(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】金属イオン水生成装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20231115BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
(21)【出願番号】P 2020028661
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】宮島 実
(72)【発明者】
【氏名】前田 泰宏
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-055459(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235438(WO,A1)
【文献】特開2012-071221(JP,A)
【文献】特開2009-269015(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2003-0090466(KR,A)
【文献】特開平5-115881(JP,A)
【文献】特表平10-500062(JP,A)
【文献】国際公開第2005/100259(WO,A1)
【文献】米国特許第4710282(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46 - 1/48
1/50
1/66 - 1/68
E03C 1/00 - 1/10
A61L 2/00 - 2/28
11/00 - 12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水管と該流水管内に配置された金属イオンを生成するための電極対とを有する金属イオン水生成部と、
前記金属イオン水生成部の動作を制御する制御部と、
前記金属イオン水生成部および前記制御部を収容して支持するケースと、を備え
、
前記制御部は前記ケースに固定されており、前記金属イオン水生成部は、前記制御部が固定された状態の前記ケースに対して脱着自在であり、
前記ケースは下面が開放され、
前記金属イオン水生成部は、前記ケースの下面より脱着されると共に、前記ケースの下面の内側の形状と同じ外形を有する底蓋部を有し、
前記ケースの下面内側に第1係合部が形成され、
前記底蓋部の外周に前記第1係合部とスナップフィットで係合する第2係合部が形成されており、
前記ケースは、前記流水管を横切るように切った断面形状が円形状またはオーバル形状をなし、
前記第1係合部および前記第2係合部は、前記円形状またはオーバル形状の中心を通る線分上に互いに向かい合うようにそれぞれ2箇所に設けられており、
前記底蓋部の上面における、前記第2係合部が向かい合う方向と直交する方向の両側の外縁部に、前記ケースの下端面を内側へ撓ませるための逃げ部が設けられていることを特徴とする金属イオン水生成装置。
【請求項2】
前記ケースは前記断面形状が長円形状をなし、
それぞれ2箇所に設けられた前記第1係合部および前記第2係合部は、前記長円形状の短手方向において向かい合い、
前記底蓋部の逃げ部は、前記長円形状の長手方向において向かい合う請求項
1に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項3】
前記ケースは、前記流水管を横切るように切った断面形状が長円形状をなし、
前記ケースの長手方向の一端部に前記制御部が配置されていることを特徴とする請求項1
または2に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項4】
前記ケースの内側に浸入した水を外部へ排出穴より排出する水排出路を備えることを特徴とする請求項1から
3の何れか1項に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項5】
前記水排出路は前記金属イオン水生成部を挟んで前記制御部とは反対側の装置背面側に設けられていることを特徴とする請求項
4に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項6】
前記制御部と水との接触を防止するための防水壁を備えることを特徴とする請求項1から
5の何れか1項に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項7】
前記防水壁は、
前記ケースの上面から延設され、両側で前記ケースの周壁の内面と接続された隔壁と、
一方の面に前記制御部が搭載され、他方の面を前記隔壁に沿わせて固定される保持部材と、を含むことを特徴とする請求項
6に記載の金属イオン水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属イオン水を生成する金属イオン水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の金属イオン水生成装置では、金属イオン水生成装置の動作を制御する制御部は、金属イオン水生成装置とは別体で構成され、金属イオン水生成装置とケーブル線を介して接続されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記金属イオン水生成装置においては、制御部を別体としていることで、部品点数が増加してその分コスト高である。
【0005】
本発明の一態様は、上記金属イオン水生成装置の改善を図るものであり、より安価にて提供可能な金属イオン水生成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る金属イオン水生成装置は、流水管と該流水管内に配置された金属イオンを生成するための電極対とを有する金属イオン水生成部と、前記金属イオン水生成部の動作を制御する制御部と、前記金属イオン水生成部および前記制御部を収容して支持するケースと、を備え、前記制御部は前記ケースに固定されており、前記金属イオン水生成部は、前記制御部が固定された状態の前記ケースに対して脱着自在であり、前記ケースは下面が開放され、前記金属イオン水生成部は、前記ケースの下面より脱着されると共に、前記ケースの下面の内側の形状と同じ外形を有する底蓋部を有し、前記ケースの下面内側に第1係合部が形成され、前記底蓋部の外周に前記第1係合部とスナップフィットで係合する第2係合部が形成されており、前記ケースは、前記流水管を横切るように切った断面形状が円形状またはオーバル形状をなし、前記第1係合部および前記第2係合部は、前記円形状またはオーバル形状の中心を通る線分上に互いに向かい合うようにそれぞれ2箇所に設けられており、前記底蓋部の上面における、前記第2係合部が向かい合う方向と直交する方向の両側の外縁部に、前記ケースの下端面を内側へ撓ませるための逃げ部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、電極対に触れることなく電極交換が可能であると共に制御部を設置するスペースも必要とせず、しかもより安価にて提供可能な金属イオン水生成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態の金属イオン水生成装置が洗濯機の給水経路に取り付けられた状態を、洗濯機の正面よりみた斜視図である。
【
図2】本実施の形態の金属イオン水生成装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】本実施の形態の金属イオン水生成装置における、金属イオン水生成ユニットをコントローラユニットから取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】本実施の形態の金属イオン水生成装置の縦断面の斜視図であり、正面中央近くを通る断面で切断した図である。
【
図5】本実施の形態の金属イオン水生成装置における、保持部材に保持されている状態のコントロール基板を示す斜視図である。
【
図6】本実施の形態の金属イオン水生成装置における、コントローラユニットをケースの下面よりみた斜視図である。
【
図7】本実施の形態の金属イオン水生成装置の横断面の斜視図であり、ケースの下面よりも少し上の部分で切断した図である。
【
図8】本実施の形態の金属イオン水生成装置における金属イオン水生成ユニットの取り外しを説明する図であり、
図7に示す断面の平面図、該平面図におけるA-A線矢視断面図およびB-B線矢視断面図を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本実施の形態では、家庭用洗濯機の給水経路に取り付けられる金属イオン水生成装置について説明する。また、抗菌性のある金属イオンとして銀イオンを例示する。
【0010】
(1.金属イオン水生成装置1の設置例)
図1は、本実施の形態の金属イオン水生成装置1が洗濯機2の給水経路に取り付けられた状態を、洗濯機2の正面よりみた斜視図である。
図1に示すように、金属イオン水生成装置1は、洗濯機2の給水経路に取り付けられている。詳細には、金属イオン水生成装置1の流入口側が、市販の接続管4aによって蛇口5に接続されている。金属イオン水生成装置1の流出口側は、市販の接続管4bによって洗濯機2の給水口2aに接続されている。
【0011】
金属イオン水生成装置1は、電源線6によって専用のACアダプタ7に接続され、AC(交流)電源がDC(直流)に変換されて供給される。電源線6の他端はUSB端子(図示せず)を有し、該USB端子が金属イオン水生成装置1の下面に設けられたUSB差込口13a(
図4参照)に挿入されている。USB差込口13aは防水構造を有する。
【0012】
(2.金属イオン水生成装置1の構成)
図2は、本実施の形態の金属イオン水生成装置1の外観を示す斜視図である。
図3は、本実施の形態の金属イオン水生成装置1における、金属イオン水生成ユニット30をコントローラユニット10から取り外した状態を示す斜視図である。
図4は、本実施の形態の金属イオン水生成装置1の縦断面の斜視図であり、正面中央近くを通る断面で切断した図である。
【0013】
図2~
図4に示すように、金属イオン水生成装置1は、金属イオン水生成ユニット(金属イオン水生成部)30と、コントロール基板(制御部)12と、ケース11とを備える。金属イオン水生成ユニット30は、流水管31と、該流水管31内に配置された金属イオンを生成するための電極対34とを有する。金属イオン水生成ユニット30は、金属イオンが溶出された金属イオン水を生成する。
【0014】
コントロール基板12(
図4参照)は、金属イオン水生成ユニット30の動作を制御するものである。ケース11は、コントロール基板12と金属イオン水生成ユニット30とを収容して支持する。コントロール基板12と金属イオン水生成ユニット30とは、ケース11に収容されることで一体構造となっている。
【0015】
このように、コントロール基板12と金属イオン水生成ユニット30とが一体に設けられているので、コントロール基板12を別体に設けていた従来品に比べて部品点数が減少し、製品コストを下げることができる。また、コントロール基板12を収容した別ユニットを設置するスペースを洗濯機2の周囲に確保する必要性もない。
【0016】
本実施の形態では、コントロール基板12はケース11に固定されており、ケース11とコントロール基板12とでコントローラユニット10が構成されている。金属イオン水生成ユニット30は、コントローラユニット10に対して脱着自在(脱着可能)に設けられ、交換可能となっている。換言すると、金属イオン水生成ユニット30は、コントロール基板12が固定された状態のケース11に対して脱着自在となっている。
【0017】
何の工夫もなく金属イオン水生成ユニット30をケース11に収容して支持する構成とすると、金属イオン水生成ユニット30の交換時にコントロール基板12を一旦取り外し、交換後に取り付け直すといった構成が考えられる。このような構成では、金属イオン水生成ユニット30の交換時の手数が増えてしまい、ユーザが面倒に感じる恐れがある。
【0018】
これに対し、上記のように、金属イオン水生成ユニット30をコントローラユニット10に対して脱着自在に設けることで、少ない手数で金属イオン水生成ユニット30の交換が可能となり、ユーザが面倒に感じることを極力防ぐことができる。また、金属イオン水生成ユニット30ごと電極対に触れることなく電極交換を行うことができる。
【0019】
(3.コントローラユニット10)
図3、
図4に示すように、ケース11の下面11aが開放されており、該下面11aより金属イオン水生成ユニット30が脱着される。ここで、ケース11は、金属イオン水生成装置1の外観を決定する外装部品である。本実施の形態では、ケース11における流水管31を横切るように切った断面形状、つまり平面視で見た形状が前後方向に長い長円形状を有している。換言すると、ケース11は、平面視で前後方向(奥行方向)に長い長円形状を有しており、金属イオン水生成装置1も平面視で前後方向に長い長円形状を有している。
【0020】
コントロール基板12は、ケース11の内側であって、長円形状の長手方向の一端部側に配置されている。コントロール基板12を金属イオン水生成装置1内部に配置することで、コントロール基板12を別体に設けていた従来品に比べ、金属イオン水生成装置1自体の外形サイズが大きくなることは否めない。
【0021】
しかしながら、その場合でも、このようにケース11を長円形状とし、長手方向の一端部にコントロール基板12を配置することで、金属イオン水生成装置1自体の外形が大型化することを極力抑えることができる。つまり、長円形状の小さい方の弧の部分がユーザに向くように配置することで、従来品と同等の外形サイズに見せることも可能である。
【0022】
コントロール基板12は、ケース11の内部に浸入した水(浸入水)と接触しないように防水構造を持ってケース11内部に設置されている。なお、防水構造については後述する。コントロール基板12には、前述したUSB差込口13aを有するUSB部品13およびLED素子14等が搭載されている。コントロール基板12が配置されている長手方向の一端部側が金属イオン水生成装置1の正面(装置正面)であり、正面には表示部25が設けられている。
【0023】
表示部25は、コントロール基板12に搭載されたLED素子14を備え、LED素子14の点灯状態にて情報を表示(通知)する。LED素子14と対向するケース11の周壁11eの一部は、LED素子14の光を透過し易いように薄肉に形成されている(
図4参照)。さらに、表示部25が設けられているケース11の周壁11eの外周面には、この面が正面あることを示す意匠26が設けられている(
図2参照)。意匠26は、例えばロゴの入ったシールを貼り付けることで形成されている。
【0024】
前述したように、金属イオン水生成装置1においては、長円形状の小さい方の弧の部分がユーザに向くように配置することで、従来品と同等の外形サイズに見せることができる。しかも、本実施形態では、長円形状の小さい方の弧の部分に相当する、長手方向の一端部にコントロール基板12が配置され装置正面となっている。したがって、装置正面を向けて配置することで、自ずと装置自体を小さく見せることができ、取り付け時の見栄えを向上させることができる。
【0025】
また、ケース11の上面には、金属イオン水生成ユニット30の流入側管接続部32が突き出る開口11bが形成されている。ケース11における周壁11e上部には、接続管4aの固定レバーの爪をケース11内に挿入させるための切り欠き11cが形成されている。
【0026】
(4.金属イオン水生成ユニット30)
図3、
図4に示すように、流水管31の上端部には、前述した接続管4aが接続される流入側管接続部32が設けられている。また、流水管31の下端部には、前述した接続管4bが接続される流出側管接続部33が設けられている。流入側管接続部32の上面に流水管31の流入口31aが設けられ、流出側管接続部33の下面に流出口31bが設けられている。
【0027】
図4に示すように、流水管31の内部に配置された電極対34は、流水管31の流路Rを流れる水に金属イオンである銀イオンを溶出させる。本実施の形態では、電極対34の陽極側が銀板となっている。
【0028】
流水管31の内部であって、電極対34の上方には、流路Rを流れる水量を検知する水量検知部35が設けられている。水量検知部35は、流路Rを流れる水量に応じて上下動するフロート35aを有し、水量が所定値以上となるとフロート35aが下方に移動する。フロート35aの下方への移動が検知されることで電極対34への通電が開始される。なお、電極対34への通電は、例えば2分30秒間というように所定の時間だけ実施される。
【0029】
電極対34は、電極対34への通電を行う電極基板36と電気的に接続されている。電極基板36は、流水管31の外側、つまり流路R外に配置されている。電極基板36は、流水管31の外側に形成された閉塞可能な設置室37に配置され、また、防水のためにウレタン(図示せず)にて封止されている。設置室37からは、電極基板36から延びる接続ケーブル38が引き出されており(
図3参照)、接続ケーブル38の先端部にコネクタ38aが設けられている。このコネクタ38aと、コントロール基板12から延びる接続ケーブル16(
図6参照)のコネクタ16a(
図4参照)とが接続される。
【0030】
流水管31の上部には、流入側管接続部32に接続された接続管4aの固定レバーの爪(図示せず)を係止させるための上鍔部32aが設けられている。固定レバーの爪を上鍔部32aに係止させることで、接続管4aと流入側管接続部32とが堅固に固定される。上鍔部32aは、開口11bよりも大きく形成されている。接続管4aの固定レバーの爪は、切り欠き11cを介して挿入される。
【0031】
流水管31の下部には、流出側管接続部33に接続された接続管4bの固定レバーの爪(図示せず)を係止させるための下鍔部33aが設けられている。固定レバーの爪を下鍔部33aに係止させることで、接続管4bと流出側管接続部33とが堅固に固定される。下鍔部33aは上鍔部32aよりも一回り大きく形成されており、外周部に接続管4bの固定レバーの爪を嵌合させる嵌合部33bが切り欠かれている。
【0032】
本実施の形態では、切り欠き11cおよび嵌合部33bは、金属イオン水生成装置1の背面(装置背面)側に設けられている(
図2、
図4参照)。これにより、接続管4a,4bの各固定レバーは金属イオン水生成装置1の背面側に位置し、装置正面から視認され難く、取り付け時の見栄えを向上させることができる。
【0033】
また、流水管31における上鍔部32aの下方には、ケース11の内部を上下方向に区画する中間壁40が設けられている。中間壁40は、鍔状に形成されており、ケース11内部に浸入した水(浸入水)を一旦担持し、コントロール基板12のコネクタ16aが位置する正面側へ浸入することを抑制する。中間壁40おける装置背面側には、中間壁40で担持した浸入水を下方に流すための溝部40aが設けられている。浸入水は、溝部40aから下方に流れるようになっており、後述する水排出路42を介して金属イオン水生成装置1の外部へ排出される。
【0034】
流水管31における下鍔部33aの上方には、ケース11の開放された下面11aを塞ぐ底蓋部39が設けられている。底蓋部39は、ケース11の下面11aの内側の形状と同じ外形を有する。詳細については後述するが、ケース11の下面11aの内側に第1係合部11d(
図7参照)が形成され、底蓋部39の外周に第1係合部11dと係合する第2係合部39cが形成されている。スナップフィットによる係合を用いているので、ケース11に対して金属イオン水生成ユニット30を、第1係合部11dと第2係合部39cとの位置を合わせて組み付けるだけで簡単に装着させることができる。
【0035】
図3、
図4に示すように、底蓋部39における装置正面側には、コントロール基板12に搭載されたUSB部品13のUSB差込口13aを露出させるための差込開口39aが形成されている。また、底蓋部39における装置背面側には、浸入水を装置外に排出するための排出口39bが形成されている。排出口39bが水排出路42の排出口となる。
【0036】
(5.コントロール基板12の防水構造)
図4~
図6を用いて、コントロール基板12の防水構造について説明する。
図5は、本実施の形態の金属イオン水生成装置1における、保持部材19に保持されている状態のコントロール基板12を示す斜視図である。
図6は、本実施の形態の金属イオン水生成装置1における、コントローラユニット10をケース11の下面11aよりみた斜視図である。
【0037】
図4~
図6に示すように、コントローラユニット10は、浸入水とコントロール基板12との接触を防止する防水構造として防水壁17を備える。防水壁17は、ケース11内部を、コントロール基板12が設置される空間とその他の空間とで仕切るものである。防水壁17は、ケース11の内部に設けられた隔壁18と、コントロール基板12を保持する保持部材19とを含む。
【0038】
図6に示すように、隔壁18は、ケース11の上面から延設され、両側で周壁11eの内面と接続されている。
図5、
図6に示すように、保持部材19は、一方の面にコントロール基板12が搭載され、他方の面を隔壁18に沿わせてケース11に固定される。保持部材19は、一方の面にコントロール基板12が設置される設置室19aを有する。設置室19aの下面には、USB差込口13aを露出させるためのUSB開口19bが形成されている。コントロール基板12は、設置室19aに設置された状態で、防水のためにウレタンにて封止されている。
【0039】
保持部材19の他方の面は平面となっており、該平面を隔壁18に沿うようにケース11に挿入されている。保持部材19が挿入された状態で、隔壁18と保持部材19とで防水壁17が構成される。隔壁18と保持部材19当打部で構成される防水壁17と、ウレタン(図示せず)による封止にて、コントロール基板12が浸入水と接触することを効果的に防ぐことができる。
【0040】
本実施の形態では、保持部材19にケース11の内側に設けられたボス(図示せず)とネジ固定されるネジ締結部19cが設けられている。コントロール基板12はネジ締結部19cを有する保持部材19を介してケース11にネジ固定される。但し、ケース11とコントロール基板12との固定は、これに限るものではない。
【0041】
保持部材19の他方の面の下部からは、コントロール基板12から延びる接続ケーブル16が引き出され、その先端部にコネクタ16aが設けられている。このコネクタ16aが、金属イオン水生成ユニット30の電極基板36のコネクタ38a(
図3参照)と接続される。
【0042】
接続ケーブル16はトラップ構造を有している。すなわち、接続ケーブル16は、引き出し部位から一旦下方に引き出されそのあと上方に向かって湾曲されている。このようなトラップ構造を採用することで、万が一、最も低位置にある湾曲部分が浸入水と接触したとしても、浸入水が接続ケーブル16を伝って引き出し部に到達することはなく、設置室19a内への浸入を確実に防ぐことができる。
【0043】
(6.水排出路42)
図4を用いて、ケース11内部に浸入水の水排出路42について説明する。
図4に示すように、ケース11の上部には、接続管4aの固定レバーの爪を挿入させるための切り欠き11cが形成されている。そのため、切り欠き11cを介してケース11内部に水が浸入する。
【0044】
本実施の形態では、金属イオン水生成ユニット30に中間壁40を設けているので、浸入水は中間壁40にて受けられ、溝部40aを介して下方に流れる。下方に流れた水は、ケース11の周壁11eの内面を伝って底蓋部39に達し、底蓋部39に設けられた排出口39bから外部へ排出される。つまり、本実施の形態では、ケース11の内部へ浸入した水を、中間壁40に設けられた溝部40aからケース11の周壁11eの内面を伝って底蓋部39に設けられた排出口39bから外部へ排出する水排出路42が設けられている。
【0045】
切り欠き11cからの内部への水の浸入自体は阻止できないが、水排出路42を設けることで浸入水を速やかに装置外部へ排出することができる。これにより、浸入水とコントロール基板12との接触を防ぐことができる。
【0046】
しかも、水排出路42は、流水管31を挟んでコントロール基板12とは反対側の装置背面側に設けられている。このような位置関係とすることで、金属イオン水生成装置1を、利用者から見やすいように装置正面を斜め上方にやや傾けて配置した状態で、水排出路42の排出口39bが底蓋部39の最も低位置になる。したがって、浸入水がコントロール基板12のある装置正面側に回り込むことを効果的に防止しつつ、浸入水を確実に装置外部へ排出することができる。
【0047】
(7.金属イオン水生成ユニット30の脱着構造)
図7、
図8を用いて、コントローラユニット10に対する金属イオン水生成ユニット30の脱着構造について説明する。
図7は、本実施の形態の金属イオン水生成装置1の横断面の斜視図であり、ケース11の下面11aよりも少し上の部分で切断した図である。
図8は、金属イオン水生成ユニットの取り外しを説明する図であり、
図7に示す断面の平面図、該平面図におけるA-A線矢視断面図およびB-B線矢視断面図を含む。
【0048】
図7に示すように、長円形状を成すケース11の開放された下面11aの内側、正確には、下端部の周壁11eの内周面に第1係合部11dが形成されている。第1係合部11dは、長円形状の短手方向において向かい合う平行な2辺それぞれに設けられている。第1係合部11dは、該平行な2辺における長手方向の中央部に設けられている。
【0049】
図8のB-B線矢視断面図およびその要部拡大図(円で囲った部分)に示すように、第1係合部11dは、ケース11の周壁11eの内面から外側に向かって凹んだ凹部の下端に形成された爪部である。
【0050】
一方、金属イオン水生成ユニット30における長円形状の底蓋部39の外周には、ケース11の第1係合部11dとスナップフィットで係合する第2係合部39cが形成されている。第2係合部39cは、ケース11の第1係合部11dに対応した位置にそれぞれ設けられている。つまり、第2係合部39cは、長円形状の短手方向において対向する平行な2辺であって、かつ、該平行な2辺における長手方向の中央部に設けられている。
【0051】
図8のB-B線矢視断面図およびその要部拡大図(円で囲った部分)に示すように、第2係合部39cは、ケース11に形成された爪部よりなる第1係合部11dを挟み込むことで係合する、底蓋部39の外周面から内側に向かって凹んだ凹部である。
【0052】
本実施の形態では、ケース11は弾性変形する樹脂成形品であり、ケース11の弾性変形する機能を利用して、第1係合部11dと第2係合部39cとをスナップフィットにて係合させる。
【0053】
そして、金属イオン水生成ユニットの取り外しを容易にするために、
図7、
図8のA-A線矢視断面図およびその要部拡大図(円で囲った部分)に示すように、底蓋部39の上面には、逃げ部39dが設けられている。逃げ部39dは、底蓋部39の上面における第2係合部39c同士が向かい合う方向と直交する方向、つまり長手方向の両側の外縁部に設けられている。逃げ部39dは、ケース11の下端面を内側へ撓ませることを可能にするもので、底蓋部39の肉厚を部分的に薄くした薄肉部よりなる。
【0054】
長手方向の両側の外縁部にそれぞれ逃げ部39dを設けることで、ケース11を長手方向において、逃げ部39dの幅寸法X分内撓ませることが可能となる。つまり、ケース11における長手方向の両側の周壁11eを把持して内側に向かって押し込むことが可能となる。ケース11における長手方向の両側の周壁11eを内側に押し込むことで、
図8のB-B線矢視断面図に示すように、ケース11における短手方向の両側の周壁11eが外側に向かって膨らむように撓む。その結果、第1係合部11dが外側に移動し第2係合部39cより離間して係合が解除される。つまり、ケース11の周壁11eの長手方向の両方を把持して内側に押し込むように撓ませることで、金属イオン水生成ユニット30をコントローラユニット10から取り外すことができる。
【0055】
金属イオン水生成ユニット30をコントローラユニット10に装着する際は、ケース11の下面11aおよび底蓋部39の長手方向を合せると共に、差込開口39aを装置正面側にして、金属イオン水生成ユニットをケース11の下面から挿入する。なお、金属イオン水生成ユニット30を装着する前に、金属イオン水生成ユニット30のコネクタ38a(
図3参照)と、コントローラユニット10のコネクタ16a(
図4参照)とを接続しておく。
【0056】
また、本実施の形態では、
図7、
図8に示すように、底蓋部39の上面における第2係合部39cに対応する部分には、斜め上方を向いたテーパー面39eが設けられている。金属イオン水生成ユニット30の装着時、テーパー面39eの傾斜を利用してケース11の下端面が押し広げられ、より小さな力でスムーズに金属イオン水生成ユニット30の装着が可能となる。
【0057】
(8.その他の効果)
図2、
図4に示すように、コントロール基板12は長手方向の一端部に配置されており、コントロール基板12が配置されている一端部側が金属イオン水生成装置1の正面(装置正面)となっている。そして、コントロール基板12と、水排出路42とは、流水管31を挟んで向かい合って配置されている。換言すると、水排出路42は、金属イオン水生成ユニットの流水管31を挟んでコントロール基板12とは反対側の装置背面側に設けられている。
【0058】
これにより、前述したように、装置正面を斜め上方にやや傾けて見やすいように配置した状態で、水排出路の排出穴が最も低くなるので、浸入水がコントロール基板12のある装置正面側に回り込むことを防止すると共に、確実に排出できる。
【0059】
また、
図1の設置例として、金属イオン水生成装置1が、流水管31が概ね上下方向に向くように設置されている状態を示している。しかしながら、蛇口5と洗濯機2との間に、十分なスペースが無い場合など、金属イオン水生成装置1が横向きに設置されることも想定される。
【0060】
そのような場合でも、コントロール基板12が配置されている側を装置正面としておくことで、装置正面が上部に位置するように横向きに配置され、水排出路42のある装置背面側が下部に位置する。これにより、たとえ横置きされたとしても、浸入水がコントロール基板12と接触することを効果的に防ぐことができる。また、装置正面側にあるUSB差込口13aが上部に位置するので、USB差込口13aと水との接触も効果的に防ぐことができる。
【0061】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述した説明は、あくまで一例であり、本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。
【0062】
例えば、前述した実施の形態では、ケース11を長円形状としている。長円形状とすることで、ケース11における長手方向の両側を内側に向かって押し込んだとき、ケース11の短手方向に対向する2辺を大きく外側に撓ませることができ、係合解除をより小さな力で行うことができる。
【0063】
しかしながら、平面視で見たケース11の形状は、長円形状に限るものではなく、円形状またはオーバル形状であってもよい。このような形状とすることでも、ケース11を撓ませて、第1係合部11dおよび第2係合部39cの係合を解除することができる。
【0064】
また、ケース11を長円形状とし、長手方向の一端部にコントロール基板12を配置することで、金属イオン水生成装置1を極力小さくしているが、この場合も、長円形状に限らず、楕円形、小判型であってもよい。
【0065】
また、コントロール基板12が配置されている側を装置正面とする構成は、ケース11が長円形状である構成と組み合せることは必須ではなく、ケース11が四角形であってもよい。
【0066】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る金属イオン水生成装置1は、流水管と該流水管内に配置された金属イオンを生成するための電極対とを有する金属イオン水生成部と、前記金属イオン水生成部の動作を制御する制御部と、前記金属イオン水生成部および前記制御部を収容して支持するケースと、を備えることを特徴とする。
【0067】
本発明の態様2に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記制御部は前記ケースに固定されており、前記金属イオン水生成部は、前記制御部が固定された状態の前記ケースに対して脱着自在である構成とすることもできる。
【0068】
本発明の態様3に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記ケースは下面が開放され、前記金属イオン水生成部は、前記ケースの下面より脱着されると共に、前記ケースの下面の内側の形状と同じ外形を有する底蓋部を有し、前記ケースの下面内側に第1係合部が形成され、前記底蓋部の外周に前記第1係合部とスナップフィットで係合する第2係合部が形成されている構成とすることもできる。
【0069】
本発明の態様4に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記ケースは、前記流水管を横切るように切った断面形状が円形状またはオーバル形状をなし、前記第1係合部および前記第2係合部は、前記円形状またはオーバル形状の中心を通る線分上に互いに向かい合うようにそれぞれ2箇所に設けられている構成とすることもできる。
【0070】
本発明の態様5に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記底蓋部の上面における、前記第2係合部が向かい合う方向と直交する方向の両側の外縁部に、前記ケースの下端面を内側へ撓ませるための逃げ部が設けられている構成とすることもできる。
【0071】
本発明の態様6に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記ケースは前記断面形状が長円形状をなし、それぞれ2箇所に設けられた前記第1係合部および前記第2係合部は、前記長円形状の短手方向において向かい合い、前記底蓋部の逃げ部は、前記長円形状の長手方向において向かい合う構成とすることもできる。
【0072】
本発明の態様7に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記ケースは、前記流水管を横切るように切った断面形状が長円形状をなし、前記ケースの長手方向の一端部に前記制御部が配置されている構成とすることもできる。
【0073】
本発明の態様8に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記ケースにおける前記制御部が配置されている長手方向の一端部の周壁の外面に装置正面を示す意匠が設けられている構成とすることもできる。
【0074】
本発明の態様9に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記ケースの内側に浸入した水を外部へ排出穴より排出する水排出路を備える構成とすることもできる。
【0075】
本発明の態様10に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記水排出路は前記金属イオン水生成部を挟んで前記制御部とは反対側の装置背面側に設けられている構成とすることもできる。
【0076】
本発明の態様11に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記制御部と水の接触を防止するための防水壁を備える構成とすることもできる。
【0077】
本発明の態様12に係る金属イオン水生成装置1は、さらに、前記防水壁は、前記ケースの上面から延設され、両側で前記ケースの周壁の内面と接続された隔壁と、一方の面に前記制御部が搭載され、他方の面を前記隔壁に沿わせて固定される保持部材と、を含む構成とすることもできる。
【0078】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 金属イオン水生成装置
2 洗濯機
2a 給水口
4a、4a 接続管
5 蛇口
6 電源線
7 ACアダプタ
10 コントローラユニット
11 ケース
11a 下面
11b 開口
11d 第1係合部
11e 周壁
12 コントロール基板(制御部)
13 USB部品
13a USB差込口
14 LED素子
16、38 接続ケーブル
16a、38a コネクタ
17 防水壁
18 隔壁
19 保持部材
19a 設置室
19b USB開口
19c ネジ締結部
31 流水管
25 表示部
26 意匠
30 金属イオン水生成ユニット
31 流水管
31a 流入口
31b 流出口
32 流入側管接続部
32a 上鍔部
33 流出側管接続部
33a 下鍔部
33b 嵌合部
34 電極対
35 水量検知部
35a フロート
36 電極基板
37 設置室
39 底蓋部
39a 差込開口
39b 排出口
39c 第2係合部
39d 逃げ部
39e テーパー面
40 中間壁
40a 溝部
42 水排出路