(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】自動化された試料採取を用いた磁気ウェットベンチ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/84 20060101AFI20231115BHJP
G01N 21/91 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G01N27/84
G01N21/91 B
(21)【出願番号】P 2020552342
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 US2019024230
(87)【国際公開番号】W WO2019191193
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-07
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】サキフ ビン ファーダ
(72)【発明者】
【氏名】ワイヤット エム.バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョン フライ
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-117148(JP,A)
【文献】特開平08-094583(JP,A)
【文献】特開平08-313491(JP,A)
【文献】特開昭62-277553(JP,A)
【文献】特開2018-044787(JP,A)
【文献】特開昭57-008443(JP,A)
【文献】米国特許第2416824(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01N 27/72 - G01N 27/9093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ウェットベンチにおいて、
非破壊試験(NDT)磁気溶液を格納するように構成された容器と、
検査中に前記NDT磁気溶液を塗布するように構成された塗布システムと、
試料採取装置と、
1又は複数の回路であって、
前記磁気ウェットベンチにおける自動試料採取を起動し、自動試料採取を開始する予め設定された開始時間と、自動試料採取中に用いられる予め設定された撹拌持続時間とを含む自動試料採取のための1または複数のパラメータを設定して、自動試料採取のために前記磁気ウェットベンチを構成し、
前記自動試料採取が起動していると判断されたことに応答して、
予め設定された開始時点におい
て予め設定された撹拌持続時間にわたる前記NDT磁気溶液の撹拌を開始し、
前記NDT磁気溶液から前記試料採取装置内への試料の採取をトリガーする1又は複数の回路とを具備する磁気ウェットベンチ。
【請求項2】
前記NDT磁気溶液の前記試料を前記試料採取装置に供給する抽出システムを備える請求項1に記載の磁気ウェットベンチ。
【請求項3】
前記塗布システムは、ホースシステム及びポンプを備え、該ポンプは、前記NDT磁気溶液を、前記ホースシステムを通じて輸送するように構成される請求項1に記載の磁気ウェットベンチ。
【請求項4】
前記ホースシステムは、前記試料を前記試料採取装置内に転向する分岐器を備える請求項3に記載の磁気ウェットベンチ。
【請求項5】
前記1又は複数の回路は、前記予め設定された撹拌持続時間の終了後に、前記ホースシステムを通じた前記NDT磁気溶液の輸送を開始するように前記ポンプを起動するように構成される請求項3に記載の磁気ウェットベンチ。
【請求項6】
前記1又は複数の回路は、前記試料の採取が特定の予め設定された量を満たすようにするように構成される請求項1に記載の磁気ウェットベンチ。
【請求項7】
前記1又は複数の回路は、前記試料が分析の準備ができたときにインジケーションを提供するように構成される請求項1に記載の磁気ウェットベンチ。
【請求項8】
前記1又は複数の回路は、予め設定された静置持続時間にわたって前記試料が静置された後に前記インジケーションを提供するように構成される請求項7に記載の磁気ウェットベンチ。
【請求項9】
前記1又は複数の回路は、予め定義されたスケジュールに基づいて試料採取を制御するための1又は複数のタイミングパラメーターを決定するように構成される請求項1に記載の磁気ウェットベンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本国際特許出願は、2018年3月27日に出願された米国仮特許出願第62/648,655号を参照し、その優先権を主張し、その利益を主張する。米国仮特許出願第62/648,655号の全内容は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0002】
非破壊試験(NDT:Non-destructive testing)は、材料、コンポーネント、及び/又はシステムの特性及び/又は特徴を、被試験アイテムの損傷又は変質を引き起こすことなく評価するのに用いられる。非破壊試験は検査(inspected)されている物品を永続的には変質させないので、非常に価値のある技法であり、製品評価、トラブルシューティング、及び研究に用いられるときのコスト及び/又は時間を抑えることを可能にする。頻繁に用いられる非破壊試験(testing)方法は、磁気粒子検査、渦電流試験、浸透探傷(liquid penetrant)検査(又は染色浸透検査)、放射線透過検査、超音波試験、及び目視試験を含む。非破壊試験(NDT)は、機械工学、石油工学、電気工学、システム工学、航空工学、医療、芸術等の分野において共通して用いられる。
【0003】
幾つかの事例では、非破壊試験において専用の材料及び/又は製品が用いられる場合がある。例えば、特定のタイプの物品の非破壊試験は、非破壊試験を実行するように構成される材料を、試験されることになる物品又は一部に(例えば、噴霧(spray)する、流し込む(pour)、通す(pass)等によって)塗布(apply)することを伴う場合がある。これに関して、非破壊試験に適した特定の磁気的特徴、視覚的特徴等を有することに基づいて、そのような材料(以降「NDT材料」又は「NDT製品」と称される)を選択及び/又は作製することができ、例えば、試験されることになる物品における不良点(defects)及び欠陥(imperfections)を検出することが可能になる。
【0004】
幾つかの事例では、試験又は検査の開始前にNDT材料を評価することが望ましい場合がある。しかしながら、特定の非破壊試験方法において用いられる或る特定のNDT材料を評価するための従来の手法は、存在する場合、煩わしく、非効率的で、及び/又はコストがかかる場合がある。
【0005】
従来の手法の更なる制限及び不利点が、そのような手法を、図面を参照して本開示の残りの部分において記載されている本方法及びシステムの幾つかの態様と比較すると、当業者には自明となるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様は、製品試験及び検査に関する。より詳細には、本開示による種々の実施態様は、実質的に、図面のうちの少なくとも1つによって図示されるか又はこれに関連して説明され、また、特許請求の範囲においてより完全に記載されるように、自動化された試料採取を用いた磁気ウェットベンチに関する。
【0007】
本開示のこれらの利点、態様及び新規の特徴、並びに他の利点、態様及び新規の特徴は、それらの図示される実施態様の詳細とともに、以下の説明及び図面からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の態様による、自動化された試料採取を用いた一例示の磁気ウェットベンチを示す図である。
【
図2】本開示の態様による、自動化された試料採取を支持して用いるための一例示のコントローラーを示す図である。
【
図3】本開示の態様による、自動化された試料採取を用いた磁気ウェットベンチを利用する一例示のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示による種々の実施態様は、特に、磁気ウェットベンチにおいて実行される試料採取に関して、磁気ウェットベンチを利用する、改善されかつ最適化された方式を提供することに関する。
【0010】
本開示による磁気非破壊試験(NDT)検査のために構成された一例示のシステムは、非破壊試験(NDT)磁気溶液を格納する容器と、検査中にNDT磁気溶液を塗布するための塗布システムと、試料採取装置と、予め設定された開始時点においてシステムを電源オンにし、予め設定された撹拌持続時間にわたるNDT磁気溶液の撹拌を開始し、NDT磁気溶液から試料採取装置内への試料の採取をトリガーするように構成された1又は複数の回路とを備えることができる。システムは磁気ウェットベンチとすることができる。
【0011】
一例示の実施態様では、塗布システムは、ホースシステム及びポンプを備えることができ、ポンプは、NDT磁気溶液を、ホースシステムを通じて輸送するように構成される。
【0012】
一例示の実施態様では、ホースシステムは、試料を試料採取装置内に転向する分岐器を備えることができる。
【0013】
一例示の実施態様では、1又は複数の回路は、予め設定された撹拌持続時間の終了後に、ホースシステムを通じたNDT磁気溶液の輸送を開始するようにポンプを起動するように構成することができる。
【0014】
一例示の実施態様では、システムは、NDT磁気溶液の試料を試料採取装置に供給する抽出システムを備えることができる。
【0015】
一例示の実施態様では、1又は複数の回路は、試料の採取が特定の予め設定された量を満たすようにするように構成することができる。
【0016】
一例示の実施態様では、1又は複数の回路は、試料が分析の準備ができたときにインジケーションを提供するように構成することができる。
【0017】
一例示の実施態様では、1又は複数の回路は、予め設定された静置持続時間にわたって試料が静置された後にインジケーションを提供するように構成することができる。
【0018】
一例示の実施態様では、1又は複数の回路は、予め定義されたスケジュールに基づいて試料採取を制御するための1又は複数のタイミングパラメーターを決定するように構成することができる。
【0019】
本開示による、磁気非破壊試験(NDT)検査のために構成されたシステムにおける自動化された試料採取の一例示の方法は、予め設定された開始時点においてシステムを電源オンにすることと、予め設定された撹拌持続時間にわたる非破壊試験(NDT)磁気溶液の撹拌を開始することであって、NDT磁気溶液はシステムにおける容器内に格納されている、開始することと、NDT磁気溶液から試料採取装置内への試料の採取をトリガーすることとを含むことができる。
【0020】
一例示の実施態様では、システムは、NDT磁気溶液を供給するように構成されたホースシステムを備えることができ、試料の採取をトリガーすることは、試料を、ホースシステムを介して試料採取装置内へ転向することを含むことができる。
【0021】
一例示の実施態様では、システムは、NDT磁気溶液を輸送するように構成されたポンプを備えることができ、試料の採取をトリガーすることは、予め設定された撹拌持続時間の終了後に、NDT磁気溶液の輸送を開始するようにポンプを起動することを含む。
【0022】
一例示の実施態様では、試料の採取は、試料が特定の予め設定された量を満たすことを確実にするように構成することができる。
【0023】
一例示の実施態様では、試料が分析の準備ができたとき、インジケーションを提供することができる。1又は複数のインジケーション条件に基づいてインジケーションを提供することができる。1又は複数のインジケーション条件は、予め設定された静置持続時間にわたって試料が静置されることを含むことができる。
【0024】
一例示の実施態様では、予め定義されたスケジュールに基づいて試料採取を制御するための1又は複数のタイミングパラメーターを決定することができる。
【0025】
本明細書で使用する「回路」及び「回路部」という用語は、物理的な電子コンポーネント(例えば、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本明細書で使用するとき、例えば、特定のプロセッサ及びメモリ(例えば、揮発性又は不揮発性メモリデバイス、汎用コンピューター可読媒体等)は、第1の1又は複数のコードラインを実行するときに第1の「回路」を備え、第2の1又は複数のコードラインを実行するときに第2の「回路」を備えることができる。さらに、回路は、アナログ及び/又はデジタル回路部を含むことができる。そのような回路部は、例えば、アナログ及び/又はデジタル信号に対し動作することができる。回路は、単一のデバイス又はチップ内、単一のマザーボード上、単一のシャーシ内、単一の地理的ロケーションにおける複数の筐体内、複数の地理的ロケーションにわたって分散された複数の筐体内等にあり得ることが理解されるべきである。同様に、「モジュール」という用語は、例えば、物理的な電子コンポーネント(例えば、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、及び/又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指すことができる。
【0026】
本明細書で使用する場合、回路部又はモジュールは、或る機能を実施するために必要なハードウェア及びコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザーが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かに関わりなく、回路部又はモジュールはその機能を実行するように「動作可能」である。
【0027】
本明細書で使用する「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1又は複数の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。本明細書で使用する「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例又は例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書で使用する「例えば」という用語は、1又は複数の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。
【0028】
図1は、本開示の態様による、自動化された試料採取を用いた一例示の磁気ウェットベンチを示す。
図1に示すのは、磁気ウェットベンチ100である。
【0029】
磁気ウェットベンチ100等の磁気粒子検査固定ウェットベンチ(又は磁気ウェットベンチ)が、例えば多岐にわたるコンポーネント(例えば、機械部品等)のNDT磁気粒子検査において用いるために構成される。通常の磁気ウェットベンチは、試験されている部品に係合するための(例えば、部品が電気コンタクト間にクランプされ、テールストック等の係合部品の一方が、種々の長さの部品に合うように適所に動かされ、係止される)電気コンタクトを有する係合コンポーネント(例えば、ヘッドストック及びテールストック)を有する。試験は、例えば、係合コンポーネントの電気コンタクトを介して電流を印加することによる直接磁化により、部品に磁場を誘導することを伴うことができる。種々のシステムは、試験されることになる部品を磁化するための種々のオプションを利用することができ、幾つかのシステムは、そのようなオプション間で選択することを可能にする。例えば、オペレーターは、AC(交流)、半波DC(直流)又は全波DC(直流)を用いるオプションを有することができる。幾つかのシステムでは、消磁機能がシステム内に構築される。消磁機能は、コイル及び減衰AC(交流)を利用することができる。
【0030】
検査中、ウェット磁気粒子溶液が部品に塗布される。粒子溶液(「槽」とも呼ばれる)は、磁化することができる可視粒子又は蛍光粒子を含むことができる。粒子溶液は、タンク110内に採取し、保持することができ、ポンプ120は、検査されている部品に粒子溶液を塗布するのに用いられるホースシステム140を通じて槽を輸送し、例えば、ホースシステム140は、部品に噴霧(spray)するのに用いられるノズルを有する。磁気ウェットベンチ100は、オペレーターがシステム及び/又は検査を制御することを可能にするコントローラーユニット130も組み込むことができる。これに関して、コントローラーユニット130は、適切な回路部及び入力/出力コンポーネントを備えることができる。
【0031】
一例示の検査使用シナリオにおいて、部品が係合され(例えば、2つの電気コンタクト間にクランプされ)、部品の表面に磁気溶液が塗布される(例えば、表面上を流される)。次に、槽が遮断され、磁化電流が部品に印加される。磁化電流は、短い持続時間にわたってのみ適用することができ、部品の燃焼又は過熱を防ぐための予防措置を行うことができる。電気コンタクトを介して部品に磁化電流を印加する結果として、部品において磁場が生成される(例えば、部品の周囲を流れる環状場)。磁気溶液で濡れた部品を用いて、粒子を引きつけてインジケーションを形成する、亀裂等の不良点からの漏洩磁界の結果として、これらの不良点を検出することができる。
【0032】
しかしながら、既存のシステムは幾つかの欠点を有する場合がある。例えば、現時点では、オペレーターは磁気溶液(又は槽)を分析して、試験が正確であることを確実にしなくてはならない場合があり、槽は、検査の開始前に粒子濃度の特定の範囲内にある必要がある。これに関して、オペレーターは、マシンを手動で電源オンにし、槽の撹拌を開始して、磁気粒子を適切に混ざった状態にし、次に、適切な粒子濃度の分析及び検証のために槽試料を採取する必要がある。しかしながら、オペレーターは、これを行う際、特定のガイドライン及び要件に従わなくてはならない。
【0033】
例えば、ASTM及びNADCAP NDTの仕様によれば、オペレーターは、試料を取得する前に、まず、幾らかの時間、通常30分にわたって槽を撹拌しなくてはならない。次に、オペレーターは、幾らかの時間、油浴の場合、通常60分にわたって試料を静置させた後に初めて、試料を分析することができる。このため、通常、オペレーターは、実際の検査を始める前に、システムの準備ができていることを確実にするのに約1.5時間を費やす。
【0034】
したがって、本開示による種々の実施態様において、磁気ウェットベンチは、自動化された試料採取の解決策を組み込み、試料が意図された動作開示時点までに採取されることを確実にし、結果として、非動作時間の低減、労働コストの節減、及びプロセス制御の改善が得られる。これに関して、自動化された試料採取により、試料の採取に関連付けられた必要なアクションのうちの1つ以上が自動的に、すなわち、システムのオペレーター又はユーザーによるインタラクションと無関係に、かつこれを必要とすることなく実行される。試料採取を自動化する結果として、例えば、オペレーターが検査を開始する時点(例えば全てのシフトの開始時)までに、試料が採取され、分析の準備ができており、記録されることを確実にすることによって、大幅な時間の節減(例えば、1日あたり1.50人時)を得ることができる。自動化された試料採取の解決策はまた、人的エラーの機会を低減させ、結果の信頼性を増大させることができる。
【0035】
図1に示す非限定的な例示の実施態様において、磁気ウェットベンチ100は、統合された試料採取及び測定装置(「試料採取装置」とも称される)160を組み込む。これに関して、試料採取装置160は、永久接続ツールとしてマシンに追加することができる。代替的に、試料採取装置160は、磁気ウェットベンチに付加/接続する(又は磁気ウェットベンチから取り外す)ことができる(例えば、自動化された試料採取が利用されているときに追加される)、独立した(例えば、可搬型の)ツールとして構成されてもよい。
【0036】
試料採取装置160は、槽試料を採取し、(任意選択で)粒子濃度を測定するように構成することができる。ホースシステム140は、試料採取装置160を用いて、試料採取を可能にするように(再)構成及び/又は調整することができる。例えば、
図1に示すように、ホースシステム160は、(例えば、試料採取装置160を介した)内部採取のために、及び/又は部品に塗布する(例えば、ホースシステムのノズルを介して噴霧される)ために、ポンプ120によってプッシュされる槽を分割及び/又は転向するように構成することができる分岐器150(例えば、制御可能な分割チャネル)を組み込むことができる。
【0037】
しかしながら、本開示はそのように限定されず、幾つかの実施態様において、試料を抽出し、及び/又は試料採取装置に供給するための他の手法を用いることができる。例えば、1つの例示の実施態様において、分岐器150は用いられず、すなわち省かれる。代わりに、試料採取装置160に試料を供給するためにホースシステム140が用いられる。別の例示の実施態様では、磁気溶液の撹拌の完了後に試料を取得する際に、別個の、すなわちホースシステム140と異なる抽出コンポーネントが用いられてもよい。この別個の抽出コンポーネントはまた、ポンプ120に接続され、及び/又はポンプ120によって供給されてもよく、又は代替的に、タンク110からの試料の採取を容易にし、試料を試料採取装置160に供給する他の手段を用いてもよい。
【0038】
採取関連のコンポーネント及び/又は機能を、例えば、ポンプ120を制御する(例えば、槽をいつホースシステム140内に輸送するかを制御する)及び/又は分岐器140を介して槽を転向することによって、ホースシステム140を介して槽の流れを制御することができるコントローラーユニット130を介して、内部制御することができる。
【0039】
一例示の実施態様において、コントローラーユニット130は、コントローラーユニット130に追加されることになる、ハードウェアコンポーネント(例えば、制御回路)、ソフトウェアユニット又はそれらの組み合わせとすることができる「内部タイマー」制御モジュールを組み込むことができる。内部タイマー制御は、採取機能のタイミングを制御するように構成することができる。これに関して、内部タイマー制御は、特定の時点においてマシンをオンにし、設定された時間にわたる槽撹拌を開始し、流れを転向することによって所望の量の槽試料を採取し、静置時間を追跡することができ、これは例えば所定のスケジュールに従ってこれらのタスクを実行することによって行われる。
【0040】
例えば、
図1に示す非限定的な実施態様に対応する一例示の使用シナリオにおいて、マシンは、設定された時間に自動的に(例えば、コントローラーユニット130、又はコントローラーユニット内で実行されるモジュールによって)開始することができ、次に、槽撹拌を開始し、設定された時間(例えば、30分)にわたって実行することができる。次に、撹拌時間が満了した後、槽の試料を採取し、試料採取装置160に供給することができる。例えば、撹拌された槽は、ホースシステム140を通じて(例えば、ポンプ120を用いて)輸送することができ、試料は、槽を同じホースシステム140から試料採取装置160内に転向することによって取得することができる。これに関して、輸送及び転向は、予め設定された試料量要件を満たすような方式で制御することができ、例えば、転向は、槽の所定の量を採取するように所定の期間にわたって行うことができる。例えば、分岐器150は、そのような要件を満たすように転向が行われるように、コントローラーユニット130によって制御することができる。代替的に、分岐器150は、他の手段、例えば適切な空気圧システムによって制御されてもよい。試料が採取されると、例えば、予め設定された時間にわたって(例えば60分にわたって)槽濃度が落ち着くことを確実にするために、静置時間を開始することができる。幾つかの例では、試料が
検査の準備ができたときを示すインジケーションをオペレーターに提供することができる。
【0041】
幾つかの例では、統合された試料採取メカニズムの種々の態様は、オペレーターによってカスタマイズすることができる。例えば、幾つかの実施態様では、統合された試料採取メカニズムに関連するタイミング情報(例えば、開始時点、種々のステップのための予め設定されたタイマー等)は、オペレーターによってカスタマイズすることができ、これにより、オペレーターは、マシンがオン/電源オンにされるとき、(例えばポンプ120を介して)槽撹拌を開始するとき、槽試料(オプションで、その正確な量)を採取するとき、及び/又は試料を静置させる期間を制御することが可能になる。
【0042】
幾つかの例において、このタイミング関連パラメーターは、オペレーターに利用可能(例えば、可視)にされ、磁気粒子槽濃度をチェックする時点であるときをオペレーターに通知することができる。このマシンは、セットアップされると、プロセスにおける人間の関与を低減しながら、所有者が満たすことを望む任意の仕様を守るように、定期的に槽撹拌を開始し、試料を採取する。
【0043】
図2は、本開示の態様による、自動化された試料採取を支持して用いるための一例示のコントローラーを示す。
図2に示すのはコントローラーシステム200である。
【0044】
コントローラーシステム200は、
図1に関して説明されたような、本開示の種々の多様を実施する、特に、磁気ウェットベンチにおける自動化された試料採取を支援する、適切な回路部を備えることができる。これに関して、コントローラーシステム200は、
図1のコントローラーユニット130の一例示の実施態様を表すことができる。
【0045】
図2に示すように、コントローラーシステム200はプロセッサ202を含むことができる。これに関して、一例示のプロセッサ202は、任意の製造業者からの任意の汎用中央処理ユニット(CPU:central processing unit)とすることができる。しかしながら、幾つかの例示の実施態様において、プロセッサ202は、ARMコアを有するRISCプロセッサ、グラフィック処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、及び/又は、システムオンチップ(SoC:system-on-chips)等の1又は複数の専用処理ユニットを含むことができる。
【0046】
プロセッサ202は機械可読命令204を実行し、機械可読命令204は、プロセッサに(例えば、含まれるキャッシュ又はSoC内に)、ランダムアクセスメモリ(RAM)206(又は他の揮発性メモリ)内に、読み出し専用メモリ208(又はフラッシュメモリ等の他の不揮発性メモリ)内に、及び/又は、大容量格納装置210内にローカルで記憶することができる。例示の大容量格納装置210は、ハードドライブ、固体記憶デバイス、ハイブリッドドライブ、RAIDアレイ、及び/又は、任意の他の大容量データ記憶デバイスとすることができる。
【0047】
バス212は、プロセッサ202、RAM206、ROM208、大容量格納装置210、ネットワークインターフェース214、及び/又は入力/出力(I/O)インターフェース216の間の通信を可能にする。
【0048】
例示のネットワークインターフェース214は、コントローラーシステム200をインターネット等の通信ネットワーク218に接続するために、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、ネットワークインターフェース214は、通信を送信及び/又は受信するためのIEEE202.X準拠無線及び/又は有線通信ハードウェアを含むことができる。
【0049】
図2の例示のI/Oインターフェース216は、1又は複数のユーザーインターフェースデバイス220をプロセッサ202に接続して、プロセッサ202に入力を提供する及び/又はプロセッサ202から出力を提供するハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、I/Oインターフェース216は、表示装置にインターフェースするためのグラフィック処理ユニット、1又は複数のUSB準拠デバイスにインターフェースするためのユニバーサルシリアルバスポート、ファイヤーワイヤー(FireWire)、フィールドバス、及び/又は任意の他のタイプのインターフェースを含むことができる。
【0050】
例示のコントローラーシステム200は、I/Oインターフェース216に結合されたユーザーインターフェースデバイス224を含む。ユーザーインターフェースデバイス224は、キーボード、キーパッド、物理的ボタン、マウス、トラックボール、ポインティングデバイス、マイクロフォン、オーディオスピーカー、光媒体ドライブ、マルチタッチタッチスクリーン、ジェスチャー認識インターフェース、及び/又は、任意の他のタイプの入力及び/又は出力デバイス又はそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書における例は、ユーザーインターフェースデバイス224を指すが、これらの例は、単一のユーザーインターフェースデバイス224として、任意の数の入力及び/又は出力デバイスを含むことができる。他の例示のI/Oデバイス220は、光媒体ドライブ、磁気媒体ドライブ、周辺装置(例えば、スキャナー、プリンター等)及び/又は任意の他のタイプの入力及び/又は出力デバイスを含む。
【0051】
例示のコントローラーシステム200は、I/Oインターフェース216及び/又はI/Oデバイス220を介して非一時的機械可読媒体222にアクセスできる。
図2の機械可読媒体222の例は、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD:compact discs)、デジタル多用途/ビデオディスク(DVD:digital versatile/video discs)、Blu-ray(登録商標)ディスク等)、磁気媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク)、可搬型記憶媒体(例えば、可搬型フラッシュドライブ、セキュアデジタル(SD:secure digital)カード等)、及び/又は任意の他のタイプの取り外し可能及び/又は設置式機械可読媒体を含む。
【0052】
図3は、本開示の態様による、自動化された試料採取を用いた磁気ウェットベンチを利用する一例示のプロセスのフローチャートを示す。
図3に示すのは、本開示による、適切なシステム(例えば、
図1の磁気ウェットベンチ)において及び/又はこれを用いて実行することができる複数の例示のステップ(ブロック302~310として表される)を含むフローチャート300である。
【0053】
マシンがセットアップされ、動作のために構成される開始ステップ302の後、ステップ304において、自動試料採取設定が構成される。自動サンプリング採取設定を構成することは、自動化採取機能を起動し、採取関連パラメーター(例えば、タイミング情報、量のような試料関連情報等)、及び/又は採取が完了したとき等を示すか否か等のユーザー選好(存在する場合)を設定又は調整することを含むことができる。オペレーターは、単純に、(例えば、特定の基準、使用環境等に従って)予め定義することができる種々の利用可能なスケジュールから単純に選択することもできる。
【0054】
ステップ306において、マシン(磁気ウェットベンチ)は、対応する予め設定された判断基準に基づいて(例えば、予め設定された開始時点に)開始/電源オンされる。
【0055】
ステップ308において、対応する予め設定された採取判断基準に基づいて、例えば、予め設定された撹拌期間後に、特定の量要件を満たす試料が採取される。これに関して、採取は、マシン内の槽塗布(bath application)コンポーネント(例えば、ポンプ、ホースシステム、転向手段等)を制御することによって実行することができる。
【0056】
ステップ310において、試料が分析の準備ができたとき、オペレーターに対するインジケーションを作成することができる。例えば、試料は、予め設定されたタイマーに基づいて静置することを可能にすることができ、タイマーが満了すると、試料が検査の準備ができたことをオペレーターに通知するインジケーション(例えば、視覚、可聴等)が作成される。
【0057】
本開示による他の実施態様は、機械及び/又はコンピューターによって実行可能な少なくとも1つのコードセクションを有し、それにより、本明細書において説明されたように機械及び/又はコンピューターに処理を実行させる、機械コード及び/又はコンピュータープログラムが記憶された非一時的コンピューター可読媒体及び/又は記憶媒体、及び/又は非一時的機械可読媒体及び/又は記憶媒体を提供することができる。
【0058】
したがって、本開示による種々の実施態様は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにおいて実現することができる。本開示は、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中形式で、又は異なる要素が幾つかの相互接続されたコンピューティングシステムにわたって拡散される分散形式で実現することができる。本明細書において説明された方法を実行するように適応された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適合する。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、ロードされて実行されると、本明細書において説明された方法を実行するようにコンピューティングシステムを制御するプログラム又は他のコードを用いる汎用コンピューティングシステムとすることができる。別の典型的な実施態様は、特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。
【0059】
本開示による種々の実施態様は、本明細書において説明された方法の実施態様を可能にする全ての特徴を含むとともに、コンピューターシステム内にロードされると、これらの方法を実行することが可能であるコンピュータープログラム製品に埋め込むこともできる。この文脈におけるコンピュータープログラムは、一組の命令の、任意の言語、コード又は表記での任意の表現を意味し、この一組の命令は、情報処理能力を有するシステムに、直接、又は次のもの、すなわち、a)別の言語、コード又は表記への変換、b)異なるマテリアルフォームでの再現、のうちの一方又は双方の後に特定の機能を実行させるように意図される。
【0060】
本開示は、或る特定の実施態様を参照して説明されてきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができるとともに均等物に置き換えることができることを理解するであろう。例えば、開示した例のブロック及び/又は構成要素を、組み合わせ、分割し、再配置し、及び/又は他の方法で変更することができる。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適応させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本開示は、開示されている特定の実施態様に限定されず、むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲の適用範囲内に入る全ての実施態様を含むことが意図される。
本発明の態様の一部を以下記載する。
[態様1]
磁気ウェットベンチにおいて、
非破壊試験(NDT)磁気溶液を格納するように構成された容器と、
検査中に前記NDT磁気溶液を塗布するように構成された塗布システムと、
試料採取装置と、
1又は複数の回路であって、
予め設定された開始時点において該磁気ウェットベンチを電源オンにし、
予め設定された撹拌持続時間にわたる前記NDT磁気溶液の撹拌を開始し、
前記NDT磁気溶液から前記試料採取装置内への試料の採取をトリガーする1又は複数の回路とを具備する磁気ウェットベンチ。
[態様2]
前記NDT磁気溶液の前記試料を前記試料採取装置に供給する抽出システムを備える態様1に記載の磁気ウェットベンチ。
[態様3]
前記塗布システムは、ホースシステム及びポンプを備え、該ポンプは、前記NDT磁気溶液を、前記ホースシステムを通じて輸送するように構成される態様1に記載の磁気ウェットベンチ。
[態様4]
前記ホースシステムは、前記試料を前記試料採取装置内に転向する分岐器を備える態様3に記載の磁気ウェットベンチ。
[態様5]
前記1又は複数の回路は、前記予め設定された撹拌持続時間の終了後に、前記ホースシステムを通じた前記NDT磁気溶液の輸送を開始するように前記ポンプを起動するように構成される態様3に記載の磁気ウェットベンチ。
[態様6]
前記1又は複数の回路は、前記試料の採取が特定の予め設定された量を満たすようにするように構成される態様1に記載の磁気ウェットベンチ。
[態様7]
前記1又は複数の回路は、前記試料が分析の準備ができたときにインジケーションを提供するように構成される態様1に記載の磁気ウェットベンチ。
[態様8]
前記1又は複数の回路は、予め設定された静置持続時間にわたって前記試料が静置された後に前記インジケーションを提供するように構成される態様7に記載の磁気ウェットベンチ。
[態様9]
前記1又は複数の回路は、予め定義されたスケジュールに基づいて試料採取を制御するための1又は複数のタイミングパラメーターを決定するように構成される態様1に記載の磁気ウェットベンチ。
[態様10]
磁気ウェットベンチにおける自動化された試料採取の方法において、
予め設定された開始時点において前記磁気ウェットベンチを電源オンにし、
容器内に格納されている非破壊試験(NDT)磁気溶液の、予め設定された撹拌持続時間にわたる撹拌を開始し、
前記NDT磁気溶液から試料採取装置内への試料の採取をトリガーすることを含む方法。
[態様11]
前記磁気ウェットベンチは、前記NDT磁気溶液を供給するように構成されたホースシステムを備え、前記試料の前記採取をトリガーすることは、前記試料を、前記ホースシステムを介して前記試料採取装置内へ転向することを含む態様10に記載の方法。
[態様12]
前記磁気ウェットベンチは、前記NDT磁気溶液を輸送するように構成されたポンプを備え、前記試料の採取をトリガーすることは、前記予め設定された撹拌持続時間の終了後に、前記NDT磁気溶液の輸送を開始するように前記ポンプを起動することを含む態様10に記載の方法。
[態様13]
前記試料が特定の予め設定された量を満たすことを確実にするように前記試料の前記採取を構成することを含む態様10に記載の方法。
[態様14]
前記試料が分析の準備ができたとき、インジケーションを提供することを含む態様10に記載の方法。
[態様15]
1又は複数のインジケーション条件に基づいて前記インジケーションを提供することを含む態様14に記載の方法。
[態様16]
1又は複数のインジケーション条件は、予め設定された静置持続時間にわたって前記試料が静置されることを含む態様15に記載の方法。
[態様17]
予め定義されたスケジュールに基づいて試料採取を制御するための1又は複数のタイミングパラメーターを決定することを含む態様10に記載の方法。
【符号の説明】
【0061】
100 磁気ウェットベンチ
110 タンク
120 ポンプ
130 コントローラーユニット
140 分岐器
140 ホースシステム
150 分岐器
160 試料採取装置
160 ホースシステム
200 コントローラーシステム
202 プロセッサ
204 機械可読命令
208 専用メモリ
210 大容量格納装置
212 バス
214 ネットワークインターフェース
216 I/Oインターフェース
218 通信ネットワーク
220 I/Oデバイス
222 機械可読媒体
224 ユーザーインターフェースデバイス
300 フローチャート