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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】ハニカムフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20231115BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20231115BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20231115BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20231115BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20231115BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20231115BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20231115BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20231115BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
B01D46/00 302
B01D39/20 D
B01D53/94 241
F01N3/24 E
F01N3/035 A
F01N3/022 C
F01N3/28 301Q
B01J35/04 301C
B01J35/04 301G
B01J35/04 301E
B01J35/04 301A
B01J35/04 301L
C04B38/00 303Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020049072
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021146286
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】結城 一也
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-108404(JP,A)
【文献】特開2016-052636(JP,A)
【文献】特開2019-177317(JP,A)
【文献】特開2017-185481(JP,A)
【文献】特開2015-029941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
B01D 39/00-41/04
B01D 53/73;53/86-53/90;53/94;53/96
F01N 3/00;3/02;3/04-3/38;
9/00-11/00
F01N 3/01;3/02-3/038
B01J 21/00-38/74
C04B 38/00-38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部と、前記セルの前記流入端面側又は前記流出端面側のいずれか一方の端部を封止するように配置された目封止部と、を備え、
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記セルの断面形状が多角形であり、
前記流出端面側の端部に前記目封止部が配設され、前記流入端面側が開口した前記セルを、流入セルとし、
前記流入端面側の端部に前記目封止部が配設され、前記流出端面側が開口した前記セルを、流出セルとし、
前記流出セルを区画する前記隔壁の表面の少なくとも一部に、排ガス浄化用触媒が担持され、且つ、
前記流入セルを区画する前記隔壁が、当該流入セルを区画する側の面を表面とし、前記セルの断面形状である前記多角形の各辺を構成する複数の隔壁部から構成され、
前記隔壁部は、第一隔壁部又は第二隔壁部のいずれか一方であり、
前記第一隔壁部は、当該第一隔壁部の表面に、当該第一隔壁部の表面の面積S1に対する排ガス浄化用触媒が担持されている範囲の面積S2の比の百分率が10%を超えるように、排ガス浄化用触媒が担持されたものであり、
前記第二隔壁部は、当該第二隔壁部の表面に、排ガス浄化用触媒が担持されていない、又は、当該第二隔壁部の表面の面積S3に対する排ガス浄化用触媒が担持されている範囲の面積S4の比の百分率が10%以下となるように、排ガス浄化用触媒が担持されたものであり、
前記流入セルを区画する前記隔壁が、前記隔壁部として前記第一隔壁部及び前記第二隔壁部をそれぞれ1つ以上含むように構成されている、ハニカムフィルタであって、
前記セルの断面形状である前記多角形の各辺を構成する前記隔壁が、隣接配置された2つの前記流入セルを区画する前記隔壁を含む、ハニカムフィルタ
【請求項2】
前記ハニカム構造部は、断面形状が四角形の前記セルと断面形状が八角形の前記セルとが前記隔壁を挟んで交互に配置される繰り返し単位を有するか、断面形状が六角形の前記セルによる繰り返し単位を有するか、又は、断面形状が四角形の前記セルの周囲を断面形状が六角形の4つの前記セルが取り囲むように配置される繰り返し単位を有する、請求項1に記載のハニカムフィルタ。
【請求項3】
前記ハニカム構造部は、前記流出セルの周囲を8つの前記流入セルが取り囲むように配置される繰り返し単位を有し、前記流出セルの断面形状が八角形であり、前記流入セルの断面形状が四角形及び八角形である、請求項1に記載のハニカムフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタに関する。更に詳しくは、一旦捕集したスス等の粒子状物質の隔壁表面からの剥離を有効に抑制することが可能なハニカムフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の各種内燃機関から排出される排ガスの中には、塵、スス、及びカーボン微粒子等の多くの粒子状物質(パティキュレートマター:Particulate Matter)が含まれている。このため、例えば、ディーゼルエンジンを動力源とする自動車から排出される排ガスを浄化する浄化装置として、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)が用いられている。以下、粒子状物質を「PM」ということがある。また、ディーゼルパティキュレートフィルタを「DPF」ということがある。
【0003】
従来、DPFとしては、ハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが知られている(特許文献1及び2参照)。ハニカム構造体は、コージェライトや炭化珪素などの多孔質セラミックスによって構成された隔壁を有し、この隔壁によって複数のセルが区画形成されたものである。ハニカムフィルタは、上述したハニカム構造体に対して、複数のセルの流入端面側の開口部と流出端面側の開口部とを交互に目封止するように目封止部を配設したものである。
【0004】
DPFによって排ガス中のPMの除去を継続して行うと、DPFの内部にスス等のPMが堆積し、浄化効率が低下するとともに、DPFの圧力損失が大きくなる。そこで、例えば、DPFを用いた浄化装置においては、DPFの内部に堆積したPMを燃焼させる「再生処理」などが行われている。
【0005】
DPFの再生処理としては、例えば、以下のような「連続再生」と「強制再生」を挙げることができる。「連続再生」は、排出ガス中のNOを酸化触媒でNOとし、これを酸化剤として、DPFの内部に堆積したススを連続的に燃焼させるものもある。これに対し、「強制再生」は、ポスト噴射や排気管内噴射などを利用して、DPFの内部に堆積したススを強制的に燃焼させるものである。DPFの連続再生は、DPFに排ガス浄化用の酸化触媒等を担持して、その触媒の作用にて比較的低温で連続的に再生を行うことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-164712号公報
【文献】特開2010-221189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DPFとして使用される従来のハニカムフィルタは、その使用方法や使用環境によって、ハニカム構造体の隔壁表面に堆積したススがセル内に詰まり、ハニカムフィルタの圧力損失が上昇するという問題があった。特に、上述したような連続再生を行うために隔壁に触媒を担持したハニカムフィルタにおいては、触媒とススとの接触により、ススが隔壁表面から剥がれやすく、隔壁表面から剥離したススが塊となってセル内に詰まりやすい傾向がある。
【0008】
従来のハニカムフィルタにおいて、一旦隔壁表面にて捕集したススの剥離が発生する過程として、例えば、以下のような事象が挙げられている。ここで、図10は、隔壁表面にて捕集したススの剥離が発生し、セル内を閉塞する過程を説明するための模式図である。なお、図10において(a)~(d)は、順次、セル内を閉塞する過程を示し、(a)~(d)の各図の左側は、セルの延びる方向に直交する断面を拡大した拡大断面図を示し、右側は、セルの延びる方向に平行な断面を拡大した拡大断面を示す。
【0009】
図10の(a)に示すように、ハニカムフィルタ900の隔壁101によって排ガスの浄化を行うと、排ガスの流路となるセル102を区画する隔壁101の表面にスス109が堆積する。このように隔壁101の表面にスス109が堆積すると、図10の(b)に示すように、隔壁101に担持された触媒による連続再生により、隔壁101の表面に堆積したスス109が燃焼する。連続再生におけるスス109の燃焼は、主に触媒と接触する部位にて進行するため、隔壁101の表面に多量のスス109が堆積していると、隔壁101の表面側にスス109の一部が燃焼した隙間ができ、その隙間を介してスス109の燃え残りが生じることがある。このようなスス109の燃え残りは隔壁101から浮いた状態となるため、隔壁101の表面から剥がれやすくなる。また、ディーゼルエンジン等から排出される排ガスは水蒸気を含んでいるため、冷却等によって凝縮水が生成されることがある。このような凝縮水によりスス109が収縮した場合には、隔壁101から浮いた状態のスス109は更に剥がれやすくなる。例えば、図10の(c)に示すように、隔壁101から浮いた状態のスス109が収縮すると、収縮したスス109にひび割れ等が生じる。スス109にひび割れ等が生じると、図10の(d)に示すように、ひび割れにより砕けたスス109が、セル102内を流れる排ガスによってハニカムフィルタ900の後端部に押し流れて、セル102内がスス109によって閉塞する。
【0010】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明によれば、一旦捕集したスス等の粒子状物質の隔壁表面からの剥離を有効に抑制することが可能なハニカムフィルタが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以下に示す、ハニカムフィルタが提供される。
【0012】
[1] 流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁を有する柱状のハニカム構造部と、前記セルの前記流入端面側又は前記流出端面側のいずれか一方の端部を封止するように配置された目封止部と、を備え、
前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記セルの断面形状が多角形であり、
前記流出端面側の端部に前記目封止部が配設され、前記流入端面側が開口した前記セルを、流入セルとし、
前記流入端面側の端部に前記目封止部が配設され、前記流出端面側が開口した前記セルを、流出セルとし、
前記流出セルを区画する前記隔壁の表面の少なくとも一部に、排ガス浄化用触媒が担持され、且つ、
前記流入セルを区画する前記隔壁が、当該流入セルを区画する側の面を表面とし、前記セルの断面形状である前記多角形の各辺を構成する複数の隔壁部から構成され、
前記隔壁部は、第一隔壁部又は第二隔壁部のいずれか一方であり、
前記第一隔壁部は、当該第一隔壁部の表面に、当該第一隔壁部の表面の面積S1に対する排ガス浄化用触媒が担持されている範囲の面積S2の比の百分率が10%を超えるように、排ガス浄化用触媒が担持されたものであり、
前記第二隔壁部は、当該第二隔壁部の表面に、排ガス浄化用触媒が担持されていない、又は、当該第二隔壁部の表面の面積S3に対する排ガス浄化用触媒が担持されている範囲の面積S4の比の百分率が10%以下となるように、排ガス浄化用触媒が担持されたものであり、
前記流入セルを区画する前記隔壁が、前記隔壁部として前記第一隔壁部及び前記第二隔壁部をそれぞれ1つ以上含むように構成されている、ハニカムフィルタであって、
前記セルの断面形状である前記多角形の各辺を構成する前記隔壁が、隣接配置された2つの前記流入セルを区画する前記隔壁を含む、ハニカムフィルタ
【0014】
] 前記ハニカム構造部は、断面形状が四角形の前記セルと断面形状が八角形の前記セルとが前記隔壁を挟んで交互に配置される繰り返し単位を有するか、断面形状が六角形の前記セルによる繰り返し単位を有するか、又は、断面形状が四角形の前記セルの周囲を断面形状が六角形の4つの前記セルが取り囲むように配置される繰り返し単位を有する、前記[1]に記載のハニカムフィルタ。
【0015】
] 前記ハニカム構造部は、前記流出セルの周囲を8つの前記流入セルが取り囲むように配置される繰り返し単位を有し、前記流出セルの断面形状が八角形であり、前記流入セルの断面形状が四角形及び八角形である、前記[1]に記載のハニカムフィルタ。
【発明の効果】
【0016】
本発明のハニカムフィルタは、一旦捕集したスス等の粒子状物質の隔壁表面からの剥離を有効に抑制することができる。このため、剥離したスス等の粒子状物質によるセル内の閉塞を防止することができる。なお、本発明のハニカムフィルタは、ハニカムフィルタの内部に堆積したススを連続的に燃焼させる連続再生についての所望の再生効率を確保することができる。このため、継続的なフィルタの使用においても、浄化効率の低下及び圧力損失の増大を有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1ニカムフィルタの第一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すハニカムフィルタの流入端面側を示す平面図である。
図3図1に示すハニカムフィルタの流出端面側を示す平面図である。
図4図2のA-A’断面を模式的に示す断面図である。
図5図1に示すハニカムフィルタの触媒の担持状態を説明するための部分斜視図である。
図6】本発明のハニカムフィルタの第二実施形態の流入端面側を拡大した拡大平面図である。
図7】本発明のハニカムフィルタの第三実施形態の流入端面側を拡大した拡大平面図である。
図8】本発明のハニカムフィルタの第四実施形態の流入端面側を拡大した拡大平面図である。
図9】本発明のハニカムフィルタの第五実施形態の流入端面側を拡大した拡大平面図である。
図10】隔壁表面にて捕集したススの剥離が発生し、セル内を閉塞する過程を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0019】
(1)ハニカムフィルタ(第一実施形態):
ニカムフィルタの第一実施形態は、図1図5に示すようなハニカムフィルタ100である。ここで、図1、ハニカムフィルタの第一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すハニカムフィルタの流入端面側を示す平面図である。図3は、図1に示すハニカムフィルタの流出端面側を示す平面図である。図4は、図2のA-A’断面を模式的に示す断面図である。図5は、図1に示すハニカムフィルタの触媒の担持状態を説明するための部分斜視図である。
【0020】
図1図5に示すように、ハニカムフィルタ100は、ハニカム構造部4と、目封止部5と、を備えたものである。ハニカム構造部4は、流入端面11から流出端面12まで延びる流体の流路となる複数のセル2を取り囲むように配置された多孔質の隔壁1を有する。ハニカム構造部4は、流入端面11及び流出端面12を両端面とする柱状の構造体である。本発明において、セル2とは、隔壁1によって取り囲まれた空間のことを意味する。以下、「セル2を取り囲むように配置された隔壁1」のことを「セル2を区画する隔壁1」ということがある。ハニカムフィルタ100を構成するハニカム構造部4は、その外周側面に、隔壁1を囲繞するように配設された外周壁3を更に有している。
【0021】
ハニカムフィルタ100は、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に直交する断面において、セル2の断面形状が多角形である。セル2の断面形状の具体例として、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等を挙げることができる。図1図5に示すハニカムフィルタ100は、セル2の断面形状が四角形である。
【0022】
目封止部5は、セル2の流入端面11側の端部又は流出端面12側の端部のいずれか一方に配設され、セル2の開口部を目封止するものである。目封止部5は、多孔質材料によって構成された多孔質のもの(即ち、多孔質体)である。図1図5に示すハニカムフィルタ100は、流入端面11側の端部に目封止部5が配設されている所定のセル2と、流出端面12側の端部に目封止部5が配設されている残余のセル2とが、隔壁1を挟んで交互に配置されている。以下、目封止部5が流入端面11側の端部に配設されたセル2を、「流出セル2b」ということがある。目封止部5が流出端面12側の端部に配設されたセル2を、「流入セル2a」ということがある。
【0023】
ハニカムフィルタ100は、セル2を区画する隔壁1の表面の一部に、排ガス浄化用触媒9が担持されており、この排ガス浄化用触媒9の担持範囲において特に主要な構成を有している。以下、ハニカムフィルタ100における排ガス浄化用触媒9の担持範囲について詳細に説明する。
【0024】
まず、流出セル2bを区画する隔壁1については、当該隔壁1の表面の少なくとも一部に、排ガス浄化用触媒9が担持されている。例えば、流出セル2bを区画する隔壁1の表面全域に排ガス浄化用触媒9が担持されていてもよいし、流出セル2bを区画する隔壁1の表面の一部に排ガス浄化用触媒9が担持されていてもよい。なお、隔壁1の表面に排ガス浄化用触媒9が担持されているか否かの判別については、後述するX線CTによるハニカムフィルタ100の二次元画像解析によって行うことができる。
【0025】
流入セル2aを区画する隔壁1については、以下に説明するような構成にて、当該隔壁1の表面に排ガス浄化用触媒9が担持されている。まず、流入セル2aを区画する隔壁1の表面における排ガス浄化用触媒9の担持状態を説明するに際し、流入セル2aを区画する隔壁1を、セル2の断面形状である多角形の各辺を構成する複数の隔壁部10から構成されたものとする。即ち、複数の隔壁部10は、流入セル2aを区画する隔壁1を仮想的に区分したものである。複数の隔壁部10は、流入セル2aを区画する側の面をそれぞれ表面とする。図1図5に示すハニカムフィルタ100においては、流入セル2aの断面形状が四角形であるため、板状の4つの隔壁部10により流入セル2aが取り囲まれていることとなる。この際、板状の4つの隔壁部10は、四角形の4つ辺をそれぞれ構成するものとし、隣接する隔壁部10同士が接続される交点部分を含まないものとする。
【0026】
流入セル2aを区画する隔壁1を構成する隔壁部10は、以下に示すような第一隔壁部10a又は第二隔壁部10bのいずれか一方である。そして、1つの流入セル2aを取り囲むように配置された隔壁1は、隔壁部10として第一隔壁部10a及び第二隔壁部10bをそれぞれ1つ以上含むように構成されている。
【0027】
第一隔壁部10aは、当該第一隔壁部10aの表面に、当該第一隔壁部10aの表面の面積S1に対する排ガス浄化用触媒9が担持されている範囲の面積S2の比の百分率が10%を超えるように、排ガス浄化用触媒9が担持されたものである。以下、「第一隔壁部10aの表面の面積S1に対する排ガス浄化用触媒9が担持されている範囲の面積S2の比の百分率(%)」のことを、「第一隔壁部10aの触媒担持面積割合(%)」ということがある。
【0028】
第二隔壁部10bは、当該第二隔壁部10bの表面に、排ガス浄化用触媒9が担持されていないもの、又は、以下のように排ガス浄化用触媒9が担持されたものである。第二隔壁部10bに排ガス浄化用触媒9が担持されている場合は、当該第二隔壁部10bの表面の面積S3に対する排ガス浄化用触媒9が担持されている範囲の面積S4の比の百分率が10%以下である。以下、「第二隔壁部10bの表面の面積S3に対する排ガス浄化用触媒9が担持されている範囲の面積S4の比の百分率(%)」のことを、「第二隔壁部10bの触媒担持面積割合(%)」ということがある。また、第一隔壁部10a及び第二隔壁部10bのそれぞれの触媒担持面積割合(%)を総称して、「隔壁部10の触媒担持面積割合(%)」ということがある。また、「排ガス浄化用触媒」を、単に「触媒」ということがある。第一隔壁部10aの表面の面積S1及び第二隔壁部10bの表面の面積S3には、目封止部5によって封止されている箇所を含まないものとする。また、セル2の断面形状である多角形において、当該多角形の各頂点に相当する部分が丸みを帯びた形状である場合、丸みを帯びた各頂点に相当する部分を構成する隔壁1は、第一隔壁部10aの表面の面積S1及び第二隔壁部10bの表面の面積S3の算出から除くものとする。
【0029】
流入セル2a及び流出セル2bのそれぞれを区画する各隔壁1が上述したように構成されることにより、ハニカムフィルタ100は、一旦捕集したスス等のPMの隔壁1の表面からの剥離を有効に抑制することができる。このため、剥離したスス等のPMによる流入セル2a内の閉塞を防止することができる。なお、ハニカムフィルタ100は、ハニカムフィルタ100の内部に堆積したススを連続的に燃焼させる連続再生についての所望の再生効率を確保することができる。このため、継続的なフィルタの使用においても、浄化効率の低下及び圧力損失の増大を有効に抑制することができる。
【0030】
隔壁部10の触媒担持面積割合(%)は、X線CTスキャンによってハニカムフィルタ100の二次元画像を撮像し、撮像した二次元画像を画像解析することによって求めることができる。具体的には、まず、ハニカムフィルタ100から、セル2の延びる方向に直交する面を含むように、測定用の試料を切り出す。測定用の試料は、ハニカムフィルタ100の流入端面11からセル2の延びる方向の全長の10%、50%、90%の3つの位置から、それぞれ下記の9ヶ所ずつ切り出して作製する。即ち、測定用の試料は、合計で27個となる。各断面位置から測定用の試料を切り出す9ヶ所の採取点としては、まず、1ヶ所目を、ハニカムフィルタ100の各断面位置における重心点とする。2ヶ所目は、上記した重心点からハニカムフィルタ100の外周までの一の径方向における中点とする。そして、3~9ヶ所目は、上記した2ヶ所目の点から「径方向における中点」を時計回りに45°ずつ移動した7ヶ所とする。測定用の試料は、各採取点を含む又は各採取点から最も近い位置に存在する流入セル2aを取り囲む隔壁1が含まれるような大きさのものとする。以下、各測定用の試料における「各採取点を含む又は各採取点から最も近い位置に存在する流入セル2a」を、「測定対象流入セル」とする。
【0031】
次に、測定用の各試料について、測定対象流入セルを区画する隔壁1の表面における、排ガス浄化用触媒9が担持されている範囲と、排ガス浄化用触媒9が担持されていない範囲とを、以下の方法で区別する。なお、以下の測定は、測定対象流入セルの断面形状である多角形の各辺を構成する隔壁1のそれぞれについて実施する。まず、測定用の各試料について、測定対象流入セルを取り囲む各隔壁1の表面から0.1μmまでの範囲を、0.01μm間隔でX線CTを用いて撮像する。そして、0.01μm間隔で撮像した各X線CT画像における、排ガス浄化用触媒9が担持される部分と、隔壁1が単独で存在する部分及び隔壁1に形成された細孔部分とを、当該X線CT画像における輝度の違いにより2値化し、それぞれの面積を求める。次に、それぞれの測定用の試料毎に、0.01μm間隔で撮像した各X線CT画像の「排ガス浄化用触媒9が担持される部分の面積」を総和して、各試料ごとの「排ガス浄化用触媒9が担持される部分の総和面積」を求める。また、任意のX線CT画像における、排ガス浄化用触媒9が担持される部分、隔壁1が単独で存在する部分、及び隔壁1に形成された細孔部分の各面積を足し合わせて「合計面積」を算出する。このようにして算出した「合計面積」は、各試料ごとの隔壁部10の表面の面積(即ち、各試料の第一隔壁部10aの表面の面積S1’及び第二隔壁部10bの表面の面積S3’)となる。そして、このようにして算出した「合計面積」に対する、「排ガス浄化用触媒9が担持される部分の総和面積」の比率が、1つの測定用の試料における隔壁部10の「触媒担持面積割合(%)」となる。27個の測定用の試料について、隔壁部10の「触媒担持面積割合(%)」をそれぞれ算出する。X線CTスキャンは、例えば、島津製作所社製の「SMX-160CT-SV3(商品名)」を用いて行うことができる。
【0032】
以上説明した測定結果に基づき、隔壁部10の触媒担持面積割合が10%を超えるものが、第一隔壁部10aとなる。また、隔壁部10の触媒担持面積割合が10%以下のもの及び排ガス浄化用触媒9が隔壁部10の表面に担持されていないものが、第二隔壁部10bとなる。なお、第二隔壁部10bであるか否かの判断は、以下のようにして行うことができる。まず、上述したX線CTスキャンによる触媒担持面積割合(%)の測定における、ハニカムフィルタ100の全長の10%、50%、90%の3つの位置の各断面における測定結果を、それぞれ一揃いの組とする。即ち、上記した各断面ごとの9点ずつの測定結果を1組として、X線CTスキャンによる測定結果を3つの組に分ける。そして、3つの組のそれぞれにおいて、各9個の測定結果(触媒担持面積割合(%))の平均値を求める。各断面の3つの組のそれぞれの触媒担持面積割合の平均値が10%以下(0%を含む)となる隔壁部10が、第二隔壁部10bとなる。
【0033】
そして、流入セル2aを区画する隔壁1が、隔壁部10として第一隔壁部10a及び第二隔壁部10bをそれぞれ1つ以上含むか否かを確認する。例えば、ハニカムフィルタ100は、流入セル2aの断面形状が四角形であるため、流入セル2aを区画する隔壁1が4つの隔壁部10から構成されている。この場合、4つの隔壁部10のうちの少なくとも1つが第一隔壁部10aであり、更に少なくとももう1つが第二隔壁部10bである。第一隔壁部10a及び第二隔壁部10bをそれぞれ1つ以上含む場合は、更に他の隔壁部10は、第一隔壁部10aであってもよいし、第二隔壁部10bであってもよい。
【0034】
ここで、隔壁部10として第一隔壁部10a及び第二隔壁部10bをそれぞれ1つ以含む隔壁1によって区画された流入セル2aを特定流入セル2aとした場合、ハニカムフィルタ100は、以下のように構成されていることが好ましい。まず、上述したように、X線CTスキャンによる触媒担持面積割合(%)の測定結果を、ハニカムフィルタ100の各断面ごとに3つの組に分ける。そして、3つの組の各測定結果(それぞれ9個ずつの測定結果)において、7個以上の箇所にて特定流入セル2aの存在が確認されることが好ましい。即ち、各断面の測定結果において、7/9以上の割合で特定流入セル2aの存在が確認されることが好ましい。
【0035】
流出セル2bを区画する隔壁1の表面についても、これまでに説明した方法と同様にして排ガス浄化用触媒9の担持の有無を確認することができる。流出セル2bを区画する隔壁1は、その表面の少なくとも一部に排ガス浄化用触媒9が担持されていればよい。例えば、特に限定されることはないが、流出セル2bを区画する隔壁1は、その表面の50%以上の領域に、排ガス浄化用触媒9が担持されていることが好ましい。この場合、流出セル2bを区画する隔壁1の表面の触媒担持面積割合は、50%以上となる。流出セル2bを区画する隔壁1の表面の触媒担持面積割合は、60%以上であることが更に好ましい。
【0036】
ハニカムフィルタ100において、ハニカム構造部4は排ガス浄化用触媒9を担持するための触媒担体となる。ハニカム構造部4は、複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1を備え、この多孔質の隔壁1の表面の一部に排ガス浄化用触媒9が担持されている。また、排ガス浄化用触媒9は、多孔質の隔壁1に形成された細孔内に更に担持されていてもよい。以下、排ガス浄化用触媒9が隔壁1の表面及び隔壁1に形成された細孔内に担持されることを称して、排ガス浄化用触媒9が隔壁1に担持されるということがある。
【0037】
隔壁1の気孔率については特に制限はないが、例えば、30~80%であることが好ましく、35~75%であることが更に好ましく、40~70%であることが特に好ましい。隔壁1の気孔率は、水銀圧入法によって測定された値である。隔壁1の気孔率の測定は、例えば、Micromeritics社製のオートポア9500(商品名)を用いて行うことができる。隔壁1の気孔率が30%未満であると、圧力損失増加の点で好ましくない。隔壁1の気孔率が80%を超えると、強度、捕集効率低下の点で好ましくない。
【0038】
ハニカム構造部4は、隔壁1の厚さが、0.13~0.40mmであることが好ましく、0.15~0.36mmであることが更に好ましく、0.18~0.30mmであることが特に好ましい。隔壁1の厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡又はマイクロスコープ(microscope)を用いて測定することができる。隔壁1の厚さが0.13mm未満であると、十分な強度が得られない場合がある。一方、隔壁1の厚さが0.40mmを超えると、ハニカムフィルタ100の圧力損失が増大することがある。
【0039】
隔壁1によって区画されるセル2の形状については特に制限はない。例えば、セル2の延びる方向に直交する断面における、セル2の形状としては、多角形、円形、楕円形等を挙げることができる。多角形としては、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等を挙げることができる。なお、セル2の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形であることが好ましい。また、セル2の形状については、全てのセル2の形状が同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。例えば、図示は省略するが、四角形のセルと、八角形のセルとが混在したものであってもよい。また、セル2の大きさについては、全てのセル2の大きさが同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、図示は省略するが、複数のセルのうち、一部のセルの大きさを大きくし、他のセルの大きさを相対的に小さくしてもよい。セル2とは、隔壁1によって取り囲まれた空間のことを意味する。
【0040】
ハニカム構造部4は、隔壁1によって区画形成されるセル2のセル密度が、15~90個/cmであることが好ましく、30~60個/cmであることが更に好ましい。このように構成することによって、ハニカムフィルタ100のPM捕集性を維持しつつ、圧力損失の増大を抑制することができる。
【0041】
ハニカム構造部4の外周壁3は、隔壁1と一体的に構成されたものであってもよいし、隔壁1を囲繞するように外周コート材を塗工することによって形成した外周コート層であってもよい。図示は省略するが、外周コート層は、製造時において、隔壁と外周壁とを一体的に形成した後、形成された外周壁を、研削加工等の公知の方法によって除去した後、隔壁の外周側に設けることができる。
【0042】
ハニカム構造部4の形状については特に制限はない。ハニカム構造部4の形状としては、流入端面11及び流出端面12の形状が、円形、楕円形、多角形等の柱状を挙げることができる。
【0043】
ハニカム構造部4の大きさ、例えば、流入端面11から流出端面12までの長さや、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に直交する断面の大きさについては、特に制限はない。ハニカムフィルタ100を、排ガス浄化用のフィルタとして用いた際に、最適な浄化性能を得るように、各大きさを適宜選択すればよい。例えば、ハニカム構造部4の流入端面11から流出端面12までの長さは、150~305mmであることが好ましく、150~200mmであることが更に好ましい。
【0044】
隔壁1の材料については特に制限はない。例えば、隔壁1の材料が、炭化珪素、コージェライト、珪素-炭化珪素複合材料、コージェライト-炭化珪素複合材料、窒化珪素、ムライト、アルミナ及びチタン酸アルミニウムから構成される群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0045】
目封止部5の材料についても特に制限はない。例えば、上述した隔壁1の材料と同様の材料を用いることができる。
【0046】
隔壁1に担持される排ガス浄化用触媒9の種類については特に制限はないが、酸化触媒であることが好ましい。酸化触媒としては、貴金属を含有するものを挙げることができる。具体的には、白金、パラジウム及びロジウムからなる群より選択される少なくとも一種を含有するものが好ましい。酸化触媒は、ハニカムフィルタ100によって捕集除去された排ガス中のスス等のPMを燃焼除去するための触媒である。
【0047】
(2)ハニカムフィルタ(第二実施形態):
次に、本発明のハニカムフィルタの第二実施形態について説明する。本発明のハニカムフィルタの第二実施形態は、図6に示すようなハニカムフィルタ200である。図6は、本発明のハニカムフィルタの第二実施形態の流入端面側を拡大した拡大平面図である。
【0048】
図6に示すように、本実施形態のハニカムフィルタ200は、複数のセル22を取り囲むように配置された多孔質の隔壁21を有するハニカム構造部24と、目封止部25と、を備えたものである。なお、ハニカム構造部24の全体形状は、これまでに説明した図1図5に示すハニカムフィルタ100のハニカム構造部4と同様の構成を採用することができる。図6ハニカムフィルタ200は、ハニカム構造部24のセル22の延びる方向に直交する断面において、セル22の断面形状が、四角形と八角形の2種類となっている点が、図1図5に示すハニカムフィルタ100と相違している。ハニカム構造部24は、断面形状が四角形のセル22と断面形状が八角形のセル22とが隔壁21を挟んで交互に配置される繰り返し単位を有している。
【0049】
ハニカムフィルタ200において、セル22の断面形状が八角形のものが流入セル22aであり、セル22の断面形状が四角形のものが流出セル22bである。なお、ハニカムフィルタ200は、ハニカム構造部24の流入端面31側から流出端面(図示せず)側に向かうセル22の延びる方向において、各セル22の断面形状が略一定となるように形成されている。したがって、図6に示される流入端面31側のセル22の形状は、ハニカム構造部24の断面におけるセル22の形状と略同一である。ハニカム構造部24を構成する隔壁21には、排ガス浄化用触媒(図示せず)が適宜担持されている。
【0050】
ハニカムフィルタ200において、断面形状が八角形の流入セル22aを区画する隔壁21は、8つの隔壁部30によって構成されることとなる。そして、このような流入セル22aを区画する隔壁21が、これまでに説明したような第一隔壁部(図示せず)及び第二隔壁部(図示せず)をそれぞれ1つ以上含むように構成される。なお、第一隔壁部とは触媒担持面積割合が10%を超えるものである。第二隔壁部とは触媒担持面積割合が10%以下のものである。
【0051】
ハニカムフィルタ200は、セル22の断面形状である多角形の各辺を構成する隔壁21が、隣接配置された2つの流入セル22aを区画する隔壁21を含むように構成されている。このように構成されたハニカムフィルタ200においては、隣接配置された2つの流入セル22aを区画する隔壁部30が、第二隔壁部であることが好ましい。即ち、隣接配置された2つの流入セル22aを区画する隔壁部30は、X線CTスキャンによる触媒担持面積割合(%)の測定において、以下のような測定結果となることが好ましい。X線CTスキャンによる測定結果を、上述したように各断面ごとの3つの組に分けた場合、隣接配置された2つの流入セル22aを区画する隔壁部30は、各断面のいずれの結果においても、触媒担持面積割合が10%以下(0%を含む)であることが好ましい。このように構成することによって、隔壁21の表面からのススの剥離をより有効に抑制することができるとともに、継続的なフィルタの使用においても、浄化効率の低下及び圧力損失の増大を有効に抑制することができる。図6に示すハニカムフィルタ200は、流入セル22a及び流出セル22bの断面形状が異なること以外は、図1図5に示すハニカムフィルタ100と同様に構成されていることが好ましい。
【0052】
(3)ハニカムフィルタ(第三実施形態):
次に、本発明のハニカムフィルタの第三実施形態について説明する。本発明のハニカムフィルタの第三実施形態は、図7に示すようなハニカムフィルタ300である。図7は、本発明のハニカムフィルタの第三実施形態の流入端面側を拡大した拡大平面図である。
【0053】
図7に示すように、本実施形態のハニカムフィルタ300は、複数のセル42を取り囲むように配置された多孔質の隔壁41を有するハニカム構造部44と、目封止部45と、を備えたものである。なお、ハニカム構造部44の全体形状は、これまでに説明した図1図5に示すハニカムフィルタ100のハニカム構造部4と同様の構成を採用することができる。図7ハニカムフィルタ300は、ハニカム構造部44のセル42の延びる方向に直交する断面において、セル42の断面形状が、六角形となっている点が、図1図5に示すハニカムフィルタ100と相違している。即ち、ハニカム構造部44は、断面形状が六角形のセル42による繰り返し単位を有している。
【0054】
ハニカムフィルタ300において、1つの流出セル42bの周囲を6つの流入セル42aが取り囲むように、流入セル42a及び流出セル42bが配置されている。なお、ハニカムフィルタ300は、ハニカム構造部44の流入端面51側から流出端面(図示せず)側に向かうセル42の延びる方向において、各セル42の断面形状が略一定となるように形成されている。したがって、図7に示される流入端面51側のセル42の形状は、ハニカム構造部44の断面におけるセル42の形状と略同一である。ハニカム構造部44を構成する隔壁41には、排ガス浄化用触媒(図示せず)が適宜担持されている。
【0055】
ハニカムフィルタ300において、断面形状が六角形の流入セル42aを区画する隔壁41は、6つの隔壁部50によって構成されることとなる。そして、このような流入セル42aを区画する隔壁41が、これまでに説明したような第一隔壁部(図示せず)及び第二隔壁部(図示せず)をそれぞれ1つ以上含むように構成される。ハニカムフィルタ300においては、隣接配置された2つの流入セル42aを区画する隔壁部50が、第二隔壁部であることが好ましい。即ち、X線CTスキャンによる測定結果を、各断面ごとの3つの組に分けた場合、隣接配置された2つの流入セル42aを区画する隔壁部50は、各断面のいずれの結果においても、触媒担持面積割合が10%以下(0%を含む)であることが好ましい。
【0056】
(4)ハニカムフィルタ(第四実施形態):
次に、本発明のハニカムフィルタの第四実施形態について説明する。本発明のハニカムフィルタの第四実施形態は、図8に示すようなハニカムフィルタ400である。図8は、本発明のハニカムフィルタの第四実施形態の流入端面側を拡大した拡大平面図である。
【0057】
図8に示すように、本実施形態のハニカムフィルタ400は、複数のセル62を取り囲むように配置された多孔質の隔壁61を有するハニカム構造部64と、目封止部65と、を備えたものである。なお、ハニカム構造部64の全体形状は、これまでに説明した図1図5に示すハニカムフィルタ100のハニカム構造部4と同様の構成を採用することができる。図8のハニカムフィルタ400は、ハニカム構造部64のセル62の延びる方向に直交する断面において、セル62の断面形状が、四角形と六角形と2種類になっている点が、図1図5に示すハニカムフィルタ100と相違している。
【0058】
ハニカムフィルタ400において、ハニカム構造部64は、断面形状が四角形の流出セル62bの周囲を、断面形状が六角形のつの流入セル62aが取り囲むように配置される繰り返し単位を有している。なお、ハニカムフィルタ400は、ハニカム構造部64の流入端面71側から流出端面(図示せず)側に向かうセル62の延びる方向において、各セル62の断面形状が略一定となるように形成されている。したがって、図8に示される流入端面71側のセル62の形状は、ハニカム構造部64の断面におけるセル62の形状と略同一である。ハニカム構造部64を構成する隔壁61には、排ガス浄化用触媒(図示せず)が適宜担持されている。
【0059】
ハニカムフィルタ400において、断面形状が六角形の流入セル62aを区画する隔壁61は、6つの隔壁部70によって構成されることとなる。そして、このような流入セル62aを区画する隔壁61が、これまでに説明したような第一隔壁部(図示せず)及び第二隔壁部(図示せず)をそれぞれ1つ以上含むように構成される。ハニカムフィルタ400においては、隣接配置された2つの流入セル62aを区画する隔壁部70が、第二隔壁部であることが好ましい。即ち、X線CTスキャンによる測定結果を、各断面ごとの3つの組に分けた場合、隣接配置された2つの流入セル62aを区画する隔壁部70は、各断面のいずれの結果においても、触媒担持面積割合が10%以下(0%を含む)であることが好ましい。
【0060】
(5)ハニカムフィルタ(第五実施形態):
次に、本発明のハニカムフィルタの第五実施形態について説明する。本発明のハニカムフィルタの第実施形態は、図9に示すようなハニカムフィルタ500である。図9は、本発明のハニカムフィルタの第五実施形態の流入端面側を拡大した拡大平面図である。
【0061】
図9に示すように、本実施形態のハニカムフィルタ500は、複数のセル82を取り囲むように配置された多孔質の隔壁81を有するハニカム構造部84と、目封止部85と、を備えたものである。なお、ハニカム構造部84の全体形状は、これまでに説明した図1図5に示すハニカムフィルタ100のハニカム構造部4と同様の構成を採用することができる。図9ハニカムフィルタ500は、ハニカム構造部84のセル82の延びる方向に直交する断面において、セル82の断面形状が、四角形と八角形の2種類となっている点が、図1図5に示すハニカムフィルタ100と相違している。ハニカム構造部84は、断面形状が四角形のセル82と断面形状が八角形のセル82とが隔壁81を挟んで交互に配置される繰り返し単位を有している。
【0062】
ハニカムフィルタ500において、断面形状が八角形の流出セル82bの周囲を、断面形状が四角形又は八角形の8つの流入セル82aが取り囲むように、流入セル82a及び流出セル82bが配置されている。なお、ハニカムフィルタ500は、ハニカム構造部84の流入端面91側から流出端面(図示せず)側に向かうセル82の延びる方向において、各セル82の断面形状が略一定となるように形成されている。したがって、図9に示される流入端面91側のセル82の形状は、ハニカム構造部84の断面におけるセル82の形状と略同一である。ハニカム構造部84を構成する隔壁81には、排ガス浄化用触媒(図示せず)が適宜担持されている。
【0063】
ハニカムフィルタ500において、断面形状が四角形の流入セル82aを区画する隔壁81は、4つの隔壁部90によって構成されることとなる。また、断面形状が八角形の流入セル82aを区画する隔壁81は、8つの隔壁部90によって構成されることとなる。
そして、このような流入セル82aを区画する隔壁81が、これまでに説明したような第一隔壁部(図示せず)及び第二隔壁部(図示せず)をそれぞれ1つ以上含むように構成される。ハニカムフィルタ500においては、隣接配置された2つの流入セル82aを区画する隔壁部90が、第二隔壁部であることが好ましい。即ち、X線CTスキャンによる測定結果を、各断面ごとの3つの組に分けた場合、隣接配置された2つの流入セル82aを区画する隔壁部90は、各断面のいずれの結果においても、触媒担持面積割合が10%以下(0%を含む)であることが好ましい。
【0064】
図7図9に示すハニカムフィルタ300,400,500についても、各セル42,62,82の断面形状が異なること以外は、図1図5に示すハニカムフィルタ100と同様に構成されていることが好ましい。
【0065】
(6)ハニカムフィルタの製造方法:
本発明のハニカムフィルタを製造する方法については、特に制限はなく、例えば、以下のような方法を挙げることができる。まず、ハニカム構造部を作製するための可塑性の坏土を調製する。ハニカム構造部を作製するための坏土は、原料粉末として、前述の隔壁の好適な材料の中から選ばれた材料に、適宜、バインダ等の添加剤、造孔材、及び水を添加することによって調製することができる。
【0066】
次に、このようにして得られた坏土を押出成形することにより、複数のセルを区画形成する隔壁、及びこの隔壁を囲繞するように配設された外周壁を有する、柱状のハニカム成形体を作製する。次に、得られたハニカム成形体を、例えば、マイクロ波及び熱風で乾燥する。
【0067】
次に、乾燥したハニカム成形体のセルの開口部に目封止部を配設する。具体的には、例えば、まず、目封止部を形成するための原料を含む目封止材を調製する。次に、ハニカム成形体の流入端面に、流入セルが覆われるようにマスクを施す。次に、先に調製した目封止材を、ハニカム成形体の流入端面側のマスクが施されていない流出セルの開口部に充填する。その後、ハニカム成形体の流出端面についても、上記と同様の方法で、流入セルの開口部に目封止材を充填する。
【0068】
次に、セルのいずれか一方の開口部に目封止部を配設したハニカム成形体を焼成して、触媒担持前のハニカムフィルタであるハニカム焼成体を作製する。焼成温度及び焼成雰囲気は原料により異なり、当業者であれば、選択された材料に最適な焼成温度及び焼成雰囲気を選択することができる。
【0069】
次に、作製されたハニカム焼成体に、排ガス浄化用触媒を担持する。排ガス浄化用触媒を含む触媒スラリーについては従来公知の方法で適宜調製することができる。
【0070】
次に、ハニカム焼成体の流出端面側から触媒スラリーを導入し、ハニカム焼成体の流出セルを区画する隔壁に排ガス浄化用触媒を担持する。図1図5に示すようなセルの断面形成が四角形の場合、及び図7に示すようなセルの断面形状が六角形の場合には、各流出セル内に選択的に触媒スラリーを導入してもよい。そして、流入セルを区画する隔壁が、触媒担持面積割合が10%を超える第一隔壁部と、触媒担持面積割合が10%以下となる第二隔壁部とを含むように、部分的に触媒の担持量や担持範囲を調節する。また、ハニカム焼成体の流出端面側を触媒スラリーの液面と接触させ、ハニカム焼成体の流入端面側から当該ハニカム焼成体内を吸引し、触媒スラリーをハニカム焼成体内に吸い上げることによって流出セル内に触媒スラリーを導入してもよい。なお、吸引時には、流入端面側まで触媒が到達しないように、吸引時間等を調整し、流入セルを区画する隔壁について、触媒の担持量や担持範囲を調節する。
【0071】
また、ハニカム焼成体が、隣接配置された2つの流入セルを区画する隔壁を含む場合には、上述したような流入端面側からハニカム焼成体内を吸引して流出セル内に触媒スラリーを導入することにより触媒を担持することが好ましい。即ち、2つの流入セルを区画する隔壁は、吸引時において負圧が掛かり難いため、流入セルと流出セルとを区画する隔壁よりも吸引され難い。このため、流入セルを区画する隔壁が、触媒担持面積割合が10%を超える第一隔壁部と、触媒担持面積割合が10%以下となる第二隔壁部とを含むように、部分的に触媒の担持量や担持範囲を調節することができる。なお、吸引時には、流入端面側まで触媒が到達しないように、吸引時間等を調整することがより好ましい。また、ハニカム焼成体を横向きに載置した状態で触媒スラリーを導入し、部分的に触媒の担持量や担持範囲を調節してもよい。
【実施例
【0072】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
タルク、カオリン、アルミナ、シリカ、及び水酸化アルミニウムを用意し、これらを混合してコージェライト化原料を得た。コージェライト化原料は、その化学組成が、SiOが42~56質量%、Alが30~45質量%、及びMgOが12~16質量%となるように、タルク、カオリン、アルミナ、シリカ、及び水酸化アルミニウムを、所定の割合で調合したものである。
【0074】
次に、得られたコージェライト化原料に、造孔材、バインダとしてのメチルセルロース、及び分散媒としての水を添加し、これらを混合して成形原料を得た。造孔材は、コージェライト化原料100質量部に対して、5質量部添加した。バインダは、コージェライト化原料100質量部に対して、5質量部添加した。分散媒は、コージェライト化原料100質量部に対して、37質量部添加した。
【0075】
次に、ハニカム成形体作製用の口金を用いて坏土を押出成形し、全体形状が円柱形状のハニカム成形体を得た。ハニカム成形体のセルの形状は、四角形とした。
【0076】
次に、ハニカム成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥し、更に熱風乾燥機で完全に乾燥させた後、ハニカム成形体の両端面を切断し、所定の寸法に整えた。
【0077】
次に、目封止部を形成するための目封止材を調製した。次に、ハニカム成形体の流入端面に、流入セルが覆われるようにマスクを施し、先に調製した目封止材を、ハニカム成形体の流入端面側のマスクが施されていない流出セルの開口部に充填して目封止部を形成した。その後、ハニカム成形体の流出端面についても、上記と同様の方法で、流入セルの開口部に目封止材を充填して目封止部を形成した。
【0078】
次に、各目封止部を形成したハニカム成形体を、脱脂し、焼成して、触媒担持前のハニカムフィルタであるハニカム焼成体を作製した。
【0079】
次に、排ガス浄化用触媒を含む触媒スラリーを調製し、ハニカム焼成体の流出端面側から触媒スラリーを導入し、ハニカム焼成体の流出セルを区画する隔壁に触媒を担持した。具体的には、ハニカム焼成体の流出端面側を触媒スラリーの液面と接触させ、ハニカム焼成体の流入端面側から当該ハニカム焼成体内を吸引し、触媒スラリーをハニカム焼成体内に吸い上げることによって流出セル内に触媒スラリーを導入した。
【0080】
以上のようにして、実施例1のハニカムフィルタを作製した。実施例1のハニカムフィルタは、流入端面及び流出端面の形状が円形の、円柱形状のものであった。流入端面及び流出端面の直径の大きさは、229mmであった。また、ハニカムフィルタのセルの延びる方向の長さは、203mmであった。実施例1のハニカムフィルタは、隔壁の厚さが0.3mmであり、隔壁の気孔率が48%であり、セル密度が47個/cmであった。なお、隔壁の気孔率は、触媒を担持する前に測定した値である。隔壁の気孔率は、Micromeritics社製のオートポア9500(商品名)を用いて測定した。ハニカムフィルタの隔壁の厚さ、隔壁の気孔率、及びセル密度を、表1に示す。また、表1の「セルの断面形状」の「流入セル」及び「流出セル」の欄に、各セルの断面形状を示す。表1の「参照図」の欄は、各実施例においてセルの断面形状を参照する図面の番号を示す。
【0081】
実施例1のハニカムフィルタの触媒の担持状態について測定した。結果を表2に示す。ここで、表2の「第二隔壁部」の「第二隔壁部の種類」の欄には、第二隔壁部が、流入セル同士を区画する隔壁である場合、「In-In」と記す。第二隔壁部が、流入セルと流出セルを区画する隔壁である場合、「In-Out」と記す。第二隔壁部が、流入セル同士を区画する隔壁と、流入セルと流出セルを区画する隔壁の双方を含む場合、「両方」と記す。
【0082】
実施例1のハニカムフィルタについて、以下の方法で、「スス剥がれ試験」及び「再生効率試験」を行った。結果を表3に示す。
【0083】
[スス剥がれ試験]
スス剥がれ試験として、以下の方法でスス剥がれの有無を評価した。ハニカムフィルタの隔壁に対して、6g/Lのススを堆積させた状態で、ハニカムフィルタの流入端面より高温のガスを通気して、フィルタの連続再生を行った。再生の条件は、流入端面におけるガス温度を500℃とし、ガスの通気時間を10分間とした。その後、連続再生を行った装置からハニカムフィルタを取り外し、ハニカムフィルタに霧吹きで水を吹き付け、ハニカム構造部に十分水分を与えた。次に、130℃に予熱した電気炉にハニカムフィルタを入れ、2時間保持し、取り出した。更に、ハニカムフィルタをセルの延びる方向の全長の10%、50%、90%の3か所で均等に輪切りにした。そして、輪切りにしたそれぞれの断面について、以下の各9点について、スス剥がれ状態を観察した。各断面の9点の観察点としては、まず、1点目の観察点を、ハニカムフィルタの断面における重心点とした。2点目の観察点は、上記した重心点からハニカムフィルタの外周までの一の径方向における中点とした。そして、3~9点目の観察点は、上記した2点目の観察点から、上記径方向における中点を時計回りに45°ずつ移動した7点とした。スス剥がれの観測は、各観察点を含む又は各観察点から最も近い位置に存在する流入セルを取り囲む隔壁とした。スス剥がれの観測を行う流入セルについて、当該流入セルを取り囲む隔壁において、少なくとも1つの表面にてスス剥がれがないと確認された場合を、合格とした。そして、上記した合格以外、即ち、スス剥がれの観測を行う流入セルを取り囲む隔壁において、全ての表面にてスス剥がれが確認された場合を、不合格とした。
【0084】
[再生効率試験]
ハニカムフィルタの隔壁に対して、6g/Lのススを堆積させた状態で、ハニカムフィルタの流入端面より高温のガスを通気して、フィルタの強制再生を行った。強制再生の条件は、流入端面におけるガス温度を650℃とし、ガスの通気時間を15分間とした。また、強制再生の前に、ススを堆積させた状態のハニカムフィルタの質量を測定した。強制再生後に、ハニカムフィルタの質量を測定し、強制再生により消失したススの質量を求めた。堆積させたススの質量M1と、強制再生により消失したススの質量M2とから、再生効率(M2/M1×100%)を求めた。また、後述する比較例2,4,6,8,10のハニカムフィルタを「基準ハニカムフィルタ」とした。基準ハニカムフィルタの再生効率をP1とし、評価対象のハニカムフィルタの再生効率P2とから、再生効率低下率((P1-P2)/P1×100%)を求めた。実施例1~3及び比較例1については、比較例2が基準ハニカムフィルタとなる。実施例4,5及び比較例3については、比較例4が基準ハニカムフィルタとなり、実施例6,7及び比較例5については、比較例6が基準ハニカムフィルタとなり、実施例8,9及び比較例7については、比較例8が基準ハニカムフィルタとなり、実施例10,11及び比較例9については、比較例10が基準ハニカムフィルタとなる。再生効率低下率が、10%以内である場合を「A」とした。10%以上である場合を「B」とした。上記評価が、「A」の場合を合格とした。結果を表に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
(実施例2~11,比較例1~10)
実施例2~11及び比較例1~10においては、表1及び表2に示すような構成としたこと以外は、実施例1と同様にしてハニカムフィルタを作製した。実施例2~1及び比較例1~10のハニカムフィルタについても、「スス剥がれ試験」及び「再生効率試験」を行った。結果を表3に示す。以下、実施例1~3を、参考例1~3と読み替える。
【0089】
(結果)
実施例1~11のハニカムフィルタは、「スス剥がれ試験」及び「再生効率試験」の双方において良好な結果を得ることができた。比較例2,4,6,8、10のハニカムフィルタは、「スス剥がれ試験」において、観測対象の隔壁の表面の全てにおいてスス剥がれが確認された。また、比較例1,3,5,7,9のハニカムフィルタは、再生効率試験において不合格であった。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のハニカムフィルタは、排ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタとして利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1,21,41,61,81:隔壁、2,22,42,62,82:セル、2a,22a,42a,62a,82a:流入セル、2b,22b,42b,62b,82b:流出セル、3:外周壁、4,24,44,64,84:ハニカム構造部、5,25,45,65,85:目封止部、9:排ガス浄化用触媒、10,30,50,70,90:隔壁部、10a:第一隔壁部、10b:第二隔壁部、11,31,51,71,91:流入端面、12:流出端面、100,200,300,400,500,900:ハニカムフィルタ、101:隔壁、102:セル、109:スス、S1:面積(第一隔壁部の表面の面積)、S2:面積(排ガス浄化用触媒が担持されている範囲の面積)、S3:面積(第二隔壁部の表面の面積)、S4:面積(排ガス浄化用触媒が担持されている範囲の面積)。
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9
図10