脂である。結着材13には、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)樹脂、フェノール(Phenolic)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、又はポリベンゾオキサゾール(PBO)樹脂が用いられ得る。また、結合材13としてガラス等を用いてもよく、結合剤13は絶縁フィラー等を含んでもよい。
【0039】
導体25は、所定のパターンを有するように形成されている。図示の実施形態では、導体25は、コイル軸Axの周りに巻回されている(
図1参照)。導体25は、例えば、平面視において、スパイラル形状、ミアンダ形状、直線形状、又はこれらを組み合わせた形状を有する。
【0040】
導体25は、Cu、Ag、又はこれら以外の導電性材料からめっき法により形成されている。導体25は、端面25a2及び端面25b2以外の表面の全域が絶縁膜に覆われていてもよい。図示のように導体25がコイル軸Axの周りに複数ターン巻回されている場合には、導体25の各ターンは、隣接する他のターンと離間していてもよい。この場合、隣接するターン同士の間には基体10が介在している。
【0041】
導体25は、その一方の端部に引出導体25a1を有し、その他方の端部に引出導体25b1を有する。引出導体25a1の端部には端面25a2が形成され、引出導体25b1の端部には端面25b2が形成されている。導体25の一方の端部である引出導体25a1は外部電極21と電気的に接続され、導体25の他方の端部である引出導体25b1は外部電極22と電気的に接続されている。
【0042】
本発明の一実施形態において、外部電極21は、基体10の第1の主面10a、第2の主面10b、第2の端面10c、第1の側面10e、及び第2の側面10fの一部に設けられている。外部電極22は、基体10の第1の主面10a、第2の主面10b、第2の端面10d、第1の側面10e、及び第2の側面10fの一部に設けられている。外部電極21と外部電極22とは、互いに離間して配置されている。各外部電極21、22の形状及び配置は、図示された例には限定されない。引出導体25a1及び引出導体25b1は、それぞれ基体10の第1の主面(すなわち、実装面)10aに引き出されており、引出導体25a1の端面25a2及び引出導体25b1の端面25b2は第1の主面10aにおいて基体10から露出する。すなわち、引出導体25a1の端面25a2及び引出導体25b1の端面25b2は、同一の面において基体10から露出する。引出導体25a1の端面25a2及び引出導体25b1の端面25b2は、互いに異なる面において基体10から露出していてもよい。
【0043】
外部電極21、22は、全体が金属製であっても、一部に樹脂等の金属以外の材料が含まれていてもよい。一部に樹脂等の金属以外の材料が含まれる例としては、導電性樹脂膜がある。この導電性樹脂膜の表面には、例えばめっき層が設けられてもよい。めっき層は、例えば、Niメッキ層、Snめっき層等の単層のめっき層、ニッケルめっき層及び当該ニッケルめっき層の上に形成されるスズめっき層の2層から成るめっき層であってもよい。
【0044】
図3は、
図1のコイル部品1の導体25の一方の端部と外部電極21との接合部分の周辺の断面を拡大して示す拡大断面図である。
図3に示されるように、コイル部品1は、外部電極21と導体25の一方の端部(すなわち、引出導体25a1)との間に位置する金属膜23を有する。すなわち、外部電極21と導体25の一方の端部とは、金属膜23を介して電気的に接続されている。また、コイル部品1は、外部電極22と導体25の他方の端部(すなわち、引出導体25b1)との間に位置する他の金属膜(不図示)を有する。金属膜23及び他の金属膜は、例えばスパッタ膜である。図示の実施形態では、金属膜23と他の金属膜とは同じ機能、材料、形状を有する。以下の説明では、特段の事情がない限り、金属膜23の説明は他の金属膜にも援用される。また、
図3~
図7Bは金属膜23を説明する図であるが、他の金属膜についても援用される。
【0045】
金属膜23の材料は、例えば、Ag、Au、Pd、Pt、Cu、Ni、Ti、Ta等の金属、又はこれらの合金である。金属膜23に用いられる金属は、酸化しにくい金属、又は酸化しても容易に還元可能な金属が好ましい。また、金属膜23には、体積低効率が低い材料が用いられることが好ましい。金属膜23の厚みは特に限定されないが、例えば1μm以上5μm以下とすることができる。金属膜23に含まれる金属の主成分のイオン化傾向は、導体25を構成する金属のイオン化傾向よりも小さいことが好ましい。ここで、「金属膜23に含まれる金属の主成分」とは、金属膜23を構成する金属のうち重量%で金属種の過半を占める金属の成分をいう。金属膜23に含まれる金属の種類が一種類であれば、主成分とはその金属の成分をいう。一例として、導体25を構成する材料がCuである場合、金属膜23に含まれる金属はAgとすることができる。
【0046】
金属膜23と導体25の一方の端部(すなわち、端面25a2)との少なくとも一部は、金属結合によって接続されている。ここで、「少なくとも一部」とは、端面25a2の何れかの領域を意味する。例えば、金属膜23と端部25a1とは、端面25a2の周縁PP(
図3参照)において金属結合によって接続されていてもよい。
図3は、端面25a2の全面において、金属膜23と導体25の端部25a1とが金属結合により接続されている例を示している。
図3の例では、金属膜23と端部25a1とは、端面25a2の周縁PPにおいても金属結合している。
【0047】
次に、
図4、
図5A、
図6Aを参照して、金属膜23について詳細に説明する。
図4は、コイル部品1の導体25の端面25a2と金属膜23との接合部分の断面の電子顕微鏡像の模式図である。
図5Aは、コイル部品1の金属膜23に含まれる金属粒子を示す透過電子顕微鏡像の模式図である。
図6Aは、
図5Aに示される金属膜23の金属粒子の粒界を模式的に示す図である。
【0048】
図4に示されるように、金属膜23と導体25の端部25a1との境界面BIに垂直な方向(すなわち、金属膜23の厚さ方向Tn)において、端部25a1側に位置する金属粒子MPの粒径は、外部電極21側に位置する金属粒子MPの粒径より小さい。境界面BIは微視的に見て複数の凹凸を有するが、本明細書中において境界面BIを基準に方向を規定する場合には、境界面BIを一方向に延びる平坦な面としてとらえる。一例として、金属膜23の厚さ方向Tnの半分より端部25a1側に位置する金属粒子MPの粒径の平均は50nm以上100nm以下であり、金属膜23の厚さ方向Tnの半分より外部電極21側に位置する金属粒子MPの粒径の平均は100nm以上500nm以下とすることができる。図示の実施形態とは反対に、端部25a1側に位置する金属粒子MPの粒径が、外部電極21側に位置する金属粒子MPの粒径より大きくなっていてもよい。
【0049】
図5Aに示されるように、金属膜23に含まれる金属粒子MPのアスペクト比の平均は、0.8以上1.2以下である。ここで、金属粒子MPのアスペクト比とは、境界面BIに水平な方向(すなわち、面方向Sf)における金属膜23に含まれる一の金属粒子MPの寸法をa、境界面BIに垂直な方向(すなわち、厚さ方向Tn)における当該一の金属粒子MPの寸法をbとした場合のb/aの値のことをいう。金属粒子MPのアスペクト比の平均は、例えば、5個、10個等の複数個の金属粒子MPの各アスペクト比の平均値とすることができる。また、
図6Aに示されるように、金属膜23に含まれる金属粒子MP同士は、金属結合している。このため、金属膜23に含まれる金属粒子MP同士の界面における空隙は、金属粒子MPを構成する原子5個分以下である。図示の実施形態では、金属粒子MP同士の界面には不純物や空隙等が存在していない。金属粒子MP同士の界面において、金属粒子MPを構成する原子は周期的に配列されており、連続性を有する。
【0050】
次に、本発明の一実施形態に係る電子部品であるコイル部品1の製造方法について説明する。まず、金属材料等によってコイル状に形成された導体25と、第1金属磁性粒子11及び第2金属磁性粒子12を含む粒子群と樹脂等からなる結着剤13とを混練して作製された混合樹脂組成物と、を成形金型に入れて、導体25の引出導体25a1の端面25a2、及び、引出導体25b1の端面25b2が、表面に露出するように圧縮成形する。コイル状に形成された導体25は、例えば、導線をスパイラル状に巻線して形成されたものを用いるが、巻線以外には、平面コイルとしてもよく、特にコイル形状を制限するものではない。導体25は絶縁被覆を有することもできる。成形体中の樹脂を硬化することで、導体25が埋め込まれた磁性基体10が得られる。
【0051】
次に、導体25の引出導体25a1の端面25a2、及び、引出導体25b1の端面25b2が露出した磁性基体10の表面を平滑化し、酸化物を取り除く。ここでは、研磨剤を用いて研磨してから、プラズマエッチングを行った。この研磨剤の粒径としては、第1金属磁性粒子11より小さい粒径のものを用いることが好ましい。例えば、第1金属粒子11の平均粒径が30μmであれば、25μmの粒径が選ばれる。エッチングは、例えばプラズマエッチングなど、磁性基体の表面の酸化物を除去することができる方法であればよい。
【0052】
次に、金属膜23を形成する。金属膜23を形成する方法としては、例えば、スパッタリング堆積法、特には高密度スパッタリング堆積法がある。高密度スパッタリング堆積法とは、大電力を短時間のみかけることで、スパッタ膜が高温になることを防止しながら、緻密な膜を得る方法である。スパッタ時に試料を冷却することにより、さらに大電力をかけることができるようになりさらに緻密なスパッタ膜を得ることができる。この方法により上記の金属を用いれば、スパッタリング収率が高く、金属膜23を効率よく形成することができる。本明細書では、スパッタリング堆積法により形成された金属膜をスパッタ膜という。金属膜23の形成方法は、導体25の端面25a2と金属膜23とを金属結合させることができれば、スパッタリング堆積法以外の方法により金属膜23を形成してもよい。
【0053】
スパッタリング堆積法により形成される金属膜23は、当該金属膜23を構成する金属粒子MPの粒径を小さくできる。これにより、金属膜23は、
図4に示されるように、緻密な膜にすることができる。具体例として、金属粒子MPの平均粒径は、接合界面BIから金属膜21aの厚み200nmまでは10nm~50nmであり、金属膜21aの厚み200nm~500nmまでは50nm~150nmであり、金属膜21aの厚み500nm以上では150nm~300nmである。また、この方法では、金属膜21aを構成する金属粒子MPにおける、金属膜21aの厚み方向でのアスペクト比を例えば0.8~1.5にすることができる。より好ましくは、金属膜21aを構成する金属粒子MPのアスペクト比を0.8~1.2とすることができる。このため、金属膜21aに占める金属粒子MPの割合(密度)が99%以上の緻密な膜を形成することができる。この割合は、TEM(透過型電子顕微鏡)にて50万倍の明視野像内の空隙の割合が1%未満であることから確認できる。
【0054】
スパッタリング堆積法を不図示のスパッタリング装置により実施する場合、例えば、装置の設定を以下のようにする。まず、装置内に部品をセットし、装置内を高真空状態にして装置内の酸素を排気し、希ガスをイオン化して、逆スパッタによる膜形成面の清浄化を行い、次に、金属ターゲット(金属膜23の材料となる金属)をスパッタする。金属ターゲットから反跳した金属原子は、高いエネルギーで部品本体の実装面10aに堆積する。このようにして、スパッタリング堆積法では、不純物が少なく、酸化物を含まない金属膜23を形成することができる。引出導体25a1の端面25a2と引出導体25b1の端面25b2とはそれぞれ実装面10aで剥き出しになっているため、この方法は金属膜21a、22aを同時に形成することができる。また、酸化し易い金属材料を用いることもできる。特に、金属ターゲットの金属のイオン化傾向が端面25a2、25b2の金属のイオン化傾向よりも小さい場合、金属ターゲットから反跳した金属原子は端面25a2の金属よりも酸化され難い。このため、酸化物を含まない金属膜21aを形成することができる。
【0055】
最後に、スパッタリング等により外部電極21、22を形成する。以上により、コイル部品1が製造される。製造されたコイル部品1は、外部電極21、22がそれぞれ回路基板のランド部にはんだ接合されることで、回路基板に実装される。
【0056】
次に、
図5A~
図7Bを参照して、本発明の一実施形態に係るコイル部品1の作用効果について説明する。
図5Bは、一般的な金属膜に含まれる金属粒子を示す透過電子顕微鏡像の模式図である。
図6Bは、
図5Bに示される一般的な金属膜の金属粒子の粒界を模式的に示す図である。
図7Aは、
図5Aに示される金属膜23における原子の移動経路を模式的に示す図である。
図7Bは、
図5Bに示される一般的な金属膜における原子の移動経路を模式的に示す図である。
【0057】
図5Aに示されるように、本発明の一実施形態に係るコイル部品1は金属膜23を備え、導体25の一方の端部25a1と金属膜23との境界面BIに水平な方向における金属膜23に含まれる一の金属粒子MPの寸法をa、境界面BIに垂直な方向における当該一の金属粒子MPの寸法をbとした場合、b/aの値の平均は0.8以上1.2以下である。
図5Bに示されるように、一般的な金属膜に含まれる金属粒子のアスペクト比の平均は2よりも大きい。このため、一般的な金属膜においては、境界面BIに垂直な方向(すなわち、厚さ方向Tn)に不純物原子が移動する際に、金属膜に含まれる金属粒子と衝突する確率が低い(
図7B参照)。不純物原子の種類としては、例えばコイル部品1を回路基板に実装するためのはんだに含まれるスズ等が挙げられる。これに対し、本発明の一実施形態に係るコイル部品1のようにb/aの値の平均が0.8以上1.2以下となっていることにより、境界面に垂直な方向に不純物原子が移動する際に、金属膜に含まれる金属粒子と衝突する確率が大きくなり、平均自由行程がより短くなる。その結果、不純物原子が方向Sfに移動する回数が増加し、金属膜23を通過するために必要な移動距離が長くなる(
図7A及び
図7B参照)。一例として、金属膜23における拡散速度を1とした場合、一般的な金属膜における拡散速度は10e
3~
7程度である。したがって、導体25と外部電極21との間におけるマイグレーションを抑制することができる。
【0058】
また、
図6Aに示されるように、金属膜23に含まれる金属粒子MP同士の界面における空隙は、金属粒子MPを構成する原子5個分以下であってもよい。
図6Bに示されるように、一般的な金属膜における金属粒子同士の界面には明確な空隙が存在しており、格子配列の連続性は分断されている。このため、不純物原子が金属膜内を移動する際に、金属粒子同士の界面を通過しやすい。これに対し、本発明の一実施形態に係るコイル部品1の金属膜23においては、金属粒子MP同士の界面における空隙が原子5個分以下であるので、不純物原子が金属粒子同士の界面を移動しにくくなる。したがって、導体25と外部電極21との間におけるマイグレーションを抑制することができる。
【0059】
次に、
図8を参照して本発明の別の実施形態のコイル部品100について説明する。
図8は、コイル部品100を模式的に示す斜視図である。図示のように、コイル部品100は、コイル部品1と同様に、基体10内にコイル導体25と、基体10の表面に設けられた外部電極21と、基体10の表面において外部電極21から離間した位置に設けられた外部電極22と、を備える。コイル部品100は、基体10内に設けられた絶縁板50を備え、導体25が絶縁板50の上面及び下面に設けられている点でコイル部品1と相違している。
【0060】
コイル部品100も、コイル部品1と同様に、外部電極21と導体25の一方の端部との間に位置する金属膜23を備えており、金属膜23に含まれる金属粒子MPのアスペクト比は、0.8以上1.2以下である。したがって、コイル部品1と同様の理由により、導体25と外部電極21との間における不純物原子のマイグレーションを抑制することができる。
【0061】
本発明に係る電子部品はコイル部品に限定されず、例えばキャパシタであってもよい。
図9は、本発明の別の実施形態に係る電子部品であるキャパシタ200を模式的に示す断面図である。
図9に示されるように、キャパシタ200は、基体210と、基体210の内部に設けられた導体225と、基体210の外側に設けられた外部電極202、203と、を備えている。
図9に示される実施形態ではキャパシタ200はいわゆるMLCCであり、導体225は複数の第1電極層221と複数の第2電極層222とを含む。第1電極層221と第2電極層222とは、基材210を介して交互に配置されている。第1電極層221と第2電極層222との間に位置する基材210の部分は、誘電体として機能する。キャパシタ200は、コイル部品1と同様に、外部電極202と導体225との間に位置する金属膜23と、外部電極203と導体225との間に位置する他の金属膜とを有する。
【0062】
上記のキャパシタ200も、コイル部品1と同様に、導体225と外部電極202との間に位置する金属膜23と、導体225と外部電極203との間に位置する他の金属膜と、を備えており、金属膜23及び他の金属膜に含まれる金属粒子MPのアスペクト比は、0.8以上1.2以下である。したがって、コイル部品1と同様の理由により、導体25と外部電極21との間における不純物原子のマイグレーションを抑制することができる。
【0063】
前述の様々な実施形態で説明された各構成要素の寸法、材料及び配置は、それぞれ、各実施形態で明示的に説明されたものに限定されず、当該各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、上述の各実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0064】
例えば、コイル部品1及びコイル部品100は、導体25の一方の端部25a1と金属膜23との間、及び導体25の他方の端部25b1と他の金属膜との間のそれぞれに、酸化膜を更に備えていてもよい。酸化膜の厚さは、トンネル電流又はショットキー電流が流れ得る厚さとされる。一例として、酸化膜の厚さは200nm以下とすることができる。酸化膜における拡散速度は、外部電極21,22における拡散速度より遅いので、この構成によれば、導体25と外部電極21,22との間における不純物原子のマイグレーションを更に抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
1,100…コイル部品(電子部品)、10…磁性基体、11…第1金属磁性粒子、12…第2金属磁性粒子、13…結着材、21…外部電極(第1の外部電極)、22…外部電極(第2の外部電極)、23…金属膜、25…導体、25a1…引出導体(一方の端部)、25b1…引出導体(他方の端部)、200…キャパシタ(電子部品)、BI…境界面。