(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】前払・振替紐付管理装置、前払・振替紐付管理方法および前払・振替紐付管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20231115BHJP
【FI】
G06Q40/12
(21)【出願番号】P 2020047620
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】空閑 寛之
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-344396(JP,A)
【文献】特開2009-157443(JP,A)
【文献】特開2016-184405(JP,A)
【文献】特開2004-133756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備え、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定していない段階で前記取引先に対して支払った金額である前払金額を含む明細のデータである前払明細データと、前記取引先に対する前記支払に用いる勘定科目が確定した段階で前記前払金額のうち振替計上した金額である振替金額を含む明細のデータである振替明細データと、を紐付して管理するための前払・振替紐付管理装置であって、
前記制御部は、
前記確定していない段階で用いる
、入力された勘定科目と、入力された前記前払金額と、明細識別データと、を含む前記前払明細データを前記確定していない段階で生成する前払明細生成手段と、
前記前払金額にマイナスが付された金額と、前記紐付のために用いる
精算番号である紐付用情報と、前記前払明細データ中の前記明細識別データと、を含む明細のデータである取消明細データを前記確定した段階で生成する取消明細生成手段と、
前記確定した勘定科目
である、入力された確定科目と、入力された前記振替金額と、前記取消明細データ中の
前記精算番号と同じ精算番号である前記紐付用情報と、を含む前記振替明細データを前記確定した段階で生成する振替明細生成手段と、
を備えること、
を特徴とする前払・振替紐付管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記振替明細データに含まれる前記紐付用情報と同じものを含む前記取消明細データを特定し、当該特定した取消明細データに含まれる前記明細識別データと同じものを含む前記前払明細データを特定する前払明細特定手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項1に記載の前払・振替紐付管理装置。
【請求項3】
制御部を備える情報処理装置で実行される、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定していない段階で前記取引先に対して支払った金額である前払金額を含む明細のデータである前払明細データと、前記取引先に対する前記支払に用いる勘定科目が確定した段階で前記前払金額のうち振替計上した金額である振替金額を含む明細のデータである振替明細データと、を紐付して管理するための前払・振替紐付管理方法であって、
前記制御部で実行される、
前記確定していない段階で用いる
、入力された勘定科目と、入力された前記前払金額と、明細識別データと、を含む前記前払明細データを前記確定していない段階で生成する前払明細生成ステップと、
前記前払金額にマイナスが付された金額と、前記紐付のために用いる
精算番号である紐付用情報と、前記前払明細データ中の前記明細識別データと、を含む明細のデータである取消明細データを前記確定した段階で生成する取消明細生成ステップと、
前記確定した勘定科目
である、入力された確定科目と、入力された前記振替金額と、前記取消明細データ中の
前記精算番号と同じ精算番号である前記紐付用情報と、を含む前記振替明細データを前記確定した段階で生成する振替明細生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする前払・振替紐付管理方法。
【請求項4】
制御部を備える情報処理装置に実行させるための、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定していない段階で前記取引先に対して支払った金額である前払金額を含む明細のデータである前払明細データと、前記取引先に対する前記支払に用いる勘定科目が確定した段階で前記前払金額のうち振替計上した金額である振替金額を含む明細のデータである振替明細データと、を紐付して管理するための前払・振替紐付管理プログラムであって、
前記制御部に実行させるための、
前記確定していない段階で用いる
、入力された勘定科目と、入力された前記前払金額と、明細識別データと、を含む前記前払明細データを前記確定していない段階で生成する前払明細生成ステップと、
前記前払金額にマイナスが付された金額と、前記紐付のために用いる
精算番号である紐付用情報と、前記前払明細データ中の前記明細識別データと、を含む明細のデータである取消明細データを前記確定した段階で生成する取消明細生成ステップと、
前記確定した勘定科目である
、入力された確定科目と、入力された前記振替金額と、前記取消明細データ中の
前記精算番号と同じ精算番号である前記紐付用情報と、を含む前記振替明細データを前記確定した段階で生成する振替明細生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする前払・振替紐付管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前払・振替紐付管理装置、前払・振替紐付管理方法および前払・振替紐付管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の0008段落には、高精度の自動仕訳を行う会計処理システムが開示されており、特許文献1の0042段落には、仕訳要素が抽出された段階では勘定科目が未決定であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば工事等の費用の支払について考えた場合、当該支払に用いる勘定科目がまだ確定していなくても、前払として支払を実行するという対応をとることがある。支払を素早く実行することが、会社の強みとなることがあるためである。この場合、例えば、支払に用いた勘定科目を「建設仮勘定」として支払を行い、「建設仮勘定」を勘定科目として含む前払明細データが生成される。
【0005】
そして後に、勘定科目が例えば「修繕費」に確定した段階で、前払いした金額を「修繕費」に振替計上したとすると、「修繕費」を勘定科目として含む振替明細データが生成される。
【0006】
ここで、どの前払明細データがどの振替明細データによって振り替わったかを正確に把握することは会計管理をする上で重要であるため、前記生成した前払明細データと前記生成した振替明細データの紐付を行う必要があるが、従来においては、担当者がエクセル上で手動で前記紐付を行っており、大変な労力を要し、かつ、振替漏れ発生のリスクもあった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、生成した前払明細データと生成した振替明細データを紐付して管理することができる前払・振替紐付管理装置、前払・振替紐付管理方法および前払・振替紐付管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る前払・振替紐付管理装置は、制御部を備え、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定していない段階で前記取引先に対して支払った金額である前払金額を含む明細のデータである前払明細データと、前記取引先に対する前記支払に用いる勘定科目が確定した段階で前記前払金額のうち振替計上した金額である振替金額を含む明細のデータである振替明細データと、を紐付して管理するための前払・振替紐付管理装置であって、前記制御部は、前記確定していない段階で用いる、入力された勘定科目と、入力された前記前払金額と、明細識別データと、を含む前記前払明細データを前記確定していない段階で生成する前払明細生成手段と、前記前払金額にマイナスが付された金額と、前記紐付のために用いる精算番号である紐付用情報と、前記前払明細データ中の前記明細識別データと、を含む明細のデータである取消明細データを前記確定した段階で生成する取消明細生成手段と、前記確定した勘定科目である、入力された確定科目と、入力された前記振替金額と、前記取消明細データ中の前記精算番号と同じ精算番号である前記紐付用情報と、を含む前記振替明細データを前記確定した段階で生成する振替明細生成手段と、を備えること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る前払・振替紐付管理装置は、前記制御部が、前記振替明細データに含まれる前記紐付用情報と同じものを含む前記取消明細データを特定し、当該特定した取消明細データに含まれる前記明細識別データと同じものを含む前記前払明細データを特定する前払明細特定手段を更に備えること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る前払・振替紐付管理方法は、制御部を備える情報処理装置で実行される、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定していない段階で前記取引先に対して支払った金額である前払金額を含む明細のデータである前払明細データと、前記取引先に対する前記支払に用いる勘定科目が確定した段階で前記前払金額のうち振替計上した金額である振替金額を含む明細のデータである振替明細データと、を紐付して管理するための前払・振替紐付管理方法であって、前記制御部で実行される、前記確定していない段階で用いる、入力された勘定科目と、入力された前記前払金額と、明細識別データと、を含む前記前払明細データを前記確定していない段階で生成する前払明細生成ステップと、前記前払金額にマイナスが付された金額と、前記紐付のために用いる精算番号である紐付用情報と、前記前払明細データ中の前記明細識別データと、を含む明細のデータである取消明細データを前記確定した段階で生成する取消明細生成ステップと、前記確定した勘定科目である、入力された確定科目と、入力された前記振替金額と、前記取消明細データ中の前記精算番号と同じ精算番号である前記紐付用情報と、を含む前記振替明細データを前記確定した段階で生成する振替明細生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る前払・振替紐付管理プログラムは、制御部を備える情報処理装置に実行させるための、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定していない段階で前記取引先に対して支払った金額である前払金額を含む明細のデータである前払明細データと、前記取引先に対する前記支払に用いる勘定科目が確定した段階で前記前払金額のうち振替計上した金額である振替金額を含む明細のデータである振替明細データと、を紐付して管理するための前払・振替紐付管理プログラムであって、前記制御部に実行させるための、前記確定していない段階で用いる、入力された勘定科目と、入力された前記前払金額と、明細識別データと、を含む前記前払明細データを前記確定していない段階で生成する前払明細生成ステップと、前記前払金額にマイナスが付された金額と、前記紐付のために用いる精算番号である紐付用情報と、前記前払明細データ中の前記明細識別データと、を含む明細のデータである取消明細データを前記確定した段階で生成する取消明細生成ステップと、前記確定した勘定科目である、入力された確定科目と、入力された前記振替金額と、前記取消明細データ中の前記精算番号と同じ精算番号である前記紐付用情報と、を含む前記振替明細データを前記確定した段階で生成する振替明細生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生成した前払明細データと生成した振替明細データを紐付して管理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、前払・振替紐付管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、前払明細データを生成するための画面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、生成した前払明細データの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、生成した前払明細データを支払済の状態とするための画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、支払済の状態とした前払明細データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、支払済の状態とした前払明細データに基づいて生成される仕訳の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、前払明細データを呼び出す際の画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、呼び出した前払明細データを表示した画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、取消明細データおよび振替明細データを生成するための画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、生成した前払明細データ、取消明細データおよび振替明細データの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、生成した取消明細データおよび振替明細データを支払済の状態とするための画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、支払済の状態とした前払明細データ、取消明細データおよび振替明細データの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、支払済の状態とした前払明細データ、取消明細データおよび振替明細データに基づいて生成される仕訳の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る前払・振替紐付管理装置、前払・振替紐付管理方法および前払・振替紐付管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.構成]
本実施形態に係る前払・振替紐付管理装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、前払・振替紐付管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
前払・振替紐付管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、前払・振替紐付管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0017】
前払・振替紐付管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。前払・振替紐付管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0018】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、前払・振替紐付管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、前払・振替紐付管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0019】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0020】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0021】
記憶部106は、例えば、前払明細データ106aと、取消明細データ106bと、振替明細データ106cと、を備えている。なお、以下においては、前払明細データ106a、取消明細データ106bおよび振替明細データ106cを包含する概念として、「支払データ」という表現を用いることがある。
【0022】
前払明細データ106aは、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定していない段階で前記取引先に対して支払った金額である前払金額を含む明細のデータである。前払明細データ106aは、
図3等に示すように、例えば、SEQ(本発明の「明細識別データ」に相当)と、支払予定日と、支払日と、管理項目(本発明の「前記確定していない段階で用いる勘定科目である前払科目であって入力されたもの」に相当)と、計上日と、金額と、消費税と、税込金額(本発明の「入力された前記前払金額」に相当)と、費用計上の区分と、支払計上の区分と、支払Noと、精算Noと、返戻元SEQと、等を含む。
【0023】
取消明細データ106bは、前払明細データ106aを取り消すための明細のデータである。取消明細データ106bは、
図10等に示すように、例えば、SEQと、支払予定日と、支払日と、管理項目と、計上日と、金額と、消費税と、税込金額(本発明の「前記前払金額にマイナスが付された金額」に相当)と、費用計上の区分と、支払計上の区分と、支払Noと、精算No(本発明の「前記紐付のために用いる情報である紐付用情報」に相当)と、返戻元SEQ(本発明の「前記前払明細データ中の前記明細識別データ」に相当)と、等を含む。
【0024】
振替明細データ106cは、前記取引先に対する前記支払に用いる勘定科目が確定した段階で前記前払金額のうち振替計上した金額である振替金額を含む明細のデータである。振替明細データ106cは、
図10等に示すように、例えば、SEQと、支払予定日と、支払日と、管理項目(本発明の「前記確定した段階で用いる勘定科目である確定科目であって入力されたもの」に相当)と、計上日と、金額と、消費税と、税込金額(本発明の「入力された前記振替金額」に相当)と、費用計上の区分と、支払計上の区分と、支払Noと、精算No(本発明の「前記取消明細データ中の前記紐付用情報」に相当)と、返戻元SEQと、等を含む。
【0025】
制御部102は、前払・振替紐付管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0026】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記確定していない段階で用いる勘定科目である前払科目であって入力されたものと、入力された前記前払金額と、明細識別データと、を含む前記前払明細データを前記確定していない段階で生成する前払明細生成手段としての前払明細生成部102aと、(2)前記前払金額にマイナスが付された金額と、前記紐付のために用いる情報である紐付用情報と、前記前払明細データ中の前記明細識別データと、を含む明細のデータである取消明細データを前記確定した段階で生成する取消明細生成手段としての取消明細生成部102bと、(3)前記確定した勘定科目である確定科目であって入力されたものと、入力された前記振替金額と、前記取消明細データ中の前記紐付用情報と、を含む前記振替明細データを前記確定した段階で生成する振替明細生成手段としての振替明細生成部102cと、(4)前記振替明細データに含まれる前記紐付用情報と同じものを含む前記取消明細データを特定し、当該特定した取消明細データに含まれる前記明細識別データと同じものを含む前記前払明細データを特定する前払明細特定手段としての前払明細特定部102dと、を備えている。
【0027】
前払明細生成部102aは、前記前払科目であって入力されたもの(
図3の「管理項目:307090(建設仮勘定)」)と、入力された前記前払金額(
図3の「税込金額:1080000」)と、前記明細識別データ(
図3の「SEQ:12345」)と、を含む前払明細データ106aを、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定していない段階で生成する。
【0028】
取消明細生成部102bは、前記前払金額にマイナスが付された金額(
図10の「税込金額:-1080000」)と、前記紐付用情報(
図10の「精算No:200000000001」)と、前払明細データ106a中の前記明細識別データ(
図10の「返戻元SEQ:12345」)と、を含む取消明細データ106bを、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定した段階で生成する。
【0029】
振替明細生成部102cは、前記確定科目であって入力されたもの(
図10の「管理項目:209010(修繕費)」と、入力された前記振替金額(
図10の「税込金額:1080000」)と、取消明細データ106b中の前記紐付用情報(
図10の「精算No:200000000001」)と、を含む振替明細データ106cを、取引先に対する支払に用いる勘定科目が確定した段階で生成する。
【0030】
前払明細特定部102dは、振替明細データ106cに含まれる前記紐付用情報(
図10の「精算No:200000000001」)と同じものを含む取消明細データ106bを特定し、当該特定した取消明細データ106bに含まれる前記明細識別データ(
図10の「返戻元SEQ:12345」)と同じものを含む前払明細データ106aを特定する。
【0031】
[2.処理の具体例]
本項目では、本実施形態における処理の具体例を説明する。なお、
図2、
図7、
図9および
図11の画面例において、ハッチングで示した箇所は、オペレータによって入力された情報であることを意味している。
【0032】
[2-1.前払明細データ106aの生成]
まず、取引先「株式会社○○」に対する支払の金額1080000円についての勘定科目が確定していない段階(2019/09/30)で、前記取引先に対して前払により前記支払を行う際に、
図2に示す画面からオペレータによって必要な情報が入力される。具体的には、前記前払による支払を行う日付「2019/09/30」、前記確定していない段階で用いる勘定科目のコード「307090」、前記前払した前記金額である前払金額「1,000,000」および消費税「80,000」等が入力される。勘定科目のコード「307090」は、「建設仮勘定」を意味するコードである。当該入力がされると、前払明細生成部102aが、
図3に示す前払明細データ106aを生成する。
図3に示す前払明細データ106aにおいて、「管理項目:307090」が本発明の「前払科目であって入力されたもの」に相当し、「税込金額:1080000円」が本発明の「入力された前払金額」に相当し、「SEQ:12345」が本発明の「明細識別データ」に相当する。
【0033】
続いて、
図4に示す画面から、生成された前払明細データ106aが登録されることにより、税込金額「1080000円」が支払済の状態となる。税込金額「1080000円」が支払済の状態となった前払明細データ106aにおいては、
図5に示すように、支払日および支払NOが格納され、また、支払計上の区分が「0」から「1」に更新されている。税込金額「1080000円」が支払済の状態となった前払明細データ106aに基づいて作成される仕訳の例を、
図6に示す。
【0034】
[2-2.費用仕訳が作成されないようにするための制御]
続いて、戻入情報作成時に、すなわち、前記前払金額についての勘定科目が確定した段階(2019/11/30)で、以下の条件(1)および(2)に該当する支払データ(前払明細データ106a)が
図7に示す画面から呼び出されて、呼び出されたデータが
図8に示すように表示される。
(1)支払データで支払処理済であること。
(2)支払データで費用仕訳未計上であること。
【0035】
支払データ(前払明細データ106a)が呼び出され、請求情報が登録されると、呼び出された支払データ(前払明細データ106a)については費用仕訳計上済状態となり、費用仕訳が作成されないようになる。
【0036】
[2-3.取消明細データ106bおよび振替明細データ106cの生成]
[2-2]の戻入情報作成と同時のタイミングで、すなわち、前記取引先に対する前記支払に用いる勘定科目が確定した段階(2019/11/30)で、
図9に示す画面からオペレータによって必要な情報が入力される。具体的には、前記支払に用いる勘定科目が確定した日付「2019/11/30」、前記確定した勘定科目のコード「209010」および前記前払金額のうち振替計上した金額である振替金額「1,000,000」および消費税「80,000」等が入力される。勘定科目のコード「209010」は、「修繕費」を意味するコードである。なお、
図9の画面において、精算No「200000000001」は自動採番される番号であり、当該精算Noを用いることで、振替元と振替先の明細を同一の番号で管理することが可能となり、言い換えると、当該精算No単位でデータの確認が可能、すなわち、紐付けて管理することが可能となる。
【0037】
当該入力がされると、取消明細生成102bが、
図10に示す取消明細データ106bを生成する。
図10に示す取消明細データ106bにおいて、「税込金額:-1080000円」が本発明の「前記前払金額にマイナスが付された金額」に相当し、「精算No:200000000001」が本発明の「紐付用情報」に相当し、「返戻元SEQ:12345」が本発明の「前記前払明細データ中の前記明細識別データ」に相当する。このように、取消明細データ106bにおいて、精算Noと返戻元SEQを併せて管理することで、どの前払明細データ106aをどの振替明細データ106cで振り替えたのかを判断することが可能となる。
【0038】
また、当該入力がされると、振替明細生成部102cが、
図10に示す振替明細データ106cを生成する。
図10に示す振替明細データ106cにおいて、「管理項目:209010」が本発明の「確定科目であって入力されたもの」に相当し、「税込金額:1080000円」が本発明の「入力された振替金額」に相当し、「精算No:200000000001」が本発明の「前記取消明細データ中の前記紐付用情報」に相当する。
【0039】
続いて、
図11に示す画面から、生成された取消明細データ106bおよび振替明細データ106cが登録されることにより、税込金額が支払済の状態となる。税込金額が支払済の状態となった取消明細データ106bおよび振替明細データ106cにおいては、
図12に示すように、支払計上の区分が「0」から「1」に更新されている。税込金額「1080000円」が支払済の状態となった前払明細データ106a、取消明細データ106bおよび振替明細データ106cに基づいて作成される仕訳の例を、
図13に示す。
【0040】
[2-4.まとめ]
以上、[2-1]~[2-3]で説明してきたように、本実施形態に係る前払・振替紐付管理装置100によれば、前払明細データ106aと振替明細データ106cを紐付けて管理することが可能となるため、例えば、どの前払が振替えられたか、残っている前払は正当なものか等を正確に把握することができ、また、振替漏れのリスクもなくすこともできる。
【0041】
また、本実施形態に係る前払・振替紐付管理装置100によれば、ある振替明細データ106cが、どの前払明細データ106aと紐付くのかを特定することができる。例えば、
図10を例にとり、SEQ12347の振替明細データ106cが、どの前払明細データ106aと紐付くのかを知りたいという場面を想定して説明をする。
図10のSEQ12347の振替明細データ106cは、「精算No:200000000001」を含み、当該精算Noと同じ精算Noを含む取消明細データ106bは、
図10に示すSEQ12346の取消明細データ106bである。このようにして、前払明細特定部102dは、
図10に示すSEQ12346の取消明細データ106bを特定する。次に、当該特定した
図10のSEQ12346の取消明細データ106bは、「返戻元SEQ:12345」を含み、当該SEQと同じSEQを含む前払明細データ106aは、
図10のSEQ12345の前払明細データ106aである。このようにして、前払明細特定部102dは、
図10のSEQ12345の前払明細データ106aを特定する。以上のようにして、本実施形態に係る前払・振替紐付管理装置100によれば、SEQ12347の振替明細データ106cが、SEQ12345の前払明細データ106aと紐付くことを知ることができる。
【0042】
[3.本実施形態のまとめ]
債務管理は、債権管理以上に会社の信用に繋がることも多いため、まだ振替する科目がわからなくても、前払として支払自体は実行するという対応をとることがある。例えば、工事の支払等の際には、振替先の勘定が費用になるか、資産になるか決定していないが、前払については先に計上しておく必要がある。振替先の勘定が決定した時点で計上した前払を取り崩し、振替計上する必要があるが、どの前払が正確に振替られたか、残っている前払勘定は正当なものかを正確に把握する必要がある。
【0043】
ところで、支払データに対して、支払処理が実施されることで、前払計上がされる。本来は支払データの計上日が到達すると、前払金科目から費用科目に振り替わる振替仕訳が生成されるが、振替先の勘定が未定の場合、自動で振替えることができない。このため、従来においては、振替時に人の判断で振替用の明細を入力する必要があり、以下の1~3の手順を踏む必要があった。
1.前払勘定のみ作成される支払データを作成する。
2.振替先の勘定が決まった時点で、振替精算登録で「1.」で入力した支払の貸借逆の支払と、振替の支払明細を入力して作成する。
3.「1.」で作成した明細と「2.」で作成した明細は紐付きがないため、どの前払勘定が振替わったかについては別途EXCEL等で管理する。
【0044】
このように、従来においても、振替仕訳自体を作成することは可能であったが、振替えをしたかどうかの紐付きがなかったため、前払と対になる確定勘定が決定した時点で手動管理しており、振替漏れなどが発生するという問題があった。
【0045】
そこで、本実施形態においては、例えば、相手勘定が未定の前払いに対し、勘定確定時に前払と対にして確定勘定への振替を、振替元と振替先が紐付いた状態で発生させることができるようにした。言い換えると、振替先の勘定が決まった際、計上済みの前払勘定と振替先の勘定が紐付いた状態で管理できるようにした。
【0046】
具体的な実現方法としては、戻入精算登録にて、該当明細の費用未計上・前払計上済みの明細を取得して、請求データを作成し、当該作成と同時に、該当明細の費用仕訳がたたないようにした。そして、同時に振替えの支払明細を入力し、同じNOで管理できるようにすることで紐付けできるようにした。
【0047】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0048】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0049】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0050】
また、前払・振替紐付管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0051】
例えば、前払・振替紐付管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて前払・振替紐付管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0052】
また、このコンピュータプログラムは、前払・振替紐付管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0053】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0054】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0055】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0056】
また、前払・振替紐付管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、前払・振替紐付管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0057】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば、不動産業界において有用である。
【符号の説明】
【0059】
100 前払・振替紐付管理装置
102 制御部
102a 前払明細生成部
102b 取消明細生成部
102c 振替明細生成部
102d 前払明細特定部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 前払明細データ
106b 取消明細データ
106c 振替明細データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク