(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】搬送装置、基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
H05K13/04 P
(21)【出願番号】P 2020107161
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 裕英
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/081611(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置の作業位置に基板を搬送する搬送装置であって、
基板を搬送するコンベアベルトを内面に有する第1コンベアフレームと、
基板を搬送するコンベアベルトを内面に有すると共に、前記第1コンベアフレームと対向して位置する第2コンベアフレームと、
前記第2コンベアフレームを前記基板の搬送方向である第1方向と直交する第2方向に移動させることでコンベア間距離を変更するコンベア間距離変更装置と、
前記第2コンベアフレームに取り付けられた、ピン配置機構と、を備え、
前記ピン配置機構は、
バックアップピンを保持する保持部と、
前記第2コンベアフレームに取り付けられ、前記第2コンベアフレームに対して前記保持部を前記第1方向に移動可能に支持する支持装置と、
前記第2コンベアフレームに取り付けられ、前記第2コンベアフレームに対して前記保持部を前記第1方向に移動させる駆動装置と、を含む、搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記第2コンベアフレームは、前記バックアップピンを仮置きするピンステーションを有する、搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送装置であって、
前記ピンステーションには、前記バックアップピンが前記第1方向に一列状に配置されている、搬送装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置であって、
前記保持部は、
前記バックアップピンを挟んで保持する一対のアームと、
前記アームを開閉するシリンダと、
前記アーム間に保持されたバックアップピンの有無を検出するセンサと、を備える、搬送装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の搬送装置であって、
前記支持装置は、
前記第2コンベアフレームに固定され前記第1方向に長いレール部材と、
前記レール部材に沿って前記第1方向にスライドするスライドベースと、
前記保持部を取り付けるための取付ベースと、
前記スライドベースに対して前記取付ベースを昇降自在に支持する昇降部とを備える、搬送装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の搬送装置であって、
前記第2コンベアフレームは、前記第2方向に移動可能な可動フレームであり、
前記ピン配置機構は、前記第2コンベアフレームと一体的に、前記第2方向に移動する、搬送装置。
【請求項7】
請求項1~
請求項6のいずれか一項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置により作業位置に搬送された基板に対して所定の作業を行うヘッドユニットと、
前記作業位置に搬入された基板を、バックアップピンを用いて支持するバックアップ装置と、
前記バックアップ装置によりバックアップされた前記基板に対して所定の作業を行うヘッドユニットと、を有する基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置であって、
前記ヘッドユニットの可動範囲外の位置に、前記バックアップピンを仮置きするピンステーションを有する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、プレート上にバックアップピンを配置するピン配置機構に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装機は、電子部品等をプリント基板上に搭載する際に、プリント基板が撓まないように、バックアップピンと称される支持ピンで、プリント基板を支えている。この種に関する技術を開示する文献として、下記の特許文献1を例示することが出来る。特許文献1では、ヘッドユニットにピン挿抜機構(ピン配置機構)を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献によると、ピン配置機構(ピン挿抜機構)をヘッドユニットに設けており、プレートに対するバックアップピンの配置作業を、ヘッドユニットを用いて、行っている。そのため、ヘッドユニットが、他の作業を行っている場合や停止している場合、バックアップピンの配置作業を行うことが出来ない。
【0005】
本明細書で開示される技術は、ヘッドユニットとは独立して、バックアップピンの配置作業を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基板作業装置の作業位置に基板を搬送する搬送装置であって、基板を搬送するコンベアベルトを内面に有する第1コンベアフレームと、基板を搬送するコンベアベルトを内面に有すると共に、前記第1コンベアフレームと対向して位置する第2コンベアフレームと、前記第2コンベアフレームを前記基板の搬送方向である第1方向と直交する第2方向に移動させることでコンベア間距離を変更するコンベア間距離変更装置と、ピン配置機構と、を備え、前記ピン配置機構は、バックアップピンを保持する保持部と、前記第2コンベアフレームに対して前記保持部を前記第1方向に移動可能に支持する支持装置と、前記第2コンベアフレームに対して前記保持部を前記第1方向に移動させる駆動装置と、を含む。
【0007】
この構成では、バックアップピンを保持する保持部は、駆動装置により、第1方向に移動できる。また、コンベア間距離変更装置の駆動により、第2コンベアフレームと共に、第2方向に移動できる。つまり、バックアップピンを保持する保持部はヘッドユニットとは独立して、任意の位置へ移動することが出来る。そのため、ヘッドユニットが他の作業を行っている場合や停止している場合でも、バックアップピンの配置作業を行うことが出来る。
【0008】
本明細書で開示される搬送装置の一実施態様として以下の構成でもよい。
【0009】
前記第2コンベアフレームは、前記バックアップピンを仮置きするピンステーションを有してもよい。この構成では、ピンステーションにバックアップピンを取りに行く際に、第2コンベアフレームを動かす必要がない。
【0010】
前記ピンステーションには、前記バックアップピンが前記第1方向に一列状に配置されている。この構成では、第2コンベアレールに沿って、保持部を第1方向に移動するだけで、一列状に並ぶ各バックアップピンへのアクセスが可能となる。つまり、ピンステーションのバックアップピンにアクセスする際に、保持部の第2方向への移動が不要となる。そのため、ピンステーションからバックアップピンを取り出す作業や戻す作業を容易にすることが出来る。
【0011】
前記保持部は、前記バックアップピンを挟んで保持する一対のアームと、前記アームを開閉するシリンダと、前記アーム間に保持されたバックアップピンの有無を検出するセンサと、を備えていてもよい。この構成では、保持部によりバックアップピンが保持されているかどうか、保持状態をチェックすることが出来る。
【0012】
前記支持装置は、前記第2コンベアフレームに固定され前記第1方向に長いレール部材と、前記レール部材に沿って前記第1方向にスライドするスライドベースと、前記保持部を取り付けるための取付ベースと、前記スライドベースに対して、前記取付ベースを昇降自在に支持する昇降部とを備えていてもよい。この構成では、昇降部の駆動により保持部を昇降させることが出来る。また、昇降部は、スライドベースと取付ベースとの間に設けられており、取付ベースとそれに取り付けられた保持部の2パーツだけを昇降させる構造となっている。このような構成であれば、昇降部の動力を小さくすることが可能であり、ピン配置機構を小型化することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本明細書で開示される技術によれば、ヘッドユニットとは独立して、バックアップピンの配置作業を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図2のA方向から見た搬送装置の斜視図である。
【
図4】ピンステーション及びクランプヘッドの斜視図である。
【
図6】ピンステーション及びクランプヘッドの平面図である。
【
図12】センサによるバックアップピンの検出動作の説明図である。
【
図14】ヘッドユニットの支持構造を示す図である。
【
図15】クランプヘッドとヘッドユニットの可動範囲を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
1.搬送装置10の構成
搬送装置10はプリント基板PXを搬送する装置である。尚、以下の説明において、X方向(第1方向)は、プリント基板PXの搬送方向を示し、Y方向(第2方向)は、X方向に直交する方向を示すものとする。また、
図1の左側(基板の搬送方向の上流)を前側、
図1の右側(基板の搬送方向の下流)を後側とする。
【0016】
搬送装置10は、
図1~
図3に示すように、前側支持部材11と、後側支持部材15と、第1コンベアフレーム21と、第2コンベアフレーム25と、ベルト駆動装置50と、コンベア間距離変更装置60と、を備える。
【0017】
前側支持部材11は、
図2、
図3に示すように、一対の固定フレーム12、13と、連結フレーム14とからなる。一対の固定フレーム12、13はL字型であり、Y方向に所定距離離れて向かい合っている。連結フレーム14は2つの固定フレーム12、13を連結する。
【0018】
後側支持部材15は、一対の固定フレーム16、17と、連結フレーム18とからなる。一対の固定フレーム16、17はL字型であり、Y方向に所定距離離れて向かい合っている。連結フレーム18は2つの固定フレーム16、17を連結する。
【0019】
前側支持部材11と後側支持部材15は、同一構造であり、
図2に示すように、X方向の前後に分かれて配置されている。
【0020】
第1コンベアフレーム21と第2コンベアフレーム25は、プリント基板PXの搬送方向であるX方向に長い形状であり、X方向に直交するY方向に所定距離離れて、向い合って位置している。
【0021】
第1コンベアフレーム21は、前側支持部材11と後側支持部材15の固定フレーム12、16により、前後を支持されている。第1コンベアフレーム21は、Y方向への位置を変更不能な固定フレームである。
【0022】
第2コンベアフレーム25は、2つの可動板81、82により、前後を支持されている。前側の可動板81は、2つの固定フレーム12、13間をY方向に移動可能であり、後側の可動板82は、2つの固定フレーム16、17間をY方向に移動可能である。
【0023】
第2コンベアフレーム25は、2つの可動板81、82のY方向への移動により、Y方向の位置を変更可能な可動フレームである。
【0024】
第1コンベアフレーム21と第2コンベアフレーム25は、向い合うフレームの内面21A、25AのX方向両端部に、一対のプーリ26、27を有している。
【0025】
そして、第1コンベアフレーム21の2つのプーリ26、27と、第2コンベアフレーム25の2つのプーリ26、27間には、それぞれコンベアベルト28が掛け渡されている。
【0026】
ベルト駆動装置50は、コンベアベルト28を駆動させる装置であり、駆動軸51と、一対の連動ローラ53と、モータ55とを含む。
【0027】
駆動軸51は、
図2に示すように、2つのコンベアフレーム21、25の概ね後端部に位置している。駆動軸51は、第2コンベアフレーム25を貫通しており、一方の軸端を、第1コンベアフレーム21の内面に回転可能に固定している。
【0028】
一対の連動ローラ53は、駆動軸51に固定されており、駆動軸51と一体的に回転する。一対の連動ローラ53は、各コンベアフレーム21、25の内面に位置しており、その外周面には、コンベアベルト28の一部が掛けられている。
【0029】
モータ55は、駆動軸51の他端に位置している。モータ55の駆動により、駆動軸51が回転することで、連動ローラ53を介して、各コンベアベルト28に動力が伝わる。
【0030】
そのため、2つのコンベアフレーム21、25の内面に設けられた2つのコンベアベルト28をX方向に同期回転させることが出来る。
【0031】
このように、2本のコンベアベルト28がX方向に同期回転することで、コンベアベルト28上のプリント基板PXをX方向に搬送することが出来る。
【0032】
コンベア間距離変更装置60は、第1コンベアフレーム21に対して第2コンベアフレーム25をY方向に移動させることにより、コンベア間距離Lyを変更する装置である。
【0033】
コンベア間距離Lyは、
図1に示すように、第1コンベアフレーム21のコンベアベルト28から第2コンベアフレーム25のコンベアベルト28までの距離である。
【0034】
コンベア間距離変更装置60は、
図3に示すように、一対の駆動軸61、62と、ベルト73と、モータ75と、を含む。
【0035】
駆動軸61は、前側支持部材11の固定フレーム12、13間に配置されており、また、駆動軸62は、後側支持部材15の固定フレーム16、17間に配置されている。2つの駆動軸61、62は軸線がY方向を向き、X方向に対向する対向軸である。
【0036】
駆動軸61、62の一端側は、固定フレーム13、17をそれぞれ貫通している。駆動軸61、62は、固定フレーム13、17から突出する軸端部に、それぞれプーリ63、64を取り付けている。
【0037】
モータ75は、
図3に示すように、プーリ64の下方にあって、プーリ64と同様に、固定フレーム17の外側に配置されている。モータ75は、モータ軸にプーリ76を取り付けている。
【0038】
これら3つのプーリ63、64、76を掛け渡すようにして、ベルト73が配置されている。
【0039】
以上のことから、モータ75の駆動により、その動力がベルト73を介して駆動軸61、62に伝達し、前後の駆動軸61、62を同期回転することが出来る。
【0040】
そして、前後の駆動軸61、62には、可動板81、82がそれぞれボールナット等を介して、取り付けられている。
【0041】
駆動軸61、62と可動板81、82は、いわゆる螺子機構を構成しており、駆動軸61、62の回転により、可動板81、82を駆動軸61、62に沿ってY方向に移動することが出来る。
【0042】
これにより、2つの可動板81、82に支持された第2コンベアフレーム25がY方向に移動して、コンベア間距離Lyを調整することが出来る。
【0043】
このように、第2コンベアフレーム25を可動フレームとして、コンベア間距離Lyの調整を可能とすることで、同一の搬送装置で、サイズの異なる(つまり、Y方向の長さの異なる)プリント基板PXの搬送が可能となる。
【0044】
2.バックアップピンPの配置機構
搬送装置10は、更に、ピン配置機構100を有している(
図1参照)。ピン配置機構100は、バックアップピンPをバックアップ装置300のプレート310上に配置する機構である。
【0045】
尚、バックアップピンPは、プリント基板PXに対して電子部品Eを搭載する際に、プリント基板PXが撓まないように、プリント基板PXを下方から支える支持ピンである。
【0046】
ピン配置機構100は、
図4~
図7に示すように、クランプヘッド110と、支持装置130と、駆動装置170とを含む。
【0047】
クランプヘッド110は、
図4、
図5に示すように、一対のアーム111A、110Bと、シリンダ120とを備える。クランプヘッド110は、バックアップピンPを保持する保持部の一例である。
【0048】
一対のアーム111A、111Bは、X方向に長い形状であり、Y方向に向かい合っている。一対のアーム111A、111Bは、内面先端部にクランプ溝112を設けている。クランプ溝112は、
図5に示すように、円形でもいいし、
図11に示すように台形などでもいい。
【0049】
シリンダ120は、一対のアーム111A、111Bを、中心線L1を基準線として、Y方向の外向き又は内向きに変位させる。
【0050】
一対のアーム111A、110Bを内向きに変位させることで、バックアップピンPをクランプ溝112に挟んで、保持することが出来る。
【0051】
一対のアーム111A、110Bを外向きに変位させることで、クランプ溝112によるバックアップピンPの保持を解くことが出来る。
【0052】
また、
図4に示すように、クランプヘッド110の移動方向の前方には、バックアップピンPを仮置きするピンステーション190が設けられている。
【0053】
ピンステーション190は、縦壁191を介して、第2コンベアフレーム25に固定されており、第2コンベアフレーム25と一体的に移動する。
【0054】
ピンステーション190は、第2コンベアフレーム25の下方に位置しており、断面がコの字型のフレームである。
【0055】
ピンステーション190はX方向に長い形状であり、
図4、
図6に示すように、第2コンベアフレーム25の内面25Aよりも、やや内側(コンベア中心Oに近い側)の位置において、バックアップピンPをX方向に沿って一列状に配置することが出来る。
【0056】
図6に示すように、一列状に並ぶバックアップピンPの中心線L2とクランプヘッド110の中心線L1は、Y方向の位置が一致しており、同一直線上にある。クランプヘッド110の中心線L1は、例えば、一対のアーム111A、111Bが閉じている時(開いている時でもよい)のアーム111A、111Bの中心線である。つまり、2つのアーム111A、111BがY方向に開閉する時の動作の基準となる線である。
【0057】
2つの中心線L1、L2の位置を、Y方向において予め一致させておくことで、ピンステーション190のバックアップピンPの位置にクランプヘッド110を移動する場合、Y方向の位置調整が不要になると言うメリットがある。
【0058】
支持装置130は、第2コンベアフレーム25に対して、クランプヘッド110をX方向に移動可能に支持する装置である。
【0059】
支持装置130は、
図7、
図8に示すように、Xレール131と、スライドベース135と、取付ベース141と、昇降部151とを含む。
【0060】
Xレール131は、X方向に長い形状であり、第2コンベアフレーム25の外面25Bに取り付けられている。Xレール131は、概ね前側の駆動軸61から後側の駆動軸62まで間に配置されている。Xレールは、本発明の「レール部材」に相当する。
【0061】
スライドベース135は、Xレール131に対してスライド可能に嵌合するコの字型のスライダ136を有している。
【0062】
スライドベース135は、スライダ136の案内作用により、Xレール131に沿ってX方向に移動する。
【0063】
取付ベース141は、概ねL字型をしており、縦壁142と底面壁145を有している。取付ベース141は、昇降部151を介して、スライドベース135に取り付けられている。
【0064】
取付ベース141の底面壁145は、
図4に示すように、第2コンベアフレーム25の下面を迂回するようにして、第2コンベアフレーム25の外面25B側から内面25A側に突出しており、その先端部分に、クランプヘッド110が取り付けられている。
【0065】
駆動装置170は、
図7に示すように、第2コンベアフレーム25の外面25B側に位置しており、モータ171と、プーリ173と、ベルト175とを備える。モータ171は、モータ軸にプーリ172を有している。
【0066】
モータ171は第2コンベアフレーム25の外面25BのX方向後端側に、プーリ173は第2コンベアフレーム25の外面25BのX方向前端側に、それぞれ取り付けられている。
【0067】
ベルト175は、2つのプーリ172、173を掛け渡している。そして、ベルト175の一部には、スライドベース135が固定されている。
【0068】
以上のことから、モータ171の動力を、ベルト175を介してスライドベース135に伝えることで、スライドベース135と一体的に取付ベース141を移動させることが出来る(
図7、
図8)。そして、取付ベース141の移動により、取付ベース141に固定されたクランプヘッド110を、第2コンベアフレーム25に沿って、X方向に移動させることが出来る(
図4、
図9)。
【0069】
昇降部151は、クランプヘッド110の高さ(Z方向の位置)を調整する装置である。昇降部151は、
図10に示すように、スライドベース135の外周面に取り付けられた上下ガイド152と、シリンダ153とを備える。
【0070】
上下ガイド152には、取付ベース141の縦壁142の内面に取り付けられたスライダ143が移動自在に嵌合している。シリンダ153は、軸線を上下方向に向けつつ、ロッド先端を、取付ベース141の底面壁145に固定している。
【0071】
そのため、シリンダ153を駆動することで、取付ベース141を上下方向に移動して、クランプヘッド110の高さを調整することが出来る。
【0072】
以上説明したように、クランプヘッド110は、モータ171の駆動により、第2コンベアフレーム25に沿ってX方向に移動することが出来る。また、モータ75の駆動により、第2コンベアフレーム25と一体的にY方向に移動することが出来る。また、シリンダ153の駆動により、高さ方向(Z方向)の位置を調整することが出来る。
【0073】
このように、クランプヘッド110は、直交する3方向への移動が可能であり、バックアップピンPをピンステーション190から取り出して、プレート310上の任意の位置に配置することが出来る。
【0074】
つまり、ピンステーション190からバックアップピンPを取り出す場合、まず、クランプヘッド110を、第2コンベアフレーム25に沿ってX方向にスライドさせて、ピンステーション190に移動させる。
【0075】
その後、クランプヘッド110のアーム111A、111Bを開閉して、2つのアーム111A、111BによりバックアップピンPを挟んで保持する。
【0076】
バックアップピンPを保持したら、クランプヘッド110を上昇させる。これにより、バックアップピンPを持ち上げて、ピンステーション190から取り出すことが出来る。
【0077】
あとは、取り出したバックアップピンPを保持しつつ、クランプヘッド110をX方向やY方向に移動することにより、バックアップピンPをベース310上の任意の位置に移動することが出来る。
【0078】
そして、バックアップピンPを目標位置に移動させることができたら、クランプヘッド110を下降しつつ、バックアップピンPがベース310の高さに到達するタイミングに合わせて、一対のアーム111A、111Bを開いて、バックアップピンPの保持を解く。
【0079】
以上により、バックアップピンPを、ベース310上の目標位置に配置することが出来る。こうした作業を1本ずつ繰り返すことにより、ベース310上に複数のバックアップピンPを配列することが出来る。
【0080】
尚、ベース310上のバックアップピンPをピンステーション190に戻す作業は、上記と逆の手順で行えばよい。
【0081】
また、
図11に示すように、クランプヘッド110には、バックアップピンPを検出するセンサ115を有している。センサ115は、例えば、投光素子116と受光素子117とからなる光電センサである。
【0082】
投光素子116は、一対のアーム111A、111Bのうち、一方のアーム111Aに取り付けられており、受光素子117は、もう一方のアーム111Bに取り付けられている。投光素子116と受光素子117は、Y方向に向かい合っており、X方向に直交する検出光軸Lを構成する。
【0083】
この実施形態では、クランプヘッド110は、一対のアーム111A、111Bの3か所に、センサ115A~115Cを配置している。
【0084】
具体的には、クランプ溝112の中央部分にセンサ115Aを配置し、クランプ溝112よりもアーム111の長さ方向で先端側の位置にセンサ115Bを配置し、クランプ溝112よりもアーム111の長さ方向で後方の位置にセンサ115Bを配置している。尚、符号114は、センサ115に接続されるケーブルを通すための開口である。
【0085】
このように、アーム111の長さ方向(X方向)において、クランプ溝112の中央部分(溝中心)を含む複数箇所に、センサ115A~115Cを配置することで、各センサ115A~115Cの検出光軸LA~LCの状態から、クランプ溝112とバックアップピンPの相対的な位置関係を確認することが出来る。
【0086】
そのため、クランプヘッド110によるバックアップピンPのクランプミスを抑制することが出来る。
【0087】
例えば、ピンステーション190からバックアップピンPを取り出すため、クランプヘッド110をバックアップピンPに接近させてゆくと、
図12の(a)に示すように、まず、クランプヘッド110の先端部分がバックアップピンPに対して重なり、検出光軸LBが遮光された状態となる。この時、他の検出光軸LA、LCはいずれも入光状態である。
【0088】
更にクランプヘッド110を同方向に移動すると、クランプ溝112の中央部分がバックアップピンPに重なり、センサ115Aの検出光軸LAが遮光された状態となる。この時、他の検出光軸LB、LCはいずれも入光状態である。
【0089】
その後、更に移動を続けると、クランプ溝112の後端部分がバックアップピンPに重なり、
図12の(b)に示すように、センサ115Cの検出光軸LCは遮光された状態となる。この時、他の検出光軸LA、LBはいずれも入光状態である。
【0090】
検出光軸LCが遮光され、且つ、検出光軸LAが遮光状態から入光状態に変化した時点で、断面形状が円形のバックアップピンPの半径寸法分、クランプヘッド110を逆方向に移動して位置を戻すことにより、
図12の(c)に示すように、クランプ溝112の概ねの中央部分にバックアップピンPが位置するように、クランプヘッド110の位置を合わせることが出来る。
【0091】
そのため、クランプヘッド110によるバックアップピンPのクランプミスを抑制することが出来る。
【0092】
また、センサ115Aは、クランプ溝112の中央部分に位置しており、検出光軸LAの入光/遮光により、クランプ溝112の溝内にバックアップピンPが存在しているか検出することが可能である。
【0093】
以上のことから、センサ115Aの出力(検出光軸LAの入光/遮光)を監視することで、バックアップピンPの配置作業中、クランプヘッド110に保持されたバックアップピンPの脱落を検出することが出来る。
【0094】
3.表面実装機の構成
表面実装機200は、
図13に示すように、基台210と、プリント基板PXを搬送する搬送装置10と、ヘッドユニット260と、ヘッドユニット260を基台210上にて平面方向(XY方向)に移動させる駆動装置230とを備えている。
【0095】
搬送装置10は、基台210の中央に配置されている。搬送装置10は第1コンベアフレーム21と、第2コンベアフレーム25を含む。
【0096】
各コンベアフレーム21、25は、X方向に循環駆動する一対のコンベアベルト28を備えており、プリント基板PXを、ベルトとの摩擦によりX方向に搬送することが出来る。尚、搬送する基板は、プリント基板PXに限らず、電子部品を搭載する基板であれば、どのような基板でもよい。
【0097】
表面実装機200は、
図13に示す左側が入り口であり、プリント基板PXは、
図13に示す左側より、搬送装置10を通じて機内へと搬入される。搬入されたプリント基板PXは、搬送装置10により基台中央の作業位置Gまで運ばれ、そこで停止する。
【0098】
基台210上には、作業位置Gの周囲を囲むようにして、部品供給部213が4箇所設けられている。各部品供給部213には、電子部品Eを供給するフィーダ280が横並び状に多数設置されている。
【0099】
そして作業位置Gでは、フィーダ280を通じて供給された電子部品Eを、プリント基板PX上に搭載する実装処理(実装作業)が、ヘッドユニット260に搭載された実装ヘッド263により行われるとともに、その後、実装処理を終えたプリント基板PXは搬送装置10を通じて、
図13における右方向に運ばれ、機外に搬出される。
【0100】
駆動装置230は、大まかには一対の支持脚241、ヘッド支持体251、Y軸ボールネジ245、Y軸モータ247、X軸ボールネジ255、X軸モータ257から構成される。具体的に説明してゆくと、
図13に示すように基台210上には一対の支持脚241が設置されている。両支持脚241は作業位置Gの両側に位置しており、共にY方向にまっすぐに延びている。
【0101】
両支持脚241にはY方向に延びるガイドレール242が支持脚上面に設置されると共に、これら左右のガイドレール242に長手方向の両端部を嵌合させつつヘッド支持体251が取り付けられている。
【0102】
また、右側の支持脚241にはY方向に延びるY軸ボールねじ245が装着され、更にY軸ボールねじ245にはボールナット(不図示)が螺合されている。そして、Y軸ボールねじ245にはY軸モータ247が付設されている。
【0103】
Y軸モータ247を通電すると、Y軸ボールねじ245に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体251、ひいては次述するヘッドユニット260がガイドレール242に沿ってY方向に移動する(Y軸サーボ機構)。
【0104】
ヘッド支持体251は、X方向に長い形状である。ヘッド支持体251には、
図14に示すように、X方向に延びるガイド部材253が設置され、更に、ガイド部材253に対してヘッドユニット260が、ガイド部材253の軸に沿って移動自在に取り付けられている。このヘッド支持体251には、X方向に延びるX軸ボールねじ255が装着されており、更にX軸ボールねじ255にはボールナットが螺合されている。
【0105】
そして、X軸ボールねじ255にはX軸モータ257が付設されており、同モータ257を通電すると、X軸ボールねじ255に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット260がガイド部材253に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0106】
従って、X軸モータ257、Y軸モータ247を複合的に制御することで、基台210上においてヘッドユニット260を平面方向(XY方向)に移動操作出来る構成となっている。
【0107】
ヘッドユニット260には、電子部品Eの実装作業を行う実装ヘッド263がX軸方向に一列状に複数個搭載されている。
【0108】
各実装ヘッド263は、Z軸モータを駆動源とする直動作機構(例えば、ネジ機構)によりヘッドユニット260に対して昇降可能な構成となっている。実装ヘッド263は、さらに、R軸モータの駆動により、軸周りに回転可能でもよい。
【0109】
各実装ヘッド263には、先端に吸着ノズルを有している。各実装ヘッド263には、図外の負圧手段から負圧が供給されるように構成されており、ヘッド先端(吸着ノズル)に吸引力を生じさせるようになっている。
【0110】
このような構成とすることで、X軸モータ257、Y軸モータ247、Z軸モータを所定のタイミングで作動させることにより、フィーダ280を通じて供給される電子部品Eを実装ヘッド263により取り出して、プリント基板PX上に搭載する処理を実行することが出来る。
【0111】
また、表面実装機200は、基台中央の作業位置Gに、バックアップ装置300を有している。
【0112】
バックアップ装置300は、
図14に示すように、ベース310と、ベース310を高さ方向に昇降させる昇降装置330とを備える。
【0113】
ベース310上の所定の位置にバックアップピンPを配置することで、実装作業中、プリント基板PXをバックアップピンPで支えることが出来、プリント基板PXの撓みを抑えることが出来る。
【0114】
バックアップピンPの配列は、作業対象となるプリント基板PXの品種に応じて異なる。そのため、プリント基板PXの品種の切り換え時に、その品種に応じて、バックアップピンPを配列する作業を行う必要がある。
【0115】
搬送装置10は、既に説明しように、ピン配置機構100を設けているので、プリント基板PXの品種の切り換えに伴うバックアップピンPの配列作業を自動で行うことが可能となる。
【0116】
ピン配置機構100は、ヘッドユニット260と独立している。そのため、ヘッドユニット260が他の作業を行っている場合や停止している場合でも、バックアップピンPの配置作業を行うことが出来る。
【0117】
また、ヘッドユニット260を用いることなくバックアップピンPの配置作業を行うことが出来るので、ピン配置作業に伴うヘッドクラッシュ(干渉物との干渉等に起因する実装ヘッドの損傷)が起きる心配もない。
【0118】
図15は、クランプヘッド110の可動範囲V1と、ヘッドユニット260の可動範囲V2と、を比較した図である。
【0119】
クランプヘッド110の可動範囲V1は、ヘッドユニット260の可動範囲V2よりもX方向では広範囲である。
【0120】
これは、クランプヘッド110は、第2コンベアフレーム25のX方向全長範囲内であれば、駆動軸等の干渉物がない限り、移動することに特に制約がなく、ヘッドユニット260の可動範囲V2外でも、移動可能であるからである。
【0121】
この実施形態では、
図15に示すように、ピンステーション190を、クランプヘッド110の可動範囲V1において、ヘッドユニット260の可動範囲V2の外側に配置している。
【0122】
ピンステーション190をヘッドユニット260の可動範囲V2の外側に配置することで、ヘッドユニット260の可動範囲V2内にピンステーション190を配置する必要がなくなる。これにより、ヘッドユニット260の可動範囲V2内のスペースを、有効利用することが出来る。
【0123】
つまり、ヘッドユニット260を用いてバックアップピンPの配置作業を行う構成の場合、
図15にて「破線枠K」で示すように、ヘッドユニット260の可動範囲V2内に、ピンステーション190を配置する必要がある。
【0124】
しかし、本構成であれば、ヘッドユニットの可動範囲V2外にピンステーション190を配置することが可能であることから、こうしたスペースに、部品供給部213や実装ノズル交換用のチェンジャーなど別の有効な要素を配置することが可能となる。従って、ヘッドユニット260の可動範囲V2内のスペースを、有効利用することが出来る。
【0125】
4.効果
ヘッドユニット260とは独立して、バックアップピンPの配置作業を行うことが出来る。
【0126】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記既述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0127】
上記した実施形態では、基板処理装置の一例として、表面実装機200を例示した。基板処理装置は、搬送装置10とバックアップ装置300と基板に対して所定の作業を行うヘッドユニット260を有していれば、表面実装機でなくてもよい。例えば、ヘッドユニット260上に、基板に塗布液を塗布する塗布ヘッドを搭載した塗布装置でもよい。また、ヘッドユニット260上に、基板に対するソルダーペースト印刷用のスキージヘッドを有する印刷装置でもよい。
【0128】
上記した実施形態では、バックアップピンPを保持する保持部の一例として、クランプヘッド110を例示した。保持部はクランプヘッド110に限らない。例えば、電磁石を用いた磁気吸引式の保持部でもよい。
【0129】
上記した実施形態では、アーム111の3か所に光電式のセンサ115A~115Cを設けた例を示した。センサは、少なくとも、クランプヘッド110によるバックアップピンPの保持状態を確認することが出来ればよく、1つだけでもいい。例えば、クランプ溝112の中央部分に配置したセンサ115Aだけでもいい。また、光電式に限らず、磁気式の近接センサを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0130】
10 搬送装置
21 第1コンベアフレーム
25 第2コンベアフレーム
28 コンベアベルト
50 ベルト駆動装置
60 コンベア間距離変更装置
100 ピン配置機構
110 クランプヘッド
111A、111B アーム
120 シリンダ
130 支持装置
131 Xレール(レール部材)
135 スライドベース
141 取付ベース
151 昇降部
170 駆動装置
190 ピンステーション
200 表面実装機(基板処理装置)
260 ヘッドユニット
263 実装ヘッド
300 バックアップ装置
310 ベース