(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】撮像装置および部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2020031483
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高間 和志
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-179597(JP,A)
【文献】特開2012-080297(JP,A)
【文献】特開2009-218893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を一括して撮像する撮像装置であって、
前記部品に光を照射する照射部と、
撮像素子を有し、前記照射部から照射された光を前記撮像素子にさらす時間である露光時間が複数設定されており、複数の異なる前記露光時間で前記部品を撮像する複数の撮像部と、
前記撮像部による露光が開始する時間を露光開始時間とし、前記撮像部による露光が終了する時間を露光終了時間とした場合に、前記露光終了時間を基準として前記露光開始時間を設定する制御部と、を備え
、
前記制御部は、各撮像部の前記露光終了時間が互いに近くなるように前記露光開始時間を設定し、前記各撮像部によって得られる複数の画像データを組み合わせて1つの一括画像データとして扱うことで、前記複数の画像データを一度に送信する撮像装置。
【請求項2】
前記照射部の数は、前記撮像部の数よりも少ない、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記複数の撮像部は、第1撮像部と、第2撮像部と、を含み、
前記制御部は、前記第2撮像部の前記露光時間が前記第1撮像部の前記露光時間よりも短い場合に、前記第2撮像部の前記露光開始時間を前記第1撮像部の前記露光開始時間よりも遅くする、請求項1
または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記複数の撮像部は、第1撮像部と、第2撮像部と、を含み、
前記制御部は、前記第1撮像部の前記露光時間が前記第2撮像部の前記露光時間よりも長い場合に、前記第1撮像部の前記露光開始時間を前記第2撮像部の前記露光開始時間よりも早くする、請求項1から
請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載の撮像装置を備えた部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置および部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板への電子回路部品の装着を行う電子回路部品装着機として、特許第5524495号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。この電子回路部品装着機は、吸着ノズルに吸着された電子回路部品を下方から撮像する部品撮像システムを備えている。部品撮像システムは、CMOSイメージセンサ、照明装置、および撮像・画像処理制御コンピュータを備えている。部品撮像システムは、12個の電子回路部品を一括して撮像可能とされている。これらの電子回路部品は、照明装置によって下方から照射される光により照明され、各電子回路部品により反射された光がCMOSイメージセンサによって受光される。各電子回路部品は光の反射率が異なるため、電子回路部品の種類によって異なる露光時間が設定されている。CMOSイメージセンサを構成する各単位セルから出力された電荷はアナログ信号であり、アナログ信号からデジタル信号に変換された後にCMOSイメージセンサから出力され、デジタル信号として画像データが出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電子回路部品装着機では電子回路部品の種類に応じた露光時間による画像データを得ることができる。最も露光時間が短い電子回路部品については、出力済み画像データをフレームバッファに一時的に記憶させる必要がなく、通信制御部を介して画像処理コンピュータへ送信することができる。しかしながら、全ての電子回路部品の露光開始タイミングが同じであるため、次の画像データについては最初の画像データを送信している間、送信待ちの状態になり、フレームバッファに一時的に記憶させておく必要がある。上記の電子回路部品装着機では12個の電子回路部品を一括して撮像するため、フレームバッファの容量が大きいものとなる。
【0005】
また、画像処理コンピュータではマッチング処理など各画像データの先頭を揃えて入力させる処理が行われる場合がある。その場合、最後の画像データの出力が完了するまで、全ての画像データをフレームバッファに全て記憶させておく必要があるため、フレームバッファの容量が極めて大きいものとなる。
【0006】
そこで、フレームバッファの容量を削減するための方策として、複数の画像データを組み合わせて1つの一括画像データを構成し、一括して送信する方法も考えられる。この場合、CMOSイメージセンサから出力される画像データによって一括画像データを構成しながら送信するため、各画像データの送信待ちをなくすことができる。ところが、各画像データの出力開始(画像認識部への転送開始)時間は異なるため、最初の画像データの出力開始から次の画像データの出力開始までの間、次の画像データが存在しない無駄な領域が一括画像データ内に形成されてしまう。さらに、画像処理コンピュータへ送信した後に一括画像データから各画像データを取り出す処理が別途必要になるため、送信後のデータ処理が煩雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の撮像装置は、複数の部品を一括して撮像する撮像装置であって、前記部品に光を照射する照射部と、撮像素子を有し、前記照射部から照射された光を前記撮像素子にさらす時間である露光時間が複数設定されており、複数の異なる前記露光時間で前記部品を撮像する複数の撮像部と、前記撮像部による露光が開始する時間を露光開始時間とし、前記撮像部による露光が終了する時間を露光終了時間とした場合に、前記露光終了時間を基準として前記露光開始時間を設定する制御部と、を備える撮像装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の部品を一括して撮像する撮像装置において画像バッファを必要としない画像データの転送を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、ヘッドの内部構造を示した断面図である。
【
図3】
図3は、ヘッドを下方から見た底面図である。
【
図4】
図4は、部品実装機の電気的構成を示したブロック図である。
【
図5】
図5は、サイドビューカメラの電気的構成を示したブロック図である。
【
図6】
図6は、露光終了時間を同じにして画像データを一括送信する様子を示した概念図である。
【
図7】
図7は、露光開始時間を同じにして画像データを個別送信する様子を示した概念図である。
【
図8】
図8は、露光開始時間を同じにして画像データを一括送信する様子を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の撮像装置は、複数の部品を一括して撮像する撮像装置であって、前記部品に光を照射する照射部と、撮像素子を有し、前記照射部から照射された光を前記撮像素子にさらす時間である露光時間が複数設定されており、複数の異なる前記露光時間で前記部品を撮像する複数の撮像部と、前記撮像部による露光が開始する時間を露光開始時間とし、前記撮像部による露光が終了する時間を露光終了時間とした場合に、前記露光終了時間を基準として前記露光開始時間を設定する制御部と、を備える撮像装置である。
【0011】
複数の部品を一括して撮像する撮像装置において、露光終了時間を基準として露光開始時間を設定するから、複数の異なる露光時間が設定されている場合であっても各撮像部の露光終了時間が近くなるように設定でき、各撮像部によって得られる複数の画像データの出力開始タイミングが近くなるように設定できる。これにより、出力済みの画像データを画像バッファに記憶させることなく、これらの画像データを組み合わせて1つの一括画像データとして扱うことで、複数の画像データを一度に送信できる。したがって、複数の画像データを一時的に記憶させる画像バッファを必要としない画像データの転送を実現できる。
なお、その後に行われる画像処理工程では、マッチング処理など各画像データの先頭を揃えて入力させる処理が行われる場合があり、そのような画像処理を容易に実施できる。
【0012】
(2)前記照射部の数は、前記撮像部の数よりも少ないことが好ましい。
複数の撮像部に対して照射部の数を抑えつつ、画像毎に最適の露光時間を設定することで明るさを調光できる。
【0013】
(3)前記部品毎に前記露光終了時間が設定されており、前記制御部は、前記部品毎の前記露光終了時間が同じになるように前記露光開始時間を設定することが好ましい。
複数の画像データの出力が同時に開始されるため、一括画像データを構成する際に無駄な領域が形成されず、一括画像データのサイズを最小にできる。
【0014】
(4)前記複数の撮像部は、第1撮像部と、第2撮像部と、を含み、前記制御部は、前記第2撮像部の前記露光時間が前記第1撮像部の前記露光時間よりも短い場合に、前記第2撮像部の前記露光開始時間を前記第1撮像部の前記露光開始時間よりも遅くすることが好ましい。
第1撮像部より露光時間が短い第2撮像部の露光開始時間を第1撮像部よりも遅くすることで第1撮像部の露光終了時間と第2撮像部の露光終了時間とを近づけることができる。
【0015】
(5)前記複数の撮像部は、第1撮像部と、第2撮像部と、を含み、前記制御部は、前記第1撮像部の前記露光時間が前記第2撮像部の前記露光時間よりも長い場合に、前記第1撮像部の前記露光開始時間を前記第2撮像部の前記露光開始時間よりも早くすることが好ましい。
第2撮像部より露光時間が長い第1撮像部の露光開始時間を第2撮像部よりも早くすることで第1撮像部の露光終了時間と第2撮像部の露光終了時間とを近づけることができる。
【0016】
(6)本開示の撮像装置は部品実装機に適用してもよい。
複数の部品を一括して撮像する撮像装置を備えた部品実装機において画像バッファを必要としない画像データの転送を実現できる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の部品実装機の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態>
本開示の実施形態を
図1から
図8の図面を参照しながら説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材のみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0019】
[部品実装機]
部品実装機10は、電子部品などの部品Eをプリント基板などの基板Bに実装する装置である。部品実装機10は、
図1に示すように、基台11、搬送コンベア12、部品供給装置14、ヘッド17、ノズルシャフト28(図示の都合上、一部のみ示す)、サイドビューカメラ33、マルチカメラ22、制御部110(
図4参照)などを備えている。
【0020】
[基台]
基台11は、
図1に示すように、図示左右方向(X軸方向)に長い直方体の形状をなす。基台11上には、図示左右方向に延びる搬送コンベア12、ヘッド搬送部16、マルチカメラ22などが配置されている。
図1の二点鎖線で囲まれる位置は、基板Bに部品Eを実装するときの作業位置を示している。
【0021】
[搬送コンベア]
搬送コンベア12は、一対のコンベアベルト13を有している。搬送コンベア12は、基板BをX軸方向(
図1の図示左右方向)に搬送する。基板Bは搬送方向の一方側(
図1の図示右側)からコンベアベルト13に沿って基台11上の作業位置に搬入され、作業位置で停止して部品Eが実装された後、コンベアベルト13に沿って他方側(
図1の図示左側)に搬出される。
【0022】
[部品供給装置]
図1に示すように、基台11のY軸方向(図示上下方向)の両側の端部には、部品供給装置14が設けられている。部品供給装置14には、複数のフィーダ15が配置されている。フィーダ15は、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持したテープが巻回されたリールを保持している。フィーダ15は、リールを回転させてテープを送り出すことにより、部品Eを1つずつ供給するように構成されている。
【0023】
[ヘッド搬送部]
ヘッド搬送部16は、ヘッド17を所定の可動範囲内でX軸方向およびY軸方向に搬送するものである。ヘッド搬送部16は、
図1に示すように、X軸ビーム18、Y軸フレーム19、X軸サーボモータ20、Y軸サーボモータ21などを備えている。ヘッド17は、X軸ビーム18に支持され、X軸サーボモータ20によりX軸方向に往復移動可能となっている。X軸ビーム18は、Y軸フレーム19に支持され、Y軸サーボモータ21によりY軸方向に往復移動可能となっている。
【0024】
[マルチカメラ]
基台11上における作業位置の近傍には、
図1に示すように、ヘッド17によってフィーダ15から吸着された部品Eの画像を下方(
図1の紙面奥から手前に向かう方向)から撮像するマルチカメラ22が固定されている。
【0025】
[ヘッド]
ヘッド17は、
図2に示すように、ヘッド本体部23と、ロータリーユニット27と、サイドビューカメラ33と、を備える。
[ヘッド本体部]
ヘッド本体部23の内部には、シャフト24が設けられている。シャフト24は、ヘッド本体部23の中央に位置し、ヘッドモータ25によりヘッド17の軸線AX回りに回転可能に構成されている。
【0026】
[ロータリーユニット]
ロータリーユニット27には、
図3に示すように、複数本(本実施形態では18本)のノズルシャフト28が円形に配置されている。
図2においては簡略化して図示しているものの、ノズルシャフト28の下端部には、吸着ノズル29が着脱可能に取り付けられている。吸着ノズル29には、ノズルシャフト28を介して、エア供給装置51(
図4参照)から負圧が供給されるようになっている。吸着ノズル29は負圧により部品Eを吸着保持することができ、負圧を開放することで、部品Eの保持を解くことができる。各ノズルシャフト28は、Z軸サーボモータ(図示せず)によりノズルシャフト28毎に昇降可能に構成されている。また、各ノズルシャフト28は、R軸サーボモータ30によりノズルシャフト28毎に中心軸回りに回転可能に構成されている。
【0027】
ロータリーユニット27は、
図2に示すように、ボルトB1によりシャフト24の下部に取り付けられ、シャフト24とともにヘッド17の軸線AX回りに回転可能となっている。
【0028】
[照明装置]
ロータリーユニット27の下部には、照明装置34がボルトB2により取り付けられている。照明装置34は、光源35と、光源35からの光を拡散して照射する照射部36と、を備えて構成されている。光源35は、例えばLED基板によって構成されている。照射部36は略円柱状をなし、例えばアクリル樹脂からなる。光源35からの光は、照射部36の上面から内部に入射され、照射部36により拡散され、照射部36の側面から、吸着ノズル29に吸着された部品Eに向けて出射される。
【0029】
[サイドビューカメラ]
サイドビューカメラ33は、
図2に示すように、ヘッド本体部23の下部側面に設けられ、ヘッド17の軸線AXに対してロータリーユニット27の吸着ノズル29より外側に配されている。サイドビューカメラ33は、吸着ノズル29に保持された部品Eを側方から撮影する。照射部36の側面から出射された光は、部品Eの周りを透過してサイドビューカメラ33のレンズに入射される。すなわち、部品Eは、部品Eの部分が影となる透過光としてサイドビューカメラ33に撮像される。
【0030】
詳細には
図3に示すように、サイドビューカメラ33は、照明装置34を中心として図示左側に配置された2つのカメラ37、38と、図示右側に配置された2つのカメラ39、40と、を備え、合わせて4つのカメラ37、38、39、40を備えている。図示左側の2つのカメラ37、38のうち図示上側は第1カメラ37とされ、図示下側は第2カメラ38とされている。図示右側の2つのカメラ39、40のうち図示上側は第3カメラ39とされ、図示下側は第4カメラ40とされている。
【0031】
各カメラ37、38、39、40は、
図5に示すように、CMOSイメージセンサなどの撮像素子41をそれぞれ備えている。撮像素子41は、光電変換を行う複数の単位セルを有しており、単位セルに蓄積された電荷は、撮像素子41からデータ処理部42に出力される際にデジタル信号に変換される。データ処理部42は、出力済みのデジタル信号に基づいて画像データを生成する。生成された画像データは、データ処理部42から通信制御部43を介して画像処理部114に転送される。本開示のサイドビューカメラ33では、4つの撮像素子41と1つの画像バッファ44と1つの通信制御部43とがデータ処理部42に接続されている。データ処理部42で生成された画像データを一時的に画像バッファ44に記憶させておくことができる。画像バッファ44は、例えばメモリによって構成されている。
【0032】
[部品実装機の電気的構成]
部品実装機10は、
図4に示すように、制御部110によって全体が制御統括されており、制御部110は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成される演算処理部111を備えている。演算処理部111には、モータ制御部112、記憶部113、画像処理部114、外部入出力部115、フィーダ通信部116、表示部117、入力部118などが接続されている。
【0033】
モータ制御部112は、演算処理部111の指令により、記憶部113に記憶されている実装プログラムに基づいて、ヘッドモータ25、Y軸サーボモータ21、X軸サーボモータ20、Z軸サーボモータ(図示せず)、R軸サーボモータ30、搬送コンベア12などを制御し、部品Eを搭載する。
【0034】
記憶部113には、基板Bに部品Eを連続的に搭載するための連続搭載シーケンスなどの各種実装プログラム、各種データなどが記憶されている。各種データには、生産が予定されている基板Bの生産枚数や品種に関する基板情報、部品Eの種類毎の露光時間などが含まれている。
【0035】
画像処理部114は、サイドビューカメラ33やマルチカメラ22から出力される画像データが取り込まれるようになっており、取り込んだ画像データに基づいて画像を生成する。
【0036】
外部入出力部115は、いわゆるインターフェースであって、演算処理部111は、外部入出力部115を通じて、負圧を計測する圧力センサ50からの検出信号を取り込み、エア供給装置51との制御信号の受け渡しを行う。圧力センサ50は、外部入出力部115に有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。
【0037】
フィーダ通信部116は、複数のフィーダ15に接続されており、複数のフィーダ15を統括して制御する。
【0038】
入力部118は、キーボードやマウスなどの図示しない入力装置などを備えており、作業者からの入力の受付や作業者への出力を行う。また、表示部119は、液晶モニタなどの表示装置などを備えており、サイドビューカメラ33で撮像された部品Eの吸着姿勢などを表示する。
【0039】
[画像データの転送]
サイドビューカメラ33は、4つのカメラ37、38、39、40で撮像された部品Eの画像データを画像処理部114に転送する。以下においては、第1カメラ37の画像データを第1画像データID1、第2カメラ38の画像データを第2画像データID2、第3カメラ39の画像データを第3画像データID3、第4カメラ40の画像データを第4画像データID4という場合がある。
【0040】
画像データの転送方式としては、各画像データを個別に送信する方式(以下「個別送信」という)と、各画像データを組み合わせて1つの一括画像データとして扱うことで、複数の画像データを一度に送信する方式(以下「一括送信」という)と、に大別できる。以下の説明において終了時間とは終了タイミングのことであり、終了時刻という場合もあり、開始時間とは開始タイミングのことであり、開始時刻という場合もある。また、以下の説明においては、主として、画像データを撮像素子41からデータ処理部42に送信することを出力といい、画像データをデータ処理部42から通信制御部43を介して画像処理部114に送信することを転送という。
【0041】
図6から
図8において符号42が指し示す長方形状の外枠は、最終的に出力される予定の画像データのサイズを表し、外枠内部のハッチング部は、あるタイミングにおける画像データの処理(出力)が完了した部分を表し、矢印は、画像データの処理が行われている様子を表している。また、
図6から
図8において符号44が指し示すハッチング部は、上記タイミングにおける画像バッファ44でのメモリの記憶量を表している。部品Eを撮像する際の露光時間は、部品Eの種類毎に異なる露光時間が設定されている。第1カメラ37の露光時間をT1、第2カメラ38の露光時間をT2、第3カメラ39の露光時間T3、第4カメラ40の露光時間をT4とし、T4>T1>T3>T2とする。
【0042】
まず、個別送信について
図7を参照しながら説明する。一般に、露光開始時間STは同じであるから、露光終了時間は第2カメラ38が最も早く、第3カメラ39が二番目に早くなる。
図7のデータ処理部42は、第2画像データID2の出力が全て完了したタイミングを表している。このため、第2画像データID2の出力が最も早く完了し、画像バッファ44に記憶されることなく転送が開始され、第2画像データID2では、露光終了時間と転送開始時間が同じになる。しかしながら、第3画像データID3は、第2画像データID2の転送中、送信待ちとなるため、一時的に画像バッファ44に記憶され、第2画像データID2の転送完了と同時に、転送が開始される。同様に、第3画像データID3の転送完了と同時に、第1画像データID1の転送が開始され、第1画像データID1の転送完了と同時に、第4画像データID4の転送が開始される。
【0043】
このように、第2画像データID2以外の画像データについては、画像バッファ44に一時的に記憶させておく必要があるため、画像バッファ44の容量が大きくなる。また、送信待ちが発生するため、全ての画像データの転送が完了するまでの時間が長くなる。
【0044】
次に、一括送信について
図6と
図8を参照しながら説明する。
図6は露光終了時間ETが同じ場合を説明したものであり、
図8は露光開始時間STが同じ場合を説明したものである。
図6のデータ処理部42は、各カメラ37、38、39、40の露光終了後、画像データの処理(出力)が進行している途中のタイミングを表し、
図8のデータ処理部42は、第2画像データID2の出力が全て完了したタイミングを表している。
図6と
図8のいずれの場合も、各画像データID1、ID2、ID3、ID4を組み合わせて一括画像データを生成しながら転送できるため、画像バッファ44を必要としない転送が実現できる点で共通している。
【0045】
しかしながら、
図8に示すように、露光開始時間STが同じ場合には、第2画像データID2の出力開始から第4画像データID4の出力完了までの時間が長くなるため、一括画像データ全体のサイズが大きくなる。その理由としては、一括画像データの生成開始時から完了時に至るまでの間、4つの画像データをそれぞれ組み込むための領域を予め確保しておかなければならないことに起因する。例えば、第2画像データID2の出力開始から第3画像データID3の出力開始までの間、第1画像データID1と第3画像データID3と第4画像データID4の領域は、各画像データID1、ID3、ID4が存在しない無駄な領域となる。
【0046】
そこで、本開示の制御部110は、
図6に示すように、露光終了時間ETが同じになるように各露光開始時間ST1、ST2、ST3、ST4を設定しており、この例の場合、各露光時間T1、T2、T3、T4は異なるとしても、各画像データID1、ID2、ID3、ID4の画素数は等しい。このとき、各露光時間T1、T2、T3、T4は異なるとしても、各カメラ37、38、39、40の露光終了時間を同じにしておけば、各画像データID1、ID2、ID3、ID4の出力開始タイミングと出力完了タイミングとが揃うことになり、一括画像データに無駄な領域が形成されず、一括画像データのサイズを最小化することができる。要するに、各カメラ37、38、39、40の露光終了時刻と転送開始時刻とは同じである。したがって、複数の部品Eを一括して撮像するサイドビューカメラ33において一括画像データに無駄な領域を形成することなく、画像バッファ44を必要としない画像データの転送を実現できる。
【0047】
以上のように本実施形態では、複数の部品Eを一括して撮像するサイドビューカメラ33において、露光終了時間ETを基準として露光開始時間STを設定するから、複数の異なる露光時間T1、T2、T3、T4が設定されている場合であっても各カメラ37、38、39、40の露光終了時間が近くなるように設定でき、各撮像部によって得られる複数の画像データの出力開始(転送開始)タイミングが近くなるように設定できる。これにより、出力済みの画像データを画像バッファ44に記憶させることなく、これらの画像データを組み合わせて1つの一括画像データとして扱うことで、複数の画像データを一度に送信できる。したがって、複数の画像データを一時的に記憶させる画像バッファ44を必要としない画像データの転送を実現できる。
【0048】
なお、その後に行われる画像処理工程では、マッチング処理など各画像データの先頭を揃えて入力させる処理が行われる場合があり、そのような画像処理を容易に実施できる。
【0049】
また、照射部36の数は、カメラ37、38、39、40の数よりも少ないから、複数のカメラ37、38、39、40に対して照射部36の数を抑えつつ、画像毎に最適の露光時間T1、T2、T3、T4を設定することで明るさを調光できる。
【0050】
また、部品E毎に露光終了時間ETが設定されており、制御部110は、部品E毎の露光終了時間ETが同じになるように露光開始時間STを設定することで、複数の画像データの出力が同時に開始されるため、一括画像データを構成する際に無駄な領域が形成されず、一括画像データのサイズを最小にできる。
【0051】
また、複数のカメラ37、38、39、40は、第1カメラ37と、第2カメラ38と、を含み、制御部110は、第2カメラ38の露光時間T2が第1カメラ37の露光時間T1よりも短い場合に、第2カメラ38の露光開始時間を第1カメラ37の露光開始時間よりも遅くすることで第1カメラ37の露光終了時間と第2カメラ38の露光終了時間とを近づけることができる。
【0052】
また、複数のカメラ37、38、39、40は、第1カメラ37と、第2カメラ38と、を含み、制御部110は、第1カメラ37の露光時間T1が第2カメラ38の露光時間T2よりも長い場合に、第1カメラ37の露光開始時間を第2カメラ38の露光開始時間よりも早くすることで第1カメラ37の露光終了時間と第2カメラ38の露光終了時間とを近づけることができる。
【0053】
<他の実施形態>
(1)実施形態では、ロータリーユニット27を有するヘッド17を備えた構成としたが、ノズルシャフトが直線状に並んだインライン型のヘッドを用いてもよい。
【0054】
(2)実施形態では、カメラの数が4つのサイドビューカメラ33を例示したが、カメラの数は2つ以上であればよく、3つでもよいし、5つ以上でもよい。
【0055】
(3)実施形態では、複数のカメラ37、38、39、40の露光終了時間が同じになるものを例示したが、必ずしも同じである必要はなく、露光終了時間が近いものでもよい。
【0056】
(4)実施形態では、部品Eの種類毎に異なる露光時間が設定されているものとしたが、同じ光源35であっても照射部36による拡散の違いによって明るさが異なる場合があり、そのような場合には同じ種類の2つの部品Eに対してそれぞれ異なる露光時間を設定してもよい。
【0057】
(5)実施形態では、部品Eの種類毎に異なる露光時間が設定されているものとしたが、種類の異なる2つの部品Eに対して同じ露光時間を設定してもよい。
【0058】
(6)実施形態では、照射部36が1つの照明装置34を例示しているが、照射部36の数は2つ以上でもよい。
【0059】
(7)実施形態では、撮像素子41としてCMOSイメージセンサを例示したが、CCDイメージセンサを用いてもよい。
【0060】
(8)実施形態では、撮像装置としてサイドビューカメラ33を例示したが、その他のカメラに適用してもよい。また、撮像装置を部品実装機10に適用したが、検査機などに適用してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…部品実装機、11…基台、12…搬送コンベア、13…コンベアベルト、14…部品供給装置、15…フィーダ、16…ヘッド搬送部、17…ヘッド、18…X軸ビーム、19…Y軸フレーム、20…X軸サーボモータ、21…Y軸サーボモータ、22…マルチカメラ、23…ヘッド本体部、24…シャフト、25…ヘッドモータ、26…受け基板、27…ロータリーユニット、28…ノズルシャフト、29…吸着ノズル、30…R軸サーボモータ、31…突出部、32…マーク、33…サイドビューカメラ(撮像装置)、34…照明装置、35…光源、36…照射部、37…第1カメラ(第1撮像部)、38…第2カメラ(第2撮像部)、39…第3カメラ(第3撮像部)、40…第4カメラ(第4撮像部)、41…撮像素子、42…データ処理部、43…通信制御部、44…画像バッファ、50…圧力センサ、51…エア供給装置
110…制御部、111…演算処理部、112…モータ制御部、113…記憶部、114…画像処理部、115…外部入出力部、116…フィーダ通信部、117…表示部、118…入力部、119…表示部
AX…軸線、B…基板、B1…ボルト、E…部品、L…電気配線
ID1…第1画像データ、ID2…第2画像データ、ID3…第3画像データ、ID4…第4画像データ
T1…露光時間、T2…露光時間、T3…露光時間、T4…露光時間
ET…露光終了時間、ST…露光開始時間、ST1…露光開始時間、ST2…露光開始時間、ST3…露光開始時間、ST4…露光開始時間